JPH0730308Y2 - タイヤ輪切り装置及び該装置を用いたタイヤ切断ライン装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は古タイヤを細かく切断し
て運搬の便宜を図る切断ライン装置及び切断工程に入る
前にタイヤを輪切りにする輪切り装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】今日、用済タイヤの処理が大きな環境問
題となっている訳であるが、この処理対策の一つとし
て、燃料としての利用が期待される。重油や石炭に比べ
てコスト的にも若干安くなり、燃焼効率も決して悪いこ
とはないが、大きなタイヤをそのままの形状にて使用す
ることは出来ず、またタイヤそのままの形態では運搬や
保管が困難であることから、細かく切断しなければなら
ない。細かくなれば石炭の運搬や保管と同じように取扱
うことが可能となって、上記用済タイヤの燃料としての
利用が便利となる。実開昭５７−１０１０２２号に係る
「ゴムタイヤその他の固形物用裁断機」は従来技術の代
表例である。

【０００３】ところで、上記裁断機を用いて大きなタイ
ヤを細かく切断することが出来る訳であるが、刃物基体
の下面に放射状に配列して取着した多数のブレードをタ
イヤに押圧する構造となっている。ブレードの押圧は油
圧シリンダーの作動で行われ、その切断能力は非常に大
きい。しかし、この裁断機ではタイヤをそのままの形態
で切断するため、切断片が大きくなることは勿論のこ
と、切断に際してブレードが降下してくれば、該タイヤ
は歪に変形して上記切断片の形状は崩れ、そのバラツキ
は拡大する。燃料として用いる切断片であっても、出来
る限り均一であることが、その取扱いを便利にするのみ
ならず、燃焼効率にも影響してくる。

【０００４】更に、トラック等の大型車両用タイヤとも
なれば、該裁断機への搬入も容易でなく、油圧シリンダ
ーを設けている上部本体、及びブレードを固定した刃物
基体を上記油圧シリンダーに取着している中部本体の下
方収容部に、大型タイヤを収容することは大変であると
ともに、このような大型タイヤを切断するには非常に大
きな能力を必要とし、装置本体が大型化する。

【０００５】

【本考案が解決しようとする課題】このように、従来の
古タイヤ切断装置には上記のごとき問題がある。本考案
が解決しようとする課題はこれら問題点であって、切断
装置への搬入・搬出が容易で、しかもタイヤ切断片がよ
り細かく、均一となり、また作業性が高く、装置本体も
比較的コンパクト化した切断ライン装置及び輪切り装置
を提供する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案の古タイヤ切断ラ
イン装置は大別して切断装置と輪切り装置、搬入装置、
及び搬出装置で構成する。ここで切断される古タイヤの
サイズが小さい場合には、上記搬入装置を省略すること
も出来、輪切り装置で輪切りしたタイヤ片は手で持ち上
げて切断装置のベースに載せてもよい。

【０００７】ところで、上記輪切り装置は揺動アームを
装着し、該アーム先端にはカッターを水平に取着してお
り、カッターの両側にはタイヤドラムを回転自在に軸支
している。タイヤドラムの外周には凹溝を形成してい
て、該タイヤドラムの下方には支持盤を設け、支持盤は
その高さ（タイヤドラムとの間隔）を調整可能としてい
る。輪切りにするタイヤは支持盤に載せてカッターを回
転しながら該タイヤに押圧すれば、タイヤはカッターと
ともに回転して切り裂かれる。タイヤドラムは２ケ所に
設けているため、片方を使用して輪切りしている間に、
別のタイヤを支持盤に載せて準備し、輪切り工程が完了
した段階で反対側のタイヤの輪切りを開始し、切り裂か
れたタイヤ片は切断装置のベースに載せられる。

【０００８】切断装置の基本構造は従来装置と共通した
部分を有し、刃物基体の下面にはブレードを取着し、切
断時にタイヤを押圧するとともに切断されたタイヤ切断
片をブレードから抜き取るためのストリッパーを設け、
上記刃物基体は油圧シリンダーと連動して上・下動す
る。そして、刃物基体の下方にはタイヤ収容部を設け、
該収容部のベースはその左右（前後）に延長されてお
り、ベースに沿って走行するチェーンコンベヤが配置さ
れている。チェーンコンベヤは送り部材を取着し、該送
り部材はベース上を摺動し、搬入側ベースに載せられた
タイヤ片を送り部材が収容部ベースまで送り、そこで該
タイヤ片はブレードにて切断され、切断片は送り部材に
て再び送られて搬出側ベースから搬出装置へ落下する。
この搬出装置も一種のコンベヤである。

