JPH0726962B2 - 病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高感度検査法 - Google Patents

病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高感度検査法

Info

Publication number
JPH0726962B2
JPH0726962B2 JP61053799A JP5379986A JPH0726962B2 JP H0726962 B2 JPH0726962 B2 JP H0726962B2 JP 61053799 A JP61053799 A JP 61053799A JP 5379986 A JP5379986 A JP 5379986A JP H0726962 B2 JPH0726962 B2 JP H0726962B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toxin
test method
produced
rapid
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP61053799A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS62211557A (ja
Inventor
美文 竹田
裕一 奥
Original Assignee
新技術事業団
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 新技術事業団 filed Critical 新技術事業団
Priority to JP61053799A priority Critical patent/JPH0726962B2/ja
Publication of JPS62211557A publication Critical patent/JPS62211557A/ja
Publication of JPH0726962B2 publication Critical patent/JPH0726962B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は特定の酵素免疫測定用試薬を用いた病原細菌が
産生する毒素の簡易迅速かつ高感度の検査法に関するも
のである。
〔従来技術とその限界〕
細菌感染症の発病機作の1つに病原細菌が産生する毒素
が、宿主であるヒトの生理機能を障害し病的状態を惹起
するという機作がある。従来このような機作による病気
は極めて多く、報告されている細菌感染症の大半はこの
機作によると考えられる。例えばコレラ,赤痢,ジフテ
リア,破傷風,百日咳などがその典型的な例である。こ
れらの感染症の治療には、従来原因菌を可及的速やかに
分離同定することにより診断を行ない、分離菌の特性に
基づいた治療薬の設定を行なうことによっている。しか
し通常病原細菌の分離同定には最低約30時間、長いもの
では72時間以上を要し、より迅速は診断法の開発が待望
されている。
病原細菌は通常それぞれの菌に特有の毒素を産生し、そ
の毒素が病気の原因物質となっていることがわかってい
るので、病原細菌を分離同定しなくとも、特定の毒素を
検出同定するならば、病気の原因を適格に診断すること
が可能である。従って病原細菌が産生する毒素の簡易迅
速で、かつ高感度の検査法は病気を速やかに効率よく治
療するための必須の手段なのである。
また、公衆衛生上、毒素産生性病原細菌による病気とし
て重要なものに食中毒がある。わが国の細菌性食中毒は
過去30年間減少の傾向が認められず厚生省の統計による
と毎年約1,000件、患者数約35,000人の発生が報告され
ている。細菌性食中毒の診断は現在認められている10数
種類の細菌を同定することによって可能であるが、これ
らの細菌の同定にも最低約30時間、長いものでは72時間
以上を要し、それが患者の治療を遅らせているばかりで
なく、行政上の迅速な対応をも困難にしている。従っ
て、細菌性食中毒に際して毒素の簡易迅速な検査法が確
立されればこれらの問題点を解消することができるし、
さらに細菌性食中毒に際しては患者の下痢便を直接検査
材料とするならば、検査結果をさらに速やかに得ること
ができ治療を速めることができる。そのためには従来法
では得られない高感度の検査法が必要である。
従来の毒素検査法として、ヒツジ赤血球を抗血清で標識
した試薬を用いる逆受身赤血球凝集反応〔太田建爾ら、
日本細菌学雑誌・34巻.837〜845頁,1979〕、抗血清と毒
素とのゲル内沈降反応の原理を利用したElek変法〔本田
武司ら、ジャーナル オブ クリニカル マイクロバイ
オロジー(Journal of Clinical MicroBiology)11巻.6
