JPH0727144Y2 - 樹脂成形用金型における通路部成形品の落し構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、主に、スリープレートタイプの射出成形用金
型における通路部成形品のかき落し除去構造に関する。

［従来の技術］ この種のスリープレートタイプの多数個取り金型は、通
路部側のパーティングラインに第一スプルからのランナ
部とこれに第二スプルとゲート部とが続き、このゲート
部から製品部側のパーテイングラインに製品成形空間が
形成されている。樹脂通路部側のパーテイングラインの
型開きに伴なって、通路部成形品は第二スプルのスプル
ロックピンに保持されて製品部から切断され、固定型板
から離型されてランナストリッパプレート側に保持され
た状態となる。固定型板とランナストリッパプレートと
がストップボルトで型開を規制された後に、ランナスト
リッパプレートと固定側取付板とが離間してスプルロッ
クが解除された状態となる。その後に製品部側パーテイ
ングラインが型開きして製品部成形品が突き出されるこ
ととなる。

［考案が解決しようとする課題］ 然しながら、通路部成形品に対しては、簡単な突き出し
構造が研究されておらず、複雑なプッシャーピン構造を
施こさなければならなかった。従って、一般にはロボッ
ト取出し機構を用いるか、或いは人手で取出しなければ
ならなかった。そのために、手間と時間が掛り、成形サ
イクルにも悪影響を及ぼしていた。

しかして、本考案は、上記欠点を解消するために研究開
発されたものであって、スプルロック解除のタイミング
で通路部製品を掻き落すようにしたことを、その目的と
するものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を解決するためのスリープレートタイプの樹脂
成形用金型における通路部成形品の落し構造は、パーテ
ィングラインのランナストリッパプレートには掘込溝が
形成され、当該掘込溝には一端がボルトで固定される固
定端としてなるとともに他端が通路部成形品を掻き出す
方向へ突出するように形成された動作片としてなる金属
板片状の弾性部材が設けられ、弾性部材のばね力が固定
型板側のランナロックピンのロック力よりも弱く設定さ
れていることを特徴とするものである。

［作用］ 通路部側型開きに伴なって通路部成形品は、ランナスト
リッパプレート側に保持され、スプルロックが解除され
ても、依然ランナストリッパプレート側に引掛かってい
る。スプルロックが解除されて時点で、弾性部材は他端
側が弾性作用するので、他端側に当接している通路部成
形品が弾性で掻き出されて落下することとなる。型閉に
際して弾性部材は、突出している部分が固定型板でばね
力に抗して押し戻され、ランナストリッパプレートの掘
込溝に収容される。

［実施例］ 以下図面に基づいて、本考案の一実施例を説明する。

図中１は固定側取付板、２はランナストリッパプレー
ト、３は固定型板、４は固定側取付板１からランナスト
リッパプレート２に取付られるスプルブッシュで、ラン
ナストリッパプレート２と固定型板３とのパーテイング
ライン５には通路部空間６が形成されている。通路部空
間６は金型設計に応じて異なるが、第一スプル７と、こ
れに続くランナ部８と、第二スプル９とから構成でき、
第二スプル９にはランナロックピン10を臨ませておくこ
とができる。

前記通路部側のパーテイングライン５に面するランナス
トリッパプレート２の型面2aには、弾性部材11を固定す
ることができる。弾性部材11は、全体としてばね性を有
する金属板片状から形成でき、一端に孔13を設けて固定
端12とし、他端をばね動作片14に構成できる。この場合
に、中間部位に波形のばね部15を構成し、その左右を凹
部16,16として応力分散構造にできる。上記弾性部材11
は、上記型面2aに設けられた掘込溝18にボルト17で固定
することが好ましく、固定型面3aにはボルト逃がし溝19
が形成される。

また、上記弾性部材11は、動作片14が通路部空間である
ランナ部８に臨接されていれば良く、好ましくはランナ
部８と直交させ、ランナ部数に応じて配置できる。

尚、図中20は製品部空間、21は製品部空間２と前記通路
部空間６とのピンゲート部、22は可動型板、23は受板、
24はスペーサブロック、25は固定側取付板、26はエジェ
クターピンである。

