JPH07287330A - 画像重ね合せ方法およびエネルギーサブトラクション方法 - Google Patents

画像重ね合せ方法およびエネルギーサブトラクション方法

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JPH07287330A
JPH07287330A JP6077034A JP7703494A JPH07287330A JP H07287330 A JPH07287330 A JP H07287330A JP 6077034 A JP6077034 A JP 6077034A JP 7703494 A JP7703494 A JP 7703494A JP H07287330 A JPH07287330 A JP H07287330A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 放射線画像の重ね合せ方法およびエネルギー
サブトラクション方法において、画像信号の周波数別の
加算を放射線画像を得る際に被写体に照射された放射線
の量に拘らず簡易、低コストかつ高速に行い、高精度の
重ね合せ画像、サブトラクション画像を得ることができ
るようにする。 【構成】 メモリ18A,18Bに記憶された2つの画像信
号S1 ,S2 および放射線量に関する情報を担持した信
号SM を画像処理手段20に入力する。画像処理手段20は
信号SM に基づいて、画像信号S1 については高周波成
分のレスポンスを強調するフィルタ、画像信号S2 につ
いては高周波成分のレスポンスを低下させるフィルタを
求め、各フィルタにより各画像信号S1 ,S2 をそれぞ
れコンボリューションする。処理が施された画像信号S
1 ,S2 は加算手段21に入力され、ここで画像信号
1 ,S2 の加算信号Sadd が得られる。加算信号をC
RT等の再生手段22に入力されここで可視像として再生
される。上述した処理が施された画像信号S1 ,S2
ついてサブトラクション処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、同一被写体の放射線画
像情報を担持する複数の画像信号の加算処理を行う放射
線画像の重ね合せ処理方法、およびそれら複数の画像信
号の減算処理を行うエネルギーサブトラクション方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】記録された放射線画像を読み取って画像
信号を得、この画像信号に適切な画像処理を施した後、
画像を再生記録することが種々の分野で行われている。
たとえば、後の画像処理に適合するように設計されたガ
ンマ値の低いフイルムを用いてX線画像を記録し、この
X線画像が記録されたフイルムからX線画像を読み取っ
て電気信号に変換し、この電気信号(画像信号)に画像
処理を施した後コピー写真等に可視像として再生するこ
とにより、コントラスト,シャープネス,粒状性等の画
質性能の良好な再生画像を得ることの出来るシステムが
開発されている(特公昭61−5193号参照)。
【0003】また本出願人により、人体等の被写体の放
射線画像を一旦シート状の蓄積性蛍光体に撮影記録し、
蓄積性蛍光体シートをレーザ光等の励起光で走査して輝
尽発光光を生ぜしめ、得られた輝尽発光光を光電的に読
み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて被写体
の放射線画像を写真感光材料等の記録材料、CRT等に
可視像として出力させる放射線記録再生システムがすで
に提案されている。
【0004】一方、従来より放射線画像の重ね合せ処理
が公知となっている(例えば特開昭56-11399号参照)。
一般に、放射線画像は診断用その他の目的に使われる
が、その使用に当たっては被写体の微小な放射線吸収差
を良好に検出することが要求される。放射線画像におけ
るこの検出の程度をコントラスト検出能または単に検出
能と呼ぶが、この検出能の高いもの程診断性能も高く、
実用的価値が高い放射線画像であると言うことができ
る。したがって診断性能を高めるため、この検出能を高
くすることが望まれるが、その最も大きな障害要因は各
種ノイズである。
【0005】例えば、前述した蓄積性蛍光体シートを使
用する放射線画像記録方式においては、放射線画像を蓄
積性蛍光体シートに蓄積記録し、読み出すステップにお
いて次のようなノイズの存在が認められている。
【0006】(1) 放射線の量子ノイズ (2) 蓄積性蛍光体シートの蛍光体塗布分布もしくは蛍光
体粒子分布の不均一によるノイズ (3) 蓄積性蛍光体シートに蓄積記録された画像を輝尽発
光させる励起光のノイズ (4) 蓄積性蛍光体シートから発せられ、集光、検出され
る輝尽発光光のノイズ (5) 電気信号を増幅、処理する系における電気的ノイズ 重ね合せ処理は、これらのノイズを大幅に減少させ、被
写体の僅かな放射線吸収差も最終画像において明確に観
察可能にする、すなわち検出能を大幅に向上させる方法
である。重ね合せ処理の一般的な手法および作用は、次
の通りである。
【0007】複数枚重ねた記録媒体に放射線画像を撮影
(記録)し、この複数枚の記録媒体を読取処理にかけて
得た複数の画像信号を重ね合わせる。このことにより、
前述の各種ノイズを減少させることができる。すなわ
ち、前述の蓄積性蛍光体シートのノイズ(1) 〜(5) は各
シートの画像ごとに異なった分布を示す場合が多いの
で、これらのシートの画像を重ね合わせることにより各
ノイズは平均化され、重ね合せ処理をした画像ではノイ
ズが目立たなくなる。つまり、S/Nの良い画像信号が
得られる。X線フイルムに記録された放射線画像を読み
取った場合にも、これと同様のことがいえる。さらに詳
しくは、ノイズ(1) 〜(5) には、ポアソン統計で近似で
きるノイズが多く、特に放射線画像のノイズの中で支配
的な要因の1つである放射線の量子ノイズはその一例で
ある。ここで、ノイズがポアソン統計で近似できると
し、2枚の放射線画像がそれぞれ同等の大きさの信号S
1 、S2およびノイズN1 、N2 を持つと考えた場合、
2枚の画像を重ね合せた場合の信号とノイズの大きさ
