JPH07274585A - ブラシレスモータの停止位置検出方法及びブラシレスモータの駆動制御装置 - Google Patents

ブラシレスモータの停止位置検出方法及びブラシレスモータの駆動制御装置

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JPH07274585A
JPH07274585A JP6060711A JP6071194A JPH07274585A JP H07274585 A JPH07274585 A JP H07274585A JP 6060711 A JP6060711 A JP 6060711A JP 6071194 A JP6071194 A JP 6071194A JP H07274585 A JPH07274585 A JP H07274585A
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JP6060711A
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Kiyoshi Yamamoto
山本  清
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Hokuto Seigyo KK
Original Assignee
Hokuto Seigyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 センサ素子を用いずに、静的な方法でロータ
の回転停止位置を検出することにより、ロータ振動や逆
転が無くて滑らかに始動させることができ、立ち上がり
速度も速く、しかも小型化が可能のブラシレスモータの
停止位置検出方法を実現すること。 【構成】 起動時の励磁信号の周波数よりも高周波の診
断信号Tが巻線U,V間に印加されると、ロータは動か
ないが、巻線Wには相互誘導による誘導電圧信号Sが観
測される。この誘導信号Sは、ロータの回転停止位置に
応じ、巻線Wが対面するロータの磁極の面積(磁極数)
や極性で決まるヨークの磁気抵抗値(相互インダクタン
スM)を反映しており、位相とレベル(電圧値)が周期
的に変化する。誘導信号Sを検出してその位相や電圧値
等によりロータの回転停止位置(励磁相)を特定するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ブラシレスモータ(ブ
ラシレスDCモータ)に関し、特に、センサを用いずに
ロータの停止位置(ロータ停止時の励磁相)を検出する
ブラシレスモータの停止位置検出方法及びブラシレスモ
ータの駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ブラシレスモータの駆動制御回
路は、ロータ(磁極)回転中においてその回転位置を検
出するための逆起電力検出回路と、ロータの回転速度を
検出するための逆起電力のゼロクロス検出回路とを有し
ている。しかし、ロータ停止状態では逆起電力が発生し
ていないため、上述の逆起電力検出回路だけでは回転停
止位置の検出は不可能である。そのために、ロータの停
止位置を検出するための停止位置検出回路を設ける必要
がある。この停止位置検出回路は起動時に最大トルクを
発生する励磁相を励磁させるために必要であるが、従
来、停止位置検出回路としては複数個のホール素子をロ
ータの周辺に実装したセンサ型駆動制御回路が知られて
いる。しかし、このセンサ型駆動制御回路では、複数個
のホール素子や必要に応じてロータとは別に位置検出用
磁石等を実装しなければならないため、モータの小型化
や低コスト化の障害となっている。このため、ホール素
子等のセンサを用いずにロータの停止位置を検出するセ
ンサレス型駆動制御回路の実現が強く望まれている。
【0003】従来、センサレス型駆動制御回路の一般的
な構成としては、最大トルクを発生する励磁相は不明で
あるため、起動時に任意の相を強制的に励磁してロータ
を動かす強制励磁制御回路を有している。強制励磁制御
回路によってロータが動くと、巻線端子間に逆起電力が
発生するため、通常回転時における位置情報を得るため
の逆起電力検出回路を利用してその停止位置情報を得る
ようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
強制励磁制御回路を備えたセンサレス型駆動制御回路に
あっては、次のような問題点がある。
【0005】 無作為の強制励磁の際、ロータが発生
トルクの小さい位置に停止しているときにはトルク不足
で起動しないことがあるため、強制励磁制御回路によっ
て励磁シーケンスの励磁相をロータ回転とは無関係に切
り替える必要があるが、ロータが振動したり、また大き
く逆転することがあるため、脱調により滑らかな起動が
できないばかりでなく、正規の起動迄のタイムロスが大
きく、立ち上げ速度が遅いという問題点があった。
【0006】 逆起電力は回転速度に比例するため、
負荷が大きい場合、強制励磁させても逆起電力が発生す
る程の動き(速度)が得られないこともあるため、起動
できないという致命的な問題点もあった。これを改善す
るためには、巻線回数を多くしおく必要があるが、これ
ではモータの小型化にとって不都合である。
【0007】このような問題点があるため、従来の無作
為の強制励磁モードを持つセンサレス型駆動回路は主流
と成り得ず、摩擦負荷,動力負荷の分野には不向きで、
用途範囲が極めて限定されていた。
【0008】そこで上記問題点に鑑み、本発明の課題
は、強制的なロータ回転により起動をかけるのではな
