JPH07263791A - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JPH07263791A
JPH07263791A JP4887094A JP4887094A JPH07263791A JP H07263791 A JPH07263791 A JP H07263791A JP 4887094 A JP4887094 A JP 4887094A JP 4887094 A JP4887094 A JP 4887094A JP H07263791 A JPH07263791 A JP H07263791A
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JP
Japan
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layer
lattice constant
composition
active layer
semiconductor laser
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Withdrawn
Application number
JP4887094A
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English (en)
Inventor
Toru Uchida
徹 内田
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高い特性温度を実現することのできる1μm
帯半導体レーザを提供する、及び光変換効率の高い半導
体レーザを提供する。 【構成】 発光を行なう活性層5と、活性層を挟み、活
性層より大きなバンドギャップを有するガイド層6と、
ガイド層の両側を挟み、ガイド層よりも大きなバンドギ
ャップを有するクラッド層7とを含むレーザ構造を有
し、GaAsの格子定数をa1、InPの格子定数をa
2とした時、ガイド層とクラッド層の格子定数がa1よ
りも0.5%以上大きく、a2よりも0.5%以上小さ
く、活性層が、その他の層の格子定数と異なる格子定数
を有し、その膜厚が少なくとも単原子層の膜厚以上臨界
膜厚以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザに関し、
特に優れた変換効率を有する半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ通信は、大容量の幹線系から
加入者系へと普及しつつある。加入者系光ファイバ通信
では、システムの低コスト化が不可欠である。光源に
は、冷却器が不要なペルチエフリーシステムが要求され
る。
【0003】このため、85℃付近の高温でも低い駆動
電流で十分大きな光出力を発光することのできる半導体
レーザが望まれる。このためには、半導体レーザの温度
特性を支配する特性温度を十分高くすることが必要であ
る。
【0004】半導体レーザは、GaAs基板やInP基
板を用いて作成されていた。光ファイバ通信において
は、ファイバ内の損失が少ない1.3μm帯、1.55
μm帯(まとめて1μm帯と呼ぶ)の発光波長を有する
半導体レーザが要求される。
【0005】GaAs基板の上に格子整合したエピタキ
シャル層を用いて作成する半導体レーザでは、1μm帯
の発光を得ることができない。このため、1μm帯用の
半導体レーザとしては、InP基板が用いられてきた。
【0006】典型的な1μm帯の半導体レーザは、In
P基板を用い、活性層としてInGaAsPを用いたI
nGaAsP/InP系材料が用いられている。キャリ
アを活性層や活性層周辺に閉じ込めるためには、なるべ
く広いバンドギャップを有する層でクラッド層を形成す
ることが望まれる。InP基板に格子整合するIII−
V族化合物半導体の中で最もバンドギャップの広い材料
としてInPが用いられている。
【0007】また、活性層周辺に光を閉じ込めるための
ガイド層(光導波路層、バリア層)がクラッド層と活性
層の間に用いられる。このガイド層としては、活性層よ
りもバンドギャップの広いInGaAsPが用いられて
いる。
【0008】ところが、このようなInGaAsP/I
nP系半導体レーザの特性温度は、約60K程度であ
り、高温下になると光出力が急激に低下してしまう。活
性層とバリア層との間にポテンシャルバリアを作成する
ために、比較的狭いバンドギャップの材料と比較的広い
バンドギャップの材料を用いる場合、伝導帯に生じるバ
ンドの不連続(ΔEc)と、価電子帯に生じるバンド不
連続(ΔEv)との比(ΔEc/ΔEv)は一定ではな
い。
【0009】電子の有効質量は、正孔の有効質量よりも
軽いため、電子・正孔を効率良く活性層に閉じ込めるた
めには、ΔEcはΔEvよりも大きいことが望まれる。
しかしながら、InGaAsP/InP系材料で格子整
合してバンドギャップの異なる層を形成すると、ΔEv
がΔEcよりもかなり大きくなってしまう。
【0010】高温下での特性を改良した半導体レーザと
して、クラッド層およびガイド層にAlInGaAs系
材料を用いた半導体レーザが提案されている。AlIn
