JPH07313188A - 免疫抑制剤 - Google Patents

免疫抑制剤

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JPH07313188A
JPH07313188A JP6082836A JP8283694A JPH07313188A JP H07313188 A JPH07313188 A JP H07313188A JP 6082836 A JP6082836 A JP 6082836A JP 8283694 A JP8283694 A JP 8283694A JP H07313188 A JPH07313188 A JP H07313188A
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俊朗 嶌村
Junji Hamuro
淳爾 羽室
Harumi Nakazawa
はるみ 中澤
Yuka Kanayama
由佳 金山
Kazuo Sugamura
和夫 菅村
Toshiichi Takeshita
敏一 竹下
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ヒトIL−2レセプターγ鎖に特異的に結合
して、ヒトIL−2レセプターγ鎖とIL−2レセプタ
ーβ鎖との結合を選択的に阻害し、IL−2応答を遮断
する活性を有するポリペプチド、該ポリペプチドを含有
する免疫抑制剤、該ポリペプチドをコードする遺伝子、
該遺伝子を有する組換えDNA、該組換えDNAを有す
る形質転換体、該形質転換体を培養して目的とするポリ
ペプチドを製造する方法を提供する。 【構成】 ヒトIL−2レセプターγ鎖に特異的に結合
して、ヒトIL−2レセプターγ鎖とIL−2レセプタ
ーβ鎖との結合を選択的に阻害し、IL−2応答を遮断
する活性を有するポリペプチド、該ポリペプチドを含有
する免疫抑制剤、該ポリペプチドをコードする遺伝子、
該遺伝子を有する組換えDNA、該組換えDNAを有す
る形質転換体、該形質転換体を培養して目的とするポリ
ペプチドを製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒトインターロイキン2
レセプターγ鎖に特異的に結合して、ヒトインターロイ
キン2レセプターγ鎖とインターロイキン2レセプター
β鎖との結合を選択的に阻害し、インターロイキン2応
答を遮断する活性を有するポリペプチド、該ポリペプチ
ドを含有する免疫抑制剤、該ポリペプチドをコードする
DNA、該遺伝子を有する組換えDNA、該組換えDN
Aを有する形質転換体、該形質転換体を培養して目的と
するポリペプチドを製造する方法に関する。本ポリペプ
チドは、単独、あるいはインターロイキン2のインター
ロイキン2レセプターへの結合を阻害する物質と併用す
ることにより、インターロイキン2の関与が示唆されて
いる臓器移植時の拒絶反応の予防、アレルギー性疾患や
自己免疫疾患などの炎症性疾患の治療薬として有効な薬
剤として利用し得る有用な物質である。以下、「インタ
ーロイキン2」を単に「IL−2」と称することがあ
る。
【0002】
【従来の技術】臓器移植の外科的技術が著しく向上した
現在、臓器移植手術の成否は術後の移植片拒絶反応をい
かにして抑制できるかにポイントが絞られてきている。
拒絶反応は、生体が移植片を異物として認識し、それを
排除するために一連の免疫反応が惹起されることにより
生じる。そこで、従来より拒絶防止薬として、ステロイ
ド剤、アザチオプリン、メトトレキセート、6−メルカ
プトプリンなどのいわゆる免疫抑制剤と呼ばれている薬
剤の投与が行われてきた。しかし、安全域が狭いこと、
あるいは効果が弱いことなどの理由で生着率の著しい向
上はみられなかった。ところが、近年開発されたサイク
ロスポリンAの登場により、生着率には格段の向上がみ
られるようになった。しかしながら、サイクロスポリン
Aには重篤な腎毒性があることが明らかとなり、その使
用の制限を与儀なくされてきている。したがって、より
安全で、かつ効果的な免疫抑制剤の開発が望まれてきて
いる。
【0003】さて、IL−2は、ヘルパーT細胞から産
生されるタンパク質であり、生体内においてキラーT細
胞の増殖や分化誘導、B細胞の分化誘導など、広汎な働
きを有している生体防御上非常に重要な因子である。臓
器移植や骨髄移植においては、移植片の生着の鍵を握る
と考えられている宿主対移植片反応(HVG反応)、あ
るいは移植片対宿主反応(GVH反応)に、IL−2な
どにより活性化されたキラーT細胞が深く関与している
ことが示されている。他方、自己免疫疾患は生体内での
免疫系のバランスがくずれ、生体自身を攻撃することに
より発症すると考えられており、その中でも特にIL−
2をはじめとする免疫系に関与する因子の過剰産生、あ
るいはそれに対する過剰反応などがその大きな一因とな
っている可能性が高い。
【0004】これらのことから、IL−2応答を選択的
かつ効果的に抑制することができれば、臓器移植時の拒
絶反応の予防や、自己免疫疾患の治療が可能となるもの
と考えられるようになった。事実、IL−2と細胞毒を
融合させて、IL−2を結合する受容体(IL−2レセ
プター)を有しているIL−2応答細胞を選択的に傷害
することができるポリペプチドを調製し、これを自己免
疫疾患の動物モデルの一つであるアジュバント関節炎ラ
ットに投与すると関節炎の発症が遅れ症状も軽くなり、
またマウス同種心臓移植時に投与すると移植心の拒絶が
抑制されるという報告もある( Proc. Natl.Acad.Sci.U
SA、86巻、1008頁、1989年)。しかし、IL−2
と細胞毒を融合させて得られるポリペプチドはその血中
半減期が短く、効果をあげるためには大量に投与する必
要があり、それに伴う副作用が懸念される。そこで、よ
り安全でかつ有効なIL−2応答を抑制できる薬剤の開
発が望まれている。
【0005】従来より、IL−2応答細胞上のIL−2
レセプターは、分子量が約55kdのα鎖と約75kd
のβ鎖の2つの糖蛋白質分子からなることが知られてお
り、それぞれの分子とIL−2との結合の解離定数は、
α鎖の場合10-8M、β鎖の場合10-9Mであるが、α
鎖とβ鎖の両方の分子が接してIL−2との三者の会合
体が形成された場合には、解離定数が10-12Mという
高親和性の結合となることものと考えられていた。しか
し、マウスの非リンパ球系の細胞にヒトβ鎖cDNAを
単独に導入してもIL−2の結合は起こらず、また、ヒ
トα鎖とヒトβ鎖のcDNAを同時に導入しても、中程
度のIL−2の結合は起こるが、高親和性の結合は起こ
らないことが明らかとなり(Science、244巻、55
1頁、1989年)、IL−2の結合を規定するα鎖、
β鎖以外の第三の分子の存在が示唆されるようになっ
た。そして、本発明者らによって、第三のIL−2レセ
プターの構成分子である64kdの糖蛋白質分子(以
下、IL−2レセプターγ鎖と称する)をコードする遺
伝子がクローニングされることにより(特願平4−10
4947・Science、257巻、379頁、1992
年)、IL−2/IL−2レセプターシステムが完全に
解明された。
【0006】すなわち、マウスの非リンパ球系の細胞に
ヒトβ鎖とヒトγ鎖のcDNAを同時に導入しIL−2
の結合を解析すると、当初β鎖単独で生じると考えられ
ていた中親和性の結合が観察されるようになり、また、
ヒトα鎖、ヒトβ鎖、及びヒトγ鎖のcDNAを同時に
導入すると、当初α鎖とβ鎖により生じると考えられて
いた高親和性のIL−2の結合が起こることが明らかと
なった。更に、IL−2のシグナル伝達のトリガーと考
えられているIL−2とIL−2レセプター複合体の細
胞内への取り込み反応は、β鎖単独、あるいはα鎖とβ
鎖の両者の発現細胞においては生じないが、それらの細
胞にγ鎖を発現させることにより生じることが示され
た。従って、本発明者らが世界で初めて見いだすことに
成功したIL−2レセプターγ鎖分子は、単にIL−2
の結合を規定している分子ではなく、IL−2のシグナ
ル伝達機構に必須の分子であることが明らかとなった。
【0007】IL−2レセプターγ鎖分子は、IL−2
存在下でIL−2レセプターβ鎖の細胞外領域に結合す
ることが知られている(Science、257巻、379
頁、1992年)。従って、β鎖とγ鎖との結合を妨げ
ると、β鎖単独の場合にはIL−2結合そのものが生じ
ず、α鎖とβ鎖の両者に対しては中程度の結合が生じる
ものの、IL−2シグナル伝達が遮断されるものと考え
られる。すなわち、IL−2応答細胞上のIL−2レセ
プターβ鎖とIL−2レセプターγ鎖との結合を阻害す
ることができれば、IL−2のシグナル伝達が完全に遮
断されてIL−2に対して不応答性となり、IL−2が
関与していると考えられる臓器移植時の拒絶反応や、自
己免疫疾患等の治療が可能となる。しかし、現在までI
L−2レセプターβ鎖とIL−2レセプターγ鎖との結
合阻害する活性を有する物質は全く知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
はヒトIL−2レセプターγ鎖に特異的に結合して、ヒ
トIL−2レセプターγ鎖とIL−2レセプターβ鎖と
の結合を選択的に阻害し、IL−2応答を遮断する活性
を有するポリペプチド、該ポリペプチドを含有する免疫
抑制剤、該ポリペプチドをコードするDNA、該DNA
を有する組換えDNA、該組換えDNAを有する形質転
換体、該形質転換体を培養して目的とするポリペプチド
を製造する方法を提供することである。本ポリペプチド
は、単独、あるいはIL−2とIL−2レセプターとの
結合を阻害する物質と併用することにより、IL−2の
関与が示唆されている臓器移植時の拒絶反応の予防、ア
レルギー性疾患または自己免疫疾患などの炎症性疾患の
治療薬として有効な薬剤として利用し得る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、後述の方法によ
り、目的とするヒトIL−2レセプターγ鎖に特異的に
結合して、ヒトIL−2レセプターγ鎖とヒトIL−2
レセプターβ鎖との結合を選択的に阻害し、IL−2応
答を遮断する活性を有するポリペプチドを見いだし、本
発明を完成した。すなわち、本発明はヒトIL−2レセ
プターγ鎖に特異的に結合して、ヒトIL−2レセプタ
ーγ鎖とヒトIL−2レセプターβ鎖との結合を選択的
に阻害し、IL−2応答を遮断する活性を有するポリペ
プチド、該ポリペプチドを含有する免疫抑制剤、該ポリ
ペプチドをコードするDNA、該DNAを有する組換え
DNA、該組換えDNAを有する形質転換体、該形質転
換体を培養して目的とするポリペプチドを製造する方法
を提供するものである。詳細には本発明は以下の通りで
ある。 (発明1)ヒトインターロイキン2レセプターγ鎖に特
異的に結合し、ヒトインターロイキン2の応答を遮断す