く、センサ素子を用いずに、静的なセンシングによって
ロータの停止位置を検出することにより、ロータ振動や
逆転が無くて滑らかに起動させることができ、立ち上が
り速度も速く、しかもブラシレスモータの小型化を可能
とするブラシレスモータの停止位置検出方法及びブラシ
レスモータの駆動制御装置を実現するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係るブラシレスモータの停止位置検出方法
は、n相の励磁巻線と極数2Nのロータとを備えたブラ
シレスモータにおいて、起動時の励磁信号の周波数より
も高周波数の診断信号を上記n相の励磁巻線のうち単一
巻線又は2以上の直列接続の巻線に印加すると同時に、
その直列接続のいずれかの巻線又はその余の1若しくは
2以上の巻線に生じる誘導電圧信号を検出することによ
り上記ロータの停止位置を特定することを特徴とする。
ここで、種々の停止位置の特定方法(後処理)が採用で
きるが、上記診断信号の波形と上記誘導電圧信号の波形
との比較によりロータの停止位置を特定することができ
る。
【0010】波形の比較とは、例えば、正相・逆相の判
定やゼロクロス点とピーク点又はボトム点の位相差の判
定などを言う。
【0011】また、上記診断信号を上記励磁巻線のいず
れもに巡回的に印加しつつ、上記誘導電圧信号を上記励
磁巻線のいずれもから巡回的に取り出し、複数の上記誘
導電圧信号の組を検出することにより上記ロータの停止
位置を特定することができる。
【0012】上述のような検出方法を実施するブラシレ
スモータの駆動制御装置としては、n相の励磁巻線と極
数2Nのロータとを備えたブラシレスモータにおいて、
起動時の励磁信号の周波数よりも高周波数の診断信号を
上記n相の励磁巻線のうち単一巻線又は2以上の直列接
続の巻線に印加する診断信号印加手段と、その直列接続
のいずれかの巻線又はその余の1又は2以上の巻線に生
じる誘導電圧信号を検出して上記ロータの停止時の励起
相を特定する励磁相検出手段とを有するものである。
【0013】かかるブラシレスモータのn相の励磁巻線
が3相のU巻線,V巻線及びW巻線であるときには、診
断信号印加手段は、上記診断信号を発生する診断信号発
振手段と、その診断信号を少なくとも1周期以上U巻線
−V巻線間,V巻線−W巻線間,及びW巻線−U巻線間
に対し巡回的に切り替えて印加する診断信号振分手段と
を有し、励磁相検出手段は、W巻線,V巻線及びU巻線
に生じる誘導電圧信号を巡回的に取り込む誘導信号収集
手段と、上記診断信号に対して上記誘導電圧信号が正相
か逆相かを判定して2値化する正相・逆相判定手段と、
上記誘導電圧信号のピーク点又はボトム点とゼロクロス
点の位相差を判定して2値化する位相差判定手段と、正
相・逆相判定手段からの2値化情報と位相差判定手段か
らの2値化情報とを解読してロータ停止時の励磁相を特
定するデコーダとを有する。
【0014】
【作用】このように、停止状態においてロータ停止位置
を検出する際には、起動させるための励磁信号を巻線に
印加するのではなく、起動時の励磁信号の周波数よりも
高周波数の診断信号を巻線に印加すると、直列接続のい
ずれかの巻線には主として自己誘導による誘導電圧信号
が、その余の1若しくは2以上の巻線には主として相互
誘導による誘導電圧信号が現れる。この誘導電圧信号の
波形は、巻線が対面するロータの磁極数,面積,透磁率
等を反映したものとなっており、停止位置を変化させる
と誘導電圧信号の波形には周期性が現れる。このため、
誘導電圧信号を検出することにより停止位置の特定がで
きる。ここで、診断信号は高周波数であるため、モータ
起動は起こらず不動であり、診断信号の印加が励磁相を
狂わせてしまうことがない。また、高周波数であればあ
る程、自己誘導又は相互誘導が顕著になり、誘導信号振
幅が大きくなって高感度検出が可能となる。
【0015】従って、本発明の検出方法は、ホール素子
等を用いずに、高周波数信号の印加と誘導信号の取り出
しによって停止位置を知り得るので、最大トルクを発生
する励磁相から確実に励磁させることができ、滑らか且
つ迅速な起動が可能となり、ブラシレスモータの巻線回
数を増やして余裕トルクを持たせておく必要がなく、ブ
ラシレスモータの小型化・低コスト化を図ることができ
る。また、摩擦負荷・動力負荷の状態でも起動を楽にか
けることができ、ブラシレスモータの用途範囲を拡大す
ることができる。
【0016】ここで、ロータ停止位置によって誘導電圧
信号の波形が変わる訳であるから、停止位置に対応させ
た誘導信号波形を記憶させた参照データと検出された誘
導信号電圧波形とを比較することにより停止位置を特定
することができるが、記録容量が大きくなり過ぎ、比較
操作回数が厖大化する。このため、上記診断信号の波形
と上記誘導電圧信号の波形との比較によりロータの停止
位置を特定することができる。ここで波形の比較とは、
例えば、正相・逆相の判定やゼロクロス点とピーク点又
はボトム点の位相差の判定などを言う。
【0017】自己誘導を利用する場合は、診断信号を印
加する巻線と誘導信号が取り出される巻線が一致するこ
とがあり、相互誘導を利用する場合は、診断信号を印加
する巻線と誘導信号が取り出される巻線が異なるが、励
磁巻線は、デルタ結線又はスター結線のように巡回的に
配置されているので、診断信号を巡回的に巻線に印加し
つつ、誘導電圧信号を巻線から巡回的に取り出し、複数
の誘導電圧信号の組を検出することによりロータ停止位
置を特定することができる。このような誘導電圧信号の
組を作ると、ある巻線の誘導電圧信号のレベルが零に近
く比較困難なときには、別の巻線の誘導電圧信号が比較