GaAs系材料を利用すると、ΔEcの大きさは大きく
なり、ある程度温度特性が改善される。
【0011】しかし、AlInGaAs系材料を用いて
も、未だ充分な特性温度は実現できない。特性温度を十
分高くするためには、正孔の有効質量に対する電子の有
効質量に対応するように、ΔEcの値をΔEvの値に対
し、大きくすることが望まれる。
【0012】また、活性層に歪を導入した歪導入活性層
を用いると、半導体レーザの発振閾値は低下することが
知られている。歪導入活性層を超格子構造とした歪MQ
W(multi quantum well)型半導体レーザが用いられて
いる。この歪MQW型半導体レーザにおいても、温度依
存性は改善されていない。
【0013】高温においても低い発振閾値を実現するた
めに、半導体レーザのキャビティ両端の反射面を高反射
率とすることが提案されている。キャビティ内で往復す
る光の強度が増大するため、駆動電流を低減することが
できる。しかしながら、高反射率のキャビティを用いる
と、外部に取り出せる光出力は減少してしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来の技術によれば、高い特性温度を有する1μm帯半
導体レーザを得ることは難しかった。
【0015】本発明の目的は、高い特性温度を実現する
ことのできる1μm帯半導体レーザを提供することであ
る。本発明の他の目的は、光変換効率の高い半導体レー
ザを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ
は、発光を行なう活性層と、活性層を挟み、活性層より
大きなバンドギャップを有するガイド層と、ガイド層の
両側を挟み、ガイド層よりも大きなバンドギャップを有
するクラッド層とを含むレーザ構造を有し、GaAsの
格子定数をa1、InPの格子定数をa2とした時、ガ
イド層とクラッド層の格子定数がa1よりも0.5%以
上大きく、a2よりも0.5%以上小さく、活性層が、
前記レーザ構造内のその他の層の格子定数と異なる格子
定数を有し、その膜厚が少なくとも単原子層の膜厚以上
臨界膜厚以下である。
【0017】
【作用】現在、入手できるIII−V族化合物半導体を
用いて、1μm帯半導体レーザを作成しようとすると、
利用できる基板はInPである。
【0018】しかしながら、InP基板を用い、InP
と格子整合するIII−V族化合物半導体を用いて1μ
m帯半導体レーザを作成すると、活性層とガイド層との
間で伝導帯においては電子に対して良好な閉じ込め効果
を発揮し、価電子帯においては正孔に対して過度でない
良好な閉じ込め効果を発揮することのできるバンド不連
続を同時に作成することは困難であった。
【0019】GaAsの格子定数とInPの格子定数の
中間領域の格子定数を有する結晶層を用いることによ
り、利用することのできるIII−V族化合物半導体材
料が拡がり、より良好なバンド不連続を実現することが
できる。
【0020】活性層の両側をガイド層で挟み、ガイド層
の両側をクラッド層で挟んだレーザ構造においては、ガ
イド層、クラッド層は下地結晶層と格子整合させる必要
がある。
【0021】下地結晶層の格子定数がInPの格子定数
よりも小さくなるようにすれば、ガイド層、活性層とし
てより好ましいバンド不連続を形成する材料を選択する
ことができる。
【0022】また、活性層の厚さを臨界膜厚以下とする
ことにより、その両側のガイド層と格子整合しない場合
であっても欠陥の少ない高品質の薄膜を形成することが
できる。
【0023】
【実施例】図1(A)、(B)に、本発明の実施例によ
る半導体レーザの構造を示す。図1(A)は半導体レー
ザの斜視図であり、図1(B)は半導体層の構成を概略
的に示すダイヤグラムである。
【0024】n型GaAs基板1の上に、n型In0.2
Ga0.8 As歪バッファ層2が形成され、下地結晶層を
構成する。歪バッファ層2は、GaAs基板1よりも大
きい格子定数を有する。歪バッファ層2を十分な厚さ成
長することにより、その最表面はGaAsの格子定数よ
りも大きな面内格子定数を有するものとなる。すなわ
ち、下地結晶層1、2は、GaAsの格子定数よりも大
きく、InPの格子定数よりも小さな格子定数を有する
最表面を構成する。
【0025】下地結晶層の上には、アンドープIn0.4
Ga0.6 Asで形成された活性層5、活性層を挟むアン
ドープIn0.2 Ga0.8 Asで形成されたガイド層6、
ガイド層6の両側を挟むIn0.7 Ga0.3 Pのクラッド
層7で構成されるレーザ構造がエピタキシャルに成長さ
れる。なお、下側に配置されるクラッド層7aはn型に
ドープされ、上側に配置されるクラッド層7bはp型に
ドープされている。
【0026】レーザ構造の上には、p型In0.2 Ga
0.8 Asで形成されたコンタクト層8がエピタキシャル
に成長されている。図1(A)に示すように、コンタク
ト層8、p側クラッド層7bの一部は、ストライプ状の
メサ型にエッチングされ、上にいくほど幅が狭くなる順
メサ構造を構成する。
【0027】メサの上部表面を残し、上側表面上にはS
iO2 等で形成された絶縁層10が形成されている。絶
縁層10の上にはTi層、Pt層、Au層の積層からな
るp側電極12が形成されている。なお、基板1下側表
