JPH07294573A - 交流4電圧測定による活線ケーブル絶縁劣化診断方法および装置 - Google Patents

交流4電圧測定による活線ケーブル絶縁劣化診断方法および装置

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JPH07294573A
JPH07294573A JP6085059A JP8505994A JPH07294573A JP H07294573 A JPH07294573 A JP H07294573A JP 6085059 A JP6085059 A JP 6085059A JP 8505994 A JP8505994 A JP 8505994A JP H07294573 A JPH07294573 A JP H07294573A
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ground
cable
capacitor
measured
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Tadaharu Nakayama
忠晴 中山
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧電力ケーブルの絶縁劣化程度を活線運転
中に測定用電源を使用することなく診断する方法を提供
する。 【構成】 対象ケーブル2のしゃへい端と大地間に切替
手段12により選択される、値の異なる第1および第2
のコンデンサ13、14及び値の異なる第1および第2
の抵抗15、16からなる4種の選択測定接地インピー
ダンスを挿入し、さらに通常恒常的にこれらの1つと並
列に挿入される第3のコンデンサ17の存在下で、直流
電流の侵入を排除した交流電圧計19により、各選択測
定接地インピーダンスの1つを選択したときに、その接
地インピーダンスの両端に発生する実効電圧値を交流電
圧計で測定する。この結果得られた4つの実測電圧値か
ら測定対象ケーブルの絶縁体が有する等価中心雑音周波
数における起電流能を算出し、この起電流能の大小から
ケーブルの絶縁劣化程度を判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高圧電力ケーブルの絶
縁劣化程度を活線運転中に測定用電源を使用することな
く診断する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、活線運転中の高圧電力ケーブルの
絶縁劣化程度を診断する方法として、高圧系統の接地用
機器に触れる必要がなく、しかも測定用信号電圧電源を
準備する必要もなしに、容易に実施できる方法が知られ
ている。この方法は、測定対象ケーブルの接地線電流の
うち直流分を検出し、その極性、大きさ及び時間特性を
解析し、もってケーブル絶縁体中の水トリーの有無、大
きさ、発生方向を検知して、上記ケーブルの使用継続の
可否を判定するものである。この診断方法を図3及び図
4を参照して説明する。
【0003】図3において、1は高圧母線、2は測定対
象ケーブル、3は測定対象ケーブル2の絶縁体内におい
て貫通水トリーが発生したために生じた絶縁不良抵抗で
その値はRI、4は貫通水トリー発生部に存在する絶縁
層局部電池でその電圧値はEI、5は測定対象ケーブル
2の外装に発生している防食層絶縁不良抵抗でその値は
S、6は防食層絶縁不良部に存在する防食層局部電池
でその電圧値はES、7はしゃへい端を大地に接続する
接地線、8は接地線7の途中に設けた直流分測定装置で
直流微少電流を測定する。図4は図3の等価回路を示す
もので、直流分測定装置8の内部を分解して示してい
る。9は入力抵抗でその値はRM、10は入力抵抗9の
直流電圧降下を測定する増巾器付微少電圧測定器、11
は交流分バイパス用コンデンサである。EIは測定対象
