JPH07300768A - 金属被覆繊維布帛 - Google Patents

金属被覆繊維布帛

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JPH07300768A
JPH07300768A JP11215594A JP11215594A JPH07300768A JP H07300768 A JPH07300768 A JP H07300768A JP 11215594 A JP11215594 A JP 11215594A JP 11215594 A JP11215594 A JP 11215594A JP H07300768 A JPH07300768 A JP H07300768A
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fiber
metal
zinc
fibers
coated fiber
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JP11215594A
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Katsuya Tani
勝也 谷
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強力、高弾性率で高耐熱性、耐摩擦性、耐
衝撃性及び難燃性を有し、それ自身が優れた電磁波シ−
ルド材として有用である繊維布帛或は電磁シ−ルド性を
有する金属被覆繊維布帛を提供する。 【構成】 ポリベンザゾ−ル繊維よりなる布帛の少なく
ともその片面に金属を溶射して金属被膜を形成されてな
る金属被覆繊維布帛及び該金属被覆繊維布帛を補強材と
して使用した繊維強化複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はメタライジングされた高
強力、高弾性率、高耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性及び難
燃性の性能を持つポリベンザゾ−ル繊維よりなる繊維布
帛を補強材として使用した各種電磁波シ−ルド材或は該
シ−ルド材の複合材料の補強材として好適に使用される
金属被覆繊維布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自然雑音はパ−ソナルコンピユ−タ−、
ワ−ドプロセツサ−、誘導加熱装置、電子レンジ、自動
車の精密機器等により発生し、その周波数範囲は発生源
にもよるが一般に10KHz〜9GHzといわれてい
る。この電磁波によるコンピユ−タ−の誤動作、テレビ
のゴ−スト、レ−ダ−の偽像、人体・生物への影響など
に関する所謂電磁波障害等が問題となつている。従来か
かる電磁波障害を低減する手段の一つとして30〜40
デシベル(dB)のシ−ルド効果を有する電磁波シ−ル
ド材が使用されていた。上記シ−ルド効果を得るには電
磁波シ−ルド材の体積固有抵抗値は1オ−ム・cm以下が
目安といわれ、この目標値を得るために電磁波シ−ルド
材と導電性物質との複合材料が使用される。電磁波シ−
ルド材が繊維系である場合、繊維又は布帛の表面に金属
を付与する方法としては、(1) ラミネ−ト、(2) 溶射、
(3) 真空蒸着、(4) スパツタリング、(5) 導電性塗料、
(6) メツキ、(7) 金属繊維混合等が知られており、例え
ばアクリル繊維と銅、またポリエステル繊維とニツケル
の組合わせによる金属化合成繊維が市販されている。電
磁波シ−ルド性を付与した繊維布帛又は繊維強化複合材
