JPH0726350B2 - パルプの高脱リグニン選択性を得る方法 - Google Patents

パルプの高脱リグニン選択性を得る方法

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JPH0726350B2
JPH0726350B2 JP4216806A JP21680692A JPH0726350B2 JP H0726350 B2 JPH0726350 B2 JP H0726350B2 JP 4216806 A JP4216806 A JP 4216806A JP 21680692 A JP21680692 A JP 21680692A JP H0726350 B2 JPH0726350 B2 JP H0726350B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙パルプの処理方法に
関し、より詳しくは、褐色原料を酸素脱リグニン(処
理)して、強度に悪影響を及ぼすことなく高度に脱リグ
ニンされたパルプ(高脱リグニンパルプ)を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】木はその大部分が、セルロースと、ヘミ
セルロース繊維と、繊維質部分を一体に保持すべく働く
非晶質・非繊維質リグニンとで構成されている。ヘミセ
ルロース及びセルロースは、時々、総称的にホロセルロ
ースと呼ばれる。木材を処理してパルプを製造する間、
木材は、リグニンの大部分を除去することにより繊維質
マスに変換される。紙及び紙製品の製造方法は、一般に
パルプ化工程を有しており、該パルプ化工程では、通常
木材チップの形態の木材が還元されて繊維質マスにな
る。従来技術において幾つかの異なるパルプ化方法が知
られており、一般に機械的パルプ化方法及び化学的又は
半化学的パルプ化方法として類別されている。
【0003】化学的パルプ化方法には、亜硫酸法、重亜
硫酸法、ソーダ法及びクラフト法等の種々の方法があ
り、クラフト法は化学的パルプ化方法のうちの最も有力
な形態である。一般に、化学的パルプ化作業は、木材チ
ップを蒸解がま内に導入する作業を有しており、蒸解が
まにおいて木材チップが化学薬液中で蒸解される。クラ
フト法では、蒸解液は、水酸化ナトリウムと硫化ナトリ
ウムとの混合物からなる。所要の蒸解時間の経過後、軟
化され且つ脱リグニンされた木材チップは蒸解薬液から
分離されて、パルプの繊維質マスが製造される。化学的
パルプ化方法により製造されたパルプは、「褐色原料
(brownstock) 」と呼ばれている。一般に褐色原料は洗
浄されて蒸解薬液が除去され、次に、未漂白グレードの
紙製品を製造すべく処理されるか、高白色度の紙製品を
製造すべく漂白される。
【0004】リグニンの発色団は主としてパルプの色に
反応するため、殆どの褐色原料漂白方法は、褐色原料を
更に脱リグニンすることが必要である。例えば、この脱
リグニン処理を行うのに、褐色原料を、酸性媒体中で元
素としての塩素と反応させてもよいし、アルカリ溶液中
で次亜塩素酸塩と反応させてもよい。一般にこれらの工
程の後に、二酸化塩素との反応が行われて完全に漂白さ
れた製品が製造される。最近では、酸素脱リグニン方法
が多く使用されている。これは、酸素脱リグニン方法が
安価な漂白薬品を使用すること、及び生成される副産物
を回収ボイラ内で燃焼でき、環境汚染物質を低減できる
ことによる。酸素脱リグニン工程の後にはしばしば漂白
工程が続く。この漂白工程は塩素又は二酸化塩素を使用
するけれども、漂白薬品は殆ど不要であり且つ酸素脱リ
グニン工程で達成される漂白のために環境汚染物質は殆
ど生成されない。
【0005】幾つかの漂白方法においては、パルプは、
パルプ濃度の中間レベルに低く維持されている間に漂白
される。パルプ濃度とは、パルプ中の固形繊維質の割合
(%)を測定したものである。約10重量%以下の濃度
のパルプはパルプ濃度の中間範囲の低い方(低い中間濃
度範囲)であるといわれている。Kirk等の米国特許第4,
198,266 号、Markham 等の米国特許第4,431,480 号、Pr
oughの米国特許第4,220,498 号、Kirk等の「Low-consis
tency Oxygen Delignification in a PipelineReactor-
A Pilot Study (パイプライン反応器内での低濃度酸
素脱リグニン−試験的研究」という標題のKirk等の論文
(TAPPI、1978年5月)には、低い中間濃度で
の漂白を要する方法が記載されている。上記特許及び論
文の各々には、低い中間濃度範囲でパルプに作用する酸
素脱リグニン工程が説明されている。
【0006】Elton の米国特許第4,806,203 号には、パ
ルプ(好ましくは塩素化パルプ)のアルカリ抽出におい
て溶解リグニンがパルプに再付着することを防止するに
は、アルカリ溶液を一定時間除去することが重要である
と説明されている。この工程において時間が短か過ぎた
り長過ぎたりすると、この方法が殆ど無意味であること
が証明されている。
【0007】木材パルプの酸素脱リグニンは、毛羽状に
解砕された高濃度パルプに対しても加圧反応器内で行う
ことができる。酸素脱リグニン工程の間、一般に、パル
プ濃度は20〜30重量%に維持される。高濃度パルプ
には、ガス状酸素が約80〜100psig(約5.6 〜7.0
ゲージkg/cm2)の圧力で導入される。例えば、G.A. Smo
okの「Handbook for Pulp and Paper Technologists
(パルプ及び紙技術者用ハンドブック)」(11.4章、1
982年)を参照されたい。従来の酸素脱リグニン作業
においては、蒸解後のパルプは洗浄及び脱水されて、高
濃度マットが形成される。次に、パルプマットの表面上
にアルカリ溶液を噴霧することにより、パルプマットを
アルカリ溶液のフィルムすなわち層で被覆する。マット
上に噴霧されるアルカリ溶液の量は、絶乾(oven dry、
OD)パルプの約0.8 〜7重量%である。
【0008】従来使用されている高濃度酸素脱リグニン
方法には幾つかの欠点がある。より詳しくは、高濃度パ
ルプのマットが一般に多孔質であるにも係わらず、該マ
ット上へのアルカリ溶液の噴霧では繊維質マスの全体に
亘って均一な分散が行えないことが判明している。この
不均一な分散の結果、高濃度パルプマットの或る領域が
過剰量のアルカリ溶液に曝されることになる。この過剰
暴露によって、ホロセルロース材料の非選択的劣化が引
き起こされ、このため、比較的弱いパルプが少なくとも
局部的に形成される。これに対し、高濃度パルプマット
の他の部分(一般的に内部)はアルカリ溶液に充分に曝
されず、所望度合いの脱リグニンを達成することができ
ない。従って、全体的品質が低下する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高濃
度酸素脱リグニン工程の間にパルプの優れた脱リグニン
選択性が得られる新規な方法であって、従来の方法で達
成可能なものより大きな強度及び低いリグニン含有量の
酸素脱リグニンパルプが得られる新規な方法を提供する
ことにある。また、洗浄プレスを使用して、パルプに供
給する必要のあるアルカリ物質の所望量を低減させると
同時に、酸素脱リグニン反応器に流入するパルプ固形物
の量をも低減させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、パルプ
は、最初に、第1洗浄プレス内で少なくとも約18%の
濃度まで洗浄される。この濃度は、約10重量%以下
(好ましくは5重量%以下)に実質的に低下され、低濃
度パルプを形成する。第1量のアルカリ物質を低濃度パ
ルプに適用し、低濃度パルプと、アルカリ水溶液の形態
の一定量のアルカリ物質とを混合して、パルプの全体に
亘って第1量のアルカリ物質を実質的に均一に分散させ
る。第1量のアルカリ物質をこのように均一に分散させ
ると、アルカリ物質を高濃度パルプにのみ適用する方法
又は非常に少量のアルカリ物質を低濃度パルプにのみ適
用する方法に比べ、高濃度酸素脱リグニン中の脱リグニ
ン選択性を高める充分な補助がなされる。
【0011】第1量のアルカリ物質のパルプへの添加を
完了させるため、次に、パルプの濃度を少なくとも約1
8%に高め、高濃度パルプを形成する。パルプ濃度を高
めるこの工程は低濃度パルプをプレス(圧搾)する工程
を有しており、該圧搾工程は、第1量のアルカリ物質を
パルプの全体に亘って分散させた状態で、アルカリ物質
を含有する圧搾液(pressate) を除去する。
【0012】本発明の一実施例においては、洗浄プレス
