JPH0730473A - 無線中継装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 無線信号を中継するときの送信アンテナから
受信アンテナへの回り込みを原因とする発振を防止する
ために、送信信号に小さな周波数オフセットを与えて受
信信号に生じる干渉成分を検出する無線中継装置におい
て、バースト的変動波を受信したときに誤って回り込み
が大きいと判断することを防止する。 【構成】 受信信号を一定の間隔でサンプリングし、連
続する二つのサンプルのレベル差が規定値を越えたとき
には、バースト的変動波を受信したものと判断する。 【効果】 バースト的変動波に対する回り込み検出およ
び発振防止制御の誤動作を防止できるので、ＴＤＭＡそ
の他のディジタル信号の中継に利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は無線信号の中継に利用す
る。特に、送信アンテナと受信アンテナとの間の電波の
回り込みの検出に関する。さらには、電波の回り込みを
原因とする発振の防止に関する。

【０００２】

【従来の技術】無線中継装置において送信アンテナと受
信アンテナとの電波の回り込みを原因とする発振を防止
するため、無線周波数の受信信号を増幅して再送信する
ときに送信信号の周波数を受信信号の周波数からわずか
にオフセットさせて送信し、受信信号に含まれるオフセ
ット周波数成分を検出することにより、送信アンテナと
受信アンテナとの間の電波の回り込み量を測定すること
が行われている。このような技術は、例えば、特開昭６
２−１４１８２６号公報（特願昭６０−２８１２１
９）、特開昭６２−２６６９３０号公報（特願昭６１−
１１１０８８）、特開昭６３−７９４２９号公報（特願
昭６１−２２３４９６）に示されている。これらの公報
に開示された基本的な構成を図２に示す。

【０００３】図２は従来例無線中継装置のブロック構成
を示し、図３は中継すべき無線信号の波形例、図４は実
際の受信信号波形例、図５はＴＤＭＡ信号の波形例を示
す。ここでは中継方向が一方向の構成例を示すが、双方
向通信に用いる場合には同等の構成が逆方向に併設され
る。

【０００４】この従来例装置は、受信アンテナ１、結合
器２、減衰器３、周波数オフセット回路４、増幅器５、
検出器６、制御器７および送信アンテナ８を備える。こ
の無線中継装置の基本的な動作は、中継すべき無線信号
１１を受信アンテナ１により受信し、増幅器５で増幅し
た後に、送信アンテナ８から送信信号１２として送信す
ることである。自動車電話など無線基地局から複数の無
線チャネルを送信する通信方式では、無線中継装置は複
数の無線チャネルを同時に中継する。

【０００５】このような動作において、送信アンテナ８
からの送信信号１２の一部が回り込み信号１３となって
受信アンテナ１に受信される。無線中継装置の中継利得
をＧとし、送信アンテナ８と受信アンテナ１との間の結
合減衰量をＬとすると、Ｌ＜Ｇの場合には回り込み信号
１３の総合利得が正となり、系は不安定となって発振を
起こし、通信システムに悪影響を与える。

【０００６】そこで、周波数オフセット回路４により、
送信信号１２の周波数を中継すべき無線信号１１に対し
てオフセットさせる。ただし、送信信号１２の無線チャ
ネルは無線信号１１と同一である。周波数オフセット量
は通信に影響を与えない量であり、例えば８００ＭＨｚ
帯信号に対して１００Ｈｚ程度とする。ここで、中継す
べき無線信号１１の信号レベルが図３に示すように一定
であるとする。この無線信号１１に送信アンテナ８から
の回り込み信号１３が重畳されるため、受信アンテナ１
が受信する包絡線には、図４に示すように、周波数オフ
セット回路４によるオフセット量に等しい周波数のビー
トが発生する。このビートの大きさは中継すべき無線信
号１１と送信信号１２とのレベル差を正確に表す。この
ビート量を測定して中継利得を制御する。

【０００７】すなわち、受信アンテナ１の受信信号を結
合器２により分岐し、分岐信号のビート量を検出器６に
より測定する。これにより、送信アンテナ８から受信ア
ンテナ１への回り込み信号１３の量を正確に検出でき
る。この量が増大し発振の危険性が発生した場合には、
制御器７により中継利得を低減し、発振を未然に防ぐ。
図２に示した例では、周波数オフセット回路４の前段に
減衰器３を設け、この減衰器３によりレベル調整を行う
ことにより中継利得を制御する。なお、自動車電話など
無線基地局から複数の無線チャネルを送信する通信方式
では、検出器６で各無線チャネルごとに測定を行い、回
り込み量が最大のチャネルに対応可能なように制御を行
う。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の無線中
継装置は、信号レベルがバースト的に変動するような無
線信号を中継するには適していない。例えばディジタル
移動通信方式で用いられるＴＤＭＡ（時分割多重通信）
信号では、複数の信号（例えば３チャネル）が多重さ
れ、各チャネルが通信中か否かなどの通信状態により、
各チャネルスロットの信号レベルが異なってしまう。す
なわち、図５に示したように、無線信号の包絡線が周期
的にバースト的な変動をする。このような場合、上述し
た従来の無線中継装置では、回り込み信号が微小であっ
ても、バースト的変動波を受信したときには大きな包絡
線変動が測定され、回り込み信号に起因するビートの発
生として誤検出してしまう。このため、中継装置の利得
を低減してしまい、通信に悪影響を与えてしまう。

