JPH0730234Y2 - 空缶クラッシャー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は小売店用あるいは家庭用
として利用できる小型かつ簡便な空缶のクラッシャーに
関するもので、空缶の圧潰に先立ちアルミ缶とスチール
缶とを磁石を用いて区分けすることを特徴とするもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、空缶の圧潰に先立ちアルミ缶とス
チール缶とを磁石を用いて区分けし、異なる場所にて圧
潰する簡便な缶処理機として、実公昭５５−１４４６１
号に開示されている構造のものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記の缶処理機は、区
分けした空缶を左右に傾斜状に設けられた第１誘導路と
第２誘導路を利用して、装置の左右両端部にて圧潰する
形態であるため分別容器は左右に分けて配置しなければ
ならず、圧潰後の空缶の後処理の作業性の悪いものであ
った。また、区分けした空缶を転動により誘導する左右
の誘導路が装置の内部に位置しているため、この誘導路
に空缶がつまった場合には上部の選別装置を分解しなけ
ればならず、大変面倒なものである。さらに、モータを
はじめ圧潰装置が缶処理機の下部に位置しているため、
空缶内の残液の漏洩等により、これら装置を汚すことに
なり、保守管理の面でも大変面倒なものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は上記の課題を解
決するもので、空缶の圧潰に先立ち、圧潰の直前で磁石
を利用してスチール缶とアルミ缶とを区分けし、圧潰位
置を１枚の固定プレートの前後面とすることにより、分
別容器の位置を近接させて使いやすくすると共に、区分
け部と圧潰部とを上下に接近させ、シューターや圧潰部
における空缶内の残液が圧潰部以外には付着しないよう
にして、メインテナンス性のよい装置としたものであ
る。

【０００５】すなわち、本考案に係る空缶クラッシャー
は、前半部上下面に開口２、３を有する長方形状支持枠
１の後半部に駆動軸１０を垂直状に設け、該駆動軸１０
の中間部に円板状の偏心カム１１を水平状に固定すると
共に上部には変形ハートカム１２を水平状に設け、前記
支持枠前半部の開口２、３内の中央部に固定プレート１
５を横方向に垂直状に設けると共に該固定プレート１５
を挟んで前後部に前プッシュ板１６と後プッシュ板１７
を一定の間隔にて一体的に有するプッシャー１８を前記
偏心カム１１の駆動により前後動可能に設け、該プッシ
ャー１８の前方上方にはシャッター駆動板２３を設ける
と共に、前プッシュ板１６と後プッシュ板１７の下端部
には正面から見てくし歯状のスリット２１、２２を設
け、該スリット２１に嵌るくし歯状のアルミ缶受板２６
とスリット２２に嵌るくし歯状のスチール缶受板２９と
の両先端部を前記固定プレート１５側に向けて一定間隔
隔てて設け、前記固定プレート１５の上方には、前面に
磁石３２を備えたスチール缶吸着板３３を、前記変形ハ
ートカム１２の駆動により固定プレート１５の前後にわ
たって前後動可能に設けると共に、該吸着板３３の後方
に缶落し３８を設け、前記前半部上面の開口２の上方に
Ｓ状のシューター４０を設けると共にこのシューターの
中間部に前記プッシャー１８の前後動と連動して開閉す
るシャッター４６を設け、プッシャー１８の一往復によ
り、シャッター駆動板２３にてシャッター４６を開閉す
ると共に、開口２から投入されるアルミ缶は固定プレー
ト１５の前部に、又、開口２から投入されるスチール缶
は固定プレート１５の後部に分けて落下させ、前プッシ
ュ板１６又は後プッシュ板１７にて空缶を固定プレート
１５との間で圧潰するようにしたことを特徴とするもの
である。

