JPH07258800A - 建材用オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
建材用オーステナイト系ステンレス鋼Info
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- JPH07258800A JPH07258800A JP5226494A JP5226494A JPH07258800A JP H07258800 A JPH07258800 A JP H07258800A JP 5226494 A JP5226494 A JP 5226494A JP 5226494 A JP5226494 A JP 5226494A JP H07258800 A JPH07258800 A JP H07258800A
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Abstract
性、溶接性、耐銹性を改善する。 【構成】 重量%においてC≦0.003%、Siを
0.1〜1.0%、Mnを0.1〜1.0%、Niを1
3.0〜20.0%、Crを16.0〜22.0%、M
oを3.0〜5.9%、Cuを0.3〜1.0%、Al
を0.01〜0.06%、Caを0.001〜0.00
3%、Nを0.01〜0.19%を含有し、ビッカース
硬さが190以下、WI=Mo+20N<7.0%であ
り、更にTi,Nbを0.1〜0.3%の1種または2
種含有し、更にPI=Cr+2.1Mo+10.2N>
28%である冷間加工性、溶接性、耐銹性に優れる建材
用オーステナイト系ステンレス鋼。 【効果】 本発明によれば冷間加工性、溶接性および耐
銹性を兼ね備えたオーステナイト系ステンレス鋼を提供
できる。
Description
よび耐銹性に優れる建材用オーステナイト系ステンレス
鋼に関するものである。
鋼建材として、溶接性および加工性の点からSUS30
4やSUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼が
使用されてきた。しかし、ウォーターフロント開発の活
発化に伴い臨海地区での屋根用建材には更に耐銹性の優
れるステンレス鋼が望まれている。一般に、オーステナ
イト系ステンレス鋼において耐食性を高める合金元素に
はCr,Mo,N等があるが、これらの合金元素を高め
ると加工性および溶接性を損ねる。特にNは侵入型元素
であるために鋼の強度を高めて加工性を損ね、Moは溶
着金属部で偏析して溶接割れの原因になっていた。ま
た、Mo,Nを高めるとシーム溶接部の溶接割れ感受性
を高める。
特開昭49−135812号公報に開示されている高C
r高Mo高Nステンレス鋼がある。該ステンレス鋼は化
学工業用機器や海水を使用する熱交換器等の用途に開発
されたものであり、耐孔食性や熱間加工性について考慮
されているが、建材用、特に屋根材用としての冷間加工
性、溶接性、耐銹性を考慮したものではなく、特に冷間
加工性、溶接性を満足するには不十分であった。
従来技術の問題点を解消するもので、冷間加工およびシ
ーム溶接で施工される建材用ステンレス鋼屋根材におい
て、冷間加工性および溶接性を改善するとともに、臨海
地区、特に屋根軒裏部等での環境における耐銹性を改善
することを目的とするものである。
イト系ステンレス鋼の成分について種々研究した結果、
重量%としてC :≦0.030%、 Si:
0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、
Ni:13.0〜20.0%、Cr:16.0〜22.
0%、 Mo:3.0〜5.9%、Cu:0.3〜
1.0%、 Al:0.01〜0.06%、C
a:0.001〜0.003%、N :0.01〜0.