【０００９】ところで、本考案の切断ライン装置には必
要に応じて搬入装置を設置することがあり、搬入装置は
輪切り装置と切断装置の間に設けられる。この装置は上
下動するテーブルと搬入アームを有し、テーブルは平行
リンク機構によって水平（略水平）を保ったまま切断装
置の搬入ベースの高さまで上昇する。そして搬入アーム
はスライド可能に取着されていて、テーブルに載って持
ち上げられたタイヤ片を上記搬入ベースへ引き入れる。
ここでテーブルの昇降動及び搬入アームのスライド手段
は問わない。以下、本考案に係る実施例を図面に基づい
て詳細に説明する。

【００１０】

【実施例】図１は本考案のタイヤ切断ライン装置の全体
配置図を示す実施例である。同図においてＡは切断装
置、Ｂは輪切り装置、Ｃは搬入装置、Ｄは搬出装置、Ｅ
は油圧ユニットを示す。そこで、上記輪切り装置Ｂによ
り輪切りにされたタイヤ片は、搬入装置Ｃのテーブル上
に載せられて切断装置Ａのベースに移される。この場
合、輪切り装置Ｂではタイヤをリング状の２つ割りに切
り裂き、輪切りにされたタイヤ片は重ね合わされてテー
ブルに載せられ、該テーブルがベースと同じ高さまで上
昇し、搬入アームの移動とともにタイヤ片は該ベース上
に引きずり込まれる。そしてベースに載ったタイヤ片は
切断装置のコンベヤにより、タイヤ片を収容部まで送
り、そこで上方から降下するブレードによって切断さ
れ、切断されたタイヤ切断片はコンベヤにて搬出装置へ
送られる。

【００１１】図２は本考案の切断装置Ａの外観図であっ
て、搬出装置Ｄと油圧ユニットＥを同時に示しており、
油圧ユニットＥから発生する高圧油が切断装置Ａの油圧
シリンダーへ送られて刃物基体を降下させ、刃物基体下
面に取着したブレードがタイヤを切断する。切断装置Ａ
には輪切り装置Ｂにて輪切りにされたタイヤ片１、１…
が、同図のように積重ねられた状態でベース２に載せら
れ、コンベヤ３により収容部へ送られる。コンベヤ３は
ベース２に沿ってコンベヤチェーンを走行し、該コンベ
ヤチェーンには送り部材４が取着されており、コンベヤ
チェーンの走行に伴い移動し、上記タイヤ片１、１…は
送り部材４に押されてベース２を滑って収容部へ入る。
ここで刃物基体が降下してブレードによりタイヤ片１を
切断している過程においては、上記コンベヤ３は停止す
るよう構成した間歇送りコンベヤである。そして切断さ
れてしまえば再びコンベヤチェーンが走行して搬出装置
Ｄである別のコンベヤに落されて搬出される。このよう
に、該切断装置Ａは収容部の手前に搬入ベース２を設け
てタイヤ片１を直接収容部へ入れることなく、一旦搬入
ベース２に載せてから、切断工程に合わせてコンベヤ３
でもって上記タイヤ片１を収容部へ送る。

【００１２】図３は刃物基体５にブレード６、６…を取
着した状態を示している。刃物基体５は本体に固定した
油圧シリンダー７、７…の下端に止着された円盤状部材
で、その下面８に上記ブレード６、６…が放射状を成し
て取着される。図４は油圧シリンダー７、７…が作動し
て刃物基体５が降下し、その結果タイヤ片１がブレード
６、６…により切断された状態を示す。刃物基体５はそ
の周囲を筒状ガイド９によりガイドされ、該筒状ガイド
９の下端にはストリッパー１０が吊棒１１に吊設されて
設けられ、ブレード６、６…はストリッパー１０に穿設
した孔から突出してタイヤ片１を切断する。切断に際し
てストリッパー１０はタイヤ片１に載って押圧し、細か
く切断された切断片１２は各ブレード６、６…間に挟ま
れ、刃物基体５が上昇するとともに、ストリッパー１０
によって切断片１２、１２…はブレード６、６…から外
される。

