JPH07253472A - 放射線検出器用ヘリウム3クライオスタットおよび分析装置 - Google Patents

放射線検出器用ヘリウム3クライオスタットおよび分析装置

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JPH07253472A
JPH07253472A JP10578694A JP10578694A JPH07253472A JP H07253472 A JPH07253472 A JP H07253472A JP 10578694 A JP10578694 A JP 10578694A JP 10578694 A JP10578694 A JP 10578694A JP H07253472 A JPH07253472 A JP H07253472A
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detector
cryostat
radiation
helium
cooling
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Masahiko Kurakado
雅彦 倉門
Yoichi Ikematsu
陽一 池松
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 検出器をクライオスタット本体の外に突き出
させることにより、検出器を分析機器の中に挿入した高
感度な分析装置を提供する。 【構成】 ヘリウム3クライオスタット本体1内の1K
以下に冷却された低温ステージにクライオスタット本体
1の外表面の外側にまで達する検出器冷却用の金属棒1
1が取り付けられており、その周りを覆うように少なく
とも2層の冷却された輻射熱遮蔽壁12,13を設け、
超伝導トンネル接合放射線検出器16の接合面に平行に
磁場を印加するための超伝導コイル19を設置した。冷
却棒11あるいは輻射熱遮蔽壁12,13の上に設けら
れているクライオスタット1および分析試料を配置する
ためのチャンバーと分析試料に照射するための光や荷電
粒子のビーム発生源を用い、分析試料中より発生した放
射線を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光や電子ビームや荷電粒
子などを物質に照射し、その結果分析試料から発生する
光やX線などの放射線を超伝導体放射線検出器で調べる
ことにより、分析試料の化学組成や結合状態などを明ら
かにする分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超伝導トンネル接合を用いた放射線検出
器では、高い性能を引出すためにはそれらの素子を1K
以下の温度に冷却して使用しなければならない。従来
も、X線やガンマー線測定用の半導体放射線検出器で
は、液体窒素用のクライオスタットで冷却棒を冷やし、
その先端に検出器を取り付けて100K程度まで冷却し
て使用している。しかし、冷却棒の外側は室温の真空保
持用外壁であるために輻射熱の冷却棒への流入が大き
く、もし液体窒素の代わりに液体ヘリウムをクライオス
タットに入れたとしても冷却棒の先端を1K以下に長時
間保持することは困難であった。
【0003】また、従来も赤外線やX線などの放射線検
出器では、ヘリウム3ガスをクライオスタット内で冷却
して液化させ(液体ヘリウム4ポートと液体ヘリウム3
ポート間の熱スイッチ41閉)、その液体ヘリウム3を
クライオスタット内に設けたヘリウム3ガスの吸着材あ
るいはクライオスタットの外に設けた真空ポンプなどで
減圧して1K以下の低温を得る(熱スイッチ開)ヘリウ
ム3クライオスタットを用いて、1K以下の低温に冷却
して使用するものはあった。
【0004】しかしながら、検出器をクライオスタット
本体の中に入れており、液体ヘリウム3ポートで検出器
を冷却しており、放射線をクライオスタットの外表面壁
に取り付けた窓を通して中に入れ検出器で測定するもの
であった。そのため、試料に電子ビームを当て、その結