19%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から
なり、かつビッカース硬さHvが190以下、(1)式
で表わされる溶接性指数WIの値が7.0(%)以下で
ある場合に冷間加工性および溶接性に優れる建材用オー
ステナイト系ステンレス鋼を得ることができることを見
い出した。 WI=Mo+20N …………………………(1) また、上記鋼にTi:0.1〜0.3%、Nb:0.1
〜0.3%の1種または2種を含有し、かつ(2)式で
表される耐孔食指数PIの値が28(%)以上である場
合に母材部および溶接部の耐銹性が更に向上することを
見い出した。 PI=Cr+2.1Mo+10.2N …………………………(2)
の冷間加工性、溶接性、耐銹性について研究した結果、
以下の知見を得た。冷間加工性については0.4mm厚の
材料を金切りはさみにより切断した時の負荷力により評
価した。図1より切断時の負荷力はビッカース硬さHv
が高くなるとともに大きくなり、190を超えると切断
負荷力が50kgを超え、切断が困難になることが分かっ
た。ビッカース硬さHvが190以下であれば、屋根施
工等の施工性に問題はない。焼鈍材の硬さは合金成分と
結晶粒径(G.S.)で整理され、図2に示すように(3)式
で表されるHI値が23.5以下でビッカース硬さHv
を190以下にすることができる。 HI=0.15Cr+Mo+51N+1.40(π・2G.S.No+1)0.25 …………………………(3)
を0.4mmの板に冷間圧延後、焼鈍・酸洗して、シーム
溶接し、溶接部の割れやボイド等の溶接欠陥の有無を調
査した。合金元素の中でMo,Nを高めると、溶接割れ
感受性は高くなり、特にMoの高い材料ではMoが偏析
し、割れの起点となっている。溶接性におよぼすMo,
Nの影響については、図3に示すように、Mo≦5.9
%かつMo+20N≦7.0%であれば、シーム溶接部
に溶接割れ等の溶接欠陥が発生していない。
は、海塩粒子等が付着するため、雨水による洗浄がなく
塩素イオンが濃縮しやすい屋根軒裏部で最も発銹が激し
く、屋根軒裏部の耐銹性に最も留意しなければならない
ことが分かった。
で1年間屋外暴露した材料の発銹状況を示すものであ
る。暴露試験は鏡面研磨した材料を屋根、軒裏構造を模
擬した暴露試験台に設置し、1年間暴露した。発銹状況
は前記のPI値(Cr+2.1Mo+10.2N)によ
って整理でき、PI値の増大とともに耐銹性は向上し、
発銹ランクは4(大きな発銹点)→3〜2(点状の発銹
点)→1(発銹なし)と推移する。PI値≧28では軒
裏部においても発銹が認められなかった。
ある。孔食電位はJIS法(JISG0577)に準拠
し、#500のエメリー紙で研磨した材料を3.5%N
aCl、50℃溶液中で測定した。PI値と孔食電位の
間には相関があり、PI値≧28には孔食電位≧600
mV vs.SCEが対応している。
理由について説明する。CはNと同様に侵入型固溶元素
として鋼の硬度を非常に増加させるとともに、溶接性を
損なう元素である。また、溶接熱影響部のクロム炭化物
の析出による発銹を防止するため0.03%以下にする
必要がある。望ましい範囲は0.02%以下である。
た耐食性に有効であるが、多すぎると介在物が増加して
発銹の起点となる。このため、Siの範囲は0.1〜
1.0%にした。望ましい範囲は0.1〜0.5%であ
る。MnはSiと同様に脱酸剤として働くが、1.0%
超の添加は耐食性を劣化させるためMnの範囲は0.1
〜1.0%にした。望ましい範囲は0.3〜0.8%で
ある。
囲を13〜20%にした。Crは耐食性を高める主元素
であり、Cr量が増えるほど耐食性は良くなる。また過
度の添加は熱間加工性を損ね、熱延時に耳割れの原因に
なる。更に、経済性の点からコスト高になるため範囲を
16〜22%にした。望ましい範囲は19〜21%であ
る。
添加は溶接部にMo偏析を生じ、溶接割れ感受性を高め
るため上限を5.9%以下にした。また、3%未満の添
加では所望の耐食性を確保できないので範囲を3〜5.
