JPH07301806A - 新規な液晶配向膜 - Google Patents

新規な液晶配向膜

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JPH07301806A
JPH07301806A JP9488894A JP9488894A JPH07301806A JP H07301806 A JPH07301806 A JP H07301806A JP 9488894 A JP9488894 A JP 9488894A JP 9488894 A JP9488894 A JP 9488894A JP H07301806 A JPH07301806 A JP H07301806A
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JP
Japan
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polyimide
liquid crystal
value
hammett
substituent
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JP9488894A
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English (en)
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Takayasu Nihei
貴康 仁平
Sadao Miyamoto
禎夫 宮本
Hideyuki Endo
秀幸 遠藤
Toyohiko Abe
豊彦 阿部
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Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリイミドが、ハメット則のσp値が正の値
を有する1価の置換基により置換されたビフェニル環が
結合した芳香族ジアミン成分、例えば一般式〔I〕で示
される 【化6】 (式中、Xは単結合、−O−、−COO−、−CONH
−より選ばれる2価の結合基、Zはハメット則のσp値
が正の値を有する1価の置換基である。)芳香族ジアミ
ンとテトラカルボン酸またはその誘導体とを反応させ、
還元粘度が0.05〜5.0dl/g(温度30℃のN
−メチルピロリドン中、濃度0.5g/dl)のポリイ
ミド前駆体とし、これを閉環させた、ハメット則のσp
値が正の値を有する1価の置換基により置換されたビフ
ェニル環を側鎖に有するポリイミドを用いることを特徴
とする液晶配向膜。 【効果】 本発明の液晶配向膜は、合成が容易であり、
液晶を均一に配向させ、チルト角を高めることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶配向膜に関するも
のであり、更に詳しくは液晶分子の傾き角が大きく、か
つ安定した配向特性が得られる工業的に製造容易な液晶
配向膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、液晶の電気光学的変化
を利用した表示素子であり、装置的に小型軽量であり、
消費電力が小さい等の特性が注目され、近年、各種ディ
スプレー用の表示装置として目覚ましい発展を遂げてい
る。なかでも正の誘電異方性を有するネマティック液晶
を用い、相対向する一対の電極基板のそれぞれの界面で
液晶分子を基板に対し平行に配列させ、かつ、液晶分子
の配向方向が互いに直交するように両基板を組み合わせ
た、ツィステッドネマティック型(TN型)の電界効果
型液晶表示素子は、その代表的なものである。
【0003】このようなTN型の液晶表示素子において
は、液晶分子の長軸方向を基板表面に均一に平行に配向
させること、更に、液晶分子を基板に対して一定の傾き
角(以下、チルト角という)をもって配向させることが
重要である。この様に液晶分子を配向させる代表的な方
法としては、従来より2つの方法が知られている。第1
の方法は、酸化けい素等の無機物を基板に対し斜めから
蒸着することにより基板上に無機膜を形成し、蒸着方向
に液晶分子を配向させる方法である。この方法では、一
定のチルト角を有する安定した配向は得られるものの工
業的には効率的ではない。
【0004】第2の方法は、基板表面に有機被膜を設
け、その表面を綿、ナイロン、ポリエステル等の布で一
定方向にラビングし、ラビング方向に液晶分子を配向さ
せる方法である。この方法は、比較的容易に安定した配
向が得られるため、工業的には専らこの方法が採用され
ている。有機膜としては、ポリビニルアルコール、ポリ
オキシエチレン、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられ
るが、化学的安定性、熱的安定性等の点からポリイミド
が最も一般的に使用されている。しかし、ポリイミドの
ラビングによって得られるチルト角は通常1〜3°程度