可能なレベルにあるため、分解能の高い停止位置の検出
が可能となる。
【0018】ブラシレスモータの駆動制御装置として
は、上述のように、診断信号印加手段と、励磁相検出手
段とを有する構成を採用できる。停止位置の検出の意義
は起動時に最大トルクを発生する励磁相を見出すことに
あるため、それに適合するよう励磁相検出手段を具備す
ることが望ましい。
【0019】U巻線,V巻線及びW巻線を持つ3相ブラ
シレスモータの実験では、ロータ停止位置の如何で診断
信号に対して誘導信号が正相のときと逆相のときがあっ
た。
【0020】またゼロクロス点とピーク点又はボトム点
の位相差の絶対値が2つに分類できた。このような事実
に基づいて、励磁相検出手段を正相・逆相判定手段と位
相差判定手段を有する構成とすることにより、複数励磁
相のうち最適な励磁相を唯一だけに特定することが可能
となった。
【0021】
【実施例】次に、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0022】図1は本発明の実施例に係る3相デルタ結
線のブラシレスモータの回転停止位置検出方法を説明す
るための説明図である。
【0023】ブラシレスモータの巻線(励磁巻線)の数
は論理的にはn相(n≧2)とすることができるが、2
〜4相が一般的である。本例では巻線数を3相(U巻
線,V巻線,W巻線)とした。結線方法としてはデルタ
結線とスター結線とがあるが、本例ではスター(Y)結
線が採用されており、リード線の本数は巻線数3の外、
すべての巻線の一端が共通に接続するコモン線(共通
線)Cがある。ブラシレスモータのロータは特に図示し
てないが、一般に、アウターロータ,インナーロータ,
フラットロータなどがある。本例ではアウターロータと
して話しを進める。
【0024】アウターロータの磁極数は一般に2N(N
≧1)であるが、本例では8極(S極が4、N極が4)
のロータを用いてある。従って、本例の3相8極のブラ
シレスモータでは、励磁シーケンスは全波駆動のとき
(巻線に逆方向にも通電するとき)、6ステップ(6励
磁相)あり、励磁相をW−V相、U−V相、U−W相、
V−W相、V−U相、W−U相とする。励磁シーケンス
の1周は1電気角に相当し、各励磁相は電気角で60°
Eである。8極モータでは励磁シーケンスを4回繰り返
すとロータが1回転するので、機械角90°が1電気角
=360°Eに相当している。
【0025】先ず、本例の回転停止位置検出方法につい
て説明する。この方法は、第1に、ロータの回転停止時
(例えば起動直前)に、モータを起動運転させるための
比較的周波数の低い励磁信号を巻線に印加するのではな
く、起動時の励磁信号の周波数よりも高周波数の診断信
号(電圧)を励磁巻線のうち単一巻線又は直列接続の巻
線に印加するようにしている。図1(a)の例では、U
巻線とV巻線との直列接続の両端に正弦波の診断信号
(電圧)Tを印加するようにしている。図1(b)又は
(c)の例では、V巻線のみの両端に正弦波の診断信号
(電圧)Tを印加するようにしている。ここで、診断信
号Tは高周波であればあるほど良く、また波高値も大き
い方が良い。本例の診断信号Tの波形は正弦波形として
あるが、これは容易に作成できる点と解析性が良い点か
らの一般的な選択である。しかし、正弦波に限定する必
要はなく、後述する誘導信号の諸属性の観測性を高める
ために、異なる周波数を持つ正弦波の合成波、鋸歯形、
ステップ(矩形)波形などを適宜採用できる。なお、ス
テップ波形の場合、浮遊容量等が回路上に寄生するた
め、時定数によるオーバーシュート等の部分のゼロクロ
ス点,ピーク点,ボトム点を容易に捉えることができ
る。
【0026】本例の回転停止位置検出方法は、第2に、
診断信号Tを印加した巻線以外の1又は2以上の巻線に
生じる相互誘導による誘導信号(電圧)Sを検出するよ
うにしている。図1(a)又は(c)の例では、巻線W
のみの両端に生じる誘導信号Sを検出するようにしてい
る。図1(b)の例では、巻線WとUの直列接続の両端
に生じる誘導信号Sを検出するようにしている。例えば
図1(a)に示すように、高周波の診断信号Tが巻線
U,V間に印加されると、それが印加された巻線U,V
には自己インダクタンスLによる自己誘導が起こるが、
その余の巻線(開放巻線)Wには相互インダクタンスM
の相互誘導が起こり、誘導信号Sが観測されることにな
る。この誘導信号Sは、ロータの回転停止位置に応じ、
巻線Wが対面するロータの磁極の面積(磁極数)や極性
で決まるヨークの磁気抵抗値(相互インダクタンスM)
を反映しており、位相とレベル(電圧値)が周期的に変
化する。勿論、1電気角=機械角90°だけロータが回
転した場合はロータの磁極が正確に回転対称であれば回
転前と同一状態にあるので、同一磁気抵抗値となり、得
られる誘導信号は等しい。従って、誘導信号Sを検出し
てその位相や電圧値によりロータの回転停止位置を特定
することができる。ここで、ロータの回転停止位置を特
定とは、どのような励磁相にあるかと言う程度の意味で
あり、起動のための最大トルクが得られる励磁相が判明
すれば充分である。なお、本実施例では、相互誘導を利
用するため、診断信号Tが印加される巻線と誘導信号S
を取り出す巻線とが異なっているが、誘導信号の検出レ
ベルは若干低くなるものの、診断信号Tが印加される巻
線と誘導信号Sを取り出す巻線とが一致していても良
い。
【0027】これは自己誘導を利用するものである。例
えば、U巻線とV巻線との直列接続の両端に正弦波の診
断信号(電圧)Tを印加しつつ、そのいずれかの巻線の
自己誘導による誘導電圧を検出する。励磁相の特定方法
