JPH07286177A - 液晶組成物、液晶素子及びこれらを用いた液晶装置、表示装置 - Google Patents

液晶組成物、液晶素子及びこれらを用いた液晶装置、表示装置

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JPH07286177A
JPH07286177A JP6259033A JP25903394A JPH07286177A JP H07286177 A JPH07286177 A JP H07286177A JP 6259033 A JP6259033 A JP 6259033A JP 25903394 A JP25903394 A JP 25903394A JP H07286177 A JPH07286177 A JP H07286177A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カイラルスメクチック液晶組成物における応
答速度、配向状態等の温度依存性を改善する。 【構成】 降温下においてSmA(スメクチックA)相
及びSmC* (カイラルスメクチック)相を順次呈し、
スメクチック相における層間隔dと液晶温度との関係
が、SmA相の温度範囲において温度降下に伴ってdが
増加、一定あるいは減少し、SmA相からSmC* 相に
転移する温度近傍で急激にdが減少する第一の変移点、
及び第一の変移点を通過後SmC* 相の温度範囲におい
て温度降下に伴って再度dが増加を開始する第二の変移
点を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶組成物およびそれ
を使用した液晶素子並びに液晶装置に関する。さらに詳
しくは応答速度の温度依存性、低温保存による配向状態
の変化が改善された液晶組成物、およびそれを使用した
液晶表示素子や液晶−光シャッター等に使用される液晶
素子並びに該液晶素子を使用した液晶装置、特に表示素
子として使用した液晶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、双安定性を有する液晶素子の使用
がクラーク(Clark)およびラガウェル(Lage
rwall)により提案されている(特開昭56−10
7216号公報、米国特許第4367924号明細書
等)。
【0003】この強誘電性液晶は、一般にカイラルスメ
クチィックC相(SmC相)又はH相(SmH相)
を有し、この状態において印加される電界に対して第1
の光学的安定状態と第2の光学的安定状態からなる双安
定状態を有し、例えば一方の電界ベクトルに対して第1
の光学的安定状態に液晶が配向し、他方の電界ベクトル
に対しては第2の光学的安定状態に液晶が配向されてい
る。また、この型の液晶は、加えられる電界に応答し
て、上記2つの安定状態のいずれかを取り、且つ電界の
印加のないときはその状態を維持する性質(双安定性)
を有する。
【0004】以上の様な双安定性を有する特徴に加え
て、強誘電性液晶は高速応答性であるという優れた特徴
を持つ。それは強誘電性液晶の持つ自発分極と印加電場
が直接作用して配向状態の転移を誘起するためであり、
誘電率異方性と電場の作用により配向状態の転移を誘起
するTN型液晶よりも応答速度が3〜4オーダー速い。
【0005】それ故、高速ならびに記憶型の表示素子と
しての広い利用が期待され、特にその機能から大画面で
高精細なディスクへの応用が期待される。
【0006】一般に、液晶の複屈折を利用した液晶素子
の場合、直交ニコル下での透過率は、
【0007】
【数13】 (式中:I は入射光強度、Iは透過光強度、θ
は以下で定義される見かけのチルト角、Δnは屈折率異
方性、dは液晶層の膜厚、λは入射光の波長である。)
で表される。
【0008】前述の非らせん構造における見かけのチル
トθは、第1と第2の配向状態でのねじれ配列した液
晶分子の平均分子軸方向の角度として現われることにな
る。上式によれば、かかる見かけのチルト角θが2
2.5°の角度の時最大の透過率となり、双安定性を実
現する非らせん構造でのチルト角θが22.5°にで
きる限り近いことが望ましい。
【0009】しかしながら、これまで用いられてきた配
向方法、特にラビング処理したポリイミド膜による配向
方法を、前述のクラークとラガウエルによって発表され
た双安定性を示す非らせん構造の強誘電性液晶に対して
適用した場合には、下述の如き問題点を有していた。
【0010】即ち、所定のラビング処理したポリイミド
膜によって配向させて得られた非らせん構造の強誘電性
液晶でのみかけのチルト角θ(2つの安定状態の分子
軸のなす角度の1/2)が強誘電性液晶でのコーン角
(図3に示す三角錐の頂角の1/2の角度Θ)と比べて
小さくなっていることが判明した。特に、従来のラビン
グ処理したポリイミド膜によって配向させて得た非らせ
ん構造の強誘電性液晶での見かけのチルト角θa は一般
に3°〜8°程度で、その時の透過率はせいぜい3〜5
%程度であった。(特開平3−252624号公報参
照)
【0011】これに対し、カイラルスメクチック液晶の
非らせん構造での大きな見かけのチルト角θa を生じ、
高いコントラストな画像が表示されるディスプレイを実
現する条件として以下のことが見出されている。
【0012】すなわち、カイラルスメクチック液晶と、
この液晶を間に保持して対向するとともに、その対向面
にはそれぞれカイラルスメクチック液晶に電圧を印加す
るための電極が形成され、かつ液晶を配向するための一
軸性配向軸が互いに所定の角度で交差した配向処理が施
された一対の基板とを備えた液晶素子において、上記ス
メクチック液晶素子におけるプレチルト角をα、コーン
角をΘ、液晶層の傾斜角をδとすれば、カイラルスメク
チック液晶は、下記(2)及び(3)を満たす配向状態
を有する液晶素子であって、かつ、該配向状態における
液晶が少なくとも2つの安定状態を示し、それらの光学
軸のなす角度の1/2である見かけのチルト角θa と該
カイラルスメクチック液晶のコーン角Θとが下記(4)
式の関係を有する事を特徴とする液晶素子であれば、高
コントラストな画像が表示されるディスプレイが実現で
きることが明らかとなった。
【0013】
【数14】Θ<α+δ (2) δ<α (3) Θ>θa >Θ/2 (4) 以下、このことについて順次説明する。
【0014】スメクチック液晶は一般に層構造をもつ
が、SmA相からSmC相またはSmC* 相に転移する
と、層間隔が縮むので図4に示すように、液晶層21が
上下基板の中央で折れ曲がった構造(シェブロン構造)
をとる。折れ曲がる方向は、同図に示すように、高温か
らSmC* 相に転移した直後に現れる配向状態(C1配
向状態)の部分22における場合と、さらに温度を下げ
たときにC1配向状態に混在して現れる配向状態(C2
配向状態)の部分23における場合の2つ有り得る。
【0015】ここで、特定の材質あるいは処理がなされ
た配向膜と液晶の組み合わせを用いると、上記のC1配
向状態からC2配向状態への転移が起こりにくく、液晶
材料によっては全くC2配向状態が生じないこと、およ
び、C1配向内に従来見い出されていた液晶のディレク
タが上下基板間でねじれている低コントラストの2つの
安定状態(以下、スプレイ状態と呼ぶ)の他に、コント
ラストの高い別の2つの安定状態(以下、ユニフォーム
状態と呼ぶ)が現れることが発見された。特に高プレチ
ルト配向膜を用い、Θ<α+δの関係を満たしていると
き、C1配向のコントラストが非常に高く、C2配向の
コントラストが低いということを発見した。このことに
より、表示素子として高プレチルト角を付与し得るよう
な配向膜を用い、画面全体をC1配向に統一し、高コン
トラストのユニフォーム2状態を白黒表示の2状態とし
て用いれば、従来より品位の高いディスプレーができる
と期待される。
【0016】上記のようにC2配向状態を生ぜずにC1
配向状態を実現するためには以下のような条件を満たす
ことが必要であると結論される。すなわち、図3に示す
ように、C1配向およびC2配向での基板近くの液晶素
子のダイレクタは、それぞれ図3(a)および図3
(b)に示すコーン31上にある。よく知られているよ
うにラビングによって基板界面の液晶分子は基板に対し
てプレチルトと呼ばれる角度をなし、その方向はラビン
グ方向(図4でいえば矢印A方向)に向かって液晶分子
が頭をもたげる(先端が浮いた格好になる)向きであ
る。以上のことにより、液晶のコーン角Θ、プレチルト
角αおよび層の傾斜角δの間には、下記数式(4)及び
(5)の関係が成り立っていなければならない。
【0017】
【数15】 C1配向のとき Θ+δ>α (5) C2配向のとき Θ−δ>α (6)
【0018】したがって、上述のようにC2配向を生ぜ
ず、C1配向を生じさせるための条件は、下記式(2)
で表される。
【0019】
【数16】 Θ−δ<α つまり Θ<α+δ (2)
【0020】さらに界面の分子が一方の位置から他方の
位置へ電界によって移るスイッチングが起こりやすい条
件として、下記式(3)が得られる。
【0021】
【数17】α>δ (3) よって、C1配向状態をより安定に形成させるには式
(2)に加えて式(3)の関係を満たすことが効果的で
ある。
【0022】式(2)および式(3)の条件の下でさら
に実験を進めた結果、液晶の見かけのチルト角θa も、
式(2)および式(3)の条件を満たさない従来の場合
の3°〜8°程度から式(2)および式(3)の条件を
満たす場合の8°〜16°程度にまで増大し、液晶のコ
ーン角Θとの間に下記式(4)の関係式が成り立つこと
が経験的に得られた。
【0023】
【数18】Θ>θa >Θ/2 (4)
【0024】以上のように、式(2)〜(4)の条件を
満足すれば、高コントラストな画像が表示できるディス
プレーが実現できることが明らかになった。(上記特開
平3−252624号公報参照)
【0025】また、C1配向状態を安定に形成し、良好
な配向性を得るために液晶素子の構造において、上下基
板の配向制御層における一軸配向処理の方向(主として
ラビング方向)を0°〜25°(交差角)の範囲で交差
せしめる方法もきわめて効果があることも判明してい
る。
【0026】このように強誘電性液晶は極めて優れた特
性を潜在的に有しており、このような性質を利用すべ
く、上述したように素子構成を調整して、液晶分子の状
態を特定の条件に適合させることによって、従来のTN
型素子の問題点の多くに対して、かなり本質的な改善が
得られている。特に高速光シャッターや高密度大画面デ
ィスプレーへの応用が期待される。
【0027】一方、上述したような点に鑑みれば、カイ
ラルスメクチィック液晶を利用した素子を備えた表示装
置は、従来のCRTやTN型液晶ディスプレイをはるか
