JPH07278174A - ホスホリルコリン含有グリセロ糖脂質化合物 - Google Patents
ホスホリルコリン含有グリセロ糖脂質化合物Info
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- JPH07278174A JPH07278174A JP7022501A JP2250195A JPH07278174A JP H07278174 A JPH07278174 A JP H07278174A JP 7022501 A JP7022501 A JP 7022501A JP 2250195 A JP2250195 A JP 2250195A JP H07278174 A JPH07278174 A JP H07278174A
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- ggpl
- mycoplasma
- compound
- lipid
- mycoplasma fermentans
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】下記構造式Iで示される新規なホスホリルコリ
ン含有グリセロ糖脂質化合物。 【効果】上記のマイコプラズマ・フェルメンタンスの脂
質画分から分離精製によって得られた新規なホスホリル
コリン含有グリセロ糖脂質化合物は、マイコプラズマ・
フェルメンタンスの感染についての診断薬又は医薬、或
いは、それらの薬品の中間体として有用な化合物であ
る。
ン含有グリセロ糖脂質化合物。 【効果】上記のマイコプラズマ・フェルメンタンスの脂
質画分から分離精製によって得られた新規なホスホリル
コリン含有グリセロ糖脂質化合物は、マイコプラズマ・
フェルメンタンスの感染についての診断薬又は医薬、或
いは、それらの薬品の中間体として有用な化合物であ
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイコプラズマ・フェ
ルメンタンス(Mycoplasma fermentans)GGPL株の脂
質画分から見出された新規な『ホスホリルコリン含有α
−グルコース(糖)脂質化合物』に関するものである。
ルメンタンス(Mycoplasma fermentans)GGPL株の脂
質画分から見出された新規な『ホスホリルコリン含有α
−グルコース(糖)脂質化合物』に関するものである。
【0002】
【従来技術の説明】ヒトレトロウイルスであるHTLV
−I、およびHIV(human immunodeficiency virus)
はいずれもリンパ球のなかでもとくにヘルパーT細胞に
感染しやすく、HTLV−Iではこれをモノクローナル
に腫瘍化し、HIVではこれを破壊することにより発症
する。また、マイコプラズマ・フェルメンタンスは、H
IVによるAIDSの発症やリウマチの病態に深く係わ
っているという報告があるが、そのメカニズムについて
は全くわかっていない。
−I、およびHIV(human immunodeficiency virus)
はいずれもリンパ球のなかでもとくにヘルパーT細胞に
感染しやすく、HTLV−Iではこれをモノクローナル
に腫瘍化し、HIVではこれを破壊することにより発症
する。また、マイコプラズマ・フェルメンタンスは、H
IVによるAIDSの発症やリウマチの病態に深く係わ
っているという報告があるが、そのメカニズムについて
は全くわかっていない。
【0003】
【本発明が解決しようとする問題点】本発明の発明者ら
は、このメカニズムを解明するために、マイコプラズマ
・フェルメンタンスの脂質における主要な抗原性を持つ
種特異的抗原であるところの糖リン脂質を分離、精製し
て構造解析を試み、生理活性を有する可能性のある新規
な構造の物質を見出すべく、鋭意研究した。
は、このメカニズムを解明するために、マイコプラズマ
・フェルメンタンスの脂質における主要な抗原性を持つ
種特異的抗原であるところの糖リン脂質を分離、精製し
て構造解析を試み、生理活性を有する可能性のある新規
な構造の物質を見出すべく、鋭意研究した。
【0004】
【問題点を解決する手段】発明者らは、前述の目的で研
究を行った結果、新規な糖リン脂質を分離、精製するこ
とに成功し、さらに、その物質を構造解析すること〔例
えば、赤外吸収分析(FTIR)、質量分析、13Cおよ