は、信号がS1 +S2 、ノイズが
【0008】
【数1】
【0009】となる。一方、放射線画像の検出能を表す
一つの指標であるS/Nを考えた場合、重ね合せる前の
各画像のS/Nはそれぞれ、S1 /N1 、S2 /N2
あるが、重ね合せ処理を行うことによりS/Nは、
【0010】
【数2】
【0011】となり、S/Nが向上する。また、重ね合
せ処理を行う際に、それぞれの信号に重み付けを行うこ
とにより、S/N向上の最適化が可能である。
【0012】従来、実際にこの重ね合せ処理を行うため
には、例えば、蓄積性蛍光体シートを用いた場合には、
カセッテに蓄積性蛍光体シートを2枚重ねて入れて被写
体の撮影を行い、2枚の蓄積性蛍光体シートに対して通
常の読取処理と同様の読取処理を逐次行って2組の画像
信号を得る、という方法が用いられている。
【0013】一方、従来より放射線画像のサブトラクシ
ョン処理が公知となっている。この放射線画像のサブト
ラクションとは、異なった条件で撮影した2つの放射線
画像を光電的に読み出してデジタル画像信号を得た後、
これらのデジタル画像信号を両画像の各画素を対応させ
て減算処理し、放射線画像中の特定の構造物を抽出させ
る差信号を得る方法であり、このようにして得た差信号
を用いれば、特定構造物のみが抽出された放射線画像を
再生することができる。
【0014】このサブトラクション処理には、基本的に
次の2つの方法がある。即ち、(1) 造影剤注入により特
定の構造物が強調された放射線画像の画像信号から、造
影剤が注入されていない放射線画像の画像信号を引き算
(サブトラクト)することによって特定の構造物を抽出
するいわゆる時間サブトラクション処理と、(2) 同一の
被写体に対して相異なるエネルギー分布を有する放射線
を照射し、あるいは被写体透過後の放射線をエネルギー
分布状態を変えて2つの放射線検出手段に照射して、そ
れにより特定の構造物が異なる画像を2つの放射線画像
間に存在せしめ、その後この2つの放射線画像の画像信
号間で適当な重みづけをした上で引き算(サブトラク
ト)を行って、特定の構造物の画像を抽出するいわゆる
エネルギーサブトラクション処理である。
【0015】先に述べた蓄積性蛍光体シートを利用する
放射線画像情報記録再生システムにおいては、該シート
に記録されている放射線画像情報が直接電気的画像信号
の形で読み取られるから、このシステムによれば、上述
のようなサブトラクション処理を容易に行うことが可能
となる。この蓄積性蛍光体シートを用いてエネルギーサ
ブトラクション処理を行うためには、例えば2枚の蓄積
性蛍光体シートに特定の構造物に対応する部分の画像情
報が異なるように画像記録(撮影)を行えばよく、具体
的には、エネルギー分布の異なる2種類の放射線を用い
て撮影を2回行う2ショット法と、例えば被写体を透過
した放射線を、重ねられた2枚の蓄積性蛍光体シート
(それらは互いに接していても、離れていてもよい)に
同時に曝射することによって、両シートに互いにエネル
ギー分布が異なる放射線を照射するようにした1ショッ
ト法が知られている。
【0016】また、上述した輝尽発光光を光電的に読み
取る方法として、蓄積性蛍光体シートの両面に上述した
光電読取手段を配して、蓄積性蛍光体シートの両面また
は片面にのみ励起光を走査し、この励起光走査により発
せられた輝尽発光光を蓄積性蛍光体シートの両面から光
電的に読み取る両面集光読取方法が提案されている(例
えば、特開昭55-87970号参照)。このような両面集光読
取方法は、蓄積性蛍光体シートに1つの放射線画像が蓄
積記録され、かつ蓄積性蛍光体シートの両面から輝尽発
光光を集光するようにしたものであるので、集光効率が
向上し、S/N比がより改善される。
【0017】上記特開昭55-87970号に開示された両面集
光読取方法においては、透明なホルダー上に蓄積性蛍光
体シートを装着し、その上下に光電読取手段を配置して
いる。すなわち、ホルダーの上に配置された光電読取手
段では、蓄積性蛍光体シートの表面から射出した輝尽発
光光を読み取り、ホルダーの下に配置された光電読取手
段では、蓄積性蛍光体シートの裏面から射出した輝尽発
光光を読み取ることとなる。
【0018】上述した重ね合せを行うための画像信号を
得る場合、複数枚重ねた蓄積性蛍光体シートに放射線画
像を記録する必要があるが、この際、放射線源から遠い
位置にある蓄積性蛍光体シートから得られる画像信号
は、放射線源に最も近い位置にある上側シートから得ら
れる画像信号と同様に低周波数帯域における画像情報を
含むものであるが、上側シートと比べて高周波数帯域の
周波数依存特性が低く、高周波数帯域については画像情
報が少なくなり、散乱光等の影響によるノイズ成分が多
くなるものである。したがって、このまま上側、下側シ
ートから得られる画像信号に同一の重み付けをして加算
を行ったのでは、加算された画像信号の低周波数帯域で
は画質が良くなるが、高周波数帯域ではノイズ成分も強
調されてしまうため、画質の低下を招くこととなる。ま
た、前述した1枚の蓄積性蛍光体シートの両面から画像
信号を読み取る方法により得られたシートの上側から得
られた画像信号とシートの下側から得られた画像信号の
場合にも同様の画質の低下を招くおそれがある。さらに
は、前述したエネルギーサブトラクションを行う画像信
号についても画像信号の周波数帯域によりノイズ成分の
割合が異なるため、画像信号間で減算処理を行った際に
も、各画像信号の重み付け係数により差信号のノイズ成
分が多くなってしまう場合がある。
【0019】そこで本願出願人により、上述した重ね合
わせ画像、エネルギーサブトラクション画像において、
ノイズ成分が少ないより高画質の画像を得ることができ
る放射線画像の重ね合せ方法およびエネルギーサブトラ
クション方法が提案されている(特願平6-62476 号)。
【0020】この方法は、重ね合せを行う画像信号に対
して、フーリエ変換、ウェーブレット変換等を施し、複
数の周波数帯域ごとの変換係数信号を得、画像信号の周
波数特性に応じて信号対ノイズ比の低い周波数帯域の重
み付け係数を信号対ノイズ比の高い周波数帯域の重み付
け係数に比して相対的に小さくして各周波数帯域ごとの
