JPH07265709A - 不斉マイケル反応を触媒する金属錯体 - Google Patents

不斉マイケル反応を触媒する金属錯体

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JPH07265709A
JPH07265709A JP6062727A JP6272794A JPH07265709A JP H07265709 A JPH07265709 A JP H07265709A JP 6062727 A JP6062727 A JP 6062727A JP 6272794 A JP6272794 A JP 6272794A JP H07265709 A JPH07265709 A JP H07265709A
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正勝 柴崎
Hiroaki Sasai
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不斉マイケル反応の進行を触媒する希土類金
属アルコキシド由来の新規の金属錯体を提供する。 【構成】 不斉マイケル反応の供与体化合物と希土類金
属アルコキシドを混合して調製したこれらのエノラート
を含む反応混合物に、前記希土類金属アルコキシドと等
モル量の光学活性ビナフトールを混合することにより調
製した金属錯体、または、希土類金属アルコキシドと等
モル量の光学活性ビナフトールを混合して調製した反応
混合物に含まれる沈殿からなる金属錯体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規の金属錯体、特に、
不斉マイケル付加反応の進行を効率良く触媒する金属錯
体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】一般
に、イオン化ポテンシャルや電気陰性度の値の小さい元
素は、塩基性の強いアルコキシドを形成する。 例え
ば、ジルコニウムの電気陰性度は 1.4、塩基性の強いリ
チウム、ナトリウム、カリウムではそれぞれ 1.0、 0.
9、 0.8であり、これは金属アルコキシドの塩基性の強
さの順序と一致するものである。 また、3族元素のス
カンジウム、イットリウムと、一般の周期表では欄外に
記載されているランタノイドより構成される希土類元素
の電気陰性度値は 1.1から 1.3であり、これら元素のア
ルコキシドは、ジルコニウムアルコキシドよりも強い塩
基性を示すことが期待できる。
【0003】希土類元素は、いずれも3価が安定で、ラ
ンタノイドでは、5d、6s軌道より内側の4f電子が充填し
ていくに従い、そのイオン半径が短くなる「ランタノイ
ド収縮」を示すことが知られている。 この結果、原子
番号39のイットリウムと原子番号64のガドリニウム(Gd)
や原子番号65のテルビウム(Tb)のイオン半径はほぼ同等
となっている。 このような類似性は、希土類の化学的
性質にも反映され、希土類相互の分離精製は、一般に困
難である。 このため希土類元素は、資源としてその埋
蔵量が豊富であったにもかかわらず、有効的な利用方法
は今世紀半ばまで未開拓であった。
【0004】近年、分離精製技術の進歩から安価に高純
度の希土類化合物が入手可能となり、特に様々な製品を
構成する材料用途が注目されている。 例えば、ユウロ
ピウム化合物などは蛍光体としてブラウン管に利用され
ており、また、サマリウムやネオジムの合金は、永久磁
石として使われ、時には強力なスターラーのモーターに
利用されている。
【0005】希土類金属試薬により介在〔触媒〕される
化学反応の研究が盛んになってきているにもかかわら
ず、未だ、有機化学/工業化学の分野で利用されている
希土類化合物については、そのルイス酸性を利用するも
のの、4価のセリウム化合物による酸化、あるいは2価
のサマリウムによる還元に関するものに限られており
〔例えば、G.A.Molander, Chem. Rev. Vol.92, p.29 (1
992): H.B. Kagan, J.L.Namy, Tetrahedron, Vol.42,
p.6573 (1986): 今本恒雄、有機化学合成、46巻、第 54
0頁 (1988): J.R. Long, Aldrichimica Acta, Vol.18,
