JPH0730509B2 - スルホン化sym―トリアジン誘導体を用いてタンパク質性繊維およびそれらのブレンドを保護する方法、および保護されたタンパク質性繊維およびそれらのブレンド - Google Patents

スルホン化sym―トリアジン誘導体を用いてタンパク質性繊維およびそれらのブレンドを保護する方法、および保護されたタンパク質性繊維およびそれらのブレンド

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JPH0730509B2
JPH0730509B2 JP61500237A JP50023786A JPH0730509B2 JP H0730509 B2 JPH0730509 B2 JP H0730509B2 JP 61500237 A JP61500237 A JP 61500237A JP 50023786 A JP50023786 A JP 50023786A JP H0730509 B2 JPH0730509 B2 JP H0730509B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、スルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym−
トリアジン誘導体を用いてウールおよびその他のタンパ
ク質性繊維およびそれらのブレンドを光分解および熱分
解に対して保護する方法、および保護されたタンパク質
性繊維およびそれらのブレンドに関する。
日光は種々の方法で繊維物質に被害を与える。
染色されていないウール織物は、しばしば黄変色し、一
方、染色されたウールは光による黄変色化と染色の色あ
せの両方を受ける。
日光による被害は、光柔軟化(Phototendering)と称さ
れる織物の強度および耐摩耗性の低下となって表われ
る。
ウールのカーテンおよび自動車用室内装飾用品は、とり
わけ暑い、日のさす地方では特に光柔軟化を受け易い。
熱のみに長い間、さらすことによってもウール織物は黄
色になるが、日光および熱の両方にさらされるよりもそ
の速度はおそい。
多くの合成繊維及びプラスチックが光により被害を受け
ることは良く知られており、日光にさらすことによる以
後の被害をおくらせるために、製造前に、または製造中
に紫外線吸収剤を含めて添加剤をこれらの物質に添加す
ることが通常行なわれている。
多くのタイプの紫外線吸収剤が知られており、2−ヒド
ロキシベンゾフエノン類、2,2′−ジヒドロキシベンゾ
フエノン類および2−ヒドロキシフエニルベンゾトリア
ゾール類は最も広く知られ、使用されている。
2−ヒドロキシフエニル−sym−トリアジン類もまた、
良く知られている紫外線吸収剤ではあるが、あまり広く
は使用されていない。
これらすべての紫外線吸収剤は、照射された紫外線を主
として優先的に吸収し、紫外線のエネルギーを無害化
し、この結果、処理された繊維物質またはプラスチック
物質の被害を最小限にとどめる機能があると信じられて
いる。
また、これら紫外線吸収剤は、日光にさらすことにより
生じたラジカル種を一掃する機能を有するとも考えられ
る。
膨大な数の紫外線吸収剤の大部分はスルホン化されてい
ない化合物であり、これはこれら化合物の無極性が多く
の合成繊維およびプラスチックへの適用により好適であ
るとされているからである。
しかしながら、ウール、絹および他のタンパク質繊維は
陽イオン基を含む極性繊維なので、スルホン化されてい
ない母体化合物で処理するよりもスルホン化された(陰
イオン性)の紫外線吸収剤で処理する方がより妥当であ
る。
2−ヒドロキシベンゾフエノン、2,2′−ジヒドロキシ
ベンゾフエノンおよび2−ヒドロキシフエニルベンゾト
リアゾール型のスルホン化された紫外線吸収剤はすでに
記述されており、ウール、ナイロンおよび他の極性繊維
用の光保護剤として推賞されている。
たとえば、下記の記述がある。
1.「黄変色に対してウールを保護するための紫外線吸収
剤の比較」、ローズ(W.G.Roso)、ワルデン(M.K.Wald
en)およびモーア(J.E.Moore)、Text.Res.J.,1961,3
1,495。
2.「紫外線照射によるウールの黄変色を防止のための2,
