JPH07320602A - 直流遮断器の電磁式操作器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】緩衝器の固定部が消弧室側に出っ張らない構成
を採用して閃絡の危険性や絶縁補強の必要性がないよう
にする。 【構成】可動鉄心51が固定鉄心52に向かって移動する運
動エネルギーを吸収する緩衝器６を可動鉄心51に設けた
穴に埋込んで設けることによって、従来のような緩衝器
６の固定部が消弧室１近くで出っ張って絶縁距離が短く
なるということがなくなる。駆動力となる磁気力が発生
する磁束は表皮効果によって可動鉄心51の表面近くを流
れるので、可動鉄心51の中央部に穴を設けても発生する
磁気力の値は余り変化せず実用上の問題はない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、直流遮断器の可動接
触子を駆動するための電磁式操作器、特にその駆動力を
発生する可動鉄心の運動エネルギーを吸収して機械的衝
撃を緩和するために設けられた緩衝器の取付け構造に関
する。

【０００２】

【従来の技術】直流遮断器は零点を持たない電流を強制
的に遮断する機能が要求されるので消弧性能を特に向上
させた消弧室を持つ構成が採られる。図３は従来の直流
遮断器の正面図であり、投入、遮断動作を説明するため
の機構部が図示されるように手前の壁面などの構造物を
省略して図示してある。この図において、直流遮断器は
可動接触子21と固定接触子22とからなる接触子２、遮断
時に接触子２から発生するアークを消弧するための消弧
室１、可動接触子21を駆動して固定接触子22と離れてい
る状態から接触する状態に投入する電磁式操作器5A、詳
細な構成は後述する電磁式操作器5Aの可動鉄心51A を可
動接触子21に連結して駆動力を伝達する５つの関節レバ
ーからなるリンク機構７、投入時に力を蓄え遮断時にそ
の力を開放して可動接触子21を固定接触子から引き離す
力を発生するスプリング８などからなっている。可動接
触子21は可動接触子腕23に取付けられていてリンク機構
７やスプリング８はこの可動接触子腕23にそれぞれの一
端が取付けられている。

【０００３】可動接触子21は可動接触子腕23を介して下
部端子31に、固定接触子22は上部端子32に接続されてい
て、これら端子31、32を介してこの直流遮断器が設けら
れる直流回路に接続される。この図は可動接触子21と固
定接触子22とか離れていて遮断器としては「開」の状態
を示している。この状態から投入動作によって「閉」の
状態になる。投入動作は先ず電磁式操作器5Aの励磁コイ
ルが励磁されて可動鉄心51が吸引されて図の上の方に移
動し、これに伴ってリンク機構７を介して可動接触子21
が右の方向に移動して固定接触子22に接触することによ
って投入動作が完了する。このときスプリング８が延び
て力が蓄えられる遮断動作は図示しないラッチ機構を解
くことによってスプリング８に蓄えられていた力を開放
して可動接触子21を図の左方向に駆動して固定接触子22
から離れさせる。このときこれら接触子２に流れていた
電流によって可動接触子21と固定接触子22とを短絡する
アークが発生しこのアークには接触子２や可動接触子腕
23などに流れる電流によって生ずる磁界との電磁作用に
基づく電磁力が働いて図の上に向かって拡大する力が働
き、消弧室１の両端に設けられているアークホーン12に
アーク端が移行して更に拡大し、消弧室１内に放射状に
設けられている金属製のセグメント11に接して詳しい説
明は省くが強力な消弧作用が働いて消弧され、最終的に
電流が零になって直流遮断器の遮断動作が完了する。

【０００４】図４は図３の電磁式操作器5Aの断面図であ
る。この図において、電磁式操作器5Aは、同軸に配置さ
れ空隙59を介して互いに対向する可動鉄心51A と固定鉄
心52A 、これらを囲んで同軸に配置された励磁コイル5
3、これの外形側に配置された継鉄54、及び固定鉄心52A
に固定され二重ボルトを含む固定部62を図の上側に突
き出し、可動部61を可動鉄心51A に対向させて設けられ
た緩衝器6Aからなっている。励磁コイル53と可動鉄心51
A との間には可動鉄心51A が円滑に移動できるように円
筒ガイド55が設けられている。

