JPH07308474A - ミシン - Google Patents

ミシン

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JPH07308474A
JPH07308474A JP13114694A JP13114694A JPH07308474A JP H07308474 A JPH07308474 A JP H07308474A JP 13114694 A JP13114694 A JP 13114694A JP 13114694 A JP13114694 A JP 13114694A JP H07308474 A JPH07308474 A JP H07308474A
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JP
Japan
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cloth
feed
work
sewing
edge
Prior art date
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Pending
Application number
JP13114694A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Otsuka
佳行 大塚
Koichi Akaha
浩一 赤羽
Takehisa Nozaki
剛寿 野崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工布の布端の小カーブ部分の縫製に適する
ミシンを提供することを目的とする。 【構成】 針落下点の近傍に、針落下点を通過して加工
布を加工布支持面上において移送し得ると共に加工布の
布端の小カーブに対応し得るようにその加工布の移送方
向を制御し得る小カーブ制御機能、すなわち、1つの下
送り歯16と加工布を介して接触し得る上送り歯19及
び押え足21を含む布送り手段が設けられ、その布送り
込み側にそれと間隔をおいて加工布の布端を所定の位置
に保つためモータにより正逆転されるローラ部材48、
79が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ミシンに関し、特に、
小カーブに対応し得るように加工布の移送方向を制御し
得る小カーブ機能を持つ布送り手段と布端位置を制御す
る布端制御手段とを備えたミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、針落ち位置付近において加工布を
針板上に押圧する押え足と、送り歯とで加工布を一定方
向に送る加工布送り装置と、前記針落ち位置よりも布送
り方向上流側において、加工布の布端位置を所定の位置
に保つ為の布端制御装置であって、加工布の布端位置を
検出する布端センサーと、この布端センサーからの検出
信号を受けて、加工布の布端の基準位置からのズレを修
正するように、加工布を前記布送り方向とは直交する方
向へ横送りする加工布移動手段とを含む布端制御装置
は、公知である。
【0003】例えば、特公昭58─48199号公報に
は、上布と下布とを布端位置を合わせながら重ね合わせ
縫いする為に、ベッド上面近傍位置に上布と下布とを分
離する布受け板(分離板)を設け、ベッドの下面側に下
布をピニオン状のローラ部材を介して横送りする下布横
送り機構を設け、ベッドの上面側に上布をピニオン状の
ローラ部材を介して横送りする上布横送り機構を設け、
上布の布端を受け止める布端ストッパー、上布と下布の
布端を夫々検出する布端検出装置などを有する工業用ミ
シンが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のミシンのよ
うに、布端制御装置のみで、布端位置を制御する場合、
布端の曲率が大きい(曲率が小さい)部分を縫製する際
の布端制御の精度を高めることができない。即ち、加工
布の布端部が、押え足と針板とで挟持されているため、
布送り方向と直交する方向へ加工布が移動しにくく、加
工布の布端の曲率が大きくなると、加工布の布端形状通
りに布位置を制御することが難しくなり、縫い代精度が
低下し、縫製品質が低下するという問題がある。また、
縫い速度も遅くしないと制御できないため、生産性も低
下するという問題がある。本発明の目的は、加工布を送
る送り方向を可変に制御し得る加工布送り手段と、布端
制御手段とで、加工布布端の小カーブに対応し得るよう
なミシンを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1のミシンは、針
落下点を通過して加工布を加工布支持面上において移送
し得ると共に加工布の布端の小カーブに対応し得るよう
にその加工布の移送方向を制御し得る小カーブ制御機能
を持った布送り手段と、前記布送り手段の布送り込み側
にそれと間隔をおいて配置され加工布の布端を所定の位
置に保つように制御する布端制御手段とを備えたもので
ある。 尚、前記小カーブとは、曲率半径の小さなカー
ブのことであり、小カーブに対応し得るようにとは、小
カーブに沿って円滑に縫製し得るようにという意味であ
る。
【0006】請求項2のミシンは、請求項1のミシンに
おいて、前記布送り手段が、加工布支持面上に下方から
臨み送り量を調整可能な下送り歯と、加工布支持面の上
方から加工布を隔てて前記下送り歯に当接可能で且つ前
記下送り歯とは独立して送り量を調整可能な上送り歯
と、加工布を押える押え足とを有し、且つ、上送り歯の
布送り面と、押え足の布送り面とは、布送り方向に平行
で且つ近接して位置し、加工布を隔てて下送り歯に当接
するように構成されているものである。
【0007】請求項3のミシンは、請求項1又は請求項
2のミシンにおいて、前記布端制御手段が、加工布の布
端位置を検出する布端センサーと、この布端センサーの
検出信号を受けて、加工布の布端の基準位置からのずれ
を修正しその加工布の布端を所定の位置に保つように移
動させる加工布移動装置とを含むものである。
【0008】
【作用】請求項1のミシンにおいては、布送り手段は、
針落下点を通過して加工布を加工布支持面上において移
送し得ると共に加工布の布端の小カーブに対応し得るよ
