JP2008028416A - 金属配線の信頼性評価装置及び方法、並びに金属配線の信頼性評価のためのプログラムを格納した記録媒体 - Google Patents
金属配線の信頼性評価装置及び方法、並びに金属配線の信頼性評価のためのプログラムを格納した記録媒体 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 数値シミュレーションにおいて、金属配線は要素に分割される。電流密度および温度の分布は数値解析により得られる(S304)。各要素の原子流束発散AFDgenは、これらの分布と前もって加速試験により決定される材料物性の定数(S306)を用いることにより計算される(S308)。シミュレーションにおける1計算ステップあたりの体積減少(S312)は、各要素の体積、1計算ステップに対応する時間、および計算されたAFDgenに対応する原子体積を乗じることにより与えられる(S310)。体積に関する減少量を基に、各要素の厚さを減少する(S314)。厚さが減少した要素において、ボイドが形成されたことを示している。金属配線における電流密度と温度の分布の数値解析を各要素の厚さを考慮して再び行う(S304)。計算は繰り返し行われる。
【選択図】図3
Description
上記の処理を実行する装置および上記の処理をコンピュータに実行させるプログラムを格納した記録媒体も本発明である。
金属薄膜配線におけるEMは、結晶粒界に沿って、さらに格子拡散として結晶粒内でも生じる。よって、配線における原子流束の発散の総和AFDgenを結晶粒界および結晶粒内における原子流束の発散(Atomic Flux Divergence)の和で表し、次式で定義する。
[数2]
AFDgen=AFDgb+AFDlat (1)
ここに、AFDgbおよびAFDlatはそれぞれ結晶粒界および結晶粒内における原子流束の発散である。式(1)は、多結晶配線およびバンブー配線の双方について成立する。AFDgbおよびAFDlatを、多結晶配線およびバンブー配線の各々の配線構造を考慮して導出する。ここで結晶粒界および結晶粒内における原子の移動はともに次式で与えられる。
最初に結晶粒界における原子流束の発散を考える。まず多結晶配線における結晶粒界を扱う。多結晶配線における結晶粒界を考慮するために、結晶粒界構造のモデルを導入する。図2に示す様に、平均結晶粒径bの√3/6倍の長さを持つ3本の結晶粒界で構成される三重点を内部に一つだけ含む単位厚さの四角形要素を仮定する。同要素の面積は√3b2/4である。結晶粒界IIおよびIIIは結晶粒界Iに対して対称であり、その挟角は120°に近いが、わずかに偏差2Δφが存在するものとする。
[数9]
AFDgb=0 (バンブー配線) (7)
結晶粒内におけるEMによる格子拡散を考える。多結晶配線においてもバンブー配線においても格子拡散は同様に扱うことができる。結晶粒内においては原子流束ベクトルJに関してベクトル解析が可能である。式(2),(3)および(4b)に基づいて単位時間、単位体積あたりの原子の減少数AFD’latは次式で得られる。
式(1)のAFDgbとAFDlatの和で表される配線の原子流束の発散の総和AFDgenに基づいて、多結晶配線およびバンブー配線における原子流束の発散を考える。さて、一般的な使用温度においては、結晶粒内での原子流束の発散は結晶粒界のそれと比較して無視できるほど小さい。よって、多結晶配線における原子流束の発散は、結晶粒界での原子流束の発散のみを考慮すれば十分である。したがって、多結晶配線におけるEM損傷の支配パラメータは以下の式で表される。
金属配線における寿命および断線箇所は、ボイドの初生、成長から断線故障までのプロセスの数値シミュレーションを多結晶配線やバンブー配線のAFDgenを用いて行うことにより予測する。ここで、ボイド成長に伴う電流密度および温度の分布の変化をAFDgenの計算において考慮する。
この手順による多結晶配線に対する数値シミュレーションは、ある時間経過後のボイドの分布および故障箇所を十分に予測することができる。さらに寿命の予測を行うために、次のことをシミュレーションにおいて考慮する必要がある。結晶粒界に沿って選択的に成長し、スリット状に成長したボイドが互いに結合しながら配線幅の方向へ伸びるという、多結晶配線におけるボイドの成長形態(morphology)である。パラメータAFDgenは、ボイド形成が結晶粒界において行われるとの仮定に基づいて導出されているが、最終的に金属配線の任意の点におけるボイド形成の期待値に拡張されている。ここで、もう一度ボイド形成の形態を、結晶粒界に沿ったスリット状のボイドの形成に変換する。配線の要素分割において、スリット状のボイドを構成するための専用の要素を、図4のように配置する。ここで、図4Aは、後に図6で用いられる配線の有限要素モデルの例を示している。図4B、図4C、図4Dはそれぞれの箇所の拡大図である。
図6に示す2つのアルミニウム多結晶配線を寿命と故障箇所の予測に使用した。折れ曲がった金属配線は電流密度と温度が2次元分布となる。また予測に必要な定数は、直線配線を用いた簡単な加速試験により与えられる。2つの配線を試料1および試料2と呼ぶ。これらは図6Aに示す様に、形状のみならず試験条件も異なっている。
バンブー配線EM損傷の支配パラメータAFDgenを用い、EMによるボイドの形成、成長から断線に至る過程の数値シミュレーションを行う。これにより、ボイドの形成、成長に伴う電流密度の分布および温度分布の時間変化を考慮して配線寿命および断線箇所を予測することが可能となる。
