JPH07284527A - 生体用金属およびその使用法 - Google Patents

生体用金属およびその使用法

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JPH07284527A
JPH07284527A JP6103423A JP10342394A JPH07284527A JP H07284527 A JPH07284527 A JP H07284527A JP 6103423 A JP6103423 A JP 6103423A JP 10342394 A JP10342394 A JP 10342394A JP H07284527 A JPH07284527 A JP H07284527A
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metal
atomic
biomedical
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biomedical metal
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JP6103423A
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Koichi Murakami
晃一 村上
Hidemi Ukai
英実 鵜飼
Takao Hanawa
隆夫 塙
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IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体用材料として用いた場合に優れた生体親
和性を発揮する生体用金属を提供する。 【構成】 原子%で、Caおよび/またはBa:0.3
〜60%、O:10〜60%、残部Tiからなるととも
に、Ca、BaおよびTiの各元素のうちの一部は少な
くとも下記の化合物として存在する生体親和性に優れた
生体用金属。 Ca:CaO、および/またはTiCaO Ba:BaO、および/またはTiBaO Ti:TiO

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば人工骨や人工歯
根といった生体内に埋設されて使用される生体インプラ
ント用の生体用金属およびその使用法に関し、生体イン
プラントとして用いた場合に優れた生体親和性を発揮す
る生体用金属とその有効な使用法とを提供しようとする
ものである。
【0002】
【従来の技術】生体機能材料としての生体用金属は、筋
・骨格系のように、動的な荷重を受ける整形外科用材料
や歯科用補綴材としての需要が高まっており、最近、ス
テンレス鋼やCo−Cr合金等の他、優れた耐蝕性を有
することから純TiやTi合金が使用されるようになっ
てきた。
【0003】これらの生体機能材料としての生体用金属
に要求される特性の一つに、これら生体用金属を骨や歯
根の代替材として使用する場合における骨細胞との生体
親和性等の問題がある。ここで、生体親和性とは骨細胞
との“馴染み性”を意味する。そこで、従来から生体用
金属の骨細胞との生体親和性等を向上するため、骨の主
成分であるハイドロキシアパタイトCa10(PO
(OH)等を生体用金属の基材の表面に溶射法等を
用いてコーティングすることが行われてきた。
【0004】しかし、溶射は通常高温で行われるために
生体用金属にコーティングされたハイドロキシアパタイ
トが分解してしまったり、生体用金属の種類によっては
ハイドロキシアパタイトとの界面で有害物質が生成され
るという問題がある。また、生体用金属とハイドロキシ
アパタイトとの溶射界面の密着強度が低いために剥離し
てしまうという問題もある。
【0005】そこで、本発明者らは先に特開平5−23
361号公報により、有害物質の生成や剥離といった強
度上の問題がなく、骨細胞との生体親和性を向上するこ
とができる生体用金属およびその表面処理方法を提案し
た。この提案にかかる生体用金属は、Ti等の金属基材
の表面にCaとPの少なくともいずれかと金属基材の原
子とを有する1ミクロン以下の厚さの表面処理層、ある
いはCaとPの少なくともいずれかとOおよび金属基材
の原子とでなる1ミクロン以下の厚さの表面処理層を設
