JPH07245425A - 温度センサ及び温度計測装置 - Google Patents

温度センサ及び温度計測装置

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JPH07245425A
JPH07245425A JP6032683A JP3268394A JPH07245425A JP H07245425 A JPH07245425 A JP H07245425A JP 6032683 A JP6032683 A JP 6032683A JP 3268394 A JP3268394 A JP 3268394A JP H07245425 A JPH07245425 A JP H07245425A
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JP
Japan
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modulation type
thermocouple
temperature
metal
type thermocouple
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Application number
JP6032683A
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English (en)
Inventor
Zenemon Abe
善右衛門 阿部
Katsuhiko Ito
勝彦 伊藤
Atsuaki Shibuya
敦章 渋谷
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Original Assignee
Semiconductor Research Foundation
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誤差が極めて少なく微小温度計測用として好
適の変調型熱電対列温度センサを提供する。 【構成】 本発明の変調型熱電対列温度センサ20は、
ペルチェ効果に基づく吸発熱量に基づき絶対温度に比例
する温度変化が生じる接合面21,22を有する異種金
属からなる変調型熱電対列であり、この変調型熱電対列
の接合面の温度変化をゼーベック効果による熱起電力変
化として加算して検出するようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の材料、装置、生
体、さらには環境等の測定対象の温度を計測する変調型
熱電対列温度センサ及び温度計測装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の温度センサとしては、通常の熱
電対、抵抗温度計、トランジスタ温度計等が広く利用さ
れている。しかし、これらの温度センサの場合、周囲の
温度変化を考慮すると摂氏0.1度程度の誤差は免れ
ず、測定対象の絶対温度を計測することは実用的立場か
ら考えて容易ではない。また、微小温度変化を測定する
ためには、例えば熱電対による計測の場合、その計測回
路として変調型直流増幅器を用いる必要があり、この場
合には増幅器の温度ドリフトは改善されるものの高価格
となりかつ軽量小型化が困難であるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
鑑みてなされたものであり、誤差が極めて少なく微小温
度計測用として好適な変調型熱電対列温度センサを提供
することを目的としている。
【0004】また、本発明は、絶対温度の計測、基準温
度と絶対温度との差の計測を高感度に行うことができる
温度計測装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の変調型熱
電対列温度センサは、ペルチェ効果に基づく吸発熱量に
基づき絶対温度に比例する温度変化が生じる接合面を有
する異種金属からなる変調型熱電対を具備し、この変調
型熱電対の接合面の温度変化をゼーベック効果による熱
起電力変化として検出するようにしたものである。