係数信号を加算し、加算された係数信号に逆フーリエ変
換、逆ウェーブレット変換等を施して最終的な加算信号
を得るようにした方法である。この方法により画像の重
ね合せ処理、サブトラクション処理を行うことにより、
加算信号、またはサブトラクション信号は全周波数帯域
に亘って信号対ノイズ比が高いものとなり、この加算信
号またはサブトラクション信号を再生することにより高
画質の重ね合せ画像またはエネルギーサブトラクション
画像を得ることができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た放射線画像の重ね合せ方法においては、フーリエ変換
やウェーブレット変換により画像信号を複数の周波数帯
域ごとの係数信号に分解したり、分解された周波数帯域
ごとに別々に加算を行うものであるため、計算に長時間
を要し、また装置の構成も複雑なものとなり、さらには
装置のコストもかかるものとなっていた。
【0022】さらに、画像信号に含まれるノイズは、シ
ートに照射される放射線の量にも影響されるものであ
る。すなわち、放射線の照射量が大きいほど放射線の量
子ノイズよりもシートの蛍光体の塗布状態等、シートの
構造に起因する固定ノイズの割合が増加してくるもので
ある。したがって、被写体に照射される放射線の量に応
じて加算信号あるいはサブトラクション信号により得ら
れる再生画像の画質を最適なものとする画像信号の周波
数帯域の重み付けの割合も変化するものである。
【0023】本発明は上記事情に鑑み、被写体への放射
線の照射量に拘らず高画質の再生画像を得ることができ
るとともに、簡易、低コストかつ高速に周波数別に画像
信号の加算および減算を行うことができる放射線画像の
重ね合せ方法およびエネルギーサブトラクション方法を
提供することを目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明による放射線画像
の重ね合せ方法は、前述した放射線画像の重ね合せ方法
において、被写体に照射された放射線量を求め、この放
射線量に基づいて、複数の画像信号のうち少なくとも1
つの画像信号について、この画像信号をコンボリューシ
ョンして得られた画像信号とそれ以外の画像信号との加
算信号を得た際に、加算信号の信号対ノイズ比が高くな
る周波数特性を有するマスクフィルタを求めこのマスク
フィルタにより前記所望とする画像信号をコンボリュー
ションし、コンボリューションにより得られた画像信号
とそれ以外の画像信号との加算を行って前記加算信号を
得ることを特徴とするものである。
【0025】また、本発明による放射線画像の重ね合せ
方法においては、複数の画像信号のすべてにコンボリュ
ーションによる処理を施してもよく、この場合さらに各
画像信号におけるマスクフィルタの周波数特性の和が任
意の周波数において1であるようにしてもよい。。
【0026】なお、複数の画像信号のすべてにコンボリ
ューションにより処理を施す場合は、上述した「それ以
外の画像信号」にはコンボリューションにより得られた
画像信号を含むものとなる。
【0027】さらに、放射線画像に含まれる被写体の部
位に応じて放射線量を求め、この放射線量に基づいて被
写体の部位に応じてマスクフィルタを求め、部位に応じ
て求められたマスクフィルタにより所望とする画像信号
に対してコンボリューションによる処理を施すようにし
てもよいものである。
【0028】また、単一のマスクフィルタにより各画像
信号にコンボリューションによる処理を施すようにして
もよい。
【0029】また、本発明によるエネルギーサブトラク
ション方法は、前述したようなエネルギーサブトラクシ
ョン方法において、被写体に照射された放射線量を求
め、この放射線量に基づいて、複数の画像信号のうち少
なくとも1つの画像信号について、この画像信号をコン
ボリューションして得られた画像信号とそれ以外との画
像信号との差信号を得た際に、差信号の信号対ノイズ比
が高くなる周波数特性を有するマスクフィルタを求めこ
のマスクフィルタにより前記所望とする画像信号をコン
ボリューションし、コンボリューションにより得られた
画像信号とそれ以外の画像信号との減算を行って前記差
信号を得ることを特徴とするものである。
【0030】さらに、本発明による放射線画像の重ね合
せ方法と同様に放射線画像に含まれる被写体の部位に応
じて放射線量を求め、この放射線量に基づいて被写体の
部位に応じてマスクフィルタを求め、部位に応じて求め
られたマスクフィルタにより所望とする画像信号に対し
てコンボリューションによる処理を施すようにしてもよ
いものである。
【0031】さらに、上述した重ね合せ方法およびエネ
ルギーサブトラクション方法において、複数の画像信号
のすべてにコンボリューションによる処理を施すように
してもよく、この際、マスクフィルタの周波数特性の和
を任意の周波数において1であるようにしてもよい。
【0032】なお、複数の画像信号のすべてにコンボリ
ューションにより処理を施す場合は、上述した「それ以
外の画像信号」にはコンボリューションにより得られた
画像信号を含むものとなる。
【0033】
【作用および発明の効果】本発明による放射線画像の重
ね合せ方法は、被写体に照射された放射線量を求め、こ
の放射線量に基づいて画像信号をコンボリューションす
べきマスクフィルタを求めるようにしたため、加算信号
により表される放射線画像の画質を最適なものとするマ
スクフィルタを被写体に照射される放射線の量に応じて
求めることができ、被写体に照射される放射線量に拘ら
ず最適な画質の重ね合せ画像を得ることができる。しか
も本発明による放射線画像の重ね合せ方法は、画像信号
の全体に周波数特性を変化させる処理を施すようにした
ため、ウェーブレット変換、フーリエ変換等の周波数変
換を行う必要がなくなり、計算量を少なくすることがで
き、また、本発明を実施するための装置の構成を簡易な
ものとすることができる。したがって、高速かつ低コス
トで高画質の重ね合せ画像を得ることができる。
【0034】また、複数の画像信号のすべてにコンボリ
ューションによる画像を施すようにすれば、より高画質
の加算信号を得ることができる。
【0035】この際、マスクフィルタの周波数特性の和
