JPH07253407A - 金属試料中含有成分の分析方法 - Google Patents
金属試料中含有成分の分析方法Info
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- JPH07253407A JPH07253407A JP6068964A JP6896494A JPH07253407A JP H07253407 A JPH07253407 A JP H07253407A JP 6068964 A JP6068964 A JP 6068964A JP 6896494 A JP6896494 A JP 6896494A JP H07253407 A JPH07253407 A JP H07253407A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 金属試料中の含有成分を迅速かつ高精度に定
量する。 【構成】 金属試料1を電解ガス化装置2内で対電極7
と対置するように設置し、交流電圧を印加して試料の電
気分解を行う。試料中に含有されている燐、硫黄、砒
素、炭素などの成分は還元され、それぞれ水素化物ガス
を発生する。この発生ガスを搬送ガスによってガス分析
装置17に導入し、水素化物ガス濃度を測定することに
よって金属試料中の成分含有率を求める分析方法。
量する。 【構成】 金属試料1を電解ガス化装置2内で対電極7
と対置するように設置し、交流電圧を印加して試料の電
気分解を行う。試料中に含有されている燐、硫黄、砒
素、炭素などの成分は還元され、それぞれ水素化物ガス
を発生する。この発生ガスを搬送ガスによってガス分析
装置17に導入し、水素化物ガス濃度を測定することに
よって金属試料中の成分含有率を求める分析方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属試料中に含有さ
れる燐、硫黄、砒素、炭素など還元反応によって水素化
物ガスを生成する成分を、微量レベルまで迅速かつ高精
度に定量することができる分析方法に関する。この発明
は、製鉄業あるいは各種非鉄金属業などにおける操業管
理や品質管理分析の分野で利用される。
れる燐、硫黄、砒素、炭素など還元反応によって水素化
物ガスを生成する成分を、微量レベルまで迅速かつ高精
度に定量することができる分析方法に関する。この発明
は、製鉄業あるいは各種非鉄金属業などにおける操業管
理や品質管理分析の分野で利用される。
【0002】
【従来の技術】金属の精錬、製鋼プロセスなどの操業管
理には、可能な限り迅速に成分含有率を分析して把握
し、その結果によって操業上の対応処理をとる必要があ
る。例えば、製鋼プロセスでは試料採取から分析結果が
得られるまでの時間は、通常5ないし6分である。ま
た、製品の検定にも高精度、迅速分析が必要である。分
析対象成分の中でも燐、硫黄、砒素、炭素などの非金属
成分は、特に製鉄において品質を決定する上で重要であ
る。
理には、可能な限り迅速に成分含有率を分析して把握
し、その結果によって操業上の対応処理をとる必要があ
る。例えば、製鋼プロセスでは試料採取から分析結果が
得られるまでの時間は、通常5ないし6分である。ま
た、製品の検定にも高精度、迅速分析が必要である。分
析対象成分の中でも燐、硫黄、砒素、炭素などの非金属
成分は、特に製鉄において品質を決定する上で重要であ
る。
【0003】金属試料中に含有されるこれら非金属成分
の分析方法として現在広く用いられているのは発光分光
分析法あるいは蛍光X線分析法などの機器分析法であ
る。これらの手法は塊状の金属試料を直接分析すること
ができ、短時間で多成分を同時に定量することができる
ため、迅速さが要求される操業管理分析の用途に適して
いる。しかし、これらの機器分析法における非金属元素
の定量下限は一般に数10ppm程度であり、それ以下