であり、それ以上の高いチルト角を得るのは困難であっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】液晶配向膜の分野にお
いては、これまでポリイミドなどの有機膜をラビングす
る方法では、高いチルト角を安定に得ることは困難であ
った。これを解決する手段として、特開昭62−297
819号公報には、長鎖アルキルアミンとポリイミド前
駆体の反応物よりなる液晶配向処理剤が提案されてい
る。また、特開平1−262527公報、特開平1−2
62528号公報には、長鎖アルキル化合物とポリイミ
ド前駆体の混合物よりなる液晶配向剤が提案されてい
る。更に、特開昭64−25126号公報には、アルキ
ル基を有するジアミンを原料としたポリイミドよりなる
液晶配向処理剤が提案されている。この様に、ポリイミ
ド中にアルキル基を導入して液晶のチルト角を高めよう
とする試みは数多くなされ、ある程度チルト角を高める
ことは可能となった。しかし、一方でポリイミド中にア
ルキル基を導入すると、ポリイミド表面が撥水性とな
り、ポリイミド表面に対する液晶の濡れ性が低下すると
いう問題を生じた。チルト角を高めるために、ポリイミ
ド中に過剰にアルキル基を導入することは、液晶の濡れ
性を低下させ、酷い場合には液晶の配向不良を引き起こ
し、結果的に液晶表示素子の表示性能を低下させること
ともなった。
【0006】この様に、ラビングにより高いチルト角が
得られ、しかも、液晶との濡れ性が高く、配向性の良好
な配向膜用のポリイミドの開発が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】液晶はその分子の配列状
態により、ネマティック、スメクティック、コレステリ
ックなどに分類されるが、全てに共通している点は、構
成分子の長軸が互いに平行配列している事である。この
ような規則的な分子配列から、ある化合物が液晶性を示
すのに必要な要件として、(1)分子構造が平行配列に
適した幾何学的形状をしていること、(2)平行配列を
維持するのに十分な分子間引力が保持されていることの
2点が挙げられる。この2つの要件から、液晶性を示す
化合物は棒状、ないし板状の分子形状を持ち、さらに永
久双極子や分極されやすい化学結合基(官能基)を有す
ることが必要となる。さらに、液晶相の種類は、この棒
状分子の末端間と側面間の適度な分子間引力のバランス
によって決まるといわれている。(「液晶の最新技術」
松本正一、角田市良 著 p62 1983年工業調
査会) 本発明者は、液晶配向膜による液晶の配向性をより向上
させるべく鋭意検討した結果、これら液晶分子間に作用
する分子間引力に相当する作用を、配向膜用ポリイミド
と液晶分子の間にも保持しうる構造をポリイミドの分子
構造中に導入することにより、液晶の配向性が著しく向
上することを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、 1)ハメット則のσp値が正の値を有する1価の置換基
により置換されたビフェニル環を側鎖に有するポリイミ
ドを用いることを特徴とする液晶配向膜。 2)ポリイミドが、ハメット則のσp値が正の値を有す
る1価の置換基により置換されたビフェニル環が結合し
た芳香族ジアミン成分とテトラカルボン酸またはその誘
導体とを反応させ、還元粘度が0.05〜5.0dl/
g(温度30℃のN−メチルピロリドン中、濃度0.5
g/dl)のポリイミド前駆体とし、これを閉環させた
ポリイミドである前記1)記載の液晶配向膜。
【0009】3)ポリイミドが、ハメット則のσp値が
正の値を有する1価の置換基により置換されたビフェニ
ル環が結合した芳香族ジアミン成分を少なくとも5モル
%以上含有するジアミン成分とテトラカルボン酸または
その誘導体とを反応させ、還元粘度が0.05〜5.0
dl/g(温度30℃のN−メチルピロリドン中、濃
度0.5g/dl)のポリイミド前駆体とし、これを閉
環させたポリイミドである前記1)記載の液晶配向膜。
【0010】4)ハメット則のσp値が正の値を有する
1価の置換基により置換されたビフェニル環が結合した
芳香族ジアミン成分は、一般式[I]
【0011】
【化2】
【0012】(式中、Xは単結合、−O−、−COO
−、−CONH−より選ばれる2価の結合基、Zはハメ
ット則のσp値が正の値を有する1価の置換基であ
る。)で表されるジアミンである前記2)又は3)記載
の液晶配向膜。に関する。以下、本発明を更に詳細に説
明する。本発明の液晶配向膜は、従来より配向膜用に用
いられてきたポリイミドの側鎖に電子吸引性の置換基に
より置換されたビフェニル環を導入したもので、これに
より、液晶分子の配向性は安定化され、更に、極めて高
いチルト角が得られる。
【0013】液晶分子は、ディスコティックなものを除
くと、ほとんど全て棒状の化学構造であり、かなりの程
度の剛直性をもつ“コア”と呼ばれる極性基で置換され
た環状置換基と線状のアルキル基より構成されている。
特に、環状置換基がベンゼン環の場合には、その液晶性
の大きさはベンゼン環に結合している置換基に依存し、
その序列はベンゼン環と共役電子系をつくる程度による