(後処理法)は種々の方法が採用できるが、例えばU巻
線の誘導信号とV巻線の誘導信号との差電圧を導出し、
これと診断信号Tとを比較することにより励磁相を特定
することができる。
【0028】ここで本例では、具体的に図1(a)の態
様の回転停止位置検出方法について図2及び図3に示す
ような誘導信号波形を観測した。
【0029】図2中の(a)は、巻線UとVの間に励磁
信号T=vsin(2 πft) を1周期印加した状態を示す。
但し、f は周波数で、本例では1KHzとした。なお、電
気角は巻線UとVを励磁したとき(U−V相)、無負荷
状態で自然にロータが停止した位置(トルク=0の位
置)を0°Eとした。この位置=0°Eのときの開放巻
線W(W−C間)に現れる誘導信号W−Cの波形は、
(b)に示すように、すべての位相でレベルゼロであっ
た。理想的な場合を論じると、トルク=0の位置は、巻
線UとVの磁束が巻線Wを鎖交せず相互インダクタンス
M=0を意味しているため、診断信号の如何に拘らず、
誘導信号はレベルゼロと推測できる。そして時計方向に
電気角1°Eだけ回した位置での誘導信号W−Cの波形
は、(c)に示す如く、ゼロクロス点0が診断信号Tの
それよりも位相差Xだけ進んでおり、診断信号Tの正相
の波形となっている。ピーク点PKはゼロクロス点Oよ
り位相差Yだけ遅れたA点である。ゼロクロス点Oのシ
フト量(位相差X)は当該診断信号Tの周波数fにおけ
るモータの機械要素及び回路のインダクタンス成分Lと
容量成分Cにより決まる値である。位相差Xだけ進んで
いる理由は巻線により誘導性が優勢的だからである。誘
導信号の波形曲線は正弦波でなく、ゼロクロス点O側に
圧縮された変形波形であるが、ここでは微分方程式を立
てて解析的な手法で論じることが難しいので、以下実験
結果のみを記すことにする。次に、電気角20°Eの停
止位置での誘導信号W−Cの波形は、(d)に示す如
く、ピーク点PKがA点で、レベルが電気角1°Eのと
きよりも大きくなっている。次に、電気角79°Eの停
止位置での誘導信号W−Cの波形は、(e)に示す如
く、ピーク点PKがA点で、レベルが電気角20°Eの
ときよりも小さくなっている。図示してないが、本例で
は電気角80°Eの停止位置で誘導信号のレベルがゼロ
になった。これはトルク最大付近であるが、巻線U,V
と巻線Wとの磁気結合においては相互インダクタンスM
=0の状態を意味している。ところで、機械角90°回
転する間に、巻線の対面するロータの磁極数は偶数を中
心として+1と−1との間で増減するため、同一の磁極
数をとる位置が2箇所ある。トルク零とトルク最大がそ
れぞれ2箇所あるため、誘導信号のレベルがゼロになる
ときは、電気角360°Eのうち4箇所で、ロータ磁極
の着磁位置が正確に等間隔であれば電気角90°E毎で
誘導信号が無信号状態になるが、現実には着磁位置が若
干ずれているため、上述のように、電気角80°Eの位
置になっている。このように、電気角0°E〜電気角8
0°Eの第1フェーズでは、誘導信号W−Cの波形は、
ピーク点PKがゼロクロス点Oより位相差Yだけ遅れた
A点にあり、診断信号Tに対して正相の波形となってい
る。
【0030】次に、電気角81°Eの停止位置での誘導
信号W−Cの波形は、図2(f)に示す如く、ピーク点
PKがゼロクロス点Oより位相差Zだけ進んだB点にあ
り、診断信号Tの波形に対して逆相の波形となってい
る。次に、電気角140°Eの停止位置での誘導信号W
−Cの波形は、図2(g)に示す如く、ピーク点PKが
B点にあり、レベルが電気角81°Eのときよりも大き
く、そして診断信号Tの波形に対して逆相の波形となっ
ている。次に、電気角179°Eの停止位置での誘導信
号W−Cの波形は、図2(h)に示す如く、ピーク点P
KがB点にあり、レベルが電気角140°Eのときより
も小さく、そして診断信号Tの波形に対して逆相の波形
となっている。また図示してないが、電気角180°E
の停止位置で誘導信号のレベルがゼロになった。従っ
て、電気角80°E〜電気角180°Eの第2フェーズ
では、誘導信号W−Cの波形は、ピーク点PKがゼロク
ロス点Oより位相差Zだけ進んだB点にあり、診断信号
Tに対して逆相の波形となっている。
【0031】次に、電気角181°Eの停止位置での誘
導信号W−Cの波形は、図3(b)に示す如く、ピーク
点PKがゼロクロス点Oより位相差Zだけ遅れたC点に
あり、図3(a)に示す診断信号Tの波形に対して正相
の波形となっている。次に、電気角200°Eの停止位
置での誘導信号W−Cの波形は、図3(c)に示す如
く、ピーク点PKがC点にあり、レベルが電気角181
°Eのときよりも大きく、そして診断信号Tの波形に対
して正相の波形となっている。次に、電気角259°E
の停止位置での誘導信号W−Cの波形は、図3(d)に
示す如く、ピーク点PKがC点にあり、レベルが電気角
181°Eのときよりも小さく、そして診断信号Tの波
形に対して正相の波形となっている。また図示してない
が、電気角260°Eの停止位置で誘導信号のレベルが
ゼロになった。従って、電気角180°E〜電気角26
0°Eの第3フェーズでは、誘導信号W−Cの波形は、
ピーク点PKがゼロクロス点Oより位相差Zだけ遅れた
C点にあり、診断信号Tに対して正相の波形となってい
る。
【0032】次に、電気角261°Eの停止位置での誘
導信号W−Cの波形は、図3(e)に示す如く、ピーク
点PKがゼロクロス点Oより位相差Yだけ進んだD点に
あり、図3(a)に示す診断信号Tの波形に対して逆相
の波形となっている。次に、電気角320°Eの停止位
置での誘導信号W−Cの波形は、図3(f)に示す如