面には、AuGe層、Au層で形成されたn側電極11
が形成されている。
【0028】なお、歪バッファ層2の最表面の面内格子
定数は、GaAsの格子定数より0.5%以上大きく、
InPの格子定数より0.5%以上小さくなるように選
ぶ。このような格子定数を用いることによりInP基板
やGaAs基板を用いた時には得られなかった効果が得
易くなる。InPの格子定数より0.5%以上小さな格
子定数とすることにより、小さな格子定数を用いる利点
が明確となる。ただし、GaAsの格子定数より0.5
%以上大きくないと1μm帯レーザを実現するのが困難
である。
【0029】以下、本実施例の基礎となったデータや実
験結果について説明する。図3(A)は、III−V族
化合物半導体のバンドギャップと格子定数の関係を示す
グラフである。横軸に格子定数をÅで示し、縦軸にバン
ドギャップをeVで示す。
【0030】III−V族化合物半導体レーザの基板と
して最もよく用いられるGaAsとInPは、バンドギ
ャップはGaAsが僅かに広く、格子定数はInPの方
が約0.2Å大きい関係にある。一般的に知られている
物理定数は、GaAsの格子定数が5.6533Å、I
nPの格子定数が5.8688Åである。
【0031】GaAs基板、InP基板上に格子整合す
るIII−V族化合物半導体は、図3(A)においてG
aAsのプロットおよびInPのプロットから横軸に垂
直に立てた垂線の上に載る材料である。
【0032】図3(B)、(C)は、GaAs基板上に
格子整合する材料を用いて活性層とガイド層にバンド不
連続を発生させた場合と、InP基板上に格子整合する
材料を用いて活性層、ガイド層にバンド不連続を発生さ
せた場合のバンド不連続の割合を示す概略図である。
【0033】図3(C)に示すように、InP基板を用
い、その上に格子整合する材料を積層した半導体レーザ
を作成した場合、活性層とガイド層にバンド不連続を発
生させると、そのバンド不連続の多くは価電子帯のバン
ド不連続ΔEvとして現れ、伝導帯に生じるバンド不連
続ΔEcはΔEvと比べ、小さい。
【0034】電子の有効質量は、正孔の有効質量よりも
軽いため、伝導帯のバンド不連続を大きくしないと、電
子は活性層に閉じ込められず、一旦活性層に入っても再
び活性層外に飛び出してしまう。伝導帯のバンド不連続
ΔEcを電子の閉じ込めに十分なほど深くすると、格子
不整合の程度は大きくなる。
【0035】また、価電子帯のバンド不連続ΔEvが大
きくなりすぎてしまう。たとえば、図2(A)に示すよ
うなMQW構造を採用した場合、p側領域からガイド層
に注入させた正孔は、最もp側領域に近い活性層内に閉
じ込められ、n型領域側の活性層には到達できなくなっ
てしまう。
【0036】MQW構造において、キャリアを十分均一
に注入するためには、バンド不連続の深さは深くしすぎ
てはならない。したがって、使用温度において適切なキ
ャリア閉じ込め効果を発揮させるためには、ΔEvとΔ
Ecの比が重要となる。
【0037】図3(B)に示すように、InPよりも格
子定数の小さなGaAs基板上にレーザ構造を構成する
と、価電子帯のバンド不連続ΔEvに対する伝導帯のバ
ンド不連続ΔEcの比は増大し、1に近付く。この現象
は、格子定数が小さな材料を用いるほど、ΔEc/ΔE
vの比を大きくできることを意味している。
【0038】図3(A)から明らかなように、GaAs
基板を用い、格子整合する材料を用いると、1μm帯の
半導体レーザを形成することはできない。したがって、
1μm帯レーザ用としては、一般にInP基板が用いら
れている。1μm帯の発光を実現するレーザ構造をIn
P基板上に形成する場合、用いる材料はInGaAsP
系材料から選択することになる。
【0039】図1(A)、(B)において、歪バッファ
層2は、GaAsよりも大きな面内格子定数を実現する
ための層である。歪バッファ層2の上に形成されるクラ
ッド層7、ガイド層6は、歪バッファ層2の最表面の面
内格子定数と格子整合している。活性層5は、ガイド層
6よりも大きな格子定数を有し、圧縮歪を受けた歪活性
層となる。なお、活性層5は、無歪の状態で格子定数が
クラッド層の格子定数より0.5%以上大きいInGa
Asであることが望ましい。
【0040】クラッド層を形成するInGaPは、活性
層およびガイド層を形成するInGaAsよりも広いバ
ンドギャップを有する。したがって、図1(A)、
(B)の構成において、下側のn型領域から注入される
電子は上側クラッド層において反射され、上側のp型領
域から注入される正孔は、下側クラッド層において反射
される。このように、広いバンドギャップを有するクラ
ッド層を用いることにより、電子・正孔に対する閉じ込
め効果が増大する。
【0041】ところで、図1(B)に示すように、活性
層5としてガイド層6と異なる格子定数を有する材料を
用いると、格子不整合が発生する。格子不整合による結
晶性の悪化を防止するためには、活性層5の厚さを臨界
膜厚以下とし、必要に応じて2層以上に分割して、図2
(A)に示すように多重量子井戸(MQW)構造とする
ことが望ましい。
【0042】図2(A)において、活性層5は複数の層
に分割され、ガイド層6内に分散して配置される。活性
層5全体として十分な厚さを確保し、かつ格子不整合に