【０００９】本発明は、このような課題を解決し、信号
がバースト的に変動した場合でも回り込み検出発振防止
制御の誤動作を防止することのできる無線中継装置を提
供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の無線中継装置
は、無線周波数信号を受信する受信手段と、この受信手
段の受信出力を増幅する増幅手段と、この増幅手段の出
力を中継信号として無線区間に送信する送信手段と、こ
の送信手段から送信する信号の無線周波数に同一の無線
チャネル内で微小な周波数オフセットを与える周波数オ
フセット手段と、この周波数オフセットによって受信手
段の受信出力に生じる干渉成分により送信手段から送信
された信号の受信手段への回り込みを検出する検出手段
とを備えた無線中継装置において、受信出力を一定の間
隔でサンプリングしてその信号レベルを測定するサンプ
リング測定手段と、このサンプリング測定手段により測
定された連続する二つの信号レベルの間のレベル差があ
らかじめ定められた値を越えたときにはバースト的変動
波を受信したものと判断する判断手段とを備えたことを
特徴とする。

【００１１】検出手段の出力にしたがって受信手段の受
信レベルに対する送信手段の送信レベルすなわち中継利
得の調整を行うレベル調整手段と、判断手段がバースト
的変動波を受信したものと判断したときには、このレベ
ル調整手段によるレベル調整を中断させる手段とをさら
に備えることがよい。

【００１２】

【作用】受信信号を無線チャネルごとに測定し、受信信
号のレベルが急激に変動した場合には受信信号がバース
ト状にレベル変動したとみなす。そして、回り込み信号
検出の測定を中断または他のチャネルに移し、回り込み
検出制御の誤動作を防止する。

【００１３】

【実施例】図１は本発明実施例の無線中継装置を示すブ
ロック構成図である。

【００１４】この無線中継装置は、無線周波数信号を受
信する受信手段として受信アンテナ１を備え、この受信
アンテナ１の受信出力を増幅する増幅手段として増幅器
５を備え、この増幅器５の出力を中継信号として無線区
間に送信する送信手段として送信アンテナ８を備える。
さらに、この送信アンテナ８から送信する信号の無線周
波数に同一の無線チャネル内で微小な周波数オフセット
を与える周波数オフセット手段として増幅器５の前段に
周波数オフセット回路４を備え、この周波数オフセット
によって受信アンテナ１の受信出力に生じる干渉成分に
より送信アンテナ８から送信された信号の受信アンテナ
１への回り込みを検出する検出手段として結合器２およ
び検出器６を備える。また、検出器６の出力にしたがっ
て受信アンテナ１の受信レベルに対する送信アンテナ８
の送信レベルの調整を行うレベル調整手段として制御器
７および減衰器３を備える。

【００１５】ここで本実施例の特徴とするところは、受
信アンテナ１の受信出力を一定の間隔でサンプリングし
てその信号レベルを測定するサンプリング測定手段とし
てサンプリング回路９を備え、このサンプリング回路９
により測定された連続する二つの信号レベルの間のレベ
ル差があらかじめ定められた値を越えたときにはバース
ト的変動波を受信したものと判断する判断手段が制御器
７内に設けられたことにある。制御器７にはさらに、バ
ースト的変動波を受信したものと判断したときには減衰
器３によるレベル調整を中断させる制御手段を備える。

【００１６】この無線中継装置の基本的な動作は、中継
すべき無線信号１１を受信アンテナ１により受信し、そ
の受信出力を増幅器５で増幅し、送信アンテナ８から送
信信号１２として送信するものである。

【００１７】受信アンテナ１の受信出力は結合器２によ
り分岐され、その一方が減衰器３および周波数オフセッ
ト回路４を経由して増幅器５に入力される。減衰器３は
この無線中継装置の全体としての中継利得を調整する。
周波数オフセット回路４は、送信信号１２の周波数に無
線チャネルに変更を与えない程度の微小な周波数オフセ
ットが生じるように、増幅器５の入力信号に周波数オフ
セットを与える。

【００１８】結合器２により分岐された他方の受信出力
は、検出器６とサンプリング回路９とに入力される。検
出器６は、受信出力に含まれるビート量を測定し、送信
アンテナ８から受信アンテナ１への回り込み信号１３の
量を検出する。制御器７は、この検出器６の出力にした
がって減衰器３の減衰量を制御し、中継利得を制御す
る。これにより、電波の回り込みを原因とする発振が防
止される。

