JPH07268697A - 錫めっき装置および錫めっき方法 - Google Patents

錫めっき装置および錫めっき方法

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JPH07268697A
JPH07268697A JP6107794A JP6107794A JPH07268697A JP H07268697 A JPH07268697 A JP H07268697A JP 6107794 A JP6107794 A JP 6107794A JP 6107794 A JP6107794 A JP 6107794A JP H07268697 A JPH07268697 A JP H07268697A
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地 利 裕 菊
Hajime Ogata
方 一 緒
Nobuyuki Morito
戸 延 行 森
Kazuo Akaoka
岡 和 夫 赤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】Sn2+イオン濃度を長期的に安定してめっき液
に供給することのできる錫めっき装置および錫めっき方
法の提供。 【構成】不溶性陽極を用いて鋼帯に連続的に錫めっきを
行うSnめっき槽と、この錫めっき槽にめっき液が循環
するよう接続され、金属錫を溶解して錫めっき槽にSn
2+イオンを供給する装置とを具え、このSn2+イオン供
給装置は、金属Sn溶解槽と、この溶解槽内に設置され
た金属Sn収納用チタン製バスケット構造のアノードお
よび白金カソードと、このアノードとカソードの間の電
流を制御するための装置と、白金カソード表面にめっき
液を噴き付ける噴流装置を有する錫めっき装置および上
記錫めっき装置を用いて鋼帯に連続的に錫めっきするに
際し、前記電流制御装置によるアノードとカソードとの
間の電流の制御および白金カソードへの噴流の制御の組
み合わせにより、錫めっき槽へのSn2+イオンの供給を
制御する錫めっき方法により、上記目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続的に走行する鋼帯
に不溶性陽極を用いて、電気的に錫をめっきする電気め
っきぶりきの製造設備、さらに詳しくは電解錫めっき液
のSn2+イオン濃度を適性な範囲に管理する設備を持つ
錫めっき装置およびこれを用いてめっき液成分の管理を
行う錫めっき方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼帯に連続的に電解めっきを施して、錫
めっき鋼板(ぶりき)を製造する錫めっき浴としては、
ハロゲン浴、フェロスタン浴、およびメタンスルフォン
酸浴等が知られており、長年に渡り生産の実績をあげて
いる。元来これらのめっき浴は可溶性のアノード、すな
わち錫の鋳造品を用いていたが、実際の作業においては
この可溶性錫アノードの交換作業が、多くの労力を要し
て、コストアップと生産性低下の一因となっていた。そ
こで近年、これらの錫電気めっきラインの生産効率向上
の手段として、電解めっき設備のアノードを不溶性アノ
ードにすることが効果的であるとの認識が広がり、実際
にその実施例も報告されている。
【0003】錫めっきラインの不溶性アノード化には、
解決すべき幾つかの問題点があるが、めっき設備として
最も重要な事は、Sn2+の供給を如何に行うかという点
である。この点に関しては既に幾つかの技術が開発され
ている。大別すると下記の3種類に分別される。 めっき浴中の溶存O2 濃度をO2 吹込みによって強
制的に高め、金属Snとめっき液によって流動床を形成
する溶解装置によって金属Snを溶解する方法(例えば
特公昭56−54080号公報参照)。 イオン交換膜を用いて陽極室と陰極室を分離したS
n溶解槽を用いて、Snアノードと不溶性カソードを用
いてアノード液中にSnの有機酸化物を生成させる方
法。 水溶性Sn化合物の形で溶解する方法。
【0004】この中で、Snめっき鋼帯の連続生産設備
に応用された例は、フェノールスルフォン酸浴(フェロ
スタン浴:PSA浴)について上述の特公昭56−54
080号公報に示されているのみであるが、この方法で
はめっき液中の溶存02 濃度が極めて高いために、有用
成分であるSn2+のSn4+への酸化反応が進行する。実
験規模の比較的小規模の設備においても、投入Sn量の