ケーブルが交流高電界下にあり、かつ貫通水トリーが発
生した状態でのみ顕現化する直流起電力で、従って直流
起電力EI、絶縁不良抵抗値RIから成る肢を起電流能肢
とし、入力抵抗値RMをもって閉回路を作成すれば、入
力抵抗値RMに流れる電流IMは、微少電圧測定器10に
よる電圧測定値から計算し得るので、対象ケーブルに貫
通水トリーが発生していることを認知し得るものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述の如
くして得られた直流電流IMの大小をもってケーブルの
絶縁劣化程度を診断することには次のように問題点があ
った。 イ.防食層局部電池の値ES及び防食層絶縁不良抵抗値
Sから成るもう一つの起電流能肢の存在を無視してい
るので得られた電流値IMが、直流起電力EI、絶縁不良
抵抗値RI肢起因のものなのか、ES、RS肢起因のもの
なのかを区別することができない。一般には防食層局部
電池の電圧値ES、防食層絶縁不良抵抗値RS肢起因の起
電流能の方が、直流起電力EI、絶縁不良抵抗値RI肢起
因の起電流能よりはるかに大きく、かつ出現頻度も高い
ためにしばしば絶縁良好ケーブルを不良とする誤判断を
来す。 ロ.かりに防食層局部電池電圧が零であったとしても、
防食層絶縁不良抵抗値RSによる直流電流IMの分流作用
が避けられない。測定された直流電流IMは、入力抵抗
値RMと防食層絶縁不良抵抗値RSとの大小対比結果、入
力抵抗9に流れているものにすぎない。一般に入力抵抗
Mの値は10KΩ〜10MΩで、防食層絶縁不良抵抗
値RSも同様な値であるからRS肢への分流による誤差が
発生する。 ハ.貫通水トリーが存在しなければ、たとえ水トリーが
大量に発生していても、直流電流IMという継続した自
由電子電流は空間電荷電流などでは流れ得ないから、絶
縁不良として認知できない。
【0005】本発明の目的は、測定用信号電圧電源を使
用することなく、たとえ防食層絶縁不良抵抗や、防食層
局部電池が存在しても、さらに貫通水トリーが存在して
も存在しなくても、水トリー等の絶縁不良が発生してい
れば、それを認知して絶縁劣化の程度を診断できる方法
および装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の絶縁劣化診断方
法は、値の異なる第1の測定コンデンサおよび第2の測
定コンデンサと値の異なる第1の測定抵抗および第2の
測定抵抗とからなる4つの選択測定接地インピーダン
ス、そして第3のコンデンサとを活線電力ケーブルのし
ゃへい端と大地間にそれぞれ並列に挿入する段階と、少
なくとも前記第1および第2の測定抵抗を選択する際に
は前記第3のコンデンサを活線電力ケーブルのしゃへい
端と大地間に接続した状態において前記4つの選択測定
接地インピーダンスの1つを前記しゃへいと大地間に選
択接続して該選択測定接地インピーダンスの両端に発生
する交流実効電圧を直流電流の侵入を排除した真の実効
値電圧を表示する交流電圧計により測定し、該測定を前
記4つの選択測定接地インピーダンスに対してそれぞれ
行なって4つの交流実効電圧値を測定する段階と、測定
された4つの交流実効電圧値から前記活線ケーブルの絶
縁体が有する基本周波数における第1の起電流能、およ
び基本周波数のN倍の等価中心雑音周波数における第2
の起電流能を算出し、第2の起電流能の大小からケーブ
ルの絶縁劣化程度を判断する段階を含んでいる。
【0007】本発明の絶縁劣化診断装置は、前記活線ケ
ーブル絶縁劣化診断方法に使用される装置であって、前
記活線電力ケーブルのしゃへい端と大地間に接続される
第3のコンデンサと、値の異なる第1の測定コンデンサ
および第2の測定コンデンサと値の異なる第1の測定抵
抗および第2の測定抵抗とからなる前記4つの選択測定
接地インピーダンスと、前記4つの選択測定接地インピ
ーダンスのひとつを選択して前記活線ケーブルのしゃへ
いと大地との間に接続すると共に該選択された選択測定