けたものであり、金属基材の表面を金属基材の原子と骨
の主成分とが存在する状態の表面処理層で覆うことによ
り骨細胞との生体親和性を高めている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らは
さらに鋭意検討を重ねた結果、特開平5−23361号
公報により先に提案した生体用金属は、ハイドロキシア
パタイト溶射材のように、表面処理層の剥離等は生じ
ず、また生体親和性もハイドロキシアパタイト材と同定
度に改善されるものの、よりいっそうの生体親和性の向
上を図るべきであることを認識した。
【0007】すなわち、生体用金属の生体親和性は生体
内に埋設された生体用金属の表面への生体由来リン酸カ
ルシウムCa10(PO等の生成により奏され、
よりいっそうの生体由来リン酸カルシウムの生成速度の
向上を図る必要がある。
【0008】本発明は、このような従来の技術が有する
課題を解決するためになされたものであり、生体用金属
として用いた場合に優れた生体親和性を発揮する生体用
金属およびその使用法を提供することを目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、純Tiまたは
Ti合金からなる基材の表面にCaおよび/またはBa
とOとを含有させた表面処理層を有する生体用金属を構
成し、このような生体用金属に特定の波長を有する光を
照射すると、表面処理層内に含まれるTiOの働きに
より、前記生体用金属の表面における生体由来リン酸カ
ルシウムの生成速度が大巾に上昇するために生体親和性
が顕著に改善されるという全く新規な知見に基づいてな
されたものであり、具体的には、本発明にかかる生体用
金属は、純TiまたはTi合金からなる基材の表面の一
部に、Caおよび/またはBaとOとTiとを少なくと
も含有するとともに、Caおよび/またはBaとTiそ
れぞれのうちの一部が下記の化合物として存在する表面
処理層を備えることを特徴とするものである。
【0010】ただし、 Ca:CaO、および/またはTiCaO Ba:BaO、および/またはTiBaO Ti:TiO であり、前記Caおよび/またはBaの含有量は総量で
0.3原子%以上60原子%以下であり、前記Oの含有
量は10原子%以上60原子%以下であり、前記Tiの
含有量は5原子%以上80原子%以下であり、さらにC
a+Ba+O+Ti≧30原子%であることが望まし
い。
【0011】また、本発明にかかる生体用金属の使用法
は、純TiまたはTi合金からなる基材の表面の一部
に、Caおよび/またはBaとOとを注入することによ
り、Caおよび/またはBaとOとTiとを少なくとも
含有するとともに、Caおよび/またはBaとTiそれ
ぞれのうちの一部が下記の化合物として存在する表面処
理層を形成して生体用金属とした後に、当該生体用金属
に500nm以下の波長を有する光を照射してから、前
記生体用金属を生体内に埋設することを特徴とするもの
である。
【0012】ただし、 Ca:CaO、および/またはTiCaO Ba:BaO、および/またはTiBaO Ti:TiO である。
【0013】また、本発明にかかる生体用金属の使用法
は、前記生体用金属を生体内に埋設して使用した後に前
記生体用金属に500nm以下の波長を有する光を照射
することを特徴とするものである。
【0014】
【作用】本発明にかかる生体用金属およびその使用法を
作用効果とともに詳述する。本発明にかかる生体用金属
は、基材として純TiまたはTi合金を用い、その表面
の一部に、Ca、Ba、CaおよびBaのいずれかとO
とTiとを少なくとも含有するとともに、Ca、Ba、
CaおよびBaのいずれかとTiそれぞれのうちの一部
または全部が下記の化合物として存在する表面処理層が
設けられている。
【0015】ただし、 Ca:CaO、TiCaO、または、CaOおよ
びTiCaO Ba:BaO、TiBaO、または、BaOおよ
びTiBaO Ti:TiO である。
【0016】なお、純Tiとは工業用純Tiを意味し、
Ti合金は合金元素としてCa、P、O、Fe、Al、
V、Sn、Pd等を含有する。また、表面処理層におけ
るCaは例えばイオン注入法により直接に導入されるた
め、かかる観点からは合金元素としてCaを基材に含有
させる必要性に欠けるが、生体親和性のより一層の向上