よる格子欠陥を防止するために、MQW構造は有効であ
る。
【0043】なお、下地結晶層上に格子不整合する層を
成長する場合、ある厚さまでは良好な結晶層を成長させ
ることができる。この厚さ限界を一般的に臨界膜厚と呼
ぶ。ここで、本明細書において臨界膜厚とは、具体的に
は下記の膜厚をいう。
【0044】活性層を挟むガイド層でも電子正孔対を励
起させることのできるエネルギを有する励起光を照射
し、活性層からのPL強度を測定する。活性層とガイド
層の全厚さをほぼ一定とした条件下で、活性層の膜厚が
ある値より大きくなると、活性層内部に生じる欠陥の数
が多くなりPL強度が大きく減衰する。膜厚が十分薄い
ときは、例えば、活性層の膜厚を50%程度増加しても
PL強度はほとんど減衰しない。活性層の膜厚を徐々に
増加し、膜厚を50%増加したときに、PL強度が1/
2に減衰するような膜厚条件を見つける。この50%増
加させた膜厚を臨界膜厚と定義する。
【0045】本発明者は、活性層5の材料Inx Ga
1-x Asの組成xと、ガイド層6の材料Iny Ga1-y
Asの組成yを種々に変更し、活性層からの発光波長を
算出した。
【0046】図2(B)は、格子不整合の活性層とガイ
ド層を用いた場合、活性層から発する発光波長を示すグ
ラフである。図中横軸に活性層5のIn組成xを示し、
縦軸に発光波長をμmで示す。なお、活性層の厚さはMa
tthewsにより与えられた理論上の臨界膜厚とした。な
お、先に定義した臨界膜厚は実験上の値であり、理論上
の値に比べて一般的に小さい。図に示す3本の曲線は、
ガイド層6のIn組成yが0、0.1、0.2の時、活
性層5のIn組成xの変化に対する発光波長の変化を示
す。
【0047】x=yの時は、格子整合されており、活性
層の厚さの制限はなくなる。組成xと組成yの差が大き
くなるほど、格子不整合が大きくなり、活性層の臨界膜
厚は減少する。
【0048】図中、各曲線において、In組成の増大に
つれ、格子不整合の度合いは増大し、臨界膜厚は薄くな
る。図3(A)に示すように、InGaAsのIn組成
を増大させることは、バンドギャップを減少させること
となる。図2(B)において、活性層5のIn組成xが
増大すると共に、発光波長が長波長化する傾向は、この
バンドギャップ減少と対応している。
【0049】ところで、活性層のIn組成xとガイド層
のIn組成yの差が大きくなると、活性層の臨界膜厚は
著しく減少する。したがって、薄い活性層を用いたMQ
W構造とする必要が生じる。
【0050】活性層の厚さが薄くなると、量子効果によ
り活性層内の実効的バンドギャップは拡がる。この量子
効果により、図2(B)に示す発光波長は、活性層5の
In組成xの増大に拘らず、増加する傾向を緩め、飽和
し、やがて減少している。
【0051】活性層の厚さを、臨界膜厚よりも薄くする
と、この発光波長の短波長化はより速やかに生じる。し
たがって、図2(B)に示す活性層5とガイド層6の組
成の組合せにおいて実現できる発光波長は、図に示す曲
線よりも下側に位置することになる。
【0052】ガイド層6をIn0.1 Ga0.9 Asとした
場合、1.3μmの発光を得ることはできないが、ガイ
ド層6の組成をIn0.2 Ga0.8 Asとすれば、1.3
μmの発光波長を十分得ることができる。
【0053】なお、活性層、ガイド層として必要とされ
るバンドギャップをInGaAsPを用いて実現した場
合、Pの組成が少ないほど価電子帯のバンド不連続ΔE
vを基準とした伝導帯のバンド不連続ΔEcを大きくで
きることが判った。P組成を少なくして同じバンドギャ
ップにするためには、P組成の割合とほぼ同じだけIn
組成を減らさなければならず、格子定数は小さくなる。
【0054】結局、活性層、ガイド層の格子定数として
は、なるべく小さな格子定数を用いることがΔEc/Δ
Evの比を増大するのに有効であることが判った。図2
(B)から明らかなように、波長1.3μm以上の発光
を得るためには、ガイド層6のIn組成xを0.2以上
にする必要がある。この組成範囲の中でなるべく小さな
格子定数を得るためには、In0.2 Ga0.8 Asとする
ことが好ましい。
【0055】また、活性層5としてIn組成の大きな圧
縮性歪を有する量子井戸を用いることで、より小さな格
子定数で発光波長1.3μmの半導体レーザを実現でき
る。同時に歪み導入により、発光効率が向上するという
利点もある。歪み導入による十分な効率向上を得るため
には、クラッド層と活性層の格子定数の差は0.5%以
上であることが望ましい。
【0056】図1(A)、(B)に示す構成は、このよ
うな考察に基づいて設計されたものである。なお、ΔE
c/ΔEvの比の増大による十分な効果を得るために
は、クラッド層の格子定数を従来のInPより1%以上
小さくすることが好ましい。このことから、クラッド層
の好ましい格子定数の上限が決まる。
【0057】また、クラッド層と活性層との格子定数の
不整合が大きいと、臨界膜厚が薄くなるため、発光波長
が短波長化するとともに、製造が困難になる。ある程度
の厚さの臨界膜厚を確保する必要があることからクラッ
ド層の好ましい格子定数の下限が決まる。すなわち、ク
ラッド層の格子定数は、GaAsの格子定数よりも1.
