JPH07255721A - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JPH07255721A
JPH07255721A JP4921594A JP4921594A JPH07255721A JP H07255721 A JPH07255721 A JP H07255721A JP 4921594 A JP4921594 A JP 4921594A JP 4921594 A JP4921594 A JP 4921594A JP H07255721 A JPH07255721 A JP H07255721A
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JP
Japan
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displacement
subject
phase
diagnostic apparatus
ultrasonic diagnostic
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP4921594A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Nakayama
淑 中山
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
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Publication of JPH07255721A publication Critical patent/JPH07255721A/ja
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  • Length Measuring Devices Characterised By Use Of Acoustic Means (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、超音波を用いて被検体内の組織の変
位,速度,歪み速度等を計測することにより被検体内組
織の運動状況や固さを推定しその情報を提供する機能を
備えた超音波診断装置に関し、比較的演算量が少く、か
つ組織の変位等を比較的正確に検出する。 【構成】2つの各時刻に得られた2つのフレームの各部
分領域を切り出してそれぞれフーリエ変換し、複素共役
積を求め、その複素共役積の位相の傾きから変位を求め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被検体内に超音波を送
波し被検体内で反射した超音波を受信して受信信号を
得、その受信信号に基づく被検体内の画像を表示する超
音波診断装置に関し、詳細には、超音波を用いて被検体
内の組織の変位、速度、歪み、歪み速度等を計測するこ
とにより被検体内組織の運動状況や固さを推定しその情
報を提供する機能を備えた超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被検体、特に人体内に超音波を送波し被
検体内で反射した超音波を受信して受信信号を得、この
受信信号に基づく断層像等を表示することにより人体の
内臓等の疾患の診断に役立たせる超音波診断装置が従来
より用いられている。この超音波診断装置には、体内を
流れる血流で反射された超音波を受信して血流の速度、
分散、パワー等の血流情報を得ることができるように構
成されたものがある。また近年では、例えば狭心症や心
筋梗塞等の虚血性心疾患の診断に役立たせるため、ある
いは、組織内の硬いガン組織等を発見するために、心筋
やその他の組織の動きや硬さを観察することが提案され
ている。この組織の動きや硬さは、生体に外的に振動を
与えたときの振動伝播性状や、内的な心拍に起因する臓
器の動き等を超音波を用いて観察することにより知るこ
とができる。
【0003】また、近年では、組織の動き(速度)を検
出するだけでなく、その速度を被検体内の、例えば深さ
方向について微分して速度勾配を求めることで組織の伸
縮度に関連する量(硬さ)を得ることも提案されている
(例えば特公昭54−43381号公報参照)。従来、
被検体内の血液や組織の動きを検出する手法の1つとし
て、ドプラ法が知られている(例えば、「パルスドプラ
法を用いた組織変位速度断層法の基礎検討」日本超音波
医学会講演論文集 第689〜690頁 新木陽一 八
木晋一中山淑 1989年10月 参照)。このパルス
ドプラ法は、被検体内組織等で反射した超音波は、ドプ
ラ効果により周波数変調を受け、その結果、受信信号に
時間的な位相変化が生じることを利用して、被検体内の
組織等の動きを検出する手法である。このパルスドプラ
法は、演算量は比較的少なくて済むものの、実際に使用
される超音波はかなり広い帯域を有しているにも拘ら
ず、超音波の周波数としてある1つのタイプ周波数が仮
定されており、したがって組織等の動きが必ずしも正確
には検出されない。
【0004】一方、組織等の動きを比較的正確に検出す
ることのできる手法として、相互相関法が知られている
(例えば、「解析信号の空間相関関数を用いた不均一組
織の微小変位計測」日本超音波医学会講演論文集 第3
59〜360頁 八木晋一中山淑 1989年5月 参
照)。図18は、相互相関を用いた、被検体内組織等の
動きを検出する超音波診断装置の構成ブロック図であ
る。尚、超音波診断装置で断層像を得る一般的な手法は
既に広く知られているため、ここでは被検体内の組織等
の動きの検出に関連するブロックのみ図示、説明する。
【0005】この超音波診断装置10の送信系11から
は、プローブ12を構成する複数の超音波振動子(図示
せず)に向けて各所定のタイミングで電圧パルスが送信
され、これを受けてプローブ12から被検体(図示せ
ず)内部に向けて超音波が送波される。被検体内で反射