00〜603頁,1980〕、グルタルアルデヒドを用いて抗血清
とアルカリホスファターゼを標識した試薬を用いた酵素
免疫測定法〔本田武司ら、ジャーナル オブ クリニカ
ル マイクロバイオロジー(Journal of Clinical Micr
oBiology)22巻.383〜386頁,1985〕などがある。これら
の方法はいずれも腸炎ビブリオの耐熱性溶血毒の測定に
利用されているが、その感度は逆受身赤血球凝集反応で
は1ng/ml(10-6mg/ml),Elek変法では1μg/ml(10-3mg
/ml),アルカリホスファターゼを用いた酸素免疫測定
法では1ng/ml(10-6mg/ml)であり、微量の毒素を検出
するためには十分な感度であるとはいえない。事実この
程度の感度では腸炎ビブリオ食中毒患者の下痢便中の耐
熱性溶血毒の検出は不可能である。また前記感度の点以
外に、検査の迅速性についても問題があり、逆受身赤血
球凝集反応では約15時間、Elek変法では約48時間、アル
カリホスファターゼを用いた酵素免疫測定法では約7時
間を必要とする。従ってこれらの方法では、感度,迅速
性の点で細菌感染症や細菌性食中毒の迅速診断のニーズ
に十分応えることができない。
一方、酵素免疫測定法の分野において、測定用試薬の調
製法として、即ち酵素標識法としてグルタルアルデヒド
法,過ヨウ素酸法,マレイミド法などが知られている。
この中で酵素を蛋白に標識するマレイミド法は加藤らが
1975年にジャーナル オブ バイオケミストリー(Jour
nal of Biochemistry)(78巻・235頁)に発表した方法
であり、グルタルアルデヒド法や過ヨウ素酸法よりも感
度が高いことがわかっている〔今川正良ら、ジャーナル
オブ アプライド バイオケミストリー(Journal of
Applied Biochemistry)4巻.41〜57頁,1982〕。
また、今川ら〔ジャーナル オブ アプライド バイオ
ケミストリー(Journal of Applied Biochemistry)4
巻.41〜57頁,1982〕は、マレイミド法によって西洋わさ
びペルオキシダーゼをヒトフェリチンに対する抗体に標
識した試薬を用いてヒトフェリチンを酵素免疫測定法で
測定し、他の試薬を用いた場合よりも高い感度が得られ
たことを報告している。この他、酵素免疫測定法の分野
において、測定感度を向上させる試薬として前記の今川
らの論文の他に、特開昭58−149700号、特開昭59−1766
75号などにマレイミド法によるペルオキシターゼ含有複
合体の製造方法および酵素免疫測定用試薬が開示されて
いるが、その測定対象はあくまでもヒト体液中のヒトイ
ムノグロブリンGやαフェトプロテインなどのタンパ
ク,ホルモン,投与薬剤などに限られ、マイレミド法に
より調製した特定の試薬が病原細菌が産生する毒素の簡
便迅速、かつ高感度の検査法として有用である点はもと
より、従来の細菌毒素の検査法と比較して格段にすぐれ
たものである点についてはなんら記載も示唆もされてい
ない。
〔発明の目的〕
本発明は、簡易迅速かつ高感度の検査法の確立が待たれ
ている病原細菌の産生する毒素の検査法において、マレ
イミド法によってペルオキシターゼを標識した免疫化学
的活性物質(抗体または毒素)を酵素免疫測定用試薬と
して用い、簡易迅速かつ高感度の細菌毒素検査を提供し
ようとするものである。
〔発明の構成〕
この発明を概説すれば、病原細菌が産生する毒素の検査
において、 一般式 (式中、nは3から5の数) で示されるN−(マレイミドアルカノイルオキシ)サク
シミドを用いて毒素または抗毒素血清(抗体)にペルオ
キシダーゼを標識した酵素免疫測定用試薬を用いること
を特徴とする病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高
感度検査法に関するものである。
以下、本発明の具体的な構成について詳しく説明する。
(i) 本発明になる検査法が適用される検査対象につ
いて 本発明になる簡易迅速かつ高感度の検査法が適用される
検査対象は、各種の病原細菌が産生する毒素であり、か
かる毒素にはコレラ菌が産生するコレラ毒素や溶血毒な
ど、腸炎ビブリオなどが産生する耐熱性溶血毒や易熱性
溶血毒など、毒素原性大腸菌などが産生する易熱性エン
テロトキシンや耐熱性エンテロトキシンなど、赤痢菌な
どが産生する志賀毒素など、病原性大腸菌や腸管出血性
大腸菌などが産生する志賀毒素様毒素やベロ(Vero)毒
素など、サルモネラ属菌やエロモナス属菌などが産生す
る下痢原因毒素(エンテロトキシン)など、ウェルシュ
菌などが産生するエンテロトキシンなど、ディフィシル
菌が産生するエンテロトキシンとサイトトキシンなど、
ボツリヌス菌が産生するボツリヌス毒素など、ぶどう球
菌が産生するエンテロトキシンやロイコシジンなど、緑