【００１３】図５は本考案の輪切り装置を示す。この輪
切り装置Ｂはタイヤドラム１３ａ、１３ｂ、カッター１
４及び支持盤１５ａ、１５ｂから成り、タイヤドラム１
３ａ、１３ｂは本体１６から垂直に起立する軸１７に軸
支されて回動自在であり、その外周にはカッター溝１８
が沿設されている。また上記軸１７には支持盤１５ａ、
１５ｂがタイヤドラム１３ａ、１３ｂの下方に平行を成
して取着され、タイヤドラム１３ａ、１３ｂとの距離は
調整可能としている。一方、カッター１４はアーム１９
の先端下側に取着され、該アーム１９に固定したモータ
２０に連動して回転する。カッター１４の上下面にはそ
の外周を凹凸化した滑り止めローラ２１、２１が固定さ
れ、該カッター１４及び滑り止めローラ２１、２１はシ
リンダー２２がアーム１９を揺動させることにより、左
右に配置したタイヤドラム１３ａ、１３ｂに接近する。

【００１４】上記支持盤１５にはタイヤが置かれ、カッ
ター１４が接近してタイヤに食い込み、滑り止めローラ
２１、２１がタイヤ外周に当接して回転することで、カ
ッター１４はタイヤを回しながら切り裂き、輪切りにす
る。この場合、タイヤの幅に応じて支持盤１５の高さを
調整して、カッター１４がタイヤ外周の中央に当るよう
にする。同図の輪切り装置Ｂでは左右のタイヤドラム１
３ａ、１３ｂの大きさ（外径）が異なっていて、輪切り
にされるタイヤ径に応じて使い分けてもよい。また片方
のタイヤドラム１３ａを用いて輪切り加工している間
に、他のタイヤドラム１３ｂに別のタイヤをセットし、
上記タイヤ輪切り加工が完了すると同時にアーム１９を
揺動して別のタイヤの輪切り加工を始めることも出来
る。

【００１５】図６は搬入装置Ｃの実施例を示している
が、テーブル２３は切断装置Ａのベース２の高さまで上
昇するように、リンク機構をもって構成されている。こ
こで、該テーブル２３を昇降させる手段は任意である
が、この実施例では油圧シリンダー２４を取着してい
て、降下状態で輪切りにしたタイヤ片１、１を載せてテ
ーブル２３を上昇し、ベース２の高さになったタイヤ片
１、１はフレーム２５に沿って移動する搬入アーム２６
によりベース上に引きずり込まれる。搬入アーム２６は
上記フレーム２５に摺動可能な状態で取着されている架
台２７の中央に設けられ、該架台２７はモーター２８に
より回転するボールネジ２９に螺合している。そして、
搬入アーム２６はテーブル２３側へ移動する場合に、タ
イヤ片１に当って揺動して、該タイヤ片１を押し戻すこ
とはない。すなわち、テーブル２３からベース２側への
み引き寄せることが出来る構造となっている。

【００１６】このように、輪切り装置Ｂにて輪切りにさ
れたタイヤ片１、１はテーブル２３に載って上昇し、上
記搬入アーム２６の移動とともに、タイヤ片１、１はベ
ース２へ引き寄せられ、タイヤ片１、１がベース中央に
位置したところで、搬入アーム２６は元の位置へ戻り、
タイヤ片１、１は切断装置Ａのコンベヤ３によりベース
２上を滑り、収容部まで移動する。そして、刃物基体５
の降下によりタイヤ片１、１はブレード６にて切断され
る。以上述べたように、本考案の輪切り装置はタイヤド
ラムを左右２ケ所に設け、その中間にカッターを配置し
たものであり、また切断ライン装置は切断装置と上記輪
切り装置、搬出装置及び必要に応じて設置した搬入装置
にて構成したもので、次のような効果を得ることが出来
る。

【００１７】

【考案の効果】本考案の切断ライン装置は輪切り装置を
有していて、タイヤを輪切りにした状態で切断するた
め、切断に際してブレードが食い込んでも歪になること
なく切断される。よって切断片の大きさはほぼ均一とな
る。そして、輪切りにされたタイヤ片は搬入装置のテー
ブル上に載せるだけで、その後は自動的に切断装置のベ
ースへ移され、収容部へ送って切断することができる。
切断されたタイヤ切断片は搬出装置により搬出される訳
で、大型タイヤであっても持ち運びすることなく作業出
来る。

