JPH07283283A - 配線故障解析方法 - Google Patents

配線故障解析方法

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JPH07283283A
JPH07283283A JP6306511A JP30651194A JPH07283283A JP H07283283 A JPH07283283 A JP H07283283A JP 6306511 A JP6306511 A JP 6306511A JP 30651194 A JP30651194 A JP 30651194A JP H07283283 A JPH07283283 A JP H07283283A
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JP
Japan
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wiring
grain boundary
analysis method
analysis
failure analysis
Prior art date
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Pending
Application number
JP6306511A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiko Hibino
栄子 日比野
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)
  • Testing Electric Properties And Detecting Electric Faults (AREA)
  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)
  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポテンシャル解析と粒界拡散の解析とを組み
合わせて行うエレクトロマイグレーションによる配線故
障の数値解析において、より実際に近い現象を再現する
ことにより、詳細な解析を可能にする。 【構成】 まず、配線形状に従って結晶粒組織の生成を
行い(step1)、有限要素法により電流密度分布を求め
る(step2)。次に、共通のメッシュを用いて得られた
電流により、発生するジュール熱を熱源として有限要素
法により温度分布を求める(step3)。形成された粒界
のネットワーク上での原子の拡散量を求め(step4)、
その結果、各3重点での原子の収支に過不足が生じるの
で、ボイドやヒロックが生じたものとみなして所定の処
理を行う(step5)。ボイドが成長して断線に至るま
で、あるいは一部の温度が融点に達して溶断したとみな
されるまで、前記step1〜step5を繰り返す(step
6)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、配線故障解析方法に関
し、より詳細には、ポテンシャル解析と結晶粒組織の粒
界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロマイグレ
ーションによる配線故障解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI(Large scale integration)の
微細化について、近年、深刻になってきている問題の一
つに、Al(アルミニウム)配線のエレクトロマイグレ
ーションによる配線故障がある。エレクトロマイグレー
ションは、金属原子と配線膜を通る電子との相互作用に
よる拡散現象の一種である。金属原子の拡散としては、
格子拡散,粒界拡散,表面拡散が考えられるが、Al配
線は、多結晶薄膜で粒界が多く、粒界に捕えられている
金属原子の活性化エネルギーも小さいので、粒界での原
子の拡散が大きな比重を有する。そのため、エレクトロ
マイグレーションと結晶粒組織とは密接な関係を有す
る。
【0003】従来、結晶粒組織を考慮したエレクトロマ
イグレーション寿命に関するコンピュータシミュレーシ
ョンについて記載した公知文献としては、以下のものが
ある。 「A New 2D Simulation Model of Electromigratio
n」(P.J.Marcoux et al., HEWLETT-PACKARD JOURNAL, J
UNE, 1989, pp.79〜84.) 「Atomistic and computer modeling of metallizati
on failure of integrated circuits by electromigrat
ion」(R.Kirchheim et al. J.Appl.Phys, 70(1), 1 Jul
y 1991, pp.172〜181)
【0004】文献のものは、有限要素法により電流密
度分布と温度分布を求め、ボロノイ分割により生成した
粒界のネットワーク上での3重点間の原子の流束を解い
てエレクトロマイグレーションによる配線故障の解析を
行っている。粒界の拡散係数は配線の内部,界面とも同
じものとして扱い、3重点での原子の収支がある値以上
になったらボイドが生じるものとし、要素の電気伝導率
を0としている。文献のものは、文献と同様の方法
であるが、ボイドやヒロックを配線の膜厚の変化として
表現している。ボイドによる膜厚変化が初期の配線の膜
厚に達したら、隣の要素の膜厚を変化させることを繰り
返すことにより、ボイドを成長させている。
【0005】先に提案した特願平5−266529号で
ある「多結晶薄膜結晶粒成長過程解析方法」は、結晶粒
の頂点と頂点とを結ぶ結晶粒界を直線で近似し、頂点の
移動のみを追跡することにより、結晶粒成長の頂点の時
間変化を数値計算でシミュレートする多結晶薄膜結晶粒
成長過程解析方法について記載されている。また、特開