【０００５】投入動作時に、励磁コイル53に励磁電流が
流れて励磁されると、可動鉄心51A、空隙59、固定鉄心5
2A 、継鉄54及び可動鉄心51A とからなる励磁コイル53
を一周する閉磁路を流れる磁束が発生する。空隙部59の
磁束によって可動鉄心51A は固定鉄心52A に吸引される
図の上方向の磁気力が発生し、これによって可動鉄心51
A は上方に駆動される。前述のようにこの駆動によって
離れていた可動接触子21が固定接触子23が接触すること
になる。

【０００６】空隙部59に発生する磁束は励磁コイル53に
よる起磁力が一定の場合には空隙部59の空隙長に略反比
例する。ということは可動鉄心51A が上方向に移動して
空隙部59の空隙長が小さくなるにつれて可動鉄心51A に
働く磁気力も増大することになる。磁気力によって可動
鉄心51A に蓄えられた運動エネルギーはそのままでは固
定鉄心52A に激突して消費しこのときの衝撃力によって
電磁式操作器5Aを含めて直流遮断器を構成する部材が損
傷して寿命が短くなるなどの種々の問題を生ずる可能性
がある。このような問題を解消するために緩衝器6Aが設
けられていて可動鉄心51A が上方向に移動して緩衝器6A
の可動部61に接し可動部61も上方向に向かって移動する
と移動速度に応じた抵抗が発生して可動鉄心51A の動き
を抑制して固定鉄心52A に激突するのを防ぐ。緩衝器６
はダッシュ・ポットとも呼ばれていて種々の分野に使用
されている市販品である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】緩衝器6Aは固定鉄心52
A に取付けられているが、その取付けは図の上方部に二
重ボルトなどからなる固定部62で固定されいる。この固
定部62は図３で明らかなように、消弧室１に接近した位
置になっている。遮断時には前述のように消弧室１内に
アークが発生するが、アークによって生じた高温ガスを
外部に排出するホットガス排出口13にも近い位置に前述
の固定部62があるのでホットガスにあおられて固定部62
とアークホーン12との間で閃絡が生ずる危険があるとい
う問題がある。この問題を解消するためには緩衝器6Aが
上に出っ張った固定部62を絶縁物で覆うとかホットカズ
排出口13の位置を変えるとかの構造の変更が必要になる
という問題がある。

【０００８】この発明の目的はこのような問題を解決
し、緩衝器の固定部が消弧室側に出っ張らない構成を採
用して閃絡の危険性のない直流遮断器の電磁式操作器を
提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
にこの発明によれば、可動鉄心、この可動鉄心に空隙を
隔てて同軸に対向する固定鉄心、可動鉄心と空隙と固定
鉄心とを囲んで同軸に配置された励磁コイル、励磁コイ
ルの外形側に設けられ可動鉄心と固定鉄心とを磁気的に
接続する継鉄、及び可動鉄心が固定鉄心に向かって移動
する運動エネルギーを吸収する緩衝器からなる直流遮断
器の電磁式操作器において、緩衝器が、可動鉄心に設け
られた穴に埋め込んで設けられてなるものとする。

【００１０】

【作用】この発明の構成において、可動鉄心が固定鉄心
に向かって移動する運動エネルギーを吸収する緩衝器
を、可動鉄心の中央部に設けた穴に埋込んで設けること
によって、緩衝器の固定部が消弧室近くで出っ張ること
がなくなる。駆動力となる磁気力が発生する磁束は表皮
効果によって可動鉄心の表面近くを流れるので、緩衝器
を設けるために可動鉄心の中央部に穴を設けても発生す
る磁気力の値は余り変化せず実用上の問題はない。