うにその加工布の移送方向を制御し得る小カーブ制御機
能を有し、布端制御手段は、前記布送り手段の布送り込
み側にそれと間隔をおいて配置され加工布の布端を所定
の位置に保つように制御する。従って、加工布の曲率の
大きな小カーブ状の部分を縫製する際に、布送り手段に
よって、布端の小カーブに対応し得るようにその加工布
の移送方向を制御することで、加工布の曲率の大きな小
カーブ状の部分を縫製する際の布端制御の精度を高める
ことができ、それにより縫製品質を向上させることがで
き、縫製の生産性を高めることができる。
【0009】請求項2のミシンにおいては、前記布送り
手段が、加工布支持面上に下方から臨み送り量を調整可
能な下送り歯と、加工布支持面の上方から加工布を隔て
て前記下送り歯に当接可能で且つ前記下送り歯とは独立
して送り量を調整可能な上送り歯と、加工布を押える押
え足とを有し、且つ、上送り歯の布送り面と、押え足の
布送り面とは、布送り方向に平行で且つ近接して位置
し、加工布を隔てて下送り歯に当接するように構成され
ている。加工布の布端部分のうち、押え足と下送り歯間
に挟持される部分は、下送り歯の送り量と略等しい送り
量で布送りされるが、上送り歯と下送り歯間に挟持され
る部分は、上送り歯の送り量と下送り歯の送り量の略中
間の送り量で布送りされるため、上送り歯の送り量と下
送り歯の送り量とを異ならせることで、加工布の平面視
時計回り方向へ又はその反対方向へ水平回動させて、加
工布の移送方向を制御することができる。
【0010】請求項3のミシンにおいては、前記布端制
御手段が、布端センサーと、加工布移動装置とを含み、
布端センサーは、加工布の布端位置を検出し、加工布移
動装置は、布端センサーの検出信号を受けて、加工布の
布端の基準位置からのずれを修正しその加工布の布端を
所定の位置に保つように移動させる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。本実施例は、加工布横送り装置を備えた工業
用縫製装置Mに、本発明を適用した場合のものである。
この工業用縫製装置Mは、図22、図23に示すような
布製シューズ1を縫製する為に、布製シューズ1の中底
布を上布2、甲被布を下布3として、上布2に対して下
布3をいせ込みをしながらこれらの全周にわたる布端部
を縫製する為のものである。尚、符号3aは踵部、符号
3bは踵部の内側に予め縫い付けられた半月状の芯材で
ある。
【0012】図1に示すように、この工業用縫製装置M
は、工業用本縫いミシンと同様の本縫いミシン10と、
そのベッド部11の上面に配設された上布横送り装置3
0と、ベッド部11の下側に配設された下布横送り装置
70と、加工布案内ユニット90と、上布布端検出装置
130及び下布布端検出装置140と、操作パネル14
及び制御ユニット160等で構成されている。尚、以下
の説明において、縫製装置Mに向かって手前側を前方と
し、左右方向を左右方向として説明する。尚、加工布案
内ユニット90は、布製シューズ1の踵部を縫製する際
に、下布3を針板27の上方へ湾曲状に案内するもので
あるが、詳細な説明は省略する。
【0013】最初に、前記本縫いミシン10について説
明すると、この本縫いミシン10は、図1〜図5に示す
ように作業用テーブル15に装着されたベッド部11
と、そのベッド部11の右端部から立設された脚柱部1
2と、その脚柱部12の上端からベッド部11に対向す
るように左方へ延びるアーム部13とから構成されてい
る。ベッド部11内には、下送り歯16を上下動させる
下送り歯上下動機構(図示略)及び下送り歯16を前後
動させる下送り歯前後動機構(図示略)と、糸捕捉器2
5と、ミシンモータで駆動される下軸24などが設けら
れている。
【0014】前記アーム部13には、縫針17を下端に
装着可能な針棒18を上下動させる針棒駆動機構と、針
棒18の上下動に調時して天秤(図示略)を上下動させ
る天秤駆動機構(図示略)と、垂直釜からなる糸捕捉器
25を駆動する釜駆動機構と、上布2を布送り方向へ送
る上送り歯19を上下動させる上送り歯上下動機構(図
示略)及び前後動させる上送り歯前後動機構(図示略)
などが設けられている。前記針棒18の後側において、
アーム部13の頭部13aには、押え棒22が上下動可
能に支持されており、その押え棒22の下端には押え足
21が取付けられている。前記押え棒22と、上送り歯
19とは、押え足駆動用ソレノイドに連結されており、
これら押え棒22と上送り歯19とは、押え足駆動用ソ
レノイドにより上昇した退避位置と、下降した作用位置
に位置切換えられる。
【0015】前記下送り歯16の下送り歯上下動機構
と、上送り歯19の上送り歯上下動機構と、針棒駆動機
構と、天秤駆動機構と、釜駆動機構とはミシンモータ2
3で駆動される。下送り歯16は、リニアソレノイドの
駆動量で変更される送り制御器の傾きに応じた送り量で
下送り歯前後動機構を介して前後駆動される。また、上
送り歯19は、上送り歯用パルスモータの回転量で変更
される送り制御器の傾きに応じた送り量で上送り歯前後
動機構を介して前後駆動される。前記作業用テーブル1
5の直ぐ下側にはミシンモータ23が配設され、作業用
テーブル15の下面側に取付けられている。この本縫い
ミシン10のアーム部13の頂部には操作パネル14が
取付けられ、この操作パネル14には、縫製作業に必要
な複数の操作スイッチが設けられている。
【0016】図3〜図5に示すように、下送り歯16の
布送り面は、少しだけ広幅に形成され、下送り歯16
は、その布送り面が針板27の開口部から僅かに突出可
能に配設され、針板27と押え足21には針穴28が形
成されている。上送り歯19の布送り面と、押え足21
の布送り面とは、送り方向に平行で且つ左右に近接して
位置し、上送り歯19の布送り面の大部分と押え足21
の布送り面の左端部とが、針落ち位置(つまり、針穴2
8)の左側付近の位置において縫製前後の下布3と上布
2を隔てて下送り歯16の布送り面に当接するように構
成してある。
【0017】ここで、前記下送り歯16と上送り歯19
と押え足21による布送り作用について、図6を参照し
て説明する。基本的に、下送り歯16と押え足21間に
挟持される下布3と上布2の部分は、下送り歯16の下
送り量Fwと略等しい実送り量Fwa(Fwa=b=d)だ
