JPH0730420A - 原子周波数標準器のエバネセント界インテロゲータ - Google Patents

原子周波数標準器のエバネセント界インテロゲータ

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JPH0730420A
JPH0730420A JP6086251A JP8625194A JPH0730420A JP H0730420 A JPH0730420 A JP H0730420A JP 6086251 A JP6086251 A JP 6086251A JP 8625194 A JP8625194 A JP 8625194A JP H0730420 A JPH0730420 A JP H0730420A
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dielectric
disk
cell
absorption cell
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Thomas C English
シー. イングリッシュ トーマス
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    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03LAUTOMATIC CONTROL, STARTING, SYNCHRONISATION, OR STABILISATION OF GENERATORS OF ELECTRONIC OSCILLATIONS OR PULSES
    • H03L7/00Automatic control of frequency or phase; Synchronisation
    • H03L7/26Automatic control of frequency or phase; Synchronisation using energy levels of molecules, atoms, or subatomic particles as a frequency reference

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型で効率の良い原子周波数標準器を提供す
る。 【構成】 新規な原子周波数標準器10は、通過する光
エネルギーの強度を変化させるための第1の原子群を収
納する吸収セル24と、第1の原子群の超微細エネルギ
ー順位間遷移を誘起するエバネセント電磁界を発生する
ための少なくとも1つの誘電性共振器22と、吸収セル
と誘電性共振器とを収容する導波管と、導波管の一端近
傍に設けられて光エネルギーを受ける光検出器26と、
誘電性共振器を励振するための電磁エネルギー・インジ
ェクタとを含む。吸収セル24と光源12との間には、
誘電性共振器に隣接して、フィルターセルを設けるのが
好ましい。フィルターセルとこれに隣接する誘電性共振
器との距離を調整することによって、及び、誘電性共振
器に隣接して周波数調整用誘電性ディスクを設け、これ
ら間の距離を調整することによって、誘電性共振器の共
振周波数を調節することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、周波数標準器に関し、
特に、光ポンピング方式の原子周波数標準器に関するも
のである。
【0002】周波数標準器は、原子又は分子の適切に区
分された2以上のエネルギー準位間で遷移する原子群又
は分子群の作用を利用する共振システムである。
【0003】例えば、ルビジウム(Rb)原子の最も低
い2つのエネルギー準位は、基底状態超微細エネルギー
準位A、Bとして知られている。準位A、Bにあるガス
状のRb−87の原子に、超微細エネルギー間遷移を誘
起するルビジウム周波数に相当する、正確な「遷移周波
数」のマイクロ波エネルギーが照射されると、超微細エ
ネルギー準位Aのルビジウム原子が準位Bに、またその
逆に、遷移する。遷移は、原子周波数標準器を製作する
際に水晶発振器(VCXO)又は電圧制御結晶発振器の
周波数を電子的にロックすることができる高精度周波数
標準として利用される。
【0004】このような原子制御発振器では、水晶発振
器の周波数は、非常に長期に亘って極めて正確且つ安定
的に、規定された出力周波数、典型的には5MHz又は
10MHzを維持するための物理パッケージ及び電子素
子によって制御される。物理パッケージにおいて水晶発
振器を原子遷移の周波数に正しく追従させることによっ
て、エージング及び他の固有的及び外的要因に起因よる
水晶の経年劣化が著しく抑制される。典型的な原子周波
数標準器の物理パッケージは、マイクロ波キャビティ共
振器と、同位体フィルターセルと、吸収セルと、光源
と、光検出器と、温度制御手段と、これらの構成部材を
囲む少なくとも1つの磁気シールドとを含む。
【0005】このような典型的ルビジウム原子周波数標
準器では、例えば、光源は、rf励起プラズマ放電によ
り光を発生するルビジウム原子を含有するガラス製バル
ブである。ランプ内のルビジウム原子は、約110゜C
の気体に加熱されて高エネルギーrf電界中に置かれ、
励起されたルビジウム原子から光を発生させる。「ルビ
ジウム光」は、Rb−35のようなルビジウム同位体を
含有するフィルターセルに通され、フィルターセルは、
原子を超微細エネルギー準位Bから光学的に励起された
準位Cに遷移させる波長の光をろ過する。ろ過されたル
ビジウム光は、次いで、共振セルとも呼ばれる吸収セル
に導かれる。吸収セルは、別のルビジウム同位体Rb−
87を含有し、超微細エネルギー準位AのRb−87原
子に吸収されたろ過光エネルギーが、Rb−87原子を
準位Aから光励起された所望のエネルギー準位Cに遷移
させる。しかし、エネルギー準位Cに励起された原子
は、数ナノ秒より長くはその準位にとどまらず、自然発
光や、他の原子や分子又は吸収セルの壁面との衝突等に
より、ほぼ同数が、基底状態超微細準位A、Bに復帰す
る。ろ過光は、原子を準位Bから準位Cへは遷移させな
いから、原子の準位Aから準位Cへの光励起の反復、及
び、準位Cから準位A、B間へ落下する原子の再分布の
結果、準位Cへ励起するための準位Aの原子は、存在す
るとしても極く僅かになり、原子は超微細エネルギー準
位Bに蓄積されてしまうので、吸収セルを通過する光の
吸収は殆ど又は全く無くなる。この現象を、準位Aの原
子は準位Bに「光ポンピング」されたと言う。しかし、
もしルビジウム遷移周波数でマイクロ波エネルギーが吸
収セルに印加されると、超微細準位A、B間の原子の遷
移が起こり、準位Aに原子が再び導入され、この原子が
再度光エネルギーを吸収して準位Cに遷移する。これに
よって、吸収セルを透過する光が減少する。
【0006】吸収セルを透過するルビジウム光は、光検
出器に入射され、光検出器は、入射光の強度に比例する
電流出力を発生する。電流出力はサーボ電子系によって
処理され、電圧制御結晶発振器(VCXO)への制御電
圧とされ、該発振器の出力は、ルビジウム遷移周波数に
逓倍(及び合成)され、超微細準位A、B間の遷移を誘
起するためのマイクロ波エネルギーとされる。マイクロ
波エネルギーの周波数が超微細遷移周波数(Rb−87
の場合は6.834GHz)に相当するときは、光の吸
収が最大になって、光検出器の電流出力が減少する。し
かし、マイクロ波エネルギーが超微細周波数と一致しな
いときは、吸収セルを透過して光検出器に達する光が増
大し、光検出器の電流出力が増す。従って、光検出器の
電流出力は、典型的には5又は10MHzのVCXOの
出力周波数(これは、上述したように、逓倍及び合成さ
れ、ルビジウム原子の超微細遷移周波数とされる)を維
持するためのエラー信号を生成するのに使用することが
でき、これによって、極めて安定した5又は10MHz
出力用周波数標準器を実現することができる。
【0007】尚、既に知られているように、準位Aは、
実際には同一のエネルギーを持つ3つの準位から成り、
準位Bは、実際には準位Aの原子のエネルギーと超微細
エネルギー準位の差だけ異なる互いに同一のエネルギー
を持つ5つの準位から成る。実用上は、A準位を僅かに
分離すると共に、B準位も僅かに分離するように、弱い
静磁場(「C電界」〜0.3ガウス)がRb−87原子
に印加される。Rb−87原子を含有する吸収セルに適
正な周波数で供給されたマイクロ波エネルギーは、6.