る活性を有するポリペプチド。 (発明2)ポリペプチドが、マウスモノクローナル抗体
である発明1記載のポリペプチド。 (発明3)モノクローナル抗体を産生する細胞が、GP
−2又はGP−4である発明2記載のモノクローナル抗
体。 (発明4)モノクローナル抗体を産生する細胞が、TU
Gh4、TUGh5又はAG14である発明2記載のモ
ノクローナル抗体。 (発明5)ポリペプチドが、モノクローナル抗体の可変
領域のみを含んでなる発明1記載のポリペプチド。 (発明6)ポリペプチドが、配列番号1記載のアミノ酸
配列を有するポリペプチドである発明5記載のポリペプ
チド。 (発明7)ポリペプチドが、配列番号2記載のアミノ酸
配列を有するポリペプチドである発明5記載のポリペプ
チド。 (発明8)ポリペプチドが、配列番号1記載のアミノ酸
配列のN末端Metが除かれたポリペプチドである発明
5記載のポリペプチド。 (発明9)ポリペプチドが、配列番号2記載のアミノ酸
配列のN末端Metが除かれたポリペプチドである発明
5記載のポリペプチド。 (発明10)ポリペプチドが、(1)配列番号1記載の
アミノ酸配列の一部を削除、(2)配列番号1記載のア
ミノ酸配列の一部を他のアミノ酸配列に置換、(3)配
列番号1記載のアミノ酸配列にアミノ酸残基もしくはペ
プチドを付加、または(4)配列番号1記載のアミノ酸
配列の一部をアセチル化、アミド化、もしくはポリエチ
レングリコール付加したものである発明5記載のポリペ
プチド。 (発明11)ポリペプチドが、(1)配列番号2記載の
アミノ酸配列の一部を削除、(2)配列番号2記載のア
ミノ酸配列の一部を他のアミノ酸配列に置換、(3)配
列番号2記載のアミノ酸配列にアミノ酸残基もしくはペ
プチドを付加、または(4)配列番号2記載のアミノ酸
配列の一部をアセチル化、アミド化、もしくはポリエチ
レングリコール付加したものである発明5記載のポリペ
プチド。 (発明12)ポリペプチドが、マウスモノクローナル抗
体の定常領域をヒト抗体の定常領域へと変換した発明1
記載のポリペプチド。 (発明13)ポリペプチドが、マウスモノクローナル抗
体の定常領域、及び可変領域の枠組み配列を、各々ヒト
抗体の定常領域と枠組み配列へと変換した発明1記載の
ポリペプチド。 (発明14)発明1ないし13記載のポリペプチドを含
有してなる免疫抑制剤。 (発明15)発明1ないし13記載のポリペプチドと、
抗ヒトインターロイキン2レセプターα鎖抗体、及び/
又は抗ヒトインターロイキン2レセプターβ鎖抗体とを
含有してなる発明14記載の免疫抑制剤。 (発明16)発明1ないし13記載のポリペプチドと、
抗ヒトインターロイキン2レセプターα鎖抗体の可変領
域を含むポリペプチド、該ポリペプチドの一部を削除し
たポリペプチド、該ポリペプチドの一部を他のアミノ酸
に置換したポリペプチド、もしくは該ポリペプチドの一
部に他のアミノ酸残基、ポリペプチドあるいは他の物質
を付加したポリペプチド、及び/又は抗ヒトインターロ
イキン2レセプターβ鎖抗体の可変領域を含むポリペプ
チド、該ポリペプチドの一部を削除したポリペプチド、
該ポリペプチドの一部を他のアミノ酸に置換したポリペ
プチド、もしくは該ポリペプチドの一部に他のアミノ酸
残基、ポリペプチドあるいは他の物質を付加したポリペ
プチドとを含有してなる発明14記載の免疫抑制剤。 (発明17)発明1ないし13記載のポリペプチドと、
ヒト定常領域を有する抗ヒトインターロイキン2レセプ
ターα鎖抗体、及び/又はヒト定常領域を有する抗ヒト
インターロイキン2レセプターβ鎖抗体とを含有してな
る発明14記載の免疫抑制剤。 (発明18)発明1ないし13記載のポリペプチドと、
ヒト定常領域及びヒト可変領域の枠組み配列を有する抗
ヒトインターロイキン2レセプターα鎖抗体、及び/又
はヒト定常領域及びヒト可変領域の枠組み配列を有する
抗ヒトインターロイキン2レセプターβ鎖抗体とを含有
してなる発明14記載の免疫抑制剤。 (発明19)発明1ないし13記載のポリペプチドをコ
ードするDNA。 (発明20)DNAが配列番号1記載の塩基配列を有す
る発明19記載のDNA。 (発明21)DNAが配列番号2記載の塩基配列を有す
る発明19記載のDNA。 (発明22)発明19ないし21記載のDNAを有する
組換えDNA。 (発明23)発明22記載の組換えDNAを有する形質
転換体。 (発明24)形質転換体が大腸菌、または真核細胞であ
る発明23記載の形質転換体。 (発明25)発明23または24記載の形質転換体を培
養することにより、発明1ないし13記載のポリペプチ
ドを生産させ、該ポリペプチドを取得することを特徴と
する該ポリペプチドの製造方法。
【0010】本発明に従えば、ヒトIL−2レセプター
γ鎖に結合し、ヒトIL−2レセプターγ鎖とヒトIL
−2レセプターβ鎖との結合を選択的に阻害し、IL−
2応答を遮断する活性を有するポリペプチドが提供され
る。
【0011】本研究者らはまずヒトIL−2レセプター
γ鎖に特異的に結合するマウスモノクローナル抗体を産
生するハイブリドーマを多数作成し、その中からヒトI
L−2応答を阻害する活性を有するマウスモノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマクローンを選択した。
以下にマウス抗ヒトIL−2レセプターγ鎖モノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマクローンの調製法を
記す。
【0012】ハイブリドーマは骨髄腫細胞と抗体産生細
胞を融合することにより製造される。抗体産生細胞とし
ては、リコンビナントヒトIL−2レセプターγ鎖分子
で免疫されたマウスやラットなどの動物からの脾臓また
はリンパ節細胞を用いればよい。なお、免疫する物質と
しては、リコンビナントヒトIL−2レセプター分子の
場合、単独、あるいは他の蛋白質との融合分子、分子の
一部のポリペプチド等を用いても差し支えない。その場
合、リコンビナントヒトIL−2レセプター分子のう
ち、細胞外領域のみからなる分子を用いると特に効率的
である。また、リコンビナントヒトIL−2レセプター
γ鎖分子の代わりに、ヒトIL−2レセプターγ鎖分子
を発現しているヒト細胞、ヒトIL−2レセプターγ鎖
分子をコードする遺伝子が導入され、該γ鎖分子を生合
成するに至ったマウス細胞等を用いても構わない。ま
た、それらの細胞より精製したγ鎖分子そのものを免疫
原として用いてもさしつかえない。
【0013】抗体産生細胞と骨髄腫細胞の由来する動物
の種は、両細胞が融合可能な限り異なってもよいが、通
常同一種の細胞を用いた方が良い結果が得られる。本発
明実施のための一つの好ましいハイブリドーマは、ヒト
リコンビナントIL−2レセプターγ鎖分子の細胞外領
域のみからなるポリペプチドで免疫したマウスの脾臓細
胞または同リンパ節細胞と、マウス骨髄腫細胞との間の
ハイブリドーマである。例えば、生理食塩水に懸濁した
ヒトリコンビナントIL−2レセプターγ鎖分子の細胞
外領域のみからなるポリペプチドで免疫したBalb/cマウ
スの脾臓細胞とBalb/cマウスの骨髄腫細胞SP2/0-Ag14の
間のハイブリドーマであり、後述の実施例で示されるよ
うに優れた結果が得られる。ヒトリコンビナントIL−
2レセプターγ鎖分子の細胞外領域のみからなるポリペ
プチドは、同分子をコードする遺伝子を含む発現プラス
ミドベクターを有する形質転換体を培養することにより
得られる。形質転換体としては大腸菌等の原核細胞、C
HO細胞等の真核細胞などいずれを用いても構わない。
【0014】骨髄腫細胞としては、SP2/0-Ag14のほか
に、X63-Ag8-6.5.3, P3-X63-Ag8-U1,P3-X63-Ag8, P3-NS
I/1-Ag4-1, MPC11-4.5.6.TG.1.7, (以上マウス細
胞)、210.RCY.Ag1.2.3 (ラット細胞)、SK0-007,GH15
006TG-A12 (以上ヒト細胞)等の8アザグアニン耐性の
細胞株を用いてもよい。ハイブリドーマの作成と、更に
その中からIL−2レセプターのγ鎖分子に結合し、I
L−2応答を遮断する活性を有するモノクローナル抗体
を産生しているハイブリドーマクローンの選択は、例え
ば次の様にして行える。ポリエチレングリコール、ある
いはセンダイウイルスなどを用いて抗体産生細胞と骨髄
腫細胞とを融合させる。融合したハイブリドーマのみ
が、ヒポキサンチン、チミジン、アミノプテリンを含む
培地(HAT培地)中で生育することができる。得られ
たハイブリドーマがすべて抗体を産生しているわけでは
ないし、抗体を産生しているハイブリドーマがすべて目
的とする抗体を産生しているわけではないので、それら
のハイブリドーマクローンの中からIL−2レセプター
のγ鎖分子に結合し、IL−2応答を遮断する活性を有
しているモノクローナル抗体を産生しているハイブリド
ーマクローンを選択しなければならない。
【0015】その選択は例えば以下の様な方法を用いて
行うことができる。すなわち、ハイブリドーマ培養上清
中に産生されている抗体の、ヒトIL−2レセプターγ
鎖分子をコードする遺伝子が導入され、該ペプチドを発
現しているマウスL929細胞(以下Lγ細胞と称す
る)への結合と、ヒトIL−2レセプターβ鎖分子をコ
ードする遺伝子が導入され、該ペプチドを発現している
マウスL929細胞(以下、Lβ細胞と称する)への結
合を測定し、前者に対して結合量が高く、後者に対して
結合量の低いものを選択する。そのような抗体を産生し
ているハイブリドーマがIL−2レセプターのγ鎖分子
に特異的に結合する抗体を産生しているハイブリドーマ
となる。
【0016】細胞への抗体の結合量の測定は、放射標識
された抗マウスイムノグロブリン抗体を用いたラジオイ
ムノアッセイ、蛍光色素標識された抗マウスイムノグロ
ブリン抗体を用いた蛍光イムノアッセイなどいかなる方
法を用いてもかまわない。また、スクリーニングに用い
る細胞は、ヒトγ鎖を発現している細胞とヒトγ鎖を発
現していない細胞との組み合わせである限りいかなる細
胞を用いてもかまわない。
【0017】IL−2レセプターのγ鎖分子に特異的に
結合する抗体が、すべてIL−2応答を遮断する活性を
有する抗体とは限らないので、更に例えば以下のような
方法により、IL−2レセプターのγ鎖分子に対する抗
体を産生しているハイブリドーマの中から、IL−2応
答を遮断する活性を有する抗体を産生しているハイブリ
ドーマを選択する。ハイブリドーマ培養上清を、ヒトI
L−2依存的に増殖活性を示すヒト成人T細胞白血病ウ
イルス感染T細胞株ILT−Mat細胞に加え、ILT
−Mat細胞の増殖阻害活性を測定する(Journal of E
xperimental Medicine、169巻、1323頁)。増殖
阻害活性を有していれば、そのハイブリドーマが目的と
するモノクローナル抗体産生細胞ということになる。な
お、IL−2レセプターのγ鎖分子に対する抗体を産生