の用途の具体例としては電磁波シ−ルドカ−テン、電子
機器ハウジング材、シ−ルド用建材、自動車用電子装置
シ−ルド材、シ−ルドケ−ブル、無線機、医療機器及び
計測器用シ−ルド材等を挙げることができる。一方、電
磁波シ−ルド材は用途によつてはシ−ド性又は帯電防止
性に加えて高い力学特性、例えば高強力、高弾性率が要
求される。このためス−パ−繊維と称される全芳香族系
ポリアミド繊維、全芳香族系ポリエステル繊維、超高分
子量ポリエチレン繊維等又は/及び編織物に金属加工を
施して電磁波シ−ルド性を付与したものや該繊維又は該
編織物を補強材に用いた繊維強化複合材料の開発が盛ん
に行われている。例えば亜鉛被覆編織物を補強材として
使用した繊維強化複合材料(特開平2−118173号
公報)、アルミニウム材料とアラミド繊維とをラミネ−
トしたもの(特開昭57−137148号公報)及び導
電性複合繊維混紡糸(特開昭63−59432号公報)
等の発明がある。一方、最近では防災の観点から電磁波
シ−ルド材に難燃性が要求されるようになつた。全芳香
族系ポリアミド繊維を使用することで、ある程度までは
この要求を満たすことが可能であるが、性能的には充分
とはいえない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】繊維系電磁波シ−ルド
材は、(1) 導電性繊維、例えば金属繊維、炭素繊維又は
導電性微粒子を分散したポリマ−を複合紡糸した複合繊
維等を使用する、(2) 導電加工繊維、例えば真空蒸着法
やメツキ法で金属被膜を形成した繊維、導電性ペ−スト
を塗布した繊維、その他スパツタリング法、ラミネ−ト
法や溶射法で加工した繊維等が利用される。しかし金属
繊維を使用すると布帛の色調が限定され、審美性に欠け
る。また比重が大きくて重く、錆びる等。また炭素繊維
は耐衝撃性が低く、金属繊維と同様に色調が限定され、
審美性に欠ける等の問題がある。また複合紡糸で複合繊
維化する方法をス−パ−繊維に適用することは困難であ
る。
【0004】従来の導電加工繊維を得る各種の方法は次
のような短所がある。例えば真空蒸着法には(1) アンダ
−コ−トが必要である、(2) 真空容器のサイズでハウジ
ングの大きさに制限を受ける。またメツキ法には(1) 設
備費用が高い、(2) 適用可能な繊維素材が制限を受け
る、(3) 廃液の処理が必要である。更に導電性塗料法に
は(1) 酸化を受けやすい、(2) 導電性が低い。スパツタ
リング法は(1) 装置が高価。ラミネ−ト法は(1) 複雑な
形状に加工しにくい。更に溶射法は(1) 熱膨張差が原因
で密着性が低い等である。しかし上記各種導電加工法の
長所と短所を詳細に比較すると繊維表面の膜厚や体積固
有抵抗値及び加工費の点で溶射法が比較的優れていると
いえる。本出願人の発明になる特開平2−118173
号発明はス−パ−繊維の一つである高強力、高弾性率の
超高分子量ポリエチレン繊維に亜鉛を溶射した亜鉛被覆
編織物及び該編織物を補強材として用いた繊維強化複合
材料に関するものであり、同公報記載の発明は従来スパ
ツタリング法、真空蒸着法若しくはラミネ−ト法によつ
て得られたものに比べると繊維表面に対する亜鉛の結合
強度がはるかに強化されている。一方、問題点として、
投入する電気エネルギ−が20KJ/cm3 を越えるとき
は溶射粒子により繊維表面が熱分解し、ガスが発生して
亜鉛粒子の付着が低下することが報告されている。本発
明はメタライジング加工性に優れ、かつ高強力・高弾性
率で高耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性及び難燃性を有し、
それ自身、優れた電磁波シ−ルド材として有用である繊