を図る観点からは含有しても構わない。Tiへの添加
は、CaはTiに対してほとんど溶解度を持たない元素
であって単独で添加してもほとんど溶解しないため、機
械的強度の維持および金属組織学的に考えて、例えばリ
ン酸カルシウムの形態で添加することができる。純Ti
またはTi合金からなる基材の製造は、例えば粉末冶金
法によって行うことができる。
【0017】表面処理層の形成手段は、先に特開平5−
23361号公報により詳細に提案した各種表面処理
法、例えば、(a)基材の表面を研磨した後、リン酸イ
オンを含む溶液中で基材を陽極とし、陰極との間に電圧
をかけ、電流を流すことによってPと基材であるTiと
がともに存在する表面処理層を形成する方法、(b)C
aおよび/またはBaとPとの組合わせのうちの一種ま
たは二種、さらにはこれらとOを組合わせたイオン注入
法やスパッタリング等による表面処理、(c)リン酸イ
オンおよび/またはカルシウムイオンの含有溶液(例え
ば、有機イオンを含まないHanks ’溶液)への浸漬法等
を用いて、純TiまたはTi合金からなる基材の表面の
一部にCaおよびBaの1種または2種とOとを析出す
ることにより、行われる。さらに、Ti、CaおよびB
aの1種または2種、さらにはOを含む各種の化合物を
粉末状とし、これらの化合物粉末を焼結することによ
り、表面のみならず内部までも前述の表面処理層と同一
組成の生体用金属として製造してもよい。
【0018】表面処理層は基材の一部に形成されて、表
面処理層を形成しない部分に生体由来リン酸カルシウム
が生成される。
【0019】このような本発明にかかる生体用金属の表
面処理層には、基材を構成するTiと自然状態での酸化
によるO、イオン注入時の温度上昇による酸化、および
注入Oとが結合したTiO(二酸化チタン)が存在す
るが、この表面処理層にBaおよびCaの1種または2
種が含有される場合には或る特定の範囲の波長を有する
光を照射されることにより、生体親和性が顕著に改善さ
れる。この理由は次のように考えられる。
【0020】すなわち、光半導体であるTiOは水溶
液中で500nm以下の波長の光(例えば紫外線)を照
射されることにより+の正孔をその表面である前述の表
面処理層に有するようになる。このような効果は、表面
処理層がCaおよびBaの1種または2種を含有するこ
とにより著しく加速され、上記の光の照射を中断した後
にもある期間だけ持続する。一方、−の電子は生体用金
属の伝導部である基材に移動するようになる。このよう
な生体用金属内における分極効果により、水溶液中のT
iO部には優先的に−イオンが、伝導部には+イオン
が集まる。ところで、生体内の水溶液中には生体から由
来するPO 2−イオンやCa2+イオンが存在するた
め、これらの生体内の水溶液中のイオンは上記効果によ
り生体用金属に引き付けられるため、最終的にCaとP
とを含むリン酸カルシウム(例えばCa10(PO
)として生体用金属の基材の表面に析出するようにな
る。このようにして、生体内に埋設された生体用金属に
おける基材の生体由来リン酸カルシウムの生成速度が大
巾に改善・向上されるため、生体用金属の生体親和性が
著しく改善されるようになる。
【0021】本発明にかかる生体用金属の表面処理層の
組成の望ましい範囲として、CaおよびBaの1種また
は2種:総量で0.3〜60原子%、O:10〜60原
子%、Ti:5〜80原子%であって、全体の70原子
%を越えない量の他の元素が存在してもよい。
【0022】すなわち、CaおよびBaの1種または2
種の含有量を、総量で0.3原子%以上60原子%以下
に限定するのが望ましいのは、0.3原子%未満である
と生体由来リン酸カルシウムの生成速度の上昇が期待で
きなくなり、一方60原子%を越えると表面TiO
が相対的に減少し、光半導体的効果が減少するからであ
る。そこで、本発明にかかる生体親和性に優れた生体用
材料では、CaおよびBaの1種または2種の含有量は
総量で0.3原子%以上60原子%以下に限定すること
が望ましい。
【0023】Oの含有量を10原子%以上60原子%以
下に限定するのが望ましいのは、10原子%未満、また
は60原子%超であると光半導体的効果が小さくなるか
らである。そこで、本発明にかかる生体用金属では、O
の含有量は10原子%以上60原子%以下に限定するこ
とが望ましい。
【0024】このTiは基材である純TiまたはTi合