5〜2.5%程度大きくなるように選択することが好ま
しい。
【0058】波長1.55μmの発光を得るためには、
上記と同様の考察から、クラッド層の格子定数はGaA
sの格子定数よりも2.0〜3.0%程度大きくなるよ
うに選択することが好ましい。
【0059】ガイド層を用いたSCH(separated conf
inement hetero)構造の半導体レーザにおいては、活性
層はガイド層で囲まれ、ガイド層の外側にはクラッド層
が配置される。これらの中で活性層が最もバンドギャッ
プが狭く、ガイド層が活性層よりもバンドギャップが広
く、クラッド層は最もバンドギャップが広い。
【0060】図4(A)は、このようなSCH構造のレ
ーザ構造内におけるバンド構造を概略的に示すダイヤグ
ラムである。一方のクラッド層7aはn型領域であり、
他のクラッド層7bはp型領域である。これら一対のク
ラッド層の間に、活性層5を挟んだガイド層6が挿入さ
れている。活性層5は、2つの層に分割され、MQW構
造を構成している。
【0061】n型クラッド層7aから注入された電子
は、活性層5に捕捉されない場合、p型クラッド層7b
まで進行してしまう。ここで、クラッド層7bがガイド
層6に対して形成する電位障壁が十分高ければ、電子は
クラッド層7bで反射され、再び活性層5に向かう。同
様、p型クラッド層7bから注入された正孔は、活性層
5に捕捉されなかった場合、n型クラッド層7aまで進
行する。ここで、n型クラッド層7aの形成する電位障
壁が十分高ければ、正孔は反射され、再び活性層5に向
かう。
【0062】クラッド層がガイド層に対して十分高い電
位障壁を形成すると、キャリアに対する閉じ込め効果は
増大する。なお、このようなバンドギャップの構成は、
屈折率分布にも反映され、キャリア閉じ込め効果と同時
に光閉じ込め効果も増大させることになる。このような
閉じ込め効果を大きくするためには、クラッド層として
なるべくバンドギャップの広い材料を用いることが望ま
しい。
【0063】図3(A)を参照すると、ガイド層として
InGaAsP系混晶を用いる場合は、InGaPを用
いた時、そのバンドギャップは最大となる。基板がIn
Pであれば、InPと格子整合するバンドギャップが最
大のInGaP系混晶はInPであるため、従来技術に
よるレーザ構造においてクラッド層としてInPが用い
られている理由と符号する。下地結晶の格子定数が、I
nPよりも小さい場合、クラッド層のバンドギャップは
さらに増大させることができる。
【0064】図1(A)、(B)の実施例において、ク
ラッド層としてIn0.7 Ga0.3 Pを用いたことは、I
nGaAsP系材料内で最も広いバンドギャップを有す
るクラッド層を用い、閉じ込め効果を増大させたことを
意味する。
【0065】ところで、図3(A)から明らかなよう
に、InGaPと同じ格子定数でより広いバンドギャッ
プを有する材料が存在する。すなわち、GaAsの格子
定数とInPの格子定数の間の格子定数領域において、
InGaPの曲線とAlInPの曲線に挟まれた領域内
のAlGaInAsPを用いると、同一の格子定数を有
するInGaPよりも広いバンドギャップを実現するこ
とができる。
【0066】図4(B)は、このような広いバンドギャ
ップを有する材料でクラッド層を形成した構成を示す。
活性層5、ガイド層6としては、図1(A)、(B)に
示す実施例同様のInGaAsまたはInGaAsPを
用い、その両側のクラッド層7として図3(A)に示す
斜線領域のAlGaInAsPを用いる。n型領域にお
いては、n型AlGaInAsPクラッド層7aを用
い、p型領域においてはp型AlGaInAsPクラッ
ド層7bを用いる。
【0067】基板1としては、n型InPまたはn型G
aAsを用い、クラッド層、ガイド層の格子定数に整合
させるため、面内格子定数を変化させるための歪バッフ
ァ層2を基板1上に成長する。歪バッファ層2の上に、
上述のレーザ構造5、6、7を成長し、さらにp型コン
タクト層8としてp+ 型InGaAs層を成長する。
【0068】このような構成とすれば、ガイド層6とク
ラッド層7の間の電位障壁が高くなり、活性層に捕捉さ
れず、拡散したキャリアを効率良く反射し、再び活性層
に向かわせることが可能となる。
【0069】基板上に格子定数の異なる層を成長すると
大きな歪が発生し、歪が緩和する時に転位が発生する。
この転位が活性層を貫通するのを抑制する構造が望まれ
る。また、歪を緩和させるためには十分厚い歪バッファ
層を成長させる必要がある。ここで、より薄い歪バッフ
ァ層を用いて、歪を有効に開放することが望まれる。
【0070】図5(A)、(B)は、基板とレーザ構造
の間にある格子不整合を速やかに緩和し、かつ歪を消滅
させ、その時生じる転位が活性層を貫通するのを抑制で
きるレーザ構造を示す。
【0071】図5(A)においては、n型GaAs基板
1の上に組成xを0から0.25まで徐々に変化させた
n型Inx Ga1-x Asの組成勾配層2aをまず成長
し、その上に組成xが組成勾配層2aの最大組成0.2
5より5%低く、均一なn型In0.2 Ga0.8 Asの均
一組成層2bを成長する。
【0072】すなわち、結晶の本来有する格子定数とし
ては、基板1から組成勾配層2aに移ると、格子定数は
次第に増大し、均一組成層2bでは再び減少し、一定の
値となる。
【0073】均一組成層2bの上には、図1(A)、
(B)と同様のレーザ構造5、6、7、およびコンタク
ト層8をエピタキシャルに成長する。図6は、図5