により、パルプの濃度を、高濃度パルプの濃度と等しい
か大きい値まで高める。これにより、全ての圧搾液がア
ルカリ物質混合工程に直接リサイクルされ、全てのアル
カリ物質が低濃度パルプに適用されて、該低濃度パルプ
上に全量が分散される。また、全ての圧搾液がリサイク
ルされるため、パルプにアルカリ物質の全量を適用する
のに使用されるアルカリ物質の量を最小限にすることが
できる。
【0013】本発明の第2実施例においては、パルプが
洗浄プレスを出た後にパルプに全量のアルカリ物質を適
用するのに、分割アルカリ物質添加方法が使用される。
低濃度パルプには第1量のアルカリ物質が適用され、高
濃度パルプには第2量のアルカリ物質が適用される。い
ずれの実施例についても、保持タンク内に所定量の圧搾
液を保有することができる。圧搾液のこの量は、アルカ
リ物質混合工程に連続的に戻すか直接的にリサイクルさ
せることができる。パルプに適用される全量のアルカリ
物質は、絶乾パルプに基づいて約0.8 〜7重量%の間に
ある。次に、パルプは酸素脱リグニンされ、高脱リグニ
ンが達成される。
【0014】
【実施例】本発明は、高濃度酸素脱リグニンを行う前に
褐色原料パルプをアルカリ物質で処理する方法であっ
て、最小限のアルカリ物質を使用し且つパルプ上に形成
される固形物を最小限にできる方法でパルプとアルカリ
物質とを実質的に均一に処理できる方法に関する。
【0015】本発明によれば、クラフトパルプ又は他の
化学的パルプ化方法により形成されたパルプから、高品
質及び高強度の脱リグニン木材パルプが製造される。好
ましい出発物質は、例えばクラフト法又はクラフトAQ
法等により蒸解薬液中で木材チップ又は他の繊維質材料
を蒸解することにより得られる未漂白パルプである。図
1に示すように、木材チップ1と、水酸化ナトリウム及
び硫化ナトリウムからなる白液2とが蒸解がま(ダイジ
ェスタ)3内に導入される。木材チップ1をほぼカバー
できる充分な量の白液2を蒸解がま3内に導入する必要
がある。次に、白液2を実質的に木材チップ1に含浸さ
せ且つ蒸解反応を実質的に完了させるのに充分な温度及
び時間をかけて、蒸解がま3内の中身を加熱する。
【0016】この木材チップ蒸解工程は、クラフト蒸解
又はクラフト法として従来から知られており、この方法
により得られたパルプはクラフトパルプ又はクラフト褐
色原料として知られている。リグノセルロースを出発物
質とすることにより、従来のクラフト法で得られる脱リ
グニン結果は、発展形脱リグニン技術すなわちクラフト
AQ法の使用により増大される。また、これらの技術
は、蒸解工程中にパルプの強度及び粘度特性に悪影響を
及ぼすことなくパルプのK価を最大限に低下できる点で
好ましい。
【0017】クラフトAQ技術を用いるとき、蒸解薬液
中のアントラキノンの量は、パルプ化すべき木材の絶乾
重量に基づき、少なくとも約0.01重量%の量にしなけれ
ばならない(一般的に好ましい量は、約0.02〜0.1 %で
ある)。クラフトパルプ化法においてアントラキノンを
含有させると、残余のセルロースの所望の強度特性に悪
影響を及ぼすことなくリグニンの大幅な除去に貢献す
る。また、アントラキノンを添加するコストは、パルプ
の酸素脱リグニン工程の後に行われる漂白工程において
使用される薬品のコストを節約できることにより部分的
に相殺される。
【0018】クラフトAQ法とは別に又はクラフトAQ
法に加えて、カミヤMCC法、ベロイトRDH法及びサ
ンズスーパーバッチ法等の発展形脱リグニン技術が用い
られる。また、これらの技術は、残余のセルロースの所
望の強度特性に悪影響を及ぼすことなく、蒸解中により
多量のリグニンを除去することを可能にする。蒸解がま
3は、褐色原料4と共に、リグニン可溶性の反応生成物
を含有している黒液を生成する。一般に、蒸解工程の後
には洗浄工程並びにスクリーニング工程(図示せず)が
続き、洗浄工程ではリサイクル及び回収すべき溶解有機
物質及び蒸解薬品の大部分が除去され、スクリーニング
工程ではパルプがスクリーニング装置に通され、パルプ
化工程で分離されなかった繊維束が除去される。次に、
褐色原料4はブロータンク5に導かれる。
【0019】ブロータンク5を出る褐色原料6は、流れ
15の一部15Aで、約3.5 %の濃度に希釈される。こ
のパルプ(褐色原料)6は洗浄プレス7に流入し、リサ
イクル流27により洗浄される。当業者には、リサイク
ル流27以外に、アルカリ物質を含有する他の適当な洗
浄流が明らかであろう。次に、パルプは、約25〜35
%の濃度の流れ8として洗浄プレス7を出る。最も好ま
しい実施例では、パルプ(流れ)8は約32%の濃度を
有している。
【0020】従来の洗浄機の代わりに洗浄プレス7を使
用することにより、パルプに供給するアルカリ物質の必
要量を低減できる。また、洗浄プレス7を出るパルプ上
の有機固形物及び/又は無機固形物の量も低減され、こ
のため、パルプにより酸素反応器に運ばれるこれらの汚
染物質も低減される。従って、酸素反応器で消費される
薬品の量も少なくて済む。また、圧搾液の排出により又
は圧搾液から洗浄機流出液への「漏出(break throug
h)」により、従来の洗浄機に比べ、プラントの液体回収
装置に失われるアルカリ物質が低減される。
【0021】洗浄されたパルプ8は、次に混合チェスト
9に導入され、ここで、パルプ8は、その全体に第1量
のアルカリ物質を分散できる充分な時間をかけて、充分
な量の新水(fresh)10及びリサイクル水(recycle)1
4と実質的に均一に混合(combine)される。この処理の
間、褐色原料パルプの濃度は約10%以下(好ましくは
約5重量%以下)に低減され且つ維持される。一般に、
パルプ濃度は約0.5 %より大であるが、これは、濃度が
低下するほどこの方法を実行するのに不経済になるから
である。最も好ましい濃度範囲は、約0.5 〜4.5 %であ
る。
【0022】当業者ならば、この工程においてパルプ全
体に所望量のアルカリ物質の分散を達成するためのアル
カリ溶液の適当量(すなわち、濃度及び流量)及びパル
プ処理時間を選択できる。より詳しくは、脱水濃縮(th
ickening) 後の絶乾パルプに基づき、パルプに少なくと
も約0.8 〜7重量%の水酸化ナトリウムを与えるのに充
分な量で、水酸化ナトリウム水溶液と低濃度とを混合す
る。前述のように、均等の水酸化ナトリウム含有物をも
つ他のアルカリ源(例えば、酸化した白液)を用いるこ
ともできる。
【0023】アルカリ物質処理されたパルプ11は脱水
濃縮ユニット12に送られ、ここで、パルプ濃度は、例
えばプレスにより少なくとも約18重量%(好ましくは
約25〜35%)に高められる。上記好ましい実施例に
ついては、濃度は29%に高められる。このパルプ濃度
上昇工程はまた、残留液すなわち圧搾液13をも除去す
る。混合チェスト9に流入するパルプ8の濃度が、脱水
濃縮ユニット12を出る高濃度パルプ17の濃度と同じ
オーダ(すなわち、ほぼ同じか僅かに高い)である場合
には、混合工程で使用されるアルカリ物質の量は最少に
される。なぜならば、図1に示すように、あらゆる圧搾
液13は混合チェスト9に直接戻されてリサイクルされ
るからである。洗浄プレス7の使用により充分に高い濃
度のパルプが得られ、このため、流れ14を介して全て
の圧搾液13を混合チェスト9にリサイクルすることが
可能になる。
【0024】別の構成として、圧搾液13を受け入れる
保持タンク16を設けることもできる。この保持タンク
16は、混合チェスト9へのアルカリ物質含有圧搾液1
4の妨げられない流れが得られるように、一定量の圧搾
液13を保有できるようにして本発明の方法の円滑で連
続的な作動を助けるものである。従って、保持タンク1
6は、低濃度パルプのアルカリ処理工程において使用す
るための、混合チェスト9に連続的に供給されるアルカ
リ物質のリザーバを形成する。例えば、この保持タンク
16は、1000風乾トン/日(air dried tons per d
ay、ADT/d)だけ発生される圧搾液を取り扱うこと
ができる充分な体積をもたせるため、約6000ft
3 (約170m3)のサイズにすべきである。
【0025】混合チェスト9又は保持タンク16への圧
搾液14の添加により、低濃度パルプのアルカリ処理工
程内に全てのアルカリ物質を保有することが可能にな
る。これにより、回収装置へのアルカリ物質の損失(こ
の損失は、圧搾液14をシャワー又は分割シャワーの形
態で従来の洗浄機に導入するならば、洗浄機の流出液へ
の「漏出」により生じる)が回避される。閉システムが
達成され、圧搾液13は混合チェスト9に直接リサイク
ルされる。濃度が高められたパルプへの適用によるアル
カリ物質の「損失」量は、混合チェスト9又は保持タン