膿菌が産生するエキソトキシンAやロイコシジンなど、
百日咳菌が産生する百日咳毒素や易熱性壊死毒素など、
ジフテリア属菌が産生するジフテリア毒素など、破傷風
菌が産生する破傷風毒素など、れんさ球菌が産生するス
トレプトリジンOやストレプトリジンSや発赤毒などが
あり、本発明はこれら毒素を含めて広く病原細菌が産生
する毒素を検査の対象とするものである。
本発明は、前記したように検査対象を細菌毒素としてい
る点に大きな特徴を有するが、さらに後述するごとく、
従来の細菌毒素の検査にみられた簡易性、迅速性及び高
感度性の限界を打破した点にも特徴を有するものであ
る。
(ii) 本発明で用いる酵素免疫測定用試薬について 本発明で用いる酵素免疫測定用試薬は、前記一般式中
〔I〕で示されるN−(マレイミドアルカノイルオキ
シ)サクシミドを用いて、ペルオキシダーゼ酵素を細菌
毒素に対する抗毒素抗体または細菌毒素に結合させた免
疫化学的活性物質複合体である。
前記一般式〔I〕で示されるN−(マレイミドアルカノ
イルオキシ)サクシミドは公知の化合物であり、ザ ジ
ャーナル オブ バイオケミストリー(The Journal of
Biochemistry)第79巻.233頁(1976)、特開昭52−851
63号公報,特開昭52−85164号公報に記載の方法、ある
いはこれらの方法に準じて合成することができる。例え
ば、対応するマレイミド化合物とサクシンイミド化合物
を脱水剤又は脱酸剤の存在下で反応させることにより製
造することができる。
一般式〔I〕において、n=3のものはN−(γ−マレ
イミドブチルオキシ)サクシミド,n=4のものはN−
(δ−マレイミドペンチルオキシ)サクシミド,n=5の
ものは、N−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)サク
シミド(サクシミジル−6−マレイミドヘキサノエイ
ト)であるが、この中で特にn=5のものが高感度の試
薬を調製するうえで好ましい。
前記サクシミジル−6−マレイミドヘキサノエイト(n
=5のもの)を用いてペルオキシダーゼ(酵素)と抗体
または毒素とを結合させるには、まず第1反応として該
マレイミド化合物と酵素の−NH2を反応させ、次式 で表される結合物を得る。次いで第2反応でこの化合物
を−SH基を有する抗体または毒素と反応させて、次式 で表される複合体(Conjugate)を得る。
酵素を標識する物質は前記した各種細菌が産生する毒素
に対する抗毒素抗体か毒素そのものである。また、標識
に用いる酵素としては西洋わさび,パイナップル,甘
藷,ソラマメ,イチジク,トウモロコシなど種々の起源
のペルオキシダーゼが用いられるが、もっとも安定性に
優れかつ比色法を用いた場合にもっとも感度の高いこと
がわかっている西洋わさびペルオキシダーゼを用いるこ
とが好ましい。
(iii) 本発明になる検査法の概要 (1) 毒素の調製 病原細菌を試験官内で培養し、得られた培養液または菌
体を常法に従って硫酸ナトリウムで処理し、DEAE−セル
ロース,ハイドロキシアパタイト,セファデックスなど
を用いたカラムクロマトグラフィーで分画し精製毒素を
調製する。
(2) 抗毒素抗体の調製 精製毒素を抗原として、これをフロインドの完全アジュ
バンドに懸濁しウサギの皮下に投与する。適当な期間を
経て投与を数回繰り返した後、血清を採取し、これを分
画して抗毒素抗体含有イムノグロブリンGを調製し、抗
毒素抗体として用いる。必要な場合にはこれをさらに処
理してFab′分画を得る。
さらに必要な場合には、抗毒素抗体含有イムノグロブリ
ンGをイムノアフィニィティ カラムクロマトグラフィ
ーを用いて当該毒素に特異的な抗毒素抗体含有イムノグ
ロブリンGとする。
また、単クローン抗体を利用できる場合には、常法に従
って当該毒素に対する抗毒素単クローン抗体をハイブリ
ドーマセル培養上清またはマウスなどの腹水より調製す
る。
(3) 抗体または毒素による固相の感作 ポリスチレン製ビーズまたはマイクロタイタープレート
のウェルなどを固相として、物理的吸着により抗毒素抗
体または精製毒素で感作する。
(4) 抗体感作固相と抗原との反応 抗体で感作した固相と抗原溶液(培養液または下痢便)
とを反応させる。
(5) 酵素標識抗体との反応 固相を洗滌後、本発明に用いる酵素免疫測定用試薬と反
応させる。
(6) 酵素基質との反応 酵素の基質としてテトラメチルベンジジンなどを加え反
応させる。次いで2モル硫酸溶液などを加えて反応を止
める。
(7) 反応の測定 反応した基質に特有の発色を利用し、たとえば450nmの
吸光度を測定し、試料中の毒素を知る指標とする。
(8) (4)の段階で抗原感作固相を用いて抗毒素抗体の量
を測定する場合、以下の手順は(5)−(7)の手順に準ず
る。
本発明においては、前記したプロセスにより種々の細菌