【０００６】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図に基き説明す
る。図中１は、長方形状の支持枠で前半部上下面に開口
２、３を有し、後半部には巾方向上下に設けた軸受桟
４、４の中央部の軸受５、５に駆動軸１０が垂直状に設
けられ、この駆動軸１０の上部は、モータ支持台６上に
載置されたモータ７のモータ軸８とカップリング９を介
して連結されている。

【０００７】１１は、駆動軸１０の中間部に水平状に固
定された円板状の偏心カム、１２は、駆動軸上方のカッ
プリング９に固定された変形ハートカムで、これらはそ
れぞれ図３、図４に示すような形状を呈し、駆動軸１０
の一回転により両カムも一回転するものである。

【０００８】１５は、支持枠１の前半部中央に該支持枠
を横切る方向すなわち横方向に垂直状に設けられた固定
プレートである。

【０００９】１８は、固定プレート１５を挟んで前プッ
シュ板１６と後プッシュ板１７を一体的に備え、後プッ
シュ板１７の後部に前記偏心カム１１を挟む作動枠１９
を有するプッシャーで、作動枠１９の後部前面と後プッ
シュ板１７の後面にローラー２０、２０を有するもので
ある。この両ローラー２０、２０は図１、図３に示す如
く偏心カム１１の直径より大きな間隔に配置されてい
る。そして、前プッシュ板１６と後プッシュ板１７の下
部には図２、図５に示す如く正面からみてくし歯状のス
リット２１、２２が設けられている。

【００１０】２３は、前プッシュ板１６の前方上方に設
けられた略三角板状のシャッター駆動板で、前プッシュ
板１６の側方から前方に延びる支持プレート２４の前方
上方にピン２５を介してシャッター駆動板２３の前方上
方が回動可能に支持され、前進時には回動せず、後退時
に上方先端部が回動して前方に逃げるようになってい
る。

【００１１】２６は、前記前プッシュ板１６のスリット
２１に嵌るくし歯状のアルミ缶受板で、くし歯の先端部
を固定プレート１５側に向け、前記前プッシュ板１６が
図１の如く前方位置にある時、アルミ缶受板の前半部が
前プッシュ板１６下部のスリットに一部挿入した状態で
ピン２８により回動可能に軸支され、常時は水平状態を
保っている。

【００１２】２９は、前記下方の横桟４の前面にアルミ
缶受板２６と対称的に設けられたくし歯状のスチール缶
受板で、このスチール缶受板２９もアルミ缶受板２６と
同様にピンにて回動可能に支持してもよく、また、アル
ミ缶受板２６をスチール缶受板２９と同様に固定式とし
てもよい。

【００１３】３１は、先端に、複数の磁石３２を備えた
吸着板３３を有する磁石作動板で、図４に示す如く中央
に前記カップリング９が嵌る長孔３４を備え、後端上部
にローラー３５を有するもので、この磁石作動板３１と
支持枠１との間に設けたスプリング３６により、該ロー
ラー３５が常時前記変形ハートカム１２に圧接するよう
になっている。そして、この吸着板３３は変形ハートカ
ム１２の作動により、前記固定プレート１５の上部を前
後にわたって往復動するものである。

【００１４】前記吸着板３３の上半部にも、図２に示す
如く前面から見てくし歯状のスリット３７が設けられ、
この吸着板３３が後退した際、このスリット３７に嵌る
くし歯状の缶落し３８が前記変形ハートカム１２の上方
でモータ支持台６の前方に設けられている。なお、この
缶落しは図示したようなくし歯状のものに限定されるも
のではなく、磁石３２に吸着しているスチール缶を、そ
の吸着力より強い力で離せばよいものである。

【００１５】４０は、支持枠１の前半部上方に設けられ
たＳ状（図１では逆Ｓ状）のシューターで、図１に示す
如く、プッシャー１８が前進した位置における前プッシ
ュ板１６の上端部から、前方に大きくわん曲した略半円
状の円弧部４１と、この円弧部４１の後方中心部から後
部上方に大きくわん曲したＪ状円弧部４２およびそれぞ
れ両円弧部の上端から前後上方へ延びるホッパー部４３
を備えたものである。そして、前方の円弧部４１の下方
両側面には後記するシャッター４６が入り込むための切
欠４４が設けられている。