け布送りされるが、押え足21と上布2との間に発生す
るスリップ量sだけ送り量が下送り量Fwよりも小さく
なる。下送り歯16と上送り歯19とに挟持される上布
2と下布3の部分は、下送り歯16の下送り量Fwと、
上送り歯19の上送り量Fu(尚、図示の例では、Fu
<Fw)とで決まる送り量a,cだけ布送りされる。
尚、送り量aは、上布2の厚さ中段部における送り量、
送り量cは、下布3の厚さ中段部における送り量であ
る。
【0018】上布2のうち、押え足21で押えられる針
落ち位置近傍部は、送り量bだけ布送りされ、その針落
ち位置近傍部の左側近傍部(上送り歯19で押えられる
部分)は、送り量a(a<b)だけ布送りされるため、
上布2は、ベッド11と針板27の上面において、送り
量a,b等の諸寸法に応じて決まる角度だけ、点Puを
中心として平面視反時計回り方向に水平回動することに
なる。布送りの間縫針17は落ちないため、縫目ピッチ
は、送り量bよりも少し大きくなる。
【0019】下布3のうち、押え足21で押えられる針
落ち位置近傍部は、送り量dだけ布送りされ、その針落
ち位置近傍部の左側近傍部(上送り歯19で押えられる
部分)は、送り量c(c<d)だけ布送りされるため、
下布3は、ベッド11と針板27の上面において、送り
量c,d等の諸寸法に応じて決まる角度だけ、点Pwを
中心として平面視反時計回り方向に水平回動することに
なる。布送りの間縫針17は落ちないため、縫目ピッチ
は、送り量dよりも少し大きくなる。
【0020】このように、押え足21の布送り面の左端
部を、下布3と上布2とを挟んで下送り歯16に押圧
し、下送り量Fwと上送り量Fuとの差を介して、上布
2と下布3とを平面視反時計回り方向に水平回動させる
回動モーメントを作用させることができる。その結果、
布製シューズ1の爪先側部分を縫製する場合のように、
上布2と下布3とのアウトカーブ状の布端部を縫製する
際に、湾曲状に滑らかに縫製することが可能となる。特
に、後述するように、上布布端検出装置130からの検
出信号に基いて、上布横送り装置30により布端位置を
制御するとともに、下布布端検出装置140からの検出
信号に基いて、下布横送り装置70により布端位置を制
御する際における布端制御の精度を高めることができ
る。
【0021】再び、構成について説明すると、図3、図
4に示すように、針穴28の右側位置において、針板2
7上には、下布3と上布2の右側の布端に当接して布端
位置を規制する規制輪8が、その軸心を鉛直に向けて配
設され、この規制輪8は鉛直のボルト9で針板27に回
転自在に支持されている。
【0022】次に、上布横送り装置30について説明す
る。図7、図8に示すように、ベッド部11の上面に
は、平面視略L形の取付け基板31がビス止めされ、取
付け基板31の右半部の前後方向中間部には、スライド
ガイド32が付設され、このスライドガイド32により
左右方向に移動自在に案内されるガイドブロック(図示
略)の上面には、平面視矩形状の水平な第1ベース板3
3が固定され、この第1ベース板33の前側部には、平
面視階段形の水平な第2ベース板34が固定され、この
第2ベース板34と干渉しないように設けられた第3ベ
ース板35は、第2ベース板34と略同レベルに配設さ
れて、その右端部の上面には、枢支ブロック37が固着
され、この枢支ブロック37は、第2ベース板34の上
面に固定された枢支ブロック38から後方へ水平に延び
た枢支軸39回りに揺動自在に設けられている。
【0023】布受け板36は、針落ち位置、つまり針穴
28よりも布送り方向上流側付近の位置において、下布
3を隔ててベッド部11及び針板27の上面に配置され
るもので、この布受け板36は、左右に細長い矩形状に
形成され、その右端部は、ボルト40でスペーサ41を
介して第3ベース板35の左端下面に固定されている。
前記第3ベース板35の左右方向略中間位置において、
第3ベース板35には、立壁状に立ち上げた取付け壁部
42が一体形成され、この取付け壁部42の後側面に
は、ステッピングモータ43が前後方向向きに付設さ
れ、その出力軸44が、取付け壁部42の前側へ突出さ
れ、この出力軸44に外嵌され且つ取付け壁部42の枢
支穴に圧入固定されたボス部材45と出力軸44の前端
部とに、揺動アーム46が上下に揺動自在に枢支されて
いる。
【0024】前記揺動アーム46は、前後に所定間隔空
けて平行に対向させた2枚の板材を複数のボルトで連結
した構造であり、2枚の板材間において、出力軸44に
は、スペーサ47aとタイミングプーリ47が外嵌固定
されるとともに揺動アーム46の先端部には、ピニオン
状の上布送り用のローラ部材48と、タイミングプーリ
49とが枢支ピン50により枢支され、ローラ部材48
とタイミングプーリ49とは、枢支ピン50に圧入にて
固定され、枢支ピン50と共に回転自在に装着されてい
る。前記タイミングプーリ47と、テンションプーリ5
1と、タイミングプーリ49と、アイドルプーリ52と
に亙ってタイミングベルト53が巻装され、ステッピン
グモータ43によりタイミングベルト53を介してロー
ラ部材48を正転方向と逆転方向とに択一的に回転駆動
することによって上布2を精密に左右方向に横送りでき
るように構成してある。
【0025】図7、図8に示すように、第3ベース板3
5には、出力軸44よりも右側に位置するエアシリンダ
56が立て向きに付設され、その出力ロッド56aが、
連結具57を介して揺動アーム46の右端部に連結され
ている。そして、揺動アーム46を所定の退避位置に規
制する為に、ステッピングモータ43の出力軸44より
も右側の位置において、第3ベース板35にはストッパ
ー58が固定され、揺動アーム46には、ストッパー5
8に当接可能な位置規制ボルト59が高さ位置微調節可
能に付設されている。
【0026】前記ステッピングモータ43の出力軸44
よりも左側の位置において、第3ベース板35にはスト
ッパー60が固定され、揺動アーム46には、ストッパ
ー60に当接可能な位置規制ボルト61が高さ位置微調
節可能に付設されている。従って、図7に示すように、
エアシリンダ56の出力ロッド56aを伸長させると、
位置規制ボルト61がストッパー60に当接して位置規
制されるまで、揺動アーム46が図7において反時計回
り方向に揺動して揺動アーム46がその使用位置に切換
