JPH07308553A - 膜分離装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】膜エレメントを原液槽内に浸漬・配設し、膜間
差圧を濾過液側の減圧により得る方式の膜分離装置にお
いて、原液流速を膜損傷の発生なく安全に高速化し得
て、ケ−ク層の生成を効果的に防止しつつ高濾過流束を
保証できる膜分離装置を提供する。 【構成】内側を濾過液側とする袋状膜部材１の縁端部の
近傍に孔１３を設け、複数枚の袋状膜部材１をこの孔１
３において、濾過液集水管２１にその膜部材相互間に所
定の間隔を隔てて挿着し、各膜部材１の濾過液流路を濾
過液集水管２１内に該集水管の管壁に設けた通水孔２１
２により連通してなる膜エレメント２を、原液流動手段
を有する原液槽５１内に配設し、上記膜エレメント２の
袋状膜部材１の濾過液側を減圧するための減圧手段５２
を濾過液配管に設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、膜分離装置、更に詳し
くは、濾過液側の減圧により膜間差圧を得る膜エレメン
トを開放型の原液槽内に浸漬・配設した膜分離装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】原液を限外濾過膜や精密濾過膜を使用し
て分離処理する膜分離装置として、膜エレメントを開放
型（非密閉型）の原液槽内に浸漬・配設し、膜エレメン
トの濾過液側を減圧することにより膜間差圧を得、この
膜間差圧のもとで濾過を行う方式が公知であり、原液側
を加圧する必要がなく、家庭排水や工場排水等の浄化
等、広範囲の分野での利用が検討されている。

【０００３】かかる濾過液側減圧方式による膜分離装置
の一形式として、円形の剛性支持板の両面に膜を添設
し、膜と支持板との間に濾過液流路を設けたディスク型
膜部材の中央に孔を設け、複数枚のディスク型膜部材を
その孔において、濾過液集水管にその膜部材相互間に所
定の間隔を隔てて挿着し、各膜部材の濾過液流路を濾過
液集水管内に該集水管の管壁に設けた通水孔により連通
してなる膜エレメントの濾過液集水管を開放型の原液槽
内に軸回転可能に軸支し、その濾過液集水管を電動機に
トルク伝達手段を介して連結し、同濾過液集水管に回転
継手を介して減圧ポンプを備えた濾過液側配管に接続し
たものが公知である。

【０００４】この膜分離装置を使用して原液を処理する
には、減圧ポンプの駆動により膜エレメントの濾過液側
を減圧して膜間差圧を得、電動機の駆動により膜エレメ
ントを回転させることにより原液を膜に対し相対的に流
動させて膜面での原液中固形分の堆積を防止しつつ（ケ
−ク層の生成を防止しつつ）、原液を濾過している。

【０００５】上記濾過液側減圧方式による膜分離装置の
他の形式として、膜間に濾過液流路を有する平型膜部材
の両縁端に濾過液集水管を取付け（濾過液集水管に軸方
向スリットを設け、このスリットに平型膜部材の縁端部
を差し込み、接着剤でシ−ルしている）、これを複数枚
並設し、フレ−ムで一体とした膜エレメントを開放型の
原液槽内に配設し、膜エレメントの全ての濾過液集水管
を減圧ポンプを備えた濾過液側配管に接続し、原液槽内
に原液を流動させるための散気装置を配設するか、また
は、原液槽内原液を流動させるためのポンプを備えた原
液循環回路を原液槽に接続したものも公知である。

【０００６】この膜分離装置を使用しての原液の処理に
おいては、前記した膜エレメントの回転駆動に代え、散
気装置または循環ポンプにより膜面に接触する原液を常
に流動させて、膜面でのケ−ク層の生成を防止してい
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
膜分離装置中、膜エレメントを回動させる方式では、回
転膜エレメントの濾過液集水管を濾過液配管に連通する
回転継手のシ−ル性能上、濾過液集水管の回転速度、従
って膜エレメントの回転速度が制約され、また、濾過液
集水管に回転モ−メントが作用し、濾過液集水管の捩じ
れ強度上からも、回転速度が制約され、更に、膜エレメ
ントのディスク型膜部材の内周側の周速が低速度である
等が原因して、懸濁質濃度の高い原液に対しては、ケ−
ク層の生成を満足に防止し難い。

【０００８】他方、槽内原液を散気装置または循環ポン
プにより流動させる方式では、膜エレメントが静止固定
であり、上記膜エレメントを回転させる方式での不利は
ないが、膜部材と袋状膜部材との間のシ−ルを接着剤に
頼らざるを得ず、膜部材を煽って揺動させるような原液
の高速流動のもとでは、その接着剤シ−ル箇所の応力集
中による剥離が生じ易く、特に、膜間縁端部の接着封止
箇所が濾過液集水管のスリットと交差していて、この交
差箇所での前記応力集中によりその膜間縁端部の接着封
止箇所が剥離し易く、結局は、槽内での原液流速が膜部
材を煽ることのない低速に制限され、この方式の膜分離
装置においても、懸濁質濃度の高い原液に対しては、ケ
−ク層の生成を満足に防止し難い。