といわれている。(「液晶 基礎編」 岡野光治・小林
駿介 共編 p185 1985年 培風館)本発明の
配向膜に使用されるポリイミドは、特定の置換基により
置換されたビフェニル環を側鎖に有するポリイミドであ
る。この際、ビフェニル環の置換基は、上記液晶分子の
液晶性を高める置換基に相当するものの中から選択さ
れ、特に、電子吸引性の大きい置換基である。置換基の
電子吸引性の尺度としては、ハメット則のσp値が広く
知られている。(「ハメット則 −構造と反応性−」
稲本 直樹 著 p20 1983年 丸善) 本発明のポリイミドの側鎖ビフェニル環を置換する特定
の置換基は、ハメット則のσp値で表せば、σp値が正
の値を有する置換基でなければならない。この条件を満
たす限りに於いては、置換基の種類は特に限定されない
が、表−1の置換基がその代表的なものである。
【0014】
【表1】
【0015】(「ハメット則 −構造と反応性−」 稲
本 直樹 著 付表−1 1983年丸善) 更に、原料の入手性、合成面の容易さから、置換基とし
てはハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、
トリフルオロメトキシ基を選択するのが好ましい。
【0016】本発明に使用されるポリイミドの製造方法
は、特に限定されない。一般的には、上記ハメット則の
σp値が正の値を有する1価の置換基により置換された
ビフェニル環が結合した芳香族ジアミン成分(以下、ジ
アミン−1と略す)とテトラカルボン酸、テトラカルボ
ン酸ジハライド、テトラカルボン酸2無水物などのテト
ラカルボン酸及びその誘導体との重縮合を行うことによ
り合成することができる。
【0017】ジアミン−1は、この条件を満たす限りに
於いては特に限定されないが、敢えてその具体例を挙げ
れば、
【0018】
【化3】
【0019】(式中、Xは単結合、−O−、−COO
−、−CONH−より選ばれる2価の結合基、Yは単結
合、−O−、−CO−、−CH2 −より選ばれる2価の
結合基、Zはハメット則のσp値が正の値を有する1価
の置換基である)などであるが、特に、置換基Zは結合
基Xに対して6位にあるのが一般的であり、原料の入手
性、合成面の容易さから、
【0020】
【化4】
【0021】がその代表的なものである。本発明のポリ
イミドを得る方法は特に限定されない。具体的にはテト
ラカルボン酸及びその誘導体とジアミンを反応、重合さ
せてポリイミド前駆体とし、閉環イミド化して得ること
ができる。本発明のポリイミドを得るために使用される
テトラカルボン酸及びその誘導体は、特に限定されな
い。
【0022】その具体例を挙げると、ピロメリット酸、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,
2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,
5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7
−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ア
ントラセンテトラカルボン酸、3,3/ ,4,4/ −ビ
フェニルテトラカルボン酸、2,3,3/ ,4−ビフェ
ニルテトラカルボン酸,ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)エーテル、3,3/ ,4,4/ −ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメ
チルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジ
フェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカル
ボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ピリジンなどの芳香族テトラカルボン酸及びこれら
の二無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化
物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、
1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、
1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,
4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1
−ナフタレンコハク酸などの脂環式テトラカルボン酸及
びこれらの二無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハ
ロゲン化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸
などの脂肪族テトラカルボン酸及びこれらの二無水物並
びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物などが挙げ
られる。
【0023】特に、配向膜用途としては、塗膜の透明性
の点から脂環式テトラカルボン酸及びこれらの二無水物
並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物が好まし
く、更に、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボ
ン酸二無水物が好ましい。又、これらのテトラカルボン
酸及びその誘導体の1種又は2種以上を混合して使用す
ることもできる。
【0024】本発明は、テトラカルボン酸およびその誘
導体とジアミン−1とそれ以外の一般のジアミン(以
下、一般ジアミンと略す)を共重合することもできる
が、本発明のポリイミドを得るために使用されるジアミ
ンは、ジアミン−1を必須成分とする。一般ジアミン
は、一般にポリイミド合成に使用される一級ジアミンで
あって、特に限定されるものではない。
【0025】あえてその具体例を挙げれば、p−フェニ
レンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジア
ミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4/
ジアミノビフェニル、3,3/ −ジメチル−4,4/
ジアミノビフェニル、3,3 / −ジメトキシ−4,4/
−ジアミノビフェニル、ジアミノジフェニルメタン、ジ
アミノジフェニルエーテル、2,2−ジアミノジフェニ
ルプロパン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェ
ニル)メタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノ
ベンゾフェノン、ジアミノナフタレン、1,4−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4
−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−ア
ミノフェニル)アントラセン、1,3−ビス(4−アミ
ノフェノキシ)ベンゼン、4,4/ −ビス(4− アミ
ノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,
2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ジアミン、ビ
ス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−ア
ミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジ
アミン及びテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン等の脂肪族ジアミン、更には
【0026】
【化5】
【0027】(式中、nは1から10の整数を表す)等
のジアミノシロキサン等が挙げられる。又、これらのジ
アミンの1種又は2種以上を混合して使用することもで
きる。本発明のポリイミドを重合する際に、使用するジ
アミンの総モル数に対するジアミン−1のモル数の割合
を調節することにより、撥水性などのポリイミドの表面
特性を改質でき、更に液晶配向膜として用いる場合に
は、液晶との塗れ性、更には、液晶のチルト角を高める
ことが可能である。この際、使用するジアミンの総モル
数に対するジアミン−1のモル数の割合は5モル%以上
であることが好ましい。
【0028】テトラカルボン酸及びその誘導体とジアミ
ンとを反応、重合させポリイミド前駆体とした後、これ
を閉環イミド化するが、この際用いるテトラカルボン酸
及びその誘導体としてはテトラカルボン酸二無水物を用
いるのが一般的である。テトラカルボン酸二無水物のモ
ル数とジアミンの総モル数との比は0.8から1.2で
あることが好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル
比が1に近いほど生成する重合体の重合度は大きくな
る。
【0029】重合度が小さすぎると配向膜として使用す
る際にポリイミド膜の強度が不十分で、液晶の配向が不
安定となる。又、重合度が大きすぎるとポリイミド膜形
成時の作業性が悪くなる場合がある。従って本反応にお
ける生成物の重合度は、ポリイミド前駆体溶液の還元粘
度換算で0.05〜5.0dl/g(温度30℃のN−
メチルピロリドン中、濃度0.5g/dl)とするのが
好ましい。
【0030】テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを
反応、重合させる方法は、特に限定されるものではな
く、一般にはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機
極性溶媒中に一級ジアミンを溶解し、その溶液中にテト
ラカルボン酸二無水物を添加、反応させてポリイミド前
