JPH0730881Y2 - 四サイクルエンジンのカムギヤ−トレイン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、四サイクルエンジンのカムギヤートレイン
に関する。

〔従来の技術とその問題点〕

四サイクルエンジンでは、クランク軸のドライブギヤー
で、複数のアイドラーギヤーを介してカム軸のカムギヤ
ーを駆動するものがある。クランク軸はクランクケース
に軸架してあり、カム軸はシリンダーヘッドに軸架す
る。そして、クランクケースとシリンダーヘッドの組立
てには、ガスケースを挟むので、軸間距離の精度が精密
に保てない。このため、アイドラーギヤーにシザーズギ
ヤーを用いて軸間距離を補正することが行われる。例え
ば特開昭61−282664号公報参照。シザーズギヤーは、大
き目のバックラッシュにした二枚のギヤーを合せて、位
相するようにバネで付勢し、ドライブギヤーを挟んで、
見かけ上のバックラッシュを零にするものであり、複雑
で製造コストが高くつく不都合があり、性能上にも不満
がある。

〔考案の目的〕

この考案は、クランク軸のドライブギヤーで、複数のア
イドラーギヤーを介してカム軸のカムギヤーを駆動する
もので、アイドラーギヤーを保持プレートに回転自在に
軸着し、保持プレートを揺動自在にして噛合具合を調節
ネジで調節でき、安価で静かな運転ができる四サイクル
エンジンのカムギヤートレインを得ることを目的とす
る。

〔考案の構成〕

以下、本考案を図面に示す実施例によって説明する。

第１図及び第２図は、本考案の一実施例を示すものであ
る。クランクケース１に軸架したクランク軸２のドライ
ブギヤー３に、二つのアイドラーギヤー４を介して、シ
リンダーヘッド５に軸架したカム軸６のカムギヤー７を
噛合せてカム軸６を駆動する。二つのアイドラーギヤー
４は、各ギヤー４の中心部に設けた支軸10を貫通するボ
ルト12、12aにより保持プレート８に、ベアリング９等
を介して回転自在に取付ける。保持プレート８は、上側
のアイドラーギヤー４と共軸で、シリンダーヘッド５
に、回動自在に軸着する。尚取付け精度を保つために、
摺動筒（ノックピン）11を用いて、ボルト12で締付けて
ある。下側のアイドラーギヤー４はドライブギヤー３に
噛合せ、保持プレート８の下部一側を、調節ネジ13で押
して、噛合具合を調節できる。調節ネジ13は、外側から
操作でき、ロックナット14で固定するようにしてある。

第３図は本考案の他の実施例を示すものである。この場
合は、保持プレート８と調節ネジ13の間に、サーモワッ
クス15が介在させてある。サーモワックス15は、温度上
昇すると内部のサーモワックス15が膨脹して、摺動ロッ
ド16を押出すようになっている。その他は第１図及び第
２図に示したものと同一である。

第４図は、保持プレート８の他の取付け方法を示すもの
である。この場合は、ノックピン11の代りに、摺動筒
（センターカラー）17を用いて、保持プレート８を回動
自在に軸着してある。

〔考案の作用〕

ドライブギヤー３は、二つのアイドラーギヤー４を介し
てカムギヤー７を駆動し、クランク軸２にカム軸６を従
動させ、カム軸６のカムの回転で、吸気弁及び排気弁を
開閉する。上側のアイドラーギヤー４は、取付け部分
が、カム軸６と同じシリンダーヘッド５で、精度高い軸
間距離にできる。下側のアイドラーギヤー４は、保持プ
レート８を調節ネジ13で押すことによって軸間距離を調
節でき、ギヤー音の発生の少ない噛合具合のよいところ
で調節ネジ13を固定する。クランクケース１等は、冷機
時に較べ、暖機したときは、温度上昇によって膨脹し、
軸間距離を長くする。この場合、サーモワックス15を用
いれば、温度上昇と共に、摺動ロッド16が押出され、保
持プレート８が、クランク軸２の軸芯側に押されて、軸
間距離の変化を補正できる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案は、クランク軸のドライ
ブギヤーで、複数のアイドラーギヤーを介してカム軸の
カムギヤーを駆動するものに於いて、複数のアイドラー
ギヤー４を噛合せた状態で、各ギヤー４の中心部に設け
た支軸10を貫通するボルト12、12aによって保持プレー
ト８に回転自在に軸着すると共に、アイドラーギヤー４
のうちカムギヤー７と噛合うアイドラーギヤー４を保持
プレート８に軸着したボルト12により、該保持プレート
８をシリンダーヘッド５に摺動筒11（17）を介して揺動
自在に軸着し、ドライブギヤー３とアイドラーギヤー４
の噛合具合を、調節ネジ13による保持プレート８の押圧
移動により行うようにしたので、保持プレートの揺動支
持機構が簡単になると共に、アイドラーギヤー及び保持
プレートのシリンダーヘッドへの取付け精度が向上す
る。また、軸間距離の誤差を保持プレートの揺動で補正
でき、ギヤー音の発生の少ない噛合位置にセットでき
る。そして、シザーズギヤーを用いるのに較べて、安価
に生産できる。又、調節ネジは、外側から操作できるの
で、エンジンを運転して、様子を見ながら調節できる利
点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示し、第１図は
正面図、第２図は拡大縦断面図、第３図は本考案の他の
実施例を示す正面図、第４図は本考案の他の保持プレー
トの軸着部分を示す縦断面図である。 ２…クランク軸、３…ドライブギヤー、４…アイドラー
ギヤー、６…カム軸、７…カムギヤー、８…保持プレー
ト、13…調節ネジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クランク軸（２）のドライブギヤー（３）
   で、複数のアイドラーギヤー（４）を介してカム軸
   （６）のカムギヤー（７）を駆動するものに於いて、複
   数のアイドラーギヤー（４）を噛合せた状態で、各ギヤ
   ー（４）の中心部に設けた支軸（10）を貫通するボルト
   （12、12a）によって保持プレート（８）に回転自在に
   軸着すると共に、アイドラーギヤー（４）のうちカムギ
   ヤー（７）と噛合うアイドラーギヤー（４）を保持プレ
   ート（８）に軸着したボルト（12）により、該保持プレ
   ート（８）をシリンダーヘッド（５）に摺動筒（11、1
   7）を介して揺動自在に軸着し、ドライブギヤー（３）
   とアイドラーギヤー（４）の噛合具合を、調節ネジ（1
   3）による保持プレート（８）の押圧移動により行うよ
   うにしたことを特徴とする四サイクルエンジンのカムギ
   ヤートレイン。