を任意の周波数において1となるようにすれば、コンボ
リューションによる処理が施された画像信号を加算する
際に、各画像信号の加算比が1となるような重み付けを
する必要がなくなるため、より演算時間を短縮して高速
に加算処理を行うことができる。
【0036】さらに、被写体の部位に応じて放射線量を
求めてマスクフィルタを求めるようにすれば、その部位
の観察読影適性に適した加算信号を得ることができ、よ
り高画質の重ね合せ画像を得ることができる。
【0037】また、マスクフィルタを単一なものとする
ことにより、本発明による重ね合せ方法を実施するため
の装置に記憶すべきマスクフィルタの数を少なくするこ
とができるため、装置の構成をより簡易なものとするこ
とができる。
【0038】さらに、上述した処理をエネルギーサブト
ラクション処理にも適用することができ、これによりサ
ブトラクション処理により得られる差信号は被写体に照
射された放射線量を反映してノイズが低減された高画質
なものとなるとともに、画像信号の全体に周波数特性を
変化させる処理を施すようにしたため、ウェーブレット
変換、フーリエ変換等の周波数変換を行う必要がなくな
って、計算量を少なくすることができ、また、本発明を
実施するための装置の構成を簡易なものとすることがで
きる。したがって、高速かつ低コストで高画質のサブト
ラクション画像を得ることができる。
【0039】
【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例について
説明する。
【0040】図1は2枚の蓄積性蛍光体シート4A,4
Bに、同一の被写体1を透過した放射線2を照射する状
態を示す図である。
【0041】図1に示すように、第1の蓄積性蛍光体シ
ート4Aおよび第2の蓄積性蛍光体シート4Bとを重ね
て配置して放射線源3を駆動させて、放射線2を発せし
めることにより、被写体1を透過した放射線2は第1お
よび第2の蓄積性蛍光体シート4A,4Bに照射され、
被写体1の放射線画像情報が蓄積性蛍光体シート4Aお
よび4Bに蓄積記録される。
【0042】次にこれら2枚の蓄積性蛍光体シート4
A,4Bから、図2に示すような画像読取手段によって
放射線画像を読み取り、放射線画像を表す画像信号を得
る。まず蓄積性蛍光体シート4Aをエンドレスベルト等
の副走査手段9により矢印Yの方向に移動させながら、
レーザー光源10からのレーザー光(励起光)11を走査ミ
ラー12によって偏向させ、シート4A上をX方向に主走
査させる。この励起光走査により蓄積性蛍光体シート4
Aからは、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた
光量の輝尽発光光13が発散する。輝尽発光光13は、透明
なアクリル板を成形して作られた光ガイド14の一端面か
らこの光ガイド14の内部に入射し、その中を全反射を繰
返しながら進行して、フォトマルチプライヤー(光電子
増倍管)15に受光される。このフォトマルチプライヤー
15からは、輝尽発光光13の発光量に対応した、つまり上
記画像情報を示す出力信号SA が出力される。
【0043】この出力信号SA は、対数増幅器16により
対数増幅され、次いでA/D変換器17に入力されて、デ
ジタルの画像信号S1 に変換される。この画像信号S1
は例えば磁気ディスク等の記憶媒体18に記憶される。次
に、全く同様にして、もう1枚の蓄積性蛍光体シート4
Bの記録画像情報が読み出され、その画像情報を示すデ
ジタルの画像信号S2 が記憶媒体18に記憶される。
【0044】なお、この際、放射線量算出手段19におい
て出力信号SA ,SB の信号値、フォトマルチプライヤ
ー15の読取感度およびラチチュードに基づいて、被写体
1に照射された放射線量が求められ、この放射線量を表
す信号SM が画像信号S1 ,S2 とともに記憶媒体18に
記憶される。
【0045】次に、このようにして得られた画像信号S
1 ,S2 を用いて重ね合せ処理を行う。図3はこの重ね
合せ処理を行う装置の概略を表す図である。まず記憶媒
体18内の画像ファイル18Aと画像ファイル18Bとから画
像信号S1 ,S2 が読み出されるとともに信号SM も読
み出され、画像処理手段20に入力される。画像処理手段
20に入力された2つの画像信号S1 ,S2 には後述する
ようなフィルタによる画像処理が施され、この処理が施
された画像信号S1 ,S2 は加算手段21に入力されて加
算がなされる。加算手段21において得られた加算信号S
add はCRT等の再生手段21に入力され、ここで可視像
として再生される。
【0046】以下、画像処理手段20において行われる処
理について詳細に説明する。
【0047】2枚の蓄積性蛍光体シート4A,4Bから
得られた画像信号S1 ,S2 はそれぞれ図4(a) ,(b)
に示すようなMTF(Modulation Transfer Function,
周波数依存特性)を有する。ここで、MTFはCTFチ
ャート(Contrast TransferFunction Chart)を撮影す
ることにより得られるものであり、各周波数帯域ごとの
画像信号の解像度の大きさを表すものである。すなわ
ち、図4(a) に示すように、放射線源に近い上側の蓄積
性蛍光体シート4Aから得られた画像信号S1 のMTF
1は、高周波数帯域まで大きいため、画像信号S1 は高
周波数帯域までの情報を有するが、図4(b) に示すよう
に放射線源から遠い下側の蓄積性蛍光体シート4Bから
得られた画像信号S2 は、画像信号S1 と比較して高周
波数帯域側のMTF2が小さくなっており、高周波数帯
域の情報が少ないものとなっている。これは、画像信号
2 の高周波数帯域の情報は、撮影時の散乱線等のノイ
ズを含み、さらには、高周波数帯域側の細い情報が放射
線源から遠いことに起因してボケていることを表してい
る。
【0048】ここで、図4(a) ,(b) に示す各画像信号
の周波数特性MTF1,2と併せて、図5(a) ,(b) に
示すように各画像信号のノイズの周波数特性Winer1,
2を求める。ここでWiner1,2は、前述した撮影装置
において、ノイズだけの画像すなわち被写体を置かない
で撮影を行って得られたノイズ画像信号の周波数ごとの