【００１９】サンプリング回路９は、結合器２からの入
力信号を一定の時間間隔でサンプリングし、レベル検出
回路１０に出力する。サンプリング速度は、例えば１秒
間に１０００サンプルとする。レベル検出回路１０はサ
ンプリングごとの信号レベルを検出する。制御器７で
は、各サンプルごとに前サンプルとレベルを比較し、そ
の比較においてレベル差があらかじめ定められた規定値
以上となった場合には、バースト的レベル変動と判断
し、中継利得低減が行われないように制御する。

【００２０】この動作を図４および図５を参照してさら
に詳しく説明する。

【００２１】図４に示したように、中継すべき無線信号
１１と送信アンテナ８からの回り込み信号１３とによ
り、受信アンテナ１による受信信号には、周波数オフセ
ット回路４によるオフセットに等しい周波数のビートが
発生する。このとき、そのビートは正弦波状に変動し、
サンプリング回路９による連続する二つのサンプル間の
レベル差は、例えば３ｄＢ以下とわずかである。これに
対し、ＴＤＭＡ方式のように信号がバースト的に変動す
る場合には、図５に示したように、受信信号の包絡線が
変動するとき、バーストの変化点で連続する二つのサン
プル間のレベルが、例えば５ｄＢ以上と大きく変動す
る。

【００２２】したがって、制御器７に例えば３ｄＢとい
う規定値をあらかじめ設け、連続するサンプル間のレベ
ル差がその規定値以内の場合には、ビートを検出して回
り込み信号量を測定し、回り込み信号による発振の危険
性がある場合には利得調整制御を行う。一方、連続する
サンプル間のレベル差が規定値以上の場合には、入力信
号がバースト的に変動したとみなし、受信信号のバース
ト的変動がなくなるまで利得調整制御を停止する。ま
た、移動通信その他のマルチキャリア通信方式において
は、ビート測定中に受信信号のバースト的変動を検出し
た場合には、そのチャネルのビート測定を中止し、他の
チャネルに移ってビート測定を行う。

【００２３】以上の実施例では中継利得の調整を増幅器
５とは別の減衰器３を用いて行う構成としたが、増幅器
５の利得を直接に調整しても本発明を同様に実施でき
る。また、上述の実施例とは異なる減衰器３および周波
数オフセット回路４の配置も可能である。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の無線中継
装置は、送信信号の無線周波数に周波数オフセットを与
え、その送信信号の回り込みにより受信信号に生じるビ
ート量を測定する装置において、受信信号レベルの急激
な変動がある場合には、その信号がバースト的に変動し
ているものとみなす。これにより、バースト信号を受信
したときに誤って回り込みがあると検出すること、およ
びそれにより中継利得を誤って調整することを防止す
る。したがって、電波の回り込みを原因とする発振を防
止しながら、ＴＤＭＡ信号などのバースト的に変動する
無線信号についても中継することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の無線中継装置を示すブロック構
成図。

【図２】従来例の無線中継装置を示すブロック構成図。

【図３】中継すべき無線信号の波形例を示す図。

【図４】回り込み信号が重畳された受信信号の波形例を
示す図。

【図５】ＴＤＭＡ信号の波形例を示す図。

【符号の説明】

１ 受信アンテナ ２ 結合器 ３ 減衰器 ４ 周波数オフセット回路 ５ 増幅器 ６ 検出器 ７ 制御器 ８ 送信アンテナ ９ サンプリング回路 １０ レベル検出回路 １１ 中継すべき無線信号 １２ 送信信号 １３ 回り込み信号

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無線周波数信号を受信する受信手段と、 この受信手段の受信出力を増幅する増幅手段と、 この増幅手段の出力を中継信号として無線区間に送信す
   る送信手段と、 この送信手段から送信する信号の無線周波数に同一の無
   線チャネル内で微小な周波数オフセットを与える周波数
   オフセット手段と、 この周波数オフセットによって上記受信手段の受信出力
   に生じる干渉成分により上記送信手段から送信された信
   号の上記受信手段への回り込みを検出する検出手段とを
   備えた無線中継装置において、 上記受信手段の受信出力を一定の間隔でサンプリングし
   てその信号レベルを測定するサンプリング測定手段と、 このサンプリング測定手段により測定された連続する二
   つの信号レベルの間のレベル差があらかじめ定められた
   値を越えたときにはバースト的変動波を受信したものと
   判断する判断手段とを備えたことを特徴とする無線中継
   装置。
2. 【請求項２】 上記検出手段の出力にしたがって上記受
   信手段の受信レベルに対する上記送信手段の送信レベル
   の調整を行うレベル調整手段と、 上記判断手段がバースト的変動波を受信したものと判断
   したときには、このレベル調整手段によるレベル調整を
   中断させる手段とを備えた請求項１記載の無線中継装
   置。