維布帛或は電磁シ−ルド性を有する合成樹脂強化金属被
覆繊維布帛を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的を
達成するためにメタランジング加工性に優れ、かつ高強
力・高弾性率で高耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性及び難燃
性を有し、優れた電磁波シ−ルド材として有用である繊
維布帛或は電磁シ−ルド性を有する合成樹脂強化複合材
料について検討した。その結果、ポリベンザゾ−ル繊維
からなる繊維布帛に溶射法を適用して金属被覆を施すこ
とによつて高強力・高弾性率で高耐熱性、耐摩耗性、耐
衝撃性を損なうことなく電磁波シ−ルド性に優れた繊維
布帛及び合成樹脂強化複合材料が得られることを見出し
た。即ち本発明はポリベンザゾ−ル繊維よりなる布帛
で、少なくともその片面に金属を溶射した金属被覆繊維
布帛並びに該金属被覆繊維布帛を補強材として使用した
繊維強化複合材料に関するものである。
【0006】以下に本発明を更に詳細に説明する。本発
明に係る金属被覆繊維布帛及び該繊維布帛を補強材に用
いた繊維強化複合材料を構成するポリベンザゾ−ル繊維
とは下記PBZポリマ−からなるド−プを紡糸して得ら
れたものである。即ちポリベンザゾ−ル(PBZ)と
は、ポリベンズオキサゾ−ル(PBO)ホモポリマ−、
ポリベンゾチアゾ−ル(PBT)ホモポリマ−及びそれ
らPBO、PBTのランダム、シ−ケンシヤル或はブロ
ツク共重合ポリマ−をいう。ここでポリベンゾオキサゾ
−ル、ポリベンゾチアゾ−ル及びそれらのランダム、シ
−ケンシヤル或はブロツク共重合ポリマ−は、米国特許
第4,703,103 号〔10月27日(1987)〕、米国特許第4,
533,692 号〔8月6日(1985)〕、米国特許第4,533,724
号〔号8月6日(1985)〕、米国特許第4,533,693 号〔8
月6日(1985)〕、米国特許第4,359,567 号〔11月16
日(1982)〕、米国特許第4,578,432 号〔3月25日(198
6)〕等に記載がある。PBZポリマ−に含まれる構造単
位としては、好ましくはリオトロビツク液晶ポリマ−か
ら選択される。モノマ−単位は構造式(a) −(h) に記載
されているモノマ−単位からなり、更に好ましくは本質
的に構造式(a) −(c)から選択されたモノマ−単位から
なる。PBZポリマ−のド−プを形成するための好適な
溶媒としては、クレゾ−ルやそれらのポリマ−を溶解し
得る非酸化性の酸が含まれる。好適な酸溶媒の例として
は、ポリリン酸、メタンスルホン酸及び高濃度の硫酸或
はそれらの混合物が挙げられる。更に好適な溶媒はポリ
リン酸及びメタンスルホン酸である。また最も適する溶
媒はポリリン酸である。溶媒中のポリマ−濃度は好まし
くは少なくとも約7重量%であり、更に好ましくは少な
くとも10重量%、最も好ましくは少なくとも14重量
%である。最大濃度は、例えばポリマ−の溶解性やド−
プ粘度といつた実際上の取扱い性により限定される。そ
れらの限界要因のためにポリマ−濃度は通常では20重
量%を超えることはない。好適なポリマ−やコポリマ−
或はド−プは公知の手法、例えば特表昭60−5005
38号記載のド−プの製造方法により合成される。また
米国特許第4,533,693 号〔8月6日(1985)〕、米国特許
第4,772,678 号〔9月20日(1988)〕、米国特許第4,84
7,350 号〔7月11日(1989)〕においても見られる。ま
たPBZポリマ−は、米国特許第5,089,591 号〔2月1