平6−130114号公報である「配線故障解析方法」
は、本発明と同様のエレクトロマイグレーションによる
配線故障解析で、ポテンシャル解析のための有限要素法
の要素の形状が長方形でない場合でも解析するための方
法について記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
配線故障解析方法においては、解析の対象である結晶粒
組織として、ある平面上にボロノイ分割で生成した組織
からライン状に切り取って用いている。しかし、これで
はアニールによって生じる結晶粒径の線幅依存性やバン
ブー構造を再現するのが難しい。また、界面も内部の粒
界と同じものとして取り扱っており、実際の現象を再現
しているとはいえないし、両端に位置する3重点の処理
についても触れられていない。また、前記文献では、
3重点での原子の収支がある臨界値以上になると急にボ
イドが発生するのに対し、前記文献では、収支の大き
さに応じて徐々に発生・成長が表現できるなどの改善が
みられるが、ボイドの成長が粒界に沿って原子の流れと
は逆方向に起こる点が考慮されていない。
【0007】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たもので、(1)ポテンシャル解析と粒界拡散の解析と
を組み合わせて行うエレクトロマイグレーションによる
配線故障の数値解析において、より実際に近い現象を再
現することにより、詳細な解析を可能にすること、
(2)従来例では、実験よりも抵抗の変化率が大きく、
溶断による故障の確率が高かったので、実験に近い結果
が得られるようにし、より一層精度を高めること、
(3)従来例では、要素分割の大きさに結果が依存して
しまっていたため、妥当な結果を得るためには、要素分
割数を多くとる必要があり、解析に時間がかかっていた
ので、その依存性を軽減し、解析時間の短縮をはかり、
より一層精度を高めること、(4)実際に近い現象を考
慮した解析を可能にすること、(5)実験との比較を行
うためには、抵抗値の時間変化をモニタする必要がある
が、従来例では、その方法が明記されていないので、抵
抗値のモニタ方法を規定し、実験との対応付けを可能に
すること、(6)従来例では、配線の両端に時間によら
ず一定の電位を与えているが、実験では定電流試験を行
うので、比較ができないため、定電流試験に対応した解
析方法を規定し、実験との対応付けを可能にするように
した配線故障解析方法を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(1)少なくともポテンシャル解析と結
晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレク
トロマイグレーションによる配線故障解析方法におい
て、入力する結晶粒組織として結晶粒成長シミュレーシ
ョンの結果を用いること、更には、(2)前記結晶粒の
頂点と頂点を結ぶ結晶粒界を直線で近似し、所定時間毎
の前記頂点の移動を追跡することにより、結晶粒成長の
時間変化を数値計算でシミュレートした結果を用いるこ
と、更には、(3)前記(2)において、3重点よりも
電位の低い側に位置する粒界に沿って隣接するポテンシ
ャル解析のために行った領域分割の最小単位である要素
の抵抗を順次高めていくこと、更には、(4)前記
(3)において、3重点よりも電位の低い側に粒界が2
本以上あるとき、電流ベクトルとなす角度が小さい粒界
が属する要素から抵抗を順次高めていくこと、或いは、
(5)少なくともポテンシャル解析と結晶粒組織の粒界
での原子の拡散の解析とからなるエレクトロマイグレー
ションによる配線故障解析方法において、粒界での原子
の拡散量を求める際の電流密度の値として該粒界が属す
る要素のボイド部分を除いた線幅方向のならびにある要
素の電流密度の平均値を用いること、或いは、(6)少
なくともポテンシャル解析と結晶粒組織の粒界での原子
の拡散の解析とからなるエレクトロマイグレーションに
よる配線故障解析方法において、配線の界面における原
子の拡散係数および活性化エネルギーを配線の内部の粒
界とは異ならせること、更には、(7)前記(6)にお
いて、パッシベーション膜があるときには、配線の内部
の粒界に比べて、配線の界面では原子の拡散係数を小さ
くし、活性化エネルギーを大きくすること、更には、
(8)前記(6)において、パッシベーション膜がない
ときには、配線の内部の粒界に比べて、配線の界面では
原子の拡散係数を大きくし、活性化エネルギーを小さく
すること、或いは、(9)少なくともポテンシャル解析
と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエ
レクトロマイグレーションによる配線故障解析方法にお
いて、配線の両端に位置する3重点の原子の収支は常に
0とすること、或いは、(10)少なくともポテンシャ
ル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とから
なるエレクトロマイグレーションによる配線故障解析方
法において、前記結晶粒組織の各結晶粒の頂点の原子の
収支の大きさに応じて、頂点を形成する粒界が属する要
素の抵抗を一様に高めること、更には、(11)前記
(10)において、前記頂点よりも電流が低い側に位置
する粒界が属する要素のみの抵抗を一様に高めること、
更には、(12)前記(11)において、前記頂点より
も電流が低い側に位置する粒界が2本以上あるとき、粒
界と電流ベクトルがなす角度に応じて抵抗値に重み付け
を行うこと、更には、(13)前記(10),(11)
又は(12)において、前記頂点の原子の収支の大きさ
と、抵抗値を変化させる対象となる粒界の長さとから要
素の抵抗値を決めること、或いは、(14)少なくとも
ポテンシャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の
解析とからなるエレクトロマイグレーションによる配線
故障解析方法において、頂点の原子の収支の大きさと頂
点を形成する粒界の長さの比がある値以下になったとき