毒素の検出,検査を行なうが、次に、本発明の検査法が
特徴とする迅速性,簡便性,及び高感度性の点について
説明する。
(イ) 迅速性 本発明の検査法により腸炎ビブリオの耐熱性溶血毒を検
査する系などで抗体感作固相と抗原との反応(前記(4)
の反応)に要する時間を調べてみると、反応時間1,3,5,
15時間いずれにおいても測定感度は同一であり、また同
じように酵素標識抗体の反応(前記(5)の反応)に要す
る時間についても1,3,5,15時間のいずれにおいても測定
感度が同一であった。このことは本検査法は、検査開始
後約3時間で結果が得られることを意味する。これは従
来の検査法で最も短いとされているアルカリフォスター
ゼを用いた酵素免疫測定法でも7時間以上(これは後述
するごとく、本検査法と比較して感度が極めて低い)、
長い場合には48時間以上必要とするものに比較して、本
検査法は極めて迅速であり、患者の治療への対処に極め
て有効な効果をもたらすといえる。
(ロ) 簡便性 前記検査プロセスから判るように、検査実施場所に予め
感作固相と酵素免疫測定用試薬を確保しておけば、検査
にあたって他に特別の試薬,機材を特に必要としない。
また反応も抗体感作固相と抗原との反応,酵素標識抗体
との反応,酵素基質との反応の3反応であり、それぞれ
も特別の技術を必要とするものではない。このことは従
来簡便法として報告されている逆受身凝集反応やElek変
法に匹敵するもので、むしろより簡便であるといえる。
(ハ) 高感度 本発明の検査法の感度は腸炎ビブリオの耐熱性溶血毒,
コレラ毒素,志賀毒素などの系で調べてみると、すべて
25pg/ml(25×10-9mg/ml)前後である。これは従来報告
されている逆受身赤血球凝集反応の感度1ng/ml(10-6mg
/ml),Elek変法の感度1μg/ml(10-3mg/ml),アルカ
リフォスターゼを用いた酵素免疫測定法の感度1ng/ml
(10-6mg/ml)よりも約40〜40,000倍高感度である。
通常の病原細菌が産生する毒素の絶対量はわかっていな
いが、従来の方法で検出可能な量よりも少ない量しか産
生されていない場合は毒素を産生しないと判定してしま
う危険性がある。毒素の生体への障害作用は通常非常に
強力で、pg(10-9mg)ないしはfg(10-12mg)オーダー
で作用する毒素の存在も知られていることから、本発明
になる高感度検査法は病原細菌の固定に極めて有力な武
器となる。
また、感染症の診断は、現在、病原細菌の分離同定に依
存しているが、抗生物質療法などで治療を始めた患者か
らの病原細菌の分離は至難の業であり、ほとんど不可能
であるとされている。もし、当該病原細菌が産生する毒
素を検出することができるならば感染症の診断が可能と
なるわけで、こうした考え方をベースにして、従来から
も、例えばコレラや赤痢などの腸管感染症に際して、下
痢便から直接毒素を検出する試みは行なわれていた。し
かしながら、従来法では感度が低いため、検査法として
利用できるような方法はない。従って、本発明による検
査法は前記したように極めて高感度であるため従来不可
能であった下痢便からの毒素の直接検出が可能となる。
〔実施例] 以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。
実施例1:腸炎ビブリオが産生する耐熱性溶血毒の検出 腸炎ビブリオの培養上清より耐熱性溶血毒を精製し、ウ
サギを免疫して抗毒素抗体を調製した。血清よりDEAE−
セルロ−スカラムクロマトグラフィーによりIgG画分を
分取し、これをペプシンで処理した。ウルトロゲルAcA4
4によるゲル過を行ないF(ab′)2を分画し、これを
メルカプトエチルアミンで処理した。この標品をセファ
デックスG-25でゲル過し精製Fab′を得た。
サクシミジル−6−マレイミドヘキサノエイトを用いて
西洋わさびペルオキシダーゼを抗耐熱性溶血毒Fab′に
標識し、耐熱性溶血毒検出用酵素免疫測定用試薬とし
た。
ポリスチレン製ビース(直径6.5mm)を抗耐熱性溶血毒
溶液と37℃で1時間反応させた。0.1M NaClを加えた10m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で洗浄後、酵素標識
抗体と37℃で1時間反応させ、上記緩衝液で洗浄後テト
ラメチルベンジジンを加えて30℃で1時間反応させた。
2M硫酸溶液で反応を停止させ、発色を450nmの吸光度で
測定した。その結果、25pg/ml以上の耐熱性溶血毒を含
む溶液を検出できた。
実施例2:コレラ菌が産生するコレラ毒素の検出 コレラ菌の培養上清よりコレラ毒素を精製し、ウサギを
免疫して抗コレラ毒素抗体を得た。得られた抗体を実施
例1に準じて処理してコレラ毒素検出用酵素免疫測定試
薬を調製した。実施例1と同じ方法でコレラ毒素の検出