【００１１】

【実施例】以下この発明を実施例に基づいて説明する。
図１はこの発明の実施例を示す電磁式操作器の断面図で
あり、図４と同じ部材には同じ符号を付けて重複する説
明を省く。この図において、緩衝器６は可動鉄心５の中
央部に設けた穴に埋め込んで固定してある。可動部61は
固定鉄心52の方向を向いており、空隙59の空隙長、可動
鉄心51の可動寸法や緩衝器６の可動部61の可動寸法など
が考慮されて固定鉄心52には可動部61が入り込む穴が設
けられている。図４では固定部62は可動部61とは反対側
に設けられているが図１では同じ方向に固定用のボルト
63が設けられている。このことはこの発明による相違で
はなく市販の緩衝器６には図４のような固定構造のもの
図１のような固定構造のものがあり、図１では可動鉄心
51に固定するのに適したものとして可動部61の側に固定
ボルト63が配置される緩衝器６を使用したものである。

【００１２】励磁コイル53に励磁電流が流れることによ
って発生する磁束は、励磁電流の時間的変化が激しいた
めに、強磁性ではあるが同時に導体でもある可動鉄心51
や固定鉄心52などに電磁誘導よって渦電流を発生させ、
いわゆる表皮効果によって磁束は可動鉄心51や固定鉄心
52の表面近くにしか流れないという現象がある。したが
って、図のように緩衝器６を設けるための穴を可動鉄心
51に設けても磁束の流れを余り阻害せずしたがって磁気
力の低下も実用上殆ど無視できる程度に小さい。したが
って、図１のような構成を採用しても可動鉄心51の駆動
力、ひいては直流遮断器の投入性能に問題を生ずること
はない。

【００１３】図２は図１の電磁式操作器５を使用した直
流遮断器の正面図であり、図３と同じ部材については同
じ符号を付けて重複する説明を省く。図示のように電磁
式操作器５の上部には緩衝器５の固定部が出っ張らない
構成になっている。そのため、遮断動作時に発生するホ
ットガスが引きがねになって消弧室１との間で閃絡が生
ずるという危険性はなくなり、したがってホットガス排
出口13の位置を変えたり電磁式操作器５の上部を絶縁補
強したりの構造の変更を必要とせず、単に前述のように
電磁式操作器５の構成を従来の電磁式操作器5Aと異なる
構成を採用するだけで従来の直流遮断器にあった問題を
解決することができる。

【００１４】

【発明の効果】この発明は前述のように、可動鉄心に穴
を設けこれに緩衝器を埋込む構成を採用することによっ
て、緩衝器の固定部が消弧室近くで出っ張ることがなく
なり、その結果、遮断動作時に電磁式操作器と消弧室と
が閃絡するという危険性がなくなり、そのためにホット
ガス排出口の位置を移動するとか絶縁補強を施すなどの
構造の変更を行う必要がなくなるという効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す直流遮断器の電磁式操
作器の断面図

【図２】図１の電磁式操作器を使用した直流遮断器の正
面図

【図３】従来の直流遮断器の正面図

【図４】図３の電磁式操作器の断面図

【符号の説明】

1…消弧室、21…可動接触子、22…固定接触子、5,5A …
電磁式操作器、51,51A…可動鉄心、52,52A…固定鉄心、
53…励磁コイル、54…継鉄、59…空隙、6,6A …緩衝
器、61…可動部、62…固定部、63…固定ボルト、

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】可動鉄心、この可動鉄心に空隙を隔てて同
   軸に対向する固定鉄心、可動鉄心と空隙と固定鉄心とを
   囲んで同軸に配置された励磁コイル、励磁コイルの外形
   側に設けられ可動鉄心と固定鉄心とを磁気的に接続する
   継鉄、及び可動鉄心が固定鉄心に向かって移動する運動
   エネルギーを吸収する緩衝器からなる直流遮断器の電磁
   式操作器において、緩衝器が、可動鉄心に設けられた穴
   に埋め込んで設けられてなることを特徴とする直流遮断
   器の電磁式操作器。