にボイドが生じたとみなすこと、更には、(15)前記
(14)において、前記粒界長さは、頂点よりも電流が
低い側に位置する粒界の長さとすること、或いは、(1
6)少なくともポテンシャル解析と結晶粒組織の粒界で
の原子の拡散の解析とからなるエレクトロマイグレーシ
ョンによる配線故障解析方法において、発生するボイド
がスリット状であると予想される粒界には、粒界が属す
る要素の抵抗を一様に高め、楔状であると予想される粒
界には頂点から近い位置にある要素から順番に抵抗を高
めること、或いは、(17)少なくともポテンシャル解
析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とからなる
エレクトロマイグレーションによる配線故障解析方法に
おいて、線幅方向に並んでいる要素の電流密度の平均値
から抵抗を算出すること、或いは、(18)少なくとも
ポテンシャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の
解析とからなり、ポテンシャルの時間変化を求めること
により、エレクトロマイグレーションによる寿命を予測
する配線故障解析方法において、線幅方向に並んでいる
要素の電流密度の平均値から算出した抵抗から所定の電
流値が流れるような電圧を求め、該電圧を次の時間ステ
ップにおける電圧とすることを特徴としたものである。
【0009】
【作用】前記構成を有する本発明の配線故障解析方法
は、(1)少なくともポテンシャル解析と結晶粒組織の
粒界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロマイグ
レーションによるもので、入力する結晶粒組織として結
晶粒成長シミュレーションの結果を用いるので、粒径や
バンブー構造への移行の線幅依存性を考慮した解析がで
きるため、エレクトロマイグレーションに対してより詳
細な解析が可能になる。(2)前記(1)において、結
晶粒の頂点と頂点を結ぶ結晶粒界を直線で近似し、所定
時間△t毎の前記頂点の移動を追跡することにより、結
晶粒成長の時間変化を数値計算でシミュレートした結果
を用いるので、結晶粒成長シミュレーションの結果から
粒界のネットワークへのデータの変換を行うことなく、
容易に解析ができる。(3)前記(2)において、3重
点よりも電位の低い側に位置する粒界に沿って隣接する
ポテンシャル解析のために行った領域分割の最小単位で
ある要素の抵抗を順次高めていくので、ボイドの成長が
粒界に沿って原子の流れとは逆方向に成長する様子を再
現でき、より実際に近い現象の解析が可能となる。
(4)前記(3)において、3重点よりも電位の低い側
に粒界が2本以上あるとき、電流ベクトルとなす角度が
小さい粒界が属する要素から抵抗を順次高めていくの
で、ボイドの成長が粒界に沿って原子の流れとは逆方向
に成長する様子を再現でき、より実際に近い現象の解析
が可能となる。(5)少なくとも、ポテンシャル解析と
結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレ
クトロマイグレーションによるもので、粒界での原子の
拡散量を求める際の電流密度の値として該粒界が属する
要素のボイド部分を除いた線幅方向のならびにある要素
の電流密度の平均値を用いるので、ボイドの発生・成長
により電流密度が高くなることを考慮した原子の拡散量
の見積もりができる。(6)少なくともポテンシャル解
析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とからなる
エレクトロマイグレーションによるもので、配線の界面
における原子の拡散係数および活性化エネルギーを配線
の内部の粒界とは異ならせるので、界面状態の影響を考
慮した解析が可能となる。(7)前記(6)において、
パッシベーション膜があるときには、配線の内部の粒界
に比べて、配線の界面では原子の拡散係数を小さく、ま
た、活性化エネルギーを大きくするので、界面状態の影
響を考慮した解析が可能となる。(8)前記(6)にお
いて、パッシベーション膜がないときには、配線の内部
の粒界に比べて、配線の界面では原子の拡散係数を大き
く、また、活性化エネルギーを小さくするので、界面状
態の影響を考慮した解析が可能になる。(9)少なくと
もポテンシャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散
の解析とからなるエレクトロマイグレーションによるも
ので、配線の両端に位置する3重点の原子の収支は常に
0とするので、配線の両端において現実離れした現象が
起こさずに解析ができる。(10)少なくともポテンシ
ャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とか
らなるエレクトロマイグレーションによる配線故障解析
方法において、前記結晶粒組織の各結晶粒の頂点の原子
の収支の大きさに応じて、頂点を形成する粒界が属する
要素の抵抗を一様に高めるようにしたので、スリット状
ボイドについての解析が可能になったため、抵抗変化が
それほど増大せずに断線し、実際の現象に近い結果が得
られる。(11)前記頂点よりも電流が低い側に位置す
る粒界が属する要素のみの抵抗を一様に高めるようにし
たので、前記(10)に加え、ボイドは粒界に沿って原
子の流れとは逆方向に成長する様子を再現できるため、
より精度の高い解析が可能となる。(12)前記頂点よ
りも電流が低い側に位置する粒界が2本以上あるとき、
粒界と電流ベクトルがなす角度に応じて抵抗値に重み付
けを行うようにしたので、前記(11)に加え、粒界が
電流と平行なほどボイドが生じやすい点を考慮すること
により、より精度の高い解析が可能となる。(13)前
記頂点の原子の収支の大きさと、抵抗値を変化させる対
象となる粒界の長さとから要素の抵抗値を決めるように
したので、抵抗値の時間変化や寿命予測に対する要素分
割の大きさの依存性が軽減されるため、要素分割数を減
少でき、解析時間を節約できる。(14)少なくともポ
テンシャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解
析とからなるエレクトロマイグレーションによる配線故
障解析方法において、頂点の原子の収支の大きさと頂点
を形成する粒界の長さの比がある値以下になったときに
ボイドが生じたとみなすので、抵抗値の時間変化や寿命
予測に対する要素分割の大きさの依存性が軽減されるた
め、要素分割数を減少でき、解析時間を節約できる。
(15)前記粒界長さは、頂点よりも電流が低い側に位
置する粒界の長さとするので、前記(14)に加え、ボ
イドは粒界に沿って原子の流れとは逆方向に発生するこ
とを考慮しているため、精度の高い解析ができる。(1
6)少なくともポテンシャル解析と結晶粒組織の粒界で
の原子の拡散の解析とからなるエレクトロマイグレーシ
ョンによる配線故障解析方法において、発生するボイド
がスリット状であると予想される粒界には、粒界が属す
る要素の抵抗を一様に高め、楔状であると予想される粒
界には頂点から近い位置にある要素から順番に抵抗を高
めるようにしたので、実験の場合と同様に、溶断とスリ
ット状ボイドによる断線とが混合した結果が得られるの
で、より詳細な解析が可能となる。(17)少なくとも
ポテンシャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の
解析とからなるエレクトロマイグレーションによる配線
故障解析方法において、線幅方向に並んでいる要素の電
流密度の平均値から抵抗を算出するようにしたので、現
在の抵抗値をモニタでき、実験との比較が可能である。
(18)少なくともポテンシャル解析と結晶粒組織の粒
界での原子の拡散の解析とからなり、ポテンシャルの時
間変化を求めることにより、エレクトロマイグレーショ
ンによる寿命を予測する配線故障解析方法において、線
幅方向に並んでいる要素の電流密度の平均値から算出し
た抵抗から所定の電流値が流れるような電圧を求め、該
電圧を次の時間ステップにおける電圧とするので、定電
流試験ができ、実験との比較が可能である。
【0010】
【実施例】実施例について、図面を参照して以下に説明
する。図1は、本発明による配線故障解析方法の一実施
例を説明するためのフローチャートである。すなわち、
有限要素法により電流密度・温度分布を求め、それをも
とに結晶粒組織上での原子の粒界拡散量を算出するエレ
クトロマイグレーションによる配線故障解析のフローチ
ャートを示す図である。以下、各ステップに従って順に
説明する。
【0011】step1:まず、配線形状に従って結晶粒組
織を生成する。この様子を図2に示す。step2 :次に、有限要素法により電流密度分布を求め
る。通常、有限要素法のメッシュは、図3に示すよう
に、結晶粒組織とは無関係であり、図2の両端A,Bに
電位を与えることにより、電流密度分布を求める。step3 :前記step2と共通のメッシュを用いて、前記st
ep2で得られた電流により発生するジュール熱を熱源と
して、有限要素法により温度分布を求める。step4 :前記step1で形成した粒界のネットワーク上で
の原子の拡散量を求める。原子の拡散量は、例えば、下
記のような Hungtinton の式を用いて求める。
【0012】
【数1】
【0013】 D :粒界拡散係数 T:絶対温度 N :粒界での原子の密度 ρ:電気抵抗 Ze:実行電荷 j:電流密度 k :ボルツマン常数 D=Dob exp(Ea/kT) Dob=Asin(θ/2)cos(ψ) …(2) Ea:活性化エネルギー A:移動度 θ:隣り合う結晶粒の方位のずれ ψ:電流ベクトルと粒界のなす角度
【0014】step5:前記step4の結果、各3重点での
原子の収支に過不足が生じるので、ボイドやヒロックが
生じたものとみなし、所定の処理を行う。step6 :ボイドが成長して断線に至るまで、あるいは一
部の温度が融点に達して溶断したとみなされるまで前記
step2〜前記step5を繰り返す。
【0015】本発明では、前記step1の結晶粒組織を結
晶粒成長シミュレーションにより生成する。その一例を
図4(a)〜(f),(a)′〜(f)′に示したが、
同一の熱処理条件でも生じる粒径やバンブー構造への移
行の線幅依存性が表現できることがわかる。なお、図中
の0〜50の表記は時間経過を表わすものである。従
来、ボロノイ分割のみにより生成していた結晶粒組織を
用いた解析よりも、より詳細な解析が可能となる。図5
は、この組織を用いてエレクトロマイグレーション寿命
の線幅依存性をアニール時間が異なるものについてシミ
ュレートした結果を示す図である。縦軸がMTF(Medi
an Time to Failure(arbitrary units:相対時間))
で、横軸が線幅である。アニール時間の長いものの方が
線幅が細くなってもほとんど寿命が短くならずに、バン
ブー効果により長寿命化することなどが考察でき、従
来、ボロノイ分割のみにより生成していた結晶粒組織を
用いた解析よりも、より詳細な解析が可能となる。
【0016】結晶粒成長シミュレーションには、モンテ
カルロ法により各格子点の結晶方位を決定する方法など
が知られているが、本発明では、結晶粒の頂点と頂点と
結ぶ結晶粒界を直線で近似し、所定時間毎の頂点の移動
を追跡する方法を用いる。前者の方法では、前記step4
で粒界のネットワーク上での原子の拡散を求めるため
に、結晶粒成長シミュレーションの結果から粒界のネッ
トワークのデータに変換する必要があるが、後者の方法
では、各時間毎の粒界のネットワークのデータが保持さ
れるため、データの変換をする必要がなく、容易に粒界
のネットワーク上で原子の拡散量を求めることができ
る。
【0017】前記step5でボイドやヒロックが生じた場
合の処理としては、例えば、3重点Piの収支c1が負に
なった場合にはボイドが発生・成長し始めたと解釈し、
3重点Piが含まれる要素Eiの電気伝導率σおよび熱伝
導率kを小さくするが、原子の収支がC(C<0)のと
き、一要素分の大きさのボイドに成長すると仮定したと