に上回る大画面化及び高精細化を可能とする。しかし、
その大画面化・高精細化に伴い、駆動の際のフレーム周
波数(1画面形成周波数)が低周波となってしまい、こ
のため、画面書き換え速度や文字編集やグラフィックス
画面等でのスムーズスクロール、及びカーソル移動等の
動画表示の速度が遅くなるという問題点があった。この
問題に対する解決法は、特開昭60−31120号公
報、特開平1−140198号公報等で開示されてい
る。
【0028】これに対し、走査電極と情報電極とをマト
リックス配置した表示パネルと、走査電極を全数又は所
定数選択する手段(この手段により選択する場合を全面
書込みという)と、走査電極を全数又は所定数のうちの
一部選択する手段(この手段により選択する場合を部分
書込みという)により表示装置を構成し、これによって
部分的動画表示を部分書込みで行うことによって高速表
示が可能となり、部分書込みと全面書込みの両立が実現
できる。(特開昭60−31120号公報、特開平1−
140198号公報参照)
【0029】以上のように、上述した(2),(3)及
び(4)式の条件を満たす液晶素子を上述の部分書込み
を行える表示装置で駆動すれば大画面、高精細ディスプ
レイにおいて高コントラストな画像が高速表示で実現で
きることが明らかになっている。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】このような液晶素子並
びに液晶装置(表示装置)を実現するべく、強誘電性を
有する液晶材料に関する研究が広く行われている。しか
しながら、これまでに開発された強誘電性液晶材料は、
駆動条件の変化に伴った応答速度の温度依存性や低温保
存性、配向の安定性等の基本特性に関して、強誘電性液
晶を用いた素子に十分に適応するものでは無かった。
【0031】一般に、ディスプレーとしての使用温度範
囲を5〜35℃程度とした場合、素子周辺からの熱蓄積
により、液晶素子自身の環境温度は5〜50℃程度にな
る。通常の強誘電性液晶の応答速度の温度に対する変化
は、粘性に大きく依存しているためにかなり大きく、5
〜50℃においても十数倍ほどもあり駆動電圧等による
調節の限界を超えているのが現状である。
【0032】また、大画面ディスプレーを実用化しよう
とする場合、数度〜十数度の面内温度分布に対して同一
駆動条件で画像出しが可能でなくてはならないが、現状
の液晶材料では、駆動条件の温度依存性が大きく実用化
には十分なものとはなっていない。例えば、ディスプレ
ーとしての使用温度範囲を越して高温側に加熱して行
き、再び使用温度範囲に戻すと液晶分子の配向状態が変
化してしまい、加熱以前とは異なる駆動特性を示すこと
があるという問題があった。
【0033】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
のであり、その課題とするところは室温領域を含む幅広
い温度範囲で応答速度や配向状態等の液晶としての特性
の温度依存性が改善された液晶組成物を提供することで
ある。
【0034】本発明の更なる課題は、上述したような液
晶組成物を用いて、駆動条件の温度依存性が小さく、あ
らゆる温度域において応答速度が高く、良好なコントラ
ストが得られ、液晶配向状態等が安定した液晶素子、並
びに該液晶素子を備えた液晶装置を提供することであ
る。
【0035】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の上記課
題は、降温下においてSmA(スメクチックA)相及び
SmC(カイラルスメクチックC)相を順次呈する液
晶組成物であって、スメクチック相における層間隔dと
液晶温度との関係が、SmA相の温度範囲において温度
降下に伴ってdが増加、一定あるいは減少すること、S
mA相からSmC相に転移する温度近傍で急激にdが
減少する第一の変移点を有すること、第一の変移点を通
過後SmC相の温度範囲において再度増加に転ずる第
二の変移点を有することを特徴とする。
【0036】また本発明の更なる課題は、上述したよう
な液晶組成物を使用した液晶素子、具体的には、該液晶
組成物を一対の基板間に配置してなる液晶素子、並びに
かかる液晶素子を具備してなる液晶装置、特に表示装置
によって解決される。
【0037】本発明者らの研究によれば、液晶組成物
(特にSmC相を有する強誘電性液晶組成物)におい
て、構成成分液晶化合物の一部の側鎖長がわずかに異な
るだけの、ほとんど類似の液晶組成物で粘性係数や自発
分極の大きさが余りかわらなくても応答速度の温度特性
(特に低温側)がかなり異なる場合があることが見出さ
れている。この現象は応答速度の温度特性に差が現れる
温度近傍での液晶分子の傾き角および層間隔の温度特性
に大きく由来していることであると推定されている。
【0038】これは降温下でSmA相からSmC* 相へ
の転移が起こり液晶分子が傾くことにより層間隔が変化
すると、液晶分子が過度に歪み自発分極ディレクタの基
板法線方向への正味の大きさが変化し、外部電界との実
効的な作用分が過度に変動するためであると考えられ
る。もし応答速度の温度依存性の大きくなってくる低温
側で降温下で液晶分子の傾きが角が小さくなり、層間隔
が増加傾向へと転じ液晶分子の歪を緩和すれば、層間隔
が降温下で層間隔が単調減少傾向を示しつづけるものと
比較して、応答速度の温度依存性は格段に改善される。
【0039】また、上述した液晶組成物を備えた液晶素
子または液晶表示素子を使用した表示装置をディスプレ
イとして一般的な使用温度範囲を越して、該液晶組成物
のSmA相の存在温度領域内まで加熱し、再びディスプ
レイの使用温度範囲に戻した場合、コントラストや表示
スピード等の表示特性が加熱以前のものと異なる値を示
す現像が生じる場合があった。
【0040】本発明者らの研究により、この現像はSm
* 相からSmA相への転移の際に不連続的な層間隔の
変化および配向状態の変化が生じ、これに起因してコー
ン角Θや層の傾斜角δの値等の構造物性値が変化してし
まうことに由来するものであることが見いだされた。も
し、SmC* からSmA相の転移の際の層間隔の変化を
抑えることができれば、コーン角Θや層の傾斜角δの値
の変化が低減し、表示特性の変化が起こりにくい液晶素
子または表示装置を実現できると考えられる。
【0041】更に、上記の知見に基いて検討を行ったと
ころ、SmC相を呈する液晶組成物中の骨格構造の種
類、その組合わせ、構成成分の側鎖長、配合比率に因り
層間隔dの温度特性が変化することが見出された。更に
この点を考慮して層間隔の変化と液晶の温度特性との関
係を検討したところ、降温下でSmA→SmC相を順
次呈する液晶組成物であって、SmA相からSmC
に転移する温度近傍で層間隔dが急激に、例えば、線図
上で屈曲あるいは湾曲する変化を示すか、また不連続に
減少する第一の変移点と、SmC相の温度範囲におい
て温度降下に伴ってdが更に減少した後再度増加に転ず
る第二の転移点とをとる組成物を選択して調整すること
により、特にシェブロン構造の液晶相をとる液晶組成物
において相転移に伴う構造物性の変化を抑え、広い温度
範囲での特に応答速度の温度特性を改善でき、表示素子
等の液晶素子に適用した場合、コントラスト等の表示特
性の温度依存性が良好になることを見出した。
【0042】本発明の液晶組成物は、SmA相における
降温下におけるスメクチック相の層間隔dの変化が、増
加あるいは一定にある場合高温下での特性が改善され、
前述したようにSmA相の温度域まで加熱し、SmC
相の温度域からこれを超える高温下で保存した場合でも
液晶配向状態がより安定化し、常温下において特性に充
分な再現性が得られる点で好ましい。
【0043】また、本発明の液晶組成物は、好ましくは
SmA相の温度範囲が広く(好ましくは20℃以上)、
SmA相より高温側においてCh相を有する。この場
合、相転移温度を経る温度変化による配向状態の変化が
軽減され、SmC相において、均一で良好な配向状態
が実現される。
【0044】本発明の層間隔変化の特性を有する液晶組
成物において、第一の変移点における層間隔d、第二
の変移点における層間隔dminが、好ましくは
【0045】
【数19】 より好ましくは
【0046】
【数20】 の関係にある。
【0047】尚、SmA相からSmC相に移る温室近
傍で層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続な
変化をとらず湾曲して変化する場合SmA相からSmC
相に転移する温度でのdをdとする。
【0048】特にSmA相において、層間隔dが降温下
で増加または一定といった変化形態をとり、上記(8)
式を満たす場合、広い温度域での駆動特性が向上する。
【0049】かかる点に鑑みて、本発明の液晶組成物
は、降温下においてSmA相及びSmC相を順次呈す
る液晶組成物であって、スメクチック相の層間隔dが、
SmA相の温度範囲において温度降下に伴ってdが増
加、一定、あるいは減少し、SmA相からSmC相に
転移する温度領域で急激にdが減少する第一の変移点及
び第一の変移点通過後、SmC相の温度範囲において
dが増加に転ずる第二の変移点に加え、更にSmC
内の第二の変移点より低温側でdが再度減少に転ずる第
三の転移点を有することが好ましい。
【0050】かかる“第三の変移点”を含む層間隔の温
度特性を有する液晶組成物では、低温側の応答速度の温
度依存性等の温度特性が改善され、更に低温保存後にお
ける応答速度、配向状態、コントラスト等の特性の安定
化がもたらされる。
【0051】なお、このような液晶組成物を液晶素子に
組み込んだ場合に、より広い温度範囲で応答速度の温度
依存性が少なく、より高速度で駆動させる為に、第二の
変移点における層間隔dminと第一の変移点における
層間隔dの値が好ましくは上述したように
【0052】
【数21】 より好ましくは第三の変移点を有する特性として
【0053】
【数22】 のような関係にある。
【0054】また、上記層間隔の温度特性を有する、特
に第三の変移点を有する液晶組成物では、SmC相に
おける第二の変移点を示す温度が20〜50℃の範囲で
あることが好ましく、30〜50℃の範囲にあることが
より好ましい。
【0055】また、駆動条件の温度依存性が小さく、し
かも通常想定された保存温度範囲を通り越して、更に低
温で保存されても数時間のレベルなら、前述した見かけ
のチルト角θ、コントラスト、応答速度の変化が少な
い液晶組成物として、降温下における層間隔dの変化が
上述した第一の変移点、第二の変移点および第三の変移
点を持ち、しかも第三の変移点を示した温度からSmC
相の次の低温相に移る温度範囲内での層間隔dの最小
値dと第一の変移点における層間隔dの間に、
【0056】
【数23】 なる関係を持つことを特徴とする液晶組成物が好まし
い。