えられ、この揺動アーム46を介してローラ部材48も
その使用位置に切換えられる。ここで、位置規制ボルト
61の高さ位置を微調節することで、上布2の厚さに応
じて、布受け板36の上面とローラ部材48間の隙間を
微調節することができる。
【0027】前記とは反対に、エアシリンダ56の出力
ロッド56aを退入させると、位置規制ボルト59がス
トッパー58に当接して位置規制されるまで、揺動アー
ム46が図7において時計回り方向に揺動して揺動アー
ム46がその退避位置に切換えられ、この揺動アーム4
6を介してローラ部材48も、その使用位置から上方へ
移動したその退避位置に切換えられる。
【0028】図7、図8に示すように、第2ベース板3
4の右端部の上面には、エアシリンダ62が立て向きに
付設され、前記枢支ブロック37には右方へ延びる正面
視クランク状の入力板63が固定され、エアシリンダ6
2の出力ロッド62aの上端は入力板63に連結されて
いる。更に、エアシリンダ62のシリンダ本体の上端に
は、ストッパー64が固定され、入力板63には、スト
ッパー64に当接可能な位置規制ボルト65が高さ位置
微調節可能に付設されている。更に、ステッピングモー
タ43の出力軸44よりも左方位置において、取付け基
板31には、ストッパー66が固定され、第3ベース板
35にはストッパー66に当接可能な位置規制ボルト6
7が高さ位置微調節可能に付設されている。
【0029】従って、エアシリンダ62の出力ロッド6
2aを伸長させると、第3ベース板35及び揺動アーム
46は、枢支軸39回りに反時計回り方向へ揺動し、位
置規制ボルト67がストッパー66に当接し、第3ベー
ス板35及び揺動アーム46は、使用位置に切換えられ
る。位置規制ボルト67の高さ位置を微調節することに
より、ベッド部11及び針板27の上面と、布受け板3
6の下面間の隙間を微調節することができる。前記とは
反対に、エアシリンダ62の出力ロッド62aを退入さ
せると、第3ベース板35及び揺動アーム46は、枢支
軸39回りに時計回り方向へ揺動し、位置規制ボルト6
5がストッパー64に当接し、第3ベース板35及び揺
動アーム46は、使用位置から上方へ所定小角度だけ揺
動移動した退避位置に切換えられる。
【0030】前記上布横送り装置30のうち、第1,第
2,第3ベース板33,34,35、布受け板36、揺
動アーム46等の第1ベース板33よりも上の構造は、
上布横送りユニットとしてユニット状に構成され、その
上布横送りユニットを、スライドガイド32を介して、
図8に実線で図示の縫製使用位置と、鎖線で図示の不使
用位置とに亙って切換える為、取付け基板31のフラン
ジ部31aには、エアシリンダ68が左右方向向きに水
平に付設され、このエアシリンダ68の出力ロッド68
aが、連結具69を介して第2ベース板34に連結され
ている。前記上布横送り装置30の大部分が上布横送り
ユニットに構成されているうえ、上布横送り装置30
は、上布横送りユニットを、スライドガイド32を介し
て取付け基板31上に組付けた上布横送り全体ユニット
としてユニット状に構成されているので、上布横送り装
置30の組付け、調整、補修等が簡単化する。
【0031】次に、下布3を左右方向に横送りする下布
横送り装置70について説明する。図9、図10に示す
ように、ベッド部11の下面側を覆うオイルパン26に
は、L形のブラケット71が付設され、このブラケット
71にツイン型ロッドレスシリンダ72の本体部73が
斜めに取付けられ、ロッドレスシリンダ72の可動のシ
リンダ本体74には、横断面L形の取付けブラケット7
5が固定され、この取付けブラケット75には、上方へ
延び針板27の開口を経て布受け板36の左端部の下面
近くまで延びる傾斜アーム76が、下端部において固定
され、取付けブラケット75の取付けフランジの右側面
には、ステッピングモータ77が前後方向向きに固定さ
れ、ステッピングモータ77の出力軸77aには、タイ
ミングプーリ78が、その軸心を前後方向に向け水平に
固定されている。
【0032】前記傾斜アーム76の上端部には、タイミ
ングプーリ79が、タイミングプーリ78と平行に回転
自在に付設され、これらタイミングプーリ78,79に
はタイミングベルト80が巻装され、このタイミングベ
ルト80の頂部と布受け板36の下面間に下布3を挟ん
で、下布3が、タイミングベルト80により左右に横送
りされる。前記ロッドレスシリンダ72により、シリン
ダ本体74を上限位置まで上昇させると、図10に示す
ように、傾斜アーム76及びステッピングモータ77は
使用位置に切換えられ、傾斜アーム76の上端部のタイ
ミングプーリ79の外周側のタイミングベルト80の上
端は、布受け板36の下面との間に僅かの隙間を空けた
所定高さ位置に保持される。これとは反対に、ロッドレ
スシリンダ72により、シリンダ本体74を下限位置ま
で下降させると、図10に鎖線で図示のように、傾斜ア
ーム76及びステッピングモータ77は使用位置から下
方へ所定距離下降した退避位置に切換えられる。
【0033】次に、上布布端検出装置130と下布布端
検出装置140について説明する。図11に示すよう
に、布受け板36には、揺動アーム46と干渉しないよ
うに上布布端センサー131を取付ける為の取付け部材
132が固定され、この取付け部材132には、上布2
の布端と布受け板36の上面とを臨むように上布布端セ
ンサ131が付設されている。また、針板27には、下
布3の布端と布受け板36の下面を臨むように下布布端
センサー141が設けられている。尚、布受け板36の
上面と下面は、光線の反射率が高くなるように形成して
ある
【0034】前記上布布端検出装置130について詳細
に説明すると、図12に示すように、例えば、10本の
光ファイバー134から入射された光線がプリズム13
3の第1反射面133aで45度方向変換後に、第2反
射面133bで45度方向変換されて、上布2の布端2
eに直交する10本の下向きの光線に変換される。各光
ファイバー134の基端部には、発光ダイオード135
から光線が入射され、各光ファイバー134内を通って
プリズム133から下方へ出射された光線は、上布2の
上面又は布受け板36の上面で反射して、出射された各
光ファイバー134内に入射され、その反射入射光は、
光ファイバー134の基端部と発光ダイオード135間
