JPH07308682A - 汚染水中の溶存有機ハロゲン化合物の還元除去方法 - Google Patents

汚染水中の溶存有機ハロゲン化合物の還元除去方法

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JPH07308682A
JPH07308682A JP6125767A JP12576794A JPH07308682A JP H07308682 A JPH07308682 A JP H07308682A JP 6125767 A JP6125767 A JP 6125767A JP 12576794 A JP12576794 A JP 12576794A JP H07308682 A JPH07308682 A JP H07308682A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水中に含まれている微量の有機ハロゲン化合
物を金属表面に接触させて還元除去する際に、その有機
ハロゲン化合物除去率を長時間高い値に保つと共に水中
への金属イオン溶出を防止できる方法を提供すること。 【構成】 溶存有機ハロゲン化合物を含有する汚染水中
に水素を溶解させ、金属表面に接触させることを特徴と
する汚染水中の溶存有機ハロゲン化合物の還元除去方
法。溶存有機ハロゲン化合物を含有する汚染水と、電圧
を印加した金属表面とを接触させることを特徴とする汚
染水中の溶存有機ハロゲン化合物の還元除去方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微量の有機ハロゲン化
合物により汚染された汚染水からその有機ハロゲン化合
物を還元除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】加工組立工業では、機械加工等の際に使
われる油類を除くために、不燃性で溶解力が大きいトリ
クロルエチレン等の有機ハロゲン化合物が溶剤として大
量に使われてきた。しかし、有機ハロゲン化合物は毒性
を持つ上に環境にも悪影響があるから、該化合物の製造
や使用が規制されるようになり、油類除去用の溶剤とし
ての有機ハロゲン化合物を無毒性溶剤に転換する例が多
くなっている。しかしながら、これまでに製造された溶
剤用の有機ハロゲン化合物は膨大な量であり、使用後の
該化合物のかなりの部分が河川や土壌中に投棄されてき
た。そして、該化合物は安定で微生物によって分解する
ことも困難なので、自然環境内に投棄された該化合物の
大部分が分解されずに現在に至っている。従って、投棄
された有機ハロゲン化合物が河川水や地下水を汚染して
結果的に水道の原水を汚染し、有機ハロゲン化合物によ
る水道原水の汚染が大きな社会問題になっている。水へ
の有機ハロゲン化合物の溶解度は小さいが、生体内で肝
臓に蓄積されてガンの原因になったりするから、飲料水
中には極微量の混入も好ましくない。しかし、極微量混
入している有機ハロゲン化合物を低コストで完全除去す
るのは困難である。
【0003】本発明者らは、鉄表面と汚染水に溶存して
いる微量の有機ハロゲン化合物を接触させると、該化合
物の水中濃度が10〜500ppb程度であっても10
℃付近の低温で充分に除去できることを見出した〔工業
用水、No.357,P.2(1988)〕。しかし、
この方法の場合、鉄の表面が水中に溶解する酸素(溶存
酸素)で酸化されて不働態化するために、鉄表面による
有機ハロゲン化合物の還元除去率が低下するという問題
がある。従って、有機ハロゲン化合物の高い還元除去率
を長時間にわたって維持するためには、大量の鉄を必要
として経済的ではない。また、前記方法の場合、有機ハ
ロゲン化合物の除去時に鉄表面から鉄イオンが処理水中
に溶出する問題もある。この鉄イオンの溶出は、鉄の消
費量を増加させると共に処理水中に鉄イオンを3〜5p
pm程度蓄積させ、鉄イオンによる二次汚染を生じさせ
る恐れもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水中に含ま
れている微量の有機ハロゲン化合物を金属表面に接触さ
せて還元除去する方法において、その有機ハロゲン化合
物の除去率を長時間にわたって高い値で維持し、かつ水
中への金属イオンの溶出を効果的に防止し得る方法を提
供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、微量の有機ハロゲ
ン化合物を含有する汚染水に水素を溶解させ、この溶存
水素を含む汚染水を金属表面に接触させることにより、
或いは水素を溶存又は溶存していない汚染水を金属表面
に接触させる際に、該金属に電圧を印加することによ
り、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成
するに至った。すなわち、本発明によれば、溶存有機ハ
ロゲン化合物を含有する汚染水中に水素を溶解させ、金
属表面に接触させることを特徴とする汚染水中の溶存有
機ハロゲン化合物の還元除去方法が提供される。また、
本発明によれば、溶存有機ハロゲン化合物を含有する汚
染水と、電圧を印加した金属表面とを接触させることを
特徴とする汚染水中の溶存有機ハロゲン化合物の還元除
去方法が提供される。
【0006】本発明で処理される汚染水は、その有機ハ
ロゲン化合物濃度が通常20〜250ppb、特に20
〜110ppbの汚染水である。有機ハロゲン化合物と
しては、トリクロルエチレンやテトラクロルエチレン等
が挙げられる。汚染水は、水道原水、水道水或いは任意
の飲料水や工場排水等であることができる。本発明で用
いる金属としては金属鉄が好ましいが、鉄と同等の作用