【0057】但し、SmA相からSmC相に移る温度
近傍で、層間隔dの値がはっきりとした屈曲点を持たず
に湾曲して変化する場合は、SmA相からSmC相に
移る温度でのdの値をdとする。
【0058】更に、通常想定された保存温度範囲を通り
越して更に低温で長時間保存されても、また低温保存温
度からの昇温速度が十分に早くとも、コントラスト、及
び応答速度の変化がない液晶組成物として、降温下にお
ける層間隔dの変化が上述した第一の変移点、第二の変
移点を持ち、更に第三の変移点を持ち、第一と第三の変
移点における層間隔d、dmaxの間に、
【0059】
【数24】 なる関係を持つことを特徴とする液晶組成物が好まし
い。
【0060】また、このような降温下におけるスメクチ
ック相の層間隔dの変化が第一、第二及び第三の変移点
を有し、更に各点での層間隔等が上述した(10)、
(11)式を満たす場合においても、かかる液晶組成物
を液晶素子に組み込んだ場合に、より広い温度範囲で応
答速度の温度依存性が少なく、より高速度で駆動させる
為に、dmin及びdの関係が、好ましくは(7)、
より好ましくは(9)式の関係を満たし、またSmC
相におけるdminを示す温度範囲が、好ましくは20
〜50℃にあり、より好ましくは30〜50℃にある。
【0061】本発明の層間隔変化の特性を有する液晶組
成物では、SmC相で液晶分子が形成するコーン角Θ
がSmC相の存在温度範囲において降温下で増加し、
その後減少に転ずる変移点Θmaxを有する温度特性を呈
する。
【0062】一方、本発明のスメクチック相における層
間隔の温度特性が、第一及び第二の変移点を有する液晶
組成物を用いた液晶素子を、ディスプレイとしての使用
温度範囲を越して、更に冷却していくと、SmC相内
において低温側で、dの値が第一の変移点における層間
隔d以上になる場合がある。
【0063】このような液晶組成物においては、液晶素
子が組成物のdの値がdを越える温度(以下ではTd
と略す)以下で保存されると、再び昇温して、ディス
プレイとしての使用温度に達しても、液晶分子の配向状
態、見かけのチルト角θ(二つの消光位の間の角度の
1/2で定義する)、コントラスト、応答速度などの多
くの特性が変化してしまい、初期には戻らなくなってし
まうことがある。これは、液晶組成物、あるいは液晶素
子を低温で保存及び使用するにあたって非常に大きな問
題となることがある。
【0064】また、液晶組成物はセルの中では過冷却状
態でかなり安定して存在することができるために、バル
クの状態でのメルティングポイント以下になっても結晶
化や偏析が起こらないことが多い。このようなことか
ら、実際に保存温度の低温限界温度というものは、メル
ティングポイントよりも前述のTdで決まる場合が多
いということがわかる。
【0065】このような液晶組成物においては、液晶素
子が用いる組成物のdの値がdを越える温度Td
下で保存されると、再び昇温して、ディスプレイとして
の使用温度に達しても、液晶分子の配向状態、見かけの
チルト角、コントラスト、応答速度などの多くの特性が
変化してしまい、初期には戻らなくなってしまうことが
ある。
【0066】これは、第一の変移点を示す温度以下で
は、スメクチック相の層の傾斜角を増加あるいは、減少
させることで層間隔dの減少あるいは、増加分を補正し
ていた層構造が、更に低温で層間隔が第一の変移点にお
けるd以上になるとそれ以上の増加分を充分に補正で
きず、層構造自体が変形、あるいは破壊されてしまい再
び温度が上昇しても以前の層構造とは異なってしまうこ
とがあり、駆動特性、表示特性の変化が発生してしまう
ことに因ると考えられる。
【0067】そこで本発明者らは、駆動条件の温度依存
性が少なく、しかも上記のような低温保存による悪影響
をなくすることを目標として様々な鋭意検討を行った結
果、SmC相における第二の変移点以下の低温になっ
ても層間隔dがdを過度に越えないような液晶組成物
を使用することによって、上記目標が達成できることを
明らかにした。なお、液晶組成物の層構造の秩序度は、
結晶系のそれとは異なりある程度フレキシビリティーを
持っている為、dmax の値がd の値をわずかに
上回っても層構造が破壊されないこともある。また逆に
max /d の値があまり小さくなると、低温で
の応答速度の遅れが著しく、広い温度範囲での安定した
画像の提供という初期の目的が達成されないこともあ
る。
【0068】また、上記の検討を行うことによって、本
発明者らは液晶組成物中の骨格構造の種類、組み合わ
せ、骨格から伸びる側鎖の長さ、組成比などによって層
間隔dの温度特性が大きく変化することを見いだした
が、問題の低温での挙動に関しては上記ファクターに関
しては特にはっきりとした規則性がなく、数多くの液晶
組成物を検討しその中から、層間隔dが、SmA相か
ら、SmC 相に移る温度近傍で急激減少する点を有
し、更なる温度の降下に従い再びdの値が増加する点を
有し、かつ更に低温で再び減少に転ずる点を有する液晶
組成物を選択することによって上記低温保存に伴う悪影
響をなくすることができることを明らかにした。
【0069】図1に本発明の液晶組成物であって、スメ
クチック相の降温下における層間隔dの変化が第一の変
移点、第二の変移点、及び第三の変移点を有するものに
ついて、SmC 相における層間隔dの温度特性の一
例を示す。
【0070】かかる温度特性において、d
min、d、dmax相互の関係、更には第一の変
移点及び第二の変移点間、第二の変移点及び第三の変移
点間のdの変化率等を調整して、液晶組成物の広い温度
域における応答速度、表示に適用する際のコントラスト
等の特性をより改善することができる。
【0071】本発明の液晶組成物は、少なくとも一種以
上が液晶性化合物(mesomorphic comp
ound)を構成成分とするもので、前述したように各
成分の骨格構造(メリーゲン基)の種類、組合せ、側鎖
の種類、長さ、配合比率等を調整し、SmA相及びSm
相を順次とり、且つ、スメクチック相の層間隔d
が前述したような第一の変移点及び第二の変移点を有す
る温度特性を示すものである。
【0072】具体的には、後述するようなフェニルピリ
ミジン系化合物、チアゾール系化合物等の液晶性化合物
を一種以上を含有する組成物であるが、前述した層間隔
dの温度特性を実現するには、下記一般式(A)で表さ
れるインダン化合物一種以上を配合することが好まし
い。
【0073】
【化19】
【0074】(式中、R 、R は炭素原子数1〜
18の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、X
、X は単結合、
【0075】
【化20】 であり、A は単結合または
【0076】
【化21】 のいずれかであり、A
【0077】
【化22】 のいずれかを示す。)
【0078】本発明で使用され得る一般式(A)で示さ
れるインダン化合物の好ましい具体的化合物を下記の表
に示す。表中におけるアルファベットで表わされる略号
は以下に示す側鎖基、または環状基を示す。
【0079】
【化23】met=CH ,hep=C
15 ,trt=C1327 ,eth=C
,oct=C17 ,tet=C14
29 ,pro=C ,non=C19
,ped=C1531 ,but=C
dec=C1021 ,hexd=C1633,p
en=C11 ,und=C1123 ,he
pd=C1735,hex=C13 ,dod
=C1225 ,ocd=C1837,2mb=2
−メチル−ブチル
【0080】
【化24】
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】また、本発明の液晶組成物では、層間隔d
の温度特性が第一の変移点及び第二の変移点をとること
に加え、SmA相において降温下で増加または一定とい
った変化形態をとるべく、前記一般式(A)のインダン
化合物に加え、下記一般式(B)で表されるキノキサリ
ン化合物1種以上を配合することが特に好ましい。これ
ら2種の化合物の組合せは前述したdmin、dA等の関係
式(7)、(8)を満たす組成物として好ましい。
【0084】
【化25】
【0085】(式中、R 、R は炭素原子数1〜
18の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、X
は単結合、
【0086】
【化26】 であり、A
【0087】
【化27】 を示す。)
【0088】本発明で使用され得る一般式(B)で示さ
れるキノキサリン化合物の好ましい具体的化合物を下記
の表に示す。表中におけるアルファベットで表わされる
略号は以下に示す側鎖基、または環状基を示す。
【0089】
【化28】met=CH ,hep=C
15 ,trt=C1327 ,eth=C
,oct=C17 ,tet=C14
29 ,pro=C ,non=C19
,ped=C1531 ,but=C
dec=C1021 ,hexd=C1633,p
en=C11 ,und=C1123 ,he
pd=C1735,hex=C13 ,dod
=C1225 ,ocd=C1837,2mb=2
−メチル−ブチル
【0090】
【化29】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】本発明の液晶組成物では、層間隔dの温度
特性が前述した第一の変移点、第二の変移点に加え、第
三の変移点をとるべく、前記一般式(A)のインダン化
合物に加え、下記一般式(C)で表されるクマラン化合
物を液晶性化合物として配合することが特に好ましい。
これら2種の化合物の組み合わせは、前述したd、d
min、dmax、dC等の関係式(7)、(9)、
(10)、(11)を満たす組成物として好ましい。
【0094】
【化30】 (式中、R5、R6は炭素原子数1〜18の直鎖状または
分岐状のアルキル基であり、X4、X5は単結合、
【0095】
【化31】 であり、A4は単結合または
【0096】
【化32】 のいずれかであり、A5
【0097】
【化33】 のいずれかを示す。)
【0098】本発明で使用され得る一般式(C)で示さ
れる液晶性化合物の好ましい具体的化合物を下記の表
5,6に示す。表中におけるアルファベットで表わされ
る略号は下記に示す側鎖基、または環状基を示す。
【0099】
【化34】met=CH ,hep=C
15 ,trt=C1327 ,eth=C
,oct=C17 ,tet=C14
29 ,pro=C ,non=C19
,ped=C1531 ,but=C
dec=C1021 ,hexd=C1633,p
en=C11 ,und=C1123 ,he
pd=C1735,hex=C13 ,dod
=C1225 ,ocd=C1837,2mb=2
−メチル−ブチル
【0100】
