JPH07294325A - 遠地津波予報支援装置 - Google Patents

遠地津波予報支援装置

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JPH07294325A
JPH07294325A JP10770494A JP10770494A JPH07294325A JP H07294325 A JPH07294325 A JP H07294325A JP 10770494 A JP10770494 A JP 10770494A JP 10770494 A JP10770494 A JP 10770494A JP H07294325 A JPH07294325 A JP H07294325A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 海中において、陸岸からはるか離れた海底付
近の地殻活動によって励起される音響信号から震源地・
津波到達時刻の推定を行う。 【構成】 検出器(111 〜11n )は直交2軸の各軸
に平行に配置した所定距離離隔する対ハイドロフォンの
それぞれで海中における波動信号を受信し、その方位・
時刻を求める。推定器12は複数の検出器で求めた到来
方向により震源地を推定する。推定器13は震源地と各
検出器で求められた到来時刻によりイベントの発生した
時刻(発振時刻)を推定する。推定器14は震源地と発
振時刻及び予め内蔵の海域の水深データを用いて任意の
海岸地点における津波到達予想時刻を推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海中に設置する遠地津
波予報支援装置に係り、特に遠地でおきた地殻変動並び
に海底爆発や海底地滑りのような地殻活動に伴う水中伝
搬音響信号を利用して震源地、発振時刻を求め、これに
より特定地域への津波到達時刻を予測する機能を備えた
遠地津波予報支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の津波警報は、例えば「海洋物理II
I 」(海洋科学基礎講座3.295頁、東海大学出版会、19
81年)に紹介されているように、陸上にて観測された地
震波形の情報のみを利用し、津波の発生の有無を津波予
報図によって決定し、予報を行う方式である。
【0003】具体的には、従来の津波予報方式は、陸上
に多数設置された地震計(711 〜71n )と、震源地
推定器72と、津波判定器73と、津波到来時刻推定器
74とで基本的に構成され、次のようにして津波予報を
行っている(図7)。
【0004】即ち、震源にて発生し、地中を伝搬してき
た地震波を陸上に多数設置された地震計(711 〜71
n )で計測し、その到達時刻、振幅を記録する。各地震
計からの到達時刻情報を利用し、震源地推定器72によ
り震源地を推定する。津波判定器73により震源が海底
下にあるか否かを判断し、各地震計に記録された振幅と
震央距離(震源地と各地震計の距離)を図8のような津
波予報図にプロットし、その近似曲線によって予想され
る津波の規模を推定する。津波の有無が判定された場
合、津波到来時刻推定器74にて重要港湾等予測したい
地域の津波到達時刻を算出し津波予報を発する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、津波は、地
震波を伴う断層運動に起因する大規模な海底地殻変動に
よって生じる海面の上下運動が伝搬するものであるが、
海底火山爆発や海底地滑りといった主に海水の急激な体
積変化に起因し発生するものもある。この中で、地震発
生域が観測点から遠く離れている場合や、海水の体積変
化に起因する津波の場合、津波の被害に比して観測され
た地震波振幅が小さい場合がある。
【0006】従って、陸上観測点の地震計による従来の
津波予報方式では、地震動のエネルギーにはなりにくい
海底地滑りや、地震動の減衰が大きい遠地にて発生した
海底地殻変動による地震波信号が検知できず、津波の警
報も出せないという問題があった。
【0007】また、各観測点への信号到来時刻の差が小
さくなるハワイやチリ等の遠地にて生じた地殻活動に起
因する津波に対する警報を出す場合、地震波到来方向が
どの観測点で観測したものも同じように観測されてしま
い、震源地推定能力が低く震源地の推定誤差が大きいま
たは推定不可能になるという問題もあった。
【0008】本発明の目的は、これらの問題を解決する
ために、水中伝搬音響信号を用いて震源決定を行い、更
に津波の伝搬速度が伝搬経路の平均水深と重力加速度の
みに依存することを利用し、任意の沿岸地域における津
波到達時刻を算出できる遠地津波予報支援装置を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の遠地津波予報支援装置は次の如き構成を有