に配設されたハーフミラー136で45度方向変換され
て対応するフォトダイオード137に入射し、フォトダ
イオード137により光の強度に対応する電気信号(布
端検出信号)に変換されて、制御ユニット160に供給
される。上布2の上面で反射する光線は、布受け板36
の上面で反射する光線よりも弱くなるので、10個のフ
ォトダイオード137からの布端検出信号の強弱から上
布2の布端2eを検出することができる。
【0035】前記下布布端検出装置140について詳細
に説明すると、下布布端検出装置140は、上布布端検
出装置130と同様の構成であり、図13に示すよう
に、例えば、10本の光ファイバー144から入射され
た光線がプリズム143の第1反射面143aで45度
方向変換後に、第2反射面143bで45度方向変換さ
れて、下布3の布端3eに直交する10本の上向き光線
に変換される。
【0036】各光ファイバー144の基端部には、発光
ダイオード145から光線が入射され、各光ファイバー
144内を通ってプリズム143から上方へ出射された
光線は、下布3の下面又は布受け板36の下面で反射し
て、出射された各光ファイバー144内に入射され、そ
の反射入射光は、光ファイバー144の基端部と発光ダ
イオード145間に配設されたハーフミラー146で4
5度方向変換されて対応するフォトダイオード147に
入射し、フォトダイオード147で光の強度に対応する
電気信号(布端検出信号)に変換されて、制御ユニット
160に供給される。下布3の下面で反射する光線は、
布受け板36の下面で反射する光線よりも弱くなるの
で、10個のフォトダイオード147からの布端検出信
号の強弱から下布3の布端3eを検出することができ
る。尚、符号148は、センサー取付け部材である。
【0037】次に、以上説明した工業用縫製装置Mの制
御系について説明する。図14に示すように、制御ユニ
ット160は、CPU161とROM162とRAM1
63を含むマイクロコンピュータと、入力インターフェ
イス164と、出力インターフェイス165とからな
り、前記ROM162には、後述の縫製制御の制御プロ
グラムが予め格納され、また、RAM163には、縫製
制御の為の種々のメモリやバッファ類が設けられ、入力
インターフェイス164には、布製シューズ1を縫製す
る為の縫製データを作成するデータ作成装置150と、
上布布端検出装置130と、下布布端検出装置140
と、操作パネル14と、ミシン上軸の回転位相を検出す
るタイミングセンサ154とが接続されている。
【0038】前記制御ユニット160の出力インターフ
ェイス165には、押え棒上下用ソレノイド151、上
送り調節用ステッピングモータ152、下送り調節用リ
ニアソレノイド153、上布横送り装置30の揺動アー
ム46を回動させる揺動アーム回動用シリンダ56、布
受け板36を回動させる布受け板回動用シリンダ62、
上布横送り用ステッピングモータ43、下布横送り装置
70の傾斜アーム76を昇降させる傾斜アーム昇降用シ
リンダ72、下布横送り用ステッピングモータ77、加
工布案内ユニット90を前後動させる加工布案内ユニッ
ト前後動シリンダ101、加工布案内ユニット90を昇
降させる加工布案内ユニット昇降シリンダ97、移動案
内板112を案内移動させる案内板駆動用ステッピング
モータ114、ミシンモータ23等が接続され、これら
は制御ユニット160により制御され、また、操作パネ
ル14からの指令により制御される。尚、シリンダ類
は、実際には方向切換え弁を介して制御される。
【0039】次に、縫製データ及び縫製順序等について
説明する。図15は、右足用の布製シューズ1の上布2
の上面(布製シューズ1に形成後には裏面)を示し、図
16は、下布3の上面(布製シューズ1に形成後には内
面)を示すものであり、上布2と下布3の外周縁には、
例えば12個のノッチ(ノッチ番号N=0〜11)が形
成され、ノッチとノッチとの間は、1乃至複数の縫製区
間(縫製区間番号K=0,1,2)に区切られ、各縫製
区間は曲率一定の円弧形状を成している。布製シューズ
1を縫製する際に、最初にノッチ番号N=0の箇所から
矢印の方向へ、つまりノッチ番号Nの順に縫製が実行さ
れる。
【0040】前記データ作成装置150は、上布2(中
底布)と下布3(甲被布)に関する縫製データを、画像
読み取り等を介して入力作成する為の装置であり、この
データ作成装置150により作成される縫製データは、
図17に示す通りである。尚、縫製データ中、長さの単
位はmmであり、針数は各縫製区間を縫製する針数を示
し、上送り量は上送り歯19の送り量を示し、下送り量
は下送り歯16の送り量を示す。布端センサ「上」のデ
ータ「2」は、上布2の上側に来る光線の数が2本であ
ることを示し、布端センサ「下」のデータ「3」は、下
布3の下側に来る光線の数が3本であることを示す。速
度レベルは、ミシンモータ23の回転速度(200 〜2000
rpm)を10段階に区分した速度レベルを示す。
【0041】次に、工業用縫製装置Mで布製シューズ1
を縫製する縫製データのうちの上下の送り量データを補
正する補正処理について、図18、図19を参照して説
明する。尚、図19のフローチャートにおいて、符号S
i(i=1,2,3・・・)は各ステップを示すもので
ある。この補正処理は、下送り歯16と、上送り歯19
と、押え足21による布送りを介して、下布3と上布2
の布送り方向を制御して、布端位置を制御する布端制御
の精度を高める為に、下送り歯16の下送り量と上送り
歯19の上送り量の差が拡大するように、下送り歯16
の下送り量と、上送り歯19の上送り量とを補正する処
理である。
【0042】この補正処理が開始されると、最初にデー
タ作成装置150から縫製データが読み込まれてRAM
163のメモリに格納され(S1)、次に、ノッチ番号
Nをカンウトするノッチ番号カウンタN(そのカウント
値をNとする)と、区間番号Kをカウントするカウンタ
K(そのカウント値をKとする)が、夫々0に設定され
る(S2)。次に、前記メモリに格納した縫製データの
うち、カウンタN,Kで指示される上送り量Fouと、下
送り量Fowのデータが読み込まれ(S3)、次に上布2
と下布3とのカーブ特性(アウトカーブ、インカーブ)
に対応するマップ(図18の4つのマップM1〜M4の