834GHzで、量子数(F=2、MF=0)の一つの
B準位から量子数(F=1、MF=0)の一つのA準位
への、原子又は「クロック」の遷移を誘起する。
【0008】長年、動作特性を変えることなく、物理パ
ッケージの全体寸法を縮小するための改良に向けて、実
質的な努力が行われてきた。例えば、米国特許第3,9
03,481号は、光源から発せられる超微細光周波数
の1つを除去するのに使用されていたフィルターセルを
物理パッケージから省くことによって、ルビジウム気体
周波数標準器の全体寸法を縮小しようとする、初期の技
術を示している。その手法は、フィルターセルの機能
と、対応する吸収セルの機能とを結合するものである。
そして、ろ過原子(一般にはルビジウム同位体Rb−8
5)と緩衝ガスが、別のルビジウム同位体Rb−87を
含有する吸収セルに直接、併合される。従って、吸収セ
ルは、Rb−87原子の密度差を作るための光ポンピン
グが行われる吸収セルとしてばかりでなく、不要の遷移
を防止するためのフィルターセルとしても動作するとい
う、二重の機能を果たしている。このように、一つのセ
ル内に2つの機能を結合することにより、物理パッケー
ジの寸法が縮小された。
【0009】その他、Rb−87原子の励起に注目した
ものもある。米国特許第4,405,905号は、吸収
セルの周囲にマイクロ波ループを持った原子周波数標準
器を開示している。このマイクロ波ループは、コーティ
ング壁を有する減圧されたルビジウム吸収セルに含有さ
れているRb−87原子を励起するために使用されるも
のである。
【0010】米国特許第4,947,137号は、吸収
セルの円筒面に固着された、6.8GHz共振のヘリカ
ル共振体によって励起された原子に働きかけるための受
動型原子周波数標準器を開示している。
【0011】米国特許第4,494,085号は、マイ
クロ波キャビティ内にフィルターセルと吸収セルとを設
けた原子周波数標準器用小型光パッケージを開示してい
る。フィルターセルと吸収セルの窓を全てマイクロ波キ
ャビティ内の中心に配置することによって、キャビティ
に誘電性負荷を加え、小型化することができる。又、フ
ィルターセル及び吸収セルの窓の間にフルネル照準レン
ズを配設し、マイクロ波キャビティに更に誘電負荷を加
えることができる。
【0012】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、小型で効
率の良い原子周波数標準器を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、原子
を励起する共振エバネセント電磁界を発生して、原子の
超微細エネルギー準位間遷移を起こすための方法と小型
化された装置とに係わり、更に、エバネセント電磁界の
共振周波数を調整する方法に関する。このような新規な
原子周波数標準器は、光エネルギーを供給する光源と、
通過する光エネルギーの強度を変化させる第1の原子群
を含有する吸収セルと、第1の原子群の超微細エネルギ
ー準位遷移を誘起するエバネセント電磁界を発生する誘
電性共振器と、吸収セルとフィルターセルとを収容する
導波管と、導波管の一端近傍に設けられて光エネルギー
を受け取る光検出器と、誘電性共振器を励磁する電磁イ
ンジェクタとから成る。第1の電子群は、同位体Rb−
87又はCs−133などのアルカリ金属群から選ばれ
た1つの元素であることが望ましい。誘電性共振器は、
コーニング(Corning)8161ガラスのような誘電材料
製ディスクであることが好ましい。又、誘電性共振器の
Qは100以上であるのが好ましい。誘電性共振器の寸
法は、その初期共振周波数、例えば6.840GHzを
生成するように選択される。
【0014】好ましい実施例では、誘電性共振器が吸収
セルとフィルターセルとの間に配置され、誘電性共振器
とフィルターセルとの距離が、誘電体の共振に影響する
ように変えられる。このように構成することで、誘電性
共振器の共振周波数の調整を可能にする構造が得られ
る。フィルターセルを含まない実施例においては、誘電
性共振器に隣接して周波数調整ディスクを配置し、誘電
性共振器と周波数調整ディスクとの距離を変化させるこ
とにより、誘電性共振器の共振周波数を調整することが
できる。
【0015】別の実施例では、エバネセント電磁界を発
生するための吸収セルの両端に隣接して、第1の誘電性
共振器と第2の誘電性共振器とが配置される。第1、第
2の誘電性共振器は、夫々、光源からの有効光を透過さ
せる誘電材料で形成され、そのQは、100以上である
ことが望ましい。
【0016】他の実施例では、吸収セルの窓としても機
能するガラス製の誘電性共振器を設けることにより、吸
収セル及び誘電性共振器が一つのユニットに一体化され
る。この一体化ユニットは、更に、光エネルギーをろ過
するための原子を含有するようにしてもよい。他の実施
例では、Rb−85原子とRb−87原子との混合を含
有する一体化又は「集積」セルを構成するように、フィ
ルターセルと吸収セルとが一体化される。
【0017】導波管は、少なくとも一端が電気的に開放
されて導電性内面を有する円筒チューブ、或いは、銅製
ソリッド・チューブで構成するのが好ましい。導波管に
は、更に、フィルターセル及び/又は吸収セルを、そこ
に含有される物質の適正な気体密度を形成するのに充分
な温度に加熱するための加熱装置を設けることができ
る。
【0018】標準周波数を発生するための本発明による
方法は、複数の超微細エネルギー準位を持ち得る原子群
を供給する工程と、光エネルギーを発生して、その光エ
ネルギーを前記原子群に与える工程と、誘電性共振器を
励振する工程と、励振された誘電性共振器でエバネセン
ト電磁界を発生する工程と、前記原子群に与えられて該
原子群を透過する光エネルギーの強度に影響を与えるよ
うに、前記エバネセント電磁界を前記原子群に導入し
て、原子の超微細エネルギー準位間遷移を誘起する工程
と、透過する光エネルギーの強度に関連する電流出力
を、光検出器から出力させる工程とから成る。励振工程
は、光検出器からの電流出力をサーボ電子パッケージを
介して電圧制御された結晶発振器に供給する工程と、電
圧制御結晶発振器から出力信号を発生して誘電性共振器
を励振する工程とを含むことが好ましい。この方法は、
更に、光エネルギーをろ過して所定の周波数のみを透過
させる工程を含んでもよい。但し、光源としてレーザを
使用する場合は、光エネルギーのろ過工程は無くてもよ
い。
【0019】本発明の動作において、誘電性共振器の励
振によって発生されるエバネセント電磁界は、原子遷移
周波数(Rb−87原子については約6.834GH
z)とほぼ等しい誘電性共振器の共振周波数で共振す
る。エバネセント電磁界は、吸収セルを透過して、吸収
セル内の第1の原子群の超微細エネルギー準位間遷移を
誘起する。
【0020】原子周波数標準器において発生される電磁
場の共振周波数を調整する方法は、原子群の超微細エネ
ルギー準位間遷移を誘起するような該原子群との隣接位
置に誘電性共振器を設ける工程と、該誘電性共振器を該
原子群とフィルターセルとの間に位置させる工程と、誘
電性共振器とフィルターセルとの距離を調節して誘電性
共振器の共振周波数を調整する工程とから成る。
【0021】原子周波数標準器において発生される電磁
場の共振周波数を調整するためのもう一つの方法は、励
振された誘電性共振器を原子群に隣接させて、該原子群
の超微細エネルギー準位間遷移を誘起する工程と、該誘
電性共振器を該原子群と誘電性ディスクとの間に位置さ
せる工程と、誘電性共振器と誘電性ディスクとの距離を
調節して誘電性共振器の共振周波数を調整する工程とか
ら成る。
【0022】2つの誘電性共振器を有するシステムは、
誘電性ディスクを一方又は両方の誘電性共振器との隣接
位置に配置し、誘電性ディスクと隣接する誘電性共振器
との距離を調節することによって、周波数の調整を行う
ことができる。このシステムには、一方の誘電性共振器
に隣接する1つの周波数調整用誘電性ディスクと、他方
の誘電性共振器に隣接するフィルターセルとを設けても
よい。その場合、周波数調整用誘電性ディスクかフィル
ターセル又はその両方を、隣接する誘電性共振器に対し
て光学軸方向に移動させることによって、周波数の調整
を行うことができる。
【0023】本発明の他の特徴及び利点は、添付図面及
び以下の説明から明らかになるであろう。
【0024】
【実施例】図1は、本発明の実施例による原子周波数標
準器10の略線図である。原子周波数標準器10は、光
源12と、周波数逓倍/合成器14と、光物理パッケー
ジ16と、サーボ電子パッケージ18aと、電圧制御さ
れた結晶発振器(VCXO)18bとを含む。光物理パ
ッケージ16は、誘電性共振器22などの共振誘電体装
置と、Rb−47のような原子群を含有する吸収セル2
4とを収納する導波管20を含んでいる。光検出器26
は、便宜的に、導波管20の光源12とは反対側の一端
に近接して設けられている。
【0025】誘電性共振器22は、吸収セル24内の原
子のエネルギー準位間遷移のための光学的励起に有効な
光の周波数に対する透過性を示す低損失誘電体(例え
ば、Q>100)から成るディスクであり、光源12か
ら放射される有効な光を透過させる。誘電性共振器22
は、ほぼ、吸収セル24内の原子の遷移周波数に共振す
る寸法とされている。誘電性共振器22は、端面が開放
された導波管20の一分画に収納され、吸収セル24内
の原子の遷移周波数で動作する。本発明において、吸収
セル24と導波管20は共働して、吸収セル24内に広
がるエバネセント電磁界を発生させて従来のマイクロ波
キャビティを不要にすると共に、安価に製造できる原子
周波数標準器に使用される極めて小型の原子インテロゲ
ータを構成する。
【0026】上述した原子周波数標準器の動作におい
て、光源12から光物理パッケージ16に光エネルギー
が供給される。すると光検出器26は、吸収セル24を