する。即ち、本発明の遠地津波予報支援装置は、直交2
軸の各軸に平行に配置した所定距離離隔する対ハイドロ
フォンのそれぞれで水中伝搬音響信号を受信する手段
と; 受信した音響信号から信号の到来方向を算出する
手段と; 受信した音響信号から信号の到来時刻を測定
する手段と; 前記3つの手段を1組とする複数の組手
段により算出された到来方向の交点を求めて信号発生源
(震源)を推定する手段と; を備えることを特徴とす
るものである。
【0010】そして、推定された信号発生源が海底付近
にあるか内陸部にあるかを判定し、警報を発する手段を
備える。
【0011】また、推定された信号発生源と信号測定時
刻から信号発生時刻(発振時刻)を推定する手段と;
信号発生源と信号発生時刻及び予め内蔵している海域の
水深データから特定位置の津波予想到達時刻を算出し、
警報を発する手段と; を備える。
【0012】
【作用】次に、前記の如く構成される本発明の作用を説
明する。水中音響信号は、地震波信号に比較して遠地
からの信号が減衰しにくい、海底近傍の特に海水の急
激な体積変化を誘発するような地殻活動の様相を反映し
やすい、伝搬速度が地殻を伝搬する地震波(5〜10
km/s)に比較して小さいため(1.5km/s)各
観測点の到達時刻差が大きく、信号到来方位の決定精度
が高い、という特徴を有する。
【0013】そこで、本発明は、対ハイドロフォンを直
交配置してなる音響センサの複数個を水中に配置し、そ
れぞれの音響センサの受信信号から到来方位及び到来時
刻を求めて震源の推定が行えるようにしてある。
【0014】その結果、震源が海底付近にあるか内陸部
にあるかを判断でき、適切な警報が行える。また、監視
海域の水深データを備えることにより津波予想到達時刻
を算出でき、従来予報できなかった、または、精度の低
かった遠地津波のより正確な予報が行えることになる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は、本発明の一実施例に係る遠地津波予報支
援装置を示す。図1に示すように本実施例の装置は、音
響信号方位・時刻検出器(111 〜11n )と、震源地
推定器12と、発振時刻推定器13と、津波到来時刻推
定器14とで基本的に構成される。
【0016】音響信号方位・時刻検出器(111 〜11
n )は、図2に示すように、音響センサ部21と、位相
処理部22と、到来方向演算部23と、時刻測定部24
と、到来時刻測定部25とで基本的に構成され、例えば
沿岸に沿った水中に配置される。
【0017】音響センサ部21は、所定距離離隔する対
ハイドロフォンを直交2軸の各軸に平行に配置して構成
され、各対ハイドロフォンが海中において波動信号を受
信するが、具体的には例えば図3のようになっている。
なお、音響センサ部21として円形で示すのは、音響信
号方位・時刻検出器(111 〜11n )の筐体が円筒状
であり、その中に音響センサ部21をはじめとして各構
成要素が組み込まれることをイメージしたものである。
【0018】図3において、この音響センサ部21は、
31,32,33の3個のハイドロフォンで基本的に構
成されることを示している。即ち、3個のハイドロフォ
ンの中の(31,32)(31,33)は各々所定距離
離隔する対ハイドロフォンであり、この2組の対ハイド
ロフォンが、ハイドロフォン31を中心に互いに配列方
向が直交するように設置される。そして、対ハイドロフ
ォン(31,32)がx軸に、同(31,33)がy軸
に各々対応する。これら対ハイドロフォンにおける各々
のハイドロフォンの受信信号には時間差が生じる。
【0019】そこで、位相処理部22では対ハイドロフ
ォン(31,32)の受信信号から到達時間差τx を、
対ハイドロフォン(31,33)の受信信号から到達時
間差τy を各々算出し、到来方向演算部23に与える。
ここに、各対ハイドロフォンにおける到達時間差は、伝
搬速度Vの波動信号が図4に示すようにx軸から角度θ
の方向で、対ハイドロフォンの間隔をdとすると、数式
1で表される。
【0020】
【数1】τx =(d・cosθ)/V τy =(d・sinθ)/V
【0021】到来方向演算部23では、水平面内到来方
向θを数式2によって算出し、到来時刻測定部25に与
える。
【0022】
【数2】θ=tan-1(τy /τx
【0023】そして、到来時刻測定部25では、常時時
刻のカウントを行っている時刻測定部24の時刻データ
のうち信号到達が認識された場合その時の時刻を記録す
る。
【0024】図1に戻って震源地推定器12では、以上
のように複数の音響信号方位・時刻検出器11にて推定