び 1H−NMRなどにより構造解析すること〕により、
その絶対構造を確定した。
究を行った結果、新規な糖リン脂質を分離、精製するこ
とに成功し、さらに、その物質を構造解析すること〔例
えば、赤外吸収分析(FTIR)、質量分析、13Cおよ
び 1H−NMRなどにより構造解析すること〕により、
その絶対構造を確定した。
【0005】即ち、本発明のホスホリルコリン含有グリ
セロ糖脂質化合物は、1'−〔2, 3−ビス(ヘキサデカノ
イルオキシ)プロピル〕−α−D−グルコピラノス−6'
−イル−2"−(トリメチルアンモニウム)エチルフォス
フェートに関する。
セロ糖脂質化合物は、1'−〔2, 3−ビス(ヘキサデカノ
イルオキシ)プロピル〕−α−D−グルコピラノス−6'
−イル−2"−(トリメチルアンモニウム)エチルフォス
フェートに関する。
【0006】本発明のホスホリルコリン含有グリセロ糖
脂質化合物は、次に示す構造式Iを有している。
脂質化合物は、次に示す構造式Iを有している。
【0007】
【化1】
【0008】マイコプラズマ・フェルメンタンス(Myco
plasma fermentans)は、最近、ヒトレトロウイルス感染
患者及び細胞から高率に分離されウイルス感染による病
態の重要な増悪因子(co-factor )となっている可能性
が示唆されてきている。今回、構造決定した物質は、こ
のマイコプラズマ・フェルメンタンスを分離、クローニ
ングしてその脂質成分を解析したところその生物の成分
であることがわかった。この物質はマイコプラズマ・フ
ェルメンタンスに特徴的に見出された新規化合物であ
る。
plasma fermentans)は、最近、ヒトレトロウイルス感染
患者及び細胞から高率に分離されウイルス感染による病
態の重要な増悪因子(co-factor )となっている可能性
が示唆されてきている。今回、構造決定した物質は、こ
のマイコプラズマ・フェルメンタンスを分離、クローニ
ングしてその脂質成分を解析したところその生物の成分
であることがわかった。この物質はマイコプラズマ・フ
ェルメンタンスに特徴的に見出された新規化合物であ
る。
【0009】この物質はAIDSの病態、RAの病態解
明の可能性をもつ有望な新規化合物である。また、この
化合物とその中間体は、ヒトレトロウイルス疾患などに
対する医薬またはそのような医薬の中間体としても有望
な化合物である。
明の可能性をもつ有望な新規化合物である。また、この
化合物とその中間体は、ヒトレトロウイルス疾患などに
対する医薬またはそのような医薬の中間体としても有望
な化合物である。
【0010】以下、本発明の構造式Iで示されるホスホ
リルコリン含有グリセロ糖脂質を精製、分離・取得し、
その構造解析を行った実施例を示す。 実施例1 i)培養;マイコプラズマ・フェルメンタンスGGPL
株をPPLO培地で増殖培養し、これをPBS(pho
sphate−buffered saline)で2
回洗浄したものを−80℃に保存した。
リルコリン含有グリセロ糖脂質を精製、分離・取得し、
その構造解析を行った実施例を示す。 実施例1 i)培養;マイコプラズマ・フェルメンタンスGGPL
株をPPLO培地で増殖培養し、これをPBS(pho
sphate−buffered saline)で2
回洗浄したものを−80℃に保存した。
【0011】ii)脂質の抽出;脂質は、60ml(湿潤
状態の容量)の細胞に対しそれぞれ400mlのクロロ
ホルムとメタノールとの混合溶媒(クロロホルム:メタ
ノール=2:1、1:1および1:2である3種の混合
溶媒)を用いて抽出し993mgの総脂質を得た。
状態の容量)の細胞に対しそれぞれ400mlのクロロ
ホルムとメタノールとの混合溶媒(クロロホルム:メタ
ノール=2:1、1:1および1:2である3種の混合
溶媒)を用いて抽出し993mgの総脂質を得た。
【0012】iii )分画A(非結合部分の取得);総脂
質はカラム(DEAE Sephadex A-25 カラム)により
非結合部分と結合部分とに分け、非結合部分775mg
が得られた。
質はカラム(DEAE Sephadex A-25 カラム)により
非結合部分と結合部分とに分け、非結合部分775mg
が得られた。
【0013】iv)分画B(ホスホリルコリン含有グリセ
ロ糖脂質の単離);クロロホルムとメタノールと水との
混合溶媒の3回濃度勾配を変え(例えば、1回目の容量
比、クロロホルム:メタノール:水=83:16:0.