のレベルの分析を行うことは困難である。
の分析方法として現在広く用いられているのは発光分光
分析法あるいは蛍光X線分析法などの機器分析法であ
る。これらの手法は塊状の金属試料を直接分析すること
ができ、短時間で多成分を同時に定量することができる
ため、迅速さが要求される操業管理分析の用途に適して
いる。しかし、これらの機器分析法における非金属元素
の定量下限は一般に数10ppm程度であり、それ以下
のレベルの分析を行うことは困難である。
【0004】そこで通常、微量の非金属成分を分析する
場合には、目的成分のみを高感度に定量することができ
る手法を採用する。例えば、金属試料中の微量の硫黄や
炭素を定量する場合には、JIS G1215「鉄およ
び鋼中の硫黄定量方法」およびJIS G1211「鉄
および鋼中の炭素定量方法」に定められた燃焼−赤外線
吸収法を用いる。この方法は、酸素気流中で金属試料を
燃焼して、試料中の硫黄および炭素をそれぞれ二酸化硫
黄および二酸化炭素として抽出し、その赤外線吸収強度
から含有率を求めるものである。この方法は定量感度に
優れ、ppmレベルまたはそれ以下の硫黄および炭素を
定量することができるが、試料を切削あるいは小形状の
塊状にする必要があり、そのために分析時間が長くかか
るという問題がある。
場合には、目的成分のみを高感度に定量することができ
る手法を採用する。例えば、金属試料中の微量の硫黄や
炭素を定量する場合には、JIS G1215「鉄およ
び鋼中の硫黄定量方法」およびJIS G1211「鉄
および鋼中の炭素定量方法」に定められた燃焼−赤外線
吸収法を用いる。この方法は、酸素気流中で金属試料を
燃焼して、試料中の硫黄および炭素をそれぞれ二酸化硫
黄および二酸化炭素として抽出し、その赤外線吸収強度
から含有率を求めるものである。この方法は定量感度に
優れ、ppmレベルまたはそれ以下の硫黄および炭素を
定量することができるが、試料を切削あるいは小形状の
塊状にする必要があり、そのために分析時間が長くかか
るという問題がある。
【0005】また、微量の燐を定量する場合には、JI
S G1214「鉄および鋼中のりん定量方法」に定め
られたモリブデン青吸光光度法が用いられる。この方法
は、試料を酸で分解し、過塩素酸白煙処理により燐を酸
化した後、モリブデン酸アンモニウムとともに加温して
生成した燐モリブデン酸の還元によって生じたモリブデ
ン青の吸光度を測定するものである。この方法は、pp
mレベルまでの燐を高精度に定量することができるが、
分析操作が煩雑であり、分析時間が非常に長いことが大
きな問題である。
S G1214「鉄および鋼中のりん定量方法」に定め
られたモリブデン青吸光光度法が用いられる。この方法
は、試料を酸で分解し、過塩素酸白煙処理により燐を酸
化した後、モリブデン酸アンモニウムとともに加温して
生成した燐モリブデン酸の還元によって生じたモリブデ
ン青の吸光度を測定するものである。この方法は、pp
mレベルまでの燐を高精度に定量することができるが、
分析操作が煩雑であり、分析時間が非常に長いことが大
きな問題である。
【0006】これらの問題点を克服し、金属中の含有成
分を微量レベルまで迅速に分析できる手段を実現するこ
とを目的に、本発明者らは「金属材料の電解ガス化分析
方法およびその装置」(特願平2−44485)により
燐、硫黄、炭素等の新しい分析方法を提案した。この分
析方法は、電解液中で金属試料を電気分解すると同時に
試料中の燐、硫黄、炭素等を水素化物ガスとして発生さ
せ、この発生ガスをガスクロマトグラフ分析装置、誘導
結合プラズマ発光分光分析装置、原子吸光分析装置、ま
たは可視もしくは紫外吸光光度分析装置などのガス分析
装置で測定して各成分の含有率を求めるものである。こ
の方法を用いることにより、従来に比べ簡単かつ迅速に
金属試料中の燐、硫黄、炭素を定量することができるよ
うになったが、ppmレベルの定量を精度よく行うこと