p.87 (1985)を参照〕、希土類アルコキシドを塩基性試
薬として、有機化学/工業化学の分野にて応用された例
が報告されていなかったのが実情である。
【0006】とりわけ、炭素−炭素結合を形成する手段
として重要視されている不斉マイケル反応に上記した希
土類金属化合物を適用しても、低収率、低光学純度でし
かマイケル付加体が得られない〔例えば、M. Sawamura,
et al., J. Am. Chem. Soc.114, pp.8295-8296 (199
2); M. Yamaguchi, et al., Angrew. Chem., Int. Ed.E
ngl. 32, pp.1176-1178 (1993); D.J. Cram, et al.,
J. Chem. Soc., Chem.Commun. pp.625-627 (1981) を参
照〕など、その産業的有用性は全く見出されていなかっ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した従来
技術での事情を鑑みて、本願発明者らが希土類アルコキ
シドの塩基性試薬としての用途、特に不斉マイケル反応
において優れた触媒機能を果たす新規の金属錯体を合成
したことに基づくものである。
【0008】すなわち、本発明は不斉マイケル反応の進
行を触媒する、リチウムやナトリウムを含まない希土類
金属アルコキシド由来の新規の金属錯体を提供すること
を目的とするものである。
【0009】本願発明の金属錯体を調製するために使用
可能な前記希土類金属アルコキシドとしては、希土類金
属に分類される金属のアルコキシド体であればいずれで
も適用可能であるが、触媒効率の観点からして、ランタ
ンのアルコキシド体が好ましい。
【0010】また、前記希土類金属アルコキシドとの反
応に供すべき不斉マイケル反応の供与体化合物として
は、下記化学式;
【0011】
【化7】
【0012】式中、R1は、アリールオキシ基、メトキシ
基、エトキシ基、およびメチル基から選択され、R2は、
アリールオキシ基、メトキシ基、およびエトキシ基から
選択され、およびR3は、水素、メチル基、エチル基から
選択される、構造を含む化合物が本願発明において適用
可能であり、特に、下記化学式(但し、下記化学式にお
いて、Bnはベンジル基、Meはメチル基、そしてEtはエチ
ル基を示す) ;
【0013】
【化8】
【0014】
【化9】
【0015】
【化10】
【0016】
【化11】
【0017】
【化12】
【0018】のいずれかの構造を備えた供与体化合物
が、マイケル反応生成物の収率・純度を向上させる効果
からして好ましい。
【0019】さらに、前記希土類金属アルコキシドと前
記光学活性ビナフトールの混合〔モル〕比率について
は、後述する実施例での開示から明らかな通り、約1:
1のモル比率にて混合することが、高い収率・純度にて
マイケル反応生成物を得られることからして好ましい。
【0020】同様に、本願発明の金属錯体の調製時に適
用可能な溶媒としては、後述する実施例で示す通り、テ
トラヒドロフラン、トルエン、ジクロルメタン、および
ジエチルエーテルなどがあるが、高い収率・純度にてマ
イケル反応生成物を生成する効果などを考慮すれば、テ
トラヒドロフランが特に好ましい。
【0021】さらに、本願発明の金属錯体を調製するた
めに使用可能なビナフトールは、不斉マイケル反応の進
行を触媒する機能を有するものであれば特に限定される
ものではないが、その触媒効率を考慮すれば、〔下記化
学式を有する〕光学活性2,2-ビナフトール(以下、「BI
NOL 」と称する〕が好ましい。
【0022】
【化13】
【0023】本発明の金属錯体を適用した不斉マイケル
反応機構は、概ね図1に示したような経路を辿るものと
推定される。 すなわち、本願発明の金属錯体Iの化学
構造は明確ではないものの、金属錯体Iとメチルマロン
酸ジベンジルとの反応により、BINOL-ランタンエステル
エノラートIIと共に、モル比率1:2のランタンとBINO
L から構成されるランタン錯体III が生成される。 こ
のランタンエステルエノラートIIをシクロペンタノンと
反応させることで、光学選択的にランタンエノラートIV
が生成する。 このエノラートIVを、さらに不斉マイケ
ル反応の供与体化合物と反応させることで、マイケル付
加体Vと共に pKa値(解離定数)の差異によりランタン