しているハイブリドーマの中から、IL−2応答を遮断
する活性を有する抗体を産生しているハイブリドーマを
選択する方法としては、ILT−Mat細胞を用いる方
法以外にも、ヒト細胞を用いて行うヒトIL−2の生物
活性測定法である限り、いかなる方法を用いても構わな
い。こうして得られたハイブリドーマクローンとして、
例えばGP−2(FERM P−13576、BP−4
641)、GP−4(FERM P−13575、BP
−4640)、TUGh4(FERM P−1401
1、BP−4642)、TUGh5(FERM P−1
4012、BP−4643)および、AG14(FER
MBP−4648)と呼ばれる細胞がある。
【0018】モノクローナル抗体の大量調製を行うに
は、GP−2細胞(FERM P−13576、BP−
4641)、GP−4細胞(FERM P−1357
5、BP−4640)、TUGh4細胞(FERM P
−14011、BP−4642)、TUGh5細胞(F
ERM P−14012、BP−4643)あるいは、
AG14(FERM BP−4648)を、組織適合性
動物、あるいは胸腺欠損ヌードマウスなどの腹腔内に接
種して増殖させ、該動物の腹水中に産生された抗体を回
収して、塩析、イオン交換クロマトグラフィーなどの操
作により精製すればよい。
【0019】次に、IL−2レセプターγ鎖に結合し、
IL−2応答を遮断する活性を有するモノクローナル抗
体のV領域からなるポリペプチドは以下のようにして作
成することができる。まず、IL−2レセプターγ鎖に
結合し、IL−2応答を遮断する活性を有するモノクロ
ーナル抗体産生ハイブリドーマクローンよりtotalRN
Aを抽出し、モノクローナル抗体のV領域をコードする
遺伝子(cDNA)を取得する。本発明者らはより迅速
に目的とするcDNAを取得する方法を鋭意工夫し、以
下の様な方法により抗体のV領域をコードするcDNA
を取得した。
【0020】すなわち、既に遺伝子の塩基配列が報告さ
れているマウスIgGのH鎖、及びL鎖の塩基配列を基
に、それぞれのV領域の遺伝子の5’端、及び3’端に
共通性の高い20〜30個の塩基配列を有するDNA分
子(プライマーDNA)4種類を考案する。以降、5’
側、3’側とはH鎖V領域遺伝子、及びL鎖V領域遺伝
子のセンスストランドを基準としている。5’側プライ
マーとは、センスストランド上の配列を有するDNA分
子であり、3’側のプライマーとはセンスストランドの
3’端に相補的な配列を有するDNA分子である。次に
考案したL鎖V領域5’側プライマーの5’端に、翻訳
開始コドンであるATG配列を付加し、H鎖の3’側プ
ライマーの3’端に翻訳終止コドンを付加する。もちろ
ん、H鎖V領域5’側プライマーの5’端にATG配列
を付加し、L鎖V領域3’側プライマーの3’端に終止
コドンを付加しても良い。終止コドンとしてはTAA,TAG,
TGAのいずれを用いても良い。尚、本発明の実施例にお
いては、終止コドンとしてTGAを用いた。なおH鎖及び
L鎖のそれぞれのプライマーDNAの5’端(ここでの
5’端とは3’側プライマーにおいては該プライマー分
子を基準としたときの5’端である)に、発現ベクター
に挿入するための適当な制限酵素サイトを導入してお
く。デザインしたプライマーDNAはDNA合成機など
を用いて化学合成する。
【0021】次に、得られたハイブリドーマより公知の
方法に従ってtotalRNAを抽出し、逆転写酵素と3’
側プライマーDNAを用いて一本鎖cDNAを作製し、
5’側プライマーDNA及び3’側プライマーDNAを
用い、Taqポリメラーゼによる Polymerase Chain React
ion法(PCR法、Science, 230巻, 1350頁, 1985年)
にて抗体のH鎖のV領域及びL鎖のV領域をコードする
DNA断片のみをそれぞれ選択的に増幅し取得する。
【0022】H鎖V領域をコードする遺伝子と、L鎖V
領域をコードする遺伝子とを大腸菌等で発現させ、機能
的な抗体V領域からなるポリペプチドを調製するには、
それぞれの遺伝子を2つのベクターに別個に組み込んで
発現させるか、又はそれぞれの遺伝子を1つのベクター
に同時に組み込んで発現させ、その後H鎖V領域からな
るポリペプチドとL鎖V領域からなるポリペプチドをア
ッセンブリさせてもよいが、その効率は極めて悪いこと
が知られている(Science, 240巻, 1038頁, 1988年)。
本来抗体は、H鎖とL鎖がSS架橋による共有結合で結
合して得られる分子が2つが組み合わさって構成されて
いる。すなわちダイマーの構造をしており、また各分子
のH鎖同士がSS結合を形成している。H鎖とL鎖のS
S架橋の位置はともに定常領域(以下、C領域と称す
る)上であり、H鎖V領域とL鎖V領域同士は非共有結
合で結合している。したがって、H鎖V領域からなるポ
リペプチドとL鎖V領域からなるポリペプチドをアッセ
ンブリさせて抗体V領域のみからなるポリペプチドを調
製する場合、両分子の会合は非共有結合のみに頼らなけ
ればならないため、機能的な分子の形成効率が悪いもの
と考えられる。しかし最近になって、H鎖V領域からな
るポリペプチドとL鎖V領域からなるポリペプチドをリ
ンカーを用いて連結させ、1本鎖の機能的な分子として
調製する技術が開発された(Science, 242巻, 423頁,19
88年)。本発明者らは当該技術を応用して、機能的でか
つ1本鎖の抗IL−2レセプターγ鎖抗体のV領域のみ
からなるポリペプチドを発現させることに成功した。
【0023】まず、プロモーター領域を含むDNA、リ
ボゾーム結合領域を含むDNA、ATG配列を付加した
5’側プライマーに導入した制限酵素サイトを含むDN
A、同鎖3’側プライマーに導入した制限酵素サイトを
含むDNA、抗体L鎖V領域と抗体H鎖V領域とをつな
ぐための適当な長さのリンカーペプチドをコードするD
NA、ATG配列を付加していない5’側プライマーに
導入した制限酵素サイトを含むDNA、同鎖3’側プラ
イマーに導入した制限酵素サイトを含むDNA、最後に
ターミネーター領域を含むDNAの順に上流より並べら
れているDNAを含有する発現ベクターを構築する。P
CRにより増幅したH鎖V領域をコードするDNAと、
L鎖V領域をコードするDNAのそれぞれを挿入する場
合、リンカーペプチドをコードするDNA及びV領域を
コードするDNAの翻訳がずれないように注意する。
【0024】さて、本発明においてプロモーターの由来
は問うところではなく、例えば大腸菌のtrpプロモータ
ー、tacプロモーター、trcプロモーター、lacプロモー
ターや、λファージのλPLプロモーター、λPRプロモ
ーター、さらには真核細胞のSV40プロモーター、Mo
loneyLTRプロモーター、CMVプロモーターなどを
用いることができる。リボゾーム結合領域は、例えば大
腸菌のtrpLやtrpE、lacZのリボゾーム結合領域や、
λファージのCII蛋白のリボゾーム結合領域を用いるこ
とができる。あるいは化学合成したDNA配列を用いる
ことができる。また、目的とするポリペプチドを大腸菌
体内に顆粒状として大量に蓄積させるために、リボゾー
ム結合領域を2つ以上としてもよい。
【0025】H鎖V領域からなるポリペプチドとL鎖V
領域からなるポリペプチドとを繋ぐためのリンカーペプ
チドの配列は、得られる抗体V領域からなるポリペプチ
ドが機能的である限りいかなる配列でもよいが、生体内
投与時の副作用を最小限とするためになるべく短く、独
自の構造を有しないような配列とした方が望ましい。タ
ーミネーターとしては、例えば大腸菌のtrpAターミネ
ーター、rrnBターミネーター、recAターミネーターなど
を用いることができる。また、発現プラスミドのコピー
数は一般的に多い方が好ましく、複製起点としてpBR系
の複製起点よりpUC系の複製起点を用いた方が望まし
い。
【0026】構築した発現ベクターにPCRにて増幅し
たH鎖V領域からなるポリペプチドをコードするDNA
及びL鎖V領域からなるポリペプチドをコードするDN
Aをそれぞれ挿入して組換えDNAを得る。挿入後、こ
の組換えDNAを通常の方法で宿主に導入し、そして組
換えDNA上の遺伝子を発現させれば良い。宿主として
は、原核生物及び真核生物の何れであってもよい。原核
生物の例としては、大腸菌、枯草菌などを挙げることが
できる。真核細胞は例えば酵母、CHO細胞などを用い
れば良い。好ましくは原核細胞、更に好ましくは大腸菌
を宿主として用いるのが良い。組換えDNAをこれらの
生物に組み込む方法も公知の方法を利用すればよく、例
えば大腸菌では、対数増殖期の細胞を50mMの塩化カ
ルシウムで氷中約30分処理することにより、大腸菌の
細胞壁の構造を変化させ、続いてプラスミドDNAを注
入し約10分後30℃〜42℃で2分間の熱処理を施し
た後、培地を加え30℃〜37℃で約60分培養するこ
とにより、組換えDNAを細胞に組み込むことができ
る。
【0027】目的とするIL−2レセプターγ鎖に対す
るモノクローナル抗体のV領域のみからなるポリペプチ
ドは、組換えDNAで形質転換された細胞を培養するこ
とによって当該細胞の体内あるいは培地中に蓄積させる
ことができる。培地は各細胞を培養しうるそれぞれの公
知の培地を利用すればよく、培養条件も公知の条件でよ
い。培養後は、目的とするモノクローナル抗体のV領域
のみからなるポリペプチドを公知の方法で取得すればよ
い。
【0028】IL−2レセプターγ鎖に結合し、IL−
2応答を遮断する活性を有するマウスモノクローナル抗
体のC領域をヒト抗体のC領域へと変換したポリペプチ
ド、またはマウスモノクローナル抗体の定常領域、及び
V領域の枠組み配列(以下、FRと称する)を各々ヒト
抗体のC領域、FRへと変換したポリペプチドは以下の
ようにして作成することができる。まず、抗体のH鎖、
あるいはL鎖のそれぞれのシグナルペプチドをコードす
る遺伝子の5’端塩基配列に相当する20〜30個の長
さのDNAを合成する。その際、合成されるDNAの
5’端に発現ベクターのプロモーター領域の下流への挿
入のための制限酵素サイトを導入しておく。続いて抗体
のH鎖、あるいはL鎖のそれぞれのV領域をコードする
遺伝子の3’端塩基配列の相補的配列に相当する20〜
30個の長さのDNAを合成する。同様に該DNAの
3’端に、ヒト抗体のC領域cDNAを結合させるため
の制限酵素サイトを配しておく。IL−2応答を遮断す
る活性を有するマウスモノクローナル抗体産生ハイブリ
ドーマより、常法に従ってtotalRNAを調製し、
リバーストランスクリプターゼ等を用いて一本鎖cDN
Aを調製後、合成したDNAをプライマーとしてPCR
反応を行い、抗体のH鎖、あるいはL鎖のそれぞれのシ
グナルペプチド及びV領域をコードするDNA断片を取
得する。
【0029】同様にヒト抗体のC領域遺伝子は、抗体を
合成しているヒトB細胞株やヒト形質細胞株よりtot
alRNAを調製して、リバーストランスクリプターゼ