4−ジヒドロキシベンゾフエノン−2−アンモニウムス
ルホネートの使用」、セガッラ(J.Cegarra)、リーベ
(J.Ribe)およびミロ(P.Miro)、J.Soc.Dyers Colou
r.,1972,88,293。
3.「ウールの光劣化遅延のための紫外線吸収剤:スルホ
ン化長鎖置換2−ヒドロキシベンゾフエノン」ミリガン
(B.Milligan)およびホルト(L.A.Holt)、Polym.Deg
r.Stab.,1983,,339。
4.「ウールの光劣化遅延のための紫外線吸収剤:スルホ
ン化2−ヒドロキシベンゾフエノンおよび2,2′−ジヒ
ドロキシベンゾフエノン」、ミリガン(B.Milligan)お
よびホルト(L.A.Holt)、Polym.Degr.Stab.,1985,10,3
35。
5.チバ(CIBA)Ltd.,西ドイツ特許第1282019号(1968年
11月7日)。
6.「ウールを長時間日光にさらすことにより惹起される
化学的および物理的被害を減少するための紫外線吸収剤
の使用」、ウォータース(P.J.Waters)、エヴァンス
(N.A.Evans)、ホルト(L.A.Holt)およびミリガン
(B.Milligan)、Proc.Int.Wool Text.Res.Conf.,Preto
ria.,1980,V,195。
7.「ウールの光酸化におけるヒドロオキシフエニルベン
ゾトリアゾール紫外線吸収剤の二つの役割」、リーバー
(I.H.Leaver)、ウォータース(P.J.Waters)およびエ
ヴァンス(H.A.Evans)、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed
n.,1979,17,1531。
8.「置換2−(2′−ヒドロキシアリール)−2H−ベン
ゾトリアゾールスルホネートの天然および合成繊維用光
安定化剤としての使用」、CSIRO、ヨーロッパ特許出願
第83307443.8号(1983年12月7日)。
2−ヒドロキシフエニル−sym−トリアジン型のスルホ
ン化されていない吸収剤は良く知られており、たとえば
下記のとおりである。
1.ヒドロキシアリール−1,3,5−トリアジン。CIBA Lt
d.,フランス特許第1387435(1965年1月29日)。
2.ヒドロキシフエニル−sym−トリアジン.CIBA Ltd.,ベ
ルギー特許第661225号(1965年9月17日)。
3.ヒドロキシフエニル−1,3,5−トリアジン紫外線吸収
剤。CIBA Ltd.,オランダ特許第6408514号(1965年1月2
7日)。
4.「非対称置換o−ヒドロキシフエニル−sym−トリア
ジンの合成」、ブルネッティ(H.Brunetti)およびルテ
ィ(C.E.Luthi)、Helv.Chim.Acta.,1972,55,1566。
しかしながら、2−ヒドロキシフエニル−sym−トリア
ジン型のスルホン化紫外線吸収剤はほとんど知られてお
らず、唯一の例はω−スルホンアルキルオキシ基を含
む。(“香料、石鹸、プラスチックフィルムおよび写真
用ゼラチン組成物用安定剤として使用のための、スルホ
ン基含有ヒドロキシフエニル−1,3,5−トリアジン誘導
体”、CIBA Ltd.,フランス特許第1494413号、1967年9
月8日参照)。
これら化合物を天然および合成繊維に使用することはク
レームされていない。
本明細書で記述されるスルホン化2−ヒドロキシフエニ
ル−sym−トリアジンは、スルホン酸基が直接芳香環に
結合している点で上記化合物とは異なる。
これら紫外線吸収剤のいくつかは、他のスルホン化2−
ヒドロキシベンゾフエノンよりもウールに対して(光に
よる柔軟化および光による黄変化に対して)より効果的
な光安定化剤であり、また最も知られたスルホン化2−
ヒドロキシフエニルベンゾトリアゾールよりもより効果
的である。
また、これら紫外線吸収剤は、染色ウールに対する保
護、光柔軟化および変色の両方の遅延をもたらす。
この、スルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym−トリ
アジンによる変色の減少は最少の黄変色化と染色の退色
の低下に起因する。
従って本発明の目的は、ウール、モヘア、カシミアおよ