(A)に示すような組成勾配層2a、均一組成層2bを
用いた場合の格子の変化を概略的に示すダイヤグラムで
ある。組成勾配層2aにおいては、物質本来の格子定数
は次第に増大する。
【0074】しかしながら、基板上に形成された組成勾
配層2aにおいては、基板の格子定数に制限され、面内
格子定数はそれほど増大することができない。したがっ
て、格子は面内方向では圧縮され、面に垂直な方向に長
くなる変形を示す。すなわち、組成勾配層2aにおいて
は、面内格子定数も次第に増大するが、面内方向におい
ては、圧縮応力が働いている。組成勾配層2aの上に、
均一組成層2bが成長されている。均一組成層2bの格
子定数は、組成勾配層2aの最表面の面内格子定数と格
子整合するように選択される。すると、均一組成層2b
においては、格子は変形せずにそのまま成長する。した
がって、均一組成層は無歪とすることができる。
【0075】この歪緩和機構を検証するため、均一組成
層2bの厚さを1μmとし、各クラッド層7の厚さを
0.1μm、各ガイド層6の厚さを0.05μm、活性
層5の厚さを5nmとし、組成勾配層2aの厚さを1μ
m、1.5μm、2.4μmとしたサンプルを形成し
た。各サンプルにおいて、組成勾配層2a内の組成は、
連続的にリニアに変化させた。
【0076】この3種類のサンプルを用い、活性層から
のホトルミネッセンスPLを測定した。PL強度は、組
成勾配層2aを1.5μmとしたサンプルにおいて最大
となった。3つのサンプルの内、組成勾配層2aの厚さ
が1.5μmのサンプルが、最もIn0.2 Ga0.8 As
均一組成層の格子定数に近い面内格子定数を形成したも
のと考えられる。
【0077】本実施例においては、組成勾配層において
積極的に組成を変化させることにより、厚さによる効果
と組成変化による効果が共に生じている。1.5μmの
厚さを有する組成勾配層を用いた場合、最表面における
面内格子定数は均一組成層2bの組成In0.2 Ga0.8
Asの格子定数に近くなっていることが判る。
【0078】そして、同様な構造について透過型電子顕
微鏡によりその断面像を調べたところ、転位は組成勾配
層(2a)の中で生じ、その転位は組成勾配層に閉じ込
められ、活性層を貫通する転位はほとんどないことを発
見した。
【0079】このように、組成勾配層を用いると、活性
層を貫通する転位を極力少なくすることができる。ま
た、組成勾配層と均一組成層の格子定数の組み合わせ方
でより薄い歪緩和層で無歪の結晶表面を得ることが可能
となる。
【0080】上記実施例では、組成勾配層2aの最表面
のIn組成xが0.25、その上の均一組成層のIn組
成xが0.2である場合について説明したが、In組成
をその他の値としてもよい。例えば、組成勾配層2aの
最表面のIn組成xが0.2〜0.35の範囲であり、
その上の均一組成層のIn組成xが組成勾配層の最表面
のIn組成xよりも小さくなり、その差が0.05以下
になるような構成としてもよい。
【0081】なお、歪バッファ層を用いると、結晶表面
に歪が残り、その上に成長するエピタキシャル層の表面
に凹凸が生じる。この凹凸は、〔110〕方向で少な
く、〔110〕方向に垂直な〔−110〕方向で大き
い。したがって、半導体レーザのキャビティ方向は〔1
10〕方向とすることが望ましい。キャビティ方向を
〔110〕とすると、キャビティ方向において凹凸が少
なく、キャビティ内を往復する光の散乱が減少する。
【0082】上述の組成勾配層と均一組成層の組合せに
よる歪バッファ層は、他の構成に適用することもでき
る。図5(B)は、組成勾配層と均一組成層の組合せに
よる歪バッファ層を用いた他の構成例を示す。n型Ga
As基板1の上に、組成xが0から0.25までリニア
にかつ徐々に変化し、不純物濃度1×1018cm-3を有
する組成勾配層2aを厚さ約1.5μm成長する。
【0083】組成勾配層2aの上に、一定組成In0.2
Ga0.8 Asを有する均一組成層2bを成長する。均一
組成層2bは、厚さ1.0μm、n型不純物濃度1×1
18cm-3を有するn型層である。
【0084】均一組成層2bの上に、厚さ1.0μm、
n型不純物濃度1×1018cm-3を有するn型In0.7
Ga0.3 Pクラッド層7を成長する。クラッド層3の上
に、厚さ0.02μmのアンドープIn0.3 Ga0.7
s活性層と、活性層を挟む厚さ0.1μmのアンドープ
In0.3 Ga0.7 As0.8 0.2 ガイド層6を有するS
CH(separated confinement hetero)構造を形成す
る。ガイド層6を4元組成としたことにより大きなバン
ド不連続を得ることができる。
【0085】このSCH構造の上に、厚さ1.0μm、
p型不純物濃度1×1018cm-3のp型In0.7 Ga
0.3 Pクラッド層7を成長し、さらにその上に厚さ0.
5μm、p型不純物濃度3×1019cm-3のp型In
0.2 Ga0.8 Asコンタクト層8を成長する。
【0086】図5(B)に示すエピタキシャル構造を採
用し、図1(A)に示すようなリッジ型半導体レーザを
構成した時、キャビティ長900μmで発振波長1.1
5μm、電流密度500A/cm2 で発振させることが
できた。
【0087】次に、組成勾配層の膜厚と活性層の品質の
関係について説明する。図7は、組成勾配層と均一組成
層の組み合わせからなる歪バッファ層を用いた他の構成
例を示す。n型GaAs基板1の上に、組成xが0から
0.3までリニアにかつ徐々に変化させた組成Inx
1-x Asを有する組成勾配層2aを厚さ0.5〜2.