感度を調べた結果、25pg/ml以上のコレラ毒素を含む溶
液が検出可能であった。
実施例3:赤痢菌が産生する志賀毒素の検出 赤痢菌の菌体より抽出した志賀毒素を精製し、ウサギを
免疫して抗志賀毒素抗体を得た。得られた抗体を実施例
1に準じて処理して志賀毒素検出用酵素免疫測定試薬を
調製した。実施例1と同じ方法で志賀毒素の検出感度を
調べた結果、25pg/ml以上の志賀毒素を含む溶液の検出
が可能であった。
実施例4:腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素の検出 腸管出血大腸菌の培養上清よりベロ毒素を精製し、ウサ
ギを免疫して抗ベロ毒素抗体を得た。得られた抗体を実
施例1に準じて処理してベロ毒素検出用酵素免疫測定試
薬を調製した。実施例1と同じ方法でベロ毒素の検出感
度を調べた結果、25pg/ml以上のベロ毒素を含む溶液の
検出が可能であった。
実施例5:下痢便より腸炎ビブリオが産生する耐熱性溶血
毒の検出 腸炎ビブリオ食中毒が疑われる患者下痢便189検体を材
料とし、各検体を生理食塩水で5倍,10倍,100倍希釈
し、それぞれの希釈液中の耐熱性溶血毒の存在を耐熱性
血毒検出用酵素免疫測定試薬を用い実施例1に準じて測
定した。その結果76検体中には耐熱性溶血毒が存在する
ことを証明した。76検体中21検体は100倍希釈液でも陽
性で20検体は5倍希釈液でのみ陽性であった。残りの35
検体は10倍希釈でも陽性であった。76検体の陽性検体か
らはすべて耐熱性溶血毒を産生する腸炎ビブリオを分離
できた。113検体の陰性の検体からは耐熱性溶血毒を産
生する腸炎ビブリオは分離できなかった。
実施例6:増菌培養液からの耐熱性溶血毒の検出 腸炎ビブリオ食中毒が疑われる患者下痢便189検体を3
%食塩加ペプトン水中で37℃15時間増菌培養し、培養液
中の耐熱性溶血毒の存在を耐熱性血毒検出用酵素免疫測
定試薬を用い、実施例1に準じて測定した。その結果耐
熱性溶血毒を産生する腸炎ビブリオを分離できた76検体
では培養液中に耐熱性溶血毒が存在することがわかっ
た。耐熱性溶血毒を産生する腸炎ビブリオが分離できな
かった6検体で培養液中に耐熱性溶血毒が存在すること
がわかった。この結果は培養液中の菌数が少ないために
菌の分離培養が不可能な場合にも毒素の検出が可能であ
ることを示している。
比較例1:本検査法とElek変法による耐熱性溶血毒の検査
法の比較 患者から分離した腸炎ビブリオ138株と、環境から分離
した腸炎ビブリオ27株についてElek変法の成績と本検査
法の成績とを比較した。患者分離株74株は両法で陽性、
27株は両法で陰性であったが、残りの27株はElek変法で
陰性であるにもかかわらず、本検査法では陰性であっ
た。
また環境由来株のうち26株は両法で陰性であったが、1
株はElek変法で陰性、本法では陽性であった。
すなわち本法はElek変法よりはるかに感度が高く、Elek
変法で検出できない多くの耐熱性溶血毒産生菌株を検出
できることを示している。
〔発明の効果〕
本発明により、従前にない各種細菌毒素の簡易迅速、か
つ高感度検査法が提供される。また、本発明は次に示す
優れた応用面を内包するものである。
i 従来細菌感染症の診断に用いる原因菌の分離同定に
は通常、材料の増菌培養後分離培養を行い、分離菌の生
化学的性状を調べ同定していた。従って同定までには作
業開始後少なくとも48時間長い場合には72時間以上を必
要とする。本検査法により増菌培養液中の毒素の存在を
直接調べることが可能となり原因菌の同定までの時間が
10時間前後に短縮できる。この意義は極めて高いと考え
られる。
ii 本検査法は培養上清または下痢便中の毒素を直接検
出する方法であり、その検査法も極めて簡易な試験管内
反応である。従って、従来の検査法では不可能とされた
検査の全自動化が、本検査法により可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−149700(JP,A) 特開 昭59−176675(JP,A) 特開 昭60−207059(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】病原細菌が産生する毒素の検査において一
    般式; (式中、nは3から5の数である) で表わされるN−(マレイミドアルカノイルオキシ)サ
    クシミドを用いて毒素または抗毒素血清(抗体)にペル
    オキシターゼを標識した酵素免疫測定用試薬を用いるこ
    とを特徴とする病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ
    高感度検査法。
  2. 【請求項2】N−(マレイミドアルカノイルオキシ)サ
    クシミドがN−(ε−マレイミドカプロイルオキシ)サ