8日(1992)〕によると、脱水性の酸溶媒中での比較的高
温、高剪断条件下において高い反応速度での高分子量化
が可能である。
【0007】
【化1】
【0008】本発明の合成樹脂強化複合繊維布帛を構成
するPBZ繊維は引張強度が4.0 GPa以上で且つ初期
引張弾性率が140 GPa以上を有することが好ましい。
引張強度が4.0 GPa未満、或は初期引張弾性率が140
GPa未満のPBZ繊維からなる繊維布帛又は該布帛を
補強材に用いた繊維強化複合材料が一定の強力を得るに
は繊維使用量を増やす必要があるため軽量性の点で従来
の素材に比べて利点が少ない。単繊維繊度には特に制限
はなく1〜7デニ−ルの範囲のものが好適に使用され
る。なお溶射において基材となるポリベンザゾ−ル繊維
と金属層との優れた密着性を得るために予備処理を施し
て表面を活性化させることが望ましく、具体的にはコロ
ナ放電処理、プラズマ処理、化学エツチング、コ−テイ
ング処理等が挙げられる。また金属層との密着性を高め
るため予めPBZ繊維に無機充填材を加えてもよい。
【0009】本発明の金属被覆繊維布帛は主としてPB
Z繊維で構成されるが、引張強度1.3 GPa以上、初期
引張弾性率45GPa以上で且つ融点が300 ℃以上、或
は分解開始温度が450 ℃以上の耐熱性繊維を複合した繊
維布帛であつてもよい。複合する繊維としては例えば全
芳香族系ポリアミド繊維や全芳香族系ポリエステル繊維
等が挙げられる。金属被覆繊維布帛においてPBZ繊維
に複合する高強度、高弾性率、高耐熱性繊維の割合に関
しては特に制限はないが耐熱性、軽量性及び力学特性等
を勘案すると30重量%未満が好ましい。
【0010】次に被覆に使用される金属の種類及び溶射
条件について説明する。溶射法では基本的にどのような
金属でも利用可能であるが溶射に際して粒子の熱容量を
対象とする基材の種類によつては制限を受けることもあ
る。しかしPBZ繊維は優れた力学特性と耐熱性とを有
するため広範囲の金属の使用が可能である。例えば亜
鉛、アルミニユウム、鉛、錫、銀、銅、ニツケル、クロ
ム、金、コバルト、鉄、マンガン等が挙げられる。しか
し溶射の際の金属粒子の熱容量、被膜形成の安定性能、
電磁波シ−ルド効果、合成樹脂との接着性、更に経済性
等の点を考慮すると好ましい金属は亜鉛、銅、ニツケル
等である。次に溶射条件について述べる。
【0011】溶射条件は使用する金属の種類によるが、
以下に亜鉛の溶射条件について説明する。亜鉛線材に投
入する電気エネルギ−密度は5〜80KJ/cm3 が好ま
しく、電気エネルギ−密度が5KJ/cm3 に満たない場
合は溶射に際して亜鉛の粒子化が生じにくく均一な亜鉛
被膜が形成されないため、(1) 好ましい電磁波シ−ルド
効果が得られない、(2) 複合材料の補強材に用いた際に
良好な接着性が得られない等の結果になる。電気エネル
ギ−密度を極度に高めると亜鉛の付着効率が低下するか
ら80KJ/cm3 を超えないことが好ましい。また溶射
距離は素材とする亜鉛線材直径の1〜15倍にするのが
好ましい。1倍未満の溶射距離では繊維と亜鉛の爆発位
置に近すぎるため、繊維の位置の正確な設定が難しくな
り付着斑を生じるため好ましくない。一方、溶射距離が
15倍を超えると繊維までの距離が遠すぎるため亜鉛粒
子の持つ運動エネルギ−、熱エネルギ−の減衰が大き
く、繊維表面への強固な付着が困難となるため好ましく
ない。また繊維表面に形成する亜鉛膜厚は15〜55μ
mが好ましい。膜厚が15μm未満では亜鉛被膜が薄す
ぎるために、また均一な亜鉛被膜を形成することが困難
であり、(1) 好ましい電磁波シ−ルド効果が得られな
い、(2) 複合材料の補強材に使用する際にマトリツクス