【０００９】本発明の目的は、膜エレメントを原液槽内
に浸漬・配設し、膜間差圧を濾過液側の減圧による方式
の膜分離装置において、原液流速を膜損傷の発生なく安
全に高速化し得て、ケ−ク層の生成を効果的に防止しつ
つ高濾過流束を保証できる膜分離装置を提供することに
ある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明に係る膜分離装置
は、内側を濾過液側とする袋状膜部材の縁端部の近傍に
孔を設け、複数枚の袋状膜部材をこの孔において、濾過
液集水管にその膜部材相互間に所定の間隔を隔てて挿着
し、各膜部材の濾過液流路を濾過液集水管内に該集水管
の管壁に設けた通水孔により連通してなる膜エレメント
を、原液流動手段を有する原液槽内に配設し、上記膜エ
レメントの袋状膜部材の濾過液側を減圧するための減圧
手段を濾過液配管に設けたことを特徴とする構成であ
り、膜エレメントの袋状膜部材間にパッキンが介在され
てシ−ル性が確保され、また、必要に応じ、濾過液通路
溝を有するスペ−サが袋状膜部材の孔周囲の濾過液流路
部分に装着される。

【００１１】

【作用】図２に示すように、濾過液集水管２１に挿通し
た袋状膜部材１の相互間にパッキン２２を介在させ、こ
のパッキン２２を圧縮すれば、袋状膜部材１内の濾過液
流路と濾過液集水管２１内とを濾過液集水管２１の管壁
の孔２１２を通して連通でき、かつ、原液に対する確実
なシ−ルを保証できる。かかる構成のもとでは、パッキ
ン２２の弾性のために、袋状膜部材１と濾過液集水管２
１との結着箇所での応力集中がよく防止され、膜損傷を
回避できる。

【００１２】そして、袋状膜部材１が縁端部の近傍で濾
過液集水管２１に結着支持されており、袋状膜部材１が
力学的に片持ち支持梁の状態で原液の流動に伴い曲げモ
−メントを受けて撓まされ、その撓み量が中央点で支持
される場合に較べ、充分に大きくされ、袋状膜部材１を
膜を損傷させることなく大きく揺動させ得る。従って、
膜面でのケ−ク層の生成が効果的に防止され、濾過流束
を高くできる。

【００１３】

【実施例】図１は本発明において使用する袋状膜部材１
の一例を示す説明図であり、２枚の平膜１１，１１（限
外濾過膜、精密濾過膜）間に濾過液流路部材１２（例え
ば、プラスチックネット、プラスチック不織布、トリコ
ット布等）を挾み、４方の縁端部を膜同志の融着または
接着剤により封止してある（形状は、膜の裁断ロスを排
除する等のために、通常、四角形とされるが、円形、楕
円形とすることも可能である）。

【００１４】図２は本発明において使用する膜エレメン
ト２の一例を示す説明図である。図２において、２１は
濾過液集水管であり、一端を端板部２１１で閉塞したプ
ラスチック管２０の一端部側の管壁に通水孔２１２，…
を穿設し、他端部側に螺子溝２１３を切削してある。
１，…は上記した袋状膜部材を、２２，…はゴム製の環
状パッキンを、２３は押え板を、２４はナットをそれぞ
れ示し、袋状膜部材１，…には図１に示すように、縁端
部の近傍に濾過液集水管挿通用孔１３（通常、円形孔と
されるが、楕円形や角形孔とすることも可能である）を
設け、そして、図２に示すように、パッキン２２と袋状
膜部材１とを濾過液集水管２１に交互に挿通し、最終的
に押え板２３を挿通し、ナット２４の締め付けによりパ
ッキン２２，…を圧縮してある。

【００１５】上記において濾過液集水管２１の通水孔２
１２，…は、端板部２１１から押え板２３配置箇所まで
の管部分に、袋状膜部材１，１相互の配設間隔よりも充
分に狭い間隔で多数箇、穿設してあり、上記パッキン２
２，…の圧縮により、袋状膜部材１内の濾過液流路と濾
過液集水管２１内とが通水孔２１２を通して連通され、
かつ、原液に対する確実なシ−ルが確保されている。

【００１６】上記において、環状パッキン２２は袋状膜
部材１，１間の間隔を設定するスペ−サとしても機能
し、環状パッキン２２の厚みは、１ｍｍ〜１０ｍｍとさ
れている。

【００１７】上記において、袋状膜部材１，１間の密着
を防止するために、図３に示すように、袋状膜部材１，
１間に原液流路材３、例えば、開口率の大なるプラスチ
ックネットを介在させることもできる。