は困難であった。
分を微量レベルまで迅速に分析できる手段を実現するこ
とを目的に、本発明者らは「金属材料の電解ガス化分析
方法およびその装置」(特願平2−44485)により
燐、硫黄、炭素等の新しい分析方法を提案した。この分
析方法は、電解液中で金属試料を電気分解すると同時に
試料中の燐、硫黄、炭素等を水素化物ガスとして発生さ
せ、この発生ガスをガスクロマトグラフ分析装置、誘導
結合プラズマ発光分光分析装置、原子吸光分析装置、ま
たは可視もしくは紫外吸光光度分析装置などのガス分析
装置で測定して各成分の含有率を求めるものである。こ
の方法を用いることにより、従来に比べ簡単かつ迅速に
金属試料中の燐、硫黄、炭素を定量することができるよ
うになったが、ppmレベルの定量を精度よく行うこと
は困難であった。
【0007】そこで、分析対象成分を燐、硫黄のみに限
定し、高感度で迅速性に優れた分析方法として、「金属
試料中の燐および硫黄の分析方法およびその装置」(特
願平3−160587)、「金属試料中の微量の燐およ
び硫黄の分析方法およびその装置」(特願平3−188
975)および「金属試料中の硫黄および燐の同時分析
方法およびその装置」(特願平5−25683)を提案
した。これらの方法は、ガス分析装置として硫黄および
燐の水素化物ガスを高感度に検出することができる反射
光度測定装置(試験紙光電光度検出装置)を採用し、電
解あるいは還元力を有する酸との反応により試料中の硫
黄および燐を水素化物ガスとして発生させ、この発生ガ
スをH2 S検出用試験紙、PH3 検出用試験紙の順に接
触させることで硫黄および燐を定量するものである。こ
の方法により、ppmレベルまでの燐および硫黄を同時
に定量することが可能となった。
定し、高感度で迅速性に優れた分析方法として、「金属
試料中の燐および硫黄の分析方法およびその装置」(特
願平3−160587)、「金属試料中の微量の燐およ
び硫黄の分析方法およびその装置」(特願平3−188
975)および「金属試料中の硫黄および燐の同時分析
方法およびその装置」(特願平5−25683)を提案
した。これらの方法は、ガス分析装置として硫黄および
燐の水素化物ガスを高感度に検出することができる反射
光度測定装置(試験紙光電光度検出装置)を採用し、電
解あるいは還元力を有する酸との反応により試料中の硫
黄および燐を水素化物ガスとして発生させ、この発生ガ
スをH2 S検出用試験紙、PH3 検出用試験紙の順に接
触させることで硫黄および燐を定量するものである。こ
の方法により、ppmレベルまでの燐および硫黄を同時
に定量することが可能となった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、製品の高級化に
ともなって高純度金属の開発が盛んに行われ、材料中の
含有成分は減少の一途をたどっている。例えば鉄鋼製品
を例にとると、燐、硫黄、炭素等の含有成分がppmオ
ーダーで制御された高級鋼材が開発されている。このた
め、微量の含有成分を正確に分析する必要性が増大し、
さらに分析結果を操業管理に利用するために迅速な分析
が要求されている。
ともなって高純度金属の開発が盛んに行われ、材料中の
含有成分は減少の一途をたどっている。例えば鉄鋼製品
を例にとると、燐、硫黄、炭素等の含有成分がppmオ
ーダーで制御された高級鋼材が開発されている。このた
め、微量の含有成分を正確に分析する必要性が増大し、
さらに分析結果を操業管理に利用するために迅速な分析
が要求されている。
【0009】上記「金属試料中の燐および硫黄の分析方
法およびその装置」(特願平3−160587)、「金
属試料中の微量の燐および硫黄の分析方法およびその装
置」(特願平3−188975)および「金属試料中の
硫黄および燐の同時分析方法およびその装置」(特願平
5−25683)では、試料からの発生ガスをH2 S検