した超音波はプローブ12を構成する複数の超音波振動
子で受信され受信系13に送信される。受信系13で
は、複数の超音波振動子それぞれで得られた受信信号が
整相処理されるとともに互いに加算され(以下これを
「整相加算」と称する)、これにより被検体内に延びる
一本の走査線に沿う被検体内の情報を担う受信信号が生
成される。この整相加算された受信信号はメモリ14に
格納される。以上のサイクルを繰り返すことにより、被
検体内に広がる二次元的な断層面内の複数の走査線に沿
う情報を担う受信信号が得られ、これらの受信信号がメ
モリ14に格納される。
【0006】ここで、プローブ12を構成する複数の超
音波振動子に向けて各所定のタイミングの電圧パルスを
印加することにより被検体内に延びる走査線に沿う超音
波ビームを送波する手法、被検体内で反射して戻ってき
た超音波を複数の超音波振動子で受信して複数の受信信
号を得、それら複数の受信信号を整相加算することによ
り走査線に沿う被検体内の情報を担う受信信号を得る手
法については、広く知られた一般的な技術であり、ここ
ではそれらの詳細説明は省略する。また、1本の走査線
に沿う超音波ビームが形成されるように各所定のタイミ
ングの電圧パルスを各超音波振動子に印加することに代
え、超音波の送波については被検体内のかなり広い領域
に超音波が広がるように送波し、受信信号の整相加算処
理により、複数の各走査線に沿う情報を担う複数の受信
信号を同時に得ることができることも知られている。さ
らに、プローブ12に超音波振動子を二次元的に配列し
ておき、それら二次元的に配列された超音波振動子で超
音波を送受信することにより、被検体内に立体的に延び
る複数の走査線に沿う情報を担持する受信信号を、各走
査線毎に順次に、もしくは複数の走査線について同時に
得ることができることも知られている。
【0007】図18に戻って、ここでは二次元的な断層
面についての受信信号を得る場合について説明を続行す
る。複数の走査線(走査番号#1,#2…,#N)につ
いての超音波の送受信を繰り返し、メモリ14に同一の
断層面についての2つの時点における受信信号が格納さ
れた後、各受信信号がメモリから読み出されて各データ
切出し手段15,16に入力され、各受信信号の各一部
がそれぞれ切り出される。
【0008】図19は、超音波の送受信のタイミング、
受信信号の切り出しの様子を示す概念図である。各送信
タイミングパルスに同期して、順次、走査番号#1,#
2,…,#N,#1,#2,…,#Nの各走査線に沿う
超音波の送受信が行なわれ、最初の、走査番号#1,#
2,…,#Nの走査線に沿う超音波の送受信により得ら
れた受信信号により、1フレーム分の断層像(「フレー
ム1」を称する)が構成され、次の、走査番号#1,#
2,…,#Nの走査線に沿う超音波の送受信により得ら
れた受信信号により次の1フレーム分の断層像(「フレ
ーム2」を称する)が構成される。
【0009】各フレームは、図示の縦方向が被検体内に
延びる走査線に沿う深さ方向t、図示の横方向が複数の
走査線が並ぶ走査方向xに対応している。被検体内に送
波された超音波は被検体内の各組織で反射されながら被
検体内を進むため、被検体内の深い領域で反射した超音
波ほど遅れたタイミングで受信される。このため、深さ
方向tは、各超音波パルスの送波のタイミングを起点と
した時間軸方向tにそのまま対応しており、以下、深さ
方向と時間方向とを特に区別しない場合がある。
【0010】以上のようにしてフレーム1、フレーム2
の受信信号が得られると、上述のようにそれらの受信信
号はそれぞれデータ切出手段15,16に入力され、各
フレームの各一部分(図19に示す太枠に囲まれた領
域)の各受信信号が切り出される。それら切り出された
受信信号は、相互相関演算手段17に入力され、それら
切り出された各受信信号どうしの二次元相互相関演算が
行なわれる。その演算結果は、ピーク検出手段18に入
力される。
【0011】図20は、二次元相互相関演算結果の例を
示す図である。二次元相互相関演算の結果、各画素に対
応した数値データが得られるが、ピーク検出手段18で
はそれらの数値のピーク値(図20に例示する場合の
‘9’)を有する画素の位置が検出され、その画素がど
こに位置するかにより、フレーム1を得た時刻(例え
ば、図19の送波タイミングパルス1の時刻で代表させ
る)と、フレーム2を得た時刻(例えば図19の送波タ
イミングパルス2の時刻で代表させる)との間におけ
る、切り出し領域に対応する被検体内の組織の変位(d
t,dx)が検出される。切り出し領域を順次変更する
ことにより、被検体内の各組織の変位を検出することが
できる。また、この変位をフレーム1を得た時刻とフレ
ーム2を得た時刻との間の時間で除することにより組織
の動きの速度を求めることができ、またこの速度を空間
微分することにより、もしくは、変位の空間微分を上記
時間で除することにより歪み速度を求めることができ
る。
【0012】このようにして求められた、例えば変位
(dt,dx)は、CRTディスプレイ等の表示手段1
9に表示される。
【0013】
【発明を解決するための課題】上述した相互相関法は、
相互相関の演算そのものは比較的単純ではあるものの、
演算量が多いことと、また相互相関法を用いることによ
り組織の変位を比較的正確に求めることはできるもの
の、相互相関関数のピーク位置を決定するにあたって精
度を上げるには、画素の間を正確に補間するといった複
雑な演算を行わなければならないということ二つが、装
置化のネックとなっており、実用には至っていない。
【0014】本発明は、上記事情に鑑み、比較的演算量
が少なく、かつ組織の変位等を比較的正確に検出するこ
とができる検出手段が組み込まれた超音波診断装置を提
供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の第1の超音波診断装置は、被検体内に超音波を送波
し被検体内で反射した超音波を受信して受信信号を得、
該受信信号に基づく被検体内の画像を表示する超音波診