【００１８】上記において、パッキン２２の圧縮力によ
り袋状膜部材１の孔周囲の濾過液流路が圧潰されるのを
防止するために、図４に示すように、濾過液通路溝４１
を有する合掌型スペ−サ４（例えば、プラスチック製）
を袋状膜部材１の孔１３周囲の濾過液流路に装着し、ス
ペ−サ片の濾過液通路溝面で濾過液流路材１２を挾持す
ることが好ましい。

【００１９】図５は本発明に係る膜分離装置の実施例を
示す説明図であり、上記の膜エレメント２を開放型の原
液槽５１（開放型の原液槽とは、内圧保持のための気密
構造を備えていないものを称し、落下防止等のための蓋
を載置したものを含むことは云うまでもない）内に、濾
過液集水管２１を水平にして浸漬・配設し、膜エレメン
ト２の濾過液集水管２１に減圧ポンプ５２を接続し、膜
エレメント２の直下に散気装置（有孔管）５３を設置
し、散気装置５３にブロア（図示されていない）を接続
してある。

【００２０】この膜分離装置においては、散気装置５３
からの噴出エアにより上昇する気液混合流が膜エレメン
ト２の袋状膜部材１，１間を高速で通過すると共にその
気液混合流で袋状膜部材１が煽られて袋状膜部材１が濾
過液集水管２１による支持点を支点として揺動される。
この場合、袋状膜部材１が縁端部の近傍で濾過液集水管
２１に結着支持されており、力学的に片持ち支持梁の状
態で原液の流動に伴い曲げモ−メントを受けて撓まされ
るから、その撓み量は大であり、袋状膜部材１を大きく
揺動させ得て、膜面への固形物の堆積を効果的に防止で
きる。

【００２１】図６は本発明に係る膜分離装置の別実施例
を示す説明図であり、５１は循環ポンプを有する原液循
環回路（図示されていない）により原液が入口５１１か
ら出口５１２に向け流動される原液流水槽を示し、この
流水槽５１に上記の膜エレメント２を、濾過液集水管２
１を上流側に垂直に位置させるようにして、浸漬・配設
し、膜エレメント２の濾過液集水管２１に減圧ポンプ５
２を接続してある。

【００２２】この膜分離装置においても、原液流によ
り、袋状膜部材１，…が煽られて袋状膜部材１，…が濾
過液集水管２１による支持点を支点として揺動され、こ
の場合も、袋状膜部材１が力学的に片持ち支持梁の状態
で原液の流動に伴い曲げモ−メントを受けて撓まされる
から、その撓み量は大であり、袋状膜部材１，…を大き
く揺動させ得て、膜面への固形物の堆積を効果的に防止
できる。なお、上記の実施例においては、濾過液集水管
による袋状膜部材の縁端近傍での支持を一箇所において
行っているが、袋状膜部材の巾に応じ同縁端近傍の２箇
所以上で支持することも可能である。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、膜エレメントを原液槽
内に浸漬・配設し、膜エレメントの濾過液側を減圧する
ことにより膜間差圧を得る膜分離装置において、膜部材
が原液流により煽られて揺動しても膜を損傷なく安定に
保持でき、かつ、その煽りによる揺動振幅を大きくなし
得る片持ち支持状態で膜部材を濾過液集水管に支持して
いるから、膜面でのケ−ク層の生成を原液流による膜部
材の揺動で効果的に防止でき、懸濁質濃度の高い原液で
も高濾過流束を保証できる膜分離装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明において使用される袋状膜部材の一例を
示す説明図である。

【図２】本発明において使用される膜エレメントの一例
を示す説明図である。

【図３】本発明において使用される膜エレメントの上記
とは別の例の要部を示す説明図である。

【図４】本発明において使用される膜エレメントの上記
とは別の例の要部を示す説明図である。

【図５】本発明の実施例を示す説明図である。

【図６】本発明の上記とは別の実施例を示す説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 袋状膜部材 １１ 膜 １２ 濾過液流路材 １３ 孔 ２ 膜エレメント ２１ 濾過液集水管 ２２ パッキン ４ スペ−サ ４１ 濾過液通路溝 ５１ 原液槽 ５２ 減圧ポンプ ５３ 散気装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内側を濾過液側とする袋状膜部材の縁端部
   の近傍に孔を設け、複数枚の袋状膜部材をこの孔におい
   て、濾過液集水管にその膜部材相互間に所定の間隔を隔
   てて挿着し、各膜部材の濾過液流路を濾過液集水管内に
   該集水管の管壁に設けた通水孔により連通してなる膜エ
   レメントを、原液流動手段を有する原液槽内に配設し、
   上記膜エレメントの袋状膜部材の濾過液側を減圧するた
   めの減圧手段を濾過液配管に設けたことを特徴とする膜
   分離装置。
2. 【請求項２】膜エレメントの袋状膜部材間にパッキンを
   介在させた請求項１記載の膜分離装置。
3. 【請求項３】濾過液通路溝を有するスペ−サを袋状膜部
   材の孔周囲の濾過液流路部分に装着した請求項２記載の
   膜分離装置。