介して到達した光エネルギーに対応する出力信号を発生
する。光検出器26からの信号は、サーボ電子パッケー
ジ18aを介してVCXO18bに供給される。VCX
O18bは、これに応答して、典型的には1、5、1
0、20MHz又はそれより高い周波数の出力信号を生
成して、周波数逓倍/合成器14に供給する。周波数逓
倍/合成器14は、VCXO信号を逓倍して、原子遷移
周波数出力信号14aを生成する。この信号は、電磁エ
ネルギー・インジェクタ・プローブ又はE電界プローブ
28に供給され、誘電性共振器22の励振に使用され
る。10MHzの信号からRb−87原子の超微細エネ
ルギー準位間遷移周波数を発生するための1つの方法と
しては、10MHzの信号を684倍して、10MHz
から合成された5.3MHzの信号をその積から減算す
ることが考えられる。これにより、(10MHz*68
4)−5.3MHz=6834.7MHzというRb−
87原子の超微細エネルギー準位間遷移周波数が得られ
る。誘電性共振器22は、約6834MHzで共振する
ように設計され、励振されると、吸収セル24内に広が
るエバネセント電磁界を発生し、原子を超微細準位A、
B間で遷移させる。
【0027】周波数逓倍/合成器14も、典型的には1
00Hzの低周波変調信号を発生するための電子回路を
含み、光物理パッケージ16に入力する前に6.834
GHzの信号を内部的に位相変調するためにこの回路を
使用する。位相変調されて光物理パッケージ16に入力
された6.834GHzの信号に応じて、誘電性共振器
22は変調エバネセント界を発生する。変調エバネセン
ト界は、吸収セル24内の原子に作用して、光検出器2
6に到達する光強度を変化させる。光検出器26は、交
流電流出力信号を発生し、この信号は、次にサーボ電子
パッケージ18aにより処理される。この処理を支援す
るために、サーボ電子パッケージ18aには周波数逓倍
/合成器14からも変調信号14bが供給され、この信
号は、これに同期して光検出器26からの交流信号を復
調してVCXO18bの周波数を制御するための直流エ
ラー電圧を生成するために使用される。
【0028】光源12は、励起されてインコヒーレント
な光エネルギーの放射プラズマ源となるRb−85とR
b−87原子の混合を含有する全方向性ルビジウムラン
プ、或いは、コヒーレントな光エネルギーのレーザ源で
構成することができる。光源12から放射される光エネ
ルギーは、光源12に近接する導波管20の開放端に集
光され、誘電性共振器22及び吸収セル24を通って、
光検出器26に至る。ルビジウムランプが使用される場
合、光源12内のRb−87原子が励起されて、例えば
約100MHzのラジオ周波数の放射を利用する放射プ
ラズマとされたとき、Rb−87原子は、夫々、2つの
主な超微細成分から成るRb−87の2つの強い光線
(794.8nmのD1と780.0nmのD2)を含
むスペクトルの光を発する。図1に示す吸収セル24
は、緩衝ガスとアルカリ金属原子群、詳細には、Rb−
87原子群又はRb−85とRb−87原子との混合を
含有するものである。ルビジウムランプから発するこの
ような光線が吸収セル24を透過するとき、何れの光ス
ペクトル線D1、D2についても、一方の超微細成分が
優先して吸収される。光スペクトル線D1、D2の内、
残りの成分は、ポンピング光として働き、吸収セル24
内のRb−87の2つの基底状態超微細準位間に密度差
を生じさせる。このとき、低い方の超微細状態、準位A
にある原子だけがポンピング光を吸収して光励起された
高エネルギー状態である準位Cに引き上げられることが
好ましい。更に、自然放出及び緩衝ガスの衝突によっ
て、このような原子は、ほぼ等量ずつ、2つの基底超微
細状態A、Bに分割される。この過程が継続するにつれ
て、準位Aでポンピング光を吸収できる原子数は減少し
ていき、吸収セル24はより多くの光を透過させるよう
になり、光検出器26に達する光エネルギーの強度が増
大する。
【0029】周波数逓倍/合成器14からのマイクロ波
エネルギーは、例えば、磁気結合ループを使用するか、
若しくは他の公知のエネルギー転送手段を使用して、図
1に示すE電界プローブ28に電磁エネルギーを供給す
ることにより、誘電性共振器22に与えられる。E電界
プローブ28は、誘電性共振器22に近接して配置する
必要があるが、その近接位置は一義的でなく、図1の位
置は単に好ましい例として示したものであって、本発明
は必ずしもこれに限定されない。誘電性共振器22に入
射された電磁エネルギーにより、誘電性共振器22は、
その共振周波数で発振するエバネセント電磁界を発生す
る。尚、この共振周波数は、ルビジウム装置の場合、理
想的には約6.834GHzのルビジウム周波数であ
り、これは、2つの基底状態超微細準位A、B間のエネ
ルギーギャップに相当する。原子の超微細遷移を誘起す
るのに必要なエネルギーEは、プランク定数をhとする
とき、原子の遷移周波数fと、式E=hfで表される関
係を持つ。導波管20は、誘電性共振器22によって発
生されて吸収セル24に供給されたエバネセント電磁界
を内部に閉じこめる。誘電性共振器22からのエバネセ
ント電磁界は、準位B、A間で原子の超微細エネルギー
準位間遷移を誘起することにより、低い方の超微細エネ
ルギー準位Aの原子の密度を増加させる。低い方のエネ
ルギー準位Aに達した原子は、光エネルギーを吸収し、
光源12から供給される光エネルギーにより光ポンピン
グされて、高いエネルギー準位Cに引き上げられる。こ
の光エネルギーの吸収により、光検出器26に到達する
光エネルギーが減少し、光検出器26からの出力電流も
減少する。従って、マイクロ波周波数が厳密に規定され
た6.834GHzのルビジウム遷移周波数と等しいと
き、光検出器26の電流出力29が最小になる。
【0030】光検出器26の電流出力29は、サーボ電
子パッケージ18aによって、振幅及び位相情報を有す
るエラー信号に電子的に変換される。この信号は、VC
XO18bの信号出力を5MHz又は10MHzの所望
のVCXO出力信号周波数に維持するために使用される
ものである。上述したように、VCXO信号は、周波数
逓倍/合成器14によって逓倍及び合成により6.83
4GHzのマイクロ波信号とされ、該信号は、誘電性共
振器22を電磁的に励振して、6.834GHzで発振
するエバネセント電磁界を発生させる。従って、VCX
O18bの周波数出力を、安定したルビジウム原子遷移
周波数にロックすることができる。
【0031】このように、上記装置及び方法を使用する
と、光検出器26に供給されるマイクロ波の共振周波数
がルビジウム遷移周波数と正確に一致するので、VCX
O18bを、正確に5又は10MHzで動作させること
ができる。
【0032】図2は、図1の原子周波数標準器10の光
物理パッケージの他の構成例を示す。図2において、原
子周波数標準器10aは、導波管20内の吸収セル24
と光検出器26aとの間に誘電性共振器22を配置して
成る光物理パッケージ16aを含む。光検出器26a
は、導波管20の開口部分に僅かに入り込むように、光
物理パッケージ16aの後面に取り付けられている。図
示例では、E電界プローブ28を誘電性共振器22と吸
収セル24との間に配置しているが、E電界プローブ2
8は誘電性共振器22に近接していればよく、その厳密
な位置は、本発明において必ずしも一義的でない。図2
の構成によれば、光物理パッケージ16aを図1の光物
理パッケージ16よりも小型化することができる。
【0033】光物理パッケージ16a全体の動作は、図
1の光物理パッケージ16の動作と実質的に同じであ
り、両システムの個々の部材は、実質的に等価である。
しかし、両光物理パッケージ16、16aの性能は、必
ずしも等価でない。第1の相違点は、図2の光物理パッ
ケージ16aの場合、誘電性共振器22を光検出器26
に近接して配置しているため、システム品質Qが誘電性
共振器22のQよりかなり小さく、50又はそれ以下の
小さい値にもなり得ることである。光物理パッケージ1
6aの実際のシステムQは、誘電性共振器22と光検出
器26aとの距離と相反する関係にあるが、誘電性共振
器22を形成する誘電体の本来のQより大きくなること
はない。図2の光物理パッケージ16aの低いシステム
Qを補ってシステムの性能を図1の光物理パッケージ1
6と同等にするためには、インジェクタ28に供給され
る電磁エネルギー量を増大する必要がある。
【0034】図3に、本発明の別の実施例を示す。この
実施例において、原子遷移周波数でマイクロ波エネルギ
ーを供給するための光物理パッケージ30は、別体のフ
ィルターセル37と、光源31と、サーボ電子パッケー
ジ32aと、VCXO32bと、逓倍/合成器33とを
含む。光物理パッケージ30は、導波管35、導波管支
持体36、フィルターセル37、誘電性共振ディスク3
8、吸収セル39、加熱トランジスタ40、E電界プロ
ーブ41、光セル42およびC電界コイル44の周囲に
配置された一対の磁気シールド34を含む。磁気シール
ド34は、地磁界及び他の磁界源に対する有効なシール
ドを行えるように、約17%乃至20%の鉄と、約5%
の銅と、少量のマンガン又はクロムとを含むニッケル−
鋼合金或いは他の強磁性材料等の、透磁率の高い材料で
形成される。磁気シールド34には、導波管支持体36
が取り付けられている。導波管支持体36は、ポリアミ
ド製ファイバーグラス等の熱絶縁性を有する材料で形成
するのが好ましく、導波管35を光物理パッケージ30
内に支持している。
【0035】導波管35は、少なくとも一端が電気的に
開放され、導電性の、好ましくは金属の内面を有する円
筒チューブ、或いは銅製ソリッドチューブとし、カット
オフ周波数より低い、使用原子遷移周波数で動作する大
きさの円形断面を有するものであることが望ましい。
「電気的開放端」を有する導波管は、誘電性共振器を担
持することができ、且つ、電磁エネルギーを実質的に逃