5〜20:80:8)イアトロビーズにかけて分画A
(非結合部分)をさらに分画し、最後に1−プロパノー
ルとアンモニアと水との溶液(容量比、1−プロパノー
ル:アンモニア:水=80:5:15〜75:5:2
0)による濃度勾配を用いて各成分を単離した。収量
は、ホスホリルコリン含有グリセロ糖脂質(以下、GG
PL−1と言う)が3mgであった。
ロ糖脂質の単離);クロロホルムとメタノールと水との
混合溶媒の3回濃度勾配を変え(例えば、1回目の容量
比、クロロホルム:メタノール:水=83:16:0.
5〜20:80:8)イアトロビーズにかけて分画A
(非結合部分)をさらに分画し、最後に1−プロパノー
ルとアンモニアと水との溶液(容量比、1−プロパノー
ル:アンモニア:水=80:5:15〜75:5:2
0)による濃度勾配を用いて各成分を単離した。収量
は、ホスホリルコリン含有グリセロ糖脂質(以下、GG
PL−1と言う)が3mgであった。
【0014】v )質量分析;質量分析装置〔フィネガン
・MAT社製、機種名:TSQ70triple-stage guadr
upole mass spectrometer 〕を用いて、前記のGGPL
−1について、LSIMS(Liquid secondary ion mas
s spectorometry )及びMS/MS分析を行った。
・MAT社製、機種名:TSQ70triple-stage guadr
upole mass spectrometer 〕を用いて、前記のGGPL
−1について、LSIMS(Liquid secondary ion mas
s spectorometry )及びMS/MS分析を行った。
【0015】vi)NMR分析;前記のGGPL−1につ
いて、(CH3)2 SO−d6/D2O(98:2)0.5mlに
溶解し、NMR測定装置(日本電子( 株) 製;FX−4
00)を用いて、60℃で 1Hおよび13C−NMRを行
った。
いて、(CH3)2 SO−d6/D2O(98:2)0.5mlに
溶解し、NMR測定装置(日本電子( 株) 製;FX−4
00)を用いて、60℃で 1Hおよび13C−NMRを行
った。
【0016】〔詳細な分析試験の結果〕 (a)マイコプラズマ・フェルメンタンスのホスホリル
コリン含有グリセロ糖脂質;マイコプラズマ・フェルメ
ンタンスGGPL株から抽出した脂質の中性脂質画分に
oricinol-H2 SO4 (糖の検出)、及び Dittmer(リ
ンの検出)試薬に反応する数種の脂質(リン糖脂質)を
検出し、このうち1種(以下、GGPL−1と言う)に
ついてシリカビーズカラムへの吸着を行ってその溶出分
離を行った。
コリン含有グリセロ糖脂質;マイコプラズマ・フェルメ
ンタンスGGPL株から抽出した脂質の中性脂質画分に
oricinol-H2 SO4 (糖の検出)、及び Dittmer(リ
ンの検出)試薬に反応する数種の脂質(リン糖脂質)を
検出し、このうち1種(以下、GGPL−1と言う)に
ついてシリカビーズカラムへの吸着を行ってその溶出分
離を行った。
【0017】前記のGGPL−1は、クロロホルム/メ
タノール/水による濃度勾配法において、 lysophospha
tidylcholine(以下、lysoPCとも言う)と分離不可能
であったが、1−プロパノール/アンモニア/水による
濃度勾配法(この場合、カラムから溶出した各フラクシ
ョンを酢酸で速やかに中和してアルカリによるエステル
の分解を抑えた)によって分離することができた。
タノール/水による濃度勾配法において、 lysophospha
tidylcholine(以下、lysoPCとも言う)と分離不可能
であったが、1−プロパノール/アンモニア/水による
濃度勾配法(この場合、カラムから溶出した各フラクシ
ョンを酢酸で速やかに中和してアルカリによるエステル
の分解を抑えた)によって分離することができた。
【0018】前記GGPL−1は、oricinol- H2 SO
4 、 Dittmer試薬及び Dragendorff試薬(コリンの検
出)に陽性を示し、しかも、緩和なアルカリ処理で分解
するものであった。