【化35】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】また、本発明の液晶組成物は、前記一般式
(A)で示されるインダン化合物の少なくとも1種以上
と、前記一般式(B)で示されるキノキサリン化合物の
少なくとも1種以上及び/又は前記一般式(C)で示さ
れるクマラン化合物の少なくとも1種以上を各々1〜3
0重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましく
は8〜25重量%を含有する。
【0104】本発明の液晶組成物は、上述したような化
合物の他、例えば以下に示すような液晶化合物1種以上
を、所望の特性に応じて配合して調整される得る。
【0105】
【化36】
【0106】(式中、n,mは、0、1、2であって、
0<n+m≦2である。R7,R8は、水素原子、ハロゲ
ン、CN基、または、炭素原子数1〜18の直鎖状また
は、分岐状または、環状のアルキル基であり、該アルキ
ル基中の1つ、もしくは2つ以上のメチレン基は、ヘテ
ロ原子が隣接しない条件で−O−、−S−、−CO−、
−CHW−、−CH=CH−、−C≡C−によって置き
換えられていてもよく、Wは、ハロゲン、CN、CF3
を示す。また、R7、R8は光学活性であっても良い。)
【0107】
【化37】
【0108】(式中、A6は、
【0109】
【化38】 を表す。
【0110】X6は、水素原子またはフッ素原子を表
し、R9,R10は、水素原子、ハロゲン、CN基、また
は、炭素原子数1〜18の直鎖状または、分岐状また
は、環状のアルキル基であり、該アルキル基中の1つ、
もしくは2つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接し
ない条件で−O−、−S−、−CO−、−CHW−、−
CH=CH−、−C≡C−によって置き換えられていて
もよく、Wは、ハロゲン、CN、CF3 を示す。また、
9、R10は光学活性であっても良い。)
【0111】
【化39】 (式中、B1 は、
【0112】
【化40】 を表す。
【0113】R11,R12は、水素原子、ハロゲン、CN
基、または、炭素原子数1〜18の直鎖状または、分岐
状または、環状のアルキル基であり、該アルキル基中の
1つ、もしくは2つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が
隣接しない条件で−O−、−S−、−CO−、−CHW
−、−CH=CH−、−C≡C−によって置き換えられ
ていてもよく、Wは、ハロゲン、CN、CF3 を示す。
また、R11、R12は光学活性であっても良い。)
【0114】
【化41】 (式中、C1 は、
【0115】
【化42】 を表す。Zは、−O−、−S−を表わす。
【0116】R13,R14は、水素原子、ハロゲン、CN
基、または、炭素原子数1〜18の直鎖状または、分岐
状または、環状のアルキル基であり、該アルキル基中の
1つ、もしくは2つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が
隣接しない条件で−O−、−S−、−CO−、−CHW
−、−CH=CH−、−C≡C−によって置き換えられ
ていてもよく、Wは、ハロゲン、CN、CF3 を示す。
また、R13、R14は光学活性であっても良い。)
【0117】
【化43】 (式中、R15,R16は、水素原子、ハロゲン、CN基、
または、炭素原子数1〜18の直鎖状または、分岐状ま
たは、環状のアルキル基であり、該アルキル基中の1
つ、もしくは2つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣
接しない条件で−O−、−S−、−CO−、−CHW
−、−CH=CH−、−C≡C−によって置き換えられ
ていてもよく、Wは、ハロゲン、CN、CF3 を示す。
また、R15、R16は光学活性であっても良い。) 以下に(D)〜(G)の化合物の本発明で使用され得る
より好ましい化合物例を下記に示す。
【0118】(D)の化合物のより好ましい化合物例
【0119】
【化44】
【0120】(E)の化合物のより好ましい化合物例
【0121】
【化45】
【0122】(F)の化合物のより好ましい化合物例
【0123】
【化46】
【0124】(G)の化合物のより好ましい化合物例
【0125】
【化47】
【0126】R、R′は、水素原子、ハロゲン、CN
基、または、炭素原子数1〜18の直鎖状または、分岐
状または、環状のアルキル基であり、該アルキル基中の
1つ、もしくは2つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が
隣接しない条件で−O−、−S−、−CO−、−CHW
−、−CH=CH−、−C≡C−によって置き換えられ
ていてもよく、Wは、ハロゲン、CN、CF3 を示す。
また、R、R′は光学活性であっても良い。X6は、上
述したものと同じである。
【0127】上記の一般式(D)〜(H)の液晶性化合
物の液晶組成物中における含有量は、30重量%以上、
好ましくは50〜90重量%に設定することが望まし
い。
【0128】以下、図2を参照して本発明の液晶組成物
を用い強誘電性を利用した液晶素子の構成を説明する。
同図は、本発明のカイラルスメクチック液晶層を有する
液晶素子の一例を示す断面概略図である。同図において
符号1はカイラルスメクチック液晶層、2はガラス基
板、3は透明電極、4は配向層、5はシール材、6はリ
ード線、7は電源、8は偏光板、9は光源、10はスペ
ーサーを示している。
【0129】2枚のガラス基板2は、それぞれIn2
3 、SnO2 あるいはITO(インジウム ティン オ
キサイド;Indium−Tin Oxside)等の
薄膜から成る透明電極3が被覆されている。その上にポ
リイミドの様な高分子の薄膜をガーゼやアセテート植毛
布等でラビングして、液晶をラビング方向に並べる配向
制御層4が形成されている。また、該層を形成する絶縁
物質として、例えばシリコン窒化物,水素を含有するシ
リコン炭化物,シリコン酸化物,硼素窒化合物,水素を
含有する硼素窒化物,セリウム酸化物,アルミニウム酸
化物,ジルコニウム酸化物,チタン酸化物やフッ化マグ
ネシウムなどの無機物質、ポリビニルアルコール,ポリ
イミド,ポリアミドイミド,ポリエステルイミド,ポリ
パラキシレン,ポリエステル,ポリカーボネート,ポリ
ビニルアセタール,ポリ塩化ビニル,ポリ酢酸ビニル,
ポリアミド,ポリスチレン,セルロース樹脂,メラミン
樹脂,ユリヤ樹脂,アクリル樹脂やフォトレジスト樹脂
などの有機物質を用いることができる。この場合、2層
で配向制御層が形成されてもよく、また無機物質絶縁性
配向制御層あるいは有機物質絶縁性配向制御層単層であ
っても良い。この配向制御層4が無機系材料ならば蒸着
法などで形成でき、有機系材料ならば有機物質を溶解さ
せた溶液、またはその前駆体溶液(溶剤に0.1〜20
重量%、好ましくは0.2〜10重量%)を用いて、ス
ピナー塗布法、浸漬塗布法、スクリーン印刷法、スプレ
ー塗布法、ロール塗布法等で塗布し、所定の硬化条件下
(例えば加熱下)で硬化させ形成させることができる。
【0130】配向制御層4の層厚は通常30Å〜1μ
m、好ましくは40Å〜3000Å、さらに好ましくは
40Å〜1000Åが適している。
【0131】この2枚のガラス基板2はシール材5、ス
ペーサー10によって任意の間隔に保たれている。例え
ば所定の直径を持つシリカビーズ,アルミナビーズをス
ペーサーとしてガラス基板2枚で挟持し、周囲をシール
材、例えばエポキシ系接着剤を用いて密封する方法があ
る。その他スペーサーとして高分子フィルムやガラスフ
ァイバーを使用しても良い。この2枚のガラス基板2の
間に強誘電性を示す液晶が封入されている。
【0132】かかる液晶が封入されたカイラルスメクチ
ック液晶相1の厚さは、一般には0.5〜20μm、好
ましくは1〜5μmである。
【0133】また、この液晶は、室温を含む広い温度域
(特に低温側)でSmC* 相(カイラルスメクチックC
相)を有し、かつ素子とした場合には駆動電圧マージン
及び駆動温度マージンが広いことが望まれる。
【0134】また、特に素子とした場合に、良好な均一
配向性を示し、モノドメイン状態を得るには、その強誘
電性液晶は、等方相からCh相(コレステリック相)−
SmA(スメクチック相)−SmC* (カイラルスメク
チックC相)という相転移系列を有していることが望ま
しい。
【0135】透明電極3からはリード線によって外部電
源7に接続されている。また、ガラス基板2の外側には
偏光板8が貼り合わせてあり、裏面側の偏光板8の後方
には、必要に応じて光源9が設けられている。尚、本発
明の液晶素子では、素子構成の条件、例えば、基板間の
ギャップ、配向制御層の材質、ラビング処理条件等、更
に封入する液晶材料(前述したような液晶組成物から選
択される材料)の組み合わせを調整し、液晶層における
配向状態が前記(2)、(3)、(4)の式を満たすよ
うに設定することにより、特にコントラストをはじめと
する特性がより向上され得る。
【0136】以下に、図2に示す液晶素子の更に具体的
な例をその作製プロセスに沿って説明する。
【0137】一対の基板2用として2枚の1.1mm厚
のガラス板を用意し、それぞれのガラス板上にサイドメ
タル(モリブデン)付きのITO(インジュウム・ティ
ン・オキサイド)の透明ストライプ電極3を形成し、そ
の上に透明誘電体膜(図示せず)として酸化タンタル
を、1500Å厚にスパッタ法により製膜した。
【0138】この酸化タンタル膜上にLQ−1802
(日立化成(株)製)やLP−64(東レ(株)製)、
RN−305(日産化学(株)製)等のポリイミド前駆
体溶液のNMP溶液を印刷法により塗布し、200〜2
70℃で焼成することにより、100〜300Å厚のポ
リイミド配向制御膜4を形成した。この焼成後の被膜に
は、アセテート植毛布によるラビング処理を施した。プ
レチルト角はラビング布、回転速度、ガラス基板送り速
度の変化によるラビングの強度および各種ポリイミド配
向膜の組み合わせにより調節した。
【0139】その後、1枚の基板には、スペーサー10
としてノードソン静電散布方式により、平均粒径5.5
μmのエポキシ樹脂接着粒子(商品名:トレパール;東
レ(株)製)を分布密度50個/mm となるように
散布した。もう1枚の基板には、平均粒径1.2μmの
シリカマイクロビーズをノードソン静電散布方式で分布
密度300個/mm で散布した。次いで、シーリン
グ部材5として液状接着剤(商品名:ストラクボンド;
三井東圧化学(株)製)を6μmの膜厚で印刷塗布し
た。次いで、2枚のガラス板を左回りに0〜10°の交
差角で且つ同方向に貼り合わせ、70℃の温度下で2.