との結合性が不充分となる等の結果になる。他方、膜厚
が55μmを超えると亜鉛被膜が厚くなり過ぎるため、
ハンドリング性が悪化し、補強材として用いた場合は界
面層が脆化し、強い補強効果を得ることができない。
【0012】亜鉛溶射の素材となるPBZ繊維布帛の形
態は編物、織物、直交不織布の何れでもよい。なぜなら
亜鉛溶射は布帛の平面に対して行われるため上記形態の
方が繊維糸条のときよりも溶射効率を挙げることができ
るからである。布帛を構成する繊維の形態は、長繊維、
短繊維或は長繊維と短繊維との混用品の何れであつても
よいが、補強材としてより高い効果を得るには長繊維を
用いることが好ましい。なお布帛が織物である場合、織
密度は10本/インチが好ましい。織密度が10本/イ
ンチ未満では繊維間隙があきすぎるため溶射により付与
された亜鉛に対する支持が弱くなり亜鉛が脱落しやすく
なる。また前記したようにPBZ繊維に全芳香族系ポリ
アミド繊維又は全芳香族系ポリエステル繊維が複合され
た布帛も対象とすることができる。その際に複合布帛を
得る具体的な方法としては、長繊維状のPBZ繊維と全
芳香族系ポリアミド繊維を用いた織物において経糸、緯
糸のそれぞれについて(1) PBZ繊維と全芳香族系ポリ
アミド繊維の各100 %素材を1本乃至数本交互に複合す
る方法、(2) PBZ繊維と全芳香族系ポリアミド繊維を
引き揃えた糸を1本乃至数本交互に複合する方法、(3)
経糸又は緯糸の何れか一方にPBZ繊維、全芳香族系ポ
リアミド繊維の各100 %素材を使用し、他方に上記引き
揃え糸1本乃至数本を交互に複合する方法、更には(4)
PBZ繊維と全芳香族系ポリアミド繊維の組合わせによ
つて、フイラメント混繊糸とした後に複合する方法等を
採用することができる。また直交不織布においては、
(1) PBZ長繊維と全芳香族系ポリアミド長繊維をそれ
ぞれ100 %使用して単層とした後、該異種単層シ−トを
多層に積層し、次いで直交不織布とする方法、(2) PB
Z長繊維と全芳香族系ポリアミド長繊維の引き揃え糸を
使用して単層とし、該単層シ−トを多層に積層し、次い
で直交不織布とする方法、(3) PBZ長繊維と全芳香族
系ポリアミド長繊維を1本乃至数本交互に組合わせて単
層シ−トとし、該単層シ−トを多層積層後、次いで直交
不織布とする方法、(4) PBZ長繊維と全芳香族系ポリ
アミド長繊維のフイラメント混繊糸を使用して単層とし
た後、次いで該単層シ−トを多層積層後、直交不織布と
する方法が挙げられる。なお布帛が何れの形態であつて
も繊維表面に存在する不純物は亜鉛溶射粒子と繊維表面
との直接結合を阻害する。従つて溶射を施す前に洗浄、
具体的には脱脂処理を行うことによつて亜鉛と繊維間に
強い結合を形成せしめることができる。
【0013】このようにして得られる金属被覆繊維布帛
はそれ自身が電磁波シ−ルド材、例えば電磁波シ−ルド
カ−テンとして用いることができるが更に複合材料の補
強材として利用することができる。後者の場合、マトリ
ツクス材料は特に限定されず、ゴムや熱可塑性合成樹脂
等が利用できる。ここでいうゴムとはクロロプレンゴ
ム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエ
ンゴム、エチレンプロピレンタ−ポリマ−、シリコンゴ
ム等を非限定的に挙げることができる。また本発明に使
用される合成樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹
脂、熱可塑性樹脂等の全てが挙げられるが好ましいのは
熱硬化性樹脂であり、その中でも特に好ましいものとし