き、不足量c1(c1<0)がCより大きいときのσおよ
びkを次式で与える。 σ=σ0・(C−c1)/C k=k0・(C−c1)/C
【0018】σ0,k0は、各々ボイドやヒロックがない
場合の電気伝導率,熱伝導率である。c1がCより小さ
くなったときには、一要素分以上の大きさのボイドに成
長したと考えられるので、 d=c1/C としたときのdの整数部分をnとすると、n個分の要素
のσおよびkを0とし、n+1個目のσおよびkを次式
で与える。 σ=σ0.{(n+1)・C−c1}/C k=k0.{(n+1)・C−c1}/C
【0019】一般的にボイドは粒界に沿って電子の流れ
とは逆方向に成長することが知られているので、図6に
G1,G2で示したように、3重点Piを起点として電
位の低い方に存在する粒界が属する要素の伝導率を順次
変化させる。3重点Piを起点として電位の低い方に粒
界が2本ある場合には、前記(2)式より、粒界が電流
ベクトルとなす角度ψが小さい方が拡散係数が大きいの
で、ψが小さい粒界からボイドが成長しやすいと考えら
れる。従って、図6のような位置関係にある場合には、
図中の要素に示したような順番でボイドを成長させた。
【0020】3重点の収支c1が正になった場合には、
ヒロックが発生したと解釈し、ボイドの場合と同様にc
1の大きさに応じて3重点Piが含まれる要素Eiの電気
伝導率σおよび熱伝導率kの値を変化させる。原子の収
支がH(H>0)のとき、一要素分の大きさのヒロック
が発生するものとしたとき、 σ=σ0・(1+c1/H) ただし、ヒロックの場合には、必ずしも粒界に沿って成
長するわけではないので、3重点にのみ滞積するものと
した。
【0021】以上のように、ボイドやヒロックの成長
は、有限要素法の要素の伝導率を変化させることで表現
し、粒界のネットワークの形は変えない。従って、Hunt
ingtonの式から拡散量を求めるときの電流密度の値とし
て、その粒界が属する要素の電流密度の値を用いると、
例えば、図6のPiにボイドが発生・成長し、要素1の
部分が完全にボイドになり、電気電導率が0だとする
と、要素1の電流密度は0であり、Piからの原子の流
出はないことになってしまう。しかし、実際は要素1の
部分がボイドになったならば、Piは要素1′−1や
1′−3等にまで拡大しており、電流密度は0ではな
く、むしろ初期よりも高い値を示す。そこで、Huntingt
on の式から拡散量を求めるときの電流密度の値とし
て、その粒界が属する要素の値ではなく、粒界が属する
要素のボイド部分を除いた線幅方向のならびにある要素
(図6の場合、1′−1,2,3,4,5…)の電流密度の
平均値で代用した。
【0022】また、本発明では、粒界のネットワーク上
での原子の拡散量を求める際、図2にG0で示したよう
に、界面に位置する粒界は、界面であるために配線内部
に位置する粒界とは拡散係数が異なる。パッシベーショ
ン膜がない場合には、G0は表面であり、拡散しやすい
状態にあるため、拡散係数を大きく、活性化エネルギー
を小さくした。パッシベーション膜がある場合には、界
面での反応により拡散が抑制されることが多いため、拡
散係数を小さく、活性化エネルギーを大きくした。
【0023】また、図2にP0で示したように、両端に
位置する頂点においても、他の頂点と同様に拡散するも
のとして原子の収支を求めると、電圧が低い側Aでは、
流入だけで流出が起こらないために必ずヒロックが発生
し、電圧が高い側Bでは、流出だけで流入が起こらない
ために必ずボイドが発生することになる。しかし、通常
のシミュレーションでは、配線全体ではなく一部につい
てのみ行っていると仮定しているので、実際にはA,B
が界面や表面になっているわけではなく、配線が連続し
て存在し、連続した流出入が行われている。従って、連
続した配線の結晶粒組織に依存してAでも流出が、Bで
も流入が起こり、各々必ずボイドやヒロックが発生する
わけではないので、簡単のため、本発明ではA,Bに位
置する頂点の収支は常に0とした。
【0024】ボイドは一般的に3重点から発生すること
が知られているが、図7(a),(b)に示したよう
に、スリット状に成長する場合(図7(a))と、楔状
に成長する場合(図7(b))がある。粒界を形成する
隣り合った2つの結晶粒の方位によって、楔状に成長す
るかスリット状に成長するかが決まると予想される。ス
リット状に成長する場合には、原子の拡散量が小さくて
も断線に至る。楔状に成長する場合には、線幅が徐々に
細くなっていき、部分的にジュール熱が増大し、溶断す
る。従来技術を記載した前記文献や前述した実施例に
記載されているようなボイド成長方法、すなわち3重点
が含まれる要素から順番にボイドが成長するものとした
解析方法は、楔状ボイドに対応するものである。本発明
では、スリット状に発生するボイドにも対応した解析が
できるようにした。
【0025】以下に、スリット状ボイドに対応する解析
方法を示す。前述のフローチャートのstep5の処理とし
て、例えば、3重点Piの収支c1が負になった場合に
は、ボイドが発生・成長し始めたと解釈し、3重点Pi
を形成する粒界が属する全要素にに対して一様に抵抗を
変化させる。一般的にボイドは3重点から発生し、電位
の低い方に粒界に沿って成長すると言われていることか
ら、図6に示したような位置関係にある場合には、ボイ
ドは低電位側にあるG1,G2に沿って発生すると考え
られる。そこで、G1,G2が属する要素1〜10の電
気伝導率σおよび熱伝導率kを一様に小さくする。その
大きさσ,kは、ボイドが発生する粒界G1,G2の長
さをL、3重点Piの収支をc1=−Cとしたとき、以
下の(3)式のように決める。
【0026】
【数2】
【0027】pは比例定数で、C/Lがp以下になった
ときには、粒界に沿って完全にボイドが成長したものと
みなし、要素の抵抗を無限大とする。σ0,k0は、各々
初期の電気電導率,熱伝導率である。これにより、スリ
ット状ボイドが発生し始め、成長するに従い抵抗が高く
なり、ついには完全なボイドとなっていく様子が表現で