8kg/cm の圧力を5分間印加することによって
圧着し、さらに150℃の温度下で0.623kg/c
の圧力を加えながら、4時間かけて2種の接着剤
を硬化し、セルを作成した。
【0140】その後、この液晶セル内を10−4気圧ま
で減圧し、強誘電性液晶組成物を等方相で注入した。こ
の液晶セルは透明電極部3からリード線によって外部電
源7に接続されている。また、ガラス基板2の外側には
偏光板8が貼り合わせてある。透過型として、一方の偏
光板8の後方には光源9が配置されている。
【0141】本発明の液晶素子は、種々の液晶装置を構
成し得るが、更に液晶素子の駆動回路、光源を備えた表
示装置に適用されることが好ましい。本発明の液晶素子
を表示パネル部に使用し、図5及び図6に示した走査線
アドレス情報をもつ画像情報よりなるデータフォーマッ
ト及びSYNC信号による通信同期手段をとることによ
り、液晶表示装置を実現する。
【0142】図中、符号はそれぞれ以下の通りである。 51 強誘電性液晶表示装置 52 グラフィックスコントローラ 53 表示パネル 54 走査線駆動回路 55 情報線駆動回路 56 デコーダ 57 走査信号発生回路 58 シフトレジスタ 59 ラインメモリ 510 情報信号発生回路 511 駆動制御回路 512 GCPU 513 ホストCPU 514 VRAM
【0143】画像情報の発生は、本体装置側のグラフィ
ックスコントローラ52にて行なわれ、図5及び図6に
示した信号転送手段にしたがって表示パネル53に転送
される。グラフィックスコントローラ52は、CPU
(中央演算処理装置、以下GCPU512と略す)及び
VRAM(画像情報格納用メモリ)514を核に、ホス
トCPU513と液晶表示装置51間の画像情報の管理
や通信をつかさどっており、本発明で用いる制御方法は
主にこのグラフィックスコントローラ52上で実現され
るものである。尚、表示パネルの裏面には光源が配置さ
れている(図示せず)。
【0144】カイラルスメクチック液晶を用いた液晶素
子をディスプレーパネルとして実際に使用する場合、上
記の様な装置上で上下基板にマトリックス状に配置した
走査電極と情報電極とを介して上下基板間に電界が印加
されるが、実際に画像表示を行うときには、例えば図7
に示される様な波形の電界が印加される。図7におい
て、S ,SN+1 などは操作電極に印加する電界
波形、Iは情報電極に印加する電界波形である。
【0145】
【実施例】以下、本発明を実施例に沿って更に詳細に説
明する。尚、これら実施例は、本発明の理解を容易にす
る目的でなされたものであり本発明を限定するものでは
ない。
【0146】これら例において(特に下記例1〜2
0)、液晶組成物は素子に適用して評価するが、用いる
液晶素子は前述したようなプロセスによって形成され、
図2に示す如き構造を有する。
【0147】なお、液晶組成物を用いた液晶素子におけ
る応答速度τ、コーン角Θ、見かけのチルト角θa 、液
晶層の傾斜角δ、液晶組成物のスメクチック相における
層間隔d、プレチルト角α、他の諸特性は以下のように
して測定する。
【0148】応答速度τの測定 ±10.0V、5.0Hzの矩形波を前述の液晶素子に
印加しながら直交ニコル下での光学反応(透過光量0〜
90%)をフォトマル(浜松フォトニクス(株)製)で
検知して測定した。
【0149】コーン角Θの測定 まず±30〜±50V、100HzのAC(交流)を液
晶素子の上下基板間に電極を介して印加しながら直交ク
ロスニコル下、その間に配置された液晶素子を偏光板と
平行に回転させると同時に、フォトマル(浜松フォトニ
クス(株)製)で光学応答を検知しながら、第1の消光
位(透過率が最も低くなる位置)および第2の消光位を
求める。そして、このときの第1の消光位から第2の消
光位までの角度の1/2をコーン角Θとする。
【0150】見かけのチルト角θa の測定 まず、液晶のしきい値の単発パルスを印加した後、無電
界下、かつ直交クロスニコル下において、その間に配置
された液晶素子を偏光板と平行に回転させ、第1の消光
位を求める。次に、上記の単発パルスと逆極性のパルス
を印加した後、無電界下、第2の消光位を求める。この
ときの第1の消光位から第2の消光位までの角度の1/
2をみかけのチルト角θa とする。
【0151】液晶の層の傾斜角δおよび層間隔dの測定 基本的にはクラークやラガーウオルによって行われた方
法(「Japan Display」’86,Sep.
30〜Oct.2、1986.456〜458)、ある
いは大内らの方法(「J.J.A.P.」、27(5)
(1988)725〜728)と同様の方法により測定
した。測定装置は図8に示すような回転陰極方式X線発
生部を有するX線回折装置(MACサイエンス製)に自
動温度制御装置を装着したものを用い、液晶セルは熱容
量を小さくし、ガラス基板へのX線の吸収を低減させる
ため、基板にはコーニング社製マイクロシート804
(80μm厚)を用いた。
【0152】層間隔dは試料としてバルク液晶801を
ガラス基板に5mm角で表面が平滑になるように塗布し
たものを用い、通常の粉末X線回折法(X線源802、
カウンター103)により得られたピークをブラッグ
(Bragg)の回折条件式に当てはめて求めた。
【0153】測定温度は、回折面の平滑性を増すために
各々の液晶組成物が等方性液体状態になる温度にした後
に3℃、変移点近傍では1℃毎に温度を降下させて、回
折ピークが得られなくなる温度まで測定を行った。実験
に用いた自動温度制御装置は、各温度で約±0.3℃の
制御精度を示した。
【0154】測定は、出力45kV−100mAで銅の
Kα線(1.54050Å)を分析線、スリットはD
S;0.05mm,SS;0.05mm,RS;0.0
5mmとし、スキャン速度は3deg./minで行っ
た。
【0155】傾斜角δは80μm厚ガラスを基板とし同
ガラスをスペーサーとして80μmギヤップのセルを形
成し、電磁石中で基板に平行方向に磁場を印加しながら
Iso相から徐冷し、水平配向処理を施したセルを用意
し、これに前記層間隔dを得た回折角2θにX線検出器
を合わせ、θ軸走査を行い、前記文献に示された方法で
算出した。なお、この測定方法による層の傾斜角δの値
は、セル厚依存性をほぼ排除した液晶組成物固有のもの
である。
【0156】また、80μm磁場配向セルの代わりに、
先述のLP−64やSP−710,SP−510(とも
に東レ(株)製)を配向膜とし、ラビング処理を施した
セル厚1.2μmのセルを用いても、約20℃〜60℃
の温度範囲においてほぼ同じδの値を得ることができ
る。
【0157】プレチルト角αの測定方法 プレチルト角の測定は、クリスタルローテーション法
(Jpa.J.Appl.Phys.Vo.119(1
980).NO.Short Notes 2031)
により求めた。また、プレチルト角の測定用液晶として
は強誘電性液晶(チッソ社製CS−1014)に下記の
構造式で示される化合物を重量比で20%混合したもの
を標準液晶として注入して測定した。
【0158】
【化48】 なおこの混合した液晶組成物は10〜55℃でSmA相
を示した。
【0159】測定手順は、液晶パネルを上下基板に垂直
かつ配向処理軸(ラビング軸)を含む面で回転させなが
ら、回転軸と45°の角度をなす偏向面を持つヘリウム
・ネオンレーザ光を回転軸に垂直な方向から照射して、
その反射側で入射偏向面と平行な透過軸を持つ偏向板を
通してフォトダイオードで透過光強度を測定した。そし
て、干渉によってできた透過光強度のスペクトルに対
し、理論曲線、下記(12)、(13)とフィツティン
グを行うシュミレーションによりプレチルト角αを求め
た。
【0160】
【数25】
【0161】No:常光屈折率 Ne:異常光屈折率
φ:液晶パネルの回転角 T(φ):透過光強度 d:セル厚 λ:入射
光の波長
【0162】
【数26】
【0163】コントラストC/Rの測定 直交ニコル下でその間に配置された液晶素子に単発パル
スを印加し液晶を一方の安定状態にし、偏光板と水平に
回転させながら前述したフォトマルで第一の消光位を捜
し、液晶素子をその位置で固定する。次に逆極性の単発
パルスを印加し、もう一方の安定状態にして観察してい
た箇所が明状態になるように書き換えて、そのときのフ
ォトマルの出力電圧と消光位での出力電圧の比をコント
ラストとした。
【0164】駆動マージンMの測定 まず図7の駆動波形を直交ニコル下に配置した液晶素子
の上下基板に印加し、印加パルス波形の長さTを変化さ
せながら暗状態と明状態をそれぞれ書き込み、それぞれ
の状態が正常な配向状態にある駆動波形の長さTの範囲
を測定する。明・暗それぞれの状態を書き込める駆動波
形の長さTの範囲が図9の様になった場合、駆動マージ
ンMは
【0165】
【数27】 で定義される。駆動マージンMは明・暗それぞれ書き込
めるTの範囲が多く重なれば重なるほど大きな値をと
る。
【0166】相転移温度の測定法 各液晶組成物の相転移温度は、DSCによる測定並びに
セルに組成物を注入して顕微鏡観察により求めた。以下
の例1〜20にて用いた本発明の液晶組成物A〜K、他
の液晶組成物CS−1017(市販品、チッソ社製)、
ZLI−3233(市販品、Merck社製)の相転移
温度(℃、降温下)、SmA相の温度範囲幅、スメクチ
ック相の層間隔dの温度特性の形態を表7に示す。層間
隔dの温度特性(温度依存性)については図10〜12
の線図にも示す。
【0167】
【表7】
【0168】層間隔の温度特性の形態I〜Vは以下のよ
うに分類した。 I;SmC* 相において層間隔dが降温下で減少し、そ
の後増加し極小値dmin を有する。 II;SmC* 相において層間隔dが降温下で減少し、
極小値dmin を持たない。 III;SmA相において層間隔dが降温下で増加す
る。 IV;SmA相において層間隔dが一定である。 V;SmA相において層間隔dが降温下で減少する。
【0169】液晶組成物A〜Hは、フェニルピリミジン
系液晶を主成分とした組成物である。液晶組成物I,
J,Kの組成は下記のとおりである。液晶組成物I
【0170】
【化49】
【0171】
【化50】
【0172】液晶組成物J
【0173】
【化51】
【0174】
【化52】
【0175】液晶組成物K
【0176】
【化53】
【0177】
【化54】
【0178】例1〜5 ここでは、降温下でSmC* 相における層間隔の温度特
性が極小値(第二の変移点)を有する液晶組成物と極小
値を持たない液晶組成物の応答速度の温度依存性を比較