ク16に添加される添加アルカリ物質10により容易に
復元される。この構成では、この方法に使用すべきアル
カリ物質の量は最少になる。なぜならば、プラントの回
収装置への意図的な(又は意図しない)排出によって、
いかなるアルカリ物質も失われないからである。
【0026】酸素工程の洗浄機23の濾液26の第1部
分27は、洗浄プレス7にリサイクルさせ、この方法に
使用されるアルカリ物質を回収するのに役立てることが
できる。洗浄プレス7からの洗浄濾液15の一部15
A、15Bは、パルプ6の希釈又は洗浄プレス7の上流
側のパルプの洗浄に使用できる。洗浄濾液15の残部が
あるならば、この残部は、水収支を維持するためプラン
トの回収装置に排出することができる。酸素工程の洗浄
濾液23の濾液26の第2部分28は、濾液15と同様
に使用することができる。
【0027】当業者ならば、低濃度パルプに使用される
(すなわち低濃度パルプと混合される)アルカリ物質の
「量(quantity) 」と、パルプに適用される(すなわち
パルプに保持される「量(amount) 」との相違を明瞭に
認識し且つ理解できるであろう。圧搾(プレス)の後、
所望量のアルカリ物質をパルプに保持するには、混合チ
ェスト9内でかなり多量のアルカリ物質を低濃度パルプ
と混合しなければならない。従って、混合チェスト9内
で使用される(すなわち混合チェスト9内に存在する)
アルカリ物質の量は、高濃度に圧搾した後にパルプに実
際に適用される量(すなわち、パルプ内部又はパルプ上
に保持される量)よりも常に多い。また、混合チェスト
9において全てのアルカリ物質がパルプに添加され、低
濃度パルプ内に(及び低濃度パルプの全体に亘って)所
望量のアルカリ物質が均一に分散される。この所望量の
アルカリ物質は、脱水濃縮の後に、パルプの高濃度酸素
脱リグニンを行うのに必要なパルプへの適用量を達成す
る。従って、この実施例の場合には、流れ10において
混合チェスト9に添加されるアルカリ物質の量は、脱水
濃縮ユニット12を出るパルプ17上のアルカリ物質の
量に等しい。
【0028】本発明の第2実施例(この第2実施例も図
1に示されている)においては、酸素反応器20内で高
濃度脱リグニンを行うパルプに要求されるアルカリ物質
の全量の第1部分が、混合チェスト9内の低濃度パルプ
に添加される。一般に、上記低濃度処理の間に、全量の
約1/2が適用される。次に、従来のスプレー技術に従
って脱水濃縮ユニット12により作られた高濃度褐色原
料17に、付加アルカリ物質の第2部分18が適用され
る。この第2量のアルカリ物質は、次の酸素脱リグニン
工程(この工程は、アルカリ物質で処理した高濃度パル
プについて行われる)において所望度合いの脱リグニン
を達成するのに必要な残量(この場合も全量の約1/2
である)を適用するように選択される。この2段階処理
は、分割アルカリ物質添加方法(split alkaline mater
ial addition process) と呼ばれている。
【0029】上記のように、パルプに実際に添加される
アルカリ物質の全量は、一般に、絶乾(OD)パルプに
基づき0.8 〜7重量%の間にあり、南方の針葉樹材につ
いては約1.5 〜4%の間、広葉樹材については約1〜3.
8 %の間が好ましい。図1の別の実施例においては、低
濃度処理及び高濃度処理の各々において、これらの量の
約1/2を添加するのが好ましい。従って、低濃度パル
プのアルカリ処理及び高濃度パルプのアルカリ処理の各
々の間に、広葉樹材については約0.5 〜2重量%(好ま
しくは約0.5 〜1.9 %)、針葉樹材については0.75〜2
%がパルプに添加される。
【0030】分割添加方法は、パルプへのアルカリ物質
の添加コントロールを向上する。高濃度アルカリ処理工
程は、酸素脱リグニン反応器20に流入するパルプ内
(又はパルプ上)に存在するアルカリ物質の全量の迅速
な変更すなわち調節を可能にする。高濃度処理の間にパ
ルプ上に適用されるアルカリ物質18の量を調節するこ
とにより、低濃度処理の間の時間を要する平衡調節を回
避できる。高濃度アルカリ溶液処理の平衡達成速度が増
大すると、パルプに適用すべき正確な全量を容易且つ迅
速に変化させて、流入する褐色原料の特性(すなわち、
木材の種類、K価及び粘度等)の変化を補償し、又は特
定パルプについての酸素脱リグニンの度合いを変えるこ
とができるため、変化する脱リグニン条件に対する酸素
装置のより迅速な応答が可能になる。
【0031】完全にアルカリ処理されたパルプ19は、
次に酸素脱リグニン反応器20に送られ、ここで、多数
の良く知られた任意の方法により、ガス状酸素21と接
触される。本発明による酸素脱リグニンの適当な条件
は、パルプの温度を約90〜130℃に維持して、約8
0〜100psig(約5.6 〜7.0 ゲージkg/cm2)でガス状
酸素を導入することである。高濃度パルプとガス状酸素
との間の平均接触時間は、約15〜60分の範囲であ
る。
【0032】反応器20内での酸素脱リグニンの後、脱
リグニンされたパルプ22は洗浄ユニット23に送られ
る。ここで、パルプは水24により洗浄されて、あらゆ
る溶解有機物質が除去され且つ高品位の低カラーパルプ
(low color pulp)25が製造される。ここから、パル
プ25は次の漂白工程に送られて、完全漂白された製品
が製造される。
【0033】本発明の他の実施例が図2に示されてお
り、該図2には図1の方法の一部が示されている。図2
において、図1の実施例と同じ構成部品については便宜
上同じ参照番号を用いている。図2に示されていない構
成部品は、図1の構成部品と同じである。この実施例に
おいては、アルカリ物質処理されたパルプ11は、脱水
濃縮ユニット12ではなく洗浄プレス30に送られ、圧
搾液13を除去することによりパルプ濃度が高められ
る。また、前述の理由から、リサイクルラインには保持
タンク16を設けることができる。
【0034】図2の実施例によりパルプにアルカリ物質
を添加するのに、2つの方法(バリエーション)があ
る。第1の方法は、あらゆるアルカリ物質を、図1の方
法に関して説明したように混合チェスト9内でパルプと
混合させることができる。図2の実施例の第2の方法
は、、図1の分割アルカリ物質添加方法を用いることで
ある。ここでは、アルカリ物質の所望の全量の一部のみ
が混合チェスト9内の低濃度パルプに適用され、残余の
部分18は高濃度パルプ17に適用される。これらの部
分におけるアルカリ物質の相対量及び結果として得られ
る利点は、図1の分割アルカリ物質添加方法に関して説
明したものと同じである。
【0035】本発明の添加的利益は、次の、酸素脱リグ
ニンされたパルプ25の漂白工程で得られる。この漂白
は、オゾン、過酸化物、塩素、二酸化塩素、次亜塩素酸
塩等を含む広範囲の漂白剤のうちの任意のもので行うこ
とができる。上記のようにアルカリ物質で処理されたパ
ルプの白色度を増大させるのに、慣用的な塩素/二酸化
塩素による漂白方法を使用する場合には、従来技術によ
り酸素脱リグニンされたパルプの漂白と比較して、実質
的に少量の全活性塩素が使用される。本発明に従って使
用される塩素含有薬品の全量は、低パルプ濃度でアルカ
リ物質で処理されていない同じ出発パルプについて必要
とされる量と比較して、約15〜35重量%だけ低減さ
れる。同様に、塩素/二酸化塩素で処理されたパルプが
後でアルカリ抽出工程に送られる場合には、低濃度でア
ルカリ物質と均一に混合されていないパルプの漂白方法
と比較して、このアルカリ抽出工程で必要とされるアル
カリ物質の量は実質的に少量である。この抽出工程で使
用されるアルカリ物質の量は、ここで説明したように低
濃度でアルカリ物質により処理されたパルプについて、
約25〜40重量%だけ低減される。
【0036】このような処理に必要な薬品の量を低減で
きることによるコスト的な利点に加え、本発明の方法は
また、塩素の使用量を低減できるため、塩素の使用によ
り生じる環境汚染物質の量をも低減できる。また、装置
のこの部分における薬品の使用量が少ないため、処理す
べきプラントからの廃水中の汚染物質の量もこれに従っ
て低減され、廃水処理設備及びこれに付随するコストも
同様に節約される。 本発明の方法の利点及び優れた性能を実証するため、図
1に示す処理手順を用いて幾つかの試験を行った。
【0037】ここで使用する用語に関し、脱リグニン選
択性(delignification selectivity)とは、パルプ中に
残留するリグニンの度合いに対するセルロース劣化の測
定値であり、且つ低リグニン含有量で強いパルプを製造
する方法の能力を示すものである。特定パルプの酸素脱
リグニンについての脱リグニン選択性の差異は、例え