4 、 Dittmer試薬及び Dragendorff試薬(コリンの検
出)に陽性を示し、しかも、緩和なアルカリ処理で分解
するものであった。
【0019】(b)FTIR分析;GGPL−1をIR
分析した結果、960cm-1にコリンに由来する強い吸
収が認められ、又、エステル結合に由来する1740c
m-1及び1170cm-1の吸収が認められた。
分析した結果、960cm-1にコリンに由来する強い吸
収が認められ、又、エステル結合に由来する1740c
m-1及び1170cm-1の吸収が認められた。
【0020】(c)LSIMS(Liquid secondary ion
mass spectorometry )及びMS/MS分析;GGPL
−1の陽イオン−LSIMSの結果を図1に示す。その
図1によれば、分子イオンに相当するシグナルm/z8
96および924が確認された。そこで、GGPL−1
における主な分子イオンm/z896について、MS/
MS分析を行った。そのGGPL−1の分析において、
主要シグナルの帰属を概略示す結果を、図2に示す。そ
の図2の結果によれば、M−C16:0 (palmitic acid)、
Gro-Hex-P-choline(glycerol hexos phosphorylcholin
e)、 Hex-P-choline(hexos phosphoryl-choline)、 P-
choline(phosphorylcholine)、choline に相当する各
シグナルが明確に認められた。
mass spectorometry )及びMS/MS分析;GGPL
−1の陽イオン−LSIMSの結果を図1に示す。その
図1によれば、分子イオンに相当するシグナルm/z8
96および924が確認された。そこで、GGPL−1
における主な分子イオンm/z896について、MS/
MS分析を行った。そのGGPL−1の分析において、
主要シグナルの帰属を概略示す結果を、図2に示す。そ
の図2の結果によれば、M−C16:0 (palmitic acid)、
Gro-Hex-P-choline(glycerol hexos phosphorylcholin
e)、 Hex-P-choline(hexos phosphoryl-choline)、 P-
choline(phosphorylcholine)、choline に相当する各
シグナルが明確に認められた。
【0021】このことから、GGPL−1における(
[M+H] + 896)は、グリセロール−ヘキソース−
ホスホコリンに脂肪酸C16:0が2分子結合したグリセロ
糖リン脂質であることが示唆された。
[M+H] + 896)は、グリセロール−ヘキソース−
ホスホコリンに脂肪酸C16:0が2分子結合したグリセロ
糖リン脂質であることが示唆された。
【0022】(d)NMR分析( 1H−NMR);GG
PL−1のNMR( 1H−NMR)分析の結果を、図3
に示す。図3の結果によれば、GGPL−1の構造とし
ては、DHQ−COSY spectram により、セラミドを
含まず、ジアシルグリセロール構造(以下、Groとも
言う)を含むことが確認された。また、核には、α−グ
ルコースでその6位にホスホリルコリン基が結合し、1
位がグリセロール基と結合していることがわかった。1
H−NMR分析の各ピークの帰属をさらに詳細に明らか
にした結果を、図8および表1に示す。
PL−1のNMR( 1H−NMR)分析の結果を、図3
に示す。図3の結果によれば、GGPL−1の構造とし
ては、DHQ−COSY spectram により、セラミドを
含まず、ジアシルグリセロール構造(以下、Groとも
言う)を含むことが確認された。また、核には、α−グ
ルコースでその6位にホスホリルコリン基が結合し、1
位がグリセロール基と結合していることがわかった。1
H−NMR分析の各ピークの帰属をさらに詳細に明らか
にした結果を、図8および表1に示す。
【0023】(e)NMR分析(13C−NMR);すべ
てのピークが前述の各構造であることが説明された。ま
た、ホスホリルコリン基がα−グルコースの6位に結合
していることも再確認された。