エステルエノラートIIが生じる。 このような反応機構
に関する考察は、真の不斉触媒であるランタンエステル
エノラートIIが、La(O-i-Pr)3、メチルマロン酸ジベン
ジル、およびBINOL を出発物質として調製されることが
効果的であることを示唆するものである。
【0024】
【実施例】以下に本発明の金属錯体に関して実施例に沿
って説明するが、本発明はこれら開示によって限定され
るものではない。
【0025】実施例1:金属錯体の調製 0.1mmol のLa(O-i-Pr)3 を含むテトラヒドロフラン(TH
F:0.5ml) に、0.1mmolのメチルマロン酸ジベンジルを含
む無水 THF(1.0ml) を、0℃にて徐々に加えて得られた
溶液を、同じく0℃にて30分間攪拌した。 このように
して調製されたランタンエステルエノラートに、 0.1mm
olの(S)-BINOL を含むTHF(1.0ml)を、0℃にて徐々に加
えて調製した混合物を、同じく0℃にてさらに30分間攪
拌した〔図2参照〕。
【0026】なお、溶媒を留去することが目的物質の収
率および純度の顕著な向上をもたらすので、減圧下で T
HFとイソプロピルアルコールを除去して、本発明のラン
タン−BINOL 金属錯体を得、これをTHF(1.0ml)に再度溶
解した。
【0027】マイケル付加反応への応用例 反応例1 実施例1で得られたランタン−BINOL 金属錯体 (10mol
%) を溶解したTHF 溶液に、0.9mmol のメチルマロン酸
ジベンジルと 1.0mmolのシクロペンテノンを、−20℃に
て加えた。 この混合物を60時間攪拌した後、反応混合
物を 2.0mlの1N塩酸で処理し、次いで10mlの酢酸エチ
ルで3回抽出を行った。
【0028】得られた抽出物を塩水で洗浄し、そして、
硫酸ナトリウムで乾燥することで、濃縮残渣が得られ
た。 この残渣をクロマトグラフィー(SiO2、25%アセ
トン/ヘキサン)に適用して精製することで、下記分析
値を有するマイケル付加生成物(367mg) が得られた。
【0029】なお、生成物の光学純度は、下記反応式に
示したような対応するエチレン−ケトン誘導体へ転換し
てから、当該転換体をキラルHPLC分析(カラム:DAICEL
CHIRALCEL OD〔ダイセル化学工業株式会社製〕、移動
相:イソプロピルアルコール−ヘキサン(1:9))に適用し
て決定した。
【0030】
【化14】
【0031】分析結果 IR (neat): 1734、1262cm-1 1 H NMR (CDCl3): δ 1.47 (s,3H), 1.58-1.77 (m,1H),
1.97-2.42 (m,5H),2.75-2.95 (m,1H), 5.11 (s,2H), 5.
12 (s,2H),7.20-7.40 (m,10H)13 C NMR (CDCl3):δ 17.7, 24.4, 38.3, 40.5, 41.4, 5
5.6, 61.2, 128.1,128.2, 128.4, 128.5, 135.1, 135.
2, 170.8, 170.9, 217.3 MS m/z 381 (M+ +1), 289, 107 (base peak), 91 元素分析:C22H24O5としての計算値〔C,72.61;H,6.36〕 実測値〔C,72.36;H,6.48〕 〔α〕D24−37.40 °(c1.89, CHCl3)反応例2 実施例1および反応例1のメチルマロン酸ジベンジルに
代えてマロン酸ジベンジルを用いた以外は、反応例1に
記載の方法に従って、 5.0mmol(0.42ml) のシクロペン
テノンから、下記分析値を有するマイケル付加生成物
(1.758g)を得た。
【0032】なお、生成物の光学純度は、下記反応式に
示したような対応するエチレン−ケトン誘導体へ転換し
てから、当該転換体をキラルHPLC分析(カラム:DAICEL
CHIRALCEL OD〔ダイセル化学工業株式会社製〕、移動
相:イソプロピルアルコール−ヘキサン(1:9))に適用し
て決定した。
【0033】
【化15】
【0034】分析結果 IR (neat): 1740、1211cm-1 1 H NMR (CDCl3): δ 1.51-1.72 (m,1H), 1.99 (dd,J=1
1.2, 18.5 Hz, 1H),2.06-2.38 (m,3H), 2.45 (dd,J=7.