すことなく、誘電性共振器から発生される超微細電界を
実質的に閉じこめるための導電面を形成することができ
れば、如何なる構成であってもよい。例えば、導波管
は、エバネセント界の少なくとも約2.5減衰長分、誘
電性共振器から導波軸Z方向に延出したものであって、
誘電性共振器から約2.5減衰長分(必ずしも終端に及
ぶ必要はない)の導電性内面を形成する所望の形状の筒
状断面を有する誘電体ハウジングを形成するもの、好ま
しくは、少なくとも約5減衰長を有する端開放型金属製
筒状ハウジングを形成するもの、その他、光学的に開放
された、機能的に導波管と等価なものとすることができ
る。「減衰長」とは、エバネセント界が共振ディスクの
面で指数関数的に初期値の37%に減少するのに必要な
距離を言う。
【0036】導波管35は、電気的に開放された端を有
するが、フィルターセル37及び吸収セル39内の温度
勾配を小さくするように、MYLAR(登録商標)、サ
ファイア又はガラスのような、実質的に透明なカバーで
覆うことができる。導波管35の開放端を実質的に透明
なカバーで覆っても、エバネセント界が実質的に導波管
から逃げないように、エバネセント界が電気的開放端に
到達する以前に十分に減衰されていれば、光物理パッケ
ージ30の性能に実質的影響はない。
【0037】導波管35内には、フィルターセル37
と、誘電性共振ディスク38と、吸収セル39とが固定
される。
【0038】誘電性共振ディスク38は、原子の超微細
エネルギー準位間遷移周波数で100を超えるQを有す
るコーニング(Corning)8161ガラスのような低損失
ガラスで、小さい円形ディスク状に形成することができ
る。6834MHzの原子遷移周波数を持つ受動型ルビ
ジウム原子標準器の場合、導波管35の内径を約0.5
25インチ(約1.33cm)、誘電性ディスク38の
外径を約0.520インチ(約1.32cm)、その厚
みを約0.127インチ(約3.23mm)にすること
ができる。
【0039】フィルターセル37及び吸収セル39は、
一定量のアルカリ金属原子を含有している。ルビジウム
標準器の場合、フィルターセル37は、Rb−87原子
群を含有している。加熱トランジスタ40は導波管35
に熱を加える。そして、導波管35はオーブンとして機
能して、フィルターセル37及び吸収セル39内に適量
のRb気体を発生、維持できるように正確に制御された
温度、例えば75゜Cまで、フィルターセル37及び吸
収セル39内のアルカリ金属を熱する。フィルターセル
37及び吸収セル39内のRb気体の気体密度は、カリ
ウム等のアルカリ金属から成る元素群の1又は2以上の
元素を加えることにより、変化させることができる。C
電界コイル44は、吸収セル39内の原子に必要な直流
磁界環境を生成するために、便宜上、導波管35の外側
に巻回されている。
【0040】フィルターセル37及び吸収セル39は、
夫々、該セルのキャビティ内に差し込まれて、製造中に
Rb原子や(使用される場合は)緩衝ガスを腔内に導入
する導入管として機能する「ティップオフ」又はフィル
チューブ(原子導入管)45、46を含み、各フィルチ
ューブ45、46は、外径0.080インチ(2mm)
のガラス管であることが好ましい。フィルチューブ4
5、46は、夫々、ガラス製のシール兼支持リング4
7、48と対にされて各セルに取り付けられている。ガ
ラス製シール兼支持リング47、48は、例えば、外径
を0.170インチ(4.3mm)、厚みを0.090
インチ(2.3mm)とするのが好ましい。緩衝ガスが
フィルターセル37に収容される実施例の場合、緩衝ガ
スとしてアルゴン又は類似のガスを100Torr以上
の圧力で供給するのが好ましい。緩衝ガスが吸収セル3
9に収容される実施例の場合、緩衝ガスとして窒素又は
類似のガス又は希ガスを例えば40Torrの低圧で供
給するのが好ましい。但し、このガス圧は100Tor
rまで許容できる。吸収セル39内の緩衝ガスは、高性
能周波数標準器に望ましい、比較的小さい超微細遷移線
幅(約1−2kHz)を可能にする。
【0041】フィルターセル37のフィルチューブ45
は、光孔43に入射する光(L)との干渉を避けるため
に、該セルの側壁に配設される。フィルチューブ45
は、光源に最も近いフィルターセル37の外側のガラス
窓から0.180インチ(4.6mm)の位置に設ける
のが有利である。導波管35の側壁には、フィルチュー
ブ45とガラス製シール兼支持リング47とを収納する
ための穴又は凹部が設けられる。
【0042】吸収セル39のフィルチューブ46は、セ
ルの窓から外方に延びている。吸収セル39は、導波管
35内に位置し、フィルチューブ46が光セル42に向
かって延びている。この実施例は、導波管35の円筒側
壁にフィルチューブ46を収容するための穴を不要とし
て、吸収セル39及びCフィールドコイル44内のTE
−11エバネセント界との干渉の恐れをなくしている。
【0043】図3の装置は、図1及び図2の装置と同様
に動作する。ルビジウムランプやレーザのような光源3
1から供給される光エネルギー(L)は、光孔43を介
して光物理パッケージ30に入射する。誘電性共振ディ
スク38は、吸収セル39内の原子のエネルギー準位間
遷移を光学的に誘起するのに有用な光の周波数に対して
透過性を示す低損失誘電体で形成される。フィルターセ
ル37、誘電性共振ディスク38、吸収セル39を通過
した有効な光は、光セル42を照射する。光は、吸収セ
ル39を通るとき、該吸収セル39内の原子をポンピン
グにより励起する。吸収セル39に光が吸収されること
により、光セル42に達する光が減少する。光セル42
は、受け取った光に応答して、その光強度に対して例え
ば直線的関係にある電流を発生してサーボ電子パッケー
ジ32aに供給する。そして、サーボ電子パッケージ3
2aは、VXCO32bに信号を供給して、その出力周
波数を調整させる。VCXO32bの出力周波数は、ロ
ックされたとき、正確に5MHz又は10MHzである
ことが好ましい。但し、分割及び/又は合成により5M
Hz又は10MHzの出力を発生できるものであれば、
20MHz以上の周波数を使用してもよい。VCXO3
2bの出力周波数は、逓倍/合成器33によって逓倍及
び合成され、E電界プローブ41へ供給するためのマイ
クロ波励起信号33aとされる。逓倍/合成器33は
又、低周波変調信号を生成し、該信号は、逓倍/合成器
33aを位相変調するために内部回路に供給されると共
に、光セル42からの交流信号を復調するための変調信
号33bとして、逓倍/合成器33aに供給される。E
電界プローブ41は誘電性共振ディスク38に近接して
配置され、誘電性共振ディスク38に電磁エネルギーを
供給するが、その近接位置は一義的でなく、図2の位置
は単に好ましい位置として示したものであって、本発明
は必ずしもこれに限定されない。受け取った電磁エネル
ギーによって励振された誘電性共振ディスク38は、共
振して、ほぼ、その共振周波数(即ち、原子遷移周波
数)で発振するエバネセント電磁界を発生する。エバネ
セント電磁界は、吸収セル39を貫通して、上述した要
領で、Rb−87原子の準位A、B間での低準位エネル
ギー遷移を誘起する。
【0044】エバネセント電磁界の振幅は、誘電性共振
ディスク38において、該ディスクが共振するときに最
大になり、誘電性共振ディスク38からの距離が増すほ
ど、Z軸方向の距離に伴ってほぼ指数関数的に減少し、
導波管35の長さと基本的に無関係に動作するインテロ
ゲータを形成する。しかし、誘電性共振ディスク38側
の吸収セル39の端で充分なエバネセント界の振幅が得
られるように、吸収セル39は、誘電性共振ディスク3
8にできるだけ接近して(近く又は接して)いる必要が
ある。吸収セル39を透過して吸収セル39内のアルカ
リ金属(好ましくはRb−87)に作用するのは、誘電
性共振ディスク38によって生成されるエバネセント電
磁界であり、準位Bから準位Aへの原子の超微細エネル
ギー準位遷移を開始させる。
【0045】図3の実施例は更に、フィルターセル37
を誘電性共振ディスク38に近接して配置する必要がな
いこと、フィルターセルと誘電性共振ディスク38との
距離の変化を誘電性共振ディスク38の共振周波数の微
調整に利用できることに特徴がある。
【0046】図4は、図3に示した分画型物理パッケー
ジ30の一部を拡大して示すものである。誘電性共振デ
ィスク38は、フィルターセル37と吸収セル39との
間に配置されている。誘電性共振ディスク38の共振周
波数は、フィルターセル37と吸収セル39のガラス体
が近接していることで影響を受ける。ほぼ指数関数的に
減衰するエバネセント界の振幅が吸収セル39内でも充
分な大きさを維持して、Rb−87原子のエネルギー準
位間遷移を誘起することができるように、吸収セル39
は、誘電性共振ディスク38にできるだけ近い位置に配
設すべきである。これに対して、エバネセント界は、フ
ィルターセル37内のRb−85原子に殆ど影響を与え
ない。このRb−85原子は超微細エネルギー準位間遷
移に必要とされないので、フィルターセル37は誘電性
共振ディスク38に近接している必要がない。従って、
フィルターセル37は、誘電性共振ディスク38と、フ
ィルターセル37の隣接する窓との距離を変化させるた
めに、光学軸Z方向に移動させることができる。その結
果、誘電性共振ディスク38の共振周波数を調整するた
めに、誘電性共振ディスク38とフィルターセル37と
の間隔を変えることができる。
【0047】図1ないし図4に示す実施例において、共
振ディスクの寸法は、共振ディスクがルビジウム原子の
遷移周波数にほぼ等しい約6.800GHzで初期共振
するように選ばれる。共振ディスクとしては、約6乃至
15の誘電率を有する例えばコーニング(Corning)81
61ガラスのような特殊なガラスで、直径約0.52イ
ンチ(1.32cm)、厚さ約0.127インチ(3.