出用試験紙、PH3 検出用試験紙の順に接触させること
により、共存成分の影響がほとんどない状態でppmレ
ベルの燐、硫黄を定量することが可能となった。
法およびその装置」(特願平3−160587)、「金
属試料中の微量の燐および硫黄の分析方法およびその装
置」(特願平3−188975)および「金属試料中の
硫黄および燐の同時分析方法およびその装置」(特願平
5−25683)では、試料からの発生ガスをH2 S検
出用試験紙、PH3 検出用試験紙の順に接触させること
により、共存成分の影響がほとんどない状態でppmレ
ベルの燐、硫黄を定量することが可能となった。
【0010】しかし、これらの方法では、試料溶解量を
増大させても、それに比例して燐、硫黄の水素化物ガス
発生量は増大せず、含有率が低くなるほど分析時間が長
くかかり、精度が低下する問題があった。これは、試料
溶解量を増大させるためには試料面を高電位に設定する
ことが必要であるが、燐および硫黄を水素化物ガスとし
て発生させるためには低電位の方が望ましいからであ
る。このため、微量の燐、硫黄を高精度に分析するため
には、長時間の電気分解を行って水素化物ガス発生量を
増大させる必要があった。そこで本発明は、金属試料中
の含有成分を微量レベルまで迅速かつ高精度に定量する
ことができる分析方法を提供する。
増大させても、それに比例して燐、硫黄の水素化物ガス
発生量は増大せず、含有率が低くなるほど分析時間が長
くかかり、精度が低下する問題があった。これは、試料
溶解量を増大させるためには試料面を高電位に設定する
ことが必要であるが、燐および硫黄を水素化物ガスとし
て発生させるためには低電位の方が望ましいからであ
る。このため、微量の燐、硫黄を高精度に分析するため
には、長時間の電気分解を行って水素化物ガス発生量を
増大させる必要があった。そこで本発明は、金属試料中
の含有成分を微量レベルまで迅速かつ高精度に定量する
ことができる分析方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上の問題を解決するた
め、本発明者らは次の方法および装置が有効であること
がわかった。すなわち、電解液に接して対置している金
属試料面および対電極の間に交流電圧を印加し、金属試
料を電気分解しながら試料中の含有成分を水素化物ガス
として発生させ、この発生ガスを搬送ガスによってガス
分析装置に導入して水素化物ガス濃度を測定することに
より、試料中の成分含有率を求めることを特徴とする金
属試料中含有成分の分析方法であり、さらに、金属試料
中の燐および/または硫黄のみを分析対象成分とし、ガ
ス分析装置として反射光度測定装置を用いたことを特徴
とする金属試料中含有成分の分析方法である。
め、本発明者らは次の方法および装置が有効であること
がわかった。すなわち、電解液に接して対置している金
属試料面および対電極の間に交流電圧を印加し、金属試
料を電気分解しながら試料中の含有成分を水素化物ガス
として発生させ、この発生ガスを搬送ガスによってガス
分析装置に導入して水素化物ガス濃度を測定することに
より、試料中の成分含有率を求めることを特徴とする金
属試料中含有成分の分析方法であり、さらに、金属試料
中の燐および/または硫黄のみを分析対象成分とし、ガ
ス分析装置として反射光度測定装置を用いたことを特徴
とする金属試料中含有成分の分析方法である。
【0012】
【作用】金属試料を電気分解すると、試料の溶解が生じ
ると同時に、試料中に含有されていた燐、硫黄、砒素、
および炭素などは電解液中に存在している水素イオンと
反応して水素化物ガスを発生する。試料面の電位を高く
設定するほど試料の溶解速度は増大するが、酸化雰囲気
が強まるため水素化物ガスの発生は一般に抑制される。
本発明では、この相反する反応を同時に効率よく進行さ
せるために、金属試料に交流電圧を印加して電気分解を