く、ピーク点PKがD点にあり、レベルが電気角261
°Eのときよりも大きく、そして診断信号Tの波形に対
して逆相の波形となっている。次に、電気角359°E
の停止位置での誘導信号W−Cの波形は、図3(g)に
示す如く、ピーク点PKがD点にあり、レベルが電気角
320°Eのときよりも小さく、そして診断信号Tの波
形に対して逆相の波形となっている。また勿論、図2
(b)に示す如く、電気角360°E=0°Eの停止位
置で誘導信号のレベルがゼロになった。従って、電気角
260°E〜電気角360°Eの第4フェーズでは、誘
導信号W−Cの波形は、ピーク点PKがゼロクロス点O
より位相差Yだけ進んだD点にあり、診断信号Tに対し
て逆相の波形となっている。
【0033】このように、誘導信号の位相変化はロータ
が電気角360°E回転すると、2サイクル発生する。
即ち、図4(a)に示す如くの正弦波の診断信号Tが印
加された場合、電気角の如何に拘らず、図4(b)に示
すように、誘導信号のゼロクロス点0は位相差Xだけ進
むが、ピーク点PKは、A→B→C→Dの順で移動す
る。ここで、図2及び図3の誘導信号の波形(特性)は
ロータの回転停止位置と一対一に対応している。このた
め、予め誘導信号の参照データを記憶しておき、検出さ
れた誘導信号と参照データとを比較することにより回転
停止位置を求めることができる。ここで、参照データと
しては波形の相似性から停止位置を検出するには1周期
内で複数点のサンプリング値を用いることができ、1回
の診断信号の印加と同時に誘導信号を検出するだけで停
止位置を求めることができる。しかし、記憶データ量や
一致判断の演算回数が多くなることを考慮すると、以下
に説明するように、各巻線の誘導信号からピーク点PK
のシフトと正相又は逆相の関係に基づき停止位置(励磁
相)を特定することができる。
【0034】図5は本例の回転停止位置検出方法を説明
するためのタイミングチャートである。励磁シーケンス
は6ステップの励磁相(W−V相、U−V相、U−W
相、V−W相、V−U相、W−U相)から成り、各励磁
相の電気角は60°Eである。
【0035】レベルWは巻線UとV間に診断信号Tを与
えたときの巻線Wの誘導信号W−C波形が診断信号T又
はコモンCの波形に対して正相か逆相かを2値化したも
ので、正相のときは0、逆相のときは1とした。従っ
て、レベルWの波形の立ち上がり点は、前述したよう
に、電気角80°E、260°Eで発生し、トルクピー
ク点付近である。なお、本例のモータでは、電気角90
°E、270°Eでトルクビーク点があるのではなく、
着磁などの関係で電気角90°E、270°Eにあり、
電気角10°Eだけずれている。またレベルWの波形の
立ち下がり点は、トルクゼロ点に生じ、その位置は電気
角0°E、180Eであり、励磁切り替え点に正確に一
致している。同様にして、レベルUは、巻線VとW間に
診断信号Tを与えたときの巻線Uの誘導信号U−C波形
が診断信号T又はコモンCの波形に対して正相か逆相か
を2値化したものであり、レベルWに対して電気角12
0°Eだけ遅れた波形となっている。また、レベルV
は、巻線WとU間に診断信号Tを与えたときの巻線Vの
誘導信号V−C波形が診断信号T又はコモンCの波形に
対して正相か逆相かを2値化したものであり、レベルU
に対して電気角120°Eだけ遅れた波形となってい
る。データD0〜D2は、レベルW,U,Vを2進数値
化したもので、レベルWが最下位ビットD0、レベルU
が2ビット目D1、レベルVが最上位ビットD2にそれ
ぞれ相当している。このように、データD0〜D2は、
0°〜180°までの間で4→6→2→3→1の順で変
化する。また180°〜360°までの間でも同様な値
の順で変化する。データD0〜D2の値をデコードすれ
ば12箇所から2箇所を特定できる。ただ、電気角18
0°だけ位相がずれた位置(2箇所)のいずれかは判定
できない。そこで、本例ではフェーズW,U,Vの概念
を導入して位置を1箇所に特定するようにしている。即
ち、フェーズWは誘導信号W−Cのピーク点PKと診断
信号Tのそれとの位相差がYのときを0、位相差がZの
ときを1とすると、図2及び図3から明らかなように、
0°〜80°は0、80°〜260°は1、260°〜
360°は0である。
【0036】フェーズUは同様に誘導信号U−Cの位相
差を2値化したもので、フェーズWよりも120°位相
がずれている。また、フェーズV同様に誘導信号V−C
の位相差を2値化したもので、フェーズUよりも120
°位相がずれている。従って、いずれかのフェーズW,
U,Vを調べることにより停止位置を1箇所に特定する
ことができる。例えばフェーズWだけを調べるようにし
ても良いが、例えば位置1°Eのときは誘導信号W−C
のレベルがゼロに接近しているため、その位相差の判別
が難しく分解能が悪い。しかし、誘導信号U−C,W−
Cではレベルが大きいので、相補的な意味でフェーズ
U,Vも作り、分解能が高くなるフェーズを用いて二者
択一するようにする。例えば、以下のようにな規約を決
めておく。
【0037】データD0〜D2=4のとき、フェーズV
=1ならば励磁相W−Vで、フェーズV=0ならば励磁
相V−Wである。
【0038】データD0〜D2=6のとき、フェーズW
=1ならば励磁相V−Wで、フェーズW=0ならば励磁
相W−Vである。
【0039】データD0〜D2=2のとき、フェーズU
=1ならば励磁相U−Vで、フェーズU=0ならば励磁
相V−Uである。
【0040】データD0〜D2=3のとき、フェーズV
=1ならば励磁相U−Vで、フェーズV=0ならば励磁
相V−Uである。
【0041】データD0〜D2=1のとき、フェーズW