【0006】請求項2記載の変調型熱電対列温度センサ
は、金属製又は半導体製の加熱槽又は冷却槽の一部又は
その加熱物又は冷却物の一部を、変調型熱電対の一方の
素子として用いる構成としたものである。
【0007】請求項3及び請求項4に記載の温度検出装
置は、ペルチェ効果に基づく吸発熱量に基づき絶対温度
に比例する温度変化が生じる接合面を有する異種金属か
らなる変調型熱電対又は変調型熱電対列と、この変調型
熱電対又は熱電対列に搬送波電流又は直流電圧を供給す
る電源と、前記変調型熱電対又は熱電対列の接合面の温
度変化をゼーベック効果による熱起電力変化として検出
するとともに、検出した変調型熱電対又は熱電対列の出
力電圧と前記搬送波電流又は直流電圧との差を求める検
出処理手段と、この検出処理手段により求めた差を測定
対象の絶対温度と基準温度との偏差として指示する指示
手段とを具備するものである。
【0008】請求項5記載の温度検出装置は、変調型熱
電対又は熱電対列と、この変調型熱電対又は熱電対列に
正弦波の搬送波電流を供給して駆動する電源と、この電
源からの搬送波電流の直角成分により駆動され、抵抗電
圧降下及びこれに基づく漏洩若しくは誘導雑音を除去し
て検出出力を得る位相鋭感回路とを具備している。
【0009】さらに、請求項6記載の温度検出装置は、
変調型熱電対又は熱電対列と、この変調型熱電対又は熱
電対列に正負両極性をもつパルス波の搬送波電流を供給
して駆動する電源と、この電源からの搬送波電流のパル
ス波の立ち下がり時点よりも遅れた時点で変調型熱電対
又は熱電対列の熱起電力を検出する検出回路とを具備す
るものである。
【0010】
【作用】以下、上記各発明の作用を説明する。請求項1
記載の変調型熱電対列温度センサによれば、変調型熱電
対列の接合面におけるペルチェ効果に基づく吸発熱量に
応じた絶対温度に比例する温度変化を、ゼーベック効果
による熱起電力変化として加算して検出するようにした
ものであるから、熱電対そのものの物性を利用して接合
面、即ち、測定対象の絶対温度を簡易かつ高精度に検出
することができる。
【0011】請求項2記載の変調型熱電対列温度センサ
によれば、金属製又は半導体製の加熱槽又は冷却槽の一
部又はその加熱物又は冷却物の一部を、変調型熱電対列
の一方の素子として用いるので、加熱槽又は冷却槽に熱
電対を挿入する場合に比べ、応答速度の迅速化及び感度
の向上を図ることができる。
【0012】請求項3及び請求項4に記載の温度検出装
置によれば、ペルチェ効果に基づく吸発熱量に基づき絶
対温度に比例する温度変化が生じる接合面を有する異種
金属からなる変調型熱電対又は熱電対列に対して、電源
から搬送波電流又は直流電圧を供給することで、検出処
理手段が前記接合面の温度変化をゼーベック効果による
熱起電力変化として検出し、検出した変調型熱電対又は
熱電対列の出力電圧と前記搬送波電流又は直流電圧との
差を求め、指示手段が検出処理手段により求めた差を測
定対象の絶対温度と基準温度との偏差として指示するの
で、絶対温度の計測、基準温度と絶対温度との差の計測
を高感度に行うことができる。
【0013】請求項5記載の温度検出装置によれば、変
調型熱電対又は熱電対列に電源から正弦波の搬送波電流
を供給することで、この電源からの搬送波電流の直角成
分により駆動され位相鋭感回路が抵抗電圧降下及びこれ
に基づく漏洩若しくは誘導雑音を除去して検出出力を送
出するので、測定対象の絶対温度を簡易かつ高精度に測
定することができる。
【0014】請求項6記載の温度検出装置によれば、変
調型熱電対又は熱電対列に電源からパルス波の搬送波電
流を供給して駆動することで、検出回路が電源からの搬
送波電流のパルス波の立ち下がり時点よりも遅れた時点
で変調型熱電対又は熱電対列の熱起電力を検出するの
で、パルスの直接入力による誤差を除いて測定対象の絶
対温度を簡易かつ高感度に測定することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。図1は本実施例の温度センサ1の動作原理
を示すものであり、温度センサ1は金属A、金属Bから
なる熱電対3を具備している。金属A、金属Bは接合面
Cで接合しており、また、接合面Cは測定対象に密着し