4μm成長させる。組成勾配層2aは、不純物濃度1×
1018cm-3のn型層である。
【0088】組成勾配層2aの上に一定組成In0.3
0.7 Asを有する均一組成層2bを成長する。均一成
長層2bは、厚さ1.0μm、n型不純物濃度1×10
18cm-3を有するn型層である。
【0089】均一組成層2bの上に、厚さ1μm、n型
不純物濃度1×1019cm-3を有するn型In0.8 Ga
0.2 Pクラッド層3を成長する。クラッド層3の上に、
厚さ5nmのアンドープIn0.45Ga0.55As活性層5
と、活性層5を挟む厚さ0.1μmのアンドープIn
0.4 Ga0.6 As0.8 O.2 のガイド層6を有するSC
H構造を形成する。このSCH構造の上に厚さ1μm、
p型不純物濃度1×10 18cm-3のp型In0.8 Ga
0.2 Pクラッド層7を成長する。
【0090】図8は、図7の積層構造における活性層5
からのフォトルミネッセンス(PL)強度を示す。励起
光としては、ガイド層6でも電子正孔対を励起できるエ
ネルギを有するものを使用した。従って、ガイド層6で
励起された電子正孔対も主に活性層5に注入され、活性
層5で再結合して発光する。
【0091】横軸は、組成勾配層2aの単位膜厚当たり
の格子定数の変化率、すなわち、組成勾配層2aの基板
1側の面における組成の無歪時の格子定数をa3、最表
面の格子定数をa4、膜厚をd1としたとき、|(a4
−a3)/d1|を表す。なお、基板としてInPを使
用する場合は、a3>a4となり、(a4−a3)/d
1が負になるため、絶対値符号を付している。縦軸は、
PL強度を任意目盛で表す。
【0092】格子定数の変化率が2×10-5以上のと
き、発光はほとんど見られない。これは、組成勾配層2
a中の格子定数の変化率が急激なため、組成勾配層2a
内で発生した多数の転位が、活性層5まで及んでいるた
めと考えられる。
【0093】格子定数の変化率が2×10-5よりも小さ
くなると徐々にPL強度が増加する。変化率が1.6×
10-5になるとPL強度の増加が大きくなり、1.2×
10 -5になるとPL強度は急激に増加し、0.9×10
-5でほぼ飽和する。これは、格子定数の変化率を小さく
すると活性層まで及ぶ転位が減少するためと考えられ
る。また、約0.9×10-5以下で活性層3の転位密度
は発光材料としてほとんど問題にならない密度にまで減
少しているものと考えられる。
【0094】図8から、組成勾配層における格子定数の
変化率は、単位膜厚当たり1.6×10-5以下であるこ
とが好ましい。さらには、1.2×10-5以下であるこ
とが好ましく、0.9×10-5以下であることがより好
ましい。
【0095】次に、活性層の歪量と膜厚が活性層の品質
に与える影響について説明する。図9は、組成勾配層と
均一組成層の組み合わせによる歪バッファ層を用いた他
の構成例を示す。組成勾配層2a、均一組成層2b、ク
ラッド層7及びガイド層6の組成及び膜厚は、図7に示
す構成と同様である。なお、組成勾配層2aの膜厚は2
μmである。膜厚2μmは、図7の構成例で十分良好な
PL強度を得ることができた範囲内の膜厚である。
【0096】図10は、図9に示す積層構造において、
活性層5の組成と膜厚を変化させたときの活性層のPL
強度を示す。横軸は、活性層5が無歪状態で本来有する
格子定数をa5、クラッド層7の格子定数をa6とした
とき、(a5−a6)/a6を表す。活性層5がガイド
層6を通してクラッド層7上にエピタキシャルに成長す
ると、活性層5の膜厚が十分薄ければ格子定数はクラッ
ド層7の格子定数に整合する。すなわち、(a5−a
6)/a6は、活性層の歪量を表す。縦軸は、活性層5
の膜厚d2を単位nmで表す。
【0097】図中○は良好なPL強度が得られた試料
を、●は良好なPL強度が得られた試料のPL強度の半
分以下のPL強度しか得られなかった試料を示す。すな
わち、図中の実線pは、活性層5の歪量に対する臨界膜
厚を示す。
【0098】図10の実線pよりも下の領域で良好なP
L強度が得られることがわかる。これは、活性層5の膜
厚が臨界膜厚以下であれば、活性層5はクラッド層7の
格子定数に整合してエピタキシャルに成長するが、膜厚
が大きくなると転位等の欠陥が増加するためと考えられ
る。
【0099】図10から、良好なPL強度を得るために
は、 d2×{(a5−a6)/a6}2 <9×10-4 を満足するようにa5、a6、d2を選択すればよいこ
とがわかる。
【0100】なお、歪活性層の導入により発光効率向上
の効果を得るためには、クラッド層と活性層の格子定数
の差は0.5%以上であることが好ましい。すなわち、 (a5−a6)/a6>5×10-3 であることが好ましい。
【0101】図9では、活性層として所定の組成のIn
GaAsを用いた場合について説明したが、活性層をI
nAsとGaAsを一層ずつ交互に積層した短周期超格
子構造としてもよい。短周期超格子構造とすることによ
り、歪による欠陥の発生を抑制することができる。な
お、InAsとGaAs層は、必ずしも一層ずつ積層す
る必要はなく、0.7〜1層程度を交互に積層しても同
様の効果を得ることができる。ここで、一層以下とは、
超格子が成長表面の全面に完全に成長せず、部分的に下
地の層が露出している場合をいう。
【0102】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。たとえば、
種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者
に自明であろう。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
温度特性の優れた1μm帯III−V族化合物半導体レ
ーザを提供することができる。
【0104】また、発光効率の優れた1μm帯III−