9, 18.5 Hz, 1H),2.78-2.97 (m,1H), 3.45 (d,J=9.6 H
z, 1H), 5.14 (s,2H),5.16 (s,2H), 7.25-7.37 (m,10H)13 C NMR (CDCl3):δ 27.4, 36.3, 38.1, 42.7, 56.4, 6
7.3, 67.3, 128.2,128.5, 128.6, 135.0, 135.1, 167.
7, 167.8, 216.9 MS m/z 275 (M+ -Bn), 91 (base peak) HRMS:C15H15O5(M+ -Bn)としての計算値 275.0919 、実
測値 275.0931 〔α〕D24−35.1°(c1.33, CHCl3)反応例3 反応例1のシクロペンテノンに代えてシクロヘキサノン
を用いた以外は、反応例1に記載の方法に従って、 1.0
mmol(97μl)のシクロヘキサノンから、下記分析値を有
するマイケル付加生成物 (3.327mg)を得た。
【0035】なお、生成物の光学純度は、当該生成物を
キラルHPLC分析(カラム:DAICELCHIRALCEL AS〔ダイセ
ル化学工業株式会社製〕、移動相:イソプロピルアルコ
ール−ヘキサン(1:9))に適用して決定した。
【0036】分析結果 IR (neat): 1732、1231cm-1 1 H NMR (CDCl3): δ 1.18-1.38 (m,1H), 1.44 (s, 3H),
1.50-1.62 (m,1H),1.74-1.84 (m,1H), 1.96-2.08 (m,1
H), 2.08-2.25 (m,2H),2.30-2.43 (m,2H), 2.48-2.62
(m,1H), 5.08-5.13 (m,4H),7.20-7.35 (m,10H)13 C NMR (CDCl3):δ 16.8, 24.6, 26.6, 41.0, 42.6, 4
3.2, 60.1, 67.1,128.1, 128.4, 128.5, 135.3, 170.5,
170.6, 210.0 MS m/z 303 (M+ -Bn), 91 (base peak) HRMS:C17H19O5(M+ -Bn)としての計算値 303.1233 、実
測値 303.1232 〔α〕D24−0.32°(c3.93, CHCl3)反応例4 反応例2のシクロペンテノンに代えて 1.0mmol(97μl)
のシクロヘキサノンを用いた以外は、反応例1に記載の
方法に従って、上記シクロヘキサノンから、下記分析値
を有するマイケル付加生成物(3.375mg) を得た。
【0037】なお、生成物の光学純度は、当該生成物を
キラルHPLC分析(カラム:DAICELCHIRALCEL AS〔ダイセ
ル化学工業株式会社製〕、移動相:イソプロピルアルコ
ール−ヘキサン(1:9))に適用して決定した。
【0038】分析結果 IR (KBr): 1740、1261cm-1 融 点: 43℃1 H NMR (CDCl3): δ 1.46 (dddd,J=3.0, 11.5, 11.5, 1
1.5Hz, 1H),1.62 (dddd,J=2.2, 2.4, 12.3, 12.3, 12.3
Hz, 1H),1.84-2.08 (m,2H), 2.12-2.64 (m,5H), 3.41
(d,J=7.6Hz,1H), 5.14 (s,2H), 5.16 (s,2H), 7.25-7.3
6 (m,10H)13 C NMR (CDCl3):δ 24.4, 28.6, 38.0, 40.9, 45.0, 5
6.6, 67.2, 128.2,128.4, 128.5, 135.0, 167.4, 167.
5, 209.3 MS m/z 289 (M+ -Bn), 91 (base peak) HRMS:C23H24O5(M+ -Bn)としての計算値〔C,72.61;H,6.