【００１８】それに、本考案の輪切り装置はタイヤドラ
ムを２ケ所に設けており、そのため輪切り加工を能率的
に行うことが出来るとともに、タイヤは水平に設けた支
持盤に載せて輪切りされるため安定する。そして輪切り
装置を設けたことで、特に大きなタイヤであっても輪切
りにした片方のタイヤ片づつ２度に分けて切断すれば、
切断装置の能力も小さくて済む。換言すれば、従来装置
では能力的に切断不能な大型タイヤであっても輪切りに
することで可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のタイヤ切断ライン装置の全体配置図。

【図２】本考案の切断装置。

【図３】切断装置に取着する刃物基体及び刃物基体に固
定したブレード。

【図４】タイヤ片がブレードにて切断された状態。

【図５】本考案の輪切り装置で、ａは平面図、ｂは正面
図、ｃは側面図。

【図６】搬入装置の実施例で、ａは平面図、ｂは正面
図、ｃは側面図。

【符号の説明】

Ａ 切断装置 Ｂ 輪切り装置 Ｃ 搬入装置 Ｄ 搬出装置 Ｅ 油圧ユニット １ タイヤ片 ２ ベース ３ コンベヤ ４ 送り部材 ５ 刃物基体 ６ ブレード ７ 油圧シリンダー ８ 下面 ９ 筒状ガイド 10 ストリッパー 11 吊棒 12 切断片 13 タイヤドラム 14 カッター 15 支持盤 16 本体 17 軸 18 カッター溝 19 アーム 20 モーター 21 滑り止めローラ 22 シリンダー 23 テーブル 24 油圧シリンダー 25 フレーム 26 搬入アーム 27 架台 28 モータ 29 ボールネジ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 本体上面から所定の距離をおいて２本の
   軸を垂直に起立し、該軸にはタイヤドラムを回転自在に
   軸支し、タイヤドラムの下方には支持盤を設けてその高
   さを調整可能とし、そして両タイヤドラムの中間には高
   さを同じくしてカッターを設け、該カッターの上下には
   滑り止めローラを取着するとともに、上記カッターは左
   右のタイヤドラム側へ揺動するアーム先端の下方へ突出
   した軸に取着され、また該カッターを回転駆動するモー
   タをアームに取着し、アームにはシリンダーを連結した
   ことを特徴とするタイヤ輪切り装置。
2. 【請求項２】 本体上面から所定の距離をおいて２本の
   軸を垂直に起立し、該軸にはタイヤドラムを回転自在に
   軸支し、タイヤドラムの下方には支持盤を設けてその高
   さを調整可能とし、そして両タイヤドラムの中間には高
   さを同じくしてカッターを設け、該カッターの上下には
   滑り止めローラを取着するとともに、上記カッターは左
   右のタイヤドラム側へ揺動するアーム先端の下方へ突出
   した軸に取着され、また該カッターを回転駆動するモー
   タをアームに取着し、アームにはシリンダーを連結して
   輪切り装置を構成し、該輪切り装置によって輪切りされ
   たタイヤ片を載せるベースを設け、該ベースにはタイヤ
   片を収容部へ送るコンベヤを有し、該コンベヤのコンベ
   ヤチェーンには送り部材を取着し、また収容部上方には
   油圧シリンダーの作用で昇降する刃物基体に複数のブレ
   ードを放射状に取着し、刃物基体下方にはブレードを挿
   通する孔を持ったストリッパーを吊設して設けた切断装
   置を設置し、更に該切断装置により切断されたタイヤの
   切断片を搬出する搬出装置を設けたことを特徴とするタ
   イヤ切断ライン装置。
3. 【請求項３】 上記輪切り装置と切断装置の間に搬入装
   置を設置した切断ライン装置であって、上記搬入装置は
   輪切り装置によって輪切りされたタイヤ片を載せるテー
   ブルを平行リンク機構により昇降可能に取着し、フレー
   ムには搬入アームをスライド可能に設け、上記テーブル
   に載ったタイヤ片をベース高さまで持ち上げ、搬入アー
   ムによってタイヤ片を切断装置のベース上へ引込むよう
   に構成した請求項２記載のタイヤ切断ライン装置。