JPH07249355A - ガス断路器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大形化することなく、電流の開閉能力を大幅
に向上させることができるガス断路器の提供。 【構成】 固定側ベース４，固定側シールド１０，およ
びノズル２２により熱ガス室２３を形成するとともに、
パッファ室１８を負圧とするために摺動部材２６により
連通孔２７ｂを塞いだまま移動するピストン２９をパッ
ファシリンダ２５に設け、可動コンタクト２７の移動に
よりパッファ室１８内を負圧とするとともに、アークに
よって熱ガス室２３内の圧力を高め、この両室の圧力差
を利用して強力にアークに絶縁ガスを吹き付けてアーク
を冷却し、消滅させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はアークに強制的に絶縁ガ
スを吹きつけて消弧するパッファ形のガス断路器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ガス絶縁開閉装置は遮断器，断路器，接
地開閉器等で構成され、断路器は一般的に電流を切るこ
となく、無電流の状態で入・切りされるが、しかし、実
際にはある程度の充電電流，ループ電流などを開閉する
開閉能力を備えている。

【０００３】図４はこの電流開閉能力を備えた断路器
で、絶縁ガス中に設けた固定側ユニット１と、可動側ユ
ニット２とで構成され、固定側ユニットは次のように構
成されている。

【０００４】３は図示を省略した固定部に固定された導
体、４は導体３に固着された固定側ベース、５はアーキ
ングコンタクトで、先端を球状大径部５ａとして固定側
ベース４の軸心位置にゆるく貫通して設けられ、他端は
ストッパならびに通電接触面用鍔部５ｂとして固定側ベ
ース４の嵌入部４ａに嵌入され、コイルばね６により嵌
入部４ａの底部に圧接されている。７は接触片で固定側
ベース４の鍔付円柱部の鍔４ｂの外周に放射状に設けた
多数の溝にそれぞれ嵌入し、固定側ベース４に取り付け
られるとともに挿入された可動コンタクト１２（後述）
との間の接触圧力を保持する２個のリング状コイルばね
８により固定コンタクト９を構成している。１０は電界
集中を防止するために固定コンタクト９を覆って設けら
れた固定側シールドである。

【０００５】また、可動ユニット２は以下のように構成
されている。

【０００６】１１はパッファシリンダで、固定側ベース
４に対向して設けられ、基端部は図示を省略した固定部
に固着されている。１２はパッファシリンダ１１の軸心
位置に摺動部材１３を介して往復移動自在に設けられた
中空の可動コンタクトで、中空部１２ａは先端部にアー
キングコンタクト５の球状大径部５ａを挿出入すること
ができ、他端には後述のパッファ室１８との連通孔１２
ｂを複数個備え、連結ロッド１４を介して図示を省略し
た駆動手段に連動・連結されている。１５はパッファシ
リンダの先端部に埋設され可動コンタクト１２と摺動接
触するリング状の通電コンタクト、１６は通電コンタク
ト１５を覆う可動側シールド、１７は可動コンタクト１
２と連結ロッド１４の間に挟着されたピストンで、パッ
ファシリンダ１１の中空部の内周面に摺動自在に設けら
れ、図中のピストン１７の左側にパッファ室１８を形成
し、右側の空間は複数の連通孔１９を介してパッファシ
リンダ１１の外部と連通している。

【０００７】次に以上に述べたガス断路器の作用を説明
する。

【０００８】閉路する際に可動コンタクト１２を図中の
左方へ移動すると、パッファ室１８内の絶縁ガスは連通
孔１２ｂ，中空部１２ａを介して外部へ放出される一
方、ピストン１７の右側へは連通孔１９を介してパッフ
ァシリンダ１１の外部から絶縁ガスを吸入する。そして
固定側導体３が固定側ベース４，固定コンタクト９，可
動コンタクト１２，通電コンタクト１５を介してパッフ
ァシリンダ１１と導通する。

【０００９】この閉路状態から可動コンタクト１２を右
方へ移動させ、可動コンタクト１２がアーキングコンタ
クト５の先端の球状大径部５ａを離れるとアーク２０を
発生するが、中空部１２ａ，連通孔１２ｂを介してパッ
ファ室１８に吸入される絶縁ガス２１によってアーク２
０は冷却され消滅する。ピストン１７の右側の絶縁ガス
は流通孔１９を介してパッファシリンダ１１の外へ放出
される。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】電流開閉能力を有する
ガス断路器の消弧は専らパッファ方式に頼っているの
で、電流の遮断容量を大きくするにはパッファ室を大径
化して発生したアークに吹き付ける絶縁ガス量を多くし
なければならない。パッファ室を大径化するとパッファ
シリンダは大形となり、操作機構の出力もより大きなも
のが要求されるためにガス断路器全体が大形化して高価
なものとなってしまう。