果発生する特性X線などの放射線を測定する場合など
に、検出器を試料の近くにおいて効率良く放射線を検出
するのが困難であった。そのうえ、クライオスタットの
真空を保持できる強度を持った窓を通してX線などを入
射するために、エネルギーが高く透過性の高いX線しか
測定できない、あるいは窓材を透過できる限られた波長
の光しか測定できない、あるいは窓を通り抜けられない
荷電粒子を測定できない、といった欠点があった。
【0005】超伝導トンネル接合を放射線検出器として
用いる場合には、ジョセフソン電流を抑制するために、
接合面に平行に磁場を印加しなければならない。従来は
クライオスタットの外から大型の電磁石で磁場を印加す
る、あるいはクライオスタット内で、接合を包み込み接
合面に平行な磁場を発生するようにした超伝導コイルで
磁場を印加していた。大型の電磁石を用いる場合には検
出器の分析装置への組込みが困難となる。
【0006】超伝導コイルを用いる場合には接合面に磁
場が平行になるようにコイルの中に接合が位置するよう
に、接合とヘリウム3ポートを包むようにコイルが設置
されていた。そのため、コイルの外側あるいはクライオ
スタットの外側から放射線を照射するのは困難であり、
検出器の分析装置への組込みはやはり困難であった。
【0007】物質の化学組成や結合状態を把握すること
は、材料開発において非常に重要な課題である。この物
質を分析する技術として、X線マイクロアナライザー、
分析電子顕微鏡、オージェ電子分光法、二次イオン質量
分析器などの解析機器が用いられてきた。これらの分析
手法では、光や荷電粒子の照射により物質から発生する
特性X線をエネルギー分散で分析する検出器として、お
もに半導体検出器が使用されてきた。半導体検出器で
は、液体窒素温度以下に冷却されシリコン結晶の素子
(微量のリチウムを含む)により特性X線が検出され
る。この半導体検出器は短時間に多種類の元素を同時に
分析することが可能であり、これまで組成分析の分野に
おいて広く用いられてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、1K以下の
低温で使用するX線や光など用の放射線検出器を放射源
に近付けるのが極めて困難であり、そのため放射線検出
器を用いた材料分析装置へのそのような検出器の使用が
困難であるという従来の問題点を解決することを課題と
するものである。また、半導体検出器はエネルギー分解
能が約140eVであるために、各元素に対するピーク
分離能が低く、化学結合状態の変化に伴うピークのシフ
ト量の検出が不可能であった。また、鉄鋼材料や半導体
材料においてその挙動が重要となる炭素、窒素、酸素な
どの低エネルギー側(軟X線領域)のいわゆる軽元素に
対して特に検出感度が低く、これらの元素の検出は困難
であった。本発明は化学結合状態の変化に伴うピークの
シフト量の検出、炭素、窒素、酸素などの軽元素の高感
度検出および微量元素の分析という従来の問題点を解決
することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は以下の構成を要旨とする。すなわち、 (1)ヘリウム3クライオスタットにおいて、1K以下
に冷却された低温ステージにクライオスタット本体の外
表面の外側にまで達する検出器冷却用の金属棒を取り付
け、その周りを覆うように少なくとも2層の冷却された
輻射熱遮蔽壁を設け、さらにその外側にクライオスタッ
トの真空を保持するための真空保持用外壁を設け、冷却
用金属棒の先端の近くの輻射熱遮蔽壁にはクライオスタ
ットの外側から冷却用金属棒の先端部に放射線を入射す
るための穴あるいは放射線を良く透過させ且つ輻射熱を
遮蔽する材料からなる窓、真空保持用外壁には放射線を
良く透過させる材料からなる窓を設けたことを特徴とす
る放射線検出器用ヘリウム3クライオスタット。 (2)上記(1)のクライオスタットにおいて、放射線
検出器として超伝導トンネル接合を用い、冷却棒あるい
は輻射熱遮蔽壁の当該検出器の近くに、検出器の接合面
に平行に磁場を印加するための超伝導コイルを設けたこ