てのピークが前述の各構造であることが説明された。ま
た、ホスホリルコリン基がα−グルコースの6位に結合
していることも再確認された。
【0024】さらに、GGPL−1は、グリセロール構
造のC−3(3位の炭素)において酸素を介してグリセ
ロール基がグルコース構造と結合していることを示して
いる約6ppmの低磁場シフトが見られた。また、GG
PL−1において、コリン構造のリン酸エステル側、N
側およびメチル基炭素は、それぞれの標準品のPCとほ
ぼ等しい化学シフトと結合定数を示した。
造のC−3(3位の炭素)において酸素を介してグリセ
ロール基がグルコース構造と結合していることを示して
いる約6ppmの低磁場シフトが見られた。また、GG
PL−1において、コリン構造のリン酸エステル側、N
側およびメチル基炭素は、それぞれの標準品のPCとほ
ぼ等しい化学シフトと結合定数を示した。
【0025】従って、前述のようにして得られたGGP
L−1は、グリセロール構造:1モル、脂肪酸構造:2
モル、α−グルコース構造(糖構造):1モル、ホスホ
リルコリン:1モルを有しており、しかもα−グルコー
スの6’位の炭素にホスホリルコリンが結合している新
規なタイプの糖リン脂質化合物であることが明らかにな
った。
L−1は、グリセロール構造:1モル、脂肪酸構造:2
モル、α−グルコース構造(糖構造):1モル、ホスホ
リルコリン:1モルを有しており、しかもα−グルコー
スの6’位の炭素にホスホリルコリンが結合している新
規なタイプの糖リン脂質化合物であることが明らかにな
った。
【0026】本発明の化合物は、マイコプラズマ・フェ
ルメンタンスGGPL株の培養によって得られその構造
が正確に確認されたものであり、その化学的な構造が前
述の構造式Iで示される化学構造を有している新規なホ
スホリルコリン含有グリセロ糖脂質化合物である。 即
ち、前記の化合物(GGPL−1)は、1'−〔2, 3−ビ
ス(ヘキサデカノイルオキシ)プロピル〕−α−D−グ
ルコピラノス−6'−イル−2"−(トリメチルアンモニウ
ム)エチルフォスフェートである。
ルメンタンスGGPL株の培養によって得られその構造
が正確に確認されたものであり、その化学的な構造が前
述の構造式Iで示される化学構造を有している新規なホ
スホリルコリン含有グリセロ糖脂質化合物である。 即
ち、前記の化合物(GGPL−1)は、1'−〔2, 3−ビ
ス(ヘキサデカノイルオキシ)プロピル〕−α−D−グ
ルコピラノス−6'−イル−2"−(トリメチルアンモニウ
ム)エチルフォスフェートである。
【0027】グリセロ糖脂質化合物類は、植物バクテリ
アで数多く見つかっているが、ホスホリルコリンを含有
したこのタイプのものは今まで報告がない。また、α−
グルコースにホスホリルコリン基が結合した構造も今ま
で報告がない。哺乳動物では脳と精巣からグリセロ糖脂
質が分離され構造が決定されているが、これは、α−グ
ルコース核、ホスホリルコリン構造を有していない。以
上のことにより、このGGPL−1は極めてユニークで
グリセロ糖脂質である。
アで数多く見つかっているが、ホスホリルコリンを含有
したこのタイプのものは今まで報告がない。また、α−
グルコースにホスホリルコリン基が結合した構造も今ま
で報告がない。哺乳動物では脳と精巣からグリセロ糖脂
質が分離され構造が決定されているが、これは、α−グ
ルコース核、ホスホリルコリン構造を有していない。以
上のことにより、このGGPL−1は極めてユニークで
グリセロ糖脂質である。
【0028】参考例1 i )培養;マイコプラズマ(マイコプラズマ・フェルメ
ンタンスGGPL株を含む)の培養はPPLO液体基礎
培地( Difco社製)に10%(容量/容量)牛血清、ペ
ニシリン、0.0002%(重量/容量)フェノールレッドお
よび1%グルコースを加えた液体培地100mlにて3
7℃で培養する。培地のpHの変化により、マイコプラ
ズマの増殖を確認した後、16,000xgで1時間遠心分離す
る。この洗浄操作をもう一度繰り返す。このようにして
得られた菌体を脂質抽出用の試料とする。
ンタンスGGPL株を含む)の培養はPPLO液体基礎