【００１６】４５は、前記ホッパー部４３の上部に延長
状に取り付けられた着脱自在のガイドプレートで、空缶
を傾斜状に複数留めておくことができるものである。

【００１７】４６は、前記シューター４０の前方の円弧
部４１の下部を全巾にわたって横切り、シューター内の
空缶の落下を規制するシャッターで、図１、図５に示す
如く、前面から見て凹状を呈しており、その両側面上部
がピン４７により回動可能に軸支されると共につる巻ば
ね４８によりシャッターの下方から側方に張り出させた
アーム５０がストッパー４９に当接するように常に後方
に付勢している。従って、常時はこのシャッター４６に
よりシューター４０内の空缶は落下することなく保持さ
れている。

【００１８】また、このシャッター４０の後方最下端の
位置は、前記プッシャー１８の前方に設けたシャッター
駆動板２３の上端部の通過経路内にあり、シャッター駆
動板２３がシャッター４６の後方から前方へ移動する
際、シャッター４６の下端側方に張り出したアーム５０
に当接しつつ前進し、空缶が一つ落下する位置即ち、円
弧部４１の円弧面までシャッター４６の後方最下端が回
動した状態でアーム５０と外れ、つる巻ばね４８の作用
でシャッターは図１に示す元の位置まで戻るようになっ
ている。

【００１９】また、プッシャー１８の後退に伴うシャッ
ター駆動板２３の後退時には、その上端部が前記アーム
５０に当るが、シャッター４６はストッパー４９に当接
して不動状態にあるためシャッター駆動板２３がピン２
５を中心に回動してその上端部が下方に逃げながら後退
することになる。

【００２０】５１は、光電センサーで、前記シューター
４０の前方の円弧部４１のほぼ中央部左右に設けられた
一対の反射ミラー５２、５３を利用して、空缶の通過を
検知し、モーター７を駆動させるものである。

【００２１】

【作動】上記のプッシャー１８と磁石３２およびシャッ
ター４６との作動のタイミングは図６に示す関係に設定
されている。すなわち、図１、図２、図３に示す状態は
図６における０°のの位置を示しており、シャッター
４６は閉、磁石３２は前、プッシャー１８は前の状態で
ある。以下、本考案の各部の作用と空缶の流れを、アル
ミ缶とスチール缶に分け、図１および図７から図１２に
ついて説明する。

【００２２】

【アルミ缶の場合】図７は、シューター４０内に空缶Ａ
ｏがシャッター４６により止められている状態で、この
状態は図６の駆動軸の回転角１８０°のの位置であ
る。投入された空缶Ａｏがこの位置にくると、光電セン
サー５１から発している光線を空缶により遮ることにな
るため、その信号を受けてモータ７が駆動する。

【００２３】図７の状態でモータ７が回転するとプッシ
ャー１８が前進し、２７０°のの位置でシャッター駆
動板２３がシャッター４６の下端を押し、３１５°の
の位置で図８のようにシャッター４６を全開にするので
空缶Ａｏはシューター４０の下端まで落ちるが、この時
点から３６０°（０°）のの位置では図１のように吸
着板３３が前進しているので空缶は吸着板３３とシュー
ター４０の下端部にて保持された状態にある。

【００２４】続いて変形ハートカム１２の回転により吸
着板３３が後退し、６０°のの位置では図９のように
空缶は固定プレート１５と前プッシュ板１６の間に落下
し、アルミ缶受板２６にて受け止められる。

【００２５】続いて、偏心カム１１の回転によりプッシ
ャー１８が後退し、固定プレート１５と前プッシュ板１
６との間で空缶は圧潰され、圧潰された空缶はプッシャ
ー１８の前進に伴いアルミ缶受板２６と固定プレート１
５間の間隙から下方に落下する。