を示すニッケルやコバルトも使用できるし、それらの合
金等も使用可能である。また、有機ハロゲン化合物の還
元除去反応が金属表面で起るから、金属は多孔質状の板
や粒子、又は微粒子状等の比表面積が大きい状態で使う
のが望ましい。本発明では、活性炭、アルミナ、シリカ
ゲル、チタニア、ジルコニア、マグネシア、シリカ−ア
ルミナ、ゼオライト等の多孔質担体に金属を担持させて
使うのが望ましい。
【0007】担体への金属の担持量は金属や担体の種類
で異なるが、通常は金属担持物に対して1〜10重量
%、好ましくは2〜8重量%である。金属担持量が過少
では表面活性の十分な金属担持物を得ることができず、
金属担持量が過大では担体表面の細孔が金属で閉塞され
るために金属担持物の比表面積が減少し、この場合にも
金属担持物の表面活性が低下する。金属担持物の平均粒
径は、0.5〜5mm、好ましくは0.6〜1mmであ
る。
【0008】多孔質担体に金属を担持させる方法として
は、以下の方法が例示される。 (1)含浸法:水中に懸濁した担体を激しく撹拌しなが
ら硝酸第1鉄水溶液を加えて担体に均一に溶液を含浸さ
せ、これをゆっくりと乾燥してから焼成する。 (2)共沈法:硫酸アルミニウムと硝酸第1鉄の混合水
溶液中に、アルカリを徐々に添加して水酸化鉄と水酸化
アルミニウムの共沈物を作り、この共沈物を濾過水洗し
てから乾燥焼成する。 (3)沈着法:水ガラスの希薄水溶液にアルカリを添加
して沈澱を作り、この沈澱を激しく撹拌しながら硝酸第
1鉄水溶液を加える。この操作により水ガラスの沈殿
(ケイ酸ソーダ)の表面に水酸化鉄の沈殿が沈着する。 本発明で好ましく用いられる金属担持物は、活性炭に金
属鉄を担持させたものである。この場合、金属鉄の担持
量は金属鉄担持物重量の1〜5重量%、好ましくは2〜
4重量%である。また、金属鉄担持物の比表面積は55
0〜900m2/g、好ましくは700〜900m2/gで
あり、その細孔直径は27〜40Å、好ましくは30〜
40Åである。
【0009】以下、本発明の方法について詳述する。 (第1の方法)本発明の第1の方法は、汚染水に水素を
溶解させて金属表面に接触させる方法である。この場合
の接触温度は、5〜25℃、好ましくは10〜20℃で
ある。この方法では、水素は汚染水に対してあらかじめ
溶解させることができるし、汚染水と金属との接触系で
溶解させることもできる。汚染水中の水素の溶存量は、
汚染水中に含まれる溶存酸素1モルに対して1.5モル
以上、好ましくは2モル以上、より好ましくは2.5モ
ル以上であるが、一般的には汚染水1m3当り1g以
上、好ましくは1.25g以上、より好ましくは1.2
5〜1.5gの割合で溶解させればよい。汚染水に対す
る水素の溶解方法としては、汚染水中に加圧水素をガス
分散ノズルを介して噴出させる方法や塔内において加圧
水素と汚染水を向流接触させる方法、汚染水からその一
部を抜出し、これに水素を溶解させた後、これを汚染水
に循環混合させる方法等を採用することができる。
【0010】前記のようにして水素を汚染水中に溶存さ
せることにより、汚染水中に溶存する酸素やその他の酸
化性物質の少なくとも一部が水素と反応し、金属に対し
て非反応性物質に変換される。これにより、溶存酸素や
酸化性物質による金属の不働態化が防止される。また、
汚染水中の溶存水素は有機ハロゲン化合物と金属との接
触下における金属の溶出を防止する作用をも示す。本発
明の方法は、バッチ方式及び流通方式のいずれの方式で
も実施可能であり、バッチ方式により実施する場合は反
応器中に金属と汚染水を入れて撹拌すればよい。一方、
本発明を流通方式で実施する場合には、固定床方式、沸
騰床方式及び懸濁床方式等で実施することができるが、
好ましくは固定床方式が採用される。これらの方式に用
いる金属の粒径は、それらの方式に応じて適宜定めれば
よい。本発明を固定床方式で実施する場合、汚染水の液
空間速度(LHSV)は、4〜8.5hr-1、好ましく
は4〜5.7hr-1である。
【0011】(第2の方法)第2の方法は、電圧を印加
した金属表面に汚染水を接触させる方法である。この場
合、接触温度としては5〜25℃、好ましくは10〜2
0℃の温度が採用される。本発明の方法は、バッチ方式
及び流通方式のいずれの方式によっても実施可能であ
る。金属に対する電圧の印加方法としては、反応器内に
充填した金属に電圧を印加し得る方法であればどのよう
な方法でも採用することができる。この場合、電圧の印
加方向は水平方向や垂直方向であることができる。例え
ば、反応器として容器状のものを用いる場合、その中心
部に棒状電極を配設してこれを陽極として用いると共に
容器内壁を陰極として用い、それらの電極間に電圧を印
加すればよい。また、筒体状反応器の内部に金属を充填
して用いる場合、その充填層の両端面に通液孔を有する
板状電極を圧接し、それらの電極間に電圧を印加するか
又は充填層の中心部に棒状電極を挿通してこれを陽極と
すると共に筒体内壁を陰極とし、それらの電極間に電圧
を印加すればよい。印加電圧は、陽極と陰極間の距離1
cm当りの電圧で0.2〜0.7V、好ましくは0.5
〜0.7Vである。電圧としては、一般に直流電圧が用
いられる。
【0012】前記のようにして金属に電圧を印加するこ
とにより、汚染水中に溶存する酸素や酸化性物質の金属
表面への反応が防止されると共に、金属の溶出を防止す
ることができる。また、この第2の方法は第1の方法と
組合せて実施するのが好ましい。すなわち、汚染水中に
水素を溶解させ、この溶存水素を含む汚染水を電圧を印
加した金属に接触させることが好ましい。この場合、汚
染水に溶存させる水素量は前記第1の方法の場合よりも
少なくてもよく、一般に汚染水1m3当り0.2〜0.