3%以上がスラッジとして失われるとの報告がある(齋
藤隆穂、表面技術、vol.41 No.1(199
0)p2〜8)。これだけスラッジ生成率が高い場合に
は、スラッジの回収再生の技術と相応の規模の設備が必
要になるが、いずれにしても、めっき操業におけるエネ
ルギー損失が大きくなる結果となり、大量生産には好ま
しくない。
【0005】の電解法については、イオン交換隔膜を
用いて陽極室と陰極室を分離し、めっき金属アノードと
カソードの間に通電して金属イオンを供給する技術自体
は古くから知られているが、鋼帯への連続Snめっき設
備、すなわちぶりきコイルの製造設備に応用された例は
ない。その主な理由としては、ぶりき製造設備のSn消
費量が一般のバッチ式めっき設備に比べて格段に大き
く、溶解設備が大掛かりになることであり、また一方
で、原理的に溶解量に比例して電解電流が増加し、めっ
き槽内陽極としてSnアノードを用いる可溶性陽極操業
に比べて電力コストが高くなること、さらにイオン交換
膜を使用した場合でも、その局部欠陥などにより、不可
避的にカソード室へのSn2+イオン漏出がおこり、カソ
ード表面にデンドライトが析出するために、イオン供給
槽カソードの手入れが必要になることなどが挙げられ
る。
【0006】これらの要因は相互に関係しあっており、
Sn溶解能力を確保したまま設備規模を小さくするため
に溶解電流密度を上げると、浴電圧が高くなって電力消
費が大きくなり、カソードでの水素発生量も多くなる。
浴電圧を低減しようとして極間距離を短縮しようとする
と、カソード表面で発生する水素ガスによって浴抵抗が
急激に大きくなり、また前述の漏出Sn2+イオンによる
カソード表面のデンドライト成長が起こりやすくなる。
カソードでのデンドライト成長や浴電圧の増加は電極間
でのスパークを誘発しやすく、スパークの発生はイオン
交換膜の破壊につながる。イオン交換膜の破壊は金属イ
オン供給に悪影響を及ぼすことは自明である。
【0007】さらに、この場合イオン供給のために用い
られるSn電極は必ずしも高純度のものではなく、溶解
も完全均一には進まないため、イオン供給溶解時に一定
量のスラリーをめっき浴中に放出する。これは特に電解
量の大きい大規模設備では、配管系のつまりや電極ショ
ートの原因になるなど問題が多い。このようにこの種の
技術は極小規模なバッチ式めっき設備において一部実用
化されてはいるが(例えば特開平2−70087号公報
参照)、ぶりき製造設備のような大規模電解設備への応
用は全く非現実的であった。
【0008】の水溶性Sn化合物の形で溶解する方法
は、やはり電子部品のめっき処理設備等の小規模な電解
設備においては広く行われている。不溶性アノードによ
る電解を考えた場合、ハロゲンSnめっき浴ではカソー
ドで塩素ガスの発生があるため考慮の対象外であり、現
実にはSnOあるいはSnめっき浴の支持電解質として
添加される酸のSn塩の形で添加する方法が行われる
が、これらのSn化合物はその出発原料が金属Snであ
るため、必然的にそのSn重量当たりの単価が高い。ま
た、これらの化合物をめっき浴に添加するための設備
は、前述の2方法に比べて簡素なもので良いが、特にS
nOについては、空気中での酸化が起こりやすく、また
酸化の結果、SnO表面に生じるSnO2 が水に難溶性
であるため、添加時の溶解性が著しく低下する。それを
防止するために輸送保管中の雰囲気を非酸化性に保つに
は、当然非常にコストがかかる。
【0009】さらに、SnOにはその中間原料SnCl
2 に由来すると考えられるCl- が通常100ppm前
後含まれ、クローズドシステムでの長期連続運転におけ
るSn2+源として使用した場合には、不可避的にCl-
の蓄積が生じ、それにより酸性Snめっき浴での電析S
nの均一付着性が著しく阻害されることが、発明者らに
より確認された。上記のように、従来の不溶性陽極を用
いたSnめっき設備へのSn2+イオン供給方法には種々
の問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解消すべくなされたものであって、連続的
に走行する鋼帯に不溶性陽極を用いて、電気的に錫をめ
っきする電気めっきぶりきの製造設備において、電解錫
めっき液のSn2+イオンおよび浴中添加物濃度を適性な
範囲に管理することを可能とした錫めっき装置およびそ
れによるめっき浴組成の管理を行う錫めっき方法を提供
することを目的とし、従来の不溶性アノードSnめっき