【００１１】そこで、本発明は大形化することなく電流
の開閉能力を大幅に向上することができるガス断路器の
提供を目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明において上記の課
題を解決するための手段は、アーキングコンタクトを有
する固定側ユニットと、このアーキングコンタクトを中
空部に挿出入する可動コンタクトを有する可動側ユニッ
トで形成され、該可動ユニットはパッファシリンダとピ
ストンを有し、ピストンの往復動により前記可動コンタ
クトを往復動するとともに断路時のアークを可動コンタ
クトの中空部に流入する絶縁ガスで冷却して消弧させる
ようにしたガス断路器において、前記固定側ユニット
に、アーキングコンタクトを覆いアーク発生時の熱ガス
を取り込む熱ガス室を形成し、可動側ユニットのパッフ
ァ室内に可動コンタクトを断路側に移動したときに負圧
となるパッファ室を形成するとともに、可動コンタクト
がアーキングコンタクトと離れて熱ガス室の圧力が高ま
ったときにパッファ室と前記可動コンタクトの中空部と
を連通して熱ガス室の上昇圧力とパッファ室の負圧との
圧力差により絶縁ガスをアークに強力に吹きつけて消弧
するようにする。

【００１３】また、固定側ユニットの可動コンタクト挿
入部に、該可動コンタクトを摺動可能に挿通するテフロ
ンノズルを設け、アーク発生時にアークによる熱ガスと
テフロンノズルから発生するテフロン蒸気を熱ガス室に
取り込んで熱ガス室内の圧力を上昇させるようにする。

【００１４】また、パッファ室内のピストンに逆止弁等
の圧力調整手段を設けてピストンの移動による負圧を高
め、且つ投入時の移動を円滑にする。

【００１５】更に、可動コンタクトは、その先端がノズ
ルの外へ離れるときに中空部とパッファ室とが連通する
連通孔を設け、熱ガス室とパッファ室との圧力差が最高
になったときに、熱ガス室のガスをアークに吹きつける
ことを好適とする。

【００１６】

【作用】開路時に発生するアークの熱ガスと、ノズルの
テフロンが発生するテフロン蒸気により熱ガス室内の圧
力を上昇するとともにパッファ室を負圧にし、可動コン
タクトの先端がノズルの外へ離脱すると同時に負圧とな
ったパッファ室への連通孔を開き、熱ガス室から一気に
噴出するガス流によりアークを急激に冷却して消弧す
る。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて
説明する。なお、本実施例は従来のガス断路器の一部を
改良したものなので、従来と同一部分には同一符号を付
して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。

【００１８】図１は本発明の一実施例であるガス断路器
の閉路状態を示す断面図で、同図において、２２は固定
側シールド１０に取り付けたフッ素樹脂からなる耐熱性
の絶縁部材（以下、テフロントと称す）のノズルで、該
ノズル２２と固定側シールド１０，および固定側ベース
４とで熱ガス室２３を形成している。２４はアーキング
コンタクトで球状大径部２４ａの先端をほぼ固定コンタ
クト９の先端位置に合わせて、図４に示した従来のアー
キングコンタクト５より短くしてある。

【００１９】２５はパッファ室で図４に示した従来のパ
ッファ室１１と比べると通電コンタクト１５とパッファ
室１８との間が長くしてあり、それに伴って摺動部材２
６も従来の摺動部材１３より長くなっている。２７はパ
ッファシリンダ２５の軸心位置に摺動部材２６を介して
往復動自在に設けられた可動コンタクトで、逆止弁２８
が設けられたピストン２９を挟着し、連結ロッド１４を
介して図示を省略した駆動手段に連動連結されている。
先端から基端部へ向かって形成された可動コンタクト２
７の中空部２７ａの先端はアーキングコンタクト２４を
挿抜することができ、他端は閉路時には摺動部材２６に
よって塞かれ、開路途中において可動コンタクト２７の
先端がノズル２２の外へ離脱すると同時に中空部２７ａ
とパッファ室１８とを連通する複数の連通孔２７ｂが穿
設されている。

【００２０】次に以上のように構成されたガス断路器の
作用について説明する。

【００２１】閉路時の状態を示す図１において、可動コ
ンタクト２７を右方へ移動させ、図２に示すように可動
コンタクト２７がアーキングコンタクト２４の先端の球
状大径部材２４ａを離れるとアーク２０を発生し、該ア
ーク２０による熱ガスと、アーク熱によりノズル２２の
テフロン蒸気は熱ガス室２３の内部圧力を急激に上昇す
る一方、パッファ室１８の内部は減圧されて負圧とな
り、図２の状態で両室間の差圧力は最大となる。

【００２２】可動コンタクト２７がさらに図中の右方へ
移動すると、高圧となった熱ガス室２３と減圧されて負
圧となったパッファ室１８とが連通孔２７ｂにより連通
されるとともに、可動コンタクト２７の先端がノズル２
２の外へ離脱し、熱ガス室２３内の高圧ガスは、可動コ
ンタクト２７の中空部２７ａを高流速でパッファ室１８
内に流れ込むと同時に外部に噴出して図３に示す状態と
なりアーク２０は消滅する。なお、矢印の３０はガスの
流れを示している。