ば、K価又はカッパー価に対するパルプ粘度の比率を比
較することにより示すことができる。本発明の場合に
は、パルプのリグニン含有量はK価又はカッパー価によ
り測定できる。当業者ならば、これらの値の差異を認識
できるであろうし、必要であれば一方の値を他方の値に
変換することもできよう。
【0038】漂白されたパルプ(漂白パルプ)の粘度は
漂白パルプのセルロースの重合度を表し、これによりパ
ルプの重合度が表される。一方、K価はパルプ中に残留
するリグニンの量を表す。従って、高選択性をもつ酸素
脱リグニン反応は、高強度(すなわち高粘度)及び低リ
グニン含有量(すなわち低K価)の漂白パルプを製造す
る。
【0039】例 1(従来技術による高濃度パルプのア
ルカリ処理) 約24のK価(30.9のカッパー価)をもつ南洋マツ類の
クラフト褐色原料を、アルカリ溶液処理することなく、
約30〜36重量%の濃度に圧搾(プレス)し、褐色原
料からなる高濃度マットを製造した。このマットに、パ
ルプの乾燥重量に基づき約2.5 重量%の水酸化ナトリウ
ムを作るのに充分な量で、10%の水酸化ナトリウム溶
液をスプレーした。褐色原料マットを約27%の濃度に
調節するのに充分な量の希釈水を添加した。次の条件、
すなわち110℃、30分、80psig(約5.6 ゲージkg
/cm2)を用いて、高濃度褐色原料マットを酸素脱リグニ
ン処理した。この方法に従って製造された酸素脱リグニ
ンパルプを試験したところ、13のK価(15.2のカッパ
ー価)及び約14.8 cpsのCED粘度をもつことが判明し
た。この酸素脱リグニンパルプを、既知の技術により更
に漂白した。酸素脱リグニンパルプと完全漂白パルプと
の強度特性及び物理的特性を、それぞれ表1及び表2に
示してある。
【0040】 表 1 例1及び例2により製造されたパルプについての酸素工程脱リグニンの結果の比 例 1 例 2 K価 13 9 粘度(cps) 14.8 14.0 粘度/K価の比 1.14 1.55 表 2 例1及び例2により製造されたパルプの完全漂白した強度特性の比較 例 1 例 2 最終GE白色度 83 83 (%)CSろ水度(ml) 裂断長(km) 比引裂強さ(Dm2 ) 裂断長(km) 比引裂強さ(Dm2 ) 658 6.42 55.7 7.00 55.5 516 8.25 73.6 8.35 67.4 337 8.80 74.1 9.07 71.8 酸素脱リグニンパルプの漂白は、塩素、アルカリ抽出、
及び二酸化塩素の3つの工程で行った。表3の漂白及び
抽出条件及び表4のケミカルチャージ(絶乾パルプに基
づく%)を用いて83のGE白色度をもつ最終漂白パル
プを得た。また、このパルプを漂白工程の間で良く洗浄
した。
【0041】 表 3 例1及び例2についての塩素、抽出及び二酸化塩素工程における漂白条件 塩素工程 時間(分) 15 温度(℃) 50 濃度(%) 3 抽出工程 時間(分) 60 温度(℃) 70 濃度(%) 12 二酸化塩素工程 時間(分) 120 温度(℃) 60 濃度(%) 12 表 4 塩素、抽出及び二酸化塩素工程における漂白薬品の用法 例 1 例 2 塩素工程 塩素(繊維上の%) 3.6 2.4 二酸化塩素(%) 0.6 0.4 抽出工程 水酸化ナトリウム(%) 1.5 1.5二酸化塩素工程 二酸化塩素(%) 0.28 0.23 例2〜例5 (低濃度パルプのアルカリ処理) 例2〜例5には、低濃度においてのみアルカリ物質によ
り処理されたパルプの高濃度酸素脱リグニン中に得られ
た脱リグニンの度合い及び脱リグニン選択性の利益を示
す。例 2 例1に用いたものと同じマツ類クラフト褐色原料を、図
1又は図2に参照番号9で示すような混合チェストに導
入した。充分な量の希釈水を添加して混合チェスト9内
に約3重量%の濃度の褐色原料を得た。充分な体積の1
0%水酸化ナトリウム溶液を添加し、絶乾パルプに基づ
く30%水酸化ナトリウム添加を行った。褐色原料と水
酸化ナトリウム溶液とを、室温で約15分間均一に混合
し、アルカリ物質と褐色原料とを混合した。次に、この
結果得られたアルカリ物質含有褐色原料を圧搾して、約
27重量%の濃度にした。圧搾後、例1に示すように、
繊維上の水酸化ナトリウムを約2.5 %に等しくした。次
に、アルカリ物質処理した褐色原料を、例1で説明した
酸素脱リグニン手順に従って漂白した。次に、酸素脱リ
グニンされたパルプを洗浄して有機物質を除去した。こ
の結果、酸素工程のパルプは、9のK価(10.8のカッパ
ー価)及び14.0のCED粘度を得た。酸素漂白されたパ
ルプを、例1に示した条件で、既知の技術により更に漂
白した。この例における酸素脱リグニンされたパルプ及
び完全漂白されたパルプの特性も、それぞれ表1及び表
2に示されている。
【0042】例1と例2との比較から分かるように、例
2の手順に従って得られた酸素脱リグニンパルプは、例
1の従来技術の方法(高濃度パルプに全てのアルカリ物
質を適用する方法)により得られたパルプよりも脱リグ
ニンの度合いが大きく(すなわちK価が低い)、粘度は
ほぼ同じである。また、例2に従ってパルプの低濃度ア
ルカリ処理を用いることにより、強度特性に重大な変化
をもたらすことなく脱リグニンを高めることができた。
従って、高脱リグニン選択性が達成された。
【0043】例2により製造されたパルプのK価が低い
ことから、次の漂白工程ではより脱リグニンされたパル
プに適合するように調節できる。従って、このようなパ
ルプの漂白工程は、低濃度でアルカリ物質により処理さ
れないパルプよりも、漂白剤が少量で済むか、漂白時間
を短縮できる(表4に示す)。例 3 例2と同様な方法により針葉樹材(マツ類)から製造し
たパルプと、例1の従来の方法(すなわち、低濃度アル
カリ処理工程のない方法)で製造したパルプとを比較す
る。後で酸素脱リグニンする高濃度パルプにのみ適用さ
れる水酸化ナトリウムの平均用量は、絶乾トン当たり4
5ポンド(45lb/t、約20kg/t) すなわち2.3 %であ
ることが判明している。このレベルでの、酸素脱リグニ
ン反応器を通る前後のK価の平均減少量は10単位(ユ
ニット)であった。高濃度酸素脱リグニンの前に低濃度
パルプにのみ適用される同レベルの水酸化ナトリウムに
対し、脱リグニン中のK価の平均低下量は13単位であ
り、これは従来技術にくらべ30%の増加であることが
判明している。
【0044】従来のパルプの平均K価及び粘度は、それ
ぞれ12.1及び14.4 cpsであった。低濃度アルカリ物質処
理方法の場合には、実質的に同じ粘度(14.0 cps)での
平均K価は8.3 であり、脱リグニン選択性は、表5に示
すように約41%増大(1.69対1.19)した。上記低濃度
アルカリ処理方法に従って作られたパルプの漂白プラン
ト応答(bleach plant response)と、従来の方法で作ら
れたパルプの漂白プラント応答とを比較し、これが下記
の表5に示されている。
【0045】 表 5 パルプ特性及び漂白薬品の比較(マツ類) 従来の方法 低濃度処理 蒸解がま K価 21.9 20.5 粘度(cps) 21.5 20.5 粘度/K価の比 0.98 1.0酸素脱リグニン工程 K価 12.1 8.3 粘度 (cps) 14.4 14.0 粘度/K価の比 1.19 1.69 アルカリ(lb/t) 39.4 46.0 脱リグニン(%) 44.7 59.5漂白プラント 塩素/二酸化塩素工程 塩素(lb/t) 51.2 34.4 二酸化塩素(lb/t) 7.0 4.6 全活性塩素(lb/t) 69.4 46.4抽出工程 水酸化ナトリウム(lb/t) 35.2 23.8二酸化塩素漂白工程 二酸化塩素(lb/t) 10.6 9.0 粘度(cps) 12.6 11.9 夾雑物 5.6 2.5 表5は、次の漂白工程における全活性塩素の用量が約
1/3(すなわち、69.4lb/t対46.4lb/t)だけ低減した
ことを示している。また、抽出工程で要求される水酸化
ナトリウムも約1/3(24lb/t対35lb/t)だけ低減
した。最終漂白工程における二酸化塩素も約1/6(9
lb/t対10.6lb/t)だけ低減した。例 4 広葉樹材パルプについての例3と同様な比較試験を行っ
た。ここでも、低濃度パルプのみにアルカリ物質を適用
することにより、従来の方法に比べ、酸素脱リグニン反
応中の非常に大きなK価の低下が達成されることが判明
した。広葉樹材の酸素脱リグニンの場合の水酸化ナトリ
ウムの用量は27lb/tすなわち1.4 %である。従来の方
法に比べ、脱リグニン工程中に約5単位のK価の低下が
得られた。上記低濃度方法に従って同レベルの水酸化ナ
トリウムを使用した場合には、平均K価が約7.3 単位低