9g、好ましくは0.4〜0.5gである。
【0013】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。
【0014】参考例1 平均粒径:3.6mm、平均細孔直径:44Å、比表面
積:970m2/g、細孔容積:1.07ml/gの活性
炭(商品名:白鷺L、武田薬品社製)に対して、金属鉄
を以下のようにして担持させた。予め粉砕して所定粒度
にした活性炭20gを、100ml中にFeを1g含む
硝酸第1鉄水溶液中に浸漬し、20℃で乾燥させる。次
に、これをアルゴン気流中100℃で乾燥してからアル
ゴン中に水素ガスを10%添加して250℃で4時間還
元する。最後に、水素100%の気流中で400℃、1
時間還元した。前記のようにして得られた鉄担持活性炭
は、金属鉄を9.1重量%含有するもので、その見掛密
度は0.71g/mlであり、その平均細孔直径は27
Å、比表面積は540m2/g、細孔容積は0.4ml/
gであった。
【0015】実施例1〜4、比較例1 参考例1で得た鉄担持活性炭2.4mlを、内径1.1
cm、高さ15cmのガラス管に充填して高さ2.5c
mの充填層を形成し、その充填層の下端面及び上端面に
炭素繊維布からなる電極を圧接させた。このガラス管を
垂直に立て、その上端部から、あらかじめ水素を溶解さ
せた又は溶解させていない、トリクロルエチレンを14
5ppb含有する10℃の水を流速320ml/日で通
水させ、ガラス管下部から流出する処理水中に含まれる
鉄イオン量及びトリクロルエチレン量を測定した。その
結果を表1に示す。また、前記実験において、充填層の
両端に圧接した電極間に電圧を1cm当りの電圧が0.
6Vになるように(すなわち、電極間電圧:1.5V)
印加した。この場合の処理水中の鉄イオン量及びトリク
ロルエチレン量を表1に併記する。
【0016】
【表1】
【0017】実施例5 参考例1と同じ方法で、鉄担持量が1重量%、2重量
%、4重量%及び7重量%の鉄担持活性炭を調製した。
前記の鉄担持活性炭を用いた以外は実施例1と同様にし
て実験を行った。この場合、汚染水には、あらかじめ水
素ガスを汚染水1m3当り0.45g溶解させた。ま
た、この実験では電圧を印加しなかった。前記実験にお
いて、通水開始後1日、15日及び30日の時点で処理
水中のトリクロルエチレン量を調べ表2の結果を得た。
【0018】
【表2】 *)鉄担持活性炭は、反応管に充てんする前にトリクロル
エチレン飽和水500ml中に浸漬した。
【0019】実施例6〜9 実施例1〜4において、平均粒径0.25mmの還元鉄
を用いた以外は同様にして実験を行った。その結果を表
3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、有機ハロゲン化合物を
微量含有する汚染水からそれに含まれる有機ハロゲン化
合物を長期間安定して還元除去することができる上に、
処理水中への金属の溶出を防止することができる。従っ
て、本発明は経済性に優れると共に二次汚染を生じるこ
とがなく、その産業的意義は多大である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶存有機ハロゲン化合物を含有する汚染
    水中に水素を溶解させ、金属表面に接触させることを特
    徴とする汚染水中の溶存有機ハロゲン化合物の還元除去
    方法。
  2. 【請求項2】 溶存有機ハロゲン化合物を含有する汚染
    水と、電圧を印加した金属表面とを接触させることを特
    徴とする汚染水中の溶存有機ハロゲン化合物の還元除去
    方法。
  3. 【請求項3】 金属が鉄であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載した溶存有機ハロゲン化合物の還元除去
    方法。
  4. 【請求項4】 鉄が多孔質担体に担持されていることを
    特徴とする請求項3に記載した溶存有機ハロゲン化合物
    の還元除去方法。
  5. 【請求項5】 汚染水に水素を溶解させる請求項2に記
    載した溶存有機ハロゲン化合物の還元除去方法。
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