接地インピーダンスの両端を直流電流遮断用のコンデン
サに直列に接続された前記交流電圧計に接続する切替手
段と、を備えている。
【0008】
【作用】実使用基本周波数(商用周波数)の交流電圧電
界によって、測定対象ケーブルの絶縁体内にその絶縁不
良の程度に応じて自然に発生する、広い周波数にまたが
る雑音電流起電流能を絶縁劣化の診断に利用する。この
雑音電流起電流能を代表する基本周波数のN倍の等価中
心雑音周波数における第2の起電流能を算出するため、
対象ケーブルのしゃへい端と大地間に切替手段により選
択される、値の異なる第1および第2のコンデンサ及び
値の異なる第1および第2の抵抗からなる4種の選択測
定接地インピーダンスを挿入し、さらに通常恒常的にこ
れらの1つと並列に挿入される第3のコンデンサの存在
下で、直流電流の侵入を排除した交流電圧計により、各
選択測定接地インピーダンスの1つを選択したときに、
その接地インピーダンスの両端に発生する実効電圧値を
交流電圧計で測定する。この結果得られた4つの実測電
圧値から測定対象ケーブルの絶縁体が有する等価中心雑
音周波数における起電流能を算出し、この起電流能の大
小からケーブルの絶縁劣化程度を判断する。
【0009】
【実施例】まず、この発明の絶縁劣化診断方法が成立す
る原理について説明する。測定対象ケーブルの絶縁抵抗
を直流的に測定するためには、測定可能限度以下に絶縁
抵抗値が低下していることが必要である。しかし、近時
のプラスチック絶縁電力ケーブルでは絶縁体を貫通する
パスが発生していないと、たとえ水トリーが大量に発生
していても絶縁抵抗値は極めて高く、その値を実測する
ことが実用的に不可能である。また貫通水トリーが発生
していてもその実数が少ないと、やはり絶縁抵抗値が高
く実測が困難である。そこで本発明では直流を用いた測
定方法を放棄し、代わりに絶縁劣化したケーブルがその
劣化程度に応じて、基本周波数による交流電圧電界下で
自然的に発生する広い周波数にまたがる雑音電流起電流
能により、測定対象ケーブルのしゃへい端と大地間に挿
入した100Ω以下のインピーダンスのコンデンサ及び
抵抗に発生する交流実効電圧を測定して、該起電流能の
実数を得、その大小により絶縁劣化の程度を判断するこ
ととした。本発明は、従来の診断方法のように測定用信
号電源を準備し、これを高圧系統の接地用機器の中性点
と大地間に接いで信号電圧を高圧系統に送り込む等の手
間は全く不必要であり、単に対象ケーブルのしゃへい端
の接地線の途中に測定回路1式を割り込ませるだけで測
定が実施でき、実行が極めて容易である。そして比較的
大きい交流電流電圧を扱うことから、使用測定器の高性
能具備の要求は無く、低インピーダンスで直流分を排除
した交流実効電圧の測定を行うため、絶縁体に貫通パス
が発生していても、発生していなくても、また局部電池
が絶縁体内或は防食層に存在しても、存在しなくても、
何等問題とすることなく、直流を用いた従来技術では認
知できなかった絶縁劣化の初期から検知できることにな
った。
【0010】本発明は、雑音電流起電流能は広い周波数
範囲にまたがっているが、これを等価中心雑音周波数と
いう概念を用いて、あたかも単一の周波数の雑音電流起
電流が存在するものとし、その周波数は基本周波数のN
倍であるとする。もちろんNは未知数であるが、他にも
未知数が3つある。1つは測定対象ケーブルの防食層静
電容量(しゃへい金属の対大地静電容量)CSであり、
他の2つは基本周波数(商用周波数)FHZにおける起電
流能x、等価中心雑音周波数NFHZにおける起電流能y
である。前者の起電流能xは、ケーブル各相毎の絶縁劣
化程度および絶縁層静電容量に不均衡がなければ、本来
は零となるべきものである。しかし実際には存在する静
電容量不均衡と電磁誘導現象のため、いくらかの値が存
在する。その中には各相の絶縁劣化程度の不均衡に関す
る情報も含まれているであろうが、他の要因に基づくも