    クシミド(サクシジル−6−マレイミドヘキサノエイ
    ト)であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高感度検査
    法。
  3. 【請求項3】ペルオキシターゼが西洋わさびを起源とし
    たものであることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高感度検査
    法。
JP61053799A 1986-03-13 1986-03-13 病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高感度検査法 Expired - Lifetime JPH0726962B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61053799A JPH0726962B2 (ja) 1986-03-13 1986-03-13 病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高感度検査法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61053799A JPH0726962B2 (ja) 1986-03-13 1986-03-13 病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高感度検査法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS62211557A JPS62211557A (ja) 1987-09-17
JPH0726962B2 true JPH0726962B2 (ja) 1995-03-29

Family

ID=12952862

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61053799A Expired - Lifetime JPH0726962B2 (ja) 1986-03-13 1986-03-13 病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高感度検査法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0726962B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01143956A (ja) * 1987-11-30 1989-06-06 Nitsusui Seiyaku Kk 細菌全菌に対する抗体を利用した細菌の簡易迅速かつ高感度検査法
JPH0688824A (ja) * 1992-09-07 1994-03-29 Toray Ind Inc 黄色ブドウ球菌感染の検査方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58149700A (ja) * 1982-03-02 1983-09-06 Takeda Chem Ind Ltd ペルオキシダ−ゼ含有複合体,その製造法および試薬
JPS59176675A (ja) * 1983-03-26 1984-10-06 Eiken Kagaku Kk 酵素免疫測定用試薬
EP0153519B1 (en) * 1984-03-02 1988-06-01 Tracy Dale Wilkins Toxins and antibodies of c. difficile

Also Published As

Publication number Publication date
JPS62211557A (ja) 1987-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0806667B2 (en) Immunoassay for H. pylori in fecal specimens
EP0494293B1 (en) Monoclonal antibody to enterohemorrhagic escherichia coli 0157:h7 and 026:h11 and method for detection
JP2901296B2 (ja) カンピロバクター・ピロリの高分子型細胞関連蛋白の調製法とカンピロバクター・ピロリ感染の血清学的検出のための用法
JPH05264553A (ja) ヘリコバクターピロリ検出用の抗原調製物
JPH0235096A (ja) 抗原組成物およびそれらの製法および用途
MXPA97001877A (en) Immunoassay for h. pylori in specimens feca