下し、これは従来の方法よりほぼ50%増大したことに
なる。
【0046】広葉樹材の平均K価及び粘度は、それぞれ
7.6 及び16 cpsであることが判明した。上記低濃度処
理の場合には、6のK価及び17.7の粘度が得られた。ま
た、従来技術によるアルカリ物質処理パルプと同じ粘度
(16 cps)でのK価は5.8であることが判明した。表
6に示すように、約40%(2.95対2.10)の脱リグニン
選択性の増大が達成された。
【0047】脱リグニン選択性は、褐色原料と脱リグニ
ンされたパルプ(脱リグニンパルプ)との間の粘度の変
化対K価の変化に関して表すこともできる。従来の方法
で処理されたパルプと低濃度でのみアルカリ物質により
処理されたパルプとを比較すると、後者の場合には、脱
リグニンの増大度合いに対し脱リグニン選択性が非常に
増大している。従来の方法で製造されたパルプの場合に
は、4単位のK価の変化に対する粘度の平均変化は4 c
psであった。これに対し、低濃度パルプ処理により製造
されたパルプの場合には、粘度の同じ変化に対するK価
の変化は7単位であった。選択性の比率(cps /K価)
に関して表すならば、低濃度処理パルプの選択性は1.75
であり、従来の方法によるパルプの選択性は1であり、
これは、約75%の増大である。
【0048】上記低濃度アルカリ物質処理を用いて製造
した酸素脱リグニンパルプの漂白プラント応答と、従来
の方法で製造されたパルプの漂白プラント応答との漂白
薬品の適用に関する比較が次の表6に示してある。 表 6 パルプ特性及び漂白薬品の比較(広葉樹材) 従来の方法 低濃度処理 蒸解がま K価 12.3 13.0 粘度(cps) 21.6 23.4 粘度/K価の比 1.75 1.80 酸素脱リグニン工程 K価 7.6 6.0 粘度 (cps) 16.0 17.7 粘度/K価の比 2.10 2.95 アルカリ(lb/t) 27.6 26.4 脱リグニン(%) 38.0 54.0漂白プラント 塩素/二酸化塩素工程 塩素(lb/t) 27.0 22.7 二酸化塩素(lb/t) 5.6 4.7 全活性塩素(lb/t) 41.6 34.9抽出工程 水酸化ナトリウム(lb/t) 18.9 13.3二酸化塩素漂白工程 二酸化塩素(lb/t) 5.5 4.7 粘度(cps) 14.6 14.9 夾雑物 32.0 34.0 表6は、従来のパルプに比べ、塩素工程での全活性塩素
用量が約1/6(すなわち、41.6lb/tと比較して34.9lb
/t)だけ低減していると同時に抽出工程でのアルカリ必
要量が29%以上低減(すなわち、13.3lb/t対18.9lb/
t)していることを示している。最終漂白工程における
二酸化塩素は、14%以上(すなわち、4.7 lb/t対5.5
lb/t)低減した。粘度及び夾雑物の値に関する最終パル
プ特性は実質的に同じである。例 5 本発明の方法に従って、パルプ上にいかにしてアルカリ
物質が均一に分散されるかを更に実証するため、次の実
験室試験を行った。
【0049】19.54 のK価及び24.9の粘度をもつマツ類
の未漂白褐色原料パルプを用意した。7.7 %の濃度をも
つこのパルプの2つの試料を、60℃の温度でそれぞれ
1分間及び15分間3%の水酸化ナトリウムで処理し
た。その後、パルプ濃度を27%に高めたところ、パル
プの水酸化ナトリウム含有量は約0.67%であることが判
明した。このパルプは、更にアルカリ物質を添加するこ
となく、80psi (約5.6 kg/cm2)、110℃で30分
間酸素脱リグニン反応器に導かれた。
【0050】次に、未漂白パルプの2つの添加試料(各
試料は3%の濃度をもつ)が、60℃で約35%の水酸
化ナトリウムを適用してそれぞれ1分間及び15分間処
理された。その後、パルプの濃度を27%に高め、パル
プ全体に亘って3%の水酸化ナトリウム含有量を維持
し、パルプを、更にアルカリ物質を添加することなく、
80psi (約5.6 kg/cm2)、110℃で、30分間酸素
脱リグニンした。その結果を下記の表7に示す。
【0051】 表 7 酸素脱リグニン後の特性 濃度 混合時間 K価 粘度 試料 (%(分) (25ml) (cps) A 7.7 1 17.37 23.2 B 7.7 1 17.43 22.6 C 7.7 15 17.77 24.3 D 7.7 15 17.34 22.0 E 3.0 1 8.74 14.8 F 3.0 1 8.34 14.8 G 3.0 15 8.24 15.3 H 3.0 15 8.73 14.3 試料E〜Hの処理パルプは、非常に多量の水酸化ナトリ
ウムがパルプと混合されるため、試料A〜Dの処理パル
プよりも多量(すなわち、3%)の水酸化ナトリウムを
保有している。試料E〜Hは、パルプのK価が少なくと
も約55.3%減少していることを示しており、一方、試料
A〜DのK価の減少は非常に小さく、最大でも約11.3%
である。従って、本発明の方法に従って処理された試料
E〜Hは、比較試料に対して約49.6%だけ脱リグニンが
増大している。
【0052】この例の同じ未漂白褐色原料パルプについ
て、次の点を変更して前の試験を行った。 変 更 変 更 第1工程 パルプ上の水酸化ナトリウム(%) 3 24 濃度(%) 3.5 3 温度(℃) 48 48 酸素工程 パルプ上の水酸化ナトリウム(%) 0.44 3 濃度(%) 20 20 上記変更の各場合の水酸化ナトリウム処理時間は、2分
間及び15分間とした。上記から分かるように、未漂白
パルプの濃度は実質的に同じ(3.5 %対3%)である。
これらの結果を次の表8に示す。
【0053】 表 8 酸素脱リグニン後の特性 濃度 混合時間 K価 粘度試料 (%(分) (25ml) (cps) GE白色度 I 3.5 2 15.75 23.4 24.8 J 3.5 2 15.34 22.4 25.2 K 3.5 15 14.78 22.6 25.9 L 3.5 15 15.00 22.7 25.5 M 3.0 2 8.59 13.3 36.6 N 3.0 2 8.29 14.2 35.3 O 3.0 15 8.14 13.1 36.3 P 3.0 15 8.44 13.8 36.5 低濃度パルプと混合される水酸化ナトリウムの量が多い
ため、高濃度パルプには非常に多量の水酸化ナトリウム
が保有される。この多量の水酸化ナトリウムにより、試
料M〜PはK価が少なくとも約56%減少する一方、試
料I〜Lでは最大でも約24.4%の減少を達成できるに過
ぎない。この場合にも、本発明の方法により製造された
試料M〜Pは、比較試料と比較して少なくとも41.9%は
脱リグニンが増大している。上記から分かるように、こ
れは、低濃度パルプの全体に亘って適当量の水酸化ナト
リウムが均一に混合及び分散するため、高濃度パルプ上
に保有される水酸化ナトリウムの量が増大することによ
る。例 6 酸素脱リグニンの前の、パルプへの100パルプ低濃度
アルカリ物質処理の効果、及びそのカッパー価の低下の
全体的有効性及び全収量(total yield)に対する貢献を
実証するため、従来の褐色原料及び低カッパー価のクラ
フトAQ褐色原料の両者に対しカッパー価及び収量を決
定した。これらの結果が次の表9に示されている。
【0054】 表 9 濃度アルカリ処理 酸素脱リグニン 時間 最初のカ 最終カッ 収量 カッパー 収量 最終粘度褐色原料 (分) ッパー価 パー価 (%) (%) (cps) 従来*1 5 28.1 26.5 99.5 12.0 95.2 14.7 従来*2 15 28.1 27.5 98.7 13.4 96.3 15.1クラフト AQ*3 5 21.6 20.3 100.0 8.9 96.7 15.2クラフト AQ*4 5 21.6 -- -- 8.1 97.2 13.9*1 2.4%水酸化ナトリウム*2 2.1%水酸化ナトリウム*3 2.1%水酸化ナトリウム*4 2.6%水酸化ナトリウム 3%濃度で5分間、水酸化ナトリウム(圧搾後のパルプ
上で2.4 %)で処理された28.1のカッパー価をもつ従来
のクラフト褐色原料の場合には、出発カッパー価は、処
理後のカッパー価26.5まで1.6 単位減少した。このこと
は、アルカリ処理及び酸素脱リグニン(12.0のカッパー
価) の後に受ける全カッパー価の低下に対する9.6 %の
貢献を示している。低濃度アルカリ処理工程を通る前後
の収量は99.5%であった。収量の0.5 %損失の約1/2
は、炭水化物の損失による残部のリグニンの損失のため
である。酸素脱リグニン後の全収量は95.2%であった。
【0055】同じ出発褐色原料を、3%濃度で15分
間、水酸化ナトリウム(圧搾後のパルプ上で2.1 %)で
処理した。出発カッパー価は、27.5のカッパー価まで0.