分散を求めたものをいう。すなわち、Winer1について
みてみると、ノイズだけの画像を撮影して上側の蓄積性
蛍光体シート4Aから得られたノイズ画像信号Image
(X1)について、
【0049】
【数3】
【0050】により得られたRMS2 を周波数ごとにプ
ロットしたものが図5(a) ,(b) に示すWiner1,2と
なる。
【0051】ここで、DQEなる指標を以下の式(4) に
より定義する
【0052】
【数4】
【0053】式(4) はDQEが高いほど画質が良いこと
を示している。また、DQEは周波数ごとに求められる
ものである。
【0054】次いで、上述したMTF1,2を得た際に
得られる周波数帯域ごとの画像信号Image 1(X),Im
age 2(X)を、 add (t) =t×Image 1(X)+(1−t)×Image 2(X) …(5) により加算した加算画像信号add(t)について、tを0〜
1まで変化させることにより、複数の加算画像信号add
(t)を得る。そして、各加算画像信号add(t)についてD
QEを算出し、tを横軸に、DQEを縦軸にとってプロ
ットする。図6は、複数の周波数帯域ごとに得られた、
tとDQEとの関係を表す図である。図6(a) 示すよう
に周波数帯域が1サイクル/mm(図6においては1c/
mmと表示)のときはt=0.5 でDQEが最大となる。ま
た、図6(b) に示すように、周波数帯域が2サイクル/
mmのときはt=0.7 で、図6(c) に示すように周波数帯
域が3サイクル/mmのときはt=0.9 でそれぞれDQE
が最大となる。
【0055】このように、各周波数帯域ごとにDQEが
最大となるtをプロットすることにより、図7に示すよ
うに重み付けテーブルを得ることができる。
【0056】このように、画像の指標であるDQEを最
大にする最適加算比は周波数ごとに異なるものである。
また前述したように、画像信号S1 は高周波数帯域まで
の情報を有するが、画像信号S2 の高周波数帯域の情報
はノイズ成分が支配的である。さらに、被写体1に照射
される放射線量に応じて、画像信号S1 ,S2 のノイズ
成分が支配的である周波数帯域も変化するものである。
したがって、被写体に照射された放射線量を考慮して画
像信号S1 については高周波数帯域のレスポンスを強調
し、画像信号S2 については高周波数帯域のレスポンス
を低下させるようなマスクフィルタを求め、このマスク
フィルタにより各画像信号S1 ,S2 をコンボリューシ
ョンした後に各画像信号S1 ,S2 を加算すれば、得ら
れた加算信号により表される放射線画像は高画質のもの
となる。
【0057】以下、画像信号S1 ,S2 に施す処理につ
いて説明する。
【0058】まず、被写体に照射される放射線量に応じ
て、画像信号S1 ,S2 をコンボリューションすべきフ
ィルタF1 ,F2 を決定する。ここで、被写体1に照射
される放射線量が増加してくると、放射線の量子ノイズ
よりも前述したような蓄積性蛍光体シートにおける蛍光
体の塗布状態等シートの構造に起因する固定ノイズの割
合が、ノイズ成分の中において増加してくる。すなわ
ち、画像信号S1 と画像信号S2 とでは、放射線の量子
ノイズの相関は少ないが、固定ノイズの相関は大きくな
る。したがって、被写体1に照射される放射線量が大き
くなるにつれて、放射線源から遠い位置にある蓄積性蛍
光体シート4Bから得られる画像信号S2における高周
波成分はノイズ成分が増加してくる。よって、画像信号
2 については被写体1に照射された放射線量が0.1 m
Rのときは、図8に示す周波数特性を有するフィルタF
2 を、1mRのときは図9に示す周波数特性を有するフ
ィルタF2 を、10mRのときは図10に示す周波数特性を
有するフィルタF2 を設定する。さらに、画像信号S1
については、加算信号の信号値のエネルギーが元の画像
信号S1 ,S2 のエネルギーと同一となるように、F1
+F2 =1となるフィルタF1 を設定し、各フィルタF
1 ,F2 により画像信号S1 ,S2 をそれぞれコンボリ
ューションする。
【0059】ここで、図8,9および10に示す周波数特
性のフィルタF2 を式で表すと、以下の式(6) ,(7) お
よび(8) に示すものとなる。
【0060】
【数5】
【0061】また、フィルタF1 についてはF1 +F2
=1とするために、式(6) ,(7) および(8) に示すフィ
ルタF2 の中央値(1−中央値)に変更するとともに、
それ以外のフィルタ要素の符号を反転する。これにより
フィルタF1 は以下の式(9),(10)および(11)に示すも
のとなる。
【0062】
【数6】
【0063】このように画像処理手段20には、各画像信
号S1 ,S2 について放射線量に応じた3種類のフィル
タが設定されており、信号SM により表される放射線量
がXmRである場合、0.1 ≦X≦1ならば、
【0064】
【数7】
【0065】によりフィルタF1 の各要素を線形補間等
により求めてフィルタF1 を決定し、同様にしてフィル
タF2 も決定する。
【0066】そして、被写体1に照射される放射線量に
応じたフィルタF1 ,F2 が決定されると、これらフィ
ルタF1 ,F2 により画像信号S1 ,S2 がコンボリュ
ーション、すなわち畳み込み積分され、処理済画像信号
1 ′,S2 ′が得られる。そして、処理済画像信号S
1 ′,S2 ′は加算手段21に入力され加算される。
【0067】以下の処理を式で表すと、 Sadd =F1 *S1 +F2 *S2 …(14) 但し、F1 *S1 はS1 をF1 でコンボリューションす
ることを意味する。
【0068】となる。
【0069】このようにして得られた加算信号Sadd は
再生手段22において可視像として再生される。
【0070】この再生手段22は、CRT等のディスプレ
イ手段でもよいし、感光フイルムに光走査記録を行う記
録装置であってもよい。
【0071】このようにして、2つの画像信号S1 ,S
2 をそれぞれ前述したようなフィルタF1 ,F2 により
コンボリューションすることにより、下側の蓄積性蛍光
体シートから得られた画像信号のノイズ成分が低減され