の液の浴組成管理設備およびそれによる浴組成管理方法
の不合理性、非効率性を改善し、高品質のSnめっき鋼
帯の高効率かつ安定的な生産を実現しようとするもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、大規模な
鋼帯連続Snめっき操業における、Snめっき溶液の管
理を合理的に行うことによって、Snめっき鋼帯の生産
コストを低減するべく、鋭意研究を重ね、本願発明を完
成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、不溶性陽極を用いて
鋼帯に連続的に錫めっきを行う錫めっき槽と、この錫め
っき槽にめっき液が循環するよう接続され、金属錫を溶
解して前記錫めっき槽にSn2+イオンを供給するSn2+
イオン供給装置とを具え、このSn2+イオン供給装置
は、金属錫溶解槽と、この溶解槽内に設置された金属錫
収納用バスケット構造のアノードおよび白金カソード
と、このアノードと白金カソードとの間の溶解電流を制
御するための溶解電流制御装置と、前記白金カソード表
面にめっき液を噴き付ける噴流装置とを有することを特
徴とする錫めっき装置を提供するものである。
【0013】ここで、前記Sn2+イオン供給装置は、さ
らに、前記バスケットアノード内の金属錫に酸素を供給
する手段を有するのが好ましい。また、前記めっき液
は、支持電解質として有機酸を含み、さらに有機系酸化
防止剤および光沢剤を含むのが好ましい。また、上記錫
めっき装置において、さらに、添加剤添加のための混合
槽、めっき液組成分析装置、固形夾雑物除去装置、濃縮
装置および添加剤酸化/還元体除去装置を連結してなる
のが好ましい。
【0014】また、本発明は、不溶性陽極を使用して鋼
帯に連続的に錫めっきを行うに際し、錫めっき槽からめ
っき操業中にめっき液を導出し、このめっき液を、金属
錫を内包するバスケットアノードと白金カソードとから
なり、さらにこの白金カソードとバスケットアノード内
の金属錫が電気的に接続され、このバスケットアノード
と白金カソードとの間の電流を調整できる機能をもつ金
属錫溶解槽に導入し、前記バスケットアノードと白金カ
ソードとの間の電流の制御および前記白金カソード表面
に噴き付けるめっき液噴流の制御を組み合わせて行っ
て、前記めっき液に金属錫を溶解し、Sn2+イオン濃度
を所定の濃度まで高めためっき液を前記錫めっき槽に供
給することを特徴とする錫めっき方法を提供するもので
ある。
【0015】ここで、上記錫めっき方法であって、さら
に、前記バスケットアノード内の金属錫への酸素の供給
制御を組み合わせて前記錫めっき槽に供給するめっき液
のSn2+イオンの濃度を制御するのが好ましい。また、
前記めっき液は、支持電解質として有機酸を含み、さら
に有機系酸化防止剤および光沢剤を含む錫めっき液であ
るのが好ましい。また、上記錫めっき方法であって、さ
らに、前記めっき液中のSn2+イオン濃度、添加剤濃
度、添加剤酸化/還元体濃度および固形夾雑物存在密度
を連続的に分析、調整することにより、前記鋼帯に連続
的に錫めっきを行うのが好ましい。
【0016】
【発明の作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の錫めっき装置は、図1に線図的に例示するよう
に、不溶性陽極を用いて鋼帯に連続的に電気錫めっきを
行なう錫めっき槽1と、このめっき槽1との間でめっき
液が循環するよう接続され、錫めっき槽1に金属Snを
溶解して得たSn2+イオンを供給するSn2+イオン供給
装置とを有する。めっき槽1とSn2+イオン供給装置の
Sn2+イオン供給槽2とはめっき液貯留槽3を介したが
いに送液管13にて接続されている。めっき液貯留槽3
においてはその成分がめっき液組成分析装置4によって
分析され、それに応じて金属Sn溶解量および供給量、
後述するカソードへのめっき液噴出量などが制御され
る。
【0017】Sn2+イオン供給装置は、Sn2+イオン供
給槽(すなわち金属Sn溶解槽)2を有し、この溶解槽
2内にはチタン製バスケット構造のアノード5および白
金カソード8が設置されている。バスケットアノード5
には金属Sn粒6が金属Sn粒供給装置7からSn粒供
給管15を経て適宜供給される。バスケットアノード5
および白金カソード8には任意に電気的負荷を設定でき
る溶解電流制御装置9によって制御された電流が電線1
4を経て供給される。白金カソード8は水素過電圧が小