断装置において、 (1)超音波の送受信を複数回繰り返しながら、被検体
内に延びる同一の走査線に沿う被検体内の情報を担う複
数の受信信号を得る送受信手段 (2)互いに異なる2つの時刻に得られた同一の走査線
に沿う情報を担う2つの受信信号それぞれから切り出さ
れた上記走査線に沿う所定区間内の情報を担う各受信信
号部分の各フーリエ変換信号の一方と、それら各フーリ
エ変換信号の他方の複素共役との積の位相の傾斜に基づ
いて、上記2つの時刻の間の、上記所定区間内の組織
の、上記走査線に沿う方向の変位及び/又はその変位か
ら算出される量を求める演算手段 (3)上記変位及び/又はその変位から算出される量を
表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【0016】また、上記目的を達成する本発明の第2の
超音波診断装置は、被検体内に超音波を送波し被検体内
で反射した超音波を受信して受信信号を得、該受信信号
に基づく被検体内の画像を表示する超音波診断装置にお
いて、 (4)超音波の送受信を複数回繰り返しながら、被検体
内に広がる同一の断層面に沿う被検体内の情報を担う複
数の受信信号を得る送受信手段 (5)互いに異なる2つの時刻に得られた同一の断層面
に沿う情報を担う2つの受信信号それぞれから切り出さ
れた上記断層面内の所定区域内の情報を担う各受信信号
部分の各フーリエ変換信号の一方と、それら各フーリエ
変換信号の他方の複素共役との積の位相の傾斜に基づい
て、上記2つの時刻の間の、上記所定区域内の組織の断
層面内の変位及び/又はその変位から算出される量を求
める演算手段 (6)上記変位及び/又はその変位から算出される量を
表示する表示手段 を備えたことを特徴とする。
【0017】さらに、上記目的を達成する本発明の第3
の超音波診断装置は、被検体内に超音波を送波し被検体
内で反射した超音波を受信して受信信号を得、該受信信
号に基づく被検体内の画像を表示する超音波診断装置に
おいて、 (7)超音波の送受信を複数回繰り返しながら、被検体
内の三次元的な各点の情報を担う複数の受信信号を得る
送受信手段 (8)互いに異なる2つの時刻に得られた被検体内の三
次元的な各点の情報を担う2つの受信信号それぞれから
切り出された被検体内の所定の立体区域内の情報を担う
各受信信号部分の各フーリエ変換信号の一方と、それら
各フーリエ変換信号の他方の複素共役との積の位相の傾
斜に基づいて、上記2つの時刻の間の、上記立体区域内
の組織の三次元的な変位及び/又はその変位から算出さ
れる量を求める演算手段 (9)上記変位及び/又はその変位から算出される量を
表示する表示手段 を備えたことを特徴とする。
【0018】ここで、上記第1〜第3の超音波診断装置
において、上記演算手段が、1つもしくは複数の各周波
数軸方向についての各平均的な傾斜を求めるものである
ことが好ましく、この平均的な傾斜を求めるにあたって
は、上記演算手段が、最小二乗法により、その傾斜を求
めるものであることが好ましく、その、最小二乗法が、
上記積の絶対値もしくはその絶対値を変数とする関数を
重みとした重み付き最小二乗法であることがさらに好ま
しい。
【0019】また、上記傾斜を求めるにあたっては、上
記演算手段が、1つもしくは複数の各周波数軸に沿う各
所定の周波数範囲内の信号成分のみを用いて傾斜を求め
るものであることが好ましい。さらに、上記傾斜を求め
るにあたっては、上記演算手段が、1つもしくは複数の
各周波数軸に沿う各所定の最高周波数以下の信号成分を
用いて傾斜を求めるものであるか、これに代えて、もし
くはこれとともに、上記演算手段を、上記積の位相が0
に近づく方向に、上記積および上記各フーリエ変換信号
の中から選択される少なくとも1つの信号の位相を回転
させる位相回転手段と、その位相回転手段における位相
の回転量もしくはその位相の回転量に換算される量を積
算する積算手段とを備えた構成とすることが好ましい。
【0020】ここで、上記第1〜第3の超音波診断装置
において、上記「変位から算出される量」には、例え
ば、上記変位を2つの時刻の時間間隔で除することによ
り得られる速度、上記変位の空間的な傾斜、上記速度の
空間的な傾斜、および上記変位の空間的な傾斜を上記時
間間隔で除した量からなる群の中から選択される1つも
しくは複数が含まれる。
【0021】また、上記第1〜第3の超音波診断装置の
いずれにおいても、上記表示手段は、上記変位及び/又
はその変位から算出される量の絶対値を輝度もしくは色
に割り当てて表示するものであることが好ましく、これ
に代えて、もしくはこれとともに、上記表示手段は、上
記変位及び/又はその変位から算出される量のベクトル
の方向を、方向に応じた色、矢印、線分、および流線か
らなる群の中から選択される少なくとも1つを用いて表
示するものであることが好ましい。
【0022】
【作用】ここでは、先ず、本発明の原理について説明す
る。 (本発明の第1の超音波診断装置(一次元の変位等の検
出)の場合)所定の時間間隔Tだけ隔てた2つの各時刻
に同一の走査線に沿って超音波を送受信し、これにより
得た2つの受信信号をp1(t),p2(t)とし、こ
れら2つの受信信号p1(t),p2(t)から切り出
した、被検体内の走査線に沿う所定区間〔t0 −tw/
2,t0 +tw/2〕の信号をpw1(t),pw2
(t)とする。また、この2つの各時刻の間にこの切り
出した所定区間内の組織が深さ方向にdtだけ変位して
いるものとする。このとき pw2(t)=pw1(t+dt) ……(1) が成立する。
【0023】pw2(t)のフーリエ変換をPw2
(f)、pw1(t)のフーリエ変換をPw1(f)と
し、上式(1)のフーリエ変換を行うと、 Pw2(f)=Pw1(f)exp(j2πfdt) ……(2) であることがわかる。これより、Pw1(f)の複素共
役Pw1(f)* をPw2(f)に乗じた積(複素共役
積)M(f)は、 M(f)=Pw1(f)* Pw2(f) =|Pw1(f)|2 exp(j2πfdt) ……(3) となり、変位dtはM(f)の位相の周波数方向の傾き