等を用いてcDNAを調製後、あらかじめ合成した抗体
のH鎖、あるいはL鎖のそれぞれのC領域の5’端、及
び3’端の部分の塩基配列に相当するDNAをプライマ
ーとしてPCRすることにより得られる。その際、5’
側プライマーの5’端の外側には、抗体のH鎖、あるい
はL鎖のそれぞれのシグナルペプチド及びV領域をコー
ドするDNA断片を取得する際用いた3’側プライマー
に導入した制限酵素サイトと同じサイトを、また、3’
側プライマーの5’端の外側には、発現ベクターのプロ
モーター領域の下流への挿入のための制限酵素サイトを
配しておき、V領域3’端とC領域5’端の繋ぎ目は、
フレームがずれないようにデザインする。なお、調製す
る抗体のクラスあるいはサブクラスは、それぞれのクラ
スあるいはサブクラスの抗体を産生する細胞よりtot
alRNAを調製してC領域をコードするDNAを調製
することにより、使用目的に応じて自由に決定できる。
【0030】得られたマウス抗体のシグナルペプチドと
V領域とをコードするDNA断片と、ヒト抗体のC領域
をコードするDNA断片とを、それぞれに導入したサイ
トに当たる制限酵素によりそれぞれを切断した後、それ
ぞれを混合する。ついで、これらのDNAを制限酵素に
より切断された動物細胞で発現可能な発現ベクターに挿
入する。発現ベクターを切断するために用いられる制限
酵素は、マウス抗体のシグナルペプチドとV領域とをコ
ードするDNA断片と、ヒト抗体のC領域をコードする
DNA断片とにPCRプライマーに由来して導入される
制限酵素サイトに一致する切断面を生じるものである。
なお、マウス抗体のシグナルペプチドとV領域とをコー
ドするDNA断片がH鎖のそれをコードする場合には、
ヒト抗体H鎖のC領域をコードするDNA断片と混合し
て発現ベクターに挿入しなければならず、同様に、マウ
ス抗体のシグナルペプチドとV領域とをコードするDN
A断片がL鎖のそれをコードする場合には、ヒト抗体L
鎖のC領域をコードするDNA断片と混合して発現ベク
ターに挿入しなければならない。最終的に、マウス抗体
のシグナルペプチドとV領域とをコードするDNA断片
と、ヒト抗体のC領域をコードするDNA断片とが、発
現ベクターに正しい方向に挿入されているものをそれぞ
れ選択する。
【0031】調製したH鎖またはL鎖のマウス抗体のシ
グナルペプチド、V領域、及びヒト抗体のC領域をコー
ドする遺伝子を含むそれぞれの発現ベクターを通常の方
法により動物細胞に同時に導入する。発現させる宿主
は、動物細胞以外でもよいが、その場合は、それぞれの
宿主で発現可能なベクターを用いる。導入後、細胞をク
ローニングして、その培養上清中に産生されている抗体
のIL−2レセプターγ鎖に対する結合活性を測定する
ことにより、目的とするIL−2レセプターγ鎖に結合
し、IL−2応答を遮断する活性を有するマウスモノク
ローナル抗体のC領域をヒト抗体のC領域へと変換した
ポリペプチドを得ることができる。
【0032】マウスモノクローナル抗体のC領域、及び
V領域のFRを各々ヒト抗体のC領域、FRへと変換し
たポリペプチドは、以下のようにして調製できる(Medi
calImmunology、22巻、6号、628頁)。まず、調
製したマウスモノクローナル抗体のV領域をコードする
DNAから導きだしたアミノ酸配列と、既に知られてい
るヒトの抗体のV領域アミノ酸配列とのホモロジー検索
を行い、最もホモロジーの高い配列をH鎖、及びL鎖に
ついてそれぞれ選択する。次に、シグナルペプチドとV
領域のFR部分は選択したヒト抗体のアミノ酸配列とな
るように、またそれ以外のV領域はマウスモノクローナ
ル抗体のアミノ酸配列となるようにデザインして、その
ペプチドをコードするDNA断片をH鎖、及びL鎖につ
いてそれぞれデザインし合成する。その際、30〜40
個位の塩基の長さとなるようにDNA断片を分割し、そ
れぞれの繋ぎ目は5〜7程度重なるようにして、更に一
つおきに本来の配列の相補的配列となるように合成す
る。また、シグナルペプチドの5’端とV領域の3’端
の外側には、それぞれ発現ベクター、ヒトC領域と結合
させるための制限酵素サイトを配しておく。それらの合
成DNA断片を混合してPCR後、回収した抗体のH鎖
及びL鎖それぞれのシグナルペプチドとV領域をコード
するDNA断片を、導入した制限酵素サイトに当たる制
限酵素により切断する。上述のマウスモノクローナル抗
体のH鎖、及びL鎖のC領域をヒト抗体のC領域へと変
換したポリペプチドをそれぞれ発現するベクターより、
同様の制限酵素を用いてH鎖、及びL鎖のシグナルペプ
チドとV領域をコードするDNA断片をそれぞれ切断分
離し、調製したシグナルペプチドとV領域をコードする
DNA断片へとすげ替える。このようにして構築した組
換えDNAを上記と同様の方法により動物細胞へ導入
し、同様の方法で発現している細胞を選択することによ
り、目的とするIL−2レセプターγ鎖に結合し、IL
−2応答を遮断する活性を有するマウスモノクローナル
抗体のC領域、及びV領域のFRを各々ヒト抗体のC領
域、FRへと変換したポリペプチド得ることができる。
【0033】本発明のポリペプチドは、IL−2レセプ
ターγ鎖に特異的に結合して、IL−2の応答を遮断す
る活性を有しており、臓器移植時の拒絶反応の予防、自
己免疫疾患などの治療に対して有効なものである。ま
た、本発明のモノクローナル抗体は、ここで得られたハ
イブリドーマクローンの産生するモノクローナル抗体に
限定されるものではなく、IL−2レセプターγ鎖に結
合し、かつIL−2応答を遮断する活性を有する限り本
発明のモノクローナル抗体に含まれる。また、本モノク
ローナル抗体のC領域を公知の方法により、ヒトC領域
へと変換したキメラ抗体、更にV領域のFRをヒト化し
た抗体も、IL−2レセプターγ鎖に結合し、かつIL
−2応答を遮断する活性を有する限り本発明のモノクロ
ーナル抗体に含まれる。また、同じく本発明のポリペプ
チドの構造は、例えば配列表の配列番号1または2記載
の配列であるが、これらに限定されるものではなく、I
L−2レセプターγ鎖に結合し、かつIL−2応答を遮
断する活性を有する限り本発明のポリペプチドに含まれ
る。例えば、(1)配列番号1または2記載のポリペプ
チド構造中の1若しくは複数個のアミノ酸残基を他のア
ミノ酸残基に置換した構造を有するポリペプチド、
(2)配列番号1または2記載のポリペプチド構造中の
N末端及び/またはC末端より1若しくは複数個のアミ
ノ酸残基が欠損し、かつ連続しているアミノ酸配列を有
するポリペプチド、(3)配列番号1又は2記載のポリ
ペプチドのN末端及び/またはC末端に1若しくは複数
個のアミノ酸残基が付加された構造を有するポリペプチ
ド及び(4)配列番号1又は2記載のポリペプチド構造
中の1若しくは複数個のアミノ酸残基がアセチル化、ア
ミド化又はポリエチレン付加された構造を有するポリペ
プチド、等もIL−2レセプターγ鎖に結合し、IL−
2応答を遮断する活性を有する限り本発明のポリペプチ
ドに含まれる。特に、配列表の配列番号1及び2記載の
ポリペプチドのN末端のMetは微生物を用いて発現する
過程又は精製過程において切断され、その結果N末端が
Aspとなる場合がある。このポリペプチドも上記活性、
即ちヒトIL−2レセプターγ鎖に結合し、IL−2応
答を遮断する活性を有する。また、Metが結合した形
で生産させた後、アミノペプチダーゼ等の酵素でN末端
Metをはずしたものも上記活性を有する。更に、必要
により本発明のモノクローナル抗体、及びポリペプチド
に毒素を付加したものを用いても良い。
【0034】本発明の免疫抑制剤は上記モノクローナル
抗体、あるいはポリペプチドを0.1重量%〜100重量%、
好ましくは0.5重量%〜70重量%の割合で含有すればよ
い。したがって、本発明のモノクローナル抗体、あるい
はポリペプチドをそのまま投与してもよいし、また通常
製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。
製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ
本発明のモノクローナル抗体、あるいはポリペプチドと
反応しない物質が用いられる。注射剤の場合には、本発
明のモノクローナル抗体、あるいはポリペプチドを水に
溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水又は
ぶどう糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤、保存
剤、安定化剤又は賦形剤を含有させてもよい。また、こ
れらの製剤は治療上価値のある他の成分を含有していて
もよい。
【0035】本発明に係る免疫抑制剤の投与方法として
は、経口、注射、直腸内などいずれの方法を用いてもか
まわないが、注射による投与が好ましい。投与量は、投
与方法、患者の症状、年齢などにより異なるが、通常1
回0.001〜1000mg、好ましくは0.01〜10mgを1日当り1
〜3回投与すればよい。
【0036】以下本発明を実施例に基づいて更に詳細に
説明する。尚、本発明は実施例に限定されるものではな
い。
【0037】
【実施例】
(実施例1、細胞外領域のみからなるリコンビナントヒ
トIL−2レセプターγ鎖ポリペプチドの調製)細胞外
領域の3’端にstopコドンを持つIL−2レセプタ
ーγ鎖cDNAを調製するため、内部にNdeIサイト
を有するオリゴマー5'-GGACATATGCTGAACACGACAATTCTG-
3'(配列番号:3)と内部にHindIIIサイトを有す
るオリゴマー5'-GAAAAGCTTCTATTATGAAGTATTGCTCC-3'
(配列番号:4)をDNA合成機380Aにより合成し
た。両オリゴマーをプライマーとし、IL−2レセプタ
ーγ鎖分子のcDNAを含むプラスミド(本プラスミド
で形質転換された大腸菌は、通産省工業技術院生命工学
工業技術研究所に寄託番号FERM BP−4200と
して寄託されている)を鋳型としてサーマルサイクラー
を用い、TaqポリメラーゼによるPCR(変性94℃、
アニール55℃、合成72℃、20サイクル)を行っ
た。約0.7kbの増幅されたバンドを回収して、Nd
eIとHindIII(宝酒造社製)にて切断後、プラス
ミドpFv(TU27)−DE(本プラスミドで形質転
換された大腸菌は、通産省工業技術院生命工学工業技術
研究所に寄託番号FERM BP−3973として寄託
されている)をNdeIとHindIIIで切断し回収し
た大きな断片とライゲーションし、pIL−2RGSを
構築した(図1)。pIL−2RGSで形質転換された
大腸菌HB101をM9−カザミノ酸培地にて培養し、
大腸菌の菌体内に顆粒として発現させた。大腸菌を超音
波破砕し、3,000xgで遠心分離する事により顆粒
を分離した。更に、顆粒を6Mグアニジン塩酸にて溶解