断線予測対象として図16に示す三種類のAlバンブー配線を用いた。ここで折れ曲がる配線においては電流密度分布、温度分布は二次元分布を呈する。配線角部から陽極端までの長さをA、配線角部から陰極端までの長さをBとする。A=14.0μm、B=8.0μmの配線をASYM(+)、A=11.2μm、B=10.9μmの配線をSYM、A=8.0μm、B=13.9μmの配線をASYM(−)と呼ぶことにする。それぞれの形状において、入力電流密度、基板温度の試験条件は同一とした。配線幅は図16に示すが如く一定ではなく、角部より陽極側の配線幅の方が陰極側よりわずかに細い。検証実験に要する時間の短縮のため、一般的な実用条件よりも高い約15MA/cm2なる高密度電流と393Kなる温度を試験条件として選んだ。流した電流量は72.0mAである。AFDgen計算に必要な薄膜の物性値は、図17に示す表のように求まった。なお本予測において定数Hとλは、直線形状の配線と折れ曲がる配線の各々について、二次元有限要素解析による温度分布のシミュレーションに基づいて計算した配線抵抗値とそれぞれの形状における実験で計測した配線抵抗値が一致するように決定した。一般に薄膜の熱伝導率はバルクのそれよりも低いといわれているが、得られたλは1.55×10-4W/(μm・K)であり、バルク値よりも低い。
以上のような物性を用いて数値シミュレーションを行い、ASYM(+)、SYM、ASYM(−)の三種類の配線各々についてEMによる断線を予測した。
予測と実験結果は配線寿命、断線箇所の両者において良好な一致を示した。実験の断線箇所には若干のばらつきが存在するが、本予測法では配線が最も多く破断した箇所を予測することができた。このことから、配線を構成する薄膜の物性値と実用条件が与えられれば、EM損傷の支配パラメーターであるAFDgenを用いた数値シミュレーションを実行することにより、任意の形状の金属薄膜配線の任意の実用条件下における寿命と断線箇所の予測を行うことが可能であることが示され、本予測法の有効性が実証できた。
Claims (3)
- バンブー配線を要素分割して、数値解折手法により、電流密度および温度分布を求める手段と、
結晶粒内の原子流束の発散式AFDlatを求め、バンブー配線における原子流束発散(AFDgen)を以下の式で予め導出し、
計算した原子流束発散から、各要素の体積減少を求める手段と、
各要素の厚さの変化を求める手段とを有し、
各手段の動作を繰り返すことにより、厚さを貫通する要素が配線幅を占める状態、或いは厚さを貫通する要素または温度が材料の融点を超える要素が配線幅を占める状態となるまで処理を行い、配線寿命および断線箇所を予測することを特徴とする金属配線の信頼性評価装置。 - バンブー配線を要素分割して、数値解折手法により、電流密度および温度分布を求めるステップと、
結晶粒内の原子流束の発散式AFDlatを求め、バンブー配線における原子流束発散(AFDgen)を以下の式で予め導出し、
計算した原子流束発散から、各要素の体積減少を求めるステップと、
各要素の厚さの変化を求めるステップとを有し、
各ステップの動作を繰り返すことにより、厚さを貫通する要素が配線幅を占める状態、或いは厚さを貫通する要素または温度が材料の融点を超える要素が配線幅を占める状態となるまで処理を行い、配線寿命および断線箇所を予測することを特徴とする金属配線の信頼性評価方法。 - 請求項2に記載の信頼性評価方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した記録媒体。
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JP2007246243A JP4889040B2 (ja) | 2007-09-21 | 2007-09-21 | 金属配線の信頼性評価装置及び方法、並びに金属配線の信頼性評価のためのプログラムを格納した記録媒体 |
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US8281268B2 (en) | 2008-12-31 | 2012-10-02 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Method and system detecting metal line failure |
JP2014052832A (ja) * | 2012-09-06 | 2014-03-20 | Hirosaki Univ | ビア接続の多層配線の信頼性を評価する信頼性評価シミュレーションプログラム、ビア接続の多層配線の許容電流密度向上方法およびビア接続の多層配線 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07283283A (ja) * | 1994-02-15 | 1995-10-27 | Ricoh Co Ltd | 配線故障解析方法 |
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2007
- 2007-09-21 JP JP2007246243A patent/JP4889040B2/ja not_active Expired - Lifetime
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