ていて、その絶対温度をT0とする。
【0016】金属A、金属Bには抵抗rt 、抵抗Rを介
して交流電源4が接続され、この交流電源4から交流電
圧vc が供給され、搬送波電流(交流電流)ic が流れ
るようになっている。抵抗rt と抵抗Rとの接続点と、
金属Aとの間の電圧(熱起電力)をvabとして以下の説
明を行う。
【0017】このような構成において、金属A、金属B
の接合面Cに交流電流ic が流れると、接合面Cにはペ
ルチェ効果による吸発熱が生じ、それに応じて温度が変
化する。そして、ゼーベック効果による熱起電力vT
生じる。さらに、ic がrtに流れるため、電圧降下v
r = ic t 及びそのジュール熱による影響が接合面C
に及ぶために、そのゼーベック効果による熱起電力vj
も生じる。
【0018】金属、半導体による熱電対の場合には、半
導体内の温度勾配によるキャリア移動によって起電力を
生じる。ここでは便宜上、これらの現象をゼーベック効
果と称する。
【0019】尚、図1中、a、bは熱電対出力vabを取
り出すための出力端子である。便宜上、出力端子a、b
に接続される増幅器の入力抵抗は無限大とする。従っ
て、数1が成立する。
【0020】
【数1】
【0021】前記vr の発生は当然として、前記熱起電
力vj は搬送波電流ic が抵抗rtを流れて発生するジ
ュール熱が接合面Cに及ぶための誤差電圧であるが、こ
れは電流の2乗に比例する。故に、搬送波電流ic を正
弦波とすれば、そのゼーベック効果による熱起電力vj
は、搬送波の2倍の周波数と直流成分からなるので、基
本周波数からなるペルチェ効果による熱起電力vT とは
容易に識別できる。しかし、ジュール熱による熱電対3
の抵抗変化や電圧vr は誤差の原因となるが、その誤差
対策は後述する。ここでは、まずペルチェ効果による熱
起電力vT を主対象に、本発明の動作原理を説明する。
【0022】図2に金属Aと金属Bの接合面Cを中心と
する温度分布を示す。図2において、ic は接合面を流
れる搬送波電流、LA 、LB はそれぞれの金属A、Bで
ペルチェ効果による吸発熱によって温度変化ΔTが生じ
る範囲で、これより外側は一定の絶対温度T0 とし、周
囲への放熱はないものと仮定する。即ち、この場合はジ
ュール熱を省略し、ΔTは吸発熱が繰り返されるために
平均的には零で、かつ接合面Cの温度も(T0 +ΔT)
に等しいとみなした。従って、接合面Cに与えられるペ
ルチェ効果による吸発熱量qは、数2で与えられる。
【0023】
【数2】
【0024】この接合部近傍LA とLB の熱容量をγA
とγB 、それぞれの熱コンダクタンスをJA とJB
し、簡単のためここでは、LA =LB =l/2、JA
B =J/2、γA =γB =γ/2として、ペルチェ効
果による熱方程式を求めると、数3、数4で与えられ
る。
【0025】
【数3】
【0026】
【数4】
【0027】数3又は数4の一般解は、なかなか収れん
しないので、数値解析に頼らざるを得ない。しかし、ジ
ュール熱によって生じる第2高調波などによる誤差を除
くために、本発明で対象とする信号周波数をその基本周
波数に限定すると、α・Im・sinωtとΔTの積の
項は第2高調波が主体となっているので、基本波検出の
場合はこれもまた除くことになる。故に、数5を仮定し
た数4を解いて、本法の動作方程式とする。
【0028】
【数5】
【0029】従って数4と数5から数6で示す解が求め
られる。
【0030】
【数6】
【0031】故に、ΔTに関する数6の正弦波からなる
第1項の周波数特性を図3に示す。また、この数6中の
定常項の正弦波をsinωtとcosωtに分けて、t
anθ=ω・τを用いると、熱起電力vT の定常項は数
7となる。
【0032】
【数7】
【0033】数7より搬送波電流ic と同相のsinω
t成分と、直角成分であるcosωt成分に分離した計
測結果を図4に示す。この図4から明らかなように数8
で示される遮断周波数fc において直角成分は最大値を
とり、その値は遮断周波数f c における同相成分の値と
等しくK/2であることが分かる。
【0034】
【数8】
【0035】また感度係数Kは、ゼーベック係数αの2