36〕 実測値〔C,72.40;H,6.13〕 〔α〕D24−1.15°(c2.21, CHCl3)反応例5 実施例1および反応例1のシクロペンテノンに代えてシ
クロヘキサノンを用い、また、メチルマロン酸ジベンジ
ルに代えてマロン酸ジメチルを用いた以外は、反応例1
に記載の方法に従って、上記シクロヘキサノンから、下
記分析値を有するマイケル付加生成物(3.229mg) を得
た。
【0039】なお、生成物の光学純度は、下記反応式に
示したような対応するベンジルエステルへ転換してか
ら、当該転換体をキラルHPLC分析(カラム:DAICEL CHI
RALCELAS〔ダイセル化学工業株式会社製〕、移動相:イ
ソプロピルアルコール−ヘキサン(1:9))に適用して決定
した。
【0040】
【化16】
【0041】分析結果 IR (neat): 1732、1259cm-1 1 H NMR (CDCl3): δ 1.46 (dddd, J=2.6, 12.2, 12.2,
12.2 Hz, 1H), 1.62(ddddd, J=2.6, 4.2, 12.2, 12.2,
12.2 Hz, 1H), 1.86-1.97(m,1H), 1.98-2.11 (m,1H),
2.15-2.31 (m,2H), 2.31-2.59(m,3H), 3.32 (d, J=7.9H
z, 1H), 3.71 (s,3H), 3.72 (s,3H)13 C NMR (CDCl3):δ 24.4, 28.7, 37.9, 38.0, 40.9, 4
5.0, 52.5, 56.5,168.1, 168.2, 209.4 MS m/z 228 (M+ ), 197(M+ -OMe), 97 (base peak) 元素分析:C11H16O5としての計算値〔C,57.88;H,7.07〕 実測値〔C,57.70;H,7.01〕 〔α〕D24−3.01°(c2.10, CHCl3)反応例6 反応例5のマロン酸ジメチルに代えてマロン酸ジエチル
を用いた以外は、反応例5に記載の方法に従って、上記
シクロヘキサノンから、下記分析値を有するマイケル付
加生成物(3.250mg) を得た。
【0042】なお、生成物の光学純度は、下記反応式に
示したような対応するベンジルエステルへ転換してか
ら、当該転換体をキラルHPLC分析(カラム:DAICEL CHI
RALCELAS〔ダイセル化学工業株式会社製〕、移動相:イ
ソプロピルアルコール−ヘキサン(1:9))に適用して決定
した。
【0043】
【化17】
【0044】分析結果 IR (neat): 1731、1230cm-1 1 H NMR (CDCl3): δ 1.20 (t, J=7.3 Hz, 3H), 1.21