9%とした。望ましい範囲は4〜5.8%である。Cu
は隙間腐食性を向上させるが、多量に添加すると熱間加
工性を損ね、熱延時に耳割れの原因となるため0.3〜
1.0%とした。望ましい範囲は0.4〜0.8%であ
る。
0.01〜0.06%に範囲を限定した。望ましい範囲
は0.02〜0.05%である。CaはAl脱酸鋼では
連続鋳造時の浸漬ノズル閉塞防止および介在物制御のた
め、また、過剰の添加は介在物の量を増加して冷間加工
性等を損なうことから0.001〜0.003%とし
た。望ましい範囲は0.002〜0.003%である。
て耐食性を高めるが、硬さを著しく高め0.20%超で
は所望の硬さHv≦190を達成できないため上限を
0.19%とした。望ましい範囲は0.02〜0.15
%である。Ti,Nbは溶接熱影響部の炭化物による粒
界腐食を防ぐために必要に応じて添加するが、過剰の添
加は熱間加工性や冷間加工性を劣化させるので、1種ま
たは2種の添加量を0.1〜0.3%の範囲とした。望
ましい範囲は0.15〜0.25%である。
表2の成分を溶製し、熱間圧延後、冷間圧延し、硬さ、
加工性、溶接性、耐銹性の各特性を評価した。硬さは
1.0mm厚に冷間圧延後、1050〜1150℃×60
sec 焼鈍してL断面ビッカース硬さを測定した。加工性
は、0.4mm厚に冷間圧延後、1050〜1150℃×
60sec 焼鈍した材料を金切りはさみで切断した時の負
荷力で判断し、50kg以上の場合加工性が悪いと判断し
た。
50〜1150℃×60sec 焼鈍、酸洗し、シーム溶接
機で2枚の板を電流値3200A、速度2m/minで溶接
後、溶接部の割れ、ボイド等の溶接欠陥の有無を調査し
た。耐銹性は、0.4mm厚さに冷間圧延後、1050〜
1150℃×60sec 焼鈍、酸洗後、エメリー紙で表面
を鏡面研磨後、JIS法で、50℃溶液中で孔食電位を
測定した。また、暴露試験は屋根を模擬した暴露台に、
シーム溶接した材料をエメリー紙で表面を鏡面研磨した
150w×200lの試料を取り付け、沖縄で海岸から
50m離れた場所で1年間暴露し、発銹の程度を調べ
た。
あるが、成分、WI値、硬さ、Hv、PI値ともに本発
明範囲内にあり、加工性、シーム溶接性、耐銹性の諸特
性を満足している。No.9〜16は本発明の請求項2の
実施例であるが、成分、WI値、硬さ、Hv、PI値と
もに本発明範囲内にあり、加工性、シーム溶接性、耐銹
性の諸特性を満足している。
SUS316に相当する材料であるが、加工性、溶接性
は良好であるが、耐銹性は軒裏部で大きな発銹を生ず
る。No.19〜21は高Cr高Mo高Nのオーステナイ
ト系ステンレス鋼であるが、No.19は点状の発銹があ
り、更に加工性が悪い。No.20,21は耐銹性は良好
であるが加工性、溶接性が悪い。No.22はCが本発明
範囲上限以上の場合で、PI値は高いが、溶接部でCr
炭化物を形成し、発銹している。
合で、介在物を起点に発銹している。No.24はMnが
本発明範囲上限以上の場合で、Mnの過度の添加のため
目標とする耐銹性が得られていない。
合で、オーステナイト組織を得るためCr,Mo量を調
整した結果、PI値が28以下であり、耐銹性が悪い。
No.26はNiが本発明範囲上限以上の場合で、オース
テナイト組織を得るためCr,Mo量を調整した結果、
溶接性、加工性が悪い。No.27はCrが本発明範囲下
限以下の場合で、耐銹性が悪い。No.28はCrが本発
明範囲上限以上の場合で、加工性が悪い。No.29はM
oが本発明範囲下限以下の場合で、耐銹性が悪い。No.