を2πで除したものであることがわかる。
【0024】すなわち、上記(3)式に従って算出され
る複素共役積M(f)の位相をθ(f)としたとき θ(f)=2πfdt ……(4) であるから、変位dtは、 dt=(1/2π)・(θ(f)/f) ……(5) となる。
【0025】(4)式は、周波数空間でf=0の原点を
通る直線を表わしており、周波数f=0におけるM
(f)の位相θ(f)はθ(0)=0であるから、変位
dtを単純に計算するには、例えばタイプ周波数f0に
ついての位相θ(f0)を2πで除すればよい。すなわ
【0026】
【数1】
【0027】但し、
【0028】
【数2】
【0029】と演算すればよい。ここで、imag
(…),real(…)は、かっこ内の複素数の、それ
ぞれ虚数部、実数部を表わしている。上記(5)式で表
わされる変位dtは周波数fの関数であることから、複
数の周波数ポイントfi 毎の変位dt(fi )の平均的
な変位を求めることにより、変位の検出精度を向上させ
ることができる。平均的な変位を求めるにあたっては、
例えば、最小二乗法を採用した以下の式(8)に基づい
て、変位、すなわちM(f)の位相の周波数方向の傾き
を求めることができる。
【0030】
【数3】
【0031】但し、
【0032】
【数4】
【0033】ここでMi は各周波数ポイントfi に対応
するM(fi )を略して記述したものである。また、M
i の振幅Ai を重みとして、重み付き最小自乗法に基づ
く以下の式に基づく演算を実行した場合は、さらなる精
度向上を期待できる。
【0034】
【数5】
【0035】但し
【0036】
【数6】
【0037】である。これら平均二乗法、重み付き平均
二乗法あるいはその他の手法を用いて平均的な変位を求
めるにあたっては、pw1(t),pw2(t)に含ま
れる有効な周波数成分の帯域に制限した演算、即ち、P
w1(f),Pw2(f)の、所定のパワー以上のパワ
ーを有する周波数帯域内の信号のみを演算に用いると、
S/Nの良い、より高精度な変位が求められる。
【0038】また、上記(5)式等からわかるように、
変位dtは位相θ(f)から求められるため、位相が−
π〜+πの範囲を越えると変位dtが正しく求められな
い、いわゆるラップアラウンドの問題が生じる。この場
合に、位相θ(f)は周波数fの直線的な関数であるた
め、周波数fの低い側からサーチしていき、位相θ
(f)が−π〜+πの範囲から外れたか否かを検出し、
外れた場合にその補正をすることにより、このラップア
ラウンドによる変位dtの誤検出を避けることができ
る。
【0039】もしくは、被検体内の組織毎にその変位
(速度=変位/T)の最大値はあらかじめ見積ることが
できるため、変位dtの演算にあたっては、時間間隔T
との関連で、その演算に用いる位相θ(f)の最高周波
数fmax を規定しておくことにより、そのラップアラウ
ンドの問題を避けることができる。この最高周波数f
max は、被検体内の組織の、走査線に沿う方向の最大速
度をVmax 、被検体内の音速をC(m/sec)(例え
ばC=1540m/sec)、データ取得の時間間隔を
T(sec)としたとき、 fmax =C/(4・Vmax ・T) ……(12) として規定することができる。
【0040】もしくは、ラップアラウンドが生じること
を許容し、例えば(9)式に従って位相を検出する毎
に、M(f)の位相、もしくは、M(f)を求める前の
Pw1(f)又はPw2(f)の位相を、M(f)の位
相が小さくなる方向に、その検出された位相分だけ、あ
るいはあらかじめ定めた一定量だけ回転させ、その位相
回転量もしくはその位相回転量に換算される量を積算す
ることによりラップアラウンドの問題を避け、位相を正
しく求めることができ、従って変位を正しく検出するこ
とができる。(本発明の第2の超音波診断装置(二次元
の変位等の検出)の場合)所定の時間間隔Tだけ隔てた
2つの各時刻に得られた同一の断層面に沿う情報を担う
2つの受信信号をp1(t,x),p2(t,x)と
し、これら2つの受信信号p1(t,x),p2(t,
x)から切り出した、上記断層面内の所定区域〔t0
tw/2,t0 +tw/2〕,〔x0 −xw/2,x0
+xw/2〕の信号をそれぞれpw1(t,x),pw
2(t,x)とする。またこの2つの各時刻の間にこの
切り出した所定区域内の組織が断層面内で(dt,d
x)だけ変位しているものとする。このとき pw2(t,x)=pw1(t+dt,x+dt) ……(13) が成立する。
【0041】pw2(t,x)のフーリエ変換をPw2
(f,X)、pw1(t,x)のフーリエ変換をPw1
(f,X)とすると、上式(13)のフーリエ変換を行
うと、 Pw2(f,X)=Pw1(f,X)exp(j2π(fdt+Xdx)) ……(14) であることがわかる。
【0042】これより、Pw1(f,X)の複素共役P
w1(f,X)* をPw2(f,X)に乗じた複素共役
積M(f)は M(f,X)=Pw1(f,X)* Pw2(f,X) =|Pw1(f)|2 exp(j2π(fdt+Xdx)) ……(15) となり、変位dtはM(f,X)の位相の周波数f方向
の傾きを2πで除したものであり、dxはM(f,X)
の位相の空間周波数X方向の傾きを2πで除したもので
あることがわかる。
【0043】最も単純には適当な周波数f0と空間周波
数X0を選んで、変位(dt,dx)を、
【0044】
【数7】
【0045】
【数8】
【0046】と求めれば良い。もしくは、最小自乗法に
よる次式に基づき演算することにより精度向上が望め
る。
【0047】
【数9】
【0048】
【数10】
【0049】さらに、重み付き最小自乗法による以下の
式に基づき精度をより向上できる。
【0050】
【数11】
【0051】
【数12】
【0052】と求めれば良い。ラップアラウンドの回避
の手法についても、前述した一次元の場合と同様であ
り、二次元に拡張された手法がそのままあてはまる。X
方向の最高周波数Xmax を規定する場合、被検体内の組