とを特徴とする放射線検出器用ヘリウム3クライオスタ
ット。 (3)上記(2)のヘリウム3クライオスタットにおい
て、超伝導コイルの外側にさらに磁気シールドを設けた
ことを特徴とするヘリウム3クライオスタット。 (4)分析試料の結合状態や炭素、窒素、酸素などの軽
元素の高感度検出および微量元素の分析を実現するため
に、分析試料から特性X線を発生させるための線源を備
えたチャンバーにエネルギーが2keVのX線に対する
エネルギー分解能が約50eVより優れた超伝導体験出
器を装着したことを特徴とする分析装置。 (5)放射線検出器が上記(1)に記載の放射線検出器
用ヘリウム3クライオスタットに収納されている、ある
いはクライオスタットの真空保持用外壁に設けた窓を穴
で置き換えたクライオスタットに収納されており、放射
線検出器が真空容器内に挿入されていることを特徴とす
る分析装置。 (6)上記(4)の分析装置において、放射線検出器と
して超伝導トンネル接合を用い、冷却棒あるいは輻射熱
遮蔽壁の当該検出器のそばに当該検出器に接合面に平行
に磁場を印加するための超伝導コイルとその外側に磁気
シールドを設けたことを特徴とする分析装置。 (7)上記(4)の分析装置において、試料台あるいは
その周りの冷却ボックスも冷却する機構を有することを
特徴とする分析装置である。
【0010】
【作用】本発明によれば、1K以下の低温で使用するX
線や光など用の放射線検出器を放射源に近付けるのが容
易となり、そのため放射線を用いた材料分析装置へのそ
のような検出器、なかでも特に超伝導トンネル接合検出
器、の利用が可能となる。
【0011】本発明の基本的な装置構成を図1に示す。
まず、チャンバー45には分析試料からの特性X線の発
生を目的とした荷電粒子の線源46を設ける。分析試料
32は、チャンバー内の荷電粒子が照射される中心位置
に適当な治具により固定される。超伝導体検出器47は
荷電粒子の照射により分析試料から発生した特性X線を
検出できるようにチャンバーの側面に装着する。
【0012】超伝導体検出器47に内蔵された超伝導体
素子は1K以下の極低温に冷却する必要があるので、前
述のヘリウム3クライオスタットを分析装置に搭載し
た。分析試料に対する検出器の装着位置は特性X線を効
率良く検出するために非常に重要である。試料と検出器
の距離すなわち試料上の荷電粒子を照射した中心位置か
ら検出器内の素子の間の距離は素子のサイズによっても
異なるができるだけ近い方が良く、35mm以内が好まし
い。さらに検出器47の装着位置は測定試料面に対し、
20°〜70°程度傾斜させているのが望ましい。20
°以下では特性X線の強度が非常に弱く検出効率の点で
問題となる可能性があり、また、70°以上では装置の
構造上検出器の装着が困難となることが予想されるため
である。
【0013】荷電粒子が電子の場合、線源46はタング
ステンなどのフィラメントによる熱電子型の電子銃を用
いれば良い。この線源部には電子線のビーム径を調整す
ることを目的とした磁界レンズが装着されていることが
望ましい。なお、チャンバーはその中に存在するガス成
分やその他の残留粒子による荷電粒子の散乱抑制のた
め、10-6Torr以下の高真空に保持することが好まし
い。
【0014】この超伝導体検出器はエネルギー分解能が
約50eVと非常に高いために化学結合の状態解析で必
要となるピークのシフト量の決定が可能となる。また、
超伝導体素子の高いエネルギー分解能に起因してピーク
形状がシャープになり、S/N比が向上する。このた
め、半導体検出器では非常に困難であった炭素、窒素、
酸素などの軽元素の高感度分析や微量元素の分析が可能
となる。なお、放射線検出器としては超伝導トンネル接
合素子を用いることが好ましい。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すことにより、本
発明をより詳細に説明する。 (実施例1)第1の実施例を図2と図3に示す。クライ
オスタット本体1には約0.4Kとなる液体ヘリウム3
ポート2と液体ヘリウム4で冷却されて1.7K〜4.