(t, J=7.3 Hz, 3H),1.44 (dddd, J=3.2, 12.1, 12.1, 1
2.1 Hz, 1H), 1.62(ddddd, J=3.2, 5.0, 12.1, 12.1, 1
2.1 Hz, 1H), 1.83-1.95(m,1H), 1.95-2.07 (m,1H), 2.
11-2.28 (m,2H), 2.28-2.54(m,3H), 3.23 (d, J=7.9Hz,
1H), 4.13 (q, J=7.3Hz, 2H),4.14 (q, J=7.3Hz, 2H),13 C NMR (CDCl3): δ 14.0, 24.5, 28.7, 38.0, 40.9,
45.0, 56.8, 61.5,167.7, 167.8, 209.6 MS m/z 256 (M+ ), 211(M+ -OMe), 97 (base peak) 元素分析:C13H20O5としての計算値〔C,60.92;H,7.87〕 実測値〔C,60.64;H,7.62〕 〔α〕D24−2.78°(c2.56, CHCl3)反応例7 0.5mmol の2-メチルアセト酢酸ベンジル(103mg) と(S)-
BINOL(0.1M THF溶液、0.5ml)の混合物に、La(O-i-Pr3)
の溶液(0.2M THF 溶液、0.25ml) と0.60mmolのメチルビ
ニルケトン (50μl)を、−50℃にて加えた。 この混合
物を−50℃にて48時間攪拌した後、反応混合物を1N塩
酸の添加により冷却し、次いで10mlの酢酸エチルで3回
抽出を行った。
【0045】得られた抽出物を塩水で洗浄し、そして、
硫酸ナトリウムで乾燥することで、濃縮残渣が得られ
た。 この残渣をクロマトグラフィー(SiO2、20%アセ
トン/ヘキサン)に適用して精製することで、下記分析
値を有するマイケル付加生成物(124mg) が得られた。
【0046】なお、生成物の光学純度は、下記反応式に
示したような対応するエチレン−ケトン誘導体へ転換し
てから、当該転換体をキラルHPLC分析(カラム:DAICEL
CHIRALCEL OJ〔ダイセル化学工業株式会社製〕、移動
相:イソプロピルアルコール−ヘキサン(1:9))に適用し
て決定した。
【0047】
【化18】
【0048】分析結果 IR (neat): 1713、1257cm-1 1 H NMR (CDCl3): δ 1.34 (s,3H), 1.98-2.22 (m,2H),
2.06 (s,3H), 2.06(s,3H), 2.08 (s,3H), 2.30-2.34
(m,2H), 5.16 (s,2H),7.30-7.40 (m,5H)13 C NMR (CDCl3):δ 19.2, 26.1, 28.3, 29.8, 38.4, 5
8.7, 67.1, 128.4,135.2, 172.3, 205.1, 207.2 MS m/z 234 (M+ +1-Ac), 91 (base peak), 91 HRMS:C14H18O3(M+ +1-Ac)としての計算値 234.1256 、
実測値 234.1258 〔α〕D24−15.89 °(c 1.96, CHCl3) なお、上記した反応例1〜7の試験化合物と試験結果
を、下記表1および2に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】実施例2:金属錯体の調製 La(O-i-Pr)3 の溶液(0.2M THF溶液:5.0ml) に、(S)-BI
NOL(0.1 M THF溶液:10.0ml) を、0℃にて徐々に加
え、即座に生成した懸濁液を、同じく0℃にてさらに30
分間攪拌した。
【0052】反応混合物を24時間静置し、生成した沈殿
を採取し、そして無水 THF(10.0ml)で3回洗浄した。
【0053】得られた白色の粉末を、減圧下で乾燥し
て、本発明のランタン-BINOL金属錯体(138mg) を得た。
【0054】マイケル付加反応への応用例 反応例8〜11 実施例2で得られたランタン−BINOL 金属錯体を、反応
温度および反応時間を変えて、反応例1、2、4および
7で用いた受容体と供与体の反応(反応例8〜11)に適
用し、その結果を下記表3に示した。 なお、各生成物
の光学純度は、前記反応例1〜7にて適用した方法にて
測定した。
【0055】
【表3】
【0056】実施例3:希土類金属アルコキシドと光学
活性ビナフトールの混合比率 ランタン-BINOL金属錯体に対する BINOL〔光学活性ビナ
フトール〕のモル比率が、マイケル反応生成物の収率・
純度に与える影響を検定した。
【0057】すなわち、実施例1に記載の本願発明の金
属錯体の調製において、ランタンエステルエノラートに
対する当該ランタンエステルエノラートに添加すべき B
INOLのモル比率が異なる金属錯体を7種類調製した。
このようにして得られた各金属錯体を、反応例1に記載
の反応に適用し、生成したマイケル反応生成物の収率お
よび純度を測定し、その結果を、図3のグラフに示し