のとの区別がつかないため、この値は参考値とするに止
め、絶縁劣化程度を示す指標としては取上げない。後者
の起電流能yが絶縁劣化程度の大小を端的に示す重要指
標として用いられる。N値は経験によれば絶縁劣化がす
すむと小さくなるように見受けられるが、変化率も小さ
いし、絶縁劣化程度を示す指標として取上げることは現
在のところ出来ず、やはり参考値である。防食層静電容
量CSも計算の過程で重要であり値を知ることもできる
が、絶縁劣化程度を示す指標にはならない。
【0011】以上説明した4つの未知数を求めるという
ことは、4元連立方程式をたててそれを解くということ
を意味し、このため条件を変えた電圧測定を4回行う必
要がある。先ず防食層静電容量CSを求めるために、値
が既知でかつその値が異なる大容量のコンデンサC1
びC2(それぞれの商用周波数におけるインピーダンス
は100Ω以下とする)を、測定対象ケーブルのしゃへ
い端と大地間に選択的に挿入して、それぞれに対応する
コンデンサの両端交流実効電圧EC1及びEC2を実測すれ
ば、防食層静電容量CSは計算で求め得る。このとき、
測定対象ケーブル長が極めて短いとCSが零もしくは負
に計算される場合がある。このままでは後の測定が無意
味となるので、これを避けるためむだ容量(dead
capacity)としてCo’を恒常的にしゃへい端
と大地間に挿入しておく。従って得られた静電容量値を
Coとすると、Coは真の防食層静電容量ではなく、C
o=Co’+Csである。ここでもしCoが恒常静電容
量Co’より小さく計算された時は、測定対象ケーブル
が短い場合に生じた測定誤差の結果であから、以降の計
算ではCo=Co’として代入する。恒常静電容量C
o’の値はシュミレイション結果では数μFで良いが、
別にCo’を準備しなくても、C1又はC2をCo’の役
割りも兼ねさせるような使い方をして、部品の数を減少
させる考え方もあることに言及しておく。
【0012】次に値が既知でかつその値が異なる抵抗R
1及びR2(それぞれの値は100Ω以下とする)を、測
定対象ケーブルのしゃへい端と大地間に選択的に挿入
し、それぞれに対応する抵抗の両端の交流実効電圧ER1
及びER2を実測する。この結果、4つの電圧実測値
C1、EC2、ER1、ER2を得れば連立方程式を解いてC
o(知りたければCo−Co’が防食層静電容量Csと
して得られる)、等価中心雑音周波数の基本周波数に対
する倍率N、基本周波数FHZにおける起電流能xと、等
価中心雑音周波数における起電流能yの4つの未知数を
求めることができる。連立方程式を解く過程でNの値が
1又は負となるような根は捨てる。N=0は受け入れら
れる。
【0013】上述した中で重要なことは、電圧実測値E
R1及びER2を測定する場合に必ず静電容量要素が抵抗R
1又はR2に並列に接続されていることが必要であり、も
しこれがなければER1/ER2=R1/R2となるだけであ
り、周波数要素が介入せず、従って解を得ることはでき
ない。このために恒常静電容量Co’を挿入している。
計算により得られた等価中心雑音周波数における起電流
能yの大小からケーブルの絶縁劣化程度を判断し、処置
を決定する。さしあたり、11KV、CVケーブルに対
し次のような判断基準を提供する。
【表1】 ymA 判断 処置 3mA以下 良 使用継続 3mA超30mA以下 軽注意不良 測定頻度を増し、注意下で使用継続 30mA超300mA以下 中注意不良 計画的取替え 300mA超 重注意不良 即刻取替え
【0014】次に、図1により本発明の実施例を説明す
る。1は高圧母線、2は測定対象ケーブル、5は測定対
象ケーブル2に存在する防食層絶縁不良抵抗でその値は
S、6は防食層防食層局部電池でその起電力はESであ
る。20は測定対象ケーブル2の防食層静電容量でその
値はCSである。その数値は後述の測定結果判明するた
め予め知る必要はない。7は測定対象ケーブル2のしゃ