金のTi原子から供給される。Tiの含有量を5原子%
以上80原子%以下に限定するのが望ましいのは5原子
%未満または80原子%超であると光半導体的性質が小
さくなるからである。そこで、本発明にかかる生体用金
属では、Tiの含有量は5原子%以上80原子%以下と
限定することが望ましい。
【0025】上記以外の含有元素は必要に応じて含有さ
れる任意含有元素であるが、前述の分極効果を強めるた
め生体用金属全体に導電性を持たせる元素(例えば金属
元素)を用いることが望ましく、これらの任意含有元素
の含有量は総量で70原子%を越えない量であること、
換言すれば、Ca+Ba+O+Ti≧30原子%である
ことが望ましい。
【0026】本発明にかかる生体用金属は、前述の構成
を有する表面処理層を形成された後、500nm以下の
波長を有する光を照射してから生体内に埋設されて使用
される。
【0027】そのため、表面処理層に含まれるTiO
の有する、生体由来リン酸カルシウムの生成速度増加作
用が増加され、生体用金属の表面における生体由来リン
酸カルシウムの生成速度が上昇するようになる。したが
って、生体親和性が顕著に改善されるようになる。
【0028】照射する光の波長が500nmを越えると
上記の生成速度増加作用が認められなくなるため、本発
明にかかる生体用金属の使用法では、照射する光の波長
を500nm以下に限定する。
【0029】なお、本発明にかかる生体用金属の表面処
理層に含まれるTiOには殺菌効果も認められるた
め、例えば手術後の患部に使用されてその使用に伴う感
染症の発生が問題とされるような生体用金属として使用
する場合には、生体用金属を生体内に埋設して使用した
後に、予め定めた周期で定期的に、または感染症の発生
に応じて、表面処理層に500nm以下の波長を有する
光を照射することが望ましい。このように一旦生体内に
埋設した後にも前記光を照射することにより生体内に埋
設した後も長期間にわたって生体親和性および殺菌作用
をともに維持することができるようになる。なお、この
ような使用法は再度光を照射するための切開手術を行う
必要性が低い歯科用インプラント材について特に好適で
ある。
【0030】
【実施例】以下に、具体的な実施例を示しながら、本発
明にかかる生体用金属およびその使用法について説明す
る。
【0031】本実施例で用いた試料は、純Ti片または
Ti合金片(Ti−50原子%Al、Ti−70原子%
AlまたはTi−90原子%Al)を基材とし、この基
材にCaイオンおよび/またはBaイオンをOとともに
基材の表面にイオン注入して表面処理層を形成すること
により、本発明にかかる生体用金属とした試料である。
【0032】この試料の作成要領について説明する。ま
ず、溶解法によって作製された基材である純Ti片また
はTi合金片をイオン注入チャンバ内に置き、この純T
i片またはTi合金片の表面にCaイオンおよびBaイ
オンの1種または2種をイオン注入法により注入した。
イオン注入法によれば、CaイオンおよびBaイオンの
1種または2種が基材表面に打ち込まれた状態となって
基材の原子と結合するため、密着性が高く従来の溶射法
により溶融材料の被膜を基材表面を覆うように形成する
場合よりも強い表面処理層を形成することができるよう
になる。なお、スパッタリング法によってCaおよび/
またはBaで形成したターゲットから飛散したCaまた
はBaを基材の表面に打ち込んで凝固させる場合にも、
同様に基材の成分との密着性が高く、高温により基材の
成分の溶出を招くことなくCaおよびBaの1種または
2種を有する表面処理層が形成される。
【0033】なお、イオン注入条件は、18KV、50
μA/cm2 で、注入量は1015〜1018個/cm2
した。
【0034】このイオン注入の際に、イオン注入チャン
バの内部に微量存在するOが純Ti片またはTi合金片
の表面にCaイオンおよびBaイオンの1種または2種
とともに注入され、あるいは表面近傍のやや温度が上昇
した部分でTiの酸化が生じるため、純Ti片またはT
i合金片の表面には、Ti、O、CaおよびBaの1種
または2種を有するとともにCa、BaおよびTiの各
元素のうちの一部は少なくとも、Ca:CaOおよび
TiCaOの1種または2種、Ba:BaOおよび
TiBaOの1種または2種、Ti:TiOの化合
物として存在する表面処理層を有する生体用金属である