行い、周波数に応じて試料面の電位を正負に反転させる
ことで、試料溶解速度および水素化物ガスの発生をとも
に促進させた。
ると同時に、試料中に含有されていた燐、硫黄、砒素、
および炭素などは電解液中に存在している水素イオンと
反応して水素化物ガスを発生する。試料面の電位を高く
設定するほど試料の溶解速度は増大するが、酸化雰囲気
が強まるため水素化物ガスの発生は一般に抑制される。
本発明では、この相反する反応を同時に効率よく進行さ
せるために、金属試料に交流電圧を印加して電気分解を
行い、周波数に応じて試料面の電位を正負に反転させる
ことで、試料溶解速度および水素化物ガスの発生をとも
に促進させた。
【0013】本発明において、分析に供する金属試料は
塊状のものを切削などせずにそのまま用いることができ
る。例えば、製鉄業においては、溶銑または溶鋼から採
取し、試料調製装置で調製した直径30mm程度のディ
スク状試料が用いられることが多い。金属試料は電解ガ
ス化装置内において、電解液に接し、かつ対電極に対置
して設置され、交流電圧が印加されて電気分解が行われ
る。電解液としては、塩酸、硫酸などの無機酸、クエン
酸などの有機酸、アセチルアセトンなどの有機溶媒ある
いはこれらの混合溶液が用いられる。
塊状のものを切削などせずにそのまま用いることができ
る。例えば、製鉄業においては、溶銑または溶鋼から採
取し、試料調製装置で調製した直径30mm程度のディ
スク状試料が用いられることが多い。金属試料は電解ガ
ス化装置内において、電解液に接し、かつ対電極に対置
して設置され、交流電圧が印加されて電気分解が行われ
る。電解液としては、塩酸、硫酸などの無機酸、クエン
酸などの有機酸、アセチルアセトンなどの有機溶媒ある
いはこれらの混合溶液が用いられる。
【0014】印加電圧は分析すべき金属の種類や分析対
象成分、または定量すべき含有率範囲によって適宜設定
する必要があるが、鉄鋼試料中の微量の燐、硫黄を定量
する場合にはAC1〜5V(試料−対電極間)程度が望
ましい。金属の種類または分析対象成分によっては、印
加電圧が正または負のどちらかに振れている時間を長く
し、酸化または還元雰囲気の一方を強める操作を行うこ
とも有効である。また、印加電圧の周波数は10〜10
0Hzが適当である。試料から発生した水素化物ガスは
搬送ガスによってガス分析装置に搬送される。搬送ガス
としてはアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスまたは窒
素ガスが用いられる。ガス分析装置には、ガスクロマト
グラフ分析装置、質量分析装置、ICP発光分光分析装
置など各種の分析装置を用いることができる。
象成分、または定量すべき含有率範囲によって適宜設定
する必要があるが、鉄鋼試料中の微量の燐、硫黄を定量
する場合にはAC1〜5V(試料−対電極間)程度が望
ましい。金属の種類または分析対象成分によっては、印
加電圧が正または負のどちらかに振れている時間を長く
し、酸化または還元雰囲気の一方を強める操作を行うこ
とも有効である。また、印加電圧の周波数は10〜10
0Hzが適当である。試料から発生した水素化物ガスは
搬送ガスによってガス分析装置に搬送される。搬送ガス
としてはアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスまたは窒
素ガスが用いられる。ガス分析装置には、ガスクロマト
グラフ分析装置、質量分析装置、ICP発光分光分析装
置など各種の分析装置を用いることができる。
【0015】分析対象成分を燐および硫黄に限定すれ
ば、ガス分析装置として反射光度測定装置を用いること
ができる。これは、発色試薬が含浸された幅2cm程度
のテープ状試験紙表面での発色反応によってガスを検出
する手段である。PH3 およびH2 Sの検出について
は、硝酸銀および酢酸鉛を含浸させた市販の試験紙を利