6 単位減少する。このことは、低濃度アルカリ処理及び
酸素脱リグニン(13.4のカッパー価)の後に受ける全カ
ッパー価の低下に対する4.2 %の貢献を示している。ア
ルカリ処理工程を通る前後の収量は98.7%であった。
【0056】3%濃度で5分間、水酸化ナトリウム(圧
搾後のパルプ上で2.11%)で処理された低カッパー価の
クラフトAQ褐色原料の場合には、カッパー価は、20.3
まで1.3 単位減少した。このカッパー価の低下は、酸素
脱リグニン(8.9 のカッパー価) の後に受ける全カッパ
ー価の低下に対する10%の貢献を示している。酸素脱
リグニンの後の全収量の損失は96.7%であった。同じク
ラフトAQ出発褐色原料の第2回目の酸素脱リグニンに
より、8.1 の同様なカッパー価及び97.2%の収量になっ
た。
【0057】この例5は、パルプの低濃度アルカリ処理
中に多量の脱リグニンは生じないことを示している。ま
た、この例5は、約15分までの低濃度でのアルカリ物
質による処理時間には意味がないことをも示している。
しかしながら、例2〜例6により更に示すように、低濃
度アルカリ処理により、従来の方法で処理されたパルプ
と比べ、後の高濃度酸素脱リグニン中に得られる脱リグ
ニンの相対量を大幅に増大させる。またこの例5は、本
発明の方法が、パルプをその粘度を大きく低下させるこ
となく非常にカッパー価の小さなパルプにできる点で、
低カッパー価の褐色原料に有効であることをも示してい
る。
【0058】低濃度混合中にパルプ全体に亘ってアルカ
リ物質を均一分散させることにより、従来技術により可
能であるより一層良好にパルプ繊維とアルカリ物質とを
関連させることが可能になる。これにより、脱リグニン
された褐色原料は従来技術により達成できる強度及び脱
リグニン度合いより一般に優れている強度及び脱リグニ
ン度合いを有している点で、次の酸素脱リグニン中の脱
リグニン選択性が高められる。また、酸素脱リグニン反
応の脱リグニン選択性が予期しない程に改善される。
【0059】本発明の場合には、低濃度パルプに適用さ
れる最少量のアルカリ物質は、高濃度パルプに適用され
る量のアルカリ物質と協働し、酸素脱リグニン工程中の
脱リグニン選択性を充分に増大させる(すなわち高め
る)ことができる。次の例に示すように、酸素脱リグニ
ンの前にパルプに適用すべきアルカリ物質の全量の少な
くとも約50%は、低濃度パルプに適用すべきである。
もし、低濃度パルプに適用される量が約50%以下であ
れば、脱リグニン選択性に関する効果は大幅に低下され
てしまうであろう。
【0060】アルカリ物質が従来技術におけるように高
濃度パルプにのみ適用される場合には、セルロース部分
を大幅に損傷すること従ってパルプの強度を大幅に低下
させることなくして、50%までの脱リグニン(すなわ
ち、K価の低下)を達成できる。本発明においては、パ
ルプのセルロース部分に実質的に損傷を与えることな
く、酸素脱リグニン中に50%以上(一般に少なくとも
約60%)の流入パルプについてK価の低下を達成でき
る。所望ならば、70%以上のK価の低下を達成でき
る。
【0061】例えば、酸素脱リグニン工程に入るとき、
特定パルプのK価は、木材の種類及び特定木材に適用さ
れるパルプ化の形式に基づいて、約10〜26の範囲内
にある。脱リグニンの後、K価は約5〜10に低下す
る。針葉樹材の場合には、K価は、脱リグニンの前には
一般に20〜24(目標は21)の範囲内にあり、一
方、脱リグニンの後にはK価は8〜10の範囲内にあ
る。広葉樹材の場合には、一般に本発明により、脱リグ
ニンの前には10〜14のK価(目標は12.5)、及び脱
リグニンの後には5〜7のK価を得ることができる。
【0062】いずれの種類のパルプでも、脱リグニンの
前の粘度は一般に約19以上であり、脱リグニンの後に
は約13以上(一般に、針葉樹材の場合は14以上、広
葉樹材の場合は15以上)である。一般に、脱リグニン
の前から後にかけての粘度のこの変化は、約6 cps以下
である。また、K価の変化による粘度の変化は、約17
単位までのK価の低下に対して一定である。
【0063】従って、100%の低濃度アルカリ処理方
法により、脱リグニン選択性が高められ、従来技術の脱
リグニン方法に比べ脱リグニンを少なくとも20%増大
できる。酸素脱リグニンの前から後にかけてのパルプの
粘度変化を最少にすることにより、パルプのセルロース
成分の低下を回避できることは明らかである。例 7 下記のデータは、高濃度酸素脱リグニンの前に南方のマ
ツ類褐色原料パルプを処理するのに必要なアルカリ物質
の相対量を示すものである。
【0064】約27%の濃度の絶乾パルプに基づき約2.
2 重量%の水酸化ナトリウムを得るには、1t当たり約
40lb(約18kg)の薬品が必要である。例1の従来技
術の方法では、この量が、必要とされる全ての量であ
る。なぜならば、アルカリ物質は高濃度パルプに直接適
用され、適用されたアルカリ物質の100%が酸素脱リ
グニン反応器に流入するからである。例2で説明した低
濃度パルプのアルカリ処理の場合には、混合タンク内で
使用されるアルカリ物質の量の約35〜54%が結局は
パルプに適用され、酸素脱リグニン反応器に入る。この
ことは、パルプ上に所望量を達成するには1t当たり4
5〜91lb(約20〜41kg)という多量の水酸化ナト
リウムを使用しなければならないことを示している。し
かしながら、前述のように、例2の方法は、強度特性に
大きな変化を及ぼすことなく高い脱リグニンを得ること
ができ、このためアルカリ物質の添加量に許容範囲をも
たせることができる。しかしながら、図1に示した方法
も、1t当たり40lb(約18 kg)を必要とするに過ぎ
ない。なぜならば、圧搾液リサイクルからいかなるアル
カリ物質も排出されることがなく、装置を出る僅かなア
ルカリ物質も酸素脱リグニン反応器に入るからである。
従って、本発明の方法に使用される1t当たり約51lb
(約23 kg)のアルカリ物質を節約して、例2の方法の
優れた脱リグニン選択性が達成される。例 8 本発明の下記の例は、分割アルカリ物質添加方法の使用
により回収装置に除去されるアルカリ物質の量を低減さ
せると同時に、如何にして例2〜例5の100%低濃度
パルプアルカリ処理方法に匹敵する脱リグニン選択性を
達成するかを示すものである。
【0065】6つの試料を含む下記の実験は、本発明に
よる2段分割添加方法の脱リグニン選択性に与える効果
を示している。結果は表8及び表9に示されている。比
較の目的で、試料A(低濃度パルプに適用した100%
アルカリ)及び試料B(高濃度パルプに適用した100
%アルカリ)がこれらの表8及び表9に含まれている。
【0066】実験に使用した出発褐色原料は南方のマツ
類である。この材料を慣用的な方法で蒸解し、褐色原料
を形成した。褐色原料の40mlK価は22.1、25mlK価
は19.8であった。また、パルプの粘度は24.5 cpsであっ
た。このパルプは、約3.5 %の低濃度に希釈された。酸
化された白液溶液(whiteliquor solution)の添加によ
り、このパルプの全体に亘って充分な量のアルカリ物質
が分散された。次に、圧搾後に、表10に示すパルプの
全体に亘ってアルカリ物質の一定量を保持すべく、パル
プ濃度を約27%に高めた。
【0067】次に、アルカリ物質の第2の量(これも表
10に示されている)を高濃度パルプに適用した。上記
量を適用するのに使用されたアルカリ溶液は、84.5 g/l
の水酸化ナトリウム及び0.1 %の硫酸マグネシウムを含
有する酸化された白液である。次に、アルカリ処理され
た高濃度パルプを酸素脱リグニン反応器20(図1)に
送り、該反応器20を110℃、80psig(約5.6 ゲー
ジkg/cm2)で30分間作動させた。低濃度パルプ処理及
び高濃度パルプ処理の両方に適用した全アルカリ物質
は、表10に示すように約2.96〜4.23%の範囲内にあ
る。低濃度パルプ処理と高濃度パルプ処理との間でパル
プに作用するアルカリ物質の実際の分割が表10に示さ
れ、一方、この結果得られる酸素脱リグニンされたパル
プについての粘度、K価及び選択性の比が表11に示さ
れている。
【0068】 表 10 低濃度アルカリ添加 高濃度アルカリ添加 全アルカリ添加 試料 (パルプ上の%) (パルプ上の%) (パルプ上の%) A 3.10 0 3.10 1 2.33 0.63 2.96 2 2.25 1.17 3.42 3 1.81 1.80 3.61 4 1.39 2.34 3.73 5 1.06 2.92 3.98 6 0.63 3.60 4.23 B 0 4.50 4.50 表 11 高濃度で添加 粘度 K価 K価に対する 試料 した割合(%(cps) (25ml) 粘度の比 A 0 14.9 10.1 1.475 1 21.4 15.1 9.65 1.565 2 34.3 13.7 9.96 1.376 3 49.8 15.3 10.08 1.518 4 62.7 14.0 10.66 1.313 5 73.4 14.3 11.82 1.210 6 85.2 13.9 11.16 1.246 B 100 14.4 12.80 1.125 これらの結果は、高濃度パルプへの49.8%(すなわち、
約50%)までのアルカリ物質を適用する試料が高い脱
リグニンを与え、且つ等粘度又は高い粘度で、この低い
K価での選択性の比が達成されることを示している。試
料1、試料2及び試料3は、100%のアルカリ物質が
低濃度パルプに適用される比較試料Aの脱リグニンパル
プに匹敵する脱リグニンパルプを形成する。試料1〜試
料3及び試料Aは、試料4〜試料6及び試料Bに比べて
脱リグニン選択性が高いので好ましく、粘度が低下する
一方でK価は増大する。試料4〜試料6及び試料Bのパ
ルプを更に漂白するには、これらの試料のパルプのK価