さく、表面積が大きく、かつ水素ガスの滞留がないよう
な構造を有するものが好ましい。
【0018】めっき操業中には白金カソード8の表面に
水素が発生するため、この水素ガスをカソード表面から
払拭する必要があるのは前述の通りであり、このため本
発明においてはカソード8の表面にめっき液12を噴き
付けるための噴流装置を設ける。噴流装置は図1の例で
はめっき液供給ヘッダ10およびポンプ11で構成され
るが、これに限定されることはない。
【0019】また、バスケットアノード5内あるいはそ
の近傍には金属Snの溶解を補助するために、酸素供給
装置16を設けてもよい。これにより、錫の溶解反応 Sn+1/202 +2H+ →Sn2++2H2 O を促進させることもできる。この場合、前出の特公昭5
6−54080号記載の発明のようなO2 拡散速度の増
加のみでSnの溶解を図る方法に比べ、電池反応に伴う
Sn2+発生速度が大きく、かつ余剰O2 によるSn2+
らSn4+への酸化が少ない点が、大きく異なり、かつ実
用上より好ましい。酸素供給装置16は、図1に示す例
では酸素貯留タンク16aおよびこれに接続され、バス
ケットアノード5の下部かつその近傍まで延在する酸素
配管16bで構成されるが、これに限定されることはな
い。なお、本発明の錫めっき装置においては、図示しな
いが、添加剤添加のための混合槽をめっき液貯留槽3に
連結し、Sn2+イオン供給槽2へ供給するめっき液か
ら、固形分、添加剤酸化/還元体を除去するための固形
夾雑物除去装置、添加剤酸化/還元体除去装置をSn2+
イオン供給槽2の手前に連結し、さらにSn2+イオン供
給槽2内のめっき液12の一部を回収してこれを濃縮す
る装置をおき、濃縮液をめっき液貯留槽3に導入できる
ように連結しておくのが好ましい。
【0020】次に本発明の錫めっき方法について説明す
る。本発明の錫めっき方法におけるSnめっき浴組成の
管理方法は、上述の装置を用いて、支持電解質として有
機酸を含み、あるいはさらに有機系酸化防止剤および光
沢剤を含む錫めっき液を用い、不溶性陽極を備えた鋼帯
の連続めっき設備によって、鋼帯に錫めっきを行うに際
し、該めっき液へのSn2+イオン供給速度を、アノード
とカソードの間の電気的負荷の加減と、カソード表面液
流速の加減との組合わせ、あるいはさらにバスケットア
ノード内の金属Snへの酸素の供給の加減との組合せに
より制御する方法である。
【0021】このSn2+イオン供給速度の制御にあたっ
ては、本装置のめっき液ループ内のいずれかの点、具体
的にはSn2+イオン供給槽直前等でのSn2+イオン濃度
の測定結果と、電解量から計算される理論Sn2+イオン
濃度などを参考にして、白金カソード表面のめっき液流
速の増減およびカソード・アノード間の電気的負荷の加
減により、Sn2+イオン供給速度を設定すればよい。こ
の場合、Sn2+イオン供給速度に対するこれらの因子の
制御の効果は、電解装置の寸法および電極構成・面積に
より変化するので、個々の装置について、上記因子のS
2+イオン供給速度への影響を調査しておき、それぞれ
の装置について、最適な制御方法を定めればよい。また
アノードにO2 を供給する場合は、O2 ガス供給量、ア
ノード室内圧力および温度の制御によってもSn2+イオ
ン供給速度とスラッジ発生速度を制御できる。
【0022】本発明方法によれば、Snと白金の水素過
電圧の差を利用し、白金をカソード、Snをアノードと
して電池反応 Sn+2H+ →Sn2++H2 (1) 電池反応によりSnを溶解するものである。ここでSn
表面でのアノード反応は、 Sn→Sn2++2e- (2) 白金表面でのカソード反応は、 H+ +e- →1/2H2 ↑ (3) であり、電池反応の式量電位E O´は過電圧π、Sn2+
の活量係数α、ファラデー定数Fとして E O´=−0.136 −(RT/2F)1n ((α[Sn2+ ])/([H+ ]2))
+π で表される。これによりSn2+溶解の速度を決定する溶
解電流の大きさを決める起電力はpHと電解液中のSn
2+活量により決まることが分かる。
【0023】ここで、カソード・アノード間にマイナス
の負荷を与え、すなわち電池反応電流を促進するように
電解電流を流してSn2+イオンの供給を促進することも
可能である。この場合、カソード分極が促進される結
果、(2)の逆反応であるカソード上でのSn2+イオン