用することができる。試験紙表面の発色部分に555n
m程度の波長の光を照射し、その反射光強度から発色強
度を測定し、ガス濃度を求める。金属試料中の燐および
硫黄含有率と発色強度(反射光強度の減衰量)との関係
を示す検量線をあらかじめ求めておくことにより、反射
光強度に基づいた燐および硫黄の定量を行うことができ
る。
ば、ガス分析装置として反射光度測定装置を用いること
ができる。これは、発色試薬が含浸された幅2cm程度
のテープ状試験紙表面での発色反応によってガスを検出
する手段である。PH3 およびH2 Sの検出について
は、硝酸銀および酢酸鉛を含浸させた市販の試験紙を利
用することができる。試験紙表面の発色部分に555n
m程度の波長の光を照射し、その反射光強度から発色強
度を測定し、ガス濃度を求める。金属試料中の燐および
硫黄含有率と発色強度(反射光強度の減衰量)との関係
を示す検量線をあらかじめ求めておくことにより、反射
光強度に基づいた燐および硫黄の定量を行うことができ
る。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、ディスク状の鉄鋼試料に交流電圧を印加して電気
分解を行い、試料中の燐および硫黄を水素化物ガスとし
て発生させ、反射光度測定装置により検出、定量を行う
ときの分析装置の一例を模式的に示している。
1は、ディスク状の鉄鋼試料に交流電圧を印加して電気
分解を行い、試料中の燐および硫黄を水素化物ガスとし
て発生させ、反射光度測定装置により検出、定量を行う
ときの分析装置の一例を模式的に示している。
【0017】あらかじめ片面を粗研磨したディスク状の
試料1は、研磨面を電解ガス化装置2内に保持するよう
に設置され、上部から可動シリンダー3により固定され
る。試料1の研磨面は、20mmφのOリング21に密
着し、電解液が電解液タンク4から送液ポンプ5、脈流
干渉器6を通って連続的に供給されている。電解液には
各種組成の溶液を用いることができるが、6M塩酸を用
い、30ml/minの流量で供給した。
試料1は、研磨面を電解ガス化装置2内に保持するよう
に設置され、上部から可動シリンダー3により固定され
る。試料1の研磨面は、20mmφのOリング21に密
着し、電解液が電解液タンク4から送液ポンプ5、脈流
干渉器6を通って連続的に供給されている。電解液には
各種組成の溶液を用いることができるが、6M塩酸を用
い、30ml/minの流量で供給した。
【0018】電解ガス化装置2内には、試料1に対置す
るようにグラファイト製の対電極7が設置され、電解装
置8から供給される交流電圧が試料1と対極7との間に
印加されている。試料1と対極7との間隙は2mmに設
定し、印加電圧は参照電極9の電位をもとに調整した。
試料1から発生した燐、硫黄、砒素、炭素などの水素化
物ガスは、搬送ガス供給装置10から調圧弁11、流量
計12を通って供給される窒素ガスによって、電解液と
ともに気液分離器13に送られる。
るようにグラファイト製の対電極7が設置され、電解装
置8から供給される交流電圧が試料1と対極7との間に
印加されている。試料1と対極7との間隙は2mmに設
定し、印加電圧は参照電極9の電位をもとに調整した。
試料1から発生した燐、硫黄、砒素、炭素などの水素化
物ガスは、搬送ガス供給装置10から調圧弁11、流量
計12を通って供給される窒素ガスによって、電解液と
ともに気液分離器13に送られる。
【0019】気液分離器13で、電解液は廃液タンク1
4に排出され、ガスだけが塩酸除去タンク15、ミスト
トラップ16を通ってガス分析装置17へ送られる。ガ
ス分析装置17は反射光度測定装置を用いており、PH
3 およびH2 S検出用の試験紙が用意されている。ガス
分析装置17を通過したガスは流量計18、圧力干渉器
19、排気ポンプ20を通って排気される。
4に排出され、ガスだけが塩酸除去タンク15、ミスト