23mm)の円形ディスク状に形成され、アルカリ金属
原子の光ポンピングに使用される光周波数を透過させる
ものを使用するのが好ましい。吸収セル及び図3及び図
4に示す実施例におけるフィルターセルは、約0.04
0インチ(1mm)のセル窓厚みを有する。コーニング
(Corning)1720又は1724ガラスで形成される。
共振ディスクのQは、コーニング8161ガラスを使用
することで、典型的には少なくとも100になり、約1
20という高い値にもなり得る。図1、図3、図4の各
実施例では、導波管の一端に位置する光セルと、2つの
ガラスセルの負荷効果を加えたシステムQは、誘電性共
振器のQより僅かに小さい。図2の実施例では、システ
ムQは、共振ディスクと光検出器との比較的狭い間隔に
起因する誘電性共振器のQより実質的に小さい50以下
の値にすることができる。このQは、所望のエバネセン
ト電磁界を生成するのに必要なマイクロ波パワーの量を
決めるので重要である。換言すれば、Qが高い程、エバ
ネセント電磁界を発生するのに必要なマイクロ波パワー
が少なくて済む。
【0048】図3及び図4の実施例では、誘電性共振デ
ィスク38はフィルターセル37と吸収セル39との間
に配置されている。光孔43に近接する導波管35の開
放端におけるエバネセント界の振幅は、誘電性共振ディ
スク38の位置で、元の値の小分数値にまで減衰されて
いる。従って、約100のシステムQから明らかなよう
に、導波管35の開放端で放射損失は殆ど無い。
【0049】誘電性共振ディスク38の共振周波数は、
フィルターセル37、誘電性共振ディスク38及び吸収
セル39に使用されるガラスの種類、それらの直径、光
学軸Zに垂直な方向におけるフィルターセル37及び吸
収セル39のガラス窓の厚みと誘電率、誘電性共振ディ
スク38の誘電率と厚み、フィルターセル37と誘電性
共振ディスク38との距離、及び誘電性共振ディスク3
8と吸収セル39との距離に依存する。フィルターセル
37と吸収セル39が0.040インチ(1mm)の窓
厚と約0.52インチ(1.32cm)の直径とを有す
るコーニング1720ガラスで形成された部材であり、
誘電性共振ディスク38が誘電率8.1、厚み0.12
インチ(3.23mm)、直径約0.520±0.00
5インチ(13.21mm±0.13mm)のコーニン
グ8161ガラス製部材であり、フィルターセル37と
誘電性共振ディスク38との初期距離が0.020イン
チ(0.5mm)、誘電性共振ディスク38と吸収セル
39との固定距離が0.020インチ(0.5mm)で
ある共振器パッケージにおいては、誘電性共振ディスク
38の共振周波数の初期値は約6.800GHzであ
る。フィルターセル37と誘電性共振ディスク38との
距離が0.020インチ(0.5mm)増加して0.0
40インチ(1.0mm)になると、共振周波数は、約
66MHzだけ高くなる。フィルターセル37と誘電性
共振ディスク38との距離が更に0.020インチ
(0.5mm)だけ増加して0.060インチ(1.5
mm)になると、共振周波数は更に31MHz高くなっ
て、合計97MHzの周波数増加となる。調整範囲は、
フィルターセル37の窓厚を厚くすることによって増大
することができる。
【0050】上に掲げた具体的寸法は、誘電性共振ディ
スク38の誘伝率に依存することになる。コーニング8
161ガラス等の特定の材料で形成された共振ディスク
の共振周波数は、これらの同じガラスの混合比を変える
ことによって変化させることができ、共振ディスクの寸
法をそれに応じて調整できることは言うまでもない。
【0051】図3及び図4の光物理パッケージ30は、
共振ディスクの寸法や誘伝率等に関するユニット間の多
少のばらつきを補うために、フィルターセル37と誘電
性共振ディスク38との距離を調整することにより、好
ましくは、誘電性共振ディスク38の方を固定してフィ
ルターセル37の方を移動させることにより、微調整す
ることができる。フィルターセル37と誘電性共振ディ
スク38との距離の調整で、誘電性共振ディスク38の
共振周波数に影響を与え、光物理パッケージ30全体を
調整することができる。この周波数調整方法は、簡単且
つ効果的である。更に、この周波数調整方法は、フィル
ターセル37の代りに吸収セル39を移動させる場合で
も同様と思われるが、吸収セル39内のエバネセント電
磁界の振幅を実質的に小さくすることがない。
【0052】フィルターセルを含まない図1の実施例
は、図5に示すように、導波管20内に周波数調整ディ
スク21を誘電性共振器22に隣接して移動可能に設け
ることにより、光物理パッケージ10の誘電性共振器2
2の共振周波数を調整できる構成とすることができる。
周波数調整ディスク21は、図3及び図4の実施例の説
明で延べたフィルターセルの誘電窓の一つと等しい特性
を有する誘電性ディスクであることが好ましい。光物理
パッケージ10の共振周波数の調整は、誘電性共振器2
2の方を固定しておいて、周波数調整ディスク21の方
を誘電性共振器22に対して移動させることによって行
われる。この周波数調整ディスクによる周波数調整方法
は、図2の実施例にも適用することができる。
【0053】図6は、一体化共振ディスク/吸収セル5
0を使用する実施例を示している。上述したように、共
振ディスクと吸収セルは近接していることが望ましい。
共振ディスクを吸収セルの端部として一体に形成するこ
とにより、或いは、後述するように共振ディスクを吸収
セルに固着することにより、吸収セルと共振ディスクと
を一体化することができる。一体化共振ディスク/吸収
セル50は、共振ディスク54をガラス部材56に固着
することによって両者間に形成されるキャビティ内にR
b−87材料を含有するように形成された吸収セル52
を含む一体構造体である。一体化共振ディスク/吸収セ
ル50は、ガラス部材56の穴を貫通して一体化セル内
のキャビティに至り、製造中にRb原子及び/又は緩衝
ガスをキャビティ内に導入する導入管として機能するフ
ィルチューブ58を含む。フィルチューブ58は、その
周囲に配置されたシール兼支持リング59と共に、ガラ
ス部材56に取り付けられている。フィルチューブ58
及び支持リング59は、ガラス部材56を形成するのに
使用されたものとの融和性を示すガラス、又は同一のガ
ラスで形成するのが好ましい。
【0054】一体化共振ディスク/吸収セル50は、共
振ディスクと吸収セルとを別々に設けたものに比して、
2つの大きな利点を持つ。第1の利点は、吸収セル52
内の原子が、何も介在させないで、直接、共振ディスク
54のエバネセント界の作用を受けるので、多くの場
合、吸収セル内の電界の振幅が大きくなり、その結果、
充分な性能を得るのに必要とされるマイクロ波パワーが
少なくて済むことである。マイクロ波パワーの高レベル
を発生するためのコストが大きいことを考慮すると、こ
れは望ましい利点である。第2の利点は、先の実施例に
必要であった窓が不要になるので、部品のコストが低減
されることである。
【0055】図1乃至図5の共振器パッケージは、個別
に設けられた共振ディスクと吸収セルとを一体化するこ
とにより、一体化ユニット50を含む構成に変形するこ
とができる。例えば、図3の光物理パッケージ30は、
図7に示すように、図6の一体化共振ディスク/吸収セ
ル50を含むものに変形可能である。一体化共振ディス
ク/吸収セル50は、その共振ディスク54側がフィル
ターセル37に隣接するように、導波管35内に配設さ
れている。フィルターセルと共振ディスクとの間隔を可
変にした上述の共振ディスクの周波数の微調整方法は、
一体化共振ディスク/吸収セル50を含む共振器パッケ
ージにも適用できる。好ましくは、一体化共振ディスク
/吸収セル50のフィルチューブ58は、導波管35の
端部に向かって、且つ、光セル42に向かって突出する
ように配置される。又、一体化共振ディスク/吸収セル
50には、光のろ過を行うためのRb−85のような原
子を含有させてもよい。
【0056】図1乃至図5及び図7に示す実施例による
原子周波数標準器は、超微細エネルギー準位A、B間で
原子を遷移させるような周波数で共振させるために端壁
を必要とするマイクロ波キャビティを使用する代りに、
電気的に端が開放された導波管と、誘電性共振器とを採
用している。端開放型導波管を使用する原子周波数標準
器は、従来のマイクロ波キャビティを使用した原子周波
数標準器に対して、重大な有利性を持つ。即ち、マイク
ロ波キャビティの寸法が縮小された場合にも、マイクロ
波キャビティの端壁に設けられた光孔は、作用に係わる
光エネルギーの入射量を制限することのないように、ほ
ぼ同寸を維持しなければならず、光孔が端壁全面に占め
る割合が、望ましい値を超えてしまう。そして、マイク
ロ波キャビティの径が光孔の径に近づくにつれて、端壁
が実質的に失われ、マイクロ波エネルギーをキャビティ
から逃がしてしまうことになるので、小型化マイクロ波
キャビティで効率的な動作を維持することは益々困難に
なる。又、従来のマイクロ波キャビティにおいて、端壁
の機能を維持できるようにマイクロ波キャビティの寸法
の縮小度に比例して端壁の光孔を小径にすると、Rbラ
ンプからの光が光孔の縮小分だけ遮断され、光ポンピン
グのために吸収セルに入射される光強度が低減してしま
う。しかし、図1乃至図5及び図7に示す本発明の実施
例では、共振を維持するのに、マイクロ波キャビティも
端壁も必要としないから、原子エネルギー準位間遷移を
行うのに充分な量のRbランプからの光を通過させ得る
最小限の寸法まで、導波管の径を理論的に縮小すること
ができる。又、本発明は、レーザ光源と共に使用するた
めの最小寸法の物理パッケージを実現することができ
る。
【0057】図1乃至図5及び図7の実施例では、共振
器パッケージがTE−11モードでカットオフ周波数よ
り低い6.834GHzで動作するように選ばれる。例
えば、1.0インチの内径を有する導波管のカットオフ
周波数は、TE−11モードで約6.92GHzであ
り、これは、約6.834GHzのルビジウム周波数よ
り高い。これにより、導波管の内径を、フィルターセ
ル、誘電性共振ディスク及び吸収セルの直径が納まる、
例えば0.525±0.005インチの、より小さい値
にすることができる。導波管の直径は、フィルターセル
が導波管内で移動可能なように、フィルターセルの直径