の還元反応 Sn2++2e- →Sn (4) が、カソードの電極電位Eが、 E ≦−0.136 +(RT/2F)1n(( α[Sn2+ ]) (5) の領域で起きる。これを防ぐには、カソードの分極電位
を(5)式の範囲より貴に保てば良い。
【0024】以上説明した処から明らかなように、本発
明装置のSn溶解槽においては、Sn2+発生が(1)の
電池反応によるため、上述のpH、Sn2+イオン濃度の
他、温度、圧力によっても反応速度が変化するが、Sn
2+イオン溶解速度の最も支配的な因子はカソード上の水
素過電圧と発生水素ガスによるカソード反応表面積の変
化である。水素過電圧は、材料固有のものであり、白金
電極よりも水素過電圧の小さい実用材料は現状では得ら
れないため、本発明においても、カソードとしては白金
を用いる。カソード実効面積の、発生水素による変化
は、水素ガスがカソード表面を覆い、電極活性が失われ
る事により起きる。これを解決するために、カソード表
面での電解液強制運動により、水素ガスの輸送率が高ま
り、結果として電解液噴流の速度および流量を制御する
ことにより、カソード反応速度を促進する方向で制御す
ることができるのである。
【0025】以上述べた本発明の錫めっき方法において
は、錫めっき液のSn2+イオン濃度を経時的にモニター
し、適切な値に維持する。これは、前述したように、め
っき液の循環回路の適切な個処、図1においてはめっき
液組成分析装置4において、Sn2+イオン濃度を分析
し、この分析値に応じて上述した制御を行う。さらに、
Sn2+イオン濃度の他、めっき液貯留タンク3内のめっ
き液組成、特に、めっき液中の添加剤濃度、添加剤酸化
/還元体濃度および固形夾雑物存在密度などをめっき液
組成分析装置4によって連続的に分析することにより、
Sn2+イオン濃度を所定濃度範囲となるように監視し、
調整することの他、他の成分も含めた錫めっき槽1内の
めっき浴組成を適切な範囲に維持・制御し、安定した鋼
帯への連続錫っき操業を行うことができる。
【0026】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施態様の例を、比
較例と共に示す。 (実施例)メタンスルフォン酸60g/リットル、Sn
2+30g/リットル、カテコールスルフォン酸1.0g
/リットル、非イオン系界面活性剤5g/リットルを含
むめっき液を用い、不溶性アノードにより電解を行う、
図1に示す錫めっき装置を適用する電気めっきぶりき製
造設備において、連続めっき操作を行った。めっき液の
正味量は50m3 であった。電解電流密度は55A/d
2 であった。
【0027】操業期間中、Sn2+イオンの供給は、Sn
粒入りチタンバスケットアノードとチタン基体白金めっ
きカソードを電気的に結合し、電解等量の金属Snを3
0分毎にバスケット内に投入することにより、バスケッ
トアノード中のSn量は常時1±0.1tであり、Sn
めっき槽内のめっき液中Sn2+イオン濃度が25〜30
g/リットルになるように、アノードとカソード間の溶
解電流が制御された。Sn2+イオン供給槽からのめっき
液供給量は1日当り180m3 であった。Sn 2+イオン
供給槽の白金カソード面積、カソード下辺に設置したヘ
ッドからのカソードへの送液量は表1に示すとおりであ
る。
【0028】比較例においては、実施例中で行われた白
金カソードへの液噴射を止めた状態でイオン供給を試み
た例(比較例1)、金属Sn溶解槽の代りにSnO溶解
槽を設け、Sn消費量に応じた量のSnOを投入し溶解
した例(比較例2)を示す。
【0029】実施例および比較例における連続操業時間
およびめっき品質の評価結果を表1および表2に示す。
表1および表2より、本発明によって金属Snを供給源
として酸性Snめっき浴中に、Sn2+イオンを安定して
供給することができ、得られるめっき品質も優れている
ことがわかる。これに対し、比較例1ではカソードに噴
流していないために、比較例2ではSnOに由来するC
lの蓄積のためにめっき品質が劣化してしまうことがわ
かる。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の錫めっき
装置および錫めっき方法によれば、不溶性陽極による鋼
帯への連続Snめっきプロセスにおいて、金属Snを供
給源として用いた、安価で信頼性の高いSn2+イオンの
供給装置および供給方法により、優れた品質の錫めっき