培地( Difco社製)に10%(容量/容量)牛血清、ペ
ニシリン、0.0002%(重量/容量)フェノールレッドお
よび1%グルコースを加えた液体培地100mlにて3
7℃で培養する。培地のpHの変化により、マイコプラ
ズマの増殖を確認した後、16,000xgで1時間遠心分離す
る。この洗浄操作をもう一度繰り返す。このようにして
得られた菌体を脂質抽出用の試料とする。
【0029】ii)脂質の抽出;菌体試料をメタノール1
0mlに浮遊させて4時間なじませる。クロロホルム2
0mlを加え、メタノールとの割合が2:1(クロロホ
ルム:メタノール)と成るようにする。超音波で菌体を
破砕し、さらに4時間放置する。3000rpmで遠心
し、その上清を回収しエバポレーションし、目的の脂質
を得る。
0mlに浮遊させて4時間なじませる。クロロホルム2
0mlを加え、メタノールとの割合が2:1(クロロホ
ルム:メタノール)と成るようにする。超音波で菌体を
破砕し、さらに4時間放置する。3000rpmで遠心
し、その上清を回収しエバポレーションし、目的の脂質
を得る。
【0030】iii )分画(TLC);展開溶媒は、クロ
ロホルム:メタノール:0.2%塩化カルシウム水溶液
(55:45:1)の混合溶媒を用いた。 iv)検出;分画後のリン脂質の検出はデットマー(Ditt
mer's )の試薬により、糖脂質の検出はオルシノール
(orcinol )の試薬を用い、それぞれ染色により行っ
た。
ロホルム:メタノール:0.2%塩化カルシウム水溶液
(55:45:1)の混合溶媒を用いた。 iv)検出;分画後のリン脂質の検出はデットマー(Ditt
mer's )の試薬により、糖脂質の検出はオルシノール
(orcinol )の試薬を用い、それぞれ染色により行っ
た。
【0031】図4は、各種のマイコプラズマ株の脂質画
分をTLCで展開したものをリン脂質染色する方法で染
色した。図4の各番号は次に示すマイコプラズマ株であ
る。 番号1:MT−4(GGPL+)細胞 番号2:マイコプラズマ・フェルメンタンス GGPL (M.f
ermentans GGPL) 株 番号3:マイコプラズマ・アルギニニ G230 (M.a
rginini G230) 株 番号4:マイコプラズマ・フェルメンタンス PG18 (M.f
ermentans PG18) 株 番号5:マイコプラズマ・ヒオルヒニス DBS1050 (M.h
yorhinis DBS1050) 株 番号6:マイコプラズマ・オラレ CH19299 (M.ora
le CH19299) 株 番号7:マイコプラズマ・ペネトランスGTU-54-6A1(M.p
enetrans GTU-54-6A1)株 番号8:マイコプラズマ・サリバリウム PG20 (M.s
alivarium PG20) 株
分をTLCで展開したものをリン脂質染色する方法で染
色した。図4の各番号は次に示すマイコプラズマ株であ
る。 番号1:MT−4(GGPL+)細胞 番号2:マイコプラズマ・フェルメンタンス GGPL (M.f
ermentans GGPL) 株 番号3:マイコプラズマ・アルギニニ G230 (M.a
rginini G230) 株 番号4:マイコプラズマ・フェルメンタンス PG18 (M.f
ermentans PG18) 株 番号5:マイコプラズマ・ヒオルヒニス DBS1050 (M.h
yorhinis DBS1050) 株 番号6:マイコプラズマ・オラレ CH19299 (M.ora
le CH19299) 株 番号7:マイコプラズマ・ペネトランスGTU-54-6A1(M.p
enetrans GTU-54-6A1)株 番号8:マイコプラズマ・サリバリウム PG20 (M.s
alivarium PG20) 株
【0032】この図から、GGPL−1に相当するバン
ドが示されているが、これはマイコプラズマ・フェルメ
ンタンスが感染したT細胞(レーン1)とマイコプラズ
マ・フェルメンタンスGGPL株(レーン2)及びマイ
コプラズマ・フェルメンタンスPG18株(レーン4)
にのみ認められ、その他のマイコプラズマ種では認めら
れなかった。