織のx方向の最大速度をVxmax、走査線どうしの間隔を
D(例えば1mm)、データ取得の時間間隔をTとした
とき、 Xmax =D/(2・Vxmax・T) ……(22) (本発明の第3の超音波診断装置(三次元の変位等の検
出)の場合)三次元フーリエ変換演算を行ない、最も単
純には適当な周波数f0と空間周波数X0,Y0を選ん
で、変位(dt,dx,dy)を、
【0053】
【数13】
【0054】
【数14】
【0055】
【数15】
【0056】と求めれば良い。もしくは、最小自乗法に
よる以下の式に基づき演算することにより精度向上が望
める。
【0057】
【数16】
【0058】
【数17】
【0059】
【数18】
【0060】さらに、重み付き最小自乗法による以下の
式に基づき精度をより向上できる。
【0061】
【数19】
【0062】
【数20】
【0063】
【数21】
【0064】ラップアラウンドの回避の手法について
も、演算が三次元に拡張されたことを除き、上述した一
次元、二次元の場合と同様である。上記においてはすべ
て変位を求めることを念頭においたが、変位を時間間隔
Tで除して速度を得ても良いし、また、変位の空間的傾
斜を演算して歪みを得ても良いし、歪みを時間間隔Tで
除するか、速度の空間的傾斜を演算するかいずれかの方
法をとって歪み速度を得ても良い。
【0065】本発明は上記原理に基づく演算により変位
等を検出するものであり、従来、装置化が困難と思われ
ていた変位計測をリアルタイムで、容易かつ高精度に行
うことができ、変位、速度、歪み、歪み速度の分布を求
めて表示することができる。変位等の表示にあたって
は、その変位等の絶対値を輝度もしくは色に割り当てて
表示すると、変位等の大きさの分布が容易に明瞭に観察
され、変位等のベクトルの方向を、方向に対応した色、
矢印、線分、又は流線で表示することにより、その変位
の方向の分布がわかりやすい形で表示される。
【0066】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。以
下に参照する各図において、図18〜図20を参照して
説明した従来例の各要素と同一の要素には、図18〜図
20に付した符号と同一の符号を付して示し、重複説明
は省略する。
【0067】図1は、本発明の超音波診断装置の第1の
実施例の構成ブロック図、図2は、その動作説明図であ
る。データ切出手段15,16では、図2に示す送信タ
イミング1の時刻と送信タイミング2の時刻に得られた
#1の走査線に沿う2つの受信信号から、その走査線#
1に沿う所定区間内の情報を担う各受信信号部分が、そ
の所定区間を少しずつスライディングさせながら切り出
される。このように少しずつスライディングさせて切り
出された受信信号部分をBIN1,BIN2,……と名
づける。
【0068】このようにして各データ切出手段15,1
6それぞれで切り出された各受信信号の各受信信号部分
BIN1,BIN2,……は、各フーリエ変換手段2
0,21に入力されてそれぞれフーリエ変換される。フ
ーリエ変換手段20で得られたフーリエ変換信号は、直
接、複素乗算手段23に入力される。またフーリエ変換
手段21で得られたフーリエ変換信号は、複素共役演算
手段22に入力されてその複素共役が演算され、その後
複素乗算手段23に入力される。複素乗算手段23で
は、2つのデータ切出手段15,16で切り出された送
信タイミング1の時刻と送信タイミング2の時刻に得ら
れた2つの受信信号の、互いに対応する受信信号部分、
即ちBIN1どうし,BIN2どうし,……のフーリエ
変換信号(もしくはその複素共役)の複素乗算が行われ
る。これによりBIN1どうし,BIN2どうし,……
の各複素共役積M(f)が求められる。これは、前掲の
式(3)の演算に相当する。
【0069】図3は、その複素共役積M(f)の絶対値
A(f)=|M(f)|および位相θ(f)=atan
(imagM(f)/realM(f))の周波数fに
対する分布の一例を示した図である。位相θ(f)は、
前述したように、f=0の点を通る直線で表され、絶対
値A(f)は超音波の中心周波数f0を中心とし、その
超音波の帯域に相当する分だけ広がった分布を有してい
る。
【0070】最も簡単には、図1に示すフーリエ変換手
段20,21からは、中心周波数f0に相当する各フー
リエ変換信号のみが出力され、複素共役手段22で一方
の複素共役が演算され、複素乗算手段24では周波数f
0についての複素共役積M(f0)が求められる。この
複素乗算手段23から出力された複素共役積M(f0)
を表わす信号は位相演算手段24に入力され、互いに対
応する受信信号部分毎に、タイプ周波数f0についての
位相が算出される。これは前掲の式(7)の演算に相当
する。
【0071】その後、2つの乗算手段25,26を経由
することにより、その位相θ(f0)に、それぞれ1/
f0,1/2πが乗算され、これにより変位dtが算出
される。これは前掲の式(6)に相当する。このように
して算出された変位は、表示手段19に送られ、表示手
段19ではその変位が表示される。その表示の態様につ
いては後述する。
【0072】以上では、#1の走査線について説明した
が、#2以降の各走査線についても同様である。図4
は、本発明の第1の超音波診断装置の第2の実施例の、
図1に示す第1実施例との相違部分を示すブロック図で
ある。ここでは、図1に示すフーリエ変換手段20,2
1以降、中心周波数f0のみでなく、複数の各周波数ポ
イントfi 毎に演算が行われ、最小自乗演算手段27に
より、最小自乗法を適用した演算が行われ、乗算手段2
6で1/2πが乗算される。これにより前掲の(8)式
に基づく演算が行われ、変位が高精度に求められる。
【0073】図5は、本発明の第1の超音波診断装置の
第3の実施例の、図1に示す第1実施例との相違部分を
示すブロック図である。複素乗算手段23で算出された
各周波数ポイントfi 毎の複素乗算積M(fi)は、位
相演算手段24に入力されるとともに絶対値演算手段2