鋼板が長期安定的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のめっき液成分管理を行う錫めっき装
置の一構成例の模式図である。
【符号の説明】
1 めっき槽 2 Sn2+イオン供給槽 3 めっき液貯留槽 4 めっき液組成分析装置 5 バスケットアノード 6 金属Sn粒 7 Sn粒供給装置 8 白金カソード 9 溶解電流制御装置 10 液供給ヘッダ 11 ポンプ 12 めっき液 13 液送管 14 電線 15 Sn粒供給管 16 酸素供給装置 16a 酸素貯留タンク 16b 酸素配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 戸 延 行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 赤 岡 和 夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不溶性陽極を用いて鋼帯に連続的に錫めっ
    きを行う錫めっき槽と、この錫めっき槽にめっき液が循
    環するよう接続され、金属錫を溶解して前記錫めっき槽
    にSn2+イオンを供給するSn2+イオン供給装置とを具
    え、 このSn2+イオン供給装置は、金属錫溶解槽と、この溶
    解槽内に設置された金属錫収納用バスケット構造のアノ
    ードおよび白金カソードと、このアノードと白金カソー
    ドとの間の溶解電流を制御するための溶解電流制御装置
    と、前記白金カソード表面にめっき液を噴き付ける噴流
    装置とを有することを特徴とする錫めっき装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の錫めっき装置であって、
    前記Sn2+イオン供給装置は、さらに、前記バスケット
    アノード内の金属錫に酸素を供給する手段を有すること
    を特徴とする錫めっき装置。
  3. 【請求項3】前記めっき液は、支持電解質として有機酸
    を含み、さらに有機系酸化防止剤および光沢剤を含む錫
    めっき液である請求項1または2に記載の錫めっき装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の錫め
    っき装置であって、さらに、添加剤添加のための混合
    槽、めっき液組成分析装置、固形夾雑物除去装置、濃縮
    装置および添加剤酸化/還元体除去装置を連結してなる
    ことを特徴とする錫めっき装置。
  5. 【請求項5】不溶性陽極を使用して鋼帯に連続的に錫め
    っきを行うに際し、錫めっき槽からめっき操業中にめっ
    き液を導出し、このめっき液を、金属錫を内包するバス
    ケットアノードと白金カソードとからなり、さらにこの
    白金カソードとバスケットアノード内の金属錫が電気的
    に接続され、このバスケットアノードと白金カソードと
    の間の電流を調整できる機能をもつ金属錫溶解槽に導入
    し、前記バスケットアノードと白金カソードとの間の電
    流の制御および前記白金カソード表面に噴き付けるめっ
    き液噴流の制御を組み合わせて行って、前記めっき液に
    金属錫を溶解し、Sn2+イオン濃度を所定の濃度まで高
    めためっき液を前記錫めっき槽に供給することを特徴と
    する錫めっき方法。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の錫めっき方法であって、
    さらに、前記バスケットアノード内の金属錫への酸素の
    供給制御を組み合わせて前記錫めっき槽に供給するめっ
    き液のSn2+イオンの濃度を制御することを特徴とする
    錫めっき方法。
  7. 【請求項7】前記めっき液は、支持電解質として有機酸
    を含み、さらに有機系酸化防止剤および光沢剤を含む錫
    めっき液である請求項5または6に記載の錫めっき方
    法。
  8. 【請求項8】請求項6ないし7のいずれかに記載の錫め
    っき方法であって、さらに、前記めっき液中のSn2+
    オン濃度、添加剤濃度、添加剤酸化/還元体濃度および
    固形夾雑物存在密度を連続的に分析、調整することによ
    り、前記鋼帯に連続的に錫めっきを行うことを特徴とす
    る錫めっき方法。
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