び絹のようなタンパク質性繊維状物質を、光による黄変
色化、光による柔軟化および熱による黄変色化から保護
すること、および染色されたタンパク質性繊維状物質を
光による柔軟化と変色の両方から保護することにある。
本発明によれば、タンパク質性繊維およびこれらのブレ
ンドを光による分解および熱分解に対して保護する方法
が提供され、この方法は下記式IまたはIIのスルホン化
sym−トリアジン誘導体により酸性条件下で繊維を処理
することから成る。
ここで、R1はH、アルキル、OHまたはO−アルキル、OO
C−アルキルまたはOOCNH−アルキルであり、 R2はH、アルキルまたは−OSO3Xであり、 R3はアリール、置換アリール、またはO−アルキルであ
り、XはH、NH4またはアルキル金属である。
上記式IIにおいて、 R1およびR4はH、アルキル、OHまたはO−アルキル、OO
C−アルキルまたはOOCNH−アルキルであり、 R2およびR5はH、アルキルまたは−SO3Xであり、 R3はHまたは−SO3Xであり、 R6はアリール、置換アリール、O−アルキルまたはO−
アリールであり、 XはH、NH4またはアルカリ金属である。
夫々の場合において、好ましいアリール基はフエニルで
あり、好ましい置換アリール基はアルキル置換フエニル
基である。好ましいアルキル基には、メチル、エチル、
n−プロピル、i−プロピル、n−ブチルおよびi−ブ
チルが含まれ、好ましいアルカリ金属はナトリウムであ
る。
式Iの好ましいスルホン化sym−トリアジン誘導体は、R
1はメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキ
シまたはアセトキシ基であり、R2が水素であり、R3がフ
エニル基またはアルキル置換フエニル基であり、Xがナ
トリウムである式Iの化合物である。
式IIの好ましい誘導体は、R1およびR4がメトキシ、エト
キシ、プロピルオキシ、ブチルオキシまたはアセトキシ
基であり、R2およびR5が水素であり、R3が水素またはス
ルホネート基であり、R6がフエニルまたはアルキル置換
フエニルであり、Xがナトリウムである式IIの化合物で
ある。
本発明の方法において使用するための特に好ましいスル
ホン化sym−トリアジン誘導体は、下記化合物のアンモ
ニウム、ナトリウムまたはカリウム塩である。
2,4−ジフエニル−6−(2′−ヒドロキシ−4′−メ
トキシ−5′−スルホフエニル)−sym−トリアジン、 2,4−ビス(2′,4′−ジメチルフエニル)−6−
(2″−ヒドロキシ−4″−アセトキシ−5″−スルホ
フエニル)−sym−トリアジン、 2,4−ジフエニル−6−(2′−ヒドロキシ−4′−n
−ブトキシ−5′−スルホフエニル)−sym−トリアジ
ン、 2,4−ビス(2′,4′−ジメチルフエニル)−6−
(2″−ヒドロキシ−4″−メトキシ−5″−スルホフ
エニル)−sym−トリアジン、 2,4−ジフエニル−6−(2′−ヒドロキシ−4′−ア
セトキシ−5′−スルホフエニル)−sym−トリアジ
ン、または 2,4−ジ−p−トリル−6−(2′−ヒドロキシ−4′
−メトキシ−5′−スルホフエニル)−sym−トリアジ
ン。
本発明の方法を特に受け入れ易いことが見出された繊維
は、染色または非染色にかかわらず、ウール、モヘア、
および絹およびこれらのブレンドである。
好ましくは、繊維の処理は1.5〜6の範囲内のpHで行な
われる。
本発明の好ましい態様を、本発明に従いスルホン化2−
ヒドロキシフエニル−sym−トリアジンで処理したウー
ルおよび絹における光分解の程度を説明する下記の実施
例にもとづき記述する。
光柔軟化の程度は、或る場合には耐摩耗性および引裂き
強度により決定されるが、通常では光にさらさない、お
よび光にさらした織物片の破断荷重の測定によって決定
される。
光黄変化および熱黄変化の強度は、織物の単一厚さにお
ける黄変色指数値を電算機化された反射率分光光度計
〔スペクトロガード・カラー・システム(Spectrogad C
olour System)、パシィフィック・サイエンティフック
・リミテッド(Pacific Saientific Ltd.)〕を使用し
て測定することにより決定した。
染色した織物の色の変化の程度ΔE(CIE Lab system)