きる。さらに、従来技術を記載した前記文献や前述し
た実施例では、ボイドが成長する場合の各要素の抵抗値
は、要素の面積を考慮していたため、分割した要素の大
きさに結果が依存してしまっていたが、本発明では、粒
界長さとの比から抵抗値を決めているため、分割要素の
大きさ依存性も軽減できる。
【0028】図6の場合のように、3重点Piを起点と
して電位の低い方に粒界が2本ある場合には、(2)式か
ら粒界が電流ベクトルとなす角度ψが小さい方が拡散係
数が大きいので、ボイドが成長しやすいと考えられる。
したがって、より詳細な解析を行うには、G1が属する
要素とG2が属する要素の抵抗を全て一様に変化させる
のではなく、粒界が電流となす角度ψに応じて重み付け
を行うのが望ましい。以上がスリット状ボイドに対応し
た解析方法であるが、実際には同一の配線内に楔状ボイ
ドとスリット状ボイドが混在して発生するので、粒界に
より、要素の抵抗を一様に高めていくか、3重点に近い
方から順番に高めていくかを変えて解析を行う。
【0029】通常のエレクトロマイグレーション試験で
は、断線に至るまでの間、抵抗値をモニタしながら定電
流試験により評価を行っている。従って、本発明では、
線幅方向に並ぶ要素、例えば、図8に示すように、端に
並ぶ要素1〜8までの各要素の電流密度の平均値iを求
め、(4)式から抵抗値を算出し、断線に至るまでの様
子をモニタする。 r=V1/(i・s0) …(4) V1は現在の印加電圧で、s0は配線の初期の断面積であ
る。
【0030】フローチャートのstep6でまだ断線しない
場合には、再度電流密度分布を求めることから始める
が、ボイドの発生・成長により配線の抵抗は変化してい
るので、定電流にするためには、印加電圧を変える必要
がある。そこで、(5)式から求められる電圧V2を次
の時間ステップの印加電圧として使用する。 V2=r・(i0・s0) …(5) i0は初期の電流密度である。
【0031】図9は、従来例のように楔状に成長すると
仮定した場合の抵抗変化と、本発明によるスリット状に
成長する場合も考慮した場合の抵抗変化の一例を示す図
である。前者は、抵抗変化率が数10%に達してから溶
断するのに対して、後者は10%程度の抵抗変化で断線
に至っている。実際のAl単層の配線の挙動は後者に近
く、従来例ではスリット状ボイドが考慮されていなかっ
たために、断線する前に実際よりも大きな抵抗変化率を
示していた。また、従来例では9割以上が溶断による故
障であったが、スリット状に進行する場合と楔状に進行
する場合を同一の配線内に混在させ、粒界毎に割り当て
て解析を行うことにより、実際の配線で見られるのと同
様に、溶断が起こる前に電気的導通が無くなって故障す
るものが約半数程度と、実際の現象に近くなった。
【0032】また、従来例のように、ポテンシャル解析
のための要素分割の要素の面積を考慮してボイドを成長
させると、同一の結晶粒組織に対しても要素分割の大き
さを変えると予測した寿命に対して50%程度の誤差が
生じる場合があったが、本発明のように、粒界長さを考
慮したボイド成長方法に変えることにより、誤差は数%
に軽減された。そのため、要素分割数を減らしても誤差
の少ない解析ができるため、解析時間が短縮された。
【0033】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によると、以下のような効果がある。 (1)請求項1に対応する効果:少なくともポテンシャ
ル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とから
なるエレクトロマイグレーションによるもので、入力す
る結晶粒組織として結晶粒成長シミュレーションの結果
を用いるので、粒径やバンブー構造への移行の線幅依存
性を考慮した解析ができるため、エレクトロマイグレー
ションに対してより詳細な解析が可能になる。 (2)請求項2に対応する効果:結晶粒の頂点と頂点を
結ぶ結晶粒界を直線で近似し、所定時間△t毎の前記頂
点の移動を追跡することにより、結晶粒成長の時間変化
を数値計算でシミュレートした結果を用いるので、結晶
粒成長シミュレーションの結果から粒界のネットワーク
へのデータの変換を行うことなく、容易に解析ができ
る。 (3)請求項3に対応する効果:3重点よりも電位の低
い側に位置する粒界に沿って隣接するポテンシャル解析
のために行った領域分割の最小単位である要素の抵抗を
順次高めていくので、ボイドの成長が粒界に沿って原子
の流れとは逆方向に成長する様子を再現でき、より実際
に近い現象の解析が可能となる。 (4)請求項4に対応する効果:3重点よりも電位の低
い側に粒界が2本以上あるとき、電流ベクトルとなす角
度が小さい粒界が属する要素から抵抗を順次高めていく
ので、ボイドの成長が粒界に沿って原子の流れとは逆方
向に成長する様子を再現でき、より実際に近い現象の解
析が可能となる。 (5)請求項5に対応する効果:少なくとも、ポテンシ
ャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とか
らなるエレクトロマイグレーションによるもので、粒界
での原子の拡散量を求める際の電流密度の値として該粒
界が属する要素のボイド部分を除いた線幅方向のならび
にある要素の電流密度の平均値を用いるので、ボイドの
発生・成長により電流密度が高くなることを考慮した原
子の拡散量の見積もりができる。 (6)請求項6に対応する効果:少なくともポテンシャ
ル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とから
なるエレクトロマイグレーションによるもので、配線の
界面における原子の拡散係数および活性化エネルギーを
配線の内部の粒界とは異ならせるので、界面状態の影響
を考慮した解析が可能となる。 (7)請求項7に対応する効果:パッシベーション膜が
あるときには、配線の内部の粒界に比べて、配線の界面
では原子の拡散係数を小さく、また、活性化エネルギー
を大きくするので、界面状態の影響を考慮した解析が可