8にも入力され、それぞれ、複素乗算積M(fi )の位
相θ(fi )および絶対値A(fi )が算出され、重み
付最小自乗演算手段29に入力され、絶対値A(fi
を重みとした重み付最小自乗演算が行われ、さらに乗算
手段26で1/2πが乗算される。これにより前掲の
(10)式に基づく演算が行われ、変位がさらに高精度
に求められる。
【0074】尚、絶対値A(f)は、図3に示すよう
に、所定の中心周波数f0を中心としたある帯域を持っ
た信号として観測される。そこで最小自乗法ないし重み
付最小自乗法等により変位を算出する際は、ノイズ成分
の混入をできるだけ避けるために、絶対値A(f)の、
所定の信号レベル以上の周波数領域内の周波数ポイント
のみを演算に用いることが好ましい。
【0075】また、図3に示すように、位相θ(f)
は、f=0を通る直線として観測される。したがって周
波数が高くなると位相θ(f)が−π〜+πの領域を越
える、いわゆるラップアラウンドの問題が生じる場合が
ある。そこで、最小自乗法等による演算の際の最高の周
波数ポイントfimaxを定め、ラップアラウンドの問題を
回避することが好ましい。この場合、被検体の最高速度
の見積りから、絶対値A(f)の帯域よりも高い最高周
波数ポイントfimaxが設定されるように、送信タイミン
グ1と送信タイミング2(図2参照)の時間間隔Tを定
めることが好ましい。
【0076】ラップアラウンドにより変位の誤検出を回
避する他の手法については後述する。図6は、本発明の
第2の超音波診断装置の第一実施例の構成ブロック図、
図7は、図6に示す実施例の動作シーケンスを示す図で
ある。図7に示す動作シーケンスでは、各送信タイミン
グ毎に各走査番号#1,#2,……,#Nの走査線に沿
って順次送受信が行われ、これによりフレーム1とフレ
ーム2の2つの二次元画像が得られる。データ切出手段
15,16では、それら各フレーム1,2の所定領域
が、スライディングされながら切り出される。フーリエ
変換手段20,21、複素共役手段23、複素乗算手段
23では、2つの周波数軸f,Xについての二次元的な
演算が行われ、位相演算手段24では、二次元的な位相
M(f0,X0)が求められる。
【0077】ここで、周波数f0は超音波の中心周波数
であって被検体の深さ方向に対応する。また空間周波数
X0は、走査方向(走査線#1,#2,…,#Nの並ぶ
方向)の代表周波数である。この位相M(f0,X0)
の各周波数f,X方向の成分は、それぞれ、乗算手段2
5,26の系列、および乗算手段30,31の系列に入
力され、それぞれ(1/f0)・(1/2π)、(1/
X0)・(1/2π)が演算され、断層面内の二次元的
な変位(dt,dx)が求められる。この二次元的な変
位(dt,dx)は表示手段19に入力されて表示され
る。
【0078】図8は、図6に示す実施例の、他の動作シ
ーケンスを示す図である。ここでは、プローブ12か
ら、被検体内のかなり広い範囲に超音波が広がるように
送信され、受信側で、その一回の送信で#1〜#Nの複
数の走査線に沿う受信信号が得られるように整数加算が
行われる。図7に示す動作シーケンスでは、1つのフレ
ーム内でも各走査線は順次ずれた時刻に得られることに
なるが、図8に示す動作シーケンスでは同時刻の情報を
担うフレームを得ることができる。
【0079】尚、最小自乗法、重み付最小自乗法につい
ては、前述した一次元の例(図4,図5参照)を二次元
に拡張すればそのまま適用することができ、ここでは図
示および説明は省略する。図9は、本発明の第3の超音
波診断装置の一実施例の構成ブロック図、図10は、図
9に示す実施例の動作シーケンスを示す図である。
【0080】図9に示す超音波診断装置のプローブ12
には、二次元的に配列された超音波振動子(図示せず)
が備えられており、各送信タイミング毎に、x方向,y
方向の二次元的に配列された多数の走査線#1,1〜#
N,Nに沿う受信信号が得られ、これを繰り返し、被検
体内の三次元的な情報を担う2つの三次元フレーム1,
2が得られる。データ切出手段15,16では、各三次
元フレーム1,2内の立体区域が順次スラィディングさ
れながら切り出される。フーリエ変換手段20,21、
複素共役手段23、複素乗算手段23では、3つの周波
数軸f,X,Yについての三次元的な演算が行われ、位
相演算手段24では三次元的な位相M(f0,X0,Y
0)が求められる。周波数f0は深さ方向tに対応す
る、超音波の中心周波数であり、空間周波数X0,Y0
は、それぞれ、x方向,y方向(図9参照)に対応する
各代表周波数である。
【0081】この位相M(f0,X0,Y0)の各周波
数f,X,Y方向の成分は、それぞれ、乗算手段25,
26、乗算手段30,31、乗算手段32,33の各系
列に入力され、それぞれ(1/f0)・(1/2π)、
(1/X0)・(1/2π)、(1/Y0)・(1/2
π)が演算され、被検体内の各立体区域内の組織の三次
元的な変位(dt,dx,dy)が求められる。この三
次元的な変位(dt,dx,dy)は、表示手段19に
入力されて表示される。
【0082】図11は、図9に示す実施例の、他の動作
シーケンスを示す図である。図6の実施例における図8
に示す動作シーケンスを三次元に拡張したものであり、
同時刻の情報を担う立体フレームを得ることができる。
尚、最小自乗法、重み付け最小自乗法については、前述
した一次元の例(図4,図5参照)を三次元に拡張すれ
ばそのまま適用することができ、ここでは図示および説
明は省略する。
【0083】図12は、本発明の超音波診断装置のもう
1つの実施例の構成の一部を示すブロック図、図13
は、その説明図である。ここでは一次元の場合を例に挙
げて説明する。図12に示す実施例には、位相回転手段
40と、積算手段41が備えられている。複素乗算手段
23で得られた複素共役積M(fi )は、先ず最初、位
相回転手段40を素通りし、位相演算手段24で位相θ
(fi )が算出される。このとき算出された位相θ(f
i )が図13に示すグラフAが図示のように周波数fi