も、またこの器具を使用して行なわれる。
熱黄変化の程度は織物試料を循環空気オーブン中で115
℃で6時間加熱することにより測定した。
実施例において特に述べない限り、紫外線吸収剤(5%
owf)は、アヒバ(Ahiba)実験染色機を用い、硫酸を含
む染色液槽(液:ウール比=60:1)で80℃で90分間、織
物に適用した。吸収剤の消費(染色液槽の光密度変化に
より測定)は90〜100%の範囲であった。
処理ずみ、非処理およびコントロール織物試料(150mm
×100mm)を、太陽光に類似した照射を与えると考えら
れる水銀蒸気−タングステン・リンランプ(Phillips M
L.500W型)から200mmの距離に2000hさらした。
織物は通常、45℃の空気温度で2000h、または70℃で100
0hさらした。
太陽光への曝露は、クイーンスランド(Queensland)、
タウンスビル(Townsville)の民営の試験設備であるア
ルンガ曝露実験室(Allunga Exposure Laboratary)
で、織物試料(150mm×100mm)について行なった。
織物は水平線に20゜傾斜し、北に面している窓ガラスの
後の柵上でさらした。
破断荷重は、調節(20℃,65%rh)した織物片(横糸50m
mおよび縦糸25mm;伸長率50mm/分)について横糸方向に
インストロン(Instron)引張り試験機(モデルTM)を
用いて測定した。
引裂き強度はASTM、D2261で記述した方法によって測定
した。
耐摩耗性はウォータース(P.J.Waters)およびエヴァン
ス(N.A.Evans)によって記述されたTaber Abraser(J.
Text.Inst.,1983,74,99)によって測定した。
表示した結果は、3〜6測定の平均である。
下記の実施例について結果を集めた。
実施例1〜11はウール(染色ウールを含む(実施例10参
照)〕に関し、実施例12は絹に関する。
実施例1 シミュレートされた日光からのウールの光柔軟化および
光黄変化の保護:種々のスルホン化2−ヒドロキシフエ
ニル−sym−トリアジンの有効性。
実施例2 シミュレートされた日光からのウールの光柔軟化および
光黄変化の保護:種々のスルホン化2−ヒドロキシフエ
ニル−sym−トリアジンの有効性。
実施例3 シミュレートされた日光による光柔軟化からウールの保
護:種々のスルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym−
トリアジンの有効性。
実施例4 シミュレートされた日光による光柔軟化からウールの保
護:種々のスルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym−
トリアジンの有効性。
実施例5 シミュレートされた日光による光柔軟化からウールの保
護:種々のスルホン化ビス(2−ヒドロキシフエニル)
−sym−トリアジンの有効性。
実施例6 シミュレート日光における光柔軟化からスルホン化トリ
アジンIによるウールの保護:濃度の影響。
実施例7 シミュレート日光における光柔軟化からスルホン化トリ
アジンIによるウールの保護:作用pHの影響。
実施例8 シミュレート日光a)における光柔軟化からウール織物の
保護:破断荷重、耐摩耗性および引裂き強度。
実施例9 窓ガラスa)を通して日光に曝露したことによる光柔軟化
と光黄変化からのウールの保護 実施例10 シミュレート日光a)および窓ガラスb)を通した日光への
染色織物の曝露による光柔軟化と変色に対する保護。
実施例11 熱による黄変化からウールの保護 実施例12 シュミレート日光a)における光柔軟化および光黄変色化
から絹の保護。
実施例において集められたデータの評価から下記の一般
的結論が導かれる。
1.表に示したスルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym
−トリアジン誘導体の大ていのものは、光柔軟化に対し
てウールを保護する(実施例1〜10)。
2.これらトリアジンの全てではないがあるものは、シミ
ュレート日光またはガラスを通した日光(実施例9)に
さらされたウールの光黄変色化を遅らせる(実施例1お