した。その結果を表8に示す。
【0179】これら例の液晶素子の配向制御層にはLQ
−1802を用い、セルのプレチルト角αは約17°、
ラビングの交差角度は8°、セルギャップは1.2μm
である。
【0180】
【表8】
【0181】以上の結果よりSmC* 相の層間隔の温度
特性が極小値(第二の変移点)を持たない液晶組成物C
S−1017,ZLI−3233の応答速度の温度特性
10/50 (10℃と50℃の応答速度の比)は液晶素子
のディスプレーとしての環境温度範囲10〜50℃にお
いて15倍以上もあるが、層間隔の温度特性がSmC
相において極小値(第二の変移点)を有する液晶組成
物A,DおよびFの応答速度の温度特性は3〜4倍程度
と応答速度の温度依存性の改善がなされている。
【0182】例6〜11 ここでは、降温下でSmC* 相における層間隔の温度特
性が極小値(第二の変移点)を持ち、さらにSmA相に
おける層間隔の温度特性が降温下で増加または一定な液
晶組成物と降温下で減少する液晶組成物のSmC* 相か
らSmA相へ相転移温度をまたがって温度上昇させた前
後のコントラスト変化を比較した。その結果を表9に示
す。
【0183】各液晶素子は、各々室温から1℃/分の割
合でSmC* 相からSmAへの相転移点からプラス5℃
の温度まで加熱し、10時間その温度を保持した後、再
び1℃/分の割合で室温まで冷却し、その前後で30℃
におけるコントラストを測定した。
【0184】液晶素子の配向制御層にはLQ−1802
を用い、セルのプレチルト角αは約19°、ラビングの
交差角度は6°、セルギャップは1.1μmである。
【0185】
【表9】
【0186】以上の結果より、降温下でSmC* 相の層
間隔の温度特性が極小値(第二の変移点)を持ち、さら
にSmA相での層間隔の温度特性が降温下で増加または
一定な液晶組成物A,C,DおよびFは、降温下で減少
する液晶組成物B,Eと比較してSmC* 相からSmA
相へ相転移温度をまたがって温度上昇させた前後のコン
トラスト変化が極めて少なく、相転移温度をまたがる温
度上昇による配向変化が低減され、高温保存下でもより
安定した特性(特に表示特性)を示すことが推察でき
る。
【0187】例12〜17 ここでは、降温下でSmC* 相の層間隔の温度特性が極
小値(第二の変移点)を有する液晶組成物のうち、Sm
A相からSmC* 相への転移点近傍での層間隔の不連続
的な変移点(第一の変移点)における層間隔dAとSm
* 相における層間隔の極小値(第二の変移点)dmin
の関係が
【0188】
【数28】 を満たす液晶組成物と満たさない液晶組成物の駆動マー
ジンを比較した。その結果を表10に示す。
【0189】液晶素子の配向制御層にはLQ−1802
を用い、セルのプレチルト角αは約16°、ラビングの
交差角度は8°、セルギャップは1.2μmである。ま
た駆動マージン測定時はVop=15Vの駆動波形を使用
した。
【0190】
【表10】
【0191】以上の結果より、SmC相の層間隔の温
度特性が極小値(第二の変移点)を有する液晶組成物の
うち、SmA相からSmC相への相転移点近傍での層
間隔の不連続的な変移点(第一の変移点)における層間
隔dとSmC相の第二の変移点における層間隔d
minの関係が式(8)を満たす液晶組成物A、Dおよ
びFは液晶素子のディスプレーとしての環境温度範囲の
10〜50℃で十分な駆動マージンが得られているが、
式(12)の関係を満たしていないC、GおよびHはよ
り狭い温度範囲にしか駆動マージンは存在せず、その値
も小さいものとなっている。
【0192】例18〜20 ここでは、液晶組成物中に、インダン化合物とキノキサ
リン化合物を含む組成物の応答速度の温度依存性を検討
した。その結果を表11に示す。液晶素子の配向制御層
にはLQ−1802を用い、セルのプレチルト角は約1
8°、ラビングの交差角度は8°、セルギャップは1.
2μmとした。
【0193】
【表11】
【0194】以上の結果より、液晶組成物の層間隔の温
度特性が、Iのタイプである液晶組成物Iは、そうでは
ない前出の例4、5と比較して、遥かに応答速度の温度
特性が軽減されている。
【0195】また、液晶組成物中にインダン化合物と、
キノキサリン化合物を含む液晶組成物J、Kも層間隔の
温度特性がIタイプとなっており、応答速度の温度特性
がより軽減されている。ここではJ、Kの2種だけを示
したが、他にもインダン化合物と、キノキサリン化合物
を含む液晶組成物には、本発明に相当する特性を示す組
成物として好適である。
【0196】下記例21〜44にて用いた液晶組成物の
L〜Vの相転移温度(℃、降温下)を表12に、スメク
チック相の層間隔dの温度特性形態を前記第一の変移点
における層間隔d、第二の変移点における層間隔d
min、第三の変移点における層間隔dmax 、第三
の変移点を示した温度以下でSmC 相の次の低温相
に移る温度範囲内での層間隔の最小値d として、d
min /d 、dmax /d 、d /d
の値を表13に示す。各組成物の層間隔dの温度依存
性を図13〜16に示す。
【0197】
【表12】
【0198】
【表6】
【0199】液晶組成物L〜Vはいずれも液晶素子中で
は−25℃でも結晶化は起こらなかった。
【0200】層間隔dの温度特性のタイプは以下のよう
に分類した。 VI:スメクチック相の層間隔dが温度の降下にともな
いSmA相からSmC* 相への転移近傍において急激に
減少する点(第一の変移点)を有する有しないにかかわ
らずに、ほぼ単調減少する液晶組成物(通常の温度特性
を有する)。
【0201】VII:層間隔dが温度の降下にともない
SmA相とSmC* 相の近傍において第一の変移点を有
した後、更なる温度の降下により再び増加する極小値
(第二の変移点)を持つ液晶組成物。
【0202】VIII:層間隔dが温度の降下にともな
い第一、第二の変移点を有した後、更なる温度の降下に
ともない再び減少する極大値(第三の変移点)を有し、
しかも第三の変移点を示した温度からSmC* 相の次の
低温相に移る温度範囲内での層間隔dの最小値dc と、
第一の変移点における層間隔dA の間に下記の関係がな
り立つ液晶組成物。
【0203】
【数29】
【0204】IX:VIIIで示される層間隔の温度特
性を有し、かつdA とdmax の間に下記の(VII)の
関係が成り立つ液晶組成物。
【0205】
【数30】
【0206】液晶組成物L、N、P、Q、R、Sはフェ
ニルピリミジン系液晶を主成分とした液晶である。
【0207】液晶組成物M、O、T、U、Vの組成を以
下に示す。 液晶組成物M
【0208】
【化55】
【0209】
【化56】
【0210】液晶組成物O
【0211】
【化57】
【0212】
【化58】
【0213】液晶組成物T
【0214】
【化59】
【0215】
【化60】
【0216】液晶組成物U
【0217】
【化61】
【0218】
【化62】
【0219】液晶組成物V
【0220】
【化63】
【0221】
【化64】
【0222】例21〜27 ここではタイプIの“スメクチック相の層間隔dが温度
の降下にともないSmA相とSmC* の近傍において第
一の変移点を有した後(あるいは屈曲点を示さずに)、
単調減少する液晶組成物”として、チッソ社製・強誘電
性液晶CS−1017、メルク(Merck)社製・強
誘電性液晶ZLI−3233を用い、タイプVII及び
IXの“層間隔dが温度の降下にともないSmA相とS
mC* の近傍において第一の変移点を有した後、更なる
温度の降下により再び増加する極小値(第二の変移点)
を持つ液晶組成物”として、液晶組成物L〜Rの応答速
度の温度依存性を比較する。
【0223】かかる例で用いる液晶素子については、例
1〜20同様に図2に示す構造と同様であり、以下に示
す方法で作成する。即ち、2枚の0.7mm厚のガラス
板にITOの膜を形成し、更にその上に絶縁層を形成す
る。次にガラス基板上にポリイミド樹脂前駆体をスピン
ナーで塗布成膜後、焼成処理を施し、アセテート植毛布
でラビング処理をし、セル厚が約1.5μmになるよう
にガラス基板を貼り合わせた。このセルに前述の各液晶
組成物を等方相状態あるいはコレステリック相状態で注
入し、室温まで徐冷し、液晶素子とした。
【0224】応答速度についても、例1〜5と同様の方
法で測定を行うが、温度特性(f10/40)については、
10℃と40℃での応答速度の比として評価した。結果
を表14に示す。その値が少ない程応答速度の温度依存
性が良いことを示す。
【0225】
【表14】
【0226】以上の結果より、“層間隔dが温度の降下
にともないSmA相とSmC* の近傍において第一の変
移点を有した後、更なる温度の降下により再び増加する
極小値(第二の変移点)を持つ液晶組成物”は、スメク
チック相の層間隔dが温度の降下にともないSmA相と
SmC* の近傍において第一の変移点を有した後(ある
いは屈曲点を示さず)単調減少する液晶組成物”よりも
応答速度の温度依存性が改善されている。
【0227】例28〜33 ここでは、低温保存による配向状態、及び応答速度の変
化に関しての検討を行った。ここで用いる液晶素子につ
いても、図4に示す構造と略同様であり、前述した例1
〜20における方法に準じて具体的に以下のようにして
作成し、更に表示装置を作成した。
【0228】一対の基板用として2枚の1.1mm厚の
ガラス板を用意し、それぞれのガラス板上にサイドメタ
ル(モリブデン)付きのITO(インジウム・ティン・
オキサイド)の透明ストライプ電極を形成し、その上に
透明誘電体膜として酸化タンタルを、1500Å厚にス
パッタ法により製膜した。
【0229】この酸化タンタル膜上にポリイミド前駆体
溶液であるLQ1802(日立化成(株)製)のNMP
溶液を印刷法により塗布し、270℃で焼成することに
より、300Å厚のポリイミド配向制御膜を形成した。
この焼成後の被膜には、アセテート植毛布によるラビン
グ処理を施した。その後、1枚の基板には、ノードソン
静電散布方式により、平均粒径5.5μmのエポキシ樹
脂接着粒子(商品名:トレパール;東レ社製)を分布密
度30個/mm2 になるように塗布した。もう1枚の基
板には、平均粒径1.5μmのシリカマイクロビーズを
ノードソン静電散布方式で分布密度300個/mm2
散布した。
【0230】次いで、シリーング部材として液状接着剤
(商品名:ストラクトボンド;三井東圧社製)を6μm
の膜厚で印刷塗布した。次いで、2枚のガラス板を左回