うちの1つ)より、上送り補正係数kuと、下送り補正
係数kwとが読み込まれる(S4)。
【0043】ここで、図18に示すマップについて説明
すると、マップとしては、上布アウトカーブ且つ下布ア
ウトカーブのマップM1と、上布アウトカーブ且つ下布
インカーブのマップM2と、上布インカーブ且つ下布ア
ウトカーブのマップM3と、上布インカーブ且つ下布イ
ンカーブのマップM4との4つのマップが予め設定さ
れ、ROM162に予め格納されている。尚、図18
中、符号Rは上布2の曲率半径、符号rは下布3の曲率
半径を示す。
【0044】そして、上布2と下布3のカーブ状の布端
部の曲率が大きい(曲率半径が小さい)場合程、上布2
と下布3との布端制御の精度が低下することに鑑み、上
布2と下布3の縫製対象部分がアウトカーブ状である場
合、前記布端部の曲率の増大に応じて、上布2と下布3
とが平面視にて反時計回り方向へ水平回動するように布
送り方向を制御する為に、下送り量と上送り量の差、つ
まり、(下送り量−上送り量)の値を大きく設定するこ
とが望ましい。そこで、図18のマップM1に例示した
ように、上送り補正係数kuは、上布2と下布3の曲率
半径R,rが小さくなる程、1.0 から減少して0.3 程度
の値まで減少していくように設定してあり、また、下送
り補正係数kwは、上布2と下布3の曲率半径R,rが
小さくなる程、1.0 から増加して3.0 程度の値まで増大
していくように設定してある。
【0045】前記のように、上送り補正係数kuを1.0
以下の小さな値に設定するものの、加工布(上布2と下
布3)の平面視反時計回り方向への水平回動を介しての
上送り量の増加分と、下送り量を増大補正することによ
る上送り量の増加分とで、上送り量が略設定値になるよ
うに、また、下送り補正係数kwを1.0 以上の大きな値
に設定するものの、上送り量を減少補正することによる
下送り量の減少分で下送り量が略設定値になるように、
マップM1〜M4が縫製対象品に応じて適切に設定され
ている。尚、前記マップM1〜M4は、上布2の曲率半
径Rと、下布3の曲率半径rと、いせ込み率と、上送り
量と、下送り量とのうちの全部又は一部をパラメータと
して設定することも考えられる。
【0046】次に、図19のフローチャートに戻って説
明すると、S4の次に、最終上送り量Fuが、Fu=F
ou×kuとして演算され、また、最終下送り量Fwが、
Fw=Fow×kwとして演算され(S5)、次に、前記
上送り量Fouと下送り量Fowのデータが、最終上送り量
Fuと最終下送り量Fwのデータで夫々書換えられる
(S6)。次に、カウンタKが1だけインクリメントさ
れ(S7)、次に、カウンタKのカウント値Kが、縫製
データの最大区間番号Kst以下か否か判定し(S8)、
その判定がYes のときにはS3へ戻って、次の区間につ
いて、S3〜S8が前記同様に実行され、S8の判定が
No になると、S9へ移行してカウンタNが1だけイン
クリメントされ(S9)、次に、カウンタNのカウント
値Nが縫製データの最大ノッチ番号Nmax 以下か否か判
定し(S10)、その判定がYes のときは、S3へ戻っ
て、次のノッチ番号に従属する1又は複数区間につい
て、S3〜S9が前記同様に実行され、カウンタNのカ
ウント値Nが、(最大ノッチ番号Nmax +1)になると
(S10: No )、この補正処理が終了する。
【0047】次に、工業用縫製装置Mで布製シューズ1
を縫製する際の縫製制御について、図20、図21のフ
ローチャートに基いて説明する。尚、フローチャート中
の符号Si(i=30,31,・・)は、各ステップを
示す。また、この縫製に先行して、データ作成装置15
0から予め縫製データがRAM163のメモリに転送さ
れ、その縫製データを用いて実行される。そして、下布
3と上布2とを所定の状態にセットした状態において制
御が開始されるものとする。
【0048】操作パネル14の縫製スタートスイッチが
ONされると(S30:Yes )、ソレノイド151によ
り押え棒22が下降され、エアシリンダ56により揺動
アーム46が下方揺動され、エアシリンダ74により傾
斜アーム76が上昇される(S31)。次に、ミシンモ
ータ23が所定速度で駆動され(S32)、次に、ノッ
チ番号カウンタN、区間番号カウンタK、針数カウンタ
Pが、夫々0にセットされる(S33)。次に、ノッチ
番号カウンタNと区間番号カウンタKとで指示される縫
製データが読み込まれる(S34)。次に、上送り量の
データに基いて上送り調節用のステッピングモータ15
2が駆動され、下送り量のデータに基いて下送り調節用
のリニアソレノイド153が駆動され、速度レベルのデ
ータに基いてミシンモータ23の回転速度が制御される
(S35)。
【0049】次に、上布2の布端検出信号及び下布3の
布端検出信号が読み込まれ(S36)、続いて上布布端
検出装置130及び下布布端検出装置140の布端検出
信号に基いて上布2と下布3の布端の各基準位置に対す
るズレ量が演算され(S37)、次に、それらの布端の
各基準位置に対するズレ量が解消するように、上布横送
り用ステッピングモータ43と下布横送り用ステッピン
グモータ77が駆動される(S38)。次に、S39に
おいて、タイミングセンサ154からの検出信号に含ま
れる針下信号が入力されたか否か判定し、その判定がYe
s のときには針数カウンタPが1だけインクリメントさ
れ(S40)、次に、針数カウンタPのカウント値Pが
縫製データの針数Pst以下か否か判定し(S41)、そ
の判定がYes のときにはS36へ移行し、S36以降が
繰り返し実行され、縫製データの針数Pstだけの縫製が
完了してカウント値Pが(Pst+1)になると、S41
からS42へ移行する。
【0050】そして、S42において、区間番号カウン
タKが1だけインクリメントされるとともに、針数カウ
ンタPが0にリセットされる。次に、区間番号カウンタ
Kのカウント値Kが縫製データの最大区間数Kst以下か
否か判定し(S43)、その判定がYes のときには、S
34へ移行し、S34以降が繰り返し実行される。そし
て、区間番号カウンタKのカウント値Kが(Kst+1)
になると、S43からS44へ移行して、ノッチ番号カ
ウンタNが1だけインクリメントされ、区間番号カウン
タKが0にリセットされ(S44)、次にノッチ番号カ