【００２３】このように、熱ガス室２３に蓄積されて高
圧となったアーク２０による熱ガスと、テフロン蒸気と
を負圧にされたパッファ室１８内に一気に流入すると同
時に外部にも噴出することにより、パッファ室２５を大
形化することなく、大量のガスを高速でアーク２０に吹
き付けて消弧し、電流の開閉能力を大幅に向上させるこ
とができる。ノズルをテフロン製とすると、テフロンは
熱解離するとき負特性のフッ素原子を発生し、電子を吸
着するので、冷却、消弧能力が更に高められる。

【００２４】開路状態にあるガス断路器を閉路するに
は、可動コンタクト２７を左方へ移動する。図３からわ
かるようにパッファ室１８内の絶縁ガスは連通孔２７
ｂ、中空部２７ａを通って可動コンタクト２７の先端か
ら外部へ放出される。その後、可動コンタクト２７の先
端がノズル２２に挿入され、また連通孔２７ｂが摺動部
材２６によって塞がれて、パッファ室１８内の圧力が上
昇すると、パッファ室１８内の絶縁ガスは逆止弁２８を
介してパッファ室１８の右側の空間へ放出される。な
お、パッファ室の右側の空間は連通孔１９を介して外部
と連通している。図２はパッファ室１８内の圧力が上昇
しはじめるときの状態を示している。

【００２５】可動コンタクト２７がさらに左方へ移動す
ると、中空部２７ａにはアーキングコンタクト２４の先
端の球状大径部２４ａが挿入され、外周部はノズル２２
を貫通して固定コンタクト９に挿入され、固定側導体３
が固定側ベース４，固定コンタクト９，可動コンタクト
２７，通電コンタクト１５を介してパッファシリンダ２
５と導通する。

【００２６】なお、上記の実施例においては、ノズル２
２はテフロン製による場合であるが、金属製であっても
よい。即ち、可動コンタクトが挿入されている間は熱ガ
スは密閉されているので、アークによる熱ガスだけでも
相当圧力が高まる。

【００２７】また、ピストンに設けた逆止弁は、投入時
にパッファ室内のガスを逃がし、遮断時に負圧を高める
役目をするものであるが、必ずしも逆止弁である必要は
なく、細孔を適宜設けて上記の圧力調整を行うようにし
てもよい。

【００２８】

【発明の効果】本発明に係るガス断路器は、固定側ベー
ス，固定側シールド、およびノズルにより熱ガス室を形
成し、該熱ガス室に蓄積されて高圧となったアークによ
る熱ガスと、アーク熱により発生したテフロン蒸気と
を、連通孔を閉じたままピストンが移動されて負圧とな
っているパッファ室および外部に一気に噴出することに
より大量のガスを高速でアークに吹き付け冷却し消弧す
るものであるから、パッファシリンダを含むガス断路器
を大形化することなく大量、かつ高速の絶縁ガスをアー
クに吹き付けることができ、電流の開閉能力を大幅に向
上させることができるという効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の閉路状態の断面図。

【図２】本発明の一実施例の動作説明図（蓄圧された状
態）。

【図３】本発明の一実施例の動作説明図（開路状態）。

【図４】従来の断面図。

【符号の説明】

４…固定側ベース ９…固定コンタクト １０…固定側シールド １８…パッファ室 ２２…ノズル ２３…熱ガス室 ２４…アーキングコンタクト ２５…パッファシリンダ ２７…可動コンタクト ２７ａ…中空部 ２７ｂ…連通孔 ２８…逆止弁 ２９…ピストン

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アーキングコンタクトを有する固定側ユ
   ニットと、このアーキングコンタクトを中空部に挿出入
   する可動コンタクトを有する可動側ユニットで形成さ
   れ、該可動ユニットはパッファシリンダとピストンを有
   し、ピストンの往復動により前記可動コンタクトを往復
   動するとともに断路時のアークを可動コンタクトの中空
   部に流入する絶縁ガスで冷却して消弧するようにしたガ
   ス断路器において、 前記固定側ユニットに、アーキングコンタクトを覆いア
   ーク発生時の熱ガスを取り込む熱ガス室を形成し、可動
   側ユニットのパッファシリンダ内に可動コンタクトを断
   路側に移動したときに負圧となるパッファ室を形成する
   とともに、可動コンタクトがアーキングコンタクトと離
   れて熱ガス室の圧力が高まったときにパッファ室と前記
   可動コンタクトの中空部とを連通して熱ガス室の圧力と
   パッファ室の圧力差により絶縁ガスをアークに吹きつけ
   るようにしたことを特徴とするガス断路器。
2. 【請求項２】 固定側ユニットの可動コンタクト挿入部
   に、該可動コンタクトを摺動可能に挿通したテフロンノ
   ズルを設け、アーク発生時にアークによる熱ガスとテフ
   ロンノズルから発生するテフロン蒸気とを熱ガス室に取
   り込んで熱ガス室内の圧力を上昇させるようにしたこと
   を特徴とする請求項１記載のガス断路器。
3. 【請求項３】 パッファシリンダ内のピストンに圧力調
   整手段を設けたことを特徴とする請求項１又は２記載の
   ガス断路器。