た。
【0058】図3の結果から明らかなように、ランタン
-BINOL金属錯体に対するBINOL のモル比率が1:1の時
に、高収率(97%)ならびに高純度(95%)にて所望の
マイケル反応生成物が得られることが判明し、前記した
1:1のモル比率で調製した本願発明の金属錯体がマイ
ケル付加反応を触媒する上で、極めて有用であることが
認められた。
【0059】実施例4:溶媒の種類 本願発明の金属錯体の調製時に用いる溶媒の種類が、マ
イケル反応生成物の収率・純度に与える影響を検定し
た。
【0060】まず、 10mol%のランタン-BINOL金属錯体
を含む無水テトラヒドロフランにて、メチルマロン酸ジ
ベンジルとシクロペンテノン(1.1当量)を、−20℃に
て、48時間反応させた。 次いで、テトラヒドロフラン
に代えて、トルエン、ジクロルメタン、あるいはジエチ
ルエーテルの溶媒を上記反応系に適用した。
【0061】これら各溶媒を用いた場合に得られたマイ
ケル反応生成物の収率・純度を、下記表4に示した。
【0062】
【表4】
【0063】上記表4の結果から明らかな通り、テトラ
ヒドロフランを溶媒として使用した場合に、高い収率・
純度にて所望のマイケル反応生成物が得られることが判
明し、テトラヒドロフランの本願発明の金属錯体の調製
用溶媒としての有用性が認められた。
【0064】
【発明の効果】本発明により、希土類アルコキシドの触
媒用途での有用性、すなわち不斉マイケル反応での触媒
機能が明らかになると共に、不斉マイケル反応に特異的
な金属錯体の提供が実現され、当該技術分野での今後の
研究指標を示唆するなどの優れた効果を奏するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の金属錯体を適用した不斉マイケル反
応機構の概念図である。
【図2】本願発明の金属錯体の調製過程における反応機
構の概念図である。
【図3】希土類金属アルコキシド/光学活性ビナフトー
ルの混合比率と、生成物の収率と純度の相関を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07M 7:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不斉マイケル反応の進行を触媒する金属
    錯体であって、前記金属錯体が; (a) 不斉マイケル反応の供与体化合物と希土類金属アル
    コキシドを溶媒中で混合して、これらのエノラートを含
    む反応混合物を調製し;および (b) 前記反応混合物に、光学活性ビナフトールを添加す
    る、 工程を含む調製処理を経ることによって得られることを
    特徴とする不斉マイケル反応の進行を触媒する金属錯
    体。
  2. 【請求項2】 不斉マイケル反応の進行を触媒する金属
    錯体であって、前記金属錯体が; (i) 希土類金属アルコキシドと光学活性ビナフトールを
    溶媒中で混合して、反応混合物を調製し;および (ii)前記反応混合物に含まれる沈殿を採取し、触媒とす
    る、 工程を含む調製処理を経ることによって得られることを
    特徴とする不斉マイケル反応の進行を触媒する金属錯
    体。
  3. 【請求項3】 前記希土類金属アルコキシドと前記光学
    活性ビナフトールのモル比率が、1:1である請求項1
    もしくは2に記載の金属錯体。
  4. 【請求項4】 前記供与体化合物が、下記化学式 【化1】 式中、R1は、アリールオキシ基、メトキシ基、エトキシ
    基、およびメチル基から選択され、 R2は、アリールオキシ基、メトキシ基、エトキシ基から
    選択され、およびR3は、水素、メチル基、エチル基から
    選択される、 構造を含む化合物である、請求項1もしくは3に記載の
    金属錯体。
  5. 【請求項5】 前記供与体化合物が、下記化学式(但
    し、下記化学式において、Bnはベンジル基、Meはメチル
    基、そしてEtはエチル基を示す) ; 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 の構造を含む化合物のグループから選択された供与体化
    合物である、請求項4に記載の金属錯体。
  6. 【請求項6】 前記希土類金属アルコキシドが、ランタ
    ンのアルコキシド体である請求項1ないし5のいずれか
    に記載の金属錯体。
  7. 【請求項7】 前記ビナフトールが、光学活性 2,2- ビ
    ナフトールである請求項1ないし6のいずれかに記載の
    金属錯体。
  8. 【請求項8】 前記溶媒が、テトラヒドロフラン、トル
    エン、ジクロルメタン、およびジエチルエーテルからな
    るグループから選択される溶媒である請求項1ないし7
    のいずれかに記載の金属錯体。
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