駆体を合成した後、脱水閉環イミド化する方法がとられ
る。
【0031】テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを
反応させポリイミド前駆体とする際の反応温度は−20
から150℃、好ましくは−5から100℃の任意の温
度を選択することができる。更に、このポリイミド前駆
体を100〜400℃で加熱脱水するか、又は通常用い
られているトリエチルアミン/無水酢酸などのイミド化
触媒を用いて化学的イミド化を行うことにより、ポリイ
ミドとすることができる。
【0032】本発明のポリイミドを電気・電子素子の絶
縁膜、保護膜更には液晶表示素子の配向膜として使用す
るに際しては、基板上に均一膜厚のポリイミド塗膜を形
成する必要がある。このポリイミド塗膜を形成するには
通常はポリイミド前駆体溶液をそのまま基板に塗布し、
基板上で加熱イミド化してポリイミド塗膜を形成するこ
とができる。この際用いるポリイミド前駆体溶液は、上
記重合溶液をそのまま用いても良く、又、生成したポリ
イミド前駆体を大過剰の水、メタノールのごとき貧溶媒
中に投入し、沈殿回収した後、溶媒に再溶解して用いて
もよい。上記ポリイミド前駆体溶液の希釈溶媒及び/又
は沈殿回収したポリイミド前駆体の再溶解溶媒は、ポリ
イミド前駆体を溶解するものであれば特に限定されな
い。
【0033】それらの溶媒の具体例としては、N−メチ
ルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これ
らは、単独でも混合して使用してもよい。更に、単独で
は均一溶液が得られない溶媒であっても、均一溶液が得
られる範囲でその溶媒を加えて使用してもよい。
【0034】又、基板上で加熱イミド化させる温度は1
00〜400℃の任意の温度を採用できるが、特に15
0〜350℃の範囲が好ましい。一方、本発明のポリイ
ミドが溶媒に溶解する場合には、テトラカルボン酸二無
水物とジアミンを反応して得られたポリイミド前駆体を
溶液中でイミド化し、ポリイミド溶液とすることができ
る。
【0035】溶液中でポリイミド前駆体をポリイミドに
転化する場合には、通常は加熱により脱水閉環させる方
法が採用される。この加熱脱水による閉環温度は、10
0から350℃、好ましくは120から250℃の任意
の温度を選択できる。又、ポリイミド前駆体をポリイミ
ドに転化する他の方法としては、公知の脱水閉環触媒を
使用して化学的に閉環することもできる。
【0036】このようにして得られたポリイミド溶液は
そのまま使用することもでき、又メタノール、エタノー
ル等の貧溶媒に沈殿させ単離した後、適当な溶媒に再溶
解させて使用することもできる。再溶解させる溶媒は、
得られたポリイミドを溶解させるものであれば特に限定
されないが、その例としては2−ピロリドン、N−メチ
ルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロ
リドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド、γ−ブチロラクトン等が挙げられ
る。
【0037】その他、単独ではこのポリイミドを溶解さ
せない溶媒であっても溶解性を損なわない範囲であれば
上記溶媒に加えても構わない。その例としてはエチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブ
チルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エ
チレングリコール等が挙げられる。又、ポリイミド膜と
基板の密着性を更に向上させる目的で、得られたポリイ
ミド溶液にカップリング剤等の添加剤を加えることはも
ちろん好ましい。
【0038】この溶液を基板上に塗布し、溶媒を蒸発さ
せることにより基板上にポリイミド被膜を形成させるこ
とができる。この際の温度は溶媒が蒸発すれば充分であ
り、通常は80から150℃で充分である。更に、この
ようにして透明電極の付いたガラス又はプラッスチック
フィルム等の透明基板上に膜厚200から3000Åの
ポリイミド膜を形成し、次いでポリイミド層をラビング
処理することにより液晶配向膜とすることができる。
【0039】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説
明するがこれに限定されるものではない。なお、各実施
例においては、以下に示す方法によって液晶セルを作成
し、液晶の配向性を調べた。
【0040】撥水性の評価:ポリイミド前駆体溶液をN
−メチルピロリドンで希釈し、樹脂濃度6%の溶液と
し、ガラス基板に3500回転/分でスピンコートし、
80℃で10分、250℃で1時間熱処理して、均一な
ポリイミド塗膜を形成させ、この塗膜上の水とヨウ化メ
チレンの接触角を測定し、Fowkesの式よりポリイミドの
表面エネルギーを算出した。
【0041】チルト角の評価:ポリイミド前駆体溶液を
N−メチルピロリドンで希釈し、樹脂濃度6%の溶液と
し、透明電極付ガラス基板に3500回転/分でスピン