した後、最終濃度が3,5Mグアニジン塩酸、30μM
還元型グルタチオン、3μM酸化型グルタチオン存在
下、蛋白濃度が50μg/mlの条件で、室温で一晩攪
拌することにより巻戻しを行い、150mMNaClを
含む10mMリン酸緩衝液(pH7,5)(以下、PB
Sと略す)に対して透析する事により、可溶性の細胞外
領域のみからなるリコンビナントヒトIL−2レセプタ
ーγ鎖ポリペプチドを調製した。
【0038】(実施例2、ハイブリドーマの調製)6〜
8週令の雌のBALB/cマウスに、細胞外領域のみからなる
リコンビナントヒトIL−2レセプターγ鎖ポリペプチ
ドを1匹あたり100μgずつフロインドの完全アジュ
バント(バクト社製)とともに皮下投与することにより
免疫した。3週間おきに同様の操作により2回追加免疫
し、マウスの眼窩静脈より採血して、後に述べる方法に
従って、細胞外領域のみからなるリコンビナントヒトI
L−2レセプターγ鎖ポリペプチドへの結合量を調べる
ことにより抗体価を測定した。抗体価の高かったマウス
を更に同様の操作にて最終免疫し、その3日後、脾臓を
摘出して脾臓細胞とマウス骨髄腫細胞(SP2/0-Ag14)と
を、50%ポリエチレングリコール#4000(ナカラ
イテスク社製)存在下にて、細胞数にして10:1の割
合で混合し細胞融合させた。融合細胞を、10%牛胎児
血清(ギブコ社製)を含むRPMI1640培地(ギブコ社製)
にて5X106個/mlとなるように懸濁し、1穴あた
り5X105個のマウス胸腺細胞を含有する96穴平底
プレート(コーニング社製)に100μlずつ分注し
た。1日、2日、3日、6日後に培地の半量をヒポキサ
ンチン、アミノプテリン、チミジンを含む培地(HAT
培地)と交換し、以後3日ごとに同様の操作を繰り返し
た。融合より約2週間後、融合した細胞(ハイブリドー
マ)の増殖してきた各穴の培養上清に含まれる抗体の、
Lγ細胞とLβ細胞への結合量を測定し、Lγ細胞にの
み結合するハイブリドーマを、限界希釈法にてクローン
化した。
【0039】更に同様の方法により、それぞれのハイブ
リドーマクローンの培養上清中の細胞への結合量を測定
して、抗IL−2レセプターγ鎖抗体産生ハイブリドー
マを得た。更に、得られた抗IL−2レセプターγ鎖抗
体産生ハイブリドーマの培養上清について、以下の方法
にてIL−2の生理活性の抑制能を調べた。10%牛胎
児血清(FCS)を含むRPMI1640培地にて2X105
/mlの濃度となるように懸濁したILT-Mat細胞液を1
穴当たり100μlずつ96穴平底マイクロプレートに
分注して、サンプルの培養上清を50μl加え、更に1
0%FCSを含むRPMI1640培地にて200u/mlに調
製したヒトリコンビナントIL−2溶液を50μlずつ
加えて、5%CO2存在下37℃にて48時間培養し
た。最後の4時間は1μCiの3H−チミジン(デュポ
ン社製)を加えて培養し、細胞内に取り込まれた放射活
性量をシンチレーシンカウンター(パッカード社製)に
て測定することにより、培養上清によるIL−2の生理
活性の阻害能を調べた。このような方法にてIL−2レ
セプターγ鎖分子に対する抗体を産生するハイブリドー
マを調製した。こうして得られたハイブリドーマとして
GP−2(FERMP−13576、BP−464
1)、GP−4(FERM P−13575、BP−4
640)、TUGh4(FERM P−14011、B
P−4642)、TUGh5(FERM P−1401
2、BP−4643)および、AG14(FERM B
P−4648)がある。ハイブリドーマGP−2が産生
する抗体をGP−2抗体と呼び、ハイブリドーマGP−
4が産生する抗体をGP−4抗体と呼ぶ。ハイブリドー
マTUGh4が産生する抗体をTUGh4抗体と呼び、
ハイブリドーマTUGh5が産生する抗体をTUGh5
抗体と呼ぶ。ハイブリドーマAG14が産生する抗体を
AG14抗体と呼ぶ。
【0040】(実施例3、抗体のV領域のみをコードす
るcDNAの調製)5X106個のハイブリドーマGP
−2、あるいはGP−4をPBSにて洗浄後、guanidine t
hiocyanate, N-lauryl sarcosine 及び EDTAを含むRN
A抽出用緩衝液(ファルマシア社製)に懸濁した。ハイ
ブリドーマ懸濁液をCesium Cloride溶液(ρ=1.51g/ml,
ファルマシア社製)が入ったチューブに重層し、12
5,000xgにて16時間遠心した。ハイブリドーマ
懸濁液とCesium Cloride溶液は等容量とした。上清を吸
い取ったのち、残部に1mM EDTAを含む10mMトリ
ス塩酸塩緩衝液(pH7.5)を加えて懸濁を行い、懸
濁液を新しいチューブに入れ、65℃で5分間インキュ
ベートした。これに、1/10容量の2M Potassium A
cetate(pH5.0)(ファルマシア社製)と3倍容量
のエタノール(ナカライテスク社製)を加えて、−20
℃で一晩放置した。5,000xgにて20分間の遠心
分離を行った後上清を捨て、得られた沈澱を80%エタ
ノールにて洗浄し、沈澱を乾燥させた。沈澱を1mM E
DTAを含む10mMトリス塩酸塩緩衝液(pH7.5)
にて溶解してtotalRNA画分溶液とした。
【0041】次に、totalRNA画分溶液に、抗体のH
鎖のV領域の3’側プライマー溶液(最終濃度で1μ
M)、L鎖のV領域の3’側プライマー溶液(最終濃度
で1μM)、deoxyNTP混合液、cDNA合成用緩衝液
(アマシャム社製)、RNAase Inhibitor(宝酒造社
製)、及びReverse Transcriptase(宝酒造社製)を加
えて42℃にて1時間反応させcDNAを合成した。得
られたcDNAに、抗体H鎖V領域のみをコードするc
DNAを増幅するために用いる5’側プライマー及び
3’側プライマー(それぞれ最終濃度1μM)、及び抗
体L鎖V領域のみをコードするcDNAを増幅するため
に用いる5’側プライマー及び3’側プライマー(それ
ぞれ最終濃度1μM)、deoxy NTP混合液、PCR用
緩衝液(シータス社製)及びTaq Polymerase(宝酒造社
製)を加えPCR(シータス社、サーマルサイクラー)
を行った。反応は変性30秒(94℃)、アニール30
秒(55℃)、プライマーイクステンション1分(72
℃)にて30サイクル行い、各サイクル毎にプライマー
イクステンションの時間を15秒ずつ延長させた。反応
後、1mM EDTAを含む40mMトリス酢酸緩衝液(p
H8.0)を用いてアガロースゲル電気泳動を行い、該
当するcDNAフラグメントを切り出し、ジーンクリー
ンキット(バイオ101社製)を用いて抽出・精製し
た。なお、cDNAの合成、及びPCRに用いたプライ
マーの配列を図2に示した(配列番号:5−8)。
【0042】(実施例4、発現ベクターの構築)図4に
示すように、まずpT13SNco(本プラスミドを含有する
E. coliAJ−12447は、FERM P−1
0757、BP−4635 として通産省工業技術院生
命工学工業技術研究所に寄託されている。)[J. Bioch
em.,104巻, 30頁, 1988年に記載]を制限酵素
ClaI及びBamHI(いずれも宝酒造社製)にて切
断して得られる大きいDNA断片と、図3に示された配
列を有するDNA断片(リンカー、配列番号9、1
0))とをT4DNAリガーゼ(宝酒造社製)を用いて
連結した。図3に示された配列を有するDNA断片はD
NA合成機で作成した。
【0043】次に、プラスミドpT13SNcoに由来するCl
aI−BamHI大断片と合成DNA断片を連結して得
られるプラスミドを制限酵素EcoRIとPvuII(い
ずれも宝酒造社製)にて切断し、小さいDNA断片(便
宜的にA断片と命名する)を得る。一方、pUC18
(Methods in Enzymology, 101巻, 20頁, 198
3年)を制限酵素HindIIIで切断し、T4DNAポ
リメラーゼ(宝酒造社製)を用いて切断面を平滑化し、
更にT4リガーゼを用いて自己連結させて、HindII
Iサイトを消失させる。HindIIIサイトが消失したp
UC18を制限酵素NdeIで切断し、T4DNAポリ
メラーゼ(宝酒造社製)を用いて切断面を平滑化し、更
にT4リガーゼを用いて自己連結させて、NdeIサイ
トを消失させる。HindIIIサイトとNdeIサイト
が消失したpUC18を、EcoRIとHincII(宝
酒造社製)にて切断して得られる大きいDNA断片と、
A断片とをT4リガーゼにて連結することにより、複製
起点をpUC系のものとするプラスミド pFv-DEを得た。
【0044】(実施例5、pFv-DEへの抗体V領域cDN
Aの組み込み、及びV領域のみからなる抗体生産菌の調
製)図5に示すように、まずpFv-DEを制限酵素NdeI
及びSalI(宝酒造社製)で切断して大きいDNA断
片を得た。この大きいDNA断片と、実施例3で得られ
たGP−2のL鎖V領域cDNAをNdeI及びSal
Iで切断した断片とをT4リガーゼを用いて連結した。
また、同様にして、大きいDNA断片と、実施例3で得
られたGP−4のL鎖V領域cDNAをNdeI及びS
alIで切断した断片とをT4リガーゼを用いて連結し
た。こうして得られた2種のプラスミドを、それぞれ制
限酵素XhoI及びHindIII(宝酒造社製)で切断
して大きいDNA断片をそれぞれ調製した。大きいDN
A断片のうちGP−2のL鎖V領域cDNAを含むもの
と、実施例3で得られたGP−2のH鎖V領域cDNA
をXhoI及びHindIIIで切断した断片とをT4リ
ガーゼを用いて連結した。また、同様にして、大きいD
NA断片のうちGP−4のL鎖V領域cDNAを含むも
のと、実施例3で得られたGP−4のH鎖V領域cDN
AをXhoI及びHindIIIで切断した断片とをT4
リガーゼを用いて連結した。こうして、V領域のみから
なる抗体を発現する2種のプラスミド、すなわちpFv(GP
-2)-DE 及び pFv(GP-4)-DE をそれぞれ取得した。続い
てそれぞれのプラスミドで大腸菌HB101株を形質転換
し、V領域のみからなる抗体を生産する株として、E. c
oli pFv(GP-2)-DE/HB101(AJ−12844, FER
M P−13607、BP−4636)、及び E. coli
pFv(GP-4)-DE/HB101(AJ−12845, FERM
P−13608、BP−4637)を得た。
【0045】(実施例6、V領域のみからなる抗体生産
菌より、生産物の取得)得られた形質転換株 E. coli
pFv(GP-2)-DE/HB101(AJ−12844、FERM P
−13607、BP−4636)及び E. coli pFv(GP-
4)-DE/HB101(AJ−12845, FERM P−1
3608、BP−4637)それぞれを、50μg/m
lのアンピシリンを含む2xTY[1.6%トリプト
ン、1%酵母エキス、(以上バクト社製)、0.5%Na