=1ならば励磁相U−Wで、フェーズW=0ならば励磁
相W−Uである。
【0042】データD0〜D2=5のとき、フェーズU
=1ならば励磁相U−Wで、フェーズU=0ならば励磁
相W−Uである。
【0043】次に、ブラシレスモータの回転停止位置検
出装置について説明する。
【0044】図6はマイクロコンピュータを用いた回転
停止位置検出装置を示すブロック図である。後述するよ
うに、駆動回路の逆起電力検出回路によってロータの回
転停止状態が検出されると、CPU(中央処理ユニッ
ト)1に停止状態信号STOPが入力される。即ち、図
7に示すように停止状態信号STOPはある時点t0
レベルから高レベルに変化する。これによって時点t1
でCPU1から発振許可信号FG−ENを診断信号発振
器(FG)2に送出する。この発振許可信号FG−EN
が高レベルの期間は診断信号発振器2が1KHzの正弦波
診断信号SIGとその逆相の正弦波診断信号SIG(バ
ー)を発振し続ける。また、CPU1はスイッチ切り替
えタイミング信号A,B,Cを診断信号SIGの周期T
(=1msec)だけ順次ずらして送出する。更にまた、C
PU1は数十μsec 程度の周期tのサンプリング制御信
号であるA/D変換制御信号CONVERTをアナログ
・ディジタル変換器(ADC)3に送出する。スイッチ
切り替えタイミング信号Aの高レベルの期間は、スイッ
チSW1,SW4,SW7がオンとなり、その余のスイ
ッチSW2,SW3,SW5,SW6,SW8,SW9
がオフのままであり、ブラシレスモータ4の励磁巻線U
に診断信号SIGが印加され,巻線Vに診断信号SIG
(バー)が印加されると同時に、相互誘導により励磁巻
線Wから誘導信号EMFがアナログ・ディジタル変換器
3の非反転入力端子へ取り出される。アナログ・ディジ
タル変換器3の反転入力端子には巻線のコモンCが接続
されているため、アナログ・ディジタル変換器3は、A
/D変換制御信号CONVERTが到来する度に、巻線
Wの誘導信号EMPとコモンCとの差値(W−C)がデ
ィジタル値A/DとしてCPU1へ送出される。
【0045】CPU1は到来した誘導信号(W−C)が
診断信号SINに対して正相か逆相かを判定する正相・
逆相判定手段1aを有している。この正相・逆相判定手
段1aは本例の場合正負判定手段が用いられており、最
初(周期の初期時)のA/D変換制御信号CONVER
Tでの誘導信号(W−C)の値が負のときは正相と判断
し、その値が正のときは逆相と判断する。診断信号SI
Nの波形のうち最初の半周期ではレベルが負だからであ
る。この半周期内のいずれかの時点で誘導信号(W−
C)の値の正負を判定することで正相・逆相が判定する
ことができ、前述した如くのレベルWであるデータD0
を得ることができる。またCPU1は誘導信号のピーク
点が診断信号のそれに対して位相差YかXを判定する位
相差判定手段1bを有している。この位相差判定手段1
bは、A/D変換制御信号CONVERT毎の誘導信号
(W−C)のA/D値がゼロになる時点を検出し、その
時点に対応するA/D変換制御信号CONVERTのゼ
ロクロスカウント値N0 を出力するゼロクロス検出手段
1baと、A/D変換制御信号CONVERT毎の誘導
信号(W−C)のA/D値がピーク点となる時点を検出
し、その時点に対応するA/D変換制御信号CONVE
RTのピーク点カウント値NPkを出力するピーク点検出
手段1bbと、ゼロクロスカウント値N0 とピーク点カ
ウント値NPkをとの差値(N0 −NPk)を算出し、その
差値(N0 −NPk)が予め記憶させておいた位相差Yに
相当する値NY 又は位相差Zに相当する値NZ のいずれ
の方に一致するからを判定する位相差同定手段1bcと
から構成されている。位相差同定手段1bcから出力さ
れる前述した如くのフェーズW(FW)と正相・逆相判
定手段1aからのレベルW(データD0)はデコーダ1
cへ送られる。このようにに、スイッチ切り替えタイミ
ング信号Aが高レベルの期間は、レベルW(データD
0)とフェーズW(FW)が収集される訳であるが、同
様に、スイッチ切り替えタイミング信号Bが高レベルの
期間では、スイッチSW2,SW5,SW8がオンとな
り、その余のスイッチSW1,SW3,SW4,SW
6,SW7,SW9がオフのままであり、ブラシレスモ
ータ4の励磁巻線Vに診断信号SIGが印加され,巻線
Wに診断信号SIG(バー)が印加されると同時に、相
互誘導により励磁巻線Uから誘導信号EMPがアナログ
・ディジタル変換器3の非反転入力端子へ取り出され
る。この結果、レベルU(データD1)とフェーズU
(FU)がデコーダ1cに収集される。また同様に、ス
イッチ切り替えタイミング信号Cが高レベルの期間で
は、スイッチSW3,SW6,SW9がオンとなり、そ
の余のスイッチSW1,SW2,SW4,SW5,SW
7,SW8がオフのままであり、ブラシレスモータ4の
励磁巻線Wに診断信号SIGが印加され,巻線Uに診断
信号SIG(バー)が印加されると同時に、相互誘導に
より励磁巻線Vから誘導信号EMPがアナログ・ディジ
タル変換器3の非反転入力端子へ取り出されるため、レ
ベルV(データD2)とフェーズV(FV)がデコーダ
1cに収集される。このデータD2とフェーズFVが収
集された時点でデコーダ1cがデータD0〜D2とフェ
ーズFW,FU,FVを解読して停止ロータが6ステッ
プの励磁相(W−V,U−V,U−W,V−W,V−
U,W−U)のいずれにあるかを特定した位置情報Sを
出力する。従って、最大トルクを発生させる励磁相が判
明するので、後述するように、駆動回路はその励磁相で