よび2)。
3.スルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym−トリアジ
ン誘導体への4−アルコキシ基の導入は、光柔軟化およ
び光黄変色化に対する保護のレベルを増加する(実施例
2)。
4.二つのフエニルまたはp−トリル基を含むスルホン化
2−ヒドロキシフエニル−sym−トリアジンは、光柔軟
化(実施例3)に対して良好な保護を与える。しかしな
がら二つのフエノキシ基を含むものは光柔軟化に保護を
与えない(実施例4)。
5.モノスルホン化およびジスルホン化2−ヒドロキシフ
エニル−sym−トリアジンは共に光柔軟化に対する保護
を与える(実施例2および5)。
6.二つのヒドロキシフエニル基を含むスルホン化sym−
トリアジンもまたウールの有効な光安定化剤である(実
施例5)。
7.ウール中のスルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym
−トリアジンの濃度が増大するにつれて、光保護の程度
は増大する(実施例6)。
8.スルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym−トリアジ
ンが適用されるpHの低下につれて光保護の程度が増する
(実施例7)。
9.シミュレート日光にさらすことによって惹起されたウ
ール織物の破断荷重の損失を減少させるスルホン化2−
ヒドロキシフエニル−sym−トリアジンは、また耐摩耗
性および引裂き強度の損失を減少させる(実施例8)。
10.シミュレート日光に対して光保護を与えるスルホン
化2−ヒドロキシフエニル−sym−トリアジン(実施例
2,6および7)は、またガラス越しの日光への曝露によ
って生じた光柔軟化および光黄変色化を遅らせる(実施
例9)。
11.スルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym−トリアジ
ンの染色ウールへの適用は、光柔軟化および変色の両方
を遅らせる(実施例10)。
12.スルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym−トリアジ
ンはウール織物の熱黄変色を軽減する(実施例11)。
13.スルホン化2−ヒドロキシフエニル−sym−トリアジ
ンは光柔軟化および光黄変色化の両方に対して絹を保護
する(実施例12)。
実施例1〜12に示したスルホン化sym−トリアジン誘導
体のほとんどは、母体sym−トリアジン誘導体をクロル
スルホン酸または発煙硫酸のいずれかでスルホン化する
ことによって製造される。
6種類のスルホン化sym−トリアジン紫外線吸収剤の製
造を下記に述べる。
スルホン化2−ヒドロキシアリール−sym−トリアジン
およびビス−2−ヒドロキシアリール−sym−トリアジ
ンの製造 2,4−ジフエニル−6−(2′−ヒドロキシ−4′−メ
トキシ−5′−スルホフエニル)−sym−トリアジン、
ナトリウム塩 2,4−ジヒドロキシ安息香酸を、ゴンベルク(M.Gomber
g)およびジョンソン(L.C.Johnson)の方法に従って
(J.Amer.Chem.Soc.,1917,(39),1687)ジメチル硫酸
で処理して2−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸に変
化させた。この2−ヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸
を、ゲイロード(N.G.Gaylord)およびカマス(P.M.Kam
ath)の一般的方法(Organic Synthesis,Coll.Vol.IV,
p.178,1986)に従ってフエノールおよびオキシ塩化リン
で処理してフエニル2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾエートを66%収率で得た。このフエニルエステルを2
モル当量のベンツアミジンと沸騰エタノール中で20時間
反応させて、2,4−ジフエニル−6−(2′−ヒドロキ
シ−4′−メトキシフエニル)−sym−トリアジンの沈
澱を得た。
この沈澱は、ホルムジメチルアミドから淡黄色針状、m.