ドが示されているが、これはマイコプラズマ・フェルメ
ンタンスが感染したT細胞(レーン1)とマイコプラズ
マ・フェルメンタンスGGPL株(レーン2)及びマイ
コプラズマ・フェルメンタンスPG18株(レーン4)
にのみ認められ、その他のマイコプラズマ種では認めら
れなかった。
【0033】図5は、図4と同じ試料についてTLCで
展開後、糖脂質を発色させる試薬を用いて染色したもの
である。GGPL−1に相当するバンドが図4と同様に
染色された。図5における番号1〜8は、図4における
各試料の番号と同じ内容である。
展開後、糖脂質を発色させる試薬を用いて染色したもの
である。GGPL−1に相当するバンドが図4と同様に
染色された。図5における番号1〜8は、図4における
各試料の番号と同じ内容である。
【0034】図6は、図4と同じ試料についてTLCで
展開後、マイコプラズマ・フェルメンタンスをウサギに
免疫し作製したポリクロナール抗体で図4と同じ試料を
免疫染色したものである。図6よりGGPL−1のバン
ドがマイコプラズマ・フェルメンタンスの成分とのみ特
異的に強く反応していることがわかる。図6における番
号1〜8は、図4における各試料の番号と同じ内容であ
る。
展開後、マイコプラズマ・フェルメンタンスをウサギに
免疫し作製したポリクロナール抗体で図4と同じ試料を
免疫染色したものである。図6よりGGPL−1のバン
ドがマイコプラズマ・フェルメンタンスの成分とのみ特
異的に強く反応していることがわかる。図6における番
号1〜8は、図4における各試料の番号と同じ内容であ
る。
【0035】図7は、マイコプラズマ・フェルメンタン
スの脂質をTLCで展開後、他の各種マイコプラズマを
ウサギに免疫し作製した抗血清との反応性を調べたもの
である。他のマイコプラズマ種に対して作製した抗血清
はマイコプラズマ・フェルメンタンスの脂質成分とは反
応せず、マイコプラズマ・フェルメンタンスに対し作製
した血清のみ(番号1,2)が反応していた。
スの脂質をTLCで展開後、他の各種マイコプラズマを
ウサギに免疫し作製した抗血清との反応性を調べたもの
である。他のマイコプラズマ種に対して作製した抗血清
はマイコプラズマ・フェルメンタンスの脂質成分とは反
応せず、マイコプラズマ・フェルメンタンスに対し作製
した血清のみ(番号1,2)が反応していた。
【0036】図7の各番号は次に示す内容である。 番号1:抗 M.fermentans 1 血清 番号2:抗 M.fermentans 2 血清 (番号1と異なる
ウサギに免疫したものである) 番号3:抗 M.pneumoniae 血清 番号4:抗 M.arginini 血清 番号5:抗 M.hyorhinis血清 番号6:抗 M.orale血清 番号7:抗 M.hominis血清
ウサギに免疫したものである) 番号3:抗 M.pneumoniae 血清 番号4:抗 M.arginini 血清 番号5:抗 M.hyorhinis血清 番号6:抗 M.orale血清 番号7:抗 M.hominis血清
【0037】各種マイコプラズマの同定は、血清反応が
今のところ最も重視されている。今回、構造決定した物
質は、マイコプラズマ・フェルメンタンス種に特異的に
存在し、しかも脂質画分において最も重要な抗原決定基
であることが示された。
今のところ最も重視されている。今回、構造決定した物
質は、マイコプラズマ・フェルメンタンス種に特異的に
存在し、しかも脂質画分において最も重要な抗原決定基
であることが示された。
【0038】
【表1】
【0039】
【本発明の作用効果】本発明の化合物は、マイコプラズ
マ・フェルメンタンスから精製分離された新規なホスホ
リルコリン含有グリセロ糖脂質化合物である。また、マ
イコプラズマ・フェルメンタンスは、ヒトレトロウイル
ス、あるいはリウマチなどで病原性が強く疑われている
微生物である。従って、このユニークなグリセロ糖脂質
やその中間体が診断薬及び医薬に有用である可能性は大
きい。
マ・フェルメンタンスから精製分離された新規なホスホ
リルコリン含有グリセロ糖脂質化合物である。また、マ
イコプラズマ・フェルメンタンスは、ヒトレトロウイル