ては、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、例えばヘツト酸ポリエステル、ビスフエノ−ルAポ
リエステル、ビニルポリエステル樹脂(直鎖状樹脂)或
はエポキシ樹脂、例えばグリシジルエ−テル系、グリシ
ジルエステル系、クリシジルアミン系、線状脂肪族エポ
キサイド系、脂肪族エポキサイド系等の樹脂が挙げられ
る。本発明に係る繊維強化複合材料に占める前記繊維の
好ましい含有率は接着、補強効果及び耐層間剥離性等を
考慮して35〜70重量%の範囲である。合成樹脂の硬
化方法は使用するマトリツクス樹脂の種類や成形方法等
によつても異なるが、通常コ−ルドプレス法やヒ−トプ
レス法等を使用して熱硬化させる。
【0014】以下に本発明において評価に用いた特性の
測定法は下記の通りである。 <繊度>試料を標準状態(温度22±2度、相対湿度6
5±2%の状態)の試験室で24時間静置した後、ラツ
プリ−ルを用いて試料90mを採取し、その重量を測定
して9000mの重量に換算して繊度(デニ−ル)とした。 <繊維の強伸度特性の測定法>JIS L1013(1
981)の7.5.1に準じ、標準状態の試験室でオリ
エンテツク株式会社製のテンシロン型試験機を使用し
て、把み間隔20cm、引張速度100 %/分、n=10で
強伸度を測定し、初期引張弾性率、破断時の引張強度及
び伸度を算出した。 <亜鉛膜厚の測定法>走査電子顕微鏡を用いて膜亜鉛被
覆繊維布帛を観察して膜厚を測定した。 <亜鉛の脱落率の測定法>JIS K6328(198
1)に準じ、揉試験を2000回実施し、重量変化により脱
落率を求めた。 <電磁波シ−ルド性の測定法>ASTM−1951.デ
ユアルチヤンバ−法に準じ、周波数30MHz〜1GH
z帯域においてシ−ルド効果(dB)を測定した。 <複合材料の剥離試験法>亜鉛被覆繊維で強化した複合
材料を標準状態の試験室に24時間コンデイシヨニング
した後、オリエンテツク株式会社製のテンシロン型試験
機を使用して、把み間隔1cm、引張速度5cm/分の条件
でT−剥離により剥離試験を行つた。
【0015】
【実施例1】強度5.8 GPa、初期引張弾性率269 GP
aで繊度1500デニ−ル/1000フイラメントのポリベンズ
オキサゾ−ル(PBO繊維)長繊維束を用い、経糸及び
緯糸各々35本/インチの織密度で製織した後、一片が
10cmの正方形に切り出し亜鉛被覆用の織布を得た。該
亜鉛被覆用の織布に対して、直径0.1cm 、長さ5cmの亜
鉛線を、溶射距離1.5cm 、電気エネルギ−1.2 KJで3
回溶射した。このようにして得た亜鉛被覆繊維布帛の膜
厚、亜鉛脱落率、電磁波シ−ルド性等を〔表1〕に纏め
て示した。
【0016】
【表1】
【0017】
【比較例1】実施例1に記載した亜鉛被覆用の織布に以
下の条件からなるスバツタ法によつて亜鉛を付与して亜
鉛被覆繊維布帛を得た。 アルゴンガス圧力 : 30×10-3 Torr 電極間距離 : 10cm 高周波出力 : 13.5MHz、200W このようにして得た亜鉛被覆繊維布帛の膜厚、亜鉛脱落
率、電磁波シ−ルド性等を〔表1〕に纏めて示した。
【0018】
【比較例2】JIS K6760に基づいて測定した融
点が145 ℃、ASTMD2857に基づいて求めた平均
分子量が200 万、引張強度2.6 GPa、初期引張弾性率
87GPa、繊度1600デニ−ル、フイラメント数1560本
である超高分子量ポリエチレン繊維(東洋紡績株式会社
製)を用い経糸及び緯糸各々22本/インチの織密度で
製織した後、一片が10cmの正方形に切り出して亜鉛溶
射用の繊維布帛を作成した。該繊維布帛に対して直径0.