ウンタNのカウント値Nが、縫製データの最大ノッチ番
号Nmax 以下か否か判定し(S45)、その判定がYes
のときはS34へ戻りS34以降が繰り返し実行され
る。
【0051】以上のように縫製が実行されていって、ノ
ッチ番号Nの順に縫製が進行していき、全周に亙って縫
製が完了すると、ノッチ番号Nが(Nmax +1)になる
ので、S45からS46へ移行し、ミシンモータ23が
停止され(S46)、縫製終了処理が実行される(S4
7)。尚、この縫製終了処理は、傾斜アーム76を下降
させ、揺動アーム46を上方揺動させ、押え棒22を上
昇させる等の処理のことである。尚、以上は、1つの布
製シューズ1を縫製する際の縫製制御について説明した
が、以下同様にして、次々と布製シューズ1の縫製が実
行される。
【0052】次に、以上説明した工業用縫製装置Mの作
用について説明する。縫製開始時には、上布横送りユニ
ットを、不使用位置から縫製使用位置に移動させ、下布
横送り装置70の傾斜アーム76を下降位置に保持し、
布受け板36を退避位置に切換えた状態で、下布3を針
板27と布受け板36間にセットしてから布受け板36
を使用位置に切換え、揺動アーム46を退避位置に切換
えた状態で、上布2を布受け板36とローラ部材48間
にセットすると縫製準備が完了する。
【0053】次に、前述のように、押え棒22を下降さ
せ、揺動アーム46を下方揺動させ、傾斜アーム76を
上昇させ、本縫いミシン10を作動させて、下布3と上
布2との縫製を実行するが、その縫製時、上布2と下布
3の布端が、規制輪8に当接して位置規制され、上布布
端検出装置130によって検出した布端検出信号に基い
て、制御ユニット160により、上布横送り装置30の
ステッピングモータ43が制御されて上布2の布端が縫
製データで指示された位置となるように上布2の横送り
が実行され、また、下布布端検出装置140によって検
出した布端検出信号に基いて、制御ユニット160によ
り、下布横送り装置70のステッピングモータ77が制
御されて下布3の布端が縫製データで指示された位置と
なるように下布3の横送りが実行される。このように布
端位置を制御する布端制御を実行しながら、下布3と上
布2との外周部を縫製して、布製シューズ1を縫製する
ことができる。
【0054】ここで、図6を参照しながら説明したよう
に、上送り歯19の布送り面と、押え足21の布送り面
とは、送り方向に平行で且つ左右に近接して位置し、針
落ち位置の左側付近の位置において、下布3と上布2と
を隔てて下送り歯16に当接するように構成したので、
上送り量Fuが、下送り量Fwよりも小さい場合に、下
布3と上布2は、布送り時に平面視にて反時計回り方向
へ回動しやすくなり、また、上送り量Fuが、下送り量
Fwよりも大きい場合には、下布3と上布2は、布送り
時に平面視にて時計回り方向へ回動しやすくなる。これ
により、下布3と上布2のカーブ状の布端部を縫製する
際における下布3と上布2の水平回動性を高めて、布端
部を滑らかに縫製可能とし、縫製品質を高めることがで
きる。しかも、前記のように上布と下布3の水平回動性
を高めることにより、カーブ状の布端部を縫製する際に
おける布端制御の精度を高めて、縫製品質及び作業能率
を高めることができる。
【0055】更に、図18に示すような送り量補正係数
をマップM1〜M4に予め設定し、図19に示すルーチ
ンにより、下送り量と上送り量との差が、布端部の曲率
に応じて大きくなるように、下送り量と上送り量とを補
正するように構成したので、下布3と上布2との布端部
のカーブ形状に応じた水平回動モーメントを、下布3と
上布2に作用させ、布端部の曲率に応じて布送り方向を
制御し、布端の種々のカーブ、特に布端の小カーブに対
応し得る小カーブ制御機能を得ることができる。その結
果、布端製シューズ1の爪先側部分のようなアウトカー
ブ状の小カーブの布端部を縫製する際における下布3と
上布2の水平回動性(平面視にて反時計回り方向への水
平回動性)を高めて布端制御の精度を高め、布端部を滑
らかに縫製可能とし、縫製品質を高めることができる。
【0056】但し、このことは、布端製シューズ1の爪
先側部分のようなアウトカーブ状の布端部に限らず、下
布3がアウトカーブ状で上布2がインカーブ状の布端部
を縫製する場合、また、下布3がインカーブ状で上布2
がアウトカーブ状の布端部を縫製する場合、また、下布
3と上布2とがインアウトカーブ状の布端部を縫製する
場合にも、同様である。
【0057】ここで、前記実施例では、下送り歯16の
送り量と、上送り歯の送り量とを異ならせることによ
り、下布3と上布2の送り方向を前後方向に対して水平
面内において傾斜した方向に制御するように構成した
が、以下のような種々の構成によっても同様の小カーブ
制御機能を達成することができる。 1〕 下送り歯と押え足とで布送りする布送り手段にお
いて、下送り歯を水平面内で回動可能に構成し、その下
送り歯の回動角度を制御することで、布送り方向を制御
する。 2〕 針落ち点を挟んで両側に1対の下送り歯を設け、
これら下送り歯の送り量を制御することにより、加工布
に水平面内での回動力を付与して、布送り方向を制御す
る。
【0058】3〕 下送り歯と押え足とで布送りする布
送り手段において、押え足と下送り歯の左側近傍位置
に、加工布を送る送りローラであってサーボモータで回
転駆動される送りローラを設け、この送りローラによる
布送り量を制御することにより、加工布に水平面内での
回動力を付与して、布送り方向を制御する。 4〕 下送り歯と押え足とで布送りする布送り手段にお
いて、押え足と下送り歯の右側近傍位置に、加工布に押
圧力を作用させる押圧力付加手段を設け、押圧力付加手
段による押圧力を制御することにより、加工布に水平面
内での回動力を付与して、布送り方向を制御する。
【0059】尚、前記布端制御装置130,140の代
わりに、針落ち位置よりも上流側において、布端の位置
を規制する規制部材を設け、この規制部材よりも左側に
おいて加工布に右方向きの付勢力をローラや加圧エア等
により機械的に付加する付勢力付加手段を設け、布端が
常に規制部材に当接するように構成する。尚、前記実施
例は、一例を示すものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱し
ない範囲で前記実施例の装置に種々の変更を付加した態