りに8°度の交差角で且つ同方向に貼り合わせ、70℃
の温度下で2.8Kg/cm2 の圧力を5分間印加する
ことによって圧着し、さらに150℃の温度下で0.6
3Kg/cm2 の圧力を加えながら、4時間かけて2種
の接着剤を硬化し、セルを作製した。
【0231】その後、この液晶セル内を10Paまで減
圧し、液晶組成物L〜Qを加熱し、ISO相状態で注入
した。このようにして作製した液晶素子を表示パネル部
に使用し、画面サイズ横(情報線側)約280mm、縦
(走査線側)220mm、画素数1280×1024の
液晶表示装置を作製した。
【0232】また、低温保存試験は、上記に示した液晶
素子を大型恒温槽内で、パネル面内がほぼ均一になるよ
うに温度を制御しながら、室温から1℃/分の速度で−
25℃まで冷却し5時間放置した後に、昇温レートを3
℃/分の速度で室温まで昇温し、配向状態、応答速度を
低温保存する前後で比較した。
【0233】実験結果を表15に示す。
【0234】
【表15】
【0235】表15に示すように、層間隔dの温度特性
のタイプがVIIである液晶組成物においては、低温保
存によりθa が減少しコントラストが低下したり、応答
速度が変化するなどの表示特性の悪化が見られた。一
方、層間隔の温度特性のタイプVIIIまたは、IXの
液晶組成物においては5時間程度の低温保存では何の変
化も認められなかった。
【0236】即ち、層間隔の温度特性に関して第一及び
第二の変移点に加えて第三の変移点を有する液晶組成物
が低温保存後の特性に関しても安定化がなされているこ
とが示唆される。
【0237】例34〜40 ここでは、低温保存の温度を変えて、応答速度、及び配
向状態の変化に関する検討を行った。実験に用いた液晶
組成物は、前述の層間隔dの温度特性がVII,VII
IまたはIXのタイプのもので、低温保存試験は、上記
に示した液晶表示素子を大型恒温槽内で、パネル面内が
ほぼ均一になるように温度を制御しながら、室温から1
℃/分の速度で−10℃、あるいは−25℃まで冷却し
120時間放置した後に、昇温レート3℃/分、3℃/
時の速度で室温まで昇温し、応答速度、配向状態を低温
保存する前後で比較した。
【0238】実験結果を表16に示す。
【0239】
【表16】
【0240】表13に示したように、層間隔dの温度特
性がIXのタイプのものではどのような条件のもとでも
低温保存による配向状態の変化は一切無かった。またV
IIIのものでも、液晶組成物Nのように層間隔dの値
がdA 以上にならない温度範囲(−10℃)での低温保
存では、配向状態及び応答速度に変化は現れなかった。
【0241】一方、dの値がdA 以上になる温度範囲で
は、θa の減少などの悪化が見られる場合があるが、例
えば、液晶組成物Oの−25℃保存の昇温速度が非常に
早い場合には、表示特性に特に変化が見られない場合も
あった。このように低温保存試験においては、保存する
温度、時間、レートなどが複雑に絡み合っており保存温
度だけで結果が左右されるものではないことを考慮する
必要がある。
【0242】以上の実施例を示したが、これら以外にも
数多くの液晶組成物に関して、応答速度の温度依存性、
低温保存による配向状態の変化に関する検討を行った結
果、dc /dA の値が1.003以下であれば5時間程
度の短時間の低温保存には耐えられ、またdmax /dA
の値が1.003以下であれば、低温保存による異常の
発生を防ぐことができ、逆にその値が0.993よりも
小さくなると、低温での応答速度の遅れが生じ、広い温
度範囲で大画面全体への均一な画像の表示が困難となり
易いことも分かった。
【0243】従って、液晶装置としての製品が、航空輸
送あるいは倉庫での保管中に極低温におかれる可能性が
あり、しかもその温度及び常温に戻るまでの時間が未知
であることなどを考え合わせると、液晶組成物のスメク
チック相における層間隔の温度特性が、タイブIXの様
になっていること、即ちdmax、dAが式(11)を満た
すことが好ましいことは明らかである。
【0244】例41〜44 ここでは液晶組成物中にインダン化合物と、クマラン化
合物が同時に含有されることによって、より低温保存性
に優れた液晶組成物が得られやすいことを示す。
【0245】液晶組成物Mはインダン化合物も、クマラ
ン化合物も含まない液晶組成物である。一方、液晶組成
物Tはインダン化合物を17%、Uはインダン化合物を
17%とクマラン化合物を6%、Vはインダン化合物を
17%とクマラン化合物を2種類5%含有している。こ
こで、各々の液晶組成物の層間隔の低温における温度特
性を先に示したタイプで分類すると、MはVII、Tは
VIII、UとVはIXとなっており、インダン化合物
とクマラン化合物を同時に含有することによって低温保
存性に強いタイプになっていることが推定される。表1
7に各々の液晶組成物の低温保存試験を実施した結果を
示す。なお、実験方法は、例34〜40と同じである。
【0246】
【表17】 先と同様に、層間隔dの温度特性がタイプIXをとる組
成物では、低温保存による、表示特性の変化は認められ
ない。
【0247】よって、前述したように層間隔の温度特性
に関して前記第一及び第二の変移点に加えて、第三の変
移点を有する液晶組成物は低温保存後においても特性の
安定化がなされていることがわかる。
【0248】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の液晶組成
物は、液晶素子に適用され、特にディスプレイとしての
使用温度範囲において、応答速度をはじめとする特性の
温度依存性が向上し、十分な駆動マージンが確保される
ことをはじめ、諸特性が改善される。かかる組成物にお
いて、特にSmA相におけるスメクチック相の層間隔d
の温度特性を調整することによって高温下において駆動
特性の変化が低減され、高温保存後においても優れた高
いコントラストが得られる。またSmC* 相における層
間隔dの温度特性を更に調整することで低温下における
特性が改善され、低温保存後においても配向状態が極め
て安定している。よって、本発明の液晶素子並びにこれ
を用いた液晶素子によって、優れた性能を有する液晶装
置、特に優れた表示特性を有する表示装置が提供され得
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶組成物のSmC* 相における層間
隔dの温度特性の一例を示す線図である。
【図2】本発明の液晶素子の一例を示す断面図である。
【図3】C1及びC2配向におけるコーン角、プレチル
ト角及び層傾斜角間の関係を示す説明図である。
【図4】C1及びC2配向状態を示す説明図である。
【図5】本発明の液晶装置とグラフィックスコントロー
ラを示すブロック構成図である。
【図6】本発明の液晶装置とグラフィックスコントロー
ラとの間の画像情報通信タイミングチャート図である。
【図7】液晶素子における駆動マージンを測定するため
の印加電圧波形を示すタイミングチャート図である。
【図8】液晶組成物のスメクチック相における層間隔d
を測定するX線回折装置及びこれに設置された自動温度
制御装置の構成図である。
【図9】液晶素子における駆動マージンの説明図であ
る。
【図10】本発明の実施例で用いる液晶組成物のスメク
チック相における層間隔の温度特性を示す線図である。
【図11】本発明の実施例で用いる液晶組成物のスメク
チック相における層間隔の温度特性を示す線図である。
【図12】本発明の実施例で用いる液晶組成物のスメク
チック相における層間隔の温度特性を示す線図である。
【図13】本発明の実施例で用いる液晶組成物のスメク
チック相における層間隔の温度特性を示す線図である。
【図14】本発明の実施例で用いる液晶組成物のスメク
チック相における層間隔の温度特性を示す線図である。
【図15】本発明の実施例で用いる液晶組成物のスメク
チック相における層間隔の温度特性を示す線図である。
【図16】本発明の実施例で用いる液晶組成物のスメク
チック相における層間隔の温度特性を示す線図である。
【符号の説明】
1 液晶層 2 基板 3 透明電極 4 配向制御層 5 シール材 6 リード線 7 電源 8 偏光板 9 光源 10 スペーサー 21 液晶層 22 C1配向 23 C2配向 24a,24b 基板面 A ラビング方向 31 コーン 51 強誘電性液晶表示装置 52 グラフィックスコントローラ 53 表示パネル 54 走査線駆動回路 55 情報線駆動回路 56 デコーダ 57 走査信号発生回路 58 シフトレジスタ 59 ラインメモリ 510 情報信号発生回路 511 駆動制御回路 512 GCPU 513 ホストCPU 514 VRAM 801 バルク液晶 802 X線源 803 カウンター 804 80μm厚ガラス 805 温調用プレート 806 温度モニタ用熱電対
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/13 500 (31)優先権主張番号 特願平6−54526 (32)優先日 平6(1994)2月28日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 降温下においてSmA(スメクチック
    A)相及びSmC* (カイラルスメクチック)相を順次
    呈する液晶組成物であって、スメクチック相における層
    間隔dと液晶温度との関係が、SmA相の温度範囲にお
    いて温度降下に伴ってdが増加、一定あるいは減少し、
    SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で急激にd
    が減少する第一の変移点、及び第一の変移点を通過後S
    mC* 相の温度範囲において温度降下に伴って再度dが
    増加を開始する第二の変移点を有する液晶組成物。
  2. 【請求項2】 降温下において、等方相(Iso相)、
    コレステリック相(Ch相)、スメクチック相(SmA
    相)、カイラルスメクチック相(SmC* 相)の順で相
    転移することを特徴とする請求項1記載の液晶組成物。
  3. 【請求項3】 SmA相の温度範囲幅が20℃以上であ
    ることを特徴とする請求項1記載の液晶組成物。
  4. 【請求項4】 前記第一の変移点における層間隔dA
    び前記第二の変移点における層間隔dmin が下記式の関
    係を満たす請求項1記載の液晶組成物。 【数1】 但し、SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で、