が高いため、試料1〜試料3及び試料Aのパルプに比べ
付加的な漂白薬品が必要である。これらの結果は、低濃
度工程において少なくとも50%の分割アルカリを添加
することにより、あらゆるアルカリ物質を低濃度パルプ
に添加することにより達成できる高い脱リグニンを保持
できることを証明している。例 9 例2〜例5及び例7に示したデータは、他の予測値及び
観察値と共に、針葉樹材パルプのデータとしてまとめ、
図3及び図4にグラフで示した。図3はまた、実際の試
験及び他の多数の予測結果及び観察結果から作られた曲
線であって、例1の従来技術によるパルプ処理方法につ
いてのK価に対する粘度の関係を示す曲線をも含んでい
る。
【0069】図3に示すように、例1の従来技術による
方法は、「従来技術」と示す曲線により表された酸素脱
リグニン後の一般的なパルプ特性を達成している。K価
の減少により測定されたような有効脱リグニンを達成す
ると同時に、高粘度レベルにある粘度により測定された
ようなパルプ強度を維持することが望ましい。図3は、
低濃度パルプのアルカリ物質処理についての「本発明」
と示す曲線によれば、従来技術による脱リグニン値及び
粘度値が小さいことに対し、所与の粘度値において高い
脱リグニン(小さなK価)が得られることを示してい
る。
【0070】図4は、高濃度パルプの処理に使用される
アルカリ物質の割合(%)を増大させることの効果を示
している。粘度変化を示す数値0に位置する水平な実線
は、低濃度パルプに適用される100%のアルカリ物質
により達成される基本粘度に相当する。この実線0ライ
ンの両側に位置する2本の水平な破線は、粘度の一般的
な±6%偏差の境界を示すものである。図4から明らか
なように、高濃度パルプに添加されるアルカリ物質の量
がパルプ処理時に適用される全アルカリ物質の量の約5
0%を超えると、パルプの粘度が許容偏差以下に低下す
る。
【0071】パルプの高濃度処理の割合が増大すると、
低濃度処理に使用されるアルカリ物質は少なくなる。パ
ルプへのアルカリ物質の実質的に均一な適用が達成され
るのは、低濃度処理工程においてである。低濃度工程で
はアルカリ物質の量が少量でよいので、低濃度処理の選
択性の利益は小さい。従って、任意の分割添加方法によ
り、高濃度パルプへのあらゆるアルカリ物質の添加に比
べ、脱リグニン選択性に或る程度の改善を達成できる。
全アルカリ物質の約50%以下のアルカリ物質を高濃度
パルプに添加する分割添加を行うときに、脱リグニン選
択性に最高の結果が達成される。例 10 南方のマツ類クラフト褐色原料について所望の脱リグニ
ンレベルを得るには、酸素脱リグニンの前に、パルプ上
の水酸化ナトリウムの絶乾パルプに基づいて2.4 %の目
標値が必要である。酸素脱リグニン反応器に入るパルプ
上に2.4 %の水酸化ナトリウムを与えるには、約43.2lb
/ADT(pounds per air dried ton、風乾トン当たりのポ
ンド) の水酸化ナトリウムが必要である。
【0072】下記の表12には、圧搾液の種々の部分の
排出によるアルカリ物質の損失量が示されている。 表 12 酸素脱リグニンの前にパルプに適用されるアルカリ物質の風乾トン当たりのポン ド(lb/ADT) 回収される 排出圧搾液 低濃度パルプに添加されるアルカリ物質の分割割合(%) (%) 100% 80% 60% 50% 0 43.2 43.2 43.2 43.2 20 54 51.8 50.0 48.6 40 72 66.2 60.5 57.6 60 108 95.0 82.1 75.6 表10に示した値は本発明の方法によりパルプに適用さ
れるアルカリ物質の全量(すなわち、低濃度処理により
適用された量プラス高濃度パルプに適用された量(適用
が可能な場合))についての値であることに留意すべき
である。従って、排出圧搾液が0%における50%分割
添加の欄は、混合チェスト9において、低濃度パルプに
は21.6lb/ADTが適用され、高濃度パルプにも21.6lb/ADT
が適用されることを示している。排出圧搾液が20%に
おける同じ50%分割添加の欄は、低濃度パルプに適用
された21.6lb/ADTに加え、5.4 lb/ADTを装置に添加(全
量で27lb/ADT)し、圧搾液の排出により失われた量を
補償しなければならない。一般にこの添加量は、高濃度
パルプに適用される量が全量の50%を超えないように
維持するために混合チェスト9に添加される。
【0073】表13は表12と同じデータを示すもので
あるが、パルプ上に2.4 %の目標水酸化ナトリウムを達
成するために低濃度処理に添加すべき付加アルカリ物質
の量を定量化したものである。高濃度パルプに適用され
るアルカリ物質の割合(%)が50%まで増大した場合
には、低濃度処理に少量の付加アルカリ物質を添加し
て、高濃度酸素脱リグニンに利用できるパルプ上に適正
量のアルカリ物質を維持しなければならない。上記のよ
うに、排出圧搾液が0%である場合(特に、図1の実施
例の場合)には、特定の設計に合わせた薬品を適当に節
約することにより、アルカリ物質は全く失われない。
【0074】 表 13 排出圧搾液を補償するため低濃度パルプに適用されるアルカリ物質の風乾トン当 たりのポンド(lb/ADT) 回収される 排出圧搾液 低濃度パルプに添加されるアルカリ物質の分割割合(%) (%) 100% 80% 60% 50% 20 10.8 8.6 6.8 5.4 40 28.8 23 17.3 14.4 60 64.8 51.8 38.9 32.4 表14は表12及び表13と同じデータであるが、排出
圧搾液が20%、40%及び60%である場合の、低濃
度パルプに添加されるアルカリ物質の量(重量%)のみ
を示している。
【0075】 表 14 低濃度パルプに適用されるアルカリ物質の風乾トン当たりのポンド(lb/ADT) 排出圧搾液 低濃度パルプに添加されるアルカリ物質の分割割合(%) (%) 100% 80% 60% 50% 0 43.2 34.6 25.9 21.6 (100%) (80%) (60%) (50%) 20 54 43.2 32.7 27 (100%) (83.4%) (65.4%) (55.5%) 40 72 57.6 43.2 36 (100%) (87%) (71.4%) (62.5%) 60 108 86.4 64.8 54 (100 %) (90.9%) (73.79 %) (71.4%) これらのデータは、本発明の分割アルカリ物質添加方法
を用いれば、アルカリ物質の全量の少なくとも50%
(好ましくは約55〜90%)を混合チェスト9内の低
濃度パルプに添加し、圧搾液の排出により回収装置に除
去された量のアルカリ物質を補償できることを示してい
る。アルカリ物質の平衡が高濃度パルプに付加される。
【0076】低濃度パルプに添加される100%アルカ
リ物質に相当する値を吟味すれば、圧搾液の排出により
失われたアルカリ物質の割合(%)が増大すると、これ
に対応してパルプにアルカリ物質を添加する必要がある
ことが示されており且つ期待される。全てのアルカリ物
質が低濃度パルプと混合される状況では、回収装置に送
られる圧搾液排出部15C中のアルカリ物質の量は、全
アルカリ物質の一部が低濃度処理中に使用される場合よ
りもかなり大きい。低濃度パルプに適用されるアルカリ
物質の割合(%)が分割添加により増大するときには、
圧搾液の排出時に失われるアルカリ物質と置換すべく添
加しなければならない付加的アルカリ物質の量が減少す
る。これは、低濃度処理ではアルカリ物質が殆ど使用さ
れないからである。
【0077】従って、低濃度パルプに適用されるアルカ
リ物質の割合を小さくすれば、混合チェスト9内で使用
されるアルカリ物質の量が減少され、また圧搾液の排出
により除去されるアルカリ物質の量も減少される。低濃
度パルプ及び高濃度パルプに適用されるアルカリ物質を
このように分割添加することにより、圧搾液排出部15
Cの量(これは再導入しなければならない)を減少で
き、従って薬品を節約できる。
【0078】以上開示した本発明は前述の目的を達成で
きるように良く考慮されたものであるが、当業者ならば
種々の変更が考えられるであろう。特許請求の範囲の記
載は、そのようなあらゆる変更が本発明の精神及び範囲
内に包含されるものとしてカバーする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施例を示す概略構成図である。
【図3】本発明に従ってアルカリ物質で処理され且つ酸
素により脱リグニンされた針葉樹材パルプの粘度とK価
との間の関係を従来技術のそれらの関係と比較して示す
グラフである。
【図4】本発明に従ってアルカリ物質で処理され且つ酸
素により脱リグニンされたパルプの高濃度パルプに添加
されるアルカリ物質のパーセント粘度変化とアルカリ物
質の割合との間の関係を、低濃度又は高濃度においての
みアルカリ物質で処理されたパルプと比較して示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 木材チップ 2 白液 3 蒸解がま 4 褐色原料 5 ブロータンク 6 褐色原料 7 洗浄プレス 8 流れ(洗浄されたパルプ) 9 混合チェスト 10 新水 11 アルカリ物質処理されたパルプ 12 脱水濃縮ユニット 13 残留液(圧搾液) 14 リサイクル水(アルカリ物質含有圧搾液) 15 流れ(洗浄濾液) 15A 洗浄濾液の一部 15B 洗浄濾液の一部 15C 洗浄濾液の残部 16 保持タンク 17 高濃度パルプ(高濃度褐色原料) 18 添加アルカリ物質の第2部分(第2量のアルカリ