乗と電流密度i0 との積に比例するので、これらの大き
な材料および構造を選定する。なお、直角成分検出法
は、差動出力中の電圧降下分vr の不平衡分だけでな
く、搬送波電流の接合面Cを介する漏洩電流などの雑音
対策としても有効である。以上は本発明の温度センサ1
の動作原理であるが、これを温度計測に利用しようとす
ると、数1に示した熱起電力vT とvj を充分軽減する
ことに考慮する必要がある。
【0036】次に、熱起電力vT 、vj の軽減を考慮し
た温度計測回路について説明する。まず、搬送波電流に
よる電圧降下分vr をブリッジの平衡によって除き、熱
起電力vT はその不平衡成分として出力させることであ
る。このための2つの回路を図5と図6に示す。
【0037】図5は和動型ブリッジ回路であるが、この
和動型ブリッジ回路は例えば入力側で数9の平衡条件を
満足させると、和動型ブリッジ回路の出力v0 は数7に
示したvT に比例する。
【0038】
【数9】
【0039】ここに、rt は熱電対3の抵抗、R0 は差
動用抵抗であり、また、図5において、抵抗R1 =抵抗
2 で、Rsは入力抵抗、RF は帰還抵抗、5は増幅器
である。なお、この和動型ブリッジ回路においては、R
1 >>rt 及びR2 >>R0を満足し、かつ発振器(交
流電源4)の出力側を接地より浮かすことが必要にな
る。
【0040】図6に示す差動型ブリッジ回路は抵抗
1 、R2 、R3 と熱電対3の抵抗rtでブリッジを構
成し、その出力は差動増幅器6によって増幅するので、
発振器(交流電源4)と差動増幅器6はともに接地でき
るが、その実効同相除去比(CMRR)を充分大きくす
る必要がある。この差動増幅回路のブリッジ出力は数1
0となる。
【0041】
【数10】
【0042】但し、増幅器の入力抵抗は充分大とする。
【0043】上述した2回路はともに温度センサ1のv
r を除くための差動回路である。このような和動型ブリ
ッジ回路、差動型ブリッジ回路の誤差対策では、各辺抵
抗が周囲温度変化によって、抵抗温度係数による誤差の
影響を受けやすいためその対策として以下の方法が考え
られる。
【0044】第1法は、図7に示す結合型熱電対10に
より達成できる。この結合型熱電対10の金属Aと金属
Bの2種で構成される2組の熱電対11、12が接触抵
抗rcを介して接続されており、従って、搬送波電流i
c と接触抵抗rc との積からなる電圧降下が誤差出力と
なる。しかし、この接触抵抗r0 は容易にmΩ以下にで
きるから、この方法はブリッジ辺の電圧降下と比較して
数桁改善できるばかりでなく、ブリッジの平衡をとる必
要がない点で有利な誤差対策である。
【0045】第2法は、熱電対の電圧降分vr がブリッ
ジの不平衡成分として残留してΔv r を出力する場合、
これは搬送波電流ic と同相であり、これを除き直角成
分である数7のcosωt成分を検出することである。
その回路は図8に示すように、増幅器15の出力側に位
相鋭感回路16を接続し、発信器17の出力を移相回路
(位相角=π/2)18を経て位相鋭感回路16に供給
するようにしたものである。
【0046】第3法である誤差対策としてのパルス駆動
法が図9に示されている。図9中のic はパルス電流で
あり、網掛け表示の波形がパルス電流ic による熱起電
力v T である。この場合、図9に示したパルス電流ic
の消失後の検出時間において熱起電力vT を検出すれ
ば、パルス電流ic の影響を受けずに信号成分を得るこ
とができる。
【0047】しかし実際には、パルス電流ic によるジ
ュール熱による熱起電力も生じるが、これは正と負の両
極性のもつパルス電流ic を用いると、正弦波を用いた
場合と同様にその熱起電力vT は2倍又はそれ以上の周
波数又は直流分となるので、基本波成分からは容易に分
離することが可能である。
【0048】この方法では、パルス波の存在中に増幅器
を飽和させないように入力側を短絡する等の工夫を要す
るが、短時間パルスの電力は極めて小さくできるので、
ペルチェ係数があまり小さくならないほぼ線形領域の範
囲において極めて大きな電流密度i0 のパルス電流ic
を、熱電対線の溶断等の危険性なく流せる。したがっ