より約0.002乃至0.005インチ大きくする必要
がある。又、導波軸、即ち光学軸Zに対して直角の方向
における電界分布は、従来のマイクロ波キャビティを使
用する他のルビジウム標準器に用いられるTE−11モ
ードのものと同じである。導波管は共振キャビティとし
ては機能しないので、光物理パッケージの共振周波数
は、基本的に、導波管の長さに拘束されず、従って、比
較的短い、例えば1.5インチの長さも実現可能であ
る。又、誘電性共振ディスクによって発生されるエバネ
セント界は、ディスクからの距離の関数として、ほぼ指
数関数的に減衰するので、共振ディスクが導波管の一端
から充分な距離、例えば約2.5減衰長以上離れていれ
ば、導波管の両端は、エバネセント界に何ら影響を与え
ない。導波管が6.834GHzのエバネセント界を許
容する約0.525インチの内径を有する好ましい実施
例では、減衰長は約0.17インチ(4.3mm)であ
る。従って、6.834GHzで発振するエバネセント
界を発生するための、内径0.525インチの導波管の
一端と共振ディスクとの距離は、約2.5減衰長より大
きく、即ち、0.42インチ(10.8mm)より長く
設定すべきである。
【0058】本発明の好ましい各実施例では、共振ディ
スクをフィルターセルと吸収セルとの間に配置している
が、本発明はこの構成に限られるものではない。図8
は、吸収セル62を共振ディスク64とフィルターセル
66との間に配置して、これらを全て導波管68内に収
納した光物理パッケージ60の略線図である。吸収セル
62、共振ディスク64及びフィルターセル66の特性
及び寸法は、先に述べた実施例のものと同じであるのが
好ましいが、図8の構成では、フィルターセル66が、
共振ディスク64から遠い位置にあり、共振ディスク6
4の周波数調整に効果を発揮できない。
【0059】そこで、図8の実施例の周波数調整は、図
9に示すように、周波数調整ディスク70を導波管68
内に固定された共振ディスク64に隣接して可動に設け
ることによって行われる。周波数調整ディスク70は、
共振周波数の調整を行うためにフィルターセルを使用し
ている実施例におけるフィルターセルの窓の一つと等し
い特性を有する誘電性ディスクで構成するとよい。光物
理60の共振ディスク64の共振周波数の微調整は、可
動の周波数調整ディスク70と共振ディスク64との距
離を調節することにより達成される。
【0060】前述の実施例がエバネセント電磁界を発生
するために単一の誘電性共振器を使用しているのに対し
て、図10に示す原子周波数標準器100は、エバネセ
ント電磁界を発生するために複数の誘電性共振器を使用
している。原子周波数標準器100は、光物理パッケー
ジ102と、光源104と、サーボ電子パッケージ10
6と、VCXO108と、逓倍/合成器110とを含
む。光物理パッケージ102は、電気的に端部が開放さ
れた導波管114の周囲に設けられて一対の磁気シール
ド112と、導波管支持体116と、フィルターセル1
18、第1の誘電性共振ディスク120、吸収セル12
2及び第2の誘電性共振ディスク124を含む光学構造
体117と、加熱トランジスタ126と、E電界プロー
ブ128と、光セル130と、C電界コイル132とを
含んでいる。
【0061】磁気シールド112は、地磁界及びその他
の磁場発生源から効果的なシールドを行うことのできる
透磁率の高い材料で形成される。磁気シールド112に
は、導波管支持体116が設けられる。導波管支持体1
16は、ポリアミド・ファイバーグラスのような熱絶縁
性材料で形成するのが好ましい。導波管支持体116
は、導波管114を光物理パッケージ102内に支持し
ている。
【0062】導波管114は、少なくとも一端が電気的
に開放され、導電性の、好ましくは金属製内面を有する
円筒チューブ、或いは銅製ソリッドチューブとし、カッ
トオフ周波数より低い、使用原子遷移周波数で動作する
大きさの円形断面を有するものであることが望ましい。
導波管114は、フィルターセル118及び吸収セル1
22内の温度勾配を小さくするために、開放された一端
又は両端をMYLAR(登録商標)、サファイア、ガラ
スのような実質的に透明なカバーで覆うとよい。エバネ
セント界が電気的開放端に到達する前に充分に減衰され
ていて、導波管からの電磁エネルギーの逃げが実質的に
なければ、導波管114の開放端を実質的に透明なカバ
ーで覆うことで、光物理パッケージ102に実質的影響
を与えることはない。導波管114内には、フィルター
セル118と、第1の誘電性共振ディスク120と、吸
収セル122と、第2の誘電性共振ディスク124とが
固定されている。
【0063】誘電性共振ディスク120、124は夫
々、典型的には原子超微細エネルギー準位間遷移周波数
で100を超えるQを有するコーニング8161ガラス
のような低損失ガラスで小円盤状に形成することができ
る。フィルターセル118と吸収セル122は夫々、ア
ルカリ金属原子群を含有している。ルビジウム標準器で
は、フィルターセル118がRb−85原子群を、吸収
セル122がRb−87原子群を含有している。加熱ト
ランジスタ126は導波管114を加熱し、該導波管1
14はオーブンのように機能して、フィルターセル11
8及び吸収セル122でRb気体を発生及び維持できる
ように精密に制御された温度、例えば75゜Cまで、フ
ィルターセル118及び吸収セル122内のアルカリ金
属原子を熱する。C電界コイル132は、吸収セル12
2内の原子に必要な磁界環境を作るために導波管114
の外側に配置される。
【0064】フィルターセル118及び吸収セル122
は、夫々、該セルのキャビティ内に差し込まれて、製造
中にRb原子や(使用される場合は)緩衝ガスを腔内に
導入する導入管として働く「ティップオフ」又はフィル
チューブ(原子導入管)134、136を含む。各フィ
ルチューブ134、136は夫々、シール兼支持リング
138、140と対にされて各セルに固着されている。
フィルターセル118が緩衝ガスを収容する実施例の場
合、緩衝ガスとしてアルゴン又は類似のガスを使用し、
100Torr以上の圧力で供給するのが好ましい。吸
収セル122が緩衝ガスを収容する実施例の場合、緩衝
ガスとして窒素又は類似のガス又は希ガスを使用し、例
えば40Torrの圧力で供給するのが好ましい。但
し、このガス圧は100Torrまで許容できる。吸収
セル122内の緩衝ガスは、高性能周波数標準器にとっ
て望ましい、比較的小さい超微細遷移吸収線幅(約1−
2kHz)を可能にする。
【0065】フィルターセル118のフィルチューブ1
34は、光孔142に入射する光(L)との干渉を避け
るために、該セルの側壁に配設される。フィルチューブ
134は、光源104に最も近いフィルターセル118
の外側のガラス窓の近接して設けるのが有利である。導
波管114の側壁には、フィルチューブ134とシール
兼支持リング138とを収納するための穴又は凹部が設
けられる。
【0066】吸収セル122のフィルチューブ136
も、誘電性共振ディスク120、124の各々を吸収セ
ル122の窓の一つに近接させるように、セルの側壁に
配置される。導波管114の側壁には、フィルチューブ
134とシール兼支持リング138とを収納するための
穴又は凹部が設けられる。吸収セル122は、その中の
原子が2つの誘電性共振ディスク120、124によっ
て発生されるエバネセント界の作用を受けるように、第
1の誘電性共振ディスク120と第2の誘電性共振ディ
スク124との間に配設される。
【0067】ルビジウムランプのような光源104から
供給される光エネルギー(L)は、光孔142を介して
光物理パッケージ102に入射する。誘電性共振ディス
ク120、124は、吸収セル122内の原子のエネル
ギー準位間遷移を光学的に誘起するのに有用な光の周波
数に対して透過性を示す低損失誘電体で形成される。有
効な光はフィルターセル118、第1の誘電性共振ディ
スク120、吸収セル122及び第1の誘電性共振ディ
スク120を通り、光セル130を照射する。この光
は、吸収セル122を通るとき、該吸収セル122内の
原子をポンピングにより励起する。吸収セル122に光
が吸収されることにより、光セル130に達する光が減
少する。光セル130は、受け取った光に応答して、そ
の光強度に対して例えば直線的関係にある電流を発生し
て、サーボ電子パッケージ106に出力信号を供給す
る。そして、サーボ電子パッケージ106は、VXCO
108に信号を供給して、その出力周波数を調整させ
る。VCXO108の出力周波数は、ロックされたと
き、正確に5MHz又は10MHzであることが好まし
い。但し、分割及び/又は合成により5MHz又は10
MHzの出力を発生できるものであれば、20MHz以
上の周波数を使用してもよい。VCXO108の出力周
波数は、逓倍/合成器110によって逓倍及び合成さ
れ、E電界プローブ128へ供給するためのマイクロ波
励起信号110aとされる。逓倍/合成器110は又、
低周波変調信号を生成し、該信号は、マイクロ波励起信
号110aを位相変調するために内部回路に供給される
と共に、光セル130からの交流信号を復調するための
変調信号110bとして、外部に供給される。E電界プ
ローブ128は第1の誘電性共振ディスク120に近接
して配置され、両誘電性共振ディスク120、124に
電磁エネルギーを供給するが、その近接位置は一義的で
なく、図10の位置は単に好ましい例として示したもの
であって、本発明は必ずしもこれに限定されない。受け
取った電磁エネルギーによって励振された誘電性共振デ
ィスク120、124は、共振して、ほぼ、その共振周
波数(即ち、原子遷移周波数)で発振するエバネセント
電磁界を発生する。このとき、上記共振周波数は、夫々
独立に動作する誘電性共振ディスク120、124間で
必ずしも同じではない。エバネセント電磁界は、吸収セ
ル122を透過してRb原子に作用し、Rb−87原子
の準位A、B間での低準位エネルギー遷移を誘起する。
【0068】図10の二重ディスクシステムによって発
生されるエバネセント電磁界の振幅は、2つの誘電性共
振ディスク120、124間の領域で比較的均一にな
る。これに対して、導波管内に一つだけ設けられた共振
ディスクによって発生されたエバネセント電磁界の振幅