    層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続に変化
    しない場合、SmA相からSmC* 相に転移する相転移
    温度における層間隔をdA とする。
  5. 【請求項5】 SmC* 相における前記第二の変移点を
    示す温度が20〜50℃の範囲にある請求項1記載の液
    晶組成物。
  6. 【請求項6】 SmC* 相を示す温度範囲において、液
    晶のコーン角Θが降温下で増加し所定の極大値を示した
    後減少する請求項1記載の液晶組成物。
  7. 【請求項7】 下記一般式(A)で表される液晶性化合
    物を少なくとも一種含有する請求項1記載の液晶組成
    物。 【化1】 (式中、R 、R は炭素原子数1〜18の直鎖状
    または分岐状のアルキル基であり、X 、X は単
    結合、 【化2】 であり、A は単結合または 【化3】 のいずれかであり、A は 【化4】 のいずれかを示す。)
  8. 【請求項8】 SmA相の温度範囲において温度降下に
    伴ってdが増加あるいは一定であることを特徴とする請
    求項1記載の液晶組成物。
  9. 【請求項9】 前記第一の変移点における層間隔dA
    び前記第二の変移点における層間隔dmin が下記式の関
    係を満たす請求項8記載の液晶組成物。 【数2】 但し、SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で、
    層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続に変化
    しない場合、SmA相からSmC* 相に転移する相転移
    温度における層間隔をdA とする。
  10. 【請求項10】 下記一般式(A)で表される液晶性化
    合物を少なくとも一種、並びに下記一般式(B)で表さ
    れる液晶性化合物を少なくとも一種を含有する請求項8
    記載の液晶組成物。 【化5】 (式中、R 、Rは炭素原子数1〜18の直鎖状ま
    たは分岐状のアルキル基であり、X 、Xは単結
    合、 【化6】 であり、A は単結合または 【化7】 のいずれかであり、A は 【化8】 のいずれかを示す。) 【化9】 (式中、R 、R は炭素原子数1〜18の直鎖状
    または分岐状のアルキル基であり、X は単結合、 【化10】 であり、A は 【化11】 を示す。)
  11. 【請求項11】 一般式(A)で表される液晶性化合
    物、並びに一般式(B)で表される液晶性化合物をそれ
    ぞれ1〜30重量%含有する請求項10記載の液晶組成
    物。
  12. 【請求項12】 SmC* 相内の前記第二の変移点より
    低温側において、層間隔dが降温下で再度減少に転ずる
    第三の変移点を更に有する請求項1記載の液晶組成物。
  13. 【請求項13】 SmC* 相における前記第二の変移点
    を示す温度が20〜50℃の範囲にある請求項12記載
    の液晶組成物。
  14. 【請求項14】 SmC* 相における前記第二の変移点
    を示す温度が30〜50℃の範囲にある請求項12記載
    の液晶組成物。
  15. 【請求項15】 前記第一の変移点における層間隔dA
    及び前記第二の変移点における層間隔dmin が下記式の
    関係を満たす請求項12記載の液晶組成物。 【数3】 但し、SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で、
    層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続に変化
    しない場合、SmA相からSmC* 相に転移する相転移
    温度における層間隔をdA とする。
  16. 【請求項16】 前記第一の変移点における層間隔dA
    及び前記第二の変移点における層間隔dmin が下記式の
    関係を満たす請求項12記載の液晶組成物。 【数4】 但し、SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で、
    層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続に変化
    しない場合、SmA相からSmC* 相に転移する相転移
    温度における層間隔をdA とする。
  17. 【請求項17】 SmC* 相において、前記第三の変移
    点を示す温度以下で、次の低温側の相に移る温度範囲内
    での層間隔の最小値dと、前記第一の変移点における
    層間隔dA とが下記式の関係を満たす請求項12記載の
    液晶組成物。 【数5】
  18. 【請求項18】 前記第一の変移点における層間隔dA
    及び前記第二の変移点における層間隔dmin が下記式の
    関係を満たす請求項17記載の液晶組成物。 【数6】 但し、SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で、
    層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続に変化
    しない場合、SmA相からSmC* 相に転移する相転移
    温度における層間隔をdA とする。
  19. 【請求項19】 前記第一の変移点における層間隔dA
    及び前記第二の変移点における層間隔dmin が下記式の
    関係を満たす請求項17記載の液晶組成物。 【数7】 但し、SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で、
    層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続に変化
    しない場合、SmA相からSmC* 相に転移する相転移
    温度における層間隔をdA とする。
  20. 【請求項20】 前記第一の変移点における層間隔dA
    及び前記第三の変移点における層間隔dmax が下記式の
    関係を満たす請求項12記載の液晶組成物。 【数8】 但し、SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で、
    層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続に変化
    しない場合、SmA相からSmC* 相に転移する相転移
    温度における層間隔をdA とする。
  21. 【請求項21】 前記第一の変移点における層間隔dA
    及び前記第二の変移点における層間隔dmin が下記式の
    関係を満たす請求項20記載の液晶組成物。 【数9】 但し、SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で、
    層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続に変化
    しない場合、SmA相からSmC* 相に転移する相転移
    温度における層間隔をdA とする。
  22. 【請求項22】 前記第一の変移点における層間隔dA
    及び前記第二の変移点における層間隔dmin が下記式の
    関係を満たす請求項20記載の液晶組成物。 【数10】 但し、SmA相からSmC* 相に転移する温度近傍で、
    層間隔dが明確な屈曲点を持たずあるいは不連続に変化
    しない場合、SmA相からSmC* 相に転移する相転移
    温度における層間隔をdA とする。
  23. 【請求項23】 下記一般式(A)で表される液晶性化
    合物を少なくとも一種、並びに下記一般式(C)で表さ
    れる液晶性化合物を少なくとも一種を含有する請求項1
    2記載の液晶組成物。 【化12】 (式中、R 、R は炭素原子数1〜18の直鎖状
    または分岐状のアルキル基であり、X 、X は単
    結合、 【化13】 であり、A は単結合または 【化14】 のいずれかであり、A は 【化15】 のいずれかを示す。) 【化16】 (式中、R5、R6は炭素原子数1〜18の直鎖状または
    分岐状のアルキル基であり、X4、X5は単結合、 【化17】 であり、A4は単結合または 【化18】 のいずれかを示す。)
  24. 【請求項24】 一般式(A)で表される液晶性化合
    物、並びに一般式(C)で表される液晶性化合物をそれ
    ぞれ1〜30重量%含有する請求項23記載の液晶組成
    物。
  25. 【請求項25】 請求項1乃至24の何れかに記載の液
    晶組成物を一対の基板間に配置してなる液晶素子。
  26. 【請求項26】 少なくとも一方の基板上に配向制御層
    が設けられている請求項25記載の液晶素子。
  27. 【請求項27】 前記配向制御層が一軸配向処理が施さ
    れた層である請求項26記載の液晶素子。
  28. 【請求項28】 液晶分子の配列によって形成されたら
    せん構造が解除された厚みで一対の基板を配置した請求
    項25記載の液晶素子。
  29. 【請求項29】 両基板に一軸配向処理が施された配向
    制御層が設けられ、両基板における一軸配向処理の軸が
    相互に所定の角度で交差し、 液晶が、そのプレチルト角α、コーン角Θ、SmC*
    における層の傾斜角δにおいて下記式(2)及び(3)
    の関係を満たす配向状態をとることと、 【数11】Θ<α+δ (2) α>δ (3) 該配向状態における液晶が少なくとも2つの光学的安定
    状態を示し、これらの光学軸のなす角度の1/2で定義
    される見かけのチルト角θa と液晶コーン角Θが下記式
    (4)の関係を満たす請求項25記載の液晶素子。 【数12】Θ>θa >Θ/2 (4)
  30. 【請求項30】 請求項25乃至29のいずれかに記載
    の液晶素子及びその駆動回路を具備してなる液晶装置。
  31. 【請求項31】 請求項25乃至29のいずれかに記載
    の液晶素子及びその駆動回路を有する表示装置。
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