ス、あるいはリウマチなどで病原性が強く疑われている
微生物である。従って、このユニークなグリセロ糖脂質
やその中間体が診断薬及び医薬に有用である可能性は大
きい。
【図1】GGPL−1の陽イオン−LSIMSの結果を
示すチャート図である。
示すチャート図である。
【図2】GGPL−1のMS/MS分析の結果を示すチ
ャート図である。
ャート図である。
【図3】GGPL−1のNMR( 1H−NMR)分析の
結果を示すチャート図である。
結果を示すチャート図である。
【図4】リン脂質染色
【図5】糖脂質の染色
【図6】脂質の免疫染色
【図7】各種抗血清との反応性
【図8】GGPL−1のNMR( 1H−NMR)分析の
結果を示すチャート図である。
結果を示すチャート図である。
Claims (1)
- 【請求項1】1'−〔2, 3−ビス(ヘキサデカノイルオキ
シ)プロピル〕−α−D−グルコピラノス−6'−イル−
2"−(トリメチルアンモニウム)エチルフォスフェー
ト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7022501A JPH07278174A (ja) | 1994-02-18 | 1995-02-10 | ホスホリルコリン含有グリセロ糖脂質化合物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6-21429 | 1994-02-18 | ||
JP2142994 | 1994-02-18 | ||
JP7022501A JPH07278174A (ja) | 1994-02-18 | 1995-02-10 | ホスホリルコリン含有グリセロ糖脂質化合物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07278174A true JPH07278174A (ja) | 1995-10-24 |
Family
ID=26358487
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7022501A Pending JPH07278174A (ja) | 1994-02-18 | 1995-02-10 | ホスホリルコリン含有グリセロ糖脂質化合物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07278174A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5212973B2 (ja) * | 2005-08-22 | 2013-06-19 | 国立大学法人名古屋大学 | 糖脂質誘導体合成中間体及びその製造方法、並びに糖脂質誘導体及びその製造方法 |
JP2016056268A (ja) * | 2014-09-09 | 2016-04-21 | 日油株式会社 | ホスホリルコリン基含有糖誘導体及びその製造方法 |
JP2016056267A (ja) * | 2014-09-09 | 2016-04-21 | 日油株式会社 | ホスホリルコリン基含有糖誘導体及びその製造方法 |
-
1995
- 1995-02-10 JP JP7022501A patent/JPH07278174A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5212973B2 (ja) * | 2005-08-22 | 2013-06-19 | 国立大学法人名古屋大学 | 糖脂質誘導体合成中間体及びその製造方法、並びに糖脂質誘導体及びその製造方法 |
JP2016056268A (ja) * | 2014-09-09 | 2016-04-21 | 日油株式会社 | ホスホリルコリン基含有糖誘導体及びその製造方法 |
JP2016056267A (ja) * | 2014-09-09 | 2016-04-21 | 日油株式会社 | ホスホリルコリン基含有糖誘導体及びその製造方法 |
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