p.211〜212℃で再結晶され、44%収率であった。
元素分析:C,74.0%;H,4.4%;N,11.6%。
C22H17N3O2としての計算値:C,74.4%;H,4.8%;N,11.8
%。
次いでこの化合物を、1.1モル当量のクロルスルホン酸
で沸騰クロルベンゼン中で1時間処理してスルホン化し
た。
得られた沈澱を集め、軽油で洗い、苛性ソーダ水溶液で
処理したところ、2,4−ジフエニル−6−(2′−ヒド
ロキシ−4′−メトキシ−5′−スルホフエニル)−sy
m−トリアジンのナトリウム塩が得られた。
30%エタノール水から再結晶して、87%収率で得られ
た。
元素分析:C,55.6%;H,3.6%;N,9.0%;S,6.4%。
C22H16N3O5SNa.1H2Oとしての計算値:C,55.6%;H,3.6%;
N,8.8%;S,6.7%。
2,4−ジ−p−トリル−6−(2′−ヒドロキシ−4′
−メトキシ−5′−スルホフエニル)−sym−トリアジ
ン、ナトリウム塩 2−(2′,4′−ジヒドロキシフエニル)−4,6−ジ−
p−トリル−sym−トリアジンを、塩化シアヌルからブ
ルネッティ(H.Brunetti)およびルティ(C.E.Luthi)
に従って四工程製造法(Helv.Chim.Acta.,1972,55,156
6)で製造した。
ホルムジメチルアミド中でヨー化メチルおよび炭酸カリ
ウムでメチル化し、2,4−ジ−p−トリル−6−(2′
−ヒドーキシ−4′−メトキシフエニル)−sym−トリ
アジンを93%収率で得た。
酢酸エチルから黄色針状で結晶した。m.p.235℃。
元素分析:C、75.2%;H,5.1%;N,10.6%。
C24H21N3O2として、C,75.2%;H,5.5%;N,11.0%。
沸騰クロルベンゼン中で1時間、1.1当量のクロルスル
ホン酸でスルホン化し、ナトリウム塩に変換後に70%エ
タノール水から再結晶して2,4−ジ−p−トリル−6−
(2′−ヒドロキシ−4′−メトキシ−5′−スルホフ
エニル)−sym−トリアジンのナトリウム塩を無色針
状、82%収率で得た。
元素分析:C,57.5%;H,4.1%;N,8.4%;S,6.6%。
C24H20N3O5SNa.1H2Oとしての計算値:C,57.2%;H,4.4%;
N,8.3%;S,6.4%。
2−(2′.4′−ジヒドロキシ−3′,5′−ジスルホフ
エニル)−4,6−p−トリル−sym−トリアジン、ジナト
リウム塩 上記の2−(2′,4′−ジヒドロキシフエニル)−4,6
−ジ−p−トリル−sym−トリアジンを、沸騰クロルベ
ンゼン中で1時間、2.5当量のクロルスルホン酸でスル
ホン化し、次いで得られた沈澱を過剰の苛性ソーダ水溶
液で処理して、トリナトリウム塩を生成物として得た
(収率61%)。
少量の酢酸を含む50%エタノール水から再結晶して淡黄
色のジナトリウム塩を得た。
元素分析:C,43.6%;H,3.7%;N,6.7%;S,10.1%。
C23H17N3O8S2Na2.3H2Oとしての計算値:C,44.0%;H,3.7
%;N,6.7%;S,10.1%。
2−(2′−ヒドロキシフエニル)−4−(2″−ヒド
ロキシ−5″−スルホフエニル)−sym−フエニル−S
−トリアジン、ナトリウム塩 ブルネッティ(H.Brunethi)およびルティ(C.E.Luth
i)の方法によって製造した(Helv.Chim.Acta,1972,55,
1566)2,4−ビス(2′−ヒドロキシフエニル)−6−
フエニル−sym−トリアジンを、沸騰クロルベンゼン中
で1モル当量のクロルスルホン酸でスルホン化し、生成
物に苛性ソーダ水溶液を加えてナトリウム塩に変換し
た。2−メトキシエタノール水から再結晶して上記ナト
リウム塩を53%収率で得た。
元素分析:C,54.7%;H,3.5%;N,9.3%;S,7.0%。
C21H14N3O5SNa.1H2Oとしての計算値:C,54.7%;H,3.5%;
N,9.1%;S,7.0%。
2,4−ビス(2′,4′−ジメチルフエニル)−6−
(2″−ヒドロキシ−4″−アセトキシ−5″−スルホ
フエニル)−sym−トリアジン、ナトリウム塩 2,4−ビス(2′,4′−ジメチルフエニル)−6−
(2″,4″−ジヒドロキシフエニル)−sym−トリアジ
ンを、ブルネッティ(H.Brunethi)およびルティ(C.E.