US5420014A (en) Rapid in vitro test for helicobacter pylori using saliva
AU5693399A (en) Method for detection of (legionella) bacteria employing purified antigen-specific antibodies
CA2067603A1 (en) Rapid in vitro test for helicobacter pylori using saliva
Parsonnet et al. Competitive, enzyme-linked immunosorbent assay for toxic shock syndrome toxin 1
EP0254384A2 (en) Direct and simultaneous assays for antigens in clinical specimens by monoclonal antibody immunoblot, antibodies for use therein and corresponding hybridomas
CA2134667C (en) In vitro test for helicobacter pylori
JPH0726962B2 (ja) 病原細菌が産生する毒素の簡易迅速かつ高感度検査法
KR102124258B1 (ko) 신속 면역크로마토그래피법을 이용한 황색 포도알균 장독소 b 진단·탐지 키트 및 이를 위한 특이항체와 항체생산세포주
EP0233048B1 (en) Method of detecting urinary tract infection or inflammation
US20050130239A1 (en) Immunoassay for H. pylori in fecal specimens using genus specific monoclonal antibody
Aleixo et al. A fluorescent enzyme immunoassay for Salmonella detection
RU2800470C1 (ru) Способ получения моноклонального пероксидазного конъюгата для идентификации типичных и атипичных штаммов Vibrio cholerae O1, включая и R-варианты в дот-ИФА
Castro et al. Highly sensitive biotin-avidin sandwich ELISA for the rapid detection of pneumococcal capsular polysaccharide antigens
Yamada et al. Detection of antibody to Staphylococcus aureus teichoic acid by enzyme-linked immunosorbent assay
Amano et al. Utilization of proteinase K‐treated cells as lipopolysaccharide antigens for the serodiagnosis of Helicobacter pylori infections
WO1996012965A1 (en) Helicobacter pylori diagnostic methods and kits
Deodhar et al. Standardization of a dot blot immunoassay for antigen detection in cases of pulmonary tuberculosis & its evaluation with respect to the conventional techniques
USRE34101E (en) Process for preparation of high molecular weight cell-associated protein of Campylobacter pylori and use for serological detection of Campylobacter pylori infection
WO1986003841A1 (en) Immunological method of measuring unstable analytes using cross-reactive antibodies

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term