は、ディスクからの軸方向の距離が増大するにつれて、
指数関数的に減衰する。吸収セルがある場合でも、単一
ディスクシステムにおけるエバネセント電磁界の振幅の
減衰は、ほぼ指数関数的である。複数の共振ディスク間
の間隔が単一ディスクシステムの2ー3減衰長より大き
くなく、二重ディスクシステムが所望の周波数で共振す
るならば、単一ディスクシステムにおける吸収セルのエ
バネセント界の空間的不均一性は、例えば、図10に示
すように、吸収セルの、第1の共振ディスクとは反対側
に第2の共振ディスクを付加して二重ディスクシステム
を形成することにより、軸方向Zに関して大幅に改善す
ることができる。
【0069】図11は、図10に示すような二重ディス
クシステムの予想されるエバネセント磁界の振幅のグラ
フであり、任意のユニットにおいて、誘電性共振ディス
ク120、124からのZ軸方向の距離に対するエバネ
セント磁界Hz(Z)のZ成分の振幅をプロットしたも
のである。Hz(Z)の絶対強度は、誘電性共振ディス
ク120、124の励振の強さで決まる。図11に特に
Hz(Z)を示したのは、Hz(Z)が通常、原子に関
与するマイクロ波エバネセント電磁界の成分であって、
エバネセント電磁界の他の成分は、その点で有効ではな
いからである。
【0070】図11に示したエバネセント界の振幅のプ
ロットは、二重ディスク構造に適用された電磁力に関す
るマクスウェルの方程式を利用した解析によって求める
ことができる。尚、そのパラメータとして、導波管11
4の内径を0.52インチ(13.2mm)とし、誘電
性共振ディスク120、124を、外径0.52インチ
(13.2mm)、厚さ0.17インチ(4.2m
m)、誘電定数8.1の対称性のものとし、誘電性共振
ディスク120、124間の距離を、誘電体を介在させ
ないで、0.34インチ(8.6mm、又は単一ディス
クシステムの2減衰長)とし、二重ディスクシステムが
TE−11モードで約6.815GHzの共振周波数で
動作するものとしている。
【0071】誘電性共振ディスク120、124の対向
面間のエバネセント磁界の振幅Hz(Z)は、誘電性共
振ディスク120、124の何れかからの距離が増すに
つれて、約16ユニットの最大値から約10ユニットの
最小値まで光学軸Z方向に幾分小さくなる。エバネセン
ト界の最小振幅Hz(Z)は、誘電性共振ディスク12
0、124間の中間地点で現れ、その時、電場振幅は、
誘電性共振ディスク120、124の何れかの面におけ
るエバネセント磁界の最大振幅の約63%になってい
る。これに対して、誘電性共振ディスク120、124
の非対向面から広がる領域におけるエバネセント磁界の
振幅は、14ユニットの最大値から指数関数的に減衰す
る。従って、二重ディスクシステムでは、誘電性共振デ
ィスク120、124の対向面間に、比較的均一なエバ
ネセント界の振幅の領域が形成され、誘電性共振ディス
ク120、124の対向面におけるエバネセント界の振
幅が誘電性共振ディスク120、124の非対向面にお
けるエバネセント界の振幅よりも大きく、誘電性共振デ
ィスク120、124の対向面から内側に離れた部分に
おけるエバネセント界の振幅が誘電性共振ディスク12
0、124、の非対向面から外側に等距離だけ離れた部
分におけるエバネセント界の振幅より大きく、且つ、単
一ディスクシステムにおいて共振ディスクから等距離だ
け離れた部分におけるエバネセント界の振幅よりも大き
くなる。
【0072】このように、比較的均一なエバネセント界
を形成することには、2つの利点がある。第1に、超微
細遷移を誘起するための最良値に近い電場振幅に吸収セ
ル内のより多くの原子を触れさせるように、ディスクの
面における電界振幅を調節することができるので、2つ
の共振ディスク間に位置する吸収セル内の原子への作用
がより効果的に行われる。第2に、原子に作用する電場
の不均一性の低減が、吸収セル内の全体的な不均一性の
低減に寄与し、公知のように、これが、緩衝ガス吸収セ
ルによって発生される基準周波数の減衰傾向を緩和する
ことになる。
【0073】誘電性共振ディスク120、124間の距
離を小さくすると、一般に、誘電性共振ディスク12
0、124間の中間地点におけるエバネセント界の振幅
が増大する傾向を示し、一方、誘電性共振ディスク12
0、124間の距離が増すと、中間地点のエバネセント
界の振幅が小さくなる傾向を示す。誘電性共振ディスク
120、124間の距離を誘電性共振ディスク120、
124間の相互作用が無くなるほど大きくすると、誘電
性共振ディスク120、124は、励振されたとき、夫
々、個別のディスクとして働き、比較的均一なエバネセ
ント界を発生するという上述の利点は実質的に失われて
しまう。
【0074】二重ディスクシステムの作用及び利点につ
いての以上の記述は、質的には、TE−11モード以外
のモードにも通用する。例えば、TE−01モードにつ
いては、全ての物理的寸法がTE−11モードに比べて
大きいという主な相違があるが、TE−01モードで
は、TE−11モードとは異なり、導波/光学軸に垂直
な面上のポーラー角度に対する依存性を示さないので、
Hz(Z)の全体的な均一性は、TE−01モードを使
用することにより改善される。
【0075】図12は、光学構造体117を収納する図
10の導波管114の一部であって誘電体誘電性共振デ
ィスク120、124と吸収セル122とを含む部分
を、より詳細に示す。誘電性共振ディスク120、12
4は、夫々、吸収セル122の窓144a、146aに
隣接して配置されている。窓144a、146aは、比
較的薄く形成され、誘電性共振ディスク120、124
によって発生されるエバネセント界を実質的に擾乱しな
いような低誘電定数を有する。この構成では、吸収セル
122は導波管への実質的な負荷効果を有せず、従っ
て、二重ディスクシステムの共振周波数に重大な影響を
与えない。そのため、吸収セル122は、誘電性共振デ
ィスク120、124の寸法を決める際に、基本的に無
視できる。
【0076】図13乃至図16は、図10の光学構造体
117の種々の構成例を示す。図13は、一体化された
共振ディスク/吸収セル150を含む光学構造体117
aの実施例を示し、一体化共振ディスク/吸収セル15
0は、第2の誘電性共振ディスク124と共に、図12
の実施例と作用的に等価な構造を形成している。上述し
たように、誘電性共振ディスクと吸収セルは、近接して
配置する方が有利である。図12に示した吸収セル12
2と誘電性共振ディスク120は、誘電性共振器を吸収
セルの単部として一体に形成することにより、或いは、
誘電性共振器を吸収セルに固着することにより、一体構
造に組み込むことができる。
【0077】図14は、一体化された誘電性共振器/吸
収セル160を含む光学構造体117bを示し、一体化
誘電性共振器/吸収セル160は、導波管114内に設
けられ、吸収セル構造体162の両端に位置して、Rb
−87原子のような吸収セル原子を含有する誘電性共振
ディスク120、124を有する。誘電性共振ディスク
120、124は、吸収セルの一部として一体に形成し
てもよいし、ガラスチューブのような部材の両端に誘電
性共振ディスク120、124を夫々固着してもよい。
誘電性共振ディスク120の近傍には、誘電性共振ディ
スク120、124によって発生されるエバネセント界
の共振周波数に影響を与えるように、周波数調整ディス
ク164が配置されている。
【0078】多くの場合、図13及び図14の実施例
は、吸収セルと誘電性共振器とを別体にした光物理パッ
ケージに比して、吸収セル内のエバネセント界の振幅を
大きくする。何故なら、吸収セル内の原子が、介在部材
の減少又は除去により、エバネセント界の影響を受ける
からである。このことは、充分な性能を達成するのに必
要とされるマイクロ波パワーを低減できるという効果を
もたらすので、マイクロ波パワーの高レベルを発生する
ためのコストを考慮すると、望ましいことである。又、
吸収セルの窓の内、少なくとも一つは不要になるので、
部品コストが低減される。
【0079】図15は、誘電性共振ディスク120、1
24及び吸収セル122に更に周波数調整ディスク16
4を加えて成る光学構造体117cを含む、図12に示
す導波管114の同一部分を示す。図15の吸収セル
は、吸収セル122のオルタネート窓144b、146
bが二重ディスクシステムの共振周波数を擾乱しないよ
うに、より厚く、比較的高い誘電定数を持っている点
で、図12の吸収セルと異なっている。従って、このシ
ステムは、基本的に、第1の誘電性共振ディスク120
と窓144bが第1のエバネセント界発生ユニットとし
て働き、誘電体第2の誘電性共振ディスク124と窓1
46bが第2のエバネセント界発生ユニットとして働
く、四重ディスクシステムとして機能する。
【0080】図10、12、13の光学構造体117又
は117aを含む光物理パッケージ102は、好ましく
は、誘電性共振ディスク120の方を固定してフィルタ
ーセル118の方を移動させることによって、フィルタ
ーセル118と誘電性共振ディスク120との距離を調
整し、これににより、共振ディスクの寸法や誘電定数等
のユニット間の多少のばらつきを修正するように微調整
することが可能である。フィルターセル118と誘電性
共振ディスク120との距離を調整することで、誘電性
共振ディスク120、124の共振周波数を微妙に調整
し、光物理パッケージ102全体の調整が行われる。光
物理パッケージ102は又、誘電性共振ディスク12
0、124の一方又は両方と吸収セル122との距離を
調節することによっても調整することができる。但し、
この方法による調整は、誘電性共振ディスク120又は
124と吸収セル122との距離の増加が吸収セル12
2内のエバネセント電磁界の振幅の縮小を招くので、余
り好ましくない。
【0081】図14及び図15に示す実施例では、導波
管114ないの誘電性共振ディスク120に隣接して周
波数調整ディスク164を可動に取り付けることによ
り、誘電性共振ディスク120、124の共振周波数の
調整を行うことができる。周波数調整ディスク164
は、図3及び図4の実施例で述べたフィルターセルの誘
電性窓の一つと等しい特性を有する誘電性ディスクであ
ることが好ましい。周波数調整ディスク164を含む光
物理パッケージの共振周波数の調整は、誘電性共振ディ