V族化合物半導体レーザを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す斜視図および概略断面図
である。
【図2】図1に示す実施例を説明するための概略断面図
およびグラフである。
【図3】III−V族化合物半導体レーザの特性を説明
するためのグラフおよびダイヤグラムである。
【図4】本発明の他の実施例による半導体レーザを説明
するためのダイヤグラムおよび概略断面図である。
【図5】本発明の他の実施例による半導体レーザの積層
構造を説明するための概略断面図である。
【図6】図5に示す実施例の歪緩和効果を説明するため
の概略ダイヤグラムである。
【図7】本発明の他の実施例による半導体レーザの積層
構造を説明するための概略断面図である。
【図8】図7に示す半導体レーザの組成勾配層の格子定
数の変化率と活性層からのPL強度の関係を示すグラフ
である。
【図9】本発明の他の実施例による半導体レーザの積層
構造を説明するための概略断面図である。
【図10】図9に示す半導体レーザにおいて、良好なP
L強度を得ることができる活性層の歪量と膜厚の関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2 歪バッファ層 2a 組成勾配層 2b 均一組成層 5 活性層 6 ガイド層 7 クラッド層 8 コンタクト層

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光を行なう活性層(5)と、活性層を
    挟み、活性層より大きなバンドギャップを有するガイド
    層(6)と、ガイド層(6)の両側を挟み、ガイド層よ
    りも大きなバンドギャップを有するクラッド層(7)と
    を含むレーザ構造を有し、 GaAsの格子定数をa1、InPの格子定数をa2と
    した時、ガイド層(6)とクラッド層(7)の格子定数
    がa1よりも0.5%以上大きく、a2よりも0.5%
    以上小さく、 活性層(5)が、前記レーザ構造内のその他の層の格子
    定数と異なる格子定数を有し、その膜厚が少なくとも単
    原子層の膜厚以上臨界膜厚以下である半導体レーザ。
  2. 【請求項2】 前記レーザ構造において、前記活性層
    (5)の組成における無歪時の格子定数をa5、前記ク
    ラッド層(7)の格子定数をa6としたとき、a5、a
    6の関係が、 (a5−a6)/a6>5×10-3 を満足する関係にある請求項1記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 前記レーザ構造において、前記活性層
    (5)の膜厚をd2〔nm〕、その組成における無歪時
    の格子定数をa5、前記クラッド層(7)の格子定数を
    a6としたとき、d2、a5、a6の関係が、 d2×{(a5−a6)/a6}2 <9×10-4 を満足する関係にある請求項1または2記載の半導体レ
    ーザ。
  4. 【請求項4】 さらに、基板(1)と、基板と格子整合
    する組成近傍の組成から徐々に組成を変化させたIII
    −V族化合物半導体層からなる組成勾配層(2a)とを
    含む下地結晶層(1、2)を有し、 組成勾配層の最表面は、a1よりも0.5%以上大き
    く、a2よりも0.5%以上小さい格子定数を示し、 前記レーザ構造(5、6、7)が、前記下地結晶層上に
    形成されており、 前記組成勾配層(2a)は、その膜厚をd1、前記基板
    と接する面の組成における無歪時の格子定数をa3、最
    表面の組成における無歪時の格子定数をa4としたと
    き、d1、a3、a4の関係が、 |(a4−a3)/d1|<1.6×10-5 を満足する請求項1記載の半導体レーザ。
  5. 【請求項5】 前記組成勾配層は、InGaAsである
    請求項4記載の半導体レーザ。
  6. 【請求項6】 前記組成勾配層は、組成が連続的に変化
    する請求項5記載の半導体レーザ。
  7. 【請求項7】 前記d1、a3、a4の関係が、さら
    に、 |(a4−a3)/d1|<1.2×10-5 を満足する請求項5記載の半導体レーザ。
  8. 【請求項8】 前記d1、a3、a4の関係が、さら
    に、 |(a4−a3)/d1|<0.9×10-5 を満足する請求項7記載の半導体レーザ。
  9. 【請求項9】 前記活性層は、InAs層とGaAs層
    とが交互に積層された超格子構造を有する請求項1〜8
    のいずれかに記載の半導体レーザ。
  10. 【請求項10】 前記超格子構造は、0.7〜1層のI
    nAs層と、0.7〜1層のGaAs層とが交互に積層
    された構造である請求項9記載の半導体レーザ。
  11. 【請求項11】 前記活性層は、波長1.3μm帯また
    は1.5μm帯の発光を行う請求項1〜10のいずれか
    に記載の半導体レーザ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009016825A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Osram Opto Semiconductors Gmbh 多重ビーム−レーザダイオードとしての構造を有するモノリシック集積型レーザダイオードチップ

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JP2009016825A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Osram Opto Semiconductors Gmbh 多重ビーム−レーザダイオードとしての構造を有するモノリシック集積型レーザダイオードチップ

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