へい端を大地に接続する接地線である。この接地線7は
絶縁診断の測定に際しては絶縁劣化診断装置21の選択
スイッチ12及びコンデンサ17、18の各一端に接続
される。選択スイッチ12は図ではラップ機構を有する
回動式切替スイッチで示したが、同様の切替機能を有す
れば如何なるものでも良い。選択スイッチ12の選択位
置としては、常時直接接地のE位置、第1のコンデンサ
13を選択するPC1位置、第2のコンデンサ14を選
択するPC2位置、第1の抵抗15を選択するPR1
置、第2の抵抗16を選択するPR2位置がある。これ
ら第1および第2のコンデンサ13、14そして第1お
よび第2の抵抗15、16からなる4種の接地インピー
ダンスの各他端は一括して接地されている。コンデンサ
17は、選択スイッチ12の選択位置とは無関係に、恒
常的に測定対象ケーブル2のしゃへい端と大地間に挿入
される。コンデンサ17は第1の抵抗15或は第2の抵
抗16を選択して測定する時にそれらと並列に存在する
ことが必須であるが、第1のコンデンサ13或は第2の
コンデンサ14を選択した時にはその存在は必須ではな
い。しかしわざわざ外すことも余計な機構を必要とする
ところから好ましくないので恒常的挿入としている。侵
入する可能性がある直流分をしゃ断するためにコンデン
サ18を直列接続した交流電圧計19が、測定対象ケー
ブル2のしゃへい端対大地間の交流実効電圧を測定する
ために接地線7と大地間に接続されている。交流電圧計
19の測定対象は基本周波数電圧だけでなく、高周波成
分を含む歪み波形電圧であるので、いわゆる真の実効値
電圧を測定できるタイプのものであることが、正確な測
定結果を得るために必須である。平均値を測定してこれ
を正弦波とみなした実効値に換算指示するタイプの電圧
計は採用できない。
【0015】図2は図1の実施例の等価回路を示すもの
である。図2において前述した2つの起電流能肢が示さ
れている。1つは基本周波数(商用周波数)FHZにおけ
る起電流能xを有する第1の起電流能肢、もう1つが基
本周波数のN倍の周波数即ちNFHZにおける起電流能y
を有する第2の起電流能肢である。何れの起電流能肢
も、外部回路のインピーダンスの変化に実用的に無関係
に、一定の電流を送り出せる、動的には内部抵抗無限大
の定電流発電機と等価である。Coは図1で示すコンデ
ンサ17と20の合計静電容量値、即ちCo’+Csを
示す。防食層局部電池の起電力ES、防食層絶縁不良抵
抗値RSから成る直流雑音起電流能肢から送り出される
電流はコンデンサ18により遮断され、交流電圧計19
により測定されるPC1位置選択時の測定電圧EC1、P
2位置選択時の測定電圧EC2、PR1位置選択時の測定
電圧ER1、PR2位置選択時の測定電圧ER2に影響を及
ぼさない。なお、測定対象ケーブル2の絶縁体内部に直
流起電力EI、絶縁不良抵抗値RIから成る直流雑音起電
流能肢がさらにあるとしても、その影響は測定値に現れ
ない。
【0016】次に実際の測定手順を説明する。先ず測定
対象ケーブル2のしゃへい端の接地線7の途中に絶縁劣
化診断装置21を割り込み接続する。このとき選択スイ
ッチ12の選択位置をE位置、即ち直接接地の位置に予
め設定する。次いで、PC1位置、PC2位置、PR1
置、PR2位置の各々を選択(選択の順序はこの順序に
こだわらず、任意で良い)した時の交流実効値電圧
C1、EC2、ER1、ER2をそれぞれ測定する。絶縁診断
測定装置21の回路には直流的には大きな時定数が存在
するが、交流電圧の測定には関係せず、測定は短時間内
に実施できる。4つの位置における測定が終了すれば絶
縁劣化診断装置21を接地線7から外し、他の測定対象
ケーブルの測定に移る。
【0017】図2の等価回路から実測された4つの交流
実効電圧は次の4式で表わされる。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】 実測された交流実効電圧値を上式に入れて連立方程式を