1 cm、長さ5cmの亜鉛線を1.5cm の溶射距離にとつて電
気エネルギ−0.7 KJで5回溶射した。このようにして
得た亜鉛被覆繊維布帛の膜厚、亜鉛脱落率、電磁波シ−
ルド性等を〔表1〕に纏めて示した。
【0019】〔表1〕から明らかなように本発明に属す
る金属(亜鉛)被覆繊維布帛は、(1) 皮膜が厚い、(2)
金属の繊維表面に対する結合性が強い、(3) 電磁波の減
衰が大きく高いシ−ルド性を示す等のこと及び溶射に際
して、(1) 繊維が高耐熱性であることから電気エネルギ
−密度を高くして溶射回数を低減することができる等の
ことが判かる。
【0020】
【実施例2、比較例3〜4】下記組成のEPDMゴムを
マトリツクスとし、実施例1で得た亜鉛被覆繊維布帛を
補強材として下記のようにして加硫を行ない繊維強化複
合材料を得て、これを実施例2とした。なお実施例2に
おいて補強材を前記比較例1〜2で得た亜鉛被覆繊維布
帛に代えた以外は同一の処理を行なつて繊維強化複合材
料を得た。これを比較例3〜4とした。得られた繊維強
化複合材料の剥離強度を〔表2〕に纏めて示した。 (1) EPDMゴム組成 E501A〔エスブレン、住友化学工業株式会社製〕 100.0重量部 ZnO 5.0重量部 ステアリン酸 1.0重量部 FEFブラツク〔カ−ボンブラツク、東海カ−ボン株式会社製〕 1.0重量部 サンバ−2260〔パラフイン系オイル、日本サンオイル株式会社製〕 10.0重量部 ソクシノ−ルBZ〔ジブチルジチオカルバメ−ト亜鉛塩、 住友化学工業株式会社製〕 1.0重量部 ソクシノ−ルTT〔テトラメチルチウラムジサルフアイド、 住友化学工業株式会社製〕 1.0重量部 ソクシノ−ルM〔2−メルカプトベンゾチアゾ−ル、 住友化学工業株式会社製〕 0.5重量部 硫黄 1.0重量部 (2) 加硫 前記組成のEPDMゴムを厚さ1mmのシ−トにした後、
一辺が10cmの正方形に切り、該亜鉛被覆布帛を2枚の
EPDMゴムの間に挟んで1Kg/cm2 、130 ℃の温度で
20分間加硫を行なつた。
【0021】
【表2】
【0022】〔表2〕から明らかなように本発明に属す
る繊維強化複合材料(実施例2)はスパツタ法による金
属被覆繊維布帛を補強材に用いた場合(比較例3)や被
溶射基材として超高分子量ポリエチレン繊維を用いた場
合(比較例4)と比べると樹脂との接着性に優れた繊維
強化複合材料の得られることが判かる。
【0023】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
ポリベンザゾ−ル繊維の優れた力学特性、即ち高強力、
高弾性率で高耐熱、難撚性、耐摩耗性、耐衝撃性等の特
性を維持し、且つ高い電磁波シ−ルド性を有する金属被
覆繊維布帛を提供することが可能になつた。また該繊維
布帛を補強材として用いると繊維と樹脂との接着性が改
善された繊維強化複合材料が得られる。なお該補強材は
金属被覆が施されているため、得られる繊維強化複合材
料は優れた電磁波シ−ルド性や帯電防止機能を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C23C 4/06 D06M 101:30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張強力が4.0 GPa以上、かつ初期引
    張弾性率が140 GPa以上を有するポリベンザゾ−ル繊
    維よりなる布帛の少なくともその片面に金属を溶射して
    被膜が形成されてなることを特徴とする金属被覆繊維布
    帛。
  2. 【請求項2】 引張強力が4.0 GPa以上、かつ初期引
    張弾性率が140 GPa以上を有するポリベンザゾ−ル繊
    維よりなる直交不織布の少なくともその片面に金属を溶
    射して被膜が形成されてなることを特徴とする金属被覆
    直交不織布。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の金属被覆繊維布帛を補強
    材として使用してなることを特徴とする繊維強化複合材
    料。
JP11215594A 1994-04-26 1994-04-26 金属被覆繊維布帛 Pending JPH07300768A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997034026A1 (en) * 1996-03-13 1997-09-18 Cerma Shield (Proprietary) Limited The coating of materials
WO2000015860A1 (de) * 1998-09-14 2000-03-23 Frenzelit-Werke Gmbh & Co. Kg Verfahren zur herstellung von formkörpern
CN103469424A (zh) * 2013-09-02 2013-12-25 江苏红豆实业股份有限公司 具有抗菌和电磁屏蔽功能面料的制备方法
CN115807204A (zh) * 2022-11-25 2023-03-17 国网黑龙江省电力有限公司大兴安岭供电公司 一种碳纤维复合材料表面金属化的方法及其应用

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