【００２６】なお、空缶内に残液のあるもの、スチール
缶であっても磁石の吸着力が作用しないもの、ガラス容
器等の異常物の場合には、図１０のように、アルミ缶受
板２６の先端部が異常物の重みで下るので、これらの異
常物は圧潰されず、そのまま落下する。

【００２７】〔スチール缶の場合〕 スチール缶の場合も、タイミングチャートの図７から
を経ての図８およびの図１までは同じ状態で移動
する。図１の状態から変形ハートカム１２の作用により
吸着板３３が後退する際、スチール缶Ａ₁ は磁石３２に
吸いつけられたまま１９０°のの位置では図１１のよ
うに後退し、その後２００°のの位置では図１２のよ
うに缶落し３８によりスチール缶は磁石３２から離さ
れ、固定プレート１５と後プッシュ板１７との間に落下
し、スチール缶受板２９にて受け止められる。

【００２８】続いて、偏心カム１１の回転により２４０
°から徐々にプッシャー１８が前進し、０°の図１の状
態になった時固定プレート１５と後プッシュ板１７との
間でスチール缶は圧潰され、圧潰されたスチール缶はプ
ッシャー１８の後退に伴いスチール缶受板２９と固定プ
レート１５間の間隙から下方に落下する。

【００２９】従って、Ｓ状シューター４０からガイドプ
レート４５にかけて多数の空缶を積み上げてある状態で
も最下部の空缶が光電センサー５１から発している光線
を遮ることにより、モータが自動的に駆動するので、偏
心カム１１および変形ハートカム１２によりプッシャー
１８および磁石３２を所定のタイミングで作動させ、上
述のようにシャッター４６にて止められている最下部の
空缶Ａｏを開口２の上部に送り込み、この空缶がアルミ
缶の場合には、そのまま固定プレート１５の前方に落
し、又、その空缶がスチール缶の場合には、磁石により
吸着して後方へ移動させた後缶落し３８により固定プレ
ート１５の後方に落し、これらの空缶をプッシャーの往
復動により固定プレート１５との間で順次圧潰し、その
下方へ落下させることができる。なお、シューター４０
内に空缶がない場合には自動停止となる。

【００３０】

【考案の効果】本考案に係る空缶クラッシャーは上述の
ような構成を有しているため下記のような効果がある。 １）モータ及びアルミ缶とスチール缶の分別機構をプッ
シャー部より上部に設置したことにより、プッシャーの
下側に充分なスペースを確保することができ、分別容器
の設置を接近させ得ると共に出し入れが楽なものとな
る。 ２）シューターとプッシャーとを上下に近接して配置
し、各種の駆動部をプッシャーの側部上方に配置したた
め、空缶内の残液による汚損がない。 ３）シューターを取り外せばプッシャー部分が露出する
ので、缶づまり等のメインテナンスが容易である。 ４）駆動軸の上下に偏心カムと変形ハートカムを設置
し、又固定プレートの前後部にてアルミ缶とスチール缶
を別々に圧潰する構造としたため、軽量、コンパクトか
つコストの安価なものとなる。 ５）異常物は圧潰されずそのままの状態で落下するの
で、落下時に圧潰品と区分して取り出すことができ、ま
た、圧潰されたアルミ缶と一緒に一つの容器に入っても
選別は容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一例の縦断側面図