ブラシレスモータ4を起動できる。このため、反転等の
無い滑らかな始動が実現でき、しかも立ち上がり時間の
短くできる。
【0046】図8は本例の回転停止位置検出装置を用い
たブラシレスモータの駆動制御回路の全体構成を示すブ
ロック図である。
【0047】図8に示すサーボモータの駆動回路系で
は、次のような回転停止位置検出モード,起動モード及
び運転モードが存在する。
【0048】〔回転停止位置検出モード〕ロータが停止
状態のとき、逆起電力が発生していないので、逆起電力
検出回路11が前述したように停止状態信号STOPを
回転停止位置検出回路10のCPU1に送出する。これ
によって前述したようなシーケンスで正弦波の診断信号
SIN,SIN(バー)が出力され、励磁制御回路12
及び出力アンプ13を介して前述したように巻線U,
V,Wに印加されると同時に、誘導信号W,U,Vが得
られてようになっている。そして回転停止位置検出回路
10のCPU1から停止位置情報Sが得られる。また停
止状態信号STOPが発生すると、回転停止位置検出回
路10は検出情報を速度制御回路15へ送出し、モータ
の速度制御を不能化させる。
【0049】〔起動モード〕停止位置情報Sが励磁制御
回路12に送出されると、励磁制御回路12は検出され
た励磁相の駆動信号を出力アンプ13へ送り、これによ
りブラシレスモータ4は滑らかで高速度で起動する。こ
こで、起動に失敗したときは再び回転停止位置検出モー
ドに戻る。その失敗したか否かは励磁して一定時間たっ
ても逆起電力検出回路11で逆起電力が検出されないこ
とで判定される。この起動過程では、速度制御回路15
が不能化されているため、サーボは不作動である。起動
に成功した場合、直ちに運転モードに移行する。
【0050】〔運転モード〕モータが起動すると、逆起
電力が発生するため、逆起電力検出回路11が正常に能
し始め、ロータの位置情報を出力すると同時に、停止状
態信号STOPを低レベルにする。停止状態信号STO
Pが低レベルとなると、回転停止位置検出装置10は切
り替え信号を励磁制御回路12に送出すると共に、速度
制御回路15への検出情報をオフにした後、スタンバ状
態となる。起動後は、従前回路の働きと同様に、逆起電
力検出回路11からの位置情報により励磁制御回路12
が駆動信号を送出し、またゼロクロス検出回路14によ
って得られた速度情報により速度制御回路15が作動
し、サーボ系としての誤差情報を出力アンプ13へ供給
する。
【0051】以上のように、本例の回転停止位置検出装
置は、勿論、ハードウェアで構成することができるが、
従来も装備されているCPUの処理で充分対応可能であ
り、センサレス回路として部品点数の増大を招かずに済
む。また、診断信号発振器2はPWMのインバータ回路
に必要な高周波を用いても良く、専用の発振器も不要で
ある。
【0052】なお、上記実施例では相互誘導を主とする
誘導電圧を検出するようにしているが、信号レベルは若
干低くなるものの、相互誘導を主とする誘導信号を検出
するようにしても良い。例えば、直列接続の巻線に診断
信号を印加する場合、回転停止位置の如何により各巻線
間の自己誘導電圧に僅かな差が生じる。この差電圧はコ
モン端子にて観測できる。従って、コモン電圧の観測に
より停止位置情報を得ることができる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、停止状
態においてロータ停止位置を検出する際には、起動させ
るための励磁信号を巻線に印加するのではなく、起動時
の励磁信号の周波数よりも高周波数の診断信号を巻線に
印加すると、ロータは動かないが、いずれかの1又は2
以上の巻線に現れる自己誘導又は相互誘導による誘導電
圧信号を検出することにより最適な励磁相を特定するこ
とを特徴とする。従って、次の効果を奏する。
【0054】 誘導電圧信号の波形は、巻線が対面す
るロータの磁極数,面積,磁気抵抗等を反映したものと
なっており、停止位置を変化させると誘導電圧信号の波
形には周期性が現れる。このため、誘導電圧信号を検出
することにより停止位置の特定ができる。従って、ホー
ル素子等を用いずに、高周波数の印加と誘導信号の取り
出しによって停止位置を知り得るので、最大トルクを発
生する励磁相から励磁させることができ、滑らか且つ迅
速な起動が可能となり、ブラシレスモータの巻線回数を
増やして余裕トルクを持たせておく必要がなく、ブラシ
レスモータの小型化・低コスト化を図ることができる。
また、摩擦負荷・動力負荷の状態でも起動を楽にかける
ことができ、ブラシレスモータの用途範囲を拡大するこ
とができる。
【0055】 診断信号の波形と誘導電圧信号の波形
との比較によりロータの停止位置を特定する方法を採用
すると、記憶容量と比較操作回数とが僅少化し、システ
ムの簡素化と低コスト化を一層図ることができる。
【0056】 誘導電圧信号の組を作ると、ある巻線
の誘導電圧信号のレベルが零に近く比較困難なときに
は、別の巻線の誘導電圧信号が比較可能なレベルにある
ため、分解能の高い停止位置の検出が可能となる。
【0057】 U巻線,V巻線及びW巻線を持つ3相
ブラシレスモータの実験では、ロータ停止位置の如何で
診断信号に対して誘導信号が正相のときと逆相のときが
あった。またゼロクロス点とピーク点又はボトム点の位
相差の絶対値が2つに分類できた。このような事実に基
づいて、励磁相検出手段を正相・逆相判定手段と位相差
判定手段を有する構成とすることにより、複数励磁相の
うち最適な励磁相を唯一だけ特定することが可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c)は、本発明に係るブラ