試料が形成された。
【0035】ここで、注入するCaおよびBaの1種ま
たは2種の量は設定注入量により、Oの量は、イオン注
入チャンバ内の残存酸素量により、Tiおよび任意含有
元素の量は基材として用いるTi合金片の合金組成を変
更することにより、それぞれ適宜コントロールされて、
試料の基材の表面に表面処理層が形成された。
【0036】このようにして表面処理層を形成された本
発明にかかる生体用金属の試料のうちの一部について、
医療消毒用紫外線ランプにより紫外線(波長:350n
m)を30分間照射した。なお、イオン注入後の試料の
表面処理層には、TiO、TiCaOおよびTiB
aO、CaOおよびBaO、および任意含有元素
の存在が確認された。
【0037】このようにして、Ti含有量、O含有量、
さらにはCaおよびBa含有量をそれぞれ調整された多
数の試料について、Ca2+、PO 2−イオンを含む
水溶液(Hanks ’溶液)へ浸漬して37℃に3日間保持
した後、試料の表面観察を行って、試料表面に形成され
るリン酸カルシウムの生成速度を測定することにより、
各試料の生体親和性を判定した。なお、全ての試料につ
いて紫外線照射および非照射の実験を行った結果、全て
の非照射材において3日間の浸漬実験でリン酸カルシウ
ム析出は認められなかった。
【0038】表1ないし表3には、各試料(試料No.
1〜試料No.68)の基材種および表面処理層の組成
と、表面走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察して
判定した基材の表面におけるリン酸カルシウムの生成に
関する判定結果との関係をまとめて示す。なお、判定基
準はリン酸カルシウムが充分に生成したものを○、生成
したものの不十分であったものを△とした。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】表1ないし表3において、試料No.1、
2、8、9、15、16、55、60および65は請求
項2で規定した本発明の好適範囲を外れた試料であり、
その他は本発明の好適範囲に含まれる試料である。
【0043】試料No.1、2、8、9、15および1
6は、いずれも、CaおよびBa含有量が本発明の好適
範囲の下限を下回るため、リン酸カルシウムが充分には
生成されなかった。
【0044】試料No.55、60および65は、いず
れも、Ca+Ba+O+Tiが本発明の好適範囲の下限
を下回るため、リン酸カルシウムが充分には生成されな
かった。
【0045】上記以外の試料はいずれも本発明の好適範
囲内であるため、リン酸カルシウムが充分に生成した。
【0046】表1ないし表3に示した実験結果から、Ha
nks ’溶液に浸漬した後に効果的にリン酸カルシウムを
試料表面に生成させるには、O:10〜60原子%、C
aおよび/またはBa:0.3〜60原子%、残部Ti
(特に、Ti:5〜80原子%)であること、および任
意添加元素は総量で70原子%以下であること、さらに
は紫外線照射が生体親和性の向上に極めて有効であるこ
とがわかる。
【0047】また、図1(a)ないし図1(c)には、
それぞれ、比較例としてCaイオンおよびBaイオンを
注入していない純Tiからなる生体用金属を同一条件で
Hanks ’溶液に浸漬したもの、試料No.5(Caイオ
ンを注入した純Ti+紫外線30分間照射材)、試料N
o.5(Caイオンを注入した純Ti+紫外線未照射
材)について、SEMを用いて撮影した浸漬後の金属組
織写真を示す。
【0048】図1(a)から、CaイオンおよびBaイ
オンの注入を行わないと、表面にはリン酸カルシウムは
形成されない。図1(b)に示すように、イオン注入と
紫外線照射とを併せて行うと表面には白色のリン酸カル
シウムが生成され、特に図1(c)に示すように紫外線
照射を行わないとリン酸カルシウムの生成量は確認する
ことが難しいことが分かる。なお、SEMでは、X線光
電子分光分析器(XPS)を用いると、Ca注入材は純
Tiよりも優れることが分かるが、目に見える程の差は
3日間の浸漬では生じない。30日間浸漬すると、両者
の差は顕著になる。すなわち、Ca注入チタン(光非照
射材)は未処理材と比べて、30日間の浸漬試験では差
が生じるが、光照射Ca注入チタン材では3日間で差が
顕著になり、それだけリン酸カルシウム析出が加速され