OH、pH7.0]5ml中で37℃の条件下で一晩生育
させた。ついで、その培養懸濁液5mlを100mlの
M9−カザミノ酸培地(0.6%Na2HPO4・12H2O、0.
3%KH2PO4、0.05%NaCl、0.1%NH4Cl、0.0
5%MgSO4・7H20、0.00147%CaCl2、0.2%グ
ルコース、0.2%カザミノ酸、0.02%L-ロイシ
ン、0.02%L-プロリン、0.0002%チアミン塩
酸塩、100μg/mlアンピシリン、pH6.9)へ
接種し、37℃にて3時間培養した。その後、終濃度が
25μg/mlとなるように3-インドールアクリル酸
(IAA)を添加し、更に37℃にて20時間誘導培養し
た。菌体懸濁液の一部を位相差顕微鏡により約1500
倍に拡大して観察すると、大腸菌体内に顆粒が形成され
ていることが認められた。
【0046】続いて上記の如く培養した菌体懸濁液を遠
心分離機にかけ菌体を集め、2倍濃縮となるように、3
0mM NaClを含む20mMTris-HCl緩衝液(pH7.
5)を添加して懸濁を行った。懸濁液に、1mg/ml
濃度のリゾチームを含む0.5M EDTA(pH8.0)
水溶液37.5mlを添加し、攪はんした後、氷中にて
1時間放置した。ついで超音波破砕で菌体を破壊し、6
000rpm,5分間の遠心分離を行うことにより顆粒
を回収した。この顆粒を6M塩酸グアニジン溶液中に可
溶化し、さらに溶液の濃度の調製を行って目的ポリペプ
チド濃度が100μg/mlとなるようにし、かつ塩酸
グアニジン濃度が3.5Mとなるようにした。その後、
これに酸化型グルタチオンと還元型グルタチオンを添加
し、それぞれの終濃度が3μMおよび30μMとなるよ
うにした。続いて、pHを8.0に調整した後、室温で
10〜16時間放置した。最後に、PBSを用いて透析
を行い、目的とするV領域のみからなる抗体を得た。得
られた2種の抗体をそれぞれポリペプチドFv(GP-2)及び
ポリペプチドFv(GP-4)と命名した。両ポリペプチドの分
子量をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により決
定した。その分子量は後述の実施例7に従って推定され
たアミノ酸配列から計算される値とそれぞれほぼ一致し
た。また、プロテインシークエンサーにてN末端側のア
ミノ酸配列を検定した。両ポリペプチドとも、後述の実
施例7で予想されたアミノ酸配列と同一の配列を有する
ことが確認された。
【0047】(実施例7、塩基配列の決定、及びアミノ
酸配列の推定)構築したV領域のみからなるポリペプチ
ドを発現するプラスミドpFv(GP-2)-DE、及びpFv(GP-4)-
DEをアルカリSDS法にて精製し、市販されているシー
クエンス用プライマーM4、あるいはRV(宝酒造社
製)を用い、7-DEAZAシークエンスキット(宝酒造社
製)にて塩基配列を決定した。得られた塩基配列よりア
ミノ酸配列配列を推定した。なお、配列表の配列番号1
にポリペプチドFv(GP-2)をコードするDNAの塩基配列
を示した。また、同塩基配列より推定されるアミノ酸配
列を併記した。配列表の配列番号2にポリペプチドFv(G
P-4)をコードするDNAの塩基配列を示した。また、同
塩基配列より推定されるアミノ酸配列を併記した。配列
表の配列番号1に示されるように、ポリペプチドFv(GP-
2)はN末端にMetを、C末端にSerを有する244個のア
ミノ酸からなるポリペプチドである。また、ポリペプチ
ドFv(GP-4)はN末端にMetを、C末端にSerを有する24
3個のアミノ酸からなるポリペプチドである。GP−2
が産生する抗体のL鎖V領域は配列表の配列番号1に示
されるアミノ酸配列のうち、2番目から109番目に至
る配列に当たり、H鎖V領域は124番目から244番
目に至る配列に当たる。GP−4が産生する抗体のL鎖
V領域は配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列の
うち、2番目から108番目に至る配列に当たり、H鎖
V領域は123番目から243番目に至る配列に当た
る。
【0048】(実施例8、抗体GP−2、抗体GP−
4、ポリペプチドFv(GP-2)、及びポリペプチドFv(GP-4)
の活性の検定)10%FCSを含むRPMI1640培
地にて2x105個/mlの濃度となるように懸濁したI
LT-Mat細胞液を96穴平底マイクロプレート上の各穴に
分注した。ILT-Mat細胞液の分注量は1穴当たり100
μlずつとした。そこに各サンプル溶液を添加した。添
加するサンプル溶液の容量は50μlであり、それぞれ
に含まれる抗体あるいはポリペプチドの量は、それぞれ
40μg/mlであった。37℃、30分間インキュベ
ートし、更に10%FCSを含むRPMI1640培地
を用いて種々の濃度に調製したヒトリコンビナントIL
−2溶液を50μlずつ加えて、5%CO2存在下37
℃にて48時間培養した。最後の4時間は1μCiの3
H−チミジン(デュポン社製)を加えて培養した。細胞
内に取り込まれた放射活性量をシンチレーションカウン
ター(パッカード社製)にて測定することにより、抗体
GP−2、抗体GP−4、ポリペプチドFv(GP-2)、及び
ポリペプチドFv(GP-4)の応答遮断能を調べた。その結果
図6に示す通り、抗体GP−2、抗体GP−4、ポリペ
プチドFv(GP-2)、及びポリペプチドFv(GP-4)は、それぞ
れILT-Mat細胞のIL−2応答を遮断する活性を有して
いることが明らかとなった。
【0049】(実施例9、抗IL−2レセプターα鎖抗
体、抗IL−2レセプターβ鎖抗体共存下における、モ
ノクローナル抗体GP−2のIL−2応答遮断活性の検
定)10%FCSを含むRPMI1640培地にて4x
105個/mlの濃度となるように懸濁したILT-Mat細胞
液を96穴平底マイクロプレート上の各穴に分注した。
ILT-Mat細胞液の分注量は1穴当たり100μlずつと
した。そこに各サンプル溶液を添加した。添加するサン
プル溶液の容量は50μlであり、それぞれに含まれる
抗体GP−2、抗IL−2レセプターα鎖抗体および抗
IL−2レセプターβ鎖抗体の量は、それぞれ40μg
/mlであった。37℃、30分間インキュベートし、
更に10%FCSを含むRPMI1640培地を用いて
種々の濃度に調製したヒトリコンビナントIL−2溶液
を50μlずつ加えて、5%CO2存在下37℃にて4
8時間培養した。最後の4時間は1μCiの3H−チミ
ジン(デュポン社製)を加えて培養した。細胞内に取り
込まれた放射活性量をシンチレーションカウンター(パ
ッカード社製)にて測定することにより、抗IL−2レ
セプターα鎖抗体及び/又は抗IL−2レセプターβ鎖
抗体と共存させた場合の抗体GP−2の応答遮断能を調
べた。その結果図7に示す通り、モノクローナル抗体G
P−2は、抗IL−2レセプターα鎖抗体及び/又は抗
IL−2レセプターβ鎖抗体を共存することにより、IL
T-Mat細胞のIL−2応答をより効果的に遮断すること
が明らかとなった。
【0050】(実施例10、抗体TUGh4、抗体TU
Gh5および抗体AG14の活性の検定)10%FCS
を含むRPMI1640培地にて2x105個/mlの
濃度となるように懸濁したILT-Mat細胞液を96穴平底
マイクロプレート上の各穴に分注した。ILT-Mat細胞液
の分注量は1穴当たり100μlずつとした。そこに各
サンプル溶液を添加した。添加するサンプル溶液の容量
は50μlであり、それぞれに含まれる抗体あるいはポ
リペプチドの量は、それぞれ40μg/mlであった。
37℃、30分間インキュベートし、更に10%FCS
を含むRPMI1640培地を用いて種々の濃度に調製
したヒトリコンビナントIL−2溶液を50μlずつ加
えて、5%CO2存在下37℃にて48時間培養した。
最後の4時間は1μCiの3H−チミジン(デュポン社
製)を加えて培養した。細胞内に取り込まれた放射活性
量をシンチレーションカウンター(パッカード社製)に
て測定することにより、抗体TUGh4、抗体TUGh
5および抗体AG14それぞれの応答遮断能を調べた。
その結果、抗体TUGh4、抗体TUGh5および抗体
AG14は、それぞれILT-Mat細胞のIL−2応答を遮
断する活性を有していることが明らかとなった。
【0051】(参考例、抗体TUGm2の活性の検定)
モノクローナル抗体TUGm2(実施例2の方法に準拠
してラットに免疫することにより作成した抗マウスIL
−2レセプターγ鎖抗体)及び/又は抗マウスIL−2
レセプターβ鎖抗体(TM−β1;ファーミンジェン社
製)を用いて、これらがCTLL細胞のIL−2応答性
を遮断するかどうかを調べた。10%FCSを含むRP
MI1640培地にて1x104個/mlの濃度となる
ように懸濁したCTLL−2細胞液を96穴平底マイク
ロプレート上の各穴に分注した。CTLL−2細胞液の
分注量は1穴当たり50μlずつとした。そこに各サン
プル溶液を添加した。添加するサンプル溶液の容量は5
0μlであり、それぞれに含まれる抗体の量は、それぞ
れ40μg/mlであった。37℃、30分間インキュ
ベートし、更に10%FCSを含むRPMI1640培
地を用いて種々の濃度に調製したヒトリコンビナントI
L−2溶液を50μlずつ加えた。最終的にそれぞれの
穴の中の溶液の容量が200μlとなるように10%F
CSを含むRPMI1640培地を添加した。次に、5
%CO2存在下37℃にて48時間培養した。最後の4
時間は1μCiの3H−チミジン(デュポン社製)を加
えて培養した。細胞内に取り込まれた放射活性量をシン
チレーションカウンター(パッカード社製)にて測定す
ることにより、モノクローナル抗体TUGm2及び/又
は抗マウスIL−2レセプターβ鎖抗体それぞれの応答
遮断能を調べた。その結果図8に示すとおり、モノクロ
ーナル抗体TUGm2は、抗マウスIL−2レセプター
β鎖抗体と共存させることにより、CTLL−2細胞の
IL−2応答を遮断することが明らかとなった。
【0052】
【発明の効果】本発明のヒトIL−2レセプターγ鎖に
特異的に結合して、ヒトIL−2レセプターγ鎖とIL
−2レセプターβ鎖との結合を選択的に阻害し、IL−
2応答を遮断する活性を有するポリペプチドは、単独、
あるいはIL−2のIL−2レセプターへの結合を阻害
する物質と併用することにより、IL−2の関与が示唆
されている臓器移植時の拒絶反応の予防、アレルギー性
疾患や自己免疫疾患などの炎症性疾患の治療薬として有
効な薬剤として利用し得る有用な物質である。