トラップ16を通ってガス分析装置17へ送られる。ガ
ス分析装置17は反射光度測定装置を用いており、PH
3 およびH2 S検出用の試験紙が用意されている。ガス
分析装置17を通過したガスは流量計18、圧力干渉器
19、排気ポンプ20を通って排気される。
【0020】4種類のディスク状鋼試料について、6M
塩酸を電解液として用い、AC1.5V(試料−対電極
間)の印加電圧で30秒間交流電解を行ったときの燐お
よび硫黄含有率と発色強度(反射光強度の減衰量)との
関係を図2に示す。比較のために、同じ電解液を用いて
DC+1.0V(試料−対電極間)の直流電圧により定
電位電解を30秒間行ったときの結果を併記した。交流
電解を行うと、定電位電解を行ったときに比べ2倍以上
の発色強度が得られている。換言すれば、交流電解を行
うことで定電位電解を行う場合に比べ、1/2以下の時
間で同量のPH3 ,H2 Sを発生させることができる。
塩酸を電解液として用い、AC1.5V(試料−対電極
間)の印加電圧で30秒間交流電解を行ったときの燐お
よび硫黄含有率と発色強度(反射光強度の減衰量)との
関係を図2に示す。比較のために、同じ電解液を用いて
DC+1.0V(試料−対電極間)の直流電圧により定
電位電解を30秒間行ったときの結果を併記した。交流
電解を行うと、定電位電解を行ったときに比べ2倍以上
の発色強度が得られている。換言すれば、交流電解を行
うことで定電位電解を行う場合に比べ、1/2以下の時
間で同量のPH3 ,H2 Sを発生させることができる。
【0021】また、この4試料について、交流電解およ
び定電位電解によりそれぞれ5回の繰り返し分析を行
い、分析精度(相対標準偏差(R.S.D))を求め
た。その結果を表1に示す。交流電解を行った方が、定
電位電解を行った場合に比べ、燐、硫黄ともに分析精度
がよい結果が得られた。しかも、R.S.D.=20%
を定量下限と考えると、DC+1.0V、30秒間とい
う電解条件では、燐、硫黄ともに20〜30ppm程度
が定量下限となっているが、交流電解を行うことでさら
に微量レベルまで分析できることもわかる。
び定電位電解によりそれぞれ5回の繰り返し分析を行
い、分析精度(相対標準偏差(R.S.D))を求め
た。その結果を表1に示す。交流電解を行った方が、定
電位電解を行った場合に比べ、燐、硫黄ともに分析精度
がよい結果が得られた。しかも、R.S.D.=20%
を定量下限と考えると、DC+1.0V、30秒間とい
う電解条件では、燐、硫黄ともに20〜30ppm程度
が定量下限となっているが、交流電解を行うことでさら
に微量レベルまで分析できることもわかる。
【0022】
【表1】
【0023】さらに、電解時間が分析精度に及ぼす影響
を調べるために、試料(1)について、電解時間を変化
させてAC15V交流電解およびDC+1.0V定電位
電解を実施した。それぞれ5回の繰り返し分析を行った
ときに得られた、燐の分析精度を図3に示す。交流電
解、定電位電解ともに電解時間の増加に従って分析精度
は向上した。20ppm程度の燐を定量する場合、交流
電解ならば約1分間の電解によりR.S.D.10%以
下の精度を達成することができるが、定電位電解でR.
S.D.10%の精度を達成するためには、2分以上の
電解が必要であった。このことからも、本発明の方法を
実施することで、微量レベルの非金属成分を迅速かつ高
精度に定量することができることがわかる。
を調べるために、試料(1)について、電解時間を変化
させてAC15V交流電解およびDC+1.0V定電位
電解を実施した。それぞれ5回の繰り返し分析を行った
ときに得られた、燐の分析精度を図3に示す。交流電
解、定電位電解ともに電解時間の増加に従って分析精度
は向上した。20ppm程度の燐を定量する場合、交流
電解ならば約1分間の電解によりR.S.D.10%以
下の精度を達成することができるが、定電位電解でR.