された到来方向をもとに震源を推定する。具体的には図
5に示すように、音響信号方位・時刻検出器(111
11n )にて算出された方位線51〜同54を結んだ地
点を震源地55と推定する。これにより震源が海洋にあ
るか内陸部にあるかを判断できる。
【0025】発振時刻推定器13では、震源地55と音
響信号方位・時刻検出器(111 〜11n )それぞれと
の間の距離Δn (n=1,2,…,n:以下同じ)を求
め、予め音響信号方位・時刻検出器11n にて測定され
た到来時刻Tn より発振時刻を数式3より算出する。
【0026】
【数3】T0 ={Σ(Tn −Δn /V)}/n
【0027】次に、津波到来時刻推定器14は、図6に
示す構成により、以上のように推定された震源地55と
発振時刻T0 をもとに任意の各地の津波到来時刻を推定
する。
【0028】即ち、図6において、津波伝搬経路平均水
深算出部64は、推定地点座標入力部61に入力される
津波到来時刻を求めたい地点の座標と、震源地座標入力
部62に震源地推定器から自動的に入力される震源地座
標と、水深データ記録部63からの水深データとにより
各推定地点座標までの平均水深を求める。
【0029】周知のように、この平均水深をhとする
と、重力加速度をgとして、津波平均伝搬速度Vn は数
式4で表されるので、予想津波到来時刻算出部65に
て、推定地点の津波到達時刻を数式5により算出すれ
ば、警報を与えることができる。
【0030】
【数4】Vn =√(gh)
【0031】
【数5】Tn =T0 +Δn /Vn
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の津波予報
支援装置では、地震波に比較して伝搬速度が遅く、海底
近傍で発生した地殻活動に対して敏感な音響信号を用い
て、到来方向、到来時刻を複数のセンサで測定すること
により震源決定を行い、津波予想到達時刻を算出できる
ようにしたので、従来予報できなかった又は精度の低か
った津波の、より正確な予報を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る遠地津波予報支援装置
の構成ブロック図である。
【図2】音響信号方位・時刻検出器の構成ブロック図で
ある。
【図3】音響センサ部を構成するハイドロフォンの配列
を示す図である。
【図4】波動信号の到来方向と音響センサ部の位置関係
図である。
【図5】震源地推定器による震源決定要領を示す概略図
である。
【図6】津波到来時刻推定器の構成ブロック図である。
【図7】従来の津波予報方式のブロック図である。
【図8】従来の津波予報に用いられている津波予報図で
ある。
【符号の説明】 11 音響信号方位・時刻検出器 12 震源地推定器 13 発振時刻推定器 14 津波到来時刻推定器 21 音響センサ部 22 位相処理部 23 到来方向演算部 24 時刻測定部 25 到来時刻測定部 31〜33 ハイドロフォン 61 推定地点座標入力部 62 震源地座標入力部 63 水深データ記録部 64 津波伝搬経路平均水深算出部 65 予想津波到達時刻算出部 71 地震計 72 震源地推定器 73 津波判定器 74 津波到来時刻推定器 θ 信号の到来方向

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直交2軸の各軸に平行に配置した所定距
    離離隔する対ハイドロフォンのそれぞれで水中伝搬音響
    信号を受信する手段と; 受信した信号から信号の到来
    方向を算出する手段と; 受信した音響信号から信号の
    到来時刻を測定する手段と; 前記3つの手段を1組と
    する複数の組手段により算出された到来方向の交点を求
    めて信号発生源(震源)を推定する手段と; を備える
    ことを特徴とする遠地津波予報支援装置。
  2. 【請求項2】 推定された信号発生源が海底付近にある
    か内陸部にあるかを判定し、警報を発する手段; を備
    えることを特徴とする請求項1に記載の遠地津波予報支
    援装置。
  3. 【請求項3】 推定された信号発生源と信号測定時刻か
    ら信号発生時刻(発振時刻)を推定する手段と; 信号
    発生源と信号発生時刻及び予め内蔵している海域の水深
    データから特定位置の津波予想到達時刻を算出し、警報
    を発する手段と; を備えることを特徴とする請求項1
    に記載の遠地津波予報支援装置。
JP10770494A 1994-04-22 1994-04-22 遠地津波予報支援装置 Expired - Lifetime JP2870407B2 (ja)

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