コートし、80℃で10分、250℃で1時間熱処理し
て、均一なポリイミド塗膜を形成させた。この塗膜を布
でラビングした後、23μmのスペーサーを挟んでラビ
ング方向を平行にして組み立て、液晶(メルク社製:Z
LI−2293)を注入してホモジニアス配向したセル
を作製した。
【0042】このセルについて、偏光顕微鏡下で液晶配
向の均一性を確認し、ついで磁場容量法でチルト角を測
定した。
【0043】実施例1 ハメット則のσp値が正の値を有するシアノ基(σp値
=0.66)により置換されたビフェニル環が結合した
芳香族ジアミン成分として4−(4−シアノビフェニル
−4/ −オキシ)−1,3−ジアミノベンゼン500m
g(1.66mmol)、テトラカルボン酸として1,
2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸2無水物3
23mg(1.66mol)を20mlフラスコ中窒素
気流下で、N−メチルピロリドン7.41gに溶解し
て、20℃で4時間攪拌し重縮合反応を行い、ポリイミ
ド前駆体溶液を調製した。
【0044】得られたポリイミド前駆体の還元粘度は、
0.38dl/g(濃度0.5g/dl、NMP中、3
0℃)であった。また、この溶液をガラス基板にコート
し、250℃/1時間熱処理して、均一なポリイミド塗
膜を形成させ、得られた塗膜のIR測定を行い、シアノ
ビフェニル基を含有するポリイミドであることを確認し
た。
【0045】得られたポリイミド前駆体溶液を用いて、
ポリイミド塗膜の撥水性を調べたところ、その表面エネ
ルギーは56dyn/cmであった。また、液晶セルを
作成し、配向性及びチルト角を測定したところ、欠陥が
全くなく均一な配向性を示し、チルト角は55度と極め
て高いチルト角を示した。
【0046】実施例2 ハメット則のσp値が正の値を有するトリフルオロメト
キシ基(σp値=0.35)により置換されたビフェニ
ル環が結合した芳香族ジアミン成分として4−(4−ト
リフルオロメトキシビフェニル−4/ −オキシ)−1,
3−ジアミノベンゼン598mg(1.66mmol)
を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミド前駆体
溶液を調整した。ポリイミド前駆体溶液の還元粘度は
0.62dl/g(濃度0.5g/dl、NMP中、3
0℃)であり、ポリイミド塗膜のIR測定よりトリフル
オロメトキシビフェニル基を含有するポリイミドである
ことを確認した。
【0047】得られたポリイミド前駆体溶液を用いて液
晶セルを作成したところ、欠陥が全くなく均一な配向性
を示した。また、ポリイミド塗膜の撥水性及びチルト角
は表−2のようになった。
【0048】実施例3 ハメット則のσp値が正の値を有するフッ素(σp値=
0.06)により置換されたビフェニル環が結合した芳
香族ジアミン成分として4−(4−フルオロビフェニル
−4/ −オキシ)−1,3−ジアミノベンゼン489m
g(1.66mmol)を用いた以外は実施例1と同様
にしてポリイミド前駆体溶液を調整した。ポリイミド前
駆体溶液の還元粘度は0.51dl/g(濃度0.5g
/dl、NMP中、30℃)であり、ポリイミド塗膜の
IR測定よりフルオロビフェニル基を含有するポリイミ
ドであることを確認した。
【0049】得られたポリイミド前駆体溶液を用いて液
晶セルを作成したところ、欠陥が全くなく均一な配向性
を示した。また、ポリイミド塗膜の撥水性及びチルト角
は表−2のようになった。
【0050】実施例4 ハメット則のσp値が正の値を有するトリフルオロメチ
ル基(σp値=0.54)により置換されたビフェニル
環が結合した芳香族ジアミン成分として5−(4−トリ
フルオロメトキシビフェニル−4/ −オキシカルボニ
ル)−1,3−ジアミノベンゼン645mg(1.66
mmol)を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイ
ミド前駆体溶液を調整した。ポリイミド前駆体溶液の還
元粘度は0.48dl/g(濃度0.5g/dl、NM
P中、30℃)であり、ポリイミド塗膜のIR測定より
トリフルオロメチルビフェニル基を含有するポリイミド
であることを確認した。
【0051】得られたポリイミド前駆体溶液を用いて液
晶セルを作成したところ、欠陥が全くなく均一な配向性
を示した。また、ポリイミド塗膜の撥水性及びチルト角
は表−2のようになった。
【0052】比較例1 ハメット則のσp値がゼロの値を有する無置換ビフェニ
ル環が結合した芳香族ジアミン成分として4−(ビフェ
ニル−4−オキシ)−1,3−ジアミノベンゼン459
mg(1.66mmol)を用いた以外は実施例1と同
様にしてポリイミド前駆体溶液を調整した。ポリイミド
前駆体溶液の還元粘度は0.71dl/g(濃度0.5
g/dl、NMP中、30℃)であり、ポリイミド塗膜
の撥水性及びチルト角は表−2のようになった。
【0053】比較例2 ハメット則のσp値が負の値を有するメトキシ基(σp
値=−0.27)により置換されたビフェニル環が結合