【図２】図１のＡ−Ａ断面図

【図３】図１のＣ−Ｃ断面図

【図４】図１のＢ−Ｂ断面図

【図５】図１のＤ−Ｄ断面図

【図６】プッシャー、磁石、シャッターのタイミングチ
ャート

【図７】アルミ缶の動きを示す部分縦断側面図

【図８】アルミ缶の動きを示す部分縦断側面図

【図９】アルミ缶の動きを示す部分縦断側面図

【図１０】異常物の動きを示す部分縦断側面図

【図１１】スチール缶の動きを示す部分縦断側面図

【図１２】スチール缶の動きを示す部分縦断側面図

【符号の説明】

１ 支持枠 ２ 上部開口 ３ 下部開口 １０ 駆動軸 １１ 偏心カム １２ 変形ハートカ
ム １５ 固定プレート １６ 前プッシュ板 １７ 後プッシュ板 １８ プッシャー ２０ ローラー ２１ スリット ２２ スリット ２３ シャッター駆
動板 ２６ アルミ缶受板 ２９ スチール缶受
板 ３１ 磁石作動板 ３２ 磁石 ３３ 吸着板 ３５ ローラー ３８ 缶落し ４０ シューター ４６ シャッター ５１ 光電センサー

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前半部上下面に開口２、３を有する長方
   形状支持枠１の後半部に駆動軸１０を垂直状に設け、該
   駆動軸１０の中間部に円板状の偏心カム１１を水平状に
   固定すると共に上部には変形ハートカム１２を水平状に
   設け、前記支持枠前半部の開口２、３内の中央部に固定
   プレート１５を横方向に垂直状に設けると共に該固定プ
   レート１５を挟んで前後部に前プッシュ板１６と後プッ
   シュ板１７を一定の間隔にて一体的に有するプッシャー
   １８を前記偏心カム１１の駆動により前後動可能に設
   け、該プッシャー１８の前方上方にはシャッター駆動板
   ２３を設けると共に、前プッシュ板１６と後プッシュ板
   １７の下端部には正面から見てくし歯状のスリット２
   １、２２を設け、該スリット２１に嵌るくし歯状のアル
   ミ缶受板２６とスリット２２に嵌るくし歯状のスチール
   缶受板２９との両先端部を前記固定プレート１５側に向
   けて一定間隔隔てて設け、前記固定プレート１５の上方
   には、前面に磁石３２を備えたスチール缶吸着板３３
   を、前記変形ハートカム１２の駆動により固定プレート
   １５の前後にわたって前後動可能に設けると共に、該吸
   着板３３の後方に缶落し３８を設け、前記前半部上面の
   開口２の上方にＳ状のシューター４０を設けると共にこ
   のシューターの中間部に前記プッシャー１８の前後動と
   連動して開閉するシャッター４６を設け、プッシャー１
   ８の一往復により、シャッター駆動板２３にてシャッタ
   ー４６を開閉すると共に、開口２から投入されるアルミ
   缶は固定プレート１５の前部に、又、開口２から投入さ
   れるスチール缶は固定プレート１５の後部に分けて、そ
   れぞれ落下させ、前プッシュ板１６又は後プッシュ板１
   ７にて空缶を固定プレート１５との間で圧潰するように
   したことを特徴とする空缶クラッシャー。
2. 【請求項２】 アルミ缶受板２６が、その中央部をピン
   ２８にて回動可能に軸支され、一定の重さ以上の異常物
   が該アルミ缶受板２６の前方に乗った際、アルミ缶受板
   の前方が下方へ回転して圧潰することなく該異常物を落
   下させるようにした請求項１記載の空缶クラッシャー。
3. 【請求項３】 Ｓ状のシューター４０の上部に、両側に
   立上りを有するガイドプレート４５が傾斜状に設けられ
   た請求項１又は２記載の空缶クラッシャー。
4. 【請求項４】 Ｓ状シューター４０の中間部に光線が横
   切るように光電センサー５１を設け、空缶の落下を検知
   してモーター７を自動運転するようにした請求項１ない
   し３のいずれかに記載の空缶クラッシャー。
5. 【請求項５】 スチール缶吸着板３３の上部に多数のス
   リット３７が前後方向に設けられ、缶落し３８が、該ス
   リット３７を通過する多数のくし歯により構成されてい
   る請求項１ないし４のいずれかに記載の空缶クラッシャ
   ー。