シレスモータの回転停止位置検出方法の実施例におい
て、診断信号の印加の仕方と誘導信号の取り出しの仕方
をそれぞれ説明する模式図である。
【図2】(a)〜(h)は、本発明に係るブラシレスモ
ータの回転停止位置検出方法の実施例において、3相8
極ブラシレスモータを用いた場合の診断信号波形と誘導
信号波形を順番を追って示す波形図である。
【図3】(a)〜(g)は、本発明に係るブラシレスモ
ータの回転停止位置検出方法の実施例において、図2
(h)に続き、3相8極ブラシレスモータを用いた場合
の診断信号波形と誘導信号波形を順番を追って示す波形
図である。
【図4】(a)は、本発明に係るブラシレスモータの回
転停止位置検出方法の実施例において、3相8極ブラシ
レスモータを用いた場合の診断信号波形を示す波形図、
(b)はその診断信号に対する誘導信号のビーク点位相
ずれを示す模式図である。
【図5】本発明に係るブラシレスモータの回転停止位置
検出方法の実施例において、3相8極ブラシレスモータ
を用いた場合のタイミングチャート図である。
【図6】本発明に係るブラシレスモータの回転停止位置
検出装置の実施例を示すブロック図である。
【図7】本発明に係るブラシレスモータの回転停止位置
検出装置の実施例におけるタイミングチャート図であ
る。
【図8】本発明に係るブラシレスモータの回転停止位置
検出装置の実施例を用いた駆動制御回路の全体構成を示
すブロック図である。
【符号の説明】
U…U励磁巻線 V…V励磁巻線 W…W励磁巻線 T…高周波数の診断信号(電圧) S…相互誘導による誘導信号(電圧) X…ゼロクロス点同士の位相差 Y…ゼロクロス点とピーク点の位相差 Z…ゼロクロス点とピーク点の別の位相差 A,B,C,D…ピーク点の位相 1…CPU 1a…正相・逆相判定手段 1b…位相差判定手段 1ba…ゼロクロス検出手段 1bb…ピーク点検出手段 1bc…位相差同定手段 1c…デコーダ 2…診断信号発振回路 3…アナログ/ディジタル変換器 4…3相8極ブラシレスモータ 10…回転停止位置検出装置 11…逆起電力検出回路 12…励磁制御回路 13…出力アンプ 14…ゼロクロス検出回路 15…速度制御回路。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n相の励磁巻線と極数2Nのロータとを
    備えたブラシレスモータにおいて、起動時の励磁信号の
    周波数よりも高周波数の診断信号を前記n相の励磁巻線
    のうち単一巻線又は2以上の直列接続の巻線に印加する
    と同時に、その直列接続のいずれかの巻線又はその余の
    1若しくは2以上の巻線に生じる誘導電圧信号を検出す
    ることにより前記ロータの停止位置を特定することを特
    徴とするブラシレスモータの停止位置検出方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のブラシレスモータの停
    止位置検出方法において、前記診断信号の波形と前記誘
    導電圧信号の波形との比較により前記ロータの停止位置
    を特定することを特徴とするブラシレスモータの停止位
    置検出方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のブラシレスモータの停
    止位置検出方法において、前記診断信号を前記励磁巻線
    のいずれもに巡回的に印加しつつ、前記誘導電圧信号を
    前記励磁巻線のいずれもから巡回的に取り出し、複数の
    前記誘導電圧信号の組を検出することにより前記ロータ
    の停止位置を特定することを特徴とするブラシレスモー
    タの停止位置検出方法。
  4. 【請求項4】 n相の励磁巻線と極数2Nのロータとを
    備えたブラシレスモータにおいて、起動時の励磁信号の
    周波数よりも高周波数の診断信号を前記n相の励磁巻線
    のうち単一巻線又は2以上の直列接続の巻線に印加する
    診断信号印加手段と、その直列接続のいずれかの巻線又
    はその余の1若しくは2以上の巻線に生じる誘導電圧信
    号を検出して前記ロータの停止時の励起相を特定する励
    磁相検出手段と、を有することを特徴とするブラシレス
    モータの駆動制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のブラシレスモータの駆
    動制御装置において、前記n相の励磁巻線は3相のU巻
    線,V巻線及びW巻線であって、診断信号印加手段は、
    前記診断信号を発生する診断信号発振手段と、その診断
    信号を少なくとも1周期以上U巻線−V巻線間,V巻線
    −W巻線間,及びW巻線−U巻線間に対し巡回的に切り
    替えて印加する診断信号振分手段とを有し、励磁相検出
    手段は、W巻線,V巻線及びU巻線に生じる誘導電圧信
    号を巡回的に取り込む誘導信号収集手段と、前記診断信
    号に対して前記誘導電圧信号が正相か逆相かを判定して
    2値化する正相・逆相判定手段と、前記誘導電圧信号の
    ピーク点又はボトム点とゼロクロス点の位相差を判定し
    て2値化する位相差判定手段と、前記正相・逆相判定手
    段からの2値化情報と前記位相差判定手段からの2値化
    情報とを解読してロータ停止時の励磁相を特定するデコ
    ーダとを有することを特徴とするブラシレスモータの駆
    動制御装置。
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