で位相πをオーバし、位相が+πから−πに遷移してい
るものとする。重み付最小自乗演算手段29では、この
ように位相の遷移を含んだ位相θ(fi )に基づいて、
【0084】
【数22】
【0085】という、位相の平均的な傾きが求められ
る。この位相の傾きは積算手段41に入力されて記憶さ
れ、またこの位相の傾きが位相回転手段40に入力され
る。位相回転手段40では、複素乗算手段23から出力
された複素共役積M(f)の位相が、入力された位相の
傾きに対応する分だけ位相θ(f)=0に近づく方向に
回転される。このときの、複素共役積M(f)’の位相
θ(f)’は、例えば図13のグラフBのようになり、
位相の遷移ポイントが、高周波側の周波数f2 に移る。
【0086】次に、位相演算手段24で位相回転された
複素共役積M(f)’の位相θ(f)’、即ち図13に
示すグラフBが求められ、この位相θ(f)’に基づい
て、重み付最小自乗法により位相θ(f)’の傾きが求
められる。この位相の傾きは積算手段41に入力され、
前回入力された位相の傾きに加算される。その加算量が
位相回転手段40に入力され、位相回転手段40ではそ
の加算量分だけ、複素乗算手段23から出力された複素
共役積M(f)の位相が回転される。その回転後の位相
θ(f)”は、例えば図13に示すグラフCのようにな
る。位相が0となるまで以上を繰り返し、そのときの積
算手段41に記憶された位相の傾きの積算量に、乗算手
段26で1/2πが乗算される。これにより、複素乗算
手段23から出力された複素共役積M(f)に位相の遷
移が生じていた場合であっても、正確な変位が求められ
る。この変位は表示手段19に送られて表示される。
【0087】図14は、本発明の超音波診断装置のさら
に異なる実施例の構成の一部を示すブロック図である。
図12に示す実施例と比べ、位相回転手段40がフーリ
エ変換手段21と複素共役演算手段22との間に配置さ
れている。図12に示す実施例では、複素乗算手段23
で複素共役積M(f)を求めた後、その複素共役積M
(f)の位相を回転したが、図13に示すように、複素
乗算前のフーリエ変換信号の一方の位相を回転し、その
後複素共役積を求めても同一の結果が得られる。この位
相回転手段40は、図13に示すフーリエ変換手段21
と複素共役演算手段22との間に配置することに代え
て、フーリエ変換手段20と複素乗算手段23との間に
配置してもよい。いずれに配置するかに応じて位相回転
の方向は異なるが、いずれにしろ最終的に求められる複
素共役積M(f)の位相θ(f)がθ(f)=0に近づ
く方向に位相が回転される。
【0088】図15〜図17は、表示手段19に表示さ
れる変位の各表示態様を示した図である。図15は、変
位の絶対値を色もしくは輝度に対応づけた表示例であ
り、例えば腫瘍等の固い組織は、変位の小さい領域とし
て画面上にあらわれる。図16、図17は、図15に示
す変位の絶対値の表示に、変位の方向(ベクトル)を、
それぞれ流線もしくは矢印で示した図である。このよう
な表示により、変位の大きさ(絶対値)と変位方向(ベ
クトル)との双方が容易に観察される。
【0089】尚、上記各実施例は、全て変位を検出して
その変位を表示する例であるが、本発明は変位に限定さ
れず、その変位から算出される量、例えば前述した速度
(変位/T)、歪速度等を検出して表示してもよい。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
例えば相互相関法と比べ少ない演算量で変位等が正確に
求められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波診断装置の第1の実施例の構成
ブロック図である。
【図2】図1に示す第1の実施例の動作説明図である。
【図3】複素共役積の絶対値および位相の周波数に対す
る分布の一例を示した図である。
【図4】本発明の第1の超音波診断装置の第2の実施例
の、図1に示す第1実施例との相違部分を示すブロック
図である。
【図5】本発明の第1の超音波診断装置の第3の実施例
の、図1に示す第1実施例との相違部分を示すブロック
図である。
【図6】本発明の第2の超音波診断装置の第一実施例の
構成ブロック図である。
【図7】図6に示す実施例の動作シーケンスを示す図で
ある。
【図8】図6に示す実施例の、他の動作シーケンスを示
す図である。
【図9】本発明の第3の超音波診断装置の一実施例の構
成ブロック図である。
【図10】図9に示す実施例の動作シーケンスを示す図
である。
【図11】図9に示す実施例の、他の動作シーケンスを
示す図である。
【図12】本発明の超音波診断装置のもう1つの実施例
の構成の一部を示すブロック図である。
【図13】図12に示す実施例の説明図である。
【図14】本発明の超音波診断装置のさらに異なる実施
例の構成の一部を示すブロック図である。
【図15】表示手段に表示される変位の表示態様を示し
た図である。
【図16】表示手段に表示される変位の表示態様を示し
た図である。
【図17】表示手段に表示される変位の表示態様を示し
た図である。
【図18】相互相関を用いた、被検体内組織等の動きを
検出する超音波診断装置の構成ブロック図である。
【図19】超音波の送受信のタイミング、受信信号の切
り出しの様子を示す概念図である。
【図20】二次元相互相関演算結果の例を示す図であ
る。
【符号の説明】
10 超音波診断装置 11 送信系 12 プローブ 13 受信系 14 メモリ 15,16 データ切出手段 19 表示手段 20,21 フーリエ変換手段 22 複素共役演算手段 23 複素乗算手段 24 位相演算手段 25,26,30,31,32,33 乗算手段 27 最小自乗演算手段 28 絶対値演算算手段 29 重み付最小自乗演算手段 40 位相回転手段 41 積算手段

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体内に超音波を送波し被検体内で反