スク120、124を固定しておいて、周波数調整ディ
スク164を誘電性共振ディスク120に対してZ軸方
向に移動させることによって行うのが好ましい。図14
及び図15では、周波数調整ディスク164は誘電性共
振ディスク120に近接するものとして示されている
が、周波数調整ディスク164を第2の誘電性共振ディ
スク124に隣接して設け、周波数調整ディスク164
と第2の誘電性共振ディスク124とのZ軸方向の距離
を変えることによって周波数を調整することもできる。
更に、1又は2以上の周波数調整ディスクと各誘電共振
体とのZ軸方向の距離を変化させることによっても、周
波数の調整を行うことができる。
【0082】図16は、吸収セル122の両側の窓14
4b、146bの近傍に誘電性共振ディスク120、1
24を配設した光学構造体117dを示している。フィ
ルターセル118は、吸収セル122の窓144の反対
側にあたる誘電性共振ディスク120の一側に配置さ
れ、周波数調整ディスク164は、吸収セル122の窓
146bの反対側にあたる第2の誘電性共振ディスク1
24の一側に配置されている。このような構成の光学構
造体117dを含む光物理パッケージの共振周波数は、
フィルターセル118と誘電性共振ディスク120との
距離を変化させ、及び/又は、周波数調整ディスク16
4と第2の誘電性共振ディスク124との距離を変化さ
せることによって調整することができる。好ましくは、
吸収セル122及び誘電性共振ディスク120、124
を導波管114内に固定し、フィルターセル118と周
波数調整ディスク164とを導波管114内に可動に取
付け、光学軸Z方向に移動可能にするとよい。
【0083】以上、本発明を好ましい実施例に基づいて
説明したが、本発明はその思想及び範囲内の種々の変形
をも含むことは言うまでもない。例えば、光源としてレ
ーザを使用するときは、吸収セル内の吸収体としてセシ
ウム同位体Cs−133を使用し、フィルターセルを省
略することも可能である。又、各セルの窓の厚みを変化
させて誘電性共振器の誘電率を所望の値に設定すること
ができれば、吸収セル及び/又はフィルターセルの形成
材料として、コーニング1720及び1724以外のガ
ラスを使用することもできる。又、ガラス、その他の材
料が、実質的に同じ誘電定数を有し、その電気的損失が
小さければ、誘電性共振器の形成材料として、コーニン
グ8161以外のガラスや、実質的に透明な結晶材料の
ような材料を使用することもできる。誘電性共振器に供
給されるマイクロ波励起エネルギーが、誘電性共振器に
吸収セル内の原子に働きかけるのに適した振幅のエバネ
セント電磁界を発生させることのできるレベルに調整さ
れるのであれば、誘電性共振器をコーニング8161ガ
ラスよりも電気損失の高い材料で形成することもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による原子周波数標準器の略線
断面図。
【図2】図1の原子周波数標準器の光物理パッケージの
他の構成例を示す略線断面図。
【図3】本発明の一実施例を、導波管の一部と導波管支
持体省略して示す略線断面図。
【図4】図3の実施例における導波部の略線図。
【図5】図2の原子周波数標準器を、誘電性共振器に隣
接する調整ディスクを含むように変更したものの略線
図。
【図6】図1乃至図5の実施例に使用できる一体化され
た共振ディスク兼吸収セルの略線断面図。
【図7】図3の原子周波数標準器に組み込まれた一体化
共振ディスク兼吸収セルの断面図。
【図8】共振ディスクとフィルターセルとの間に吸収セ
ルが設けられた光物理パッケージの略線断面図。
【図9】図8の光物理パッケージを共振ディスクに隣接
する周波数調整ディスクを含むように変更したものの略
線断面図。
【図10】本発明による実施例を、複数の誘電性共振器
が見えるように導波管の一部と導波管支持体とを省略し
て示す、本発明の実施例の略線図。
【図11】2重ディスク・システムにおけるかく共振デ
ィスクの表面からの距離に対するエバネセント磁界の予
想される振幅を示すグラフ。
【図12】比較的薄い窓と低誘電定数とを有する光学構
造体を含む、図10の導波管の一部の詳細図。
【図13】誘電性共振器が吸収セルの窓を形成している
光学構造体を含む、図12と実質的に等価な導波管の一
部の詳細図。
【図14】一体化誘電性共振器兼吸収セルを使用し、複
数の誘電性共振器が吸収セルの窓を形成している光学構
造体を含む、導波管の1部の詳細図。
【図15】吸収セルの窓が比較的厚くて誘電定数が比較
的高い光学構造体を含む導波管の一部の詳細図。
【図16】周波数調整ディスクとフィルターセルが各誘
電性共振器に隣接して配置された光学構造体を含む導波
管の一部の詳細図。
【符号の説明】
10,10a 原子周波数標準器 12 光源 14 周波数逓倍/合成器 16,16a 光物理パッケージ 18a サーボ電子パッケージ 18b VCXO 20 導波管 21 周波数調整ディスク 22 誘電性共振器 24 吸収セル 26,26a 光検出器 28 E電界プローブ 30 光物理パッケージ 31 光源 32a サーボ電子パッケージ 32b VCXO 33 周波数逓倍/合成器 34 磁気シールド 35 導波管 36 導波管支持体 37 フィルターセル 38 誘電性共振ディスク 39 吸収セル 40 加熱トランジスタ 41 E電界プローブ 42 光セル 43 光孔 44 C電界コイル 45,46 フィルチューブ 47,48 シール兼支持リング 50 一体化共振ディスク/吸収セル 52 吸収セル 54 共振ディスク 56 ガラス部材 58 フィルチューブ 59 シール兼支持リング 60 光物理パッケージ 62 吸収セル 64 共振ディスク 66 フィルターセル 68 導波管 70 周波数調整ディスク 100 原子周波数標準器 102 光物理パッケージ 104 光源 106 サーボ電子パッケージ 108 VCXO 110 周波数逓倍/合成器 110a マイクロ波励起信号 112 磁気シールド 114 導波管 116 導波管支持体 117a,117b,117c,117d 光学構造体 118 フィルターセル 120 第1の誘電性共振ディスク 122 吸収セル 124 第2の誘電性共振ディスク 126 加熱トランジスタ 128 E電界プローブ 130 光セル 132 C電界コイル 134,136 フィルチューブ 138,140 シール兼支持リング 144a,144b 窓 150 一体化共振ディスク/吸収セル 160 一体化共振器/吸収セル 162 吸収セル構造体 164 周波数調整ディスク

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子のエネルギー準位間遷移の光学的誘
    起に有効な周波数の光エネルギーを供給する光源を含む
    原子周波数標準器において、 通過する有効な光エネルギーの強度を変化させるための
    第1の原子群を含有する吸収セルと、 前記第1の原子群の超微細エネルギー準位間遷移を誘起
    するエバネセント電磁界を発生するための誘電性共振器
    と、 前記吸収セルと前記誘電性共振器とを収容する導波管
    と、 前記導波管の一端近傍に設けられ、前記光エネルギーを
    受ける光検出器と、 前記誘電性共振器を励振するための電磁エネルギー・イ
    ンジェクタと、 から成ることを特徴とする装置。
  2. 【請求項2】 第2の原子群を含有し、前記誘電性共振
    器に隣接して配置されたフィルターセルを更に含むこと
    を特徴とする請求項1に記載した装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の原子群がRb−87原子であ
    り、前記第2の原子群がRb−85原子であることを特
    徴とする請求項2に記載した装置。
  4. 【請求項4】 前記吸収セルがRb−85原子とRb−
    87原子との混合を含有し、前記Rb−85原子が前記
    吸収セルを通過する前記光エネルギーのろ過を行うこと
    を特徴とする請求項1に記載した装置。
  5. 【請求項5】 前記吸収セルと前記誘電性共振器が、一
    体のユニットを形成するように結合され、前記誘電性共
    振器が前記吸収セルの窓を形成する位置を占めているこ
    とを特徴とする請求項1に記載した装置。
  6. 【請求項6】 前記一体のユニットが、ろ過されていな
    い光エネルギーから、前記光エネルギーのろ過と、超微
    細エネルギー準位間遷移を行う原子を更に含有すること
    を特徴とする請求項5に記載した装置。
  7. 【請求項7】 アルカリ金属元素群の1又は2以上の元
    素を前記吸収セルに付加することにより、前記第1の原
    子群の気体密度を変化させることを特徴とする請求項1
    に記載した装置。
  8. 【請求項8】 複数の超微細エネルギー準位を持ち得る
    原子群を供給する工程と、 光エネルギーを発生して、その光エネルギーを前記原子
    群に案内する工程と、誘電性共振器を励振する工程と、 励振された誘電性共振器でエバネセント電磁界を発生す
    る工程と、 前記エバネセント電磁界を前記原子群に導入して原子の
    超微細エネルギー準位間遷移を誘起し、該原子群に触れ
    て通過する光エネルギーの強度に影響を与えるようにす
    る工程と、 光検出器に、前記原子群を介した後の光エネルギーの強
    度に応じた電流出力を出力させる工程と、 から成ることを特徴とする標準周波数の発生方法。
  9. 【請求項9】 前記励振工程が、更に、 前記光検出器からの前記電流出力を、サーボ電子パッケ
    ージを介して、電圧制御結晶発振器に供給する工程と、 前記電圧制御結晶発振器から標準出力周波数を発生する
    工程と、 前記誘電性共振器を励振させる信号を発生する周波数逓
    倍器に、前記標準出力周波数を供給する工程と、 を含むことを特徴とする請求項8に記載した方法。
JP6086251A 1993-04-27 1994-04-25 原子周波数標準器のエバネセント界インテロゲータ Pending JPH0730420A (ja)

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