前記弾性部材11の装着は、通路部側パーテイングライン
を型開状態とし、第３図に示すように、ランナストリッ
パプレート２の型面2aの掘込溝18に入れ、固定端12の孔
13からボルト17で取付できる。弾性部材11は型閉に伴な
って固定型板３の型面3aで掘込溝内に押戻されて付勢状
態となる。

上記構成に基づく作用は次の通りである。

第１図に示すように、通路部空間６と製品部空間20には
樹脂が充填されるので、通路部成形品27は弾性部材11の
動作片14に当接した状態で賦形される。第２図に示すよ
うに、動作片14がランナ部成形品29に掻き出し方向から
交差して当接されている。

次に、第４図に示すように、通路部側のパーテイングラ
インの型開きに伴なって通路部成形品27は、第二スプル
９のランナロックピン10に第二スプル成形品30が保持さ
れ、ゲート部品31を介して製品部成形品32と切断され、
固定型板３から離型されてランナーストリッパプレート
側に移動される。この場合に、弾性部材11のばね力はス
プルロック力より弱いので、通路部成形品27は依然ラン
ナストリッパプレート２に密着保持されている。

さらに、第５図に示すように、ランナストリッパプレー
ト２と固定側取付板１とが離間すれば、ランナロックピ
ン10による通路部成形品27へのロックが解除される。こ
のロック解除によって、通路部成形部27の第一スプル成
形品28が第一スプル７から僅かに抜け出した離型状態で
引掛っている。斯る状態で第６〜７図に示すように、弾
性部材11のばね力が初めて作用するので、通路部成形品
27はランナストリッパプレート側から掻き落される。

尚、その後に製品部側が型開きされて、製品部成形品32
が突き出しされる。

上記実施例において、弾性部材11を図示説明したが、こ
れに限定する趣旨ではなく、バネを有するものであれば
各種活用可能である。また、弾性部材11はランナ部８の
他の位置に設置可能である。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、以下の効果を奏す
る。

通路部成形品へのロック解除と同時に通路部成形品
を掻き落としすることができ、従来の如き掻き落とし作
業を無くできるばかりか、ロック解除後のタイムラグを
解消して成形サイクルの短縮化を達成することができ
る。

栄通路部側のランナストリッパプッレート型面に弾
性部材をボルトで固定するだけでよいので、取出しロボ
ット等の機構を不要として極めて簡単に実施するこがで
き、安価に実用化できる。これに加えて、摩耗等に応じ
て簡単に交換できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る樹脂成形用金型における通路部成形
品の落し構造の一実施例を示し、第１図は型閉状態の同
断面図、第２図は成形品と弾性部材との関係を拡大して
示す同斜視図、第３図は第２図のIII-III線部分を拡大
して示す同断面図、第４図は通路部側の型開状態を示す
同断面図、第５図はロック解除状態を示す同断面図、第
６図は掻き落とし状態を拡大して示す第３図相当部分の
断面図、第７図は掻き落とし状態を示す同断面図であ
る。 １……固定側取付板、２……ランナストリッパプレー
ト、2a……型面、３……固定型板、３……固定型面、４
……スプルブッシュ、５……通路部側パーテイングライ
ン、６……通路部空間、７……第一スプル、８……ラン
ナ部、９……第二スプル、10……ランナロックピン、11
……弾性部材、12……固定端、13……孔、14……動作
片、15……ばね部、16……凹部、17……ボルト、18……
掘込溝、19……押え突起、20……製品部空間、21……ピ
ンゲート部、22……可動型板、23……受板、24……スペ
ーサブロック、25……固定側取付板、26……エジェクタ
ーピン、27……通路部成形品、28……第一スプル成形
品、29……ランナ部成形品、30……第二スプル成形品、
31……ゲート部品、32……製品部成形品。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ランナストリッパプレートと固定型板との
   パーティングラインに通路部成形空間が形成されて成る
   樹脂成形用金型において、 前記パーティングラインのランナストリッパプレートに
   は掘込溝が形成され、当該掘込溝には一端がボルトで固
   定される固定端としてなるとともに他端が通路部成形品
   を掻き出す方向へ突出するように形成された動作片とし
   てなる金属板片状の弾性部材が設けられ、弾性部材のば
   ね力が固定型板側のランナロックピンのロック力よりも
   弱く設定されていることを特徴とする樹脂成形用金型に
   おける通路部成形品の落し構造。