て、数7の感度係数Kに見られるように後述する高感度
化策としても有効な手法である。
【0049】先に求めた熱起電力vT は絶対温度Tにお
けるものであるから、与えられた基準温度Tr からの偏
差(T−Tr )の測定法を次に説明する。この場合、数
7の右辺の同相成分及び直角成分は、交流理論的に表現
すると数11で表せる。
【0050】
【数11】
【0051】故に、例えば図6において数10に示すよ
うにR1 =R2 、R3 =rt の場合、R3 に直列にイン
ピーダンスZr =k/(1+jωτ)を挿入し、このブ
リッジを基準温度Tr においてバランスさせればよい。
T≠Tr の場合のブリッジの不平衡電圧が(T−Tr )
に比例するからである。この場合、インピーダンスZr
と等価的なことを行わせるには、例えばR3 やR2 に並
列キャパシタを挿入する等して、T=Tr における熱起
電力vT の位相を補償してT=Tr でブリッジバランス
を行わせるのも一案である。
【0052】また、インピーダンスZr 等を用いずにT
=Tr でブリッジのアンバランス電圧Δvr を出力さ
せ、これを発振器出力またはその一部である搬送波電流
c を利用して、その電圧に適当な位相をもたせて、絶
対温度T=基準温度Tr における前記ブリッジバランス
電圧との差をとり、その合成出力を零とする手法も考え
られる。
【0053】これらのブリッジ出力の検出には、当然図
8に示すような回路(ロックインアンプ)を用いること
になるが、その直流出力を別に設けた直流電圧との差を
とり、これを絶対温度T=基準温度Tr で零とすること
によって基準温度Tと絶対温度Tr との差を検出するこ
ともできる。
【0054】前記ロックインアンプの回路構成例を図8
に示したが、この場合の移相回路18は、増幅器15の
出力の位相に合致した位相鋭感回路(PSD)16のオ
ン、オフを繰り返させ、感度最大を図るのが普通であ
る。また、本実施例の場合、以下の1種の使い方も効果
的である。
【0055】図8におけるΔvT とvT は、それぞれブ
リッジの不平衡電圧で、不平衡電圧vT は搬送波電流i
c と同相成分と直角成分を含むものとする。また、簡単
のために、前記インピーダンスZr 等を用いない抵抗と
変調型熱電対だけからなるブリッジ回路を取り扱うもの
とする。いま、この移相回路18を調整して、同相成分
だけを出力するものとすると、直角成分は出力されない
ので、抵抗(R3 等)を調整することによって絶対温度
T=基準温度Tr で出力を零にできる。
【0056】それ故、絶対温度T=基準温度Tr におけ
る出力は、その差に比例したものとなるが、この中には
抵抗(rt やR3 )内の周囲温度変化等による誤差を含
みがちであるが、簡単に基準温度Tと熱電対接合面Cの
絶対温度Tr との差を取り出せる。
【0057】次に移相回路18を調整して、数7の直角
成分だけを取り出す。この場合、その絶対温度Tに比例
した直流電圧を得ることができる。故に、これを絶対温
度T=基準温度Tr において出力零とするためには、直
流電圧を用いてその出力を打ち消せばよい。さらに、も
う1つ簡便法として次の方法がある。これは移相回路1
8の調整を直角成分検出の場合よりやや位相をずらし
て、同相成分も出力するように調整することにより行
う。この場合、図8に示す増幅器15の出力を図10に
示す。
【0058】そして、絶対温度T=基準温度Tr におけ
るこのブリッジ不平衡成分に直角となるように移相回路
18を調整し、出力を零とするのである。この方法は、
補償用直流電圧を要することなく簡単に抵抗(R3 等)
の微小変化の調整だけでブリッジを平衡できる利点があ
る。前記同相成分及びここで述べた直角成分主体の基準
温度等価回路は、簡易さにその特徴がある。しかし、抵
抗(R3 等)の変化による誤差を伴いがちなのは、止む
を得ない点であり、この点インピーダンスZr又はそれ
と等価な位相調整法が高精度温度測定用として優れてい
ることは明らかである。
【0059】なお本方法の感度は、その搬送波電流に比
例するが、その変化に無関係に基準温度等価回路の前記
条件が成立できるのも、この方法の特徴である。
【0060】さて、金属系熱電対を用いた結果による