能となる。 (8)請求項8に対応する効果:パッシベーション膜が
ないときには、配線の内部の粒界に比べて、配線の界面
では原子の拡散係数を大きく、また、活性化エネルギー
を小さくするので、界面状態の影響を考慮した解析が可
能になる。 (9)請求項9に対応する効果:少なくともポテンシャ
ル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析とから
なるエレクトロマイグレーションによるもので、配線の
両端に位置する3重点の原子の収支は常に0とするの
で、配線の両端において実現離れした現象が起こさずに
解析ができる。 (10)請求項10に対応する効果:少なくともポテン
シャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析と
からなるエレクトロマイグレーションによる配線故障解
析方法において、前記結晶粒組織の各結晶粒の頂点の原
子の収支の大きさに応じて、頂点を形成する粒界が属す
る要素の抵抗を一様に高めるようにしたので、スリット
状ボイドについての解析が可能になったため、抵抗変化
がそれほど増大せずに断線し、実際の現象に近い結果が
得られる。 (11)請求項11に対応する効果:前記頂点よりも電
流が低い側に位置する粒界が属する要素のみの抵抗を一
様に高めるようにしたので、前記(10)に加え、ボイ
ドは粒界に沿って原子の流れとは逆方向に成長する様子
を再現できるため、より精度の高い解析が可能となる。 (12)請求項12に対応する効果:前記頂点よりも電
流が低い側に位置する粒界が2本以上あるとき、粒界と
電流ベクトルがなす角度に応じて抵抗値に重み付けを行
うようにしたので、前記(11)に加え、粒界が電流と
平行なほどボイドが生じやすい点を考慮することによ
り、より精度の高い解析が可能となる。 (13)請求項13に対応する効果:前記頂点の原子の
収支の大きさと、抵抗値を変化させる対象となる粒界の
長さとから要素の抵抗値を決めるようにしたので、抵抗
値の時間変化や寿命予測に対する要素分割の大きさの依
存性が軽減されるため、要素分割数を減少でき、解析時
間を節約できる。 (14)請求項14に対応する効果:少なくともポテン
シャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析と
からなるエレクトロマイグレーションによる配線故障解
析方法において、頂点の原子の収支の大きさと頂点を形
成する粒界の長さの比がある値以下になったときにボイ
ドが生じたとみなすので、抵抗値の時間変化や寿命予測
に対する要素分割の大きさの依存性が軽減されるため、
要素分割数を減少でき、解析時間を節約できる。 (15)請求項15に対応する効果:前記粒界長さは、
頂点よりも電流が低い側に位置する粒界の長さとするの
で、前記(14)に加え、ボイドは粒界に沿って原子の
流れとは逆方向に発生することを考慮しているため、精
度の高い解析ができる。 (16)請求項16に対応する効果:少なくともポテン
シャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析と
からなるエレクトロマイグレーションによる配線故障解
析方法において、発生するボイドがスリット状であると
予想される粒界には、粒界が属する要素の抵抗を一様に
高め、楔状であると予想される粒界には頂点から近い位
置にある要素から順番に抵抗を高めるようにしたので、
実験の場合と同様に、溶断とスリット状ボイドによる断
線とが混合した結果が得られるので、より詳細な解析が
可能となる。 (17)請求項17に対応する効果:少なくともポテン
シャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析と
からなるエレクトロマイグレーションによる配線故障解
析方法において、線幅方向に並んでいる要素の電流密度
の平均値から抵抗を算出するようにしたので、現在の抵
抗値をモニタでき、実験との比較が可能である。 (18)請求項18に対応する効果:少なくともポテン
シャル解析と結晶粒組織の粒界での原子の拡散の解析と
からなり、ポテンシャルの時間変化を求めることによ
り、エレクトロマイグレーションによる寿命を予測する
配線故障解析方法において、線幅方向に並んでいる要素
の電流密度の平均値から算出した抵抗から所定の電流値
が流れるような電圧を求め、該電圧を次の時間ステップ
における電圧とするので、定電流試験ができ、実験との
比較が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による配線故障解析方法の一実施例を
説明するためのフローチャートである。
【図2】 本発明における配線形状に従って結晶粒組織
を生成する様子を示す図である。
【図3】 本発明における粒界のネットワークと有限要
素法のメッシュを示す図である。
【図4】 本発明における結晶粒成長の時間変化を示す
図である。
【図5】 本発明におけるエレクトロマイグレーション
寿命の線幅依存性をアニール時間が異なるものについて
シミュレートした結果を示す図である。
【図6】 本発明における3重点を起点として電位の低
い方に存在する粒界が属する要素の伝導率を順次変化さ
せる様子を示す図である。
【図7】 本発明におけるボイドの発生の様子を示す図
である。
【図8】 本発明における各要素の電流密度を求めるた
めの図である。
【図9】 本発明における時間に対する抵抗変化率を示
す図である。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともポテンシャル解析と結晶粒組
    織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロマ
    イグレーションによる配線故障解析方法において、入力
    する結晶粒組織として結晶粒成長シミュレーションの結
    果を用いることを特徴とする配線故障解析方法。
  2. 【請求項2】 前記結晶粒の頂点と頂点を結ぶ結晶粒界