【0053】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:732 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置:1..732 配列 ATG GAC ATC CTG CTG ACC CAG TCT CCA TCA ATC ATG TCT GCA TCT CTA 48 Met Asp Ile Leu Leu Thr Gln Ser Pro Ser Ile Met Ser Ala Ser Leu 1 5 10 15 GGG GAA CGG GTC ACC ATG ACC TGC ACT GCC AGC TCA AGT GTA AGT TCC 96 Gly Glu Arg Val Thr Met Thr Cys Thr Ala Ser Ser Ser Val Ser Ser 20 25 30 AGT TAC TTG CAC TGG TAC CAG CAG AAG CCA GGA TCC TCC CCC AAA CTC 144 Ser Tyr Leu His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Ser Ser Pro Lys Leu 35 40 45 TGG ATT TAT AGC ACA TCC AAC CTG GCT TCT GGA GTC CCA GCT CGC TTC 192 Trp Ile Tyr Ser Thr Ser Asn Leu Ala Ser Gly Val Pro Ala Arg Phe 50 55 60 AGT GGC AGT GGG TCT GGG ACC TCT TAC TCT CTC ACA ATC AGC AGC ATG 240 Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Ser Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Ser Met 65 70 75 80 GAG GCT GAA GAT GCT GCC ACT TAT TAC TGC CAC CAG TAT CAT CGT TCC 288 Glu Ala Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys His Gln Tyr His Arg Ser 85 90 95 CCG CTC ACG TTC GGT GCT GGG ACC AAG CTG GAG CTC AAA GTC GAC AAA 336 Pro Leu Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Val Asp Lys 100 105 110 TCC TCA GGA TCT GGC TCC GAA TCC AAA AGC ACG CAG GTC AAA CTC GAG 384 Ser Ser Gly Ser Gly Ser Glu Ser Lys Ser Thr Gln Val Lys Leu Glu 115 120 125 GAG TCT GGA TCT GAG CTG GTG AGG CCT GGA GCT TCA GTG AAG CTG TCC 432 Glu Ser Gly Ser Glu Leu Val Arg Pro Gly Ala Ser Val Lys Leu Ser 130 135 140 TGC AAG GCT TCT GGC TAC ACA TTC ACC AGC TAC TGG ATG CAC TGG GTG 480 Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Ser Tyr Trp Met His Trp Val 145 150 155 160 AAG CAG AGG CAT GGA CAA GGC CTT GAG TGG ATT GGA AAT ATT TAT CCT 528 Lys Gln Arg His Gly Gln Gly Leu Glu Trp Ile Gly Asn Ile Tyr Pro 165 170 175 GGT AGT GGT AGT ACT AAC TAC GAT GAG AAG TTC AAG AGC AAG GCC ACA 576 Gly Ser Gly Ser Thr Asn Tyr Asp Glu Lys Phe Lys Ser Lys Ala Thr 180 185 190 CTG ACT GTA GAC ACA TCC TCC AGC ACA GCC TAC ATG CAC CTC AGC AGC 624 Leu Thr Val Asp Thr Ser Ser Ser Thr Ala Tyr Met His Leu Ser Ser 195 200 205 CTG ACA TCT GAG GAC TCT GCG GTC TAT TAC TGT ACA AGA AGC AGC CGG 672 Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Tyr Cys Thr Arg Ser Ser Arg 210 215 220 AAC TGG GTC TAC TAT GCT ATG GAC TAC TGG GGT CAA GGA ACC TCA GTC 720 Asn Trp Val Tyr Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Ser Val 225 230 235 240 ACC GTC TCC TCA 732 Thr Val Ser Ser
【0054】配列番号:2 配列の長さ:729 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置:1..729 配列 ATG GAT ATT CTG CTG ACA CAG TCT CCA
GCC TCC CTA TCT GCA TCT GTG 48 Met Asp Ile Leu Leu Thr Gln Ser Pro
Ala Ser Leu Ser Ala Ser Val 1 5
10 15 GGA GAA ACT GTC ACC ATC ACA TGT CGA
GCA AGT GGG AAT ATT CAC AAT 96 Gly Glu Thr Val Thr Ile Thr Cys Arg
Ala Ser Gly Asn Ile His Asn 20 25
30 TAT TTA GCA TGG TAT CAG CAG AAA CAG
GGA AAA TCT CCT CAG CTC CTG 144 Tyr Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Gln
Gly Lys Ser Pro Gln Leu Leu 35 40
45 GTC TAT AAT GCA AAA ACC TTA GCA GAT
GGT GTG CCA TCA AGG TTC AGT 192 Val Tyr Asn Ala Lys Thr Leu Ala Asp
Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser 50 55
60 GGC AGT GGA TCA GGA ACA CAA TAT TCT
CTC AAG ATC AAC AGC CTG CAG 240 Gly Ser Gly Ser Gly Thr Gln Tyr Ser
Leu Lys Ile Asn Ser Leu Gln 65 70
75 80 CCT GAA GAT TTT GGG AGT TAT TAC TGT
CAA CAT TTT TGG AGT ACT CCG 288 Pro Glu Asp Phe Gly Ser Tyr Tyr Cys
Gln His Phe Trp Ser Thr Pro 85
90 95 TGG ACG TTC GGT GGA GGG ACC AAG CTG
GAG CTC AAA GTC GAG AAA TCC 336 Trp Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu
Glu Leu Lys Val Asp Lys Ser 100 105
110 TCA GGA TCT GGC TCC GAA TCC AAA AGC
ACG CAG GTC AAA CTC GAG GAG 384 Ser Gly Ser Gly Ser Glu Ser Lys Ser
Thr Gln Val Lys Leu Glu Glu 115 120
125 TCT GGA CCT GAG CTG GTG AAG CCT GGG
GCT TCA GTG AAG ATA TCC TGC 432 Ser Gly Pro Glu Leu Val Lys Pro Gly
Ala Ser Val Lys Ile Ser Cys 130 135
140 AAG GCT TCT GGT TAC TCA TTC ACT GGC
TAC TAC ATG CAC TGG GTG AAG 480 Lys Ala Ser Gly Tyr Ser Phe Thr Gly
Tyr Tyr Met His Trp Val Lys 145 150
155 160 CAA AGC CAT GTA AAG AGC CTT GAG TGG
ATT GGA CGT ATT AAT CCT TAC 528 Gln Ser His Val Lys Ser Leu Glu Trp
Ile Gly Arg Ile Asn Pro Tyr 165
170 175 AAT GGT GCT ACT AGC TAC AAC CAG AAT
TTC AAG GAC AAG GCC AGC TTG 576 Asn Gly Ala Thr Ser Tyr Asn Gln Asn
Phe Lys Asp Lys Ala Ser Leu 180 185
190 ACT GTA GAT AAG TCC TCC AGC ACA GCC
TAC ATG GAG CTC CAC AGC CTG 624 Thr Val Asp Lys Ser Ser Ser Thr Ala
Tyr Met Glu Leu His Ser Leu 195 200
205 ACA TCT GAG GAC TCT GCA GTC TAT TAC
TGT GCA AGA GAG AAT TAC TAC 672 Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Tyr
Cys Ala Arg Glu Asn Tyr Tyr 210 215
220 GGT AGT AGC TAC GGG TTT GCT TAC TGG
GGC CAA GGG ACT CTG GTC ACT 720 Gly Ser Ser Tyr Gly Phe Ala Tyr Trp
Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr 225 230
235 240 GTC TCT GCA
729 Val Ser Ala
【0055】配列番号:3 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 GGACATATGC TGAACACGAC AATTCTG
27