るとともに、上側の蓄積性蛍光体シートから得られた画
像信号の高周波数帯域の情報が強調され、さらには被写
体に照射された放射線量を考慮した加算信号が得られる
ため、この加算信号を再生することにより、被写体に照
射された放射線量に応じたノイズ成分が低減された高画
質の再生画像を得ることができる。さらに、ウェーブレ
ット変換やフーリエ変換のように計算量も多くないた
め、本発明を実施するための装置の構成を簡易なものと
することができ、さらには高速に演算を行うことが可能
となる。
【0072】なお、上述した実施例においては、画像信
号S1 ,S2 の双方に上述したような処理を施すように
しているが、これに限定されるものではなく、画像信号
1,,S2 のいずれか一方にのみ上述した処理を施す
ようにしてもよいものである。しかしながら、画像信号
1 ,S2 の双方に処理を施した方がより高画質の加算
信号を得ることができる。
【0073】一方、装置のメモリの容量が少ない等装置
の制約上、2つの画像信号S1 ,S2 に同一のフィルタ
によりコンボリューションを行いたいときがある。この
場合 Sadd =(S1 −F2 *S1 )+(F2 *S2 ) …(15) (F1 +F2 =1であるから、 Sadd =F1 *S1 +F2 *S2 =(1−F2 )*S1 +F2 *S2 =(S1 −F2 *S1 )+(F2 *S2 )) または Sadd =F1 *S1 +S2 −F1 *S2 …(16) により加算を行えば、前述した式(14)と全く同一の結果
を得ることができる。
【0074】なお、上述した実施例において、画像信号
1 ,S2 を所望とする加算比で加算するためには、フ
ィルタF2 の周波数特性が所望の特性となるフィルタ係
数を決定する必要がある。以下、フィルタF2 の決定方
法について説明する。
【0075】まず、第1の方法として、任意のフィルタ
係数をフーリエ変換し、その周波数特性をみる。そし
て、フィルタ係数を変更してさらにフーリエ変換して周
波数特性をみる。このようにフィルタ係数を微調整し
て、試行錯誤を繰返して所望の周波数特性を有するよう
にフィルタを決定する方法が挙げられる。
【0076】また、第2の方法として、所望とする周波
数とレスポンスの組から、フィルタ係数を未定数として
方程式を作成することにより、連立一次方程式が得られ
る。ここで、周波数をf0 、所望とするレスポンスをR
(f0 )、フィルタ係数をa(n) 、サンプリング間隔を
Tとすると、
【0077】
【数8】
【0078】なる連立1次方程式が求められる。この連
立1次方程式を満たすフィルタ係数a(n) の近似解を最
小二乗法により決定する方法が挙げられる。
【0079】さらに、上述した実施例においては、被写
体1に照射された全体の放射線量を求め、この放射線量
に応じたフィルタF1 ,F2 を設定するようにしている
が、これに限定されるものではなく、例えば画像信号S
1 ,S2 の各画素における値、あるいは画像信号S1
2 のボケマスク信号に基づいて、各画像信号S1 ,S
2 により表される放射線画像における被写体の部位ごと
の放射線量を求め、部位ごとにフィルタF1 ,F2 を設
定して、画像信号S1 ,S2 をコンボリーションするよ
うにしてもよい。
【0080】このように、被写体の部位ごとにフィルタ
1 ,F2 を求めてコンボリューションして加算処理を
することにより、その部位について最適な加算比で加算
信号が得られるため、この加算信号により表される放射
線画像は観察読影適正に優れたものとなる。
【0081】また、上述した実施例においては、F1
2 =1となるフィルタを用いるようにしているが、こ
れに限定されるものではなく、F1 +F2 が1とならな
いようなフィルタを用いてもよいものである。しかしな
がら、このようなフィルタを用いた場合は、加算信号S
add の信号値のエネルギーが画像信号S1 ,S2 のエネ
ルギーと同一となるように、所定の重み付けをする必要
がある。すなわち、 Sadd =t・F1 *S1 +(1−t)・F2 *S2 …(18) により加算信号Sadd を求める必要がある。
【0082】また、上述した実施例においては、図1に
示すように、2枚の蓄積性蛍光体シート4A,4Bに放
射線画像を蓄積記録し、各シート4A,4Bから得られ
た画像信号を加算するようにしているが、図11に示すよ
うに、1枚の蓄積性蛍光体シート4Aに被写体1の放射
線画像を蓄積記録し、図12に示すようにこの蓄積性蛍光
体シート4Aの両面から重ね合せるべき画像信号を得る
ようにしてもよい。以下この両面読取りの詳細について
説明する。
【0083】蓄積性蛍光体シート4Aが、図示しないモ
ーターにより回転せしめられるエンドレスベルト9a、9b
上に配置される。このシート4Aの上方には、励起光を
発するレーザ光源10と、そのレーザ光を反射偏向し、シ
ート4Aを主走査する図示しないモータにより回転され
る回転多面鏡12が配されている。さらに、レーザ光が走
査される位置の上方には、そのレーザ光の走査により発
せられる輝尽発光光を上方より集光する集光ガイド14a
が近接して配置され、その位置の下方には、輝尽発光光
を下方より集光する集光ガイド14b がシート4Aと垂直
に配置されている。各集光ガイド14a 、14b は、それぞ
れ輝尽発光光を光電的に検出するフォトマルチプライヤ
(光電子増倍管)15a 、15b が接続されている。このフ
ォトマルチプライヤ15a 、15b は対数増幅器16a 、16b
に接続され、さらにこの対数増幅器16a 、16b は、A/
D変換器17a 、17b に接続され、各A/D変換器17a 、
17b は記憶装置18に接続されている。
【0084】被写体の放射線画像が蓄積記録された蓄積
性蛍光体シート4Aがエンドレスベルト9a、9b上にセッ
トされる。この所定位置にセットされた蓄積性蛍光体シ
ート4Aは、エンドレスベルト9a、9bにより、矢印Y方
向に搬送(副走査)される。一方、レーザ光源10から発
せられた光ビームは図示しないモータにより駆動され矢
印方向に高速回転する回転多面鏡12によって反射偏向さ
れ、シート4Aに入射し副走査の方向(矢印Y方向)と