30はMoが本発明範囲上限以上の場合で、溶接部で割
れを生じ、加工性も悪い。No.31はCuが本発明範囲
上限以下の場合で、溶接性、加工性、耐銹性は優れてい
るが、熱間加工性が悪く、耳割れ等が発生し、製造性が
悪い。No.32,33はAl,Caが本発明範囲上限以
上の場合で、介在物により耐銹性が悪い。
で、耐銹性が悪い。No.35はNが本発明範囲上限以上
の場合で、溶接性、加工性が悪い。No.36は成分は本
発明範囲内であるが、溶接性を示すWI値が7.0以上
で溶接性が悪い。No.37は成分は本発明範囲内である
が、加工性を示すHI値が23.5以上、ビッカース硬
さが190以上で加工性が悪い。No.38は成分は本発
明範囲内であるが、耐銹性を示すPI値が28以下であ
り、耐銹性が悪い。
備え、更に耐銹性に優れた建材用オーステナイト系ステ
ンレス鋼を提供することができる。これによって、建材
用外壁、屋根等の加工および溶接等の施工を容易にし、
耐久性を高めることにより産業上有効な効果をもたらす
ことができる。
程度を表す図表。
孔食電位の関係を示す図表。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%としてC :≦0.030%、 Si:0.1〜1.0%、 Mn:0.1〜1.0%、 Ni:13.0〜20.0%、 Cr:16.0〜22.0%、 Mo:3.0〜5.9%、 Cu:0.3〜1.0%、 Al:0.01〜0.06%、 Ca:0.001〜0.003%、 N :0.01〜0.19%を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなり、かつビッカース硬さHvが
190以下、(1)式で表わされる溶接性指数WIの値
が7.0(%)以下である冷間加工性および溶接性に優
れることを特徴とする建材用オーステナイト系ステンレ
ス鋼。 WI=Mo+20N …………………………(1) - 【請求項2】 請求項1のオーステナイト系ステンレス
鋼で、更にTi:0.1〜0.3%、 Nb:0.1〜0.3%の1種または2種を含有し、か
つ(2)式で表される耐孔食指数PIの値が28(%)
以上である冷間加工性、溶接性および耐銹性に優れるこ
とを特徴とする建材用オーステナイト系ステンレス鋼。 PI=Cr+2.1Mo+10.2N …………………………(2)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05226494A JP3358678B2 (ja) | 1994-03-23 | 1994-03-23 | 建材用オーステナイト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05226494A JP3358678B2 (ja) | 1994-03-23 | 1994-03-23 | 建材用オーステナイト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07258800A true JPH07258800A (ja) | 1995-10-09 |
JP3358678B2 JP3358678B2 (ja) | 2002-12-24 |
Family
ID=12909918
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05226494A Expired - Lifetime JP3358678B2 (ja) | 1994-03-23 | 1994-03-23 | 建材用オーステナイト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3358678B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006213950A (ja) * | 2005-02-02 | 2006-08-17 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 耐食性、強靱性および熱間加工性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼材およびその製造方法 |
JP2006241590A (ja) * | 2005-02-02 | 2006-09-14 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 耐食性、耐力、低温靱性が良好なオーステナイト系ステンレス熱間圧延鋼材およびその製造方法 |
US8506729B2 (en) | 2005-02-02 | 2013-08-13 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation | Austenite-type stainless steel hot-rolling steel material with excellent corrosion resistance, proof-stress, and low-temperature toughness and production method thereof |
EP2816133A4 (en) * | 2012-02-15 | 2016-05-04 | Nippon Steel & Sumikin Sst | AUSTENITIC STAINLESS STEEL FOR DEVICE FOR HIGH-TEMPERATURE USE WITH WELDED PIPE STRUCTURE |
-
1994
- 1994-03-23 JP JP05226494A patent/JP3358678B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006213950A (ja) * | 2005-02-02 | 2006-08-17 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 耐食性、強靱性および熱間加工性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼材およびその製造方法 |
JP2006241590A (ja) * | 2005-02-02 | 2006-09-14 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corp | 耐食性、耐力、低温靱性が良好なオーステナイト系ステンレス熱間圧延鋼材およびその製造方法 |
JP4494237B2 (ja) * | 2005-02-02 | 2010-06-30 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 耐食性、強靱性および熱間加工性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼材およびその製造方法 |
US8506729B2 (en) | 2005-02-02 | 2013-08-13 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation | Austenite-type stainless steel hot-rolling steel material with excellent corrosion resistance, proof-stress, and low-temperature toughness and production method thereof |
EP2816133A4 (en) * | 2012-02-15 | 2016-05-04 | Nippon Steel & Sumikin Sst | AUSTENITIC STAINLESS STEEL FOR DEVICE FOR HIGH-TEMPERATURE USE WITH WELDED PIPE STRUCTURE |
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JP3358678B2 (ja) | 2002-12-24 |
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