解けば、合計静電容量値C0、倍数N、起電流能xおよ
びyの値を得ることが出来る。起電流能yを除く3つの
値は参考値として保有し、基本周波数のN倍の周波数に
おける起電流能yを用いてその大小により絶縁劣化度を
診断し、測定対象ケーブルの処置を決定する。合計静電
容量値Coが恒常静電容量値Co’より小さく計算され
たときはCo=Co’とする。Nが1又は負で得られた
根は無効として他の根を探す。N=0は有効とする。な
おPC1位置における静電容量値C1、PC2位置におけ
る静電容量値C2、PR1における抵抗値R1、PR2にお
ける抵抗値R2の具体的な値は、それが測定対象ケーブ
ルの4つの接地インピーダンスとなるところから技術基
準上からも、安全面からも、100Ω以下の値であるこ
とが必要である。具体例を挙げると、C1=80μF、
2=240μF、R1=51Ω、R2=24Ωのように
なる。
【0018】次に本発明を実使用中の11KV、CVケ
ーブル線路に適用した具体例について表2に示す。4つ
の接地インピーダンスは上記具体例として挙げた数値を
使用している。他に基本周波数FとしてF=60HZ
恒常静電容量値としてCo’=3.45μFである。
【0019】
【表2】 一方、これらのケーブルを活線下で直流50Vを交流電
界に重畳して絶縁抵抗を測定する従来技術により調べた
結果は表3に示す通りである。
【表3】 フィーダ 絶縁層絶縁抵抗RIMΩ 防食層絶縁抵抗RSKΩ 判定 1 4500 1000以上 軽注意不良 2 5000以上 1000以上 良 3 5000以上 1000以上 良
【0020】表2と表3の結果を総合してみると、フィ
ーダ1は従来の技術でも辛うじて絶縁層絶縁抵抗不良の
存在を認識できるものの、本発明の方法では明確に認識
されている。フィーダ2は従来の技術では良好と判定さ
れ、同じく良好と判定されているフィーダ3との区別が
つかないが、本発明の方法ではフィーダ3との差が明ら
かである。おそらくフィーダ2は絶縁層を貫通するパス
が無いか、或は有ってもその数が極めて少ないために、
絶縁抵抗値としては極めて高いため認識が困難である絶
縁劣化の初期状態のケーブルであると思われる。即ち、
直流による従来の技術よりも本発明の方法の方が鋭敏
に、絶縁層貫通パスが無いか或は数がすくない絶縁劣化
の初期状態の認知に威力を発揮することが判る。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による活線
ケーブル絶縁劣化診断方法および装置は、次の利点があ
る。即ち、 イ.高圧系統の接地用機器に触れる必要や、測定用信号
電圧電源を特別に準備する必要が無く、経済的に低価格
で、しかも技術的にも容易にかつ安全に、何時でも絶縁
劣化の診断を実施できる。 ロ.測定対象ケーブルの長さの大小を問わない。 ハ.測定対象ケーブルの絶縁層内の局部電池、防食層内
の局部電池の有無を問わない。 ニ.絶縁層を貫通するパスの有無を問わない。従って絶
縁層絶縁抵抗が従来の技術では実測不可能な程度に高い
状態における、絶縁層の劣化程度の推移を認知できる。 ホ.選択測定接地インピーダンスが極めて小さいため、
防食層絶縁抵抗の大小に影響されない。 ヘ.絶縁劣化診断装置は直流時定数の影響を受けないか
ら、測定所要時間が極めて短い。 上述の利点は、現在技術で認知されるケーブル絶縁劣化
状態よりさらに前の絶縁劣化の進行状態を検出するのに
適しており、特に現在確固たる絶縁劣化診断技術の確立
されていない、特別高圧用プラスチック絶縁ケーブルの
劣化診断に最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す回路構成図である。
【図2】図1に示す本発明の実施例の等価回路図であ
る。
【図3】従来の絶縁劣化診断方法を示す回路構成図であ
る。
【図4】図3の等価回路図である。