S.D.10%の精度を達成するためには、2分以上の
電解が必要であった。このことからも、本発明の方法を
実施することで、微量レベルの非金属成分を迅速かつ高
精度に定量することができることがわかる。
【0024】
【発明の効果】この発明によれば、これまで長い分析時
間を要した金属試料中の燐、硫黄、砒素および炭素など
の非金属成分を、微量レベルまで迅速かつ高精度に定量
することができる。しかも、ガス分析装置として燐およ
び硫黄の水素化物ガスを高感度に検出することができる
反射光度測定装置を用いれば、小型かつ簡便な装置で燐
および硫黄を同時定量することができる。このため、金
属の精錬、製鋼プロセスなど金属製造業における操業管
理、あるいは製品の品質管理などの分野に与える効果は
大きい。
間を要した金属試料中の燐、硫黄、砒素および炭素など
の非金属成分を、微量レベルまで迅速かつ高精度に定量
することができる。しかも、ガス分析装置として燐およ
び硫黄の水素化物ガスを高感度に検出することができる
反射光度測定装置を用いれば、小型かつ簡便な装置で燐
および硫黄を同時定量することができる。このため、金
属の精錬、製鋼プロセスなど金属製造業における操業管
理、あるいは製品の品質管理などの分野に与える効果は
大きい。
【図1】この発明の方法を実現するための定量分析装置
の一例を示す装置構成図である。
の一例を示す装置構成図である。
【図2】鋼試料中の燐および硫黄含有率と反射光度測定
装置の発色強度との関係を示す線図である。
装置の発色強度との関係を示す線図である。
【図3】交流電解および定電位電解の電解時間が燐の分
析精度に及ぼす影響を示す線図である。
析精度に及ぼす影響を示す線図である。
1 試料 2 電解ガス化装置 3 シリンダー 4 電解液タンク 5 送液ポンプ 6 脈流干渉器 7 対極 8 電解装置 9 参照電極 10 搬送ガス供給装置 11 調圧弁 12 流量計 13 気液分離器 14 廃液タンク 15 塩酸除去タンク 16 ミストトラップ 17 ガス分析装置 18 流量計 18 圧力干渉器 20 排気ポンプ 21 Oリング
Claims (2)
- 【請求項1】 電解液に接して対置している金属試料面
および対電極の間に交流電圧を印加し、金属試料を電気
分解しながら試料中の含有成分を水素化物ガスとして発
生させ、この発生ガスを搬送ガスによってガス分析装置
に導入して水素化物ガス濃度を測定することにより、試
料中の成分含有率を求めることを特徴とする金属試料中
含有成分の分析方法。 - 【請求項2】 水素化物ガスとして発生させるべき金属
試料中の含有成分が燐および/または硫黄であり、ガス
分析装置として反射光度測定装置を用いたことを特徴と
する請求項1記載の金属試料中含有成分の分析方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6068964A JPH07253407A (ja) | 1994-03-15 | 1994-03-15 | 金属試料中含有成分の分析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6068964A JPH07253407A (ja) | 1994-03-15 | 1994-03-15 | 金属試料中含有成分の分析方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07253407A true JPH07253407A (ja) | 1995-10-03 |
Family
ID=13388877
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6068964A Withdrawn JPH07253407A (ja) | 1994-03-15 | 1994-03-15 | 金属試料中含有成分の分析方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07253407A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009019954A (ja) * | 2007-07-11 | 2009-01-29 | Wakasawan Energ Kenkyu Center | 金属材料中のヘリウム含有量計測方法 |
WO2015045978A1 (ja) * | 2013-09-24 | 2015-04-02 | 株式会社Taane | マイナス水素イオンの検出方法 |
-
1994
- 1994-03-15 JP JP6068964A patent/JPH07253407A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009019954A (ja) * | 2007-07-11 | 2009-01-29 | Wakasawan Energ Kenkyu Center | 金属材料中のヘリウム含有量計測方法 |
JP4584288B2 (ja) * | 2007-07-11 | 2010-11-17 | 財団法人若狭湾エネルギー研究センター | 金属材料中のヘリウム含有量計測方法 |
WO2015045978A1 (ja) * | 2013-09-24 | 2015-04-02 | 株式会社Taane | マイナス水素イオンの検出方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010605 |