【0056】配列番号:4 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 GAAAAGCTTC TATTATGAAG TATTGCTCC 29
【0057】配列番号:5 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 CAGGTSMARC TCGAGSAGTC WGG 23
【0058】配列番号:6 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 AAGCTTCATG AGGAGACGGT GACCGTGGTC CC 32
【0059】配列番号:7 配列の長さ:45 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 ACAGTCATAA TGTCCCATAT GGAYATYCWG MTGACMCAGT CTCCA 45
【0060】配列番号:8 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 GCATCGTCGA CTTTGAGCTC CAGCTTGGTC CC 32
【0061】配列番号:9 配列の長さ:87 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 CGATTAGTAA GGAGGTTTCA TATGTCGACA AATCCTCAGG ATCTGGCTCC GAATCCAAAA 60 GCACGCAGGT CAAACTCGAG AAGCTTG 87
【0062】配列番号:10 配列の長さ:89 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 配列 GATCCAAGCT TCTCGAGTTT GACCTGCGTG CTT
TTGGATT CGGAGCCAGA TCCTGAGGAT 60 TTGTCGACAT ATGAAACCTC CTTACTAAT
89
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドpIL-2RGSの構築工程を示す図面であ
る。
【図2】プライマーの配列を示す。
【図3】L鎖V領域とH鎖V領域をつなぐためのリンカ
ーのDNA配列を示す。
【図4】プラスミドpFv-DEの構築工程を示す図面であ
る。
【図5】プラスミドpFv(GP-2)、及びプラスミドpFv(GP-
4)の構築工程を示す図面である。
【図6】モノクローナル抗体GP−2、GP−4、Fv
(GP−2)、及びFv(GP−4)が、それぞれILT-
Mat細胞のIL−2依存的増殖を抑制する活性を有する
事を示す図面である。 ▲;コントロール抗体添加 ■;GP−2抗体添加 □;Fv(GP−2)添加 ●;GP−4添加 ○;Fv(GP−4)添加
【図7】モノクローナル抗体GP−2、及びGP−4
が、抗IL−2レセプターα鎖抗体(H31)、あるい
は抗IL−2レセプターβ鎖抗体(TU25)共存下
に、それぞれILT-Mat細胞のIL−2依存的増殖を抑制
する活性を有することを示す図面である。 ▲;コントロール抗体添加 ■;GP−2抗体添加 □;抗IL−2Rβ鎖抗体添加 △;抗IL−2Rβ鎖抗体+GP−2抗体添加 ○;抗IL−2Rα鎖抗体添加 ●;抗IL−2Rα鎖抗体+GP−2抗体添加 ◆;抗IL−2Rα鎖抗体+β鎖抗体+GP−2抗体添
【図8】モノクローナル抗体TUGm2が単独、あるい
は抗マウスIL−2レセプターβ鎖抗体と共存させた場
合に、それぞれがCTLL−2細胞のIL−2依存的増
殖を抑制する活性を有することを示す図面である。 ●;抗体なし(培地のみ) ○;抗体TUGm2添加 □;抗IL−2Rβ鎖抗体添加 ■;TUGm2+抗IL−2Rβ鎖抗体添加
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/13 ZNA // C12N 15/06 (C12P 21/08 C12R 1:19) (C12P 21/08 C12R 1:91) (C12N 1/21 C12R 1:19) (72)発明者 中澤 はるみ 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 金山 由佳 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 菅村 和夫 宮城県仙台市青葉区旭が丘1−27−8 (72)発明者 竹下 敏一 宮城県仙台市青葉区上杉4−4−32−302

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトインターロイキン2レセプターγ鎖
    に特異的に結合し、ヒトインターロイキン2の応答を遮
    断する活性を有するポリペプチド。
  2. 【請求項2】 ポリペプチドが、マウスモノクローナル
    抗体である請求項1記載のポリペプチド。
  3. 【請求項3】 モノクローナル抗体を産生する細胞が、
    GP−2又はGP−4である請求項2記載のモノクロー
    ナル抗体。
  4. 【請求項4】 モノクローナル抗体を産生する細胞が、
    TUGh4、TUGh5又はAG14である請求項2記
    載のモノクローナル抗体。
  5. 【請求項5】 ポリペプチドが、モノクローナル抗体の
    可変領域のみを含んでなる請求項1記載のポリペプチ
    ド。
  6. 【請求項6】 ポリペプチドが、配列番号1記載のアミ
    ノ酸配列を有するポリペプチドである請求項5記載のポ
    リペプチド。
  7. 【請求項7】 ポリペプチドが、配列番号2記載のアミ
    ノ酸配列を有するポリペプチドである請求項5記載のポ
    リペプチド。
  8. 【請求項8】 ポリペプチドが、配列番号1記載のアミ
    ノ酸配列のN末端Metが除かれたポリペプチドである
    請求項5記載のポリペプチド。
  9. 【請求項9】 ポリペプチドが、配列番号2記載のアミ
    ノ酸配列のN末端Metが除かれたポリペプチドである
    請求項5記載のポリペプチド。
  10. 【請求項10】 ポリペプチドが、(1)配列番号1記
    載のアミノ酸配列の一部を削除、(2)配列番号1記載
    のアミノ酸配列の一部を他のアミノ酸配列に置換、
    (3)配列番号1記載のアミノ酸配列にアミノ酸残基も
    しくはペプチドを付加、または(4)配列番号1記載の
    アミノ酸配列の一部をアセチル化、アミド化、もしくは
    ポリエチレングリコール付加したものである請求項5記
    載のポリペプチド。
  11. 【請求項11】 ポリペプチドが、(1)配列番号2記
    載のアミノ酸配列の一部を削除、(2)配列番号2記載
    のアミノ酸配列の一部を他のアミノ酸配列に置換、
    (3)配列番号2記載のアミノ酸配列にアミノ酸残基も
    しくはペプチドを付加、または(4)配列番号2記載の
    アミノ酸配列の一部をアセチル化、アミド化、もしくは
    ポリエチレングリコール付加したものである請求項5記
    載のポリペプチド。
  12. 【請求項12】 ポリペプチドが、マウスモノクローナ
    ル抗体の定常領域をヒト抗体の定常領域へと変換した請
    求項1記載のポリペプチド。
  13. 【請求項13】 ポリペプチドが、マウスモノクローナ
    ル抗体の定常領域、及び可変領域の枠組み配列を、各々
    ヒト抗体の定常領域と枠組み配列へと変換した請求項1
    記載のポリペプチド。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13記載のポリペプチ
    ドを含有してなる免疫抑制剤。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし13記載のポリペプチ
    ドと、抗ヒトインターロイキン2レセプターα鎖抗体、
    及び/又は抗ヒトインターロイキン2レセプターβ鎖抗
    体とを含有してなる請求項14記載の免疫抑制剤。
  16. 【請求項16】 請求項1ないし13記載のポリペプチ
    ドと、抗ヒトインターロイキン2レセプターα鎖抗体の
    可変領域を含むポリペプチド、該ポリペプチドの一部を
    削除したポリペプチド、該ポリペプチドの一部を他のア
    ミノ酸に置換したポリペプチド、もしくは該ポリペプチ
    ドの一部に他のアミノ酸残基、ポリペプチドあるいは他
    の物質を付加したポリペプチド、及び/又は抗ヒトイン
    ターロイキン2レセプターβ鎖抗体の可変領域を含むポ
    リペプチド、該ポリペプチドの一部を削除したポリペプ
    チド、該ポリペプチドの一部を他のアミノ酸に置換した
    ポリペプチド、もしくは該ポリペプチドの一部に他のア
    ミノ酸残基、ポリペプチドあるいは他の物質を付加した
    ポリペプチドとを含有してなる請求項14記載の免疫抑
    制剤。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし13記載のポリペプチ
    ドと、ヒト定常領域を有する抗ヒトインターロイキン2
    レセプターα鎖抗体、及び/又はヒト定常領域を有する
    抗ヒトインターロイキン2レセプターβ鎖抗体とを含有
    してなる請求項14記載の免疫抑制剤。
  18. 【請求項18】 請求項1ないし13記載のポリペプチ
    ドと、ヒト定常領域及びヒト可変領域の枠組み配列を有
    する抗ヒトインターロイキン2レセプターα鎖抗体、及
    び/又はヒト定常領域及びヒト可変領域の枠組み配列を
    有する抗ヒトインターロイキン2レセプターβ鎖抗体と
    を含有してなる請求項14記載の免疫抑制剤。
  19. 【請求項19】 請求項1ないし13記載のポリペプチ
    ドをコードするDNA。
  20. 【請求項20】 DNAが配列番号1記載の塩基配列を
    有する請求項19記載のDNA。
  21. 【請求項21】 DNAが配列番号2記載の塩基配列を
    有する請求項19記載のDNA。
  22. 【請求項22】 請求項19ないし21記載のDNAを
    有する組換えDNA。
  23. 【請求項23】 請求項22記載の組換えDNAを有す
    る形質転換体。
  24. 【請求項24】 形質転換体が大腸菌、または真核細胞
    である請求項23記載の形質転換体。
  25. 【請求項25】 請求項23または24記載の形質転換
    体を培養することにより、請求項1ないし13記載のポ
    リペプチドを生産させ、該ポリペプチドを取得すること
    を特徴とする該ポリペプチドの製造方法。
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