【符号の説明】
1 高圧母線 2 測定対象ケーブル 5 防食層絶縁不良抵抗 6 防食層局部電池 7 接地線 12 選択スイッチ 13 第1のコンデンサ 14 第2のコンデンサ 15 第1の抵抗 16 第2の抵抗 17 コンデンサ 18 コンデンサ 19 交流電圧計 21 絶縁劣化診断装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 値の異なる第1の測定コンデンサおよび
    第2の測定コンデンサと値の異なる第1の測定抵抗およ
    び第2の測定抵抗とからなる4つの選択測定接地インピ
    ーダンス、そして第3のコンデンサとを活線電力ケーブ
    ルのしゃへい端と大地間にそれぞれ並列に挿入する段階
    と、少なくとも前記第1および第2の測定抵抗を選択す
    る際には前記第3のコンデンサを活線電力ケーブルのし
    ゃへい端と大地間に接続した状態において、前記4つの
    選択測定接地インピーダンスの1つを前記しゃへいと大
    地間に選択接続して該選択測定接地インピーダンスの両
    端に発生する交流実効電圧を直流電流の侵入を排除した
    真の実効値電圧を表示する交流電圧計により測定し、該
    測定を前記4つの選択測定接地インピーダンスに対して
    それぞれ行なって4つの交流実効電圧値を測定する段階
    と、測定された4つの交流実効電圧値から前記活線ケー
    ブルの絶縁体が有する基本周波数における第1の起電流
    能、および基本周波数のN倍の等価中心雑音周波数にお
    ける第2の起電流能を算出し、第2の起電流能の大小か
    らケーブルの絶縁劣化程度を判断する段階を含む、交流
    4電圧測定による活線ケーブル絶縁劣化診断方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも第1および第2の測定抵抗を
    選択する際には第3のコンデンサを活線電力ケーブルの
    しゃへい端と大地間に接続した状態において、4つの選
    択測定接地インピーダンスの1つを選択してしゃへいと
    大地間に接続し、該選択測定接地インピーダンスの両端
    に発生する交流実効電圧を直流電流の侵入を排除した真
    の実効値電圧を表示する交流電圧計により測定し、該測
    定を前記4つの選択測定接地インピーダンスに対してそ
    れぞれ行なって4つの交流実効電圧値を測定し、測定さ
    れた4つの交流実効電圧値から前記活線ケーブルの絶縁
    体が有する基本周波数における第1の起電流能、および
    基本周波数のN倍の等価中心雑音周波数における第2の
    起電流能を算出し、第2の起電流能の大小からケーブル
    の絶縁劣化程度を判断する活線ケーブル絶縁劣化診断に
    使用される絶縁劣化診断装置であって、前記活線電力ケ
    ーブルのしゃへい端と大地間に接続される前記第3のコ
    ンデンサと、値の異なる第1の測定コンデンサおよび第
    2の測定コンデンサと、値の異なる前記第1の測定抵抗
    および第2の測定抵抗とからなる前記4つの選択測定接
    地インピーダンスと、前記4つの選択測定接地インピー
    ダンスのひとつを選択して前記活線ケーブルのしゃへい
    と大地との間に接続すると共に該選択された選択測定接
    地インピーダンスの両端を直流電流遮断用のコンデンサ
    に直列に接続された前記交流電圧計に接続する切替手段
    と、を備えていることを特徴とする絶縁劣化診断装置。
JP6085059A 1994-04-22 1994-04-22 交流4電圧測定による活線ケーブル絶縁劣化診断方法および装置 Pending JPH07294573A (ja)

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