Luthi)に従ってレゾルシノールおよび2−クロル−4,6
−ビス(2′,4′−ジメチルフエニル)−sym−トリア
ジンから製造した(Helv.Chim.Acta,1972,55,1566)。
沸騰クロルベンゼン中で1時間、当量のクロルスルホン
酸でスルホン化し、炭酸ナトリウムで中和し、エタノー
ル水から再結晶して2,4−ビス(2′,4′−ジメチルフ
エニル)−6−(2″,4″−ジヒドロキシ−5″−スル
ホフエニル)−sym−トリアジンを淡黄針状結晶として8
8%収率で得た。
元素分析:C,57.1%;H,4.9%;N,7.9%;S,6.1%。
C25H22N3O5SNa.1 1/2H2Oとしての計算値:C,57.0%;H,4.
8%;N,8.0%;S,6.1%。
この生成物を沸騰無水酢酸(20倍容積)中で2時間、撹
拌してアセチル化し、2,4−ビス(2′,4′−ジメチル
フエニル)−6−(2″−ヒドロキシ4″−アセトキシ
−5″−スルホフエニル)−sym−トリアジンのナトリ
ウム塩を84%収率で得た。エタノール水から無色針状と
して結晶化された。
元素分析:C,58.9%;H,4.9%;N,7.5%;S,5.7%。
C27H24N3O6SNa.1/2H2Oとしての計算値:C,58.9%;H,4.6
%:N,7.6%;S、5.8%。
2,4−ビス(2′−ヒドロキシ−5′−スルホフエニ
ル)−6−フエニル−sym−トリアジン、ジナトリウム
塩 前記の2,4−ビス(2′−ヒドロキシフエニル)−6−
フエニル−sym−トリアジンを発煙硫酸(15%遊離SO3
10部と共に20℃で2時間撹拌した。
得られた溶液を氷水中にそそぎ、苛性ソーダ水溶液で中
和した。ジスルホネート(収率65%)を濾別し、水から
の、次いでメタノール水からの結晶化により精製した。
元素分析:C,46.2%;H,2.4%;N,7.7%;S,11.6%。
C21H13N3O8S2Na2としての計算値:C,46.2%;H,2.4%;N,
7.7%;S,11.8%。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ミリガン,ブライアン オ−ストラリア連邦、3104、ヴイクトリ ア、ノース・バルウイン、タンノツク・ス トリート、35 (72)発明者 ウオータース,ピーター・ジヨン オ−ストラリア連邦、3043、ヴイクトリ ア、グラツドストン・パーク、イートン・ コート、7

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維を酸性条件下、下記式IまたはIIのス
    ルホン化sym−トリアジン誘導体で処理することから成
    るタンパク質性繊維およびそれらのブレンドを光分解お
    よび熱分解に対して保護する方法。 式Iにおいて、R1は水素、アルキル、ヒドロキシル、O
    −アルキル、OOC−アルキルまたはOOCNH−アルキルであ
    り、R2は水素、アルキルまたは−SO3Xであり、R3はアリ
    ール、置換アリールまたはO−アルキルであり、Xは水
    素、NH4またはアルカリ金属である。 式IIにおいて、R1およびR4は水素、アルキル、ヒドロキ
    シル、O−アルキル、OOC−アルキルまたはOOCNH−アル
    キルであり、R2およびR5は水素、アルキルまたは−SO3X
    であり、R3は水素または−SO3Xであり、R6はアリール、
    置換アリール、O−アルキルまたはO−アリールであ
    り、Xは水素、NH4またはアルカリ金属である。
  2. 【請求項2】範囲1.5〜6内のpHで行なわれる請求の範
    囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】繊維が染色または非染色のウール、絹、モ
    ヘアまたはカシミア、またはこれらのブレンドである請