    を直線で近似し、所定時間毎の前記頂点の移動を追跡す
    ることにより、結晶粒成長の時間変化を数値計算でシミ
    ュレートした結果を用いることを特徴とする請求項1記
    載の配線故障解析方法。
  3. 【請求項3】 3重点よりも電位の低い側に位置する粒
    界に沿って隣接するポテンシャル解析のために行った領
    域分割の最小単位である要素の抵抗を順次高めていくこ
    とを特徴とする請求項2記載の配線故障解析方法。
  4. 【請求項4】 3重点よりも電位の低い側に粒界が2本
    以上あるとき、電流ベクトルとなす角度が小さい粒界が
    属する要素から抵抗を順次高めていくことを特徴とする
    請求項3記載の配線故障解析方法。
  5. 【請求項5】 少なくともポテンシャル解析と結晶粒組
    織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロマ
    イグレーションによる配線故障解析方法において、粒界
    での原子の拡散量を求める際の電流密度の値として該粒
    界が属する要素のボイド部分を除いた線幅方向のならび
    にある要素の電流密度の平均値を用いることを特徴とす
    る配線故障解析方法。
  6. 【請求項6】 少なくともポテンシャル解析と結晶粒組
    織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロマ
    イグレーションによる配線故障解析方法において、配線
    の界面における原子の拡散係数および活性化エネルギー
    を配線の内部の粒界とは異ならせることを特徴とする配
    線故障解析方法。
  7. 【請求項7】 パッシベーション膜があるときには、配
    線の内部の粒界に比べて、配線の界面では原子の拡散係
    数を小さくし、活性化エネルギーを大きくすることを特
    徴とする請求項6記載の配線故障解析方法。
  8. 【請求項8】 パッシベーション膜がないときには、配
    線の内部の粒界に比べて、配線の界面では原子の拡散係
    数を大きくし、活性化エネルギーを小さくすることを特
    徴とする請求項6記載の配線故障解析方法。
  9. 【請求項9】 少なくともポテンシャル解析と結晶粒組
    織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロマ
    イグレーションによる配線故障解析方法において、配線
    の両端に位置する3重点の原子の収支は常に0とするこ
    とを特徴とする配線故障解析方法。
  10. 【請求項10】 少なくともポテンシャル解析と結晶粒
    組織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロ
    マイグレーションによる配線故障解析方法において、前
    記結晶粒組織の各結晶粒の頂点の原子の収支の大きさに
    応じて、頂点を形成する粒界が属する要素の抵抗を一様
    に高めることを特徴とする配線故障解析方法。
  11. 【請求項11】 前記頂点よりも電流が低い側に位置す
    る粒界が属する要素のみの抵抗を一様に高めることを特
    徴とする請求項10記載の配線故障解析方法。
  12. 【請求項12】 前記頂点よりも電流が低い側に位置す
    る粒界が2本以上あるとき、粒界と電流ベクトルがなす
    角度に応じて抵抗値に重み付けを行うことを特徴とする
    請求項11記載の配線故障解析方法。
  13. 【請求項13】 前記頂点の原子の収支の大きさと、抵
    抗値を変化させる対象となる粒界の長さとから要素の抵
    抗値を決めることを特徴とする請求項10,11又は1
    2記載の配線故障解析方法。
  14. 【請求項14】 少なくともポテンシャル解析と結晶粒
    組織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロ
    マイグレーションによる配線故障解析方法において、頂
    点の原子の収支の大きさと頂点を形成する粒界の長さの
    比がある値以下になったときにボイドが生じたとみなす
    ことを特徴とする配線故障解析方法。
  15. 【請求項15】 前記粒界長さは、頂点よりも電流が低
    い側に位置する粒界の長さとすることを特徴とする請求
    項14記載の配線故障解析方法。
  16. 【請求項16】 少なくともポテンシャル解析と結晶粒
    組織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロ
    マイグレーションによる配線故障解析方法において、発
    生するボイドがスリット状であると予想される粒界に
    は、粒界が属する要素の抵抗を一様に高め、楔状である
    と予想される粒界には頂点から近い位置にある要素から
    順番に抵抗を高めることを特徴とする配線故障解析方
    法。
  17. 【請求項17】 少なくともポテンシャル解析と結晶粒
    組織の粒界での原子の拡散の解析とからなるエレクトロ
    マイグレーションによる配線故障解析方法において、線
    幅方向に並んでいる要素の電流密度の平均値から抵抗を
    算出することを特徴とする配線故障解析方法。
  18. 【請求項18】 少なくともポテンシャル解析と結晶粒
    組織の粒界での原子の拡散の解析とからなり、ポテンシ
    ャルの時間変化を求めることにより、エレクトロマイグ
    レーションによる寿命を予測する配線故障解析方法にお
    いて、線幅方向に並んでいる要素の電流密度の平均値か
    ら算出した抵抗から所定の電流値が流れるような電圧を
    求め、該電圧を次の時間ステップにおける電圧とするこ
    とを特徴とする配線故障解析方法。
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