と、そのゼーベック係数が低いために普通の熱電対感度
に対して上述した方法の感度が2桁程度低い。本実施例
では変調型回路を採用しているから、その利点を生かす
と普通の熱電対+アナログICの直結型回路に比較し、
そのドリフトレベルは2桁程度有利となる。結局、両者
は同程度の性能となる。
【0061】本実施例の変調型回路の高感度対策として
は、以下のものがある。一つは、前記したパルス電流を
搬送波として用い、搬送波電流が感度に比例することを
利用して感度を高める。二つめは、例えばSiなどの半
導体を熱電対の一方の素子として用いる。この場合に
は、ゼーベック係数αが金属系に比してほぼ1桁高く、
これにより感度はゼーベック係数αの2乗に比例するの
で、ほぼ2桁の感度上昇が見込める。
【0062】三つめは、次に述べる変調型熱電対列法で
ある。変調型熱電対列20の構成例を図11に示す。図
11の矢印の方向に搬送波電流ic が流れるとした場
合、このとき、接合面21(金属A→金属B)において
は、ペルチェ発熱が行われて、熱起電力vT1 が図示し
た方向に生じる。このとき同時に、接合面22(金属B
→金属A)では、ペルチェ吸熱が行われてここに生じる
熱起電力vT2 は同様に図示した矢印の極性となり、熱
起電力vT1 と同極性となる。
【0063】その理由は、前記接合面21と接合面22
では発生する熱の発熱、吸熱が逆となり、金属A、Bの
組み合わせも逆であるから、結局は熱起電力vT1 と熱
起電力vT2 は同極性となって加算される。このように
熱起電力vT1 と熱起電力vT2 が加算されることは、そ
れぞれの極性には無関係であることを意味し、この場合
の感度は1個の熱電対の2倍となる。
【0064】図11の変調型熱電対列20の応用とし
て、後述の多重化構造および坩堝30等の加熱槽31と
熱電対列32との一体化構造がある。この一体化構造の
例を図12に示す。図12から明らかなように、坩堝3
0自体を例えばニッケル、鉄、黒鉛等の金属Aとし、一
対の取り出しリード線33、34を金属Bにより形成す
る。これら両金属A、Bは密着しているので、外部より
加熱槽31に熱電対を挿入する場合に比べて、その応答
速度を速くできるばかりでなく、さらに機械的振動によ
る雑音を低下し、その上で2倍の感度を持たせることが
できる。金属AとしてはSiやSiCのような半導体を
用いることも可能である。
【0065】また加熱される物質が、金属や半導体のよ
うな熱電対材料になり得るものであれば、これを金属A
として用い、その内部に直接金属Bを挿入して熱電対列
を構成することも可能である。以上は加熱体を対象とし
て述べたが、これは冷却体についても同様に成立するこ
とである。
【0066】なお、図12に示す構造は、前記リード線
33、34を、銅又はブリッジ内の他の素子と同種材料
等で形成することで、ブリッジ内素子の接続面における
誤差熱起電力の低下に役立つ。
【0067】次に図13を参照して変調型熱電対列40
の多重化構造を説明する。図13に示すように両金属
A、Bの接合面の数をNとすれば、総合的な熱起電力v
Trは数12に示すように、1個当たりの感度vT0のN倍
となる。
【0068】
【数12】
【0069】図13に示す多重化構造は、蒸着や鍍金な
どによって多層構造にすることができるので、簡単かつ
微細化可能な変調型熱電対列40を容易に製作できる利
点がある。普通の熱電対列の場合は接合面がN個であれ
ば、その出力電圧は数13で与えられる。なお、変調型
熱電対も熱電対列も、それぞれ温度センサの出力特性は
等価である。したがって、温度計測回路も同様に取り扱
ってよいことは明らかである。
【0070】
【数13】
【0071】故に、普通の熱電対列の感度は、接合面の
総数のほぼ1/2となり、さらに一方の接合面群を測定
温度に、他の接合面群を基準温度に設定する必要があ
り、そのために両群をある程度遠ざけて一群の接合面に
は共通の基準温度を与える必要がある。この結果、セン
サ部に微細構造をもたせ得ないという欠点をもつ。
【0072】これに対して、変調型の場合には全ての接
合面を測定温度に設定すればよく、微細化技術による超
多重接合面による高感度化が小型構造で実現できる。