物質) 19 完全にアルカリ処理されたパルプ 20 酸素反応器(酸素脱リグニン反応器) 21 ガス状酸素 22 脱リグニンされたパルプ 23 酸素工程の洗浄機(洗浄ユニット) 24 水 25 低カラーパルプ 26 濾液 27 濾液の第1部分 28 濾液の第2部分 30 洗浄プレス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スチュアート ティー テラット アメリカ合衆国 サウスカロライナ州 29045エルジン ヒッコリー ヒル トレ イル 116 (72)発明者 スペンサー ダブリュー エーチューズ アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08501アレンタウン クロスウィックス エリスデイル ロード 110 (72)発明者 ブルース エフ グリッグス アメリカ合衆国 サウスカロライナ州 29223コランビア スウィートガム ロー ド 208

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高濃度酸素脱リグニン中にパルプの高脱
    リグニン選択性を得る方法において、最初に、第1洗浄
    プレス内でパルプを少なくとも約18%の濃度まで洗浄
    し、 i)洗浄パルプの濃度を約10重量%以下に低下させる
    ことにより低濃度パルプを形成し、 ii) この低濃度パルプと一定量のアルカリ物質とを混合
    して、パルプの全体に亘ってアルカリ物質を実質的に均
    一に分散させ、 iii)高濃度パルプの全体に亘って第1量のアルカリ物質
    を実質的に均一に分散させた状態で圧搾液を除去するこ
    とによって、アルカリ物質含有パルプの濃度を少なくと
    も約18重量%の高濃度パルプにまで高め、それによっ
    て、前記第1量を含む、パルプの絶乾重量に基づいて少
    なくとも約0.8 〜7重量%の全量のアルカリ物質を高濃
    度パルプに与える、 ことによって、洗浄パルプに第1量のアルカリ物質を適
    用し、圧搾液の実質的部分をアルカリ物質混合工程に直
    接リサイクルし、アルカリ物質含有高濃度パルプを酸素
    脱リグニンして、高脱リグニン選択性及び酸素脱リグニ
    ンパルプを得ることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ物質混合工程に実質的に全
    ての圧搾液をリサイクルすることを特徴とする請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記高濃度パルプに与えられる全量のア
    ルカリ物質が前記第1量に等しくなるように、前記低濃
    度パルプに全てのアルカリ物質を適用することを特徴と
    する請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記高濃度パルプに第2量のアルカリ物
    質を適用する工程を更に有しており、前記第1量と第2
    量との組合せが、高濃度パルプに供給されるアルカリ物
    質の全量に等しいことを特徴とする請求項1に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前記パルプの濃度が第2洗浄プレスで高
    められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 所定量の圧搾液を保持タンク内に保持し
    て、前記濃度上昇工程が間欠作動すなわち非連続的作動
    するときに、圧搾液を直接前記アルカリ物質混合工程に
    連続的に戻す工程を更に有していることを特徴とする請
    求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 酸素脱リグニンされたパルプを洗浄して
    洗浄流出液を発生させ、該洗浄流出液の一部を最初のパ
    ルプ洗浄工程にリサイクルする工程を更に有しているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記パルプが、前記量のアルカリ物質と
    混合されると約5重量%以下の低濃度になることを特徴
    とする請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記パルプの濃度が、酸素脱リグニンの
    前に約25〜35重量%に高められることを特徴とする
    請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記酸素脱リグニン工程が、パルプの
    セルロース成分に大きな損傷を与えることなく高濃度パ
    ルプのK価を50%以上減少させることにより、高い脱
    リグニン選択性を得ることを特徴とする請求項1に記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 前記K価が、脱リグニンの前の約10
    〜26から、脱リグニンの後の約5〜10に減少される
    ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記パルプが未漂白の針葉樹材パルプ
    であり、前記パルプに適用されるアルカリ物質の全量が
    約1.5 〜4重量%の範囲内にあり、前記第1量及び第2
    量の各々が約0.75〜2重量%の範囲内にあることを特徴
    とする請求項4に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記パルプが未漂白の広葉樹材パルプ
    であり、前記パルプに適用されるアルカリ物質の全量が
    約1〜3.8 重量%の範囲内にあり、前記第1量及び第2
    量の各々が約0.5 〜1.9 重量%の範囲内にあることを特
    徴とする請求項4に記載の方法。
  14. 【請求項14】 高濃度酸素脱リグニン中にパルプの高
    脱リグニン選択性を得る方法において、最初に、第1洗
    浄プレス内でパルプを少なくとも約18%の濃度まで洗
    浄し、 i)洗浄パルプの濃度を約10重量%以下に低下させる
    ことにより低濃度パルプを形成し、 ii) この低濃度パルプと一定量のアルカリ物質とを混合
    して、パルプの全体に亘ってアルカリ物質を実質的に均
    一に分散させ、 iii) 高濃度パルプの全体に亘って第1量のアルカリ物
    質を実質的に均一に分散させた状態で圧搾液を除去する
    ことによって、第2洗浄プレス内でアルカリ物質含有パ
    ルプの濃度を少なくとも約18重量%の高濃度パルプに
    まで高め、それによって、前記第1量を含む、パルプの
    絶乾重量に基づいて少なくとも約0.8 〜7重量%の全量
    のアルカリ物質を高濃度パルプに与える、 ことによって、洗浄パルプに第1量のアルカリ物質を適
    用し、圧搾液の実質的部分をアルカリ物質混合工程に直
    接リサイクルし、アルカリ物質含有高濃度パルプを酸素
    脱リグニンして、高脱リグニン選択性及び酸素脱リグニ
    ンパルプを得ることを特徴とする方法。
  15. 【請求項15】 前記高濃度パルプに与えられる全量の
    アルカリ物質が前記第1量に等しくなるように、前記低
    濃度パルプに全てのアルカリ物質を適用することを特徴
    とする請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記高濃度パルプに第2量のアルカリ
    物質を適用する工程を更に有しており、前記第1量と第
    2量との組合せが、高濃度パルプに供給されるアルカリ
    物質の全量に等しいことを特徴とする請求項14に記載
    の方法。
  17. 【請求項17】 所定量の圧搾液を保持タンク内に保持
    して、前記濃度高め工程が間欠作動すなわち非連続的作
    動するときに、圧搾液を直接前記アルカリ物質混合工程
    に連続的に戻す工程を更に有していることを特徴とする
    請求項14に記載の方法。
  18. 【請求項18】 酸素脱リグニンされたパルプを洗浄し
    て洗浄流出液を発生させ、該洗浄流出液の一部を第1洗
    浄プレスにリサイクルする工程を更に有していることを
    特徴とする請求項14に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記パルプが未漂白の針葉樹材パルプ
    であり、前記パルプに適用されるアルカリ物質の全量が
    約1.5 〜4重量%の範囲内にあり、前記第1量及び第2
    量の各々が約0.75〜2重量%の範囲内にあることを特徴
    とする請求項16に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記パルプが未漂白の広葉樹材パルプ
    であり、前記パルプに適用されるアルカリ物質の全量が
    約1〜3.8 重量%の範囲内にあり、前記第1量及び第2
    量の各々が約0.5 〜1.9 重量%の範囲内にあることを特
    徴とする請求項16に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記酸素脱リグニン工程が、パルプの
    セルロース成分に顕著な損傷を与えることなく高濃度パ
    ルプのK価を50%以上減少させることにより、高い脱
    リグニン選択性を得ることを特徴とする請求項14に記
    載の方法。
  22. 【請求項22】 前記K価が、脱リグニンの前の約10
    〜26から、脱リグニンの後の約5〜10に減少される
    ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
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