略垂直な矢印X方向に主走査する。この光ビームが照射
されたシート4Aの箇所からは、蓄積記録されている放
射線画像情報に応じた光量の輝尽発光光13a 、13b (こ
こで、輝尽発光光13a 、13b はそれぞれシート4Aの上
方、下方から発散されたものを示す)が発散される。こ
の輝尽発光光13a は集光ガイド14a によって導かれ、フ
ォトマルチプライヤ(光電子増倍管)15a によって光電
的に検出される。入射端面から集光ガイド15a 内に入射
した輝尽発光光13a は、集光ガイド14a の内部を全反射
を繰り返して進み、出射端面から出射してフォトマルチ
プライヤ15a に受光され、放射線画像を表す輝尽発光光
13a の光量がフォトマルチプライヤ15a によって電気信
号に変換される。同様に、輝尽発光光13b は集光ガイド
14b によって導かれ、フォトマルチプライヤ(光電子増
倍管)15b によって光電的に検出される。
【0085】フォトマルチプライヤ15a から出力された
アナログ出力信号SAは対数増幅器16a で対数的に増幅
されてA/D変換器17a に入力され、ここでデジタル画
像信号S1 に変換されて記憶媒体18に入力される。また
同様に、フォトマルチプライヤ15b から出力されたアナ
ログ出力信号SBは対数増幅器16b で対数的に増幅され
てA/D変換器17b に入力され、ここでデジタル画像信
号S2 に変換されて記憶媒体18に入力される。これら2
つの画像信号S1 ,S2 は、前述した実施例と同様に加
算される。このようにして得られた加算信号を再生する
ことにより、前述した実施例と同様にノイズ成分が低減
された高画質の再生画像を得ることができる。
【0086】なお、上述した両面読取りの実施例では、
1つのレーザ光源10から発生せられたレーザ光により蓄
積性蛍光体シート4Aを走査するようにしているが、こ
れに限定されるものではなく、図13に示すように蓄積性
蛍光体シート4Aの表面側、裏面側にそれぞれレーザ光
10a ,10b 、回転多面鏡12a ,12b をそれぞれ設け、蓄
積性蛍光体シート4Aの両面にレーザ光を走査して輝尽
発光光を読み取って2つの画像信号を得るようにしても
よい。
【0087】また、上述した実施例においては、2つの
画像信号の重ね合せについて説明しているが、これに限
定されるものではなく、2つの画像信号の差分をとるエ
ネルギーサブトラクションを行う場合であっても上述し
たような処理を施すことができるものである。以下、エ
ネルギーサブトラクションを行う画像信号に対する画像
処理について説明する。
【0088】図14は2枚の蓄積性蛍光体シート4A、4
Bに、同一の被写体1を透過した放射線2を、それぞれ
エネルギーを変えて照射するいわゆる1ショットエネル
ギーサブトラクションを行うための撮影装置を表す図で
ある。すなわち放射線源3に近い方に第1の蓄積性蛍光
体シート4Aを配し、それと若干の距離を置いて第2の
蓄積性蛍光体シート4Bを配置し、これら両シート4
A、4Bの間には、銅板からなる放射線エネルギー変換
用フィルター5を配置して、放射線源3を駆動させる。
それにより、第1の蓄積性蛍光体シート4Aには、いわ
ゆる軟線も含む放射線2により、一方第2の蓄積性蛍光
体シート4Bには、軟線が除かれた放射線2により被写
体1の放射線画像が蓄積記録される。このとき蓄積性蛍
光体シート4Aと4Bとで被写体1の位置関係は同じと
する。
【0089】上記のようにすると、2枚の蓄積性蛍光体
シート4A、4Bには、被写体1の少なくとも一部の画
像情報が互いに異なる放射線画像が記録される。
【0090】次にこれら2枚の蓄積性蛍光体シート4
A、4Bから、前述した図に示すような画像読取手段に
よって放射線画像を読み取り、画像を表すデジタル画像
信号S1 ,S2 を得る。得られた画像信号S1 ,S2
記憶媒体18に記憶される。
【0091】次に、上述のようにして得られたデジタル
画像信号S1 ,S2 を用いてサブトラクション処理を行
う。図15はこのサブトラクション処理の概略を表す図で
ある。まず記憶媒体18内の画像ファイル18Aと、画像フ
ァイル18Bから、画像信号S1 ,,S2 が読み出され、
画像処理手段30に入力される。画像処理手段30は入力さ
れた2つの画像信号S1 ,S2 に対して前述した重ね合
せの実施例と同様に、マスクによるコンボリューション
の処理を施し、これにより処理済画像信号S1′,
2 ′を得る。
【0092】このようにして得られた画像信号S1 ′,
2 ′はサブトラクション手段31に入力される。サブト
ラクション手段31においては、各画像信号S1 ′,
2 ′についてサブトラクション処理がなされる。
【0093】すなわち、以下の式(19) Ssub =t1 ・F1 *S1 ′−t2 ・F2 *S2 ′ …(19) 但し、t1 ,t2 :エネルギーサブトラクション係数 によりサブトラクション処理を行う。
【0094】サブトラクション手段31においてサブトラ
クション信号Ssub が得られると、このサブトラクショ
ン信号Ssub は再生手段32に入力されて可視像として再
生される。
【0095】なお、上述したサブトラクション処理の実
施例では、1回の撮影によりサブトラクションすべき2
つの画像信号S1 ,S2 を同時に得るいわゆる1ショッ
ト法について説明したが、これに限定されるものではな
く、2枚の蓄積性蛍光体シートにエネルギー分布が異な
る2種類の放射線を用いて撮影を行ういわゆる2ショッ
ト法により得られた画像信号をサブトラクション処理す
る場合についても、本願発明は適用できるものである。
【0096】このようにして、2つの画像信号S1 ,S
2 にそれぞれ前述したようなフィルタによるコンボリュ
ーションの処理を施してサブトラクション処理すること
により、下側の蓄積性蛍光体シートから得られたノイズ
成分が低減されるとともに、上側の蓄積性蛍光体シート
から得られた高周波数帯域の情報が強調され、さらには
被写体に照射された放射線量を考慮した差信号が得られ
るため、この差信号を再生することにより、被写体に照
射された放射線量を考慮したノイズ成分が低減された高
画質の再生画像を得ることができる。さらに、ウェーブ