した芳香族ジアミン成分として4−(4−メトキシビフ
ェニル−4/ −オキシ)−1,3−ジアミノベンゼン5
09mg(1.66mmol)を用いた以外は実施例1
と同様にしてポリイミド前駆体溶液を調整した。ポリイ
ミド前駆体溶液の還元粘度は0.56dl/g(濃度
0.5g/dl、NMP中、30℃)であり、ポリイミ
ド塗膜の撥水性及びチルト角は表−2のようになった。
【0054】比較例3 ハメット則のσp値が負の値を有するヒドロキシ基(σ
p値=−0.36)により置換されたビフェニル環が結
合した芳香族ジアミン成分として4−(4−ヒドロキシ
ビフェニル−4/ −オキシ)−1,3−ジアミノベンゼ
ン485mg(1.66mmol)を用いた以外は実施
例1と同様にしてポリイミド前駆体溶液を調整した。ポ
リイミド前駆体溶液の還元粘度は0.97dl/g(濃
度0.5g/dl、NMP中、30℃)であり、ポリイ
ミド塗膜の撥水性及びチルト角は表−2のようになっ
た。
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】本発明の液晶配向膜は、合成が容易であ
り、液晶を均一に配向させ、チルト角を高めることがで
きる。
フロントページの続き (72)発明者 阿部 豊彦 千葉県船橋市坪井町722番地1日産化学工 業株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハメット則のσp値が正の値を有する1
    価の置換基により置換されたビフェニル環を側鎖に有す
    るポリイミドを用いることを特徴とする液晶配向膜。
  2. 【請求項2】 ポリイミドが、ハメット則のσp値が正
    の値を有する1価の置換基により置換されたビフェニル
    環が結合した芳香族ジアミン成分とテトラカルボン酸ま
    たはその誘導体とを反応させ、還元粘度が0.05〜
    5.0dl/g(温度30℃のN−メチルピロリドン
    中、濃度0.5g/dl)のポリイミド前駆体とし、こ
    れを閉環させたポリイミドである請求項1記載の液晶配
    向膜。
  3. 【請求項3】 ポリイミドが、ハメット則のσp値が正
    の値を有する1価の置換基により置換されたビフェニル
    環が結合した芳香族ジアミン成分を少なくとも5モル%
    以上含有するジアミン成分とテトラカルボン酸またはそ
    の誘導体とを反応させ、還元粘度が0.05〜5.0d
    l/g(温度30℃のN−メチルピロリドン中、濃度
    0.5g/dl)のポリイミド前駆体とし、これを閉環
    させたポリイミドである請求項1記載の液晶配向膜。
  4. 【請求項4】 ハメット則のσp値が正の値を有する1
    価の置換基により置換されたビフェニル環が結合した芳
    香族ジアミン成分が、一般式[I] 【化1】 (式中、Xは単結合、−O−、−COO−、−CONH
    −より選ばれる2価の結合基、Zはハメット則のσp値
    が正の値を有する1価の置換基である。)で表されるジ
    アミンである請求項2又は請求項3に記載の液晶配向
    膜。
JP9488894A 1994-05-09 1994-05-09 新規な液晶配向膜 Pending JPH07301806A (ja)

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EP19950106741 EP0682283B1 (en) 1994-05-09 1995-05-04 Liquid crystal alignment film
TW84104466A TW290657B (ja) 1994-05-09 1995-05-04
DE1995629364 DE69529364T2 (de) 1994-05-09 1995-05-04 Flüssigkristallorientierungsschicht
US08/435,663 US5608033A (en) 1994-05-09 1995-05-05 Liquid crystal alignment film
KR1019950011297A KR100333561B1 (ko) 1994-05-09 1995-05-09 액정배향막
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008143964A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 Sumitomo Chemical Co Ltd 液晶ポリエステル溶液組成物およびその用途

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008143964A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 Sumitomo Chemical Co Ltd 液晶ポリエステル溶液組成物およびその用途

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