様で実施することが可能である。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次
の効果が得られる。請求項1のミシンによれば、針落下
点を通過して加工布を加工布支持面上において移送し得
ると共に加工布の布端の小カーブに対応し得るようにそ
の加工布の移送方向を制御し得る小カーブ制御機能を有
する布送り手段と、前記布送り手段の布送り込み側にそ
れと間隔をおいて配置され加工布の布端を所定の位置に
保つように制御する布端制御手段とを設けたので、加工
布の曲率の大きな小カーブ状の部分を縫製する際に、布
送り手段によって、布端の小カーブに対応し得るように
その加工布の移送方向を制御することで、加工布の曲率
の大きな小カーブ状の部分を縫製する際の布端制御の精
度を高めることができ、それにより縫製品質を向上させ
ることができ、縫製の生産性を高めることができる。
【0061】請求項2のミシンによれば、前記布送り手
段が、加工布支持面上に下方から臨み送り量を調整可能
な下送り歯と、加工布支持面の上方から加工布を隔てて
前記下送り歯に当接可能で且つ前記下送り歯とは独立し
て送り量を調整可能な上送り歯と、加工布を押える押え
足とを有し、且つ、上送り歯の布送り面と、押え足の布
送り面とは、布送り方向に平行で且つ近接して位置し、
加工布を隔てて下送り歯に当接するように構成されてい
るので、加工布の布端部分のうち、押え足と下送り歯間
に挟持される部分は、下送り歯の送り量と略等しい送り
量で布送りされるが、上送り歯と下送り歯間に挟持され
る部分は、上送り歯の送り量と下送り歯の送り量の略中
間の送り量で布送りされるため、上送り歯の送り量と下
送り歯の送り量とを異ならせることで、加工布の平面視
時計回り方向へ又はその反対方向へ水平回動させて、加
工布の移送方向を制御することができ、これにより、加
工布の曲率の大きな小カーブ状の部分を縫製する際の布
端制御の精度を高めることができる。
【0062】請求項3のミシンによれば、前記布端制御
手段が、加工布の布端位置を検出する布端センサーと、
布端センサーの検出信号を受けて、加工布の布端の基準
位置からのずれを修正しその加工布の布端を所定の位置
に保つように移動させる加工布移動装置とを含むため、
加工布の直線状部分及び曲率の小さなカーブ状部分を縫
製する際に、加工布の布端位置を所定の位置に保つこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る工業用縫製装置の正面図
である。
【図2】前記縫製装置の本縫いミシンのベッド部を臨む
平面図である。
【図3】前記本縫いミシンの要部拡大正面図である。
【図4】前記本縫いミシンの針板、押え足、上下の送り
歯等の平面図である。
【図5】前記本縫いミシンの要部拡大側面図である。
【図6】前記本縫いミシンの布送りの作用を説明した説
明図である。
【図7】前記縫製装置の上布横送り装置の正面図であ
る。
【図8】前記縫製装置の上布横送り装置等の平面図であ
る。
【図9】前記縫製装置の下布横送り装置の側面図であ
る。
【図10】図9の下布横送り装置等の正面図である。
【図11】上布布端センサと下布布端センサの近傍部の
要部拡大正面図である。
【図12】上布布端検出装置の全体斜視図である。
【図13】下布布端検出装置の全体斜視図である。
【図14】前記工業用縫製装置の制御系のブロック図で
ある。
【図15】上布の縫製区間等を説明した説明図である。
【図16】下布の縫製区間等を説明した説明図である。
【図17】縫製データの内容を説明した説明図表であ
る。
【図18】送り量補正係数のマップの図表である。
【図19】送り量補正処理のルーチンのフローチャート
である。
【図20】縫製制御のルーチンのフローチャートの一部
である。
【図21】縫製制御のルーチンのフローチャートの残部
である。
【図22】縫製後の布製シューズの斜視図である。
【図23】縫製後の布製シューズの斜視図である。
【符号の説明】
M 工業用縫製装置 2 上布(加工布に相当する) 3 下布(加工布に相当する) 10 本縫いミシン 11 ベッド部 16 下送り歯 19 上送り歯 21 押え足 22 押え棒 27 針板 30 上布横送り装置 70 下布横送り装置 130 上布布端検出装置 131 上布布端センサー 140 下布布端検出装置 141 下布布端センサー 151 押え棒上下用ソレノイド 152 上送り調節用ステッピングモータ 153 下送り調節用リニアソレノイド 160 制御ユニット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針落下点を通過して加工布を加工布支持
    面上において移送し得ると共に加工布の布端の小カーブ
    に対応し得るようにその加工布の移送方向を制御し得る
    小カーブ制御機能を持った布送り手段と、 前記布送り手段の布送り込み側にそれと間隔をおいて配
    置され加工布の布端を所定の位置に保つように制御する
    布端制御手段と、 を備えたミシン。
  2. 【請求項2】 前記布送り手段が、 加工布支持面上に下方から臨み送り量を調整可能な下送
    り歯と、 加工布支持面の上方から加工布を隔てて前記下送り歯に
    当接可能で且つ前記下送り歯とは独立して送り量を調整
    可能な上送り歯と、 加工布を押える押え足とを有し、 且つ、上送り歯の布送り面と、押え足の布送り面とは、
    布送り方向に平行で且つ近接して位置し、加工布を隔て
    て下送り歯に当接するように構成されていることを特徴
    とする請求項1に記載のミシン。
  3. 【請求項3】 前記布端制御手段が、 加工布の布端位置を検出する布端センサーと、 この布端センサーの検出信号を受けて、加工布の布端の
    基準位置からのずれを修正しその加工布の布端を所定の
    位置に保つように移動させる加工布移動装置とを含むこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のミシン。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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