    求の範囲第1項又は第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】スルホン化sym−トリアジン誘導体がR1
    メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシま
    たはアセトキシ基であり、R2が水素であり、R3がフエニ
    ルまたはアルキル置換フエニル基であり、Xがナトリウ
    ムである式Iの化合物である請求の範囲第1項、第2項
    および第3項のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】スルホン化sym−トリアジン誘導体が、R1
    およびR4がメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチ
    ルオキシまたはアセトキシ基であり、R2およびR5が水素
    であり、R3が水素またはスルホネート基であり、R6がフ
    エニルまたはアルキル置換フエニル基であり、Xがナト
    リウムである式IIの化合物である請求の範囲第1項、第
    2項および第3項のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】スルホン化sym−トリアジン誘導体が、2,4
    −ジフエニル−6−(2′−ヒドロキシ−4′−メトキ
    シ−5′−スルホフエニル)−sym−トリアジン、2,4−
    ビス(2′,4′−ジメチルフエニル)−6−(2″−ヒ
    ドロキシ−4″−アセトキシ−5″−スルホフエニル)
    −sym−トリアジン、2,4−ジフエニル−6−(2′−ヒ
    ドロキシ−4′−n−ブトキシ−5′−スルホフエニ
    ル)−sym−トリアジン、2,4−ビス(2′,4′−ジメチ
    ルフエニル)−6−(2″−ヒドロキシ−4″−メトキ
    シ−5″−スルホフエニル)−sym−トリアジン、2,4−
    ジフエニル−6−(2′−ヒドロキシ−4′−アセトキ
    シ−5′−スルホフエニル)−sym−トリアジンおよび
    2,4−ジ−p−トリル−6−(2′−ヒドロキシ−4′
    −メトキシ−5′−スルホフエニル)−sym−トリアジ
    ンのアンモニウム、ナトリウムまたはカリウム塩から成
    る群から選ばれる請求の範囲第1項、第2項および第3
    項のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】式IまたはII (式Iにおいて、R1は水素、アルキル、ヒドロキシル、
    O−アルキル、OOC−アルキルまたはOOCNH−アルキルで
    あり、R2は水素、アルキルまたは−SO3Xであり、R3はア
    リール、置換アリールまたはO−アルキルであり、Xは
    水素、NH4またはアルカリ金属である) (式IIにおいて、R1およびR4は水素、アルキル、ヒドロ
    キシル、O−アルキル、OOC−アルキルまたはOOCNH−ア
    ルキルであり、R2およびR5は水素、アルキルまたは−SO
    3Xであり、R3は水素または−SO3Xであり、R6はアリー
    ル、置換アリール、O−アルキルまたはO−アリールで
    あり、Xは水素、NH4またはアルカリ金属である) のスルホン化sym−トリアジン誘導体で処理することに
    より、光分解および熱分解に対して保護されたタンパク
    質性繊維およびそれらのブレンド。
JP61500237A 1984-12-07 1985-11-29 スルホン化sym―トリアジン誘導体を用いてタンパク質性繊維およびそれらのブレンドを保護する方法、および保護されたタンパク質性繊維およびそれらのブレンド Expired - Lifetime JPH0730509B2 (ja)

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