たことが分かる。
【0049】
【発明の効果】本発明にかかる生体用金属は、純Tiま
たはTi合金を基材とし、この基材の表面にCaおよび
/またはBaを注入して表面処理層を設けるように構成
したため、500nm以下の波長を有する光を照射する
ことにより、表面処理層に含まれるTiOの有する前
述の分極作用を強化して、生体内における生体用金属表
面への生体由来リン酸カルシウムの生成速度を増加でき
ることとなった。そのため、本発明によれば、生体親和
性を大巾に改善できることとなった。
【0050】また、本発明にかかる生体親和性に優れた
生体用金属は、純Ti片またはTi合金片からなる基材
に表面処理層を有するため、生体用インプラントに求め
られる強度等は基材により、生体親和性は表面処理層に
よりそれぞれ確保されることになった。また、表面処理
層の形成に溶射を行う必要がないため表面処理層の強
度、密着性を充分に確保できるとともに、基材から有害
な成分が溶出してくるおそれがない。
【0051】また、本発明にかかる生体用金属の使用法
によれば、表面処理層に500nm以下の波長の光を照
射することにより、生体親和性を大巾に向上するととも
に殺菌作用をも付与できる。
【0052】さらに、本発明にかかる生体用金属の使用
法によれば、インプラントを生体内に埋設した後にも前
記光を被覆層の表面に照射することにより、長期間にわ
たって生体親和性および殺菌作用をともに維持すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における試料の金属組織写真の一例であ
り、図1(a)はCaイオンおよびBaイオンを注入し
ていない純Tiからなる生体用金属をHanks ’溶液に浸
漬したもの、図1(b)は試料No.5(Caイオンを
注入した純Ti+紫外線30分間照射材)、図1(c)
は試料No.5(Caイオンを注入した純Ti+紫外線
未照射材)について、表面走査型電子顕微鏡を用いて撮
影した浸漬後の金属組織写真を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C23C 14/48 A 8414−4K

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純TiまたはTi合金からなる基材の表
    面の一部に、Caおよび/またはBaとOとTiとを少
    なくとも含有するとともに、Caおよび/またはBaと
    Tiそれぞれのうちの一部または全部が下記の化合物と
    して存在する表面処理層を備えることを特徴とする生体
    用金属。 Ca:CaO、および/またはTiCaO Ba:BaO、および/またはTiBaO Ti:TiO
  2. 【請求項2】 前記Caおよび/またはBaの含有量は
    総量で0.3原子%以上60原子%以下であり、前記O
    の含有量は10原子%以上60原子%以下であり、前記
    Tiの含有量は5原子%以上80原子%以下であり、さ
    らにCa+Ba+O+Ti≧30原子%である請求項1
    記載の生体用金属。
  3. 【請求項3】 純TiまたはTi合金からなる基材の表
    面の一部に、Caおよび/またはBaとOとを注入する
    ことにより、Caおよび/またはBaとOとTiとを少
    なくとも含有するとともに、Caおよび/またはBaと
    Tiそれぞれのうちの一部または全部が下記の化合物と
    して存在する表面処理層を形成して生体用金属とした後
    に、当該生体用金属に500nm以下の波長を有する光
    を照射してから、前記生体用金属を生体内に埋設するこ
    とを特徴とする生体用金属の使用法。 Ca:CaO、および/またはTiCaO Ba:BaO、および/またはTiBaO Ti:TiO
  4. 【請求項4】 前記生体用金属を生体内に埋設して使用
    した後に前記生体用金属に500nm以下の波長を有す
    る光を照射することを特徴とする請求項3記載の生体用
    金属の使用法。
JP6103423A 1994-04-18 1994-04-18 生体用金属およびその使用法 Pending JPH07284527A (ja)

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