レット変換やフーリエ変換のように計算量も多くないた
め、本発明を実施するための装置の構成を簡易なものと
することができ、さらには高速に演算を行うことが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像重ね合せ方法の実施例におけ
る蓄積性蛍光体シートへの放射線画像の記録を説明する
ための図
【図2】蓄積性蛍光体シートからの放射線画像の読取り
を行うための装置を表す図
【図3】重ね合せを行う装置の該略を表す図
【図4】画像信号のMTFを表す図
【図5】画像信号のウィナースペクトルを表す図
【図6】複数の周波数帯域におけるDQEを表す図
【図7】重み付けテーブルを表す図
【図8】画像信号S2 をコンボリューションするフィル
タの周波数特性を表す図(放射線0.1 mR)
【図9】画像信号S2 をコンボリューションするフィル
タの周波数特性を表す図(放射線1.0 mR)
【図10】画像信号S2 をコンボリューションするフィ
ルタの周波数特性を表す図(放射線10mR)
【図11】一枚の蓄積性蛍光体シートに放射線画像を蓄
積記録する状態を表す図
【図12】蓄積性蛍光体シートの両面から放射線画像を
読み取る装置を表す図
【図13】蓄積性蛍光体シートの両面から放射線画像を
読み取る別の装置を表す図
【図14】本発明によるエネルギーサブトラクション方
法の実施例における蓄積性蛍光体シートへの放射線画像
の記録を説明するための図
【図15】エネルギーサブトラクションを行う装置の概
略を表す図
【符号の説明】
1 被写体 2 放射線 3 放射線源 4A,4B 蓄積性蛍光体シート 10 レーザ光源 11 レーザ光 12 ミラー 13,13a ,13b 輝尽発光光 14,14a ,14b 光ガイド 15,15a ,15b フォトマルチプライヤ 16,16a ,16b 対数変換器 17,17a ,17b A/D変換器 18 記憶媒体 20,30 画像処理手段 21 加算手段 22,32 再生手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G06T 1/00 5/00 G06F 15/68 350

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被写体に放射線を照射して得られた同一
    被写体の放射線画像を担持する周波数特性が互いに異な
    る複数の画像信号に対して相対応する画素についての信
    号間で加算を行って加算信号を得る放射線画像の重ね合
    せ方法において、 前記被写体に照射された放射線量を求め、 該求められた放射線量に基づいて、前記複数の画像信号
    のうち少なくとも1つの画像信号について、該画像信号
    をコンボリューションして得られた画像信号とそれ以外
    の画像信号との加算信号を得たとき、該加算信号の信号
    対ノイズ比を高くするような周波数特性を有するマスク
    フィルタを求め、 該マスクフィルタにより前記少なくとも1つの画像信号
    をコンボリューションし、 該コンボリューションされた画像信号とそれ以外の画像
    信号との加算を行って前記加算信号を得ることを特徴と
    する放射線画像の重ね合せ方法。
  2. 【請求項2】 前記各画像信号における前記マスクフィ
    ルタの周波数特性の和が任意の周波数において1である
    ことを特徴とする請求項1記載の放射線画像の重ね合せ
    方法。
  3. 【請求項3】 前記放射線画像に含まれる前記被写体の
    部位に応じて前記放射線量を求め、該放射線量に基づい
    て該部位に応じて前記マスクフィルタを求め、該部位に
    応じて求められたマスクフィルタにより前記所望とする
    画像信号に対して前記コンボリューションによる処理を
    施すことを特徴とする請求項1または2記載の放射線画
    像の重ね合せ方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の画像信号のすべてについて前
    記コンボリューションによる処理を施すことを特徴とす
    る請求項1、2または3記載の放射線画像の重ね合せ方
    法。
  5. 【請求項5】 同一被写体を透過したそれぞれエネルギ
    ー分布が互いに異なる放射線により得られた少なくとも
    一部の画像情報が互いに異なる複数の放射線画像を検出
    することにより得られた複数の画像信号に対して相対応
    する画素についての信号間で前記各画像信号に所定の重
    み付け係数を乗じて減算を行って前記被写体の特定構造
    物の画像を形成する差信号を得るエネルギーサブトラク
    ション方法において、 前記被写体に照射された放射線量を求め、 該求められた放射線量に基づいて、前記複数の画像信号
    のうち少なくとも1つの画像信号について、該画像信号
    をコンボリューションして得られた画像信号とそれ以外
    との画像信号との差信号を得たときに、該差信号の信号
    対ノイズ比を高くするような周波数特性を有するマスク
    フィルタを求め、 該マスクフィルタにより前記少なくとも1つの画像信号
    をコンボリューションし、 該コンボリューションされた画像信号とそれ以外の画像
    信号との減算を行って前記差信号を得ることを特徴とす
    るエネルギーサブトラクション方法。
  6. 【請求項6】 前記放射線画像に含まれる前記被写体の
    部位に応じて前記放射線量を求め、該放射線量に基づい
    て該部位に応じて前記マスクフィルタを求め、該部位に
    応じて求められたマスクフィルタにより前記所望とする
    画像信号に対して前記コンボリューションによる処理を
    施すことを特徴とする請求項5記載のエネルギーサブト
    ラクション方法。
  7. 【請求項7】 前記複数の画像信号のすべてについて前
    記コンボリューションによる処理を施すことを特徴とす
    る請求項5または6記載のエネルギーサブトラクション
    方法。
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