    射した超音波を受信して受信信号を得、該受信信号に基
    づく被検体内の画像を表示する超音波診断装置におい
    て、 超音波の送受信を複数回繰り返しながら、被検体内に延
    びる同一の走査線に沿う被検体内の情報を担う複数の受
    信信号を得る送受信手段と、 互いに異なる2つの時刻に得られた同一の走査線に沿う
    情報を担う2つの受信信号それぞれから切り出された前
    記走査線に沿う所定区間内の情報を担う各受信信号部分
    の各フーリエ変換信号の一方と、該各フーリエ変換信号
    の他方の複素共役との積の位相の傾斜に基づいて、前記
    2つの時刻の間の、前記所定区間内の組織の前記走査線
    に沿う方向の変位及び/又は該変位から算出される量を
    求める演算手段と、 前記変位及び/又は該変位から算出される量を表示する
    表示手段とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 【請求項2】 被検体内に超音波を送波し被検体内で反
    射した超音波を受信して受信信号を得、該受信信号に基
    づく被検体内の画像を表示する超音波診断装置におい
    て、 超音波の送受信を複数回繰り返しながら、被検体内に広
    がる同一の断層面に沿う被検体内の情報を担う複数の受
    信信号を得る送受信手段と、 互いに異なる2つの時刻に得られた同一の断層面に沿う
    情報を担う2つの受信信号それぞれから切り出された前
    記断層面内の所定区域内の情報を担う各受信信号部分の
    各フーリエ変換信号の一方と、該各フーリエ変換信号の
    他方の複素共役との積の位相の傾斜に基づいて、前記2
    つの時刻の間の、前記所定区域内の組織の前記断層面内
    の変位及び/又は該変位から算出される量を求める演算
    手段と、 前記変位及び/又は該変位から算出される量を表示する
    表示手段とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 【請求項3】 被検体内に超音波を送波し被検体内で反
    射した超音波を受信して受信信号を得、該受信信号に基
    づく被検体内の画像を表示する超音波診断装置におい
    て、 超音波の送受信を複数回繰り返しながら、被検体内の三
    次元的な各点の情報を担う複数の受信信号を得る送受信
    手段と、 互いに異なる2つの時刻に得られた被検体内の三次元的
    な各点の情報を担う2つの受信信号それぞれから切り出
    された被検体内の所定の立体区域内の情報を担う各受信
    信号部分の各フーリエ変換信号の一方と、該各フーリエ
    変換信号の他方の複素共役との積の位相の傾斜に基づい
    て、前記2つの時刻の間の、前記立体区域内の組織の三
    次元的な変位及び/又は該変位から算出される量を求め
    る演算手段と、 前記変位及び/又は該変位から算出される量を表示する
    表示手段とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 【請求項4】 前記演算手段が、1つもしくは複数の各
    周波数軸方向についての各平均的な前記傾斜を求めるも
    のであることを特徴とする請求項1から3記載のうちい
    ずれか1項記載の超音波診断装置。
  5. 【請求項5】 前記演算手段が、最小二乗法により、前
    記傾斜を求めるものであることを特徴とする請求項4記
    載の超音波診断装置。
  6. 【請求項6】 前記最小二乗法が、前記積の絶対値もし
    くは該絶対値を変数とする関数を重みとした重み付き最
    小二乗法であることを特徴とする請求項5記載の超音波
    診断装置。
  7. 【請求項7】 前記演算手段が、1つもしくは複数の各
    周波数軸に沿う各所定の周波数範囲内の信号成分のみを
    用いて前記傾斜を求めるものであることを特徴とする請
    求項1から6のうちいずれか1項記載の超音波診断装
    置。
  8. 【請求項8】 前記演算手段が、1つもしくは複数の各
    周波数軸に沿う各所定の最高周波数以下の信号成分を用
    いて前記傾斜を求めるものであることを特徴とする請求
    項1から6のうちいずれか1項記載の超音波診断装置。
  9. 【請求項9】 前記演算手段が、前記積の位相が0に近
    づく方向に、前記積および前記各フーリエ変換信号の中
    から選択される少なくとも1つの信号の位相を回転させ
    る位相回転手段と、該位相回転手段における位相の回転
    量もしくは該位相の回転量に換算される量を積算する積
    算手段とを備えたことを特徴とする請求項1から8のう
    ちいずれか1項記載の超音波診断装置。
  10. 【請求項10】 前記変位から算出される量が、前記変
    位を前記2つの時刻の時間間隔で除することにより得ら
    れる速度、前記変位の空間的な傾斜、前記速度の空間的
    な傾斜、および前記変位の空間的な傾斜を前記時間間隔
    で除した量からなる群の中から選択される1つもしくは
    複数であることを特徴とする請求項1から9のうちいず
    れか1項記載の超音波診断装置。
  11. 【請求項11】 前記表示手段が、前記変位及び/又は
    該変位から算出される量の絶対値を輝度もしくは色に割
    り当てて表示するものであることを特徴とする請求項1
    から10のうちいずれか1項記載の超音波診断装置。
  12. 【請求項12】 前記表示手段が、前記変位及び/又は
    該変位から算出される量のベクトルの方向を、方向に応
    じた色、矢印、線分、および流線からなる群の中から選
    択される少なくとも1つを用いて表示するものであるこ
    とを特徴とする請求項1から11のうちいずれか1項記
    載の超音波診断装置。
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