2Kとなる液体ヘリウム4ポート3とそれに接続された
熱シールド4および液体窒素で冷却されて約77Kとな
る液体窒素ポート5とそれに接続された熱シールド6が
ある。
【0016】検出器を冷却するための直径が1cmの冷却
棒11は、クライオスタット本体内のヘリウム3ポート
2に取り付けられている。冷却棒11の周りには、クラ
イオスタット内の液体ヘリウム4ポート3の熱シールド
4に接続された外径が18mmの輻射熱遮蔽壁12があ
り、さらに、その周りにはクライオスタット本体内の液
体窒素熱シールド6に接続された外径が28mmの輻射熱
遮蔽壁13がある。さらにその外側には真空を保持する
ための外壁となる外径が54mmの覆い14と、その覆い
をクライオスタット本体の外壁に取り付けるためのポー
ト15を取り付けた。それらの冷却棒11や、輻射熱遮
蔽壁12,13のクライオスタット本体側の先端には、
クライオスタット本体のそれぞれの取り付け部に相互に
取り付けるためのネジが切ってあり、クライオスタット
本体を組立てた後で冷却棒11と輻射熱遮蔽壁をクライ
オスタット本体の外側から取り付けることができるよう
にしている。
【0017】冷却棒11の先端には超伝導トンネル接合
放射線検出素子16を取り付けた。また内側の輻射熱遮
蔽壁12の先端の中央部には穴17を開け、そこに薄い
黒いビニールの膜18を貼り輻射熱の遮蔽のための窓材
とした。冷却棒の先端を挟むように、内側の輻射熱遮蔽
壁12の先端部の両側面にNbTi超伝導線で作製した
1対のコイル19を設置した。外側の輻射熱遮蔽壁13
の先端部の中央には穴20を開け、その外側の外壁の先
端の中央部にはベリリュームの窓21を取り付けた。な
お、冷却棒11と輻射熱遮蔽壁12,13はいずれも熱
伝導の良い銅で作製した。冷却棒の先端の直ぐそばに温
度計22を取り付けて温度を測定した。コイルへの電流
ケーブル、および温度計と検出器への電線はクライオス
タット本体を通して配線した。
【0018】図中31は真空容器、37は外側輻射熱遮
蔽壁13の先端部を形成する伝導コイルを覆い、41は
熱スイッチ、42は断熱支持棒、43はヘリウム3ガス
給排気管、44は真空弁である。
【0019】本実施例ではヘリウム3を液化させて作動
させる1回の冷却で、冷却棒先端を約0.35Kに70
時間以上保持できた。コイルに電流を流し、検出器の接
合に約200ガウスの磁場を印加した。検出素子から約
3cm離れた外壁先端のベリリューム窓21の直ぐ外に55
Feを置き、それから放出されるX線を検出することが
できた。クライオスタット本体のヘリウム3ポート2は
クライオスタット本体の最外壁からは約10cm離れてお
り、検出器をヘリウム3ポートに設置した場合と比べる
と本実施例では検出効率が約10倍向上したことにな
る。
【0020】なお、本実施例では、検出器の接合面に平
行に磁場を印加するのに磁場の一様性が良くなるように
1対のコイルを用いたが、接合面に平行に磁場を印加さ
えできれば1個あるいは3個以上の超伝導コイルを用い
ても良いことは当然である。また、超伝導コイルは冷却
棒に設置しても良いことも当然である。
【0021】(実施例2)図2と図4に示すように、実
施例1のクライオスタットの冷却棒先端の周りの1番外
側の外壁となっていた覆いはそのままで、クライオスタ
ットを真空容器31に取り付けた。これにより、冷却棒
11の先端は真空容器31の中に挿入された。この場合
には、真空容器31とクライオスタット1は別真空とな
っている。そのため、検出器は低温に保ったままで、真
空容器の真空を破って試料の交換を行うこができる。
【0022】真空容器31には、分析対象となる試料3
2の位置を調整するためのマニピュレーター33と試料
に加速された電子ビームを照射するための電子ビーム源
34が取り付けられている。なお、マニピュレーターの
中央には液体窒素の導入管35と蒸発窒素ガスの排出管
36が設けられている。これにより、試料とその周りを
150K以下に冷却することができる。
【0023】検出器に付加する磁場が真空装置内に広が
るのを防止すると同時に電子ビーム源などからの変動磁
場が検出器に付加されるのを防止する磁気シールドのた
めに、外側の輻射熱遮蔽壁の先端近傍の超伝導コイルを
覆う部分37の材料はミューメタルに置き換えた。
【0024】試料32として鉄の箔を試料台に置き、そ
の試料に20kVで加速した電子ビームを照射した。電子
ビームの径は約1mmである。試料と検出器との間の距離
は約3.5cmである。試料から放出される鉄の特性X線
を超伝導トンネル接合放射線検出器16で効率良く検出
できた。この場合には、クライオスタット本体のヘリウ
ム3ポートは真空容器内の試料とは約25cm離れてお
り、検出器をヘリウム3ポートに設置した場合と比べる
と本実施例では検出効率が約50倍向上したことにな
る。
【0025】(実施例3)図5に示すように、実施例1
のクライオスタットの冷却棒先端の周りの1番外側の外
壁となっていた覆い14は取り外し、覆いを取り付ける
ために使用していたポート15を用いてクライオスタッ
ト1を真空容器31に取り付けた。この場合には、クラ
イオスタット1と真空容器31は共通真空となってい
る。実施例2で内側の輻射熱遮蔽壁の先端の中央部の穴
に貼っていた薄いビニールの膜18は取り外した。
【0026】試料として酸化アルミニウム32を試料台
に置き、マニピュレーター33から液体窒素を導入し試
料とその周りの冷却ボックスを100K程度に冷却し
た。その試料に20kVで加速した電子ビームを照射し
た。試料から放出されるアルミニウムと酸素の特性X線
を超伝導トンネル接合放射線検出器で効率良く検出でき
た。なお、内側と外側の輻射熱遮蔽壁12,13の先端
の穴を検出器と試料を結ぶ1直線上に精度良く位置さ
せ、それらの穴の径を例えば1mm程度とすれば、試料と
その周りを特に冷却しなくとも検出器の充分な冷却は可
能である。
【0027】(実施例4)図6は本発明を走査型電子顕
微鏡に適用した装置の構成図である。電子線を発生させ
る電子銃48、電子線を集束させるコンデンサーレンズ
49、測定試料上にて電子線を走査させる偏向コイル5
0、走査電顕像の焦点合わせを目的とした対物レンズ5
1、測定のための試料32を挿入する試料室52、およ
び前述のクライオスタットを用い分析試料より発生する
特性X線を検出する超伝導体放射線検出器47により構
成される。上記の装置でSi単結晶を測定試料とし組成
分析を試みた。加速電圧10kV、約0.1μmφの電子
ビームにより点分析を行った。その結果、エネルギー値
1.74keVの位置に明瞭なSiのピークが検出され
た。
【0028】(実施例5)実施例4で用いた装置により
同一の測定条件でSi3 4 およびSiO2 に対する組
成分析を試みた。本発明により、0.392keVおよ
び0.525keVのエネルギーの位置に窒素および酸
素の明瞭なピークの検出が可能であった。また、試料台
上にSiとSiO2 の2つの試料を置いておき、それぞ
れの試料に電子ビームを照射してSiのピーク位置の比
較を行った。その結果、酸化に伴うSiピークのシフト
が確認された。このように本発明によりSiの化学結合
の状態変化に伴うピークのシフトの決定が可能であっ
た。
【0029】(実施例6)実施例4で用いた装置により
同一の測定条件で0.25wt%のCrを含むFeに対す
るCrの分析を試みた。その結果、5.4keVのエネ
ルギー値に明瞭なCrのピークが検出された。
【0030】(実施例7)クライオスタットと超伝導ト
ンネル接合検出器を市販されている走査型電子顕微鏡に
装着し、酸化アルミニウムの分析を実施例4と同一の測
定条件にて行った。試料ステージに取り付けた酸化アル
ミニウムにビーム径が0.1μmの電子ビームを照射し
たところ、アルミニウムと酸素を効率良く分析できた。
すなわち、この場合には、0.1μm径の微小領域の軽
元素の分析ができた。
【0031】
【比較例】
(比較例1)実施例1で用いた同一の走査型電子顕微鏡
に半導体検出器を装着し、Si,Si3 4 ,SiO2
に対する組成分析を試みた。超伝導体放射線検出器との
性能比較を行うため、半導体検出器を実施例1とほぼ同
一の条件にて測定を行った。その結果、超伝導体検出器
の結果と比較して、Si3 4 およびSiO2 に対する
窒素、酸素のピークは認められなかった。また、Siの
ピークとSiO2 中のSiのピークはほぼ同じ位置に出
現し、Siの酸化に伴うピークのシフトの決定は不可能
である。
【0032】(比較例2)比較例1で用いた装置により
同一の測定条件で0.25wt%のCrを含むFeに対す
るCrの分析を試みた。その結果、Crのピークの検出
は不可能であった。
【0033】
【発明の効果】冷却棒の周りに2重の輻射熱シールドを
設けることにより、クライオスタット本体の外に出した
冷却棒の先端に取り付けた検出器を長時間、充分な低温
に冷却することができるようになった。それにより、1
K以下で作動させる検出器をクライオスタット最外部の
入射窓の近くに置くことができるようになり、クライオ
スタットの外からの放射線を効率良く検出できるように
なった。また、1K以下で作動させる検出器を、検出器
が試料の近くに位置するように、分析装置に組込むこと
ができるようになった。
【0034】1K以下で作動させる超伝導トンネル接合
放射線検出器を用いる場合、検出器が細い冷却棒の先端
に設置されていることによって、検出器への磁場印加用
コイルとして超伝導コイルを用い、それを検出器の直近
でしかも検出器の前面に位置せず且つ接合面に平行に磁
場が印加されるように設置することができるようになっ
た。そのうえ、必要とされる磁場を生じるための超伝導
コイルを小さくでき、コイルを含めた検出器部を分析用
機器に挿入して使用することが容易となった。特に、検
出器の接合面を試料に対して垂直に置き、その接合面に
平行に磁場を精度良く印加することが、2個の超伝導コ
イルを対にして用いることにより容易となった。
【0035】真空容器に検出器を挿入して使用する場合
に、検出器と試料を共通の真空で使用することができ、
真空保持用の窓材を検出器と試料との間に入れる必要が
なくなったために、低エネルギーのX線や紫外線、遠赤
外線などの光や荷電粒子などの窓を透過しにくい放射線
も効率良く検出できるようになった。試料とその周辺か
らの輻射熱が検出器に入射するのを抑制する必要がある
場合にも、耐圧性はない極薄の輻射熱遮蔽材をそれらの
間に挿入すれば良いだけであるから、酸素や炭素あるい
は窒素やホウ素といった軽元素からの低エネルギーX線
の検出が容易となる。
【0036】またそのことにより、物質中でのエネルギ
ー損失が大きいために試料と検出器の間に窓材があると
そのエネルギーの高精度の測定が困難となる、あるいは
窓を通り抜けることさえできなくなり検出さえできなく
なることの多い荷電粒子(イオン)の高分解能検出も可
能となる。
【0037】超伝導トンネル接合検出器は、少なくとも
理論的には従来の半導体検出器と比べて数十倍も優れた
エネルギー分解能を持ち得ることは良く知られている。
そのエネルギー分解能が実現されれば、波長分散方式で
しかこれまで測定できなかった物質の化学結合状態の特
性X線による分析やBeなどの軽元素の分析も、エネル
ギー分散方式で可能となろう。波長分散方式では、試料
の位置設定や試料表面の平坦性に高い精度が必要とされ
る。エネルギー分散方式によれば、試料位置の設定や試
料表面の平坦性はエネルギー分解能にほとんど影響しな
い。そのため、材料分析において、エネルギー分散方式
のエネルギー高分解能放射線検出器は極めて重要であ
る。実際に半導体検出器の数倍優れたエネルギー分解能
も達成されている。しかしこれまでは、超伝導トンネル
接合放射線検出器は1K以下にクライオスタット内で冷
却されねばならず、そのため検出効率が余りにも低かっ
た。本発明により、超伝導トンネル接合による短時間で
のエネルギー超高分解能の材料分析が可能となる。
【0038】試料とその周りを冷却することにより、試
料と検出器間に輻射熱のシールドを設けなくとも検出器
への輻射熱の入射が抑制でき、検出器の充分な冷却が容
易となり、低エネルギー放射線の測定ができた。コイル
の外側に磁気シールドを設けることにより、外部変動磁
場の検出器への影響とコイル磁場の電子ビームや試料へ
の影響を抑制することができる。本発明の装置により、
エネルギー分解能が高い分析が可能となり、半導体検出
器では困難であった炭素、窒素、酸素の高感度な検出や
微量元素の分析が可能となった。また、化学的な結合状
態の決定が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分析装置の1例を示す構造図。
【図2】本発明のクライオスタットの1実施例を示す構
造説明図。
【図3】本発明のクライオスタットの他の実施例を示す
外観説明図。
【図4】本発明の分析装置の1実施例を示す構造説明
図。
【図5】本発明の分析装置の他の実施例を示す構造説明
図。
【図6】走査型電子顕微鏡を利用した本発明の分析装置
の1例を示す構造説明図。
【符号の説明】
1 ヘリウム3クライオスタット本体 2 液体ヘリウム3ポート 3 液体ヘリウム4ポート 4 熱シールド 5 液体窒素ポート 6 熱シールド 11 冷却棒 12 内側輻射熱遮蔽壁 13 外側輻射熱遮蔽壁 14 真空保持覆い 15 外壁ポート 16 超伝導トンネル接合放射線検出器 17 穴 18 輻射熱遮蔽膜 19 超伝導コイル 20 穴 21 ベリリューム窓 22 温度計 31 真空容器 32 分析試料 33 マニピュレーター 34 電子ビーム源 35 液体窒素導入管 36 窒素ガス排出管 37 超伝導コイル覆い 38 真空弁 41 熱スイッチ 42 断熱支持棒 43 ヘリウム3ガス給排気管 44 真空弁 45 チャンバー 46 線源 47 超伝導体検出器 48 電子銃 49 コンデンサーレンズ 50 偏向コイル 51 対物レンズ 52 試料室

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘリウム3クライオスタットにおいて、
    1K以下に冷却された低温ステージにクライオスタット
    本体の外表面の外側にまで達する検出器冷却用の金属棒
    を取り付け、その周りを覆うように少なくとも2層の冷
    却された輻射熱遮蔽壁を設け、さらにその外側にクライ
    オスタットの真空を保持するための真空保持用外壁を設
    け、冷却用金属棒の先端の近くの輻射熱遮蔽壁にはクラ
    イオスタットの外側から冷却用金属棒の先端部に放射線
    を入射するための穴あるいは放射線を良く透過させ且つ
    輻射熱を遮蔽する材料からなる窓を、また真空保持用外
    壁には放射線を良く透過させる材料からなる窓を設けた
    ことを特徴とする放射線検出器用ヘリウム3クライオス
    タット。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のクライオスタットにお
    いて、放射線検出器として超伝導トンネル接合を用い、
    冷却棒あるいは輻射熱遮蔽壁の当該検出器の近くに、検
    出器の接合面に平行に磁場を印加するための超伝導コイ
    ルを設けたことを特徴とする放射線検出器用ヘリウム3
    クライオスタット。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のヘリウム3クライオス
    タットにおいて、超伝導コイルの外側に磁気シールドを
    設けたことを特徴とするヘリウム3クライオスタット。
  4. 【請求項4】 分析試料を配置するためのチャンバーと
    分析試料に照射するための光や荷電粒子のビーム発生源
    および分析試料中より発生した放射線を検出するための
    超伝導体験出器を備えたことを特徴とする高精度な分析
    装置。
  5. 【請求項5】 放射線検出器が請求項1に記載の放射線
    検出器用ヘリウム3クライオスタットに収納されてい
    る、あるいはクライオスタットの真空保持用外壁に設け
    た窓を穴で置き換えたクライオスタットに収納されてお
    り、放射線検出器が真空にしたチャンバー内に挿入され
    ていることを特徴とする請求項4記載の分析装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の分析装置において、放
    射線検出器として超伝導トンネル接合を用い、冷却棒あ
    るいは輻射熱遮蔽壁の当該検出器のそばに当該検出器に
    接合面に平行に磁場を印加するための超伝導コイルとそ
    の外側に磁気シールドを設けたことを特徴とする分析装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項4に記載の分析装置において、試
    料台あるいはその周りの冷却ボックスも冷却する機構を
    有することを特徴とする分析装置。
JP10578694A 1994-01-25 1994-05-19 放射線検出器用ヘリウム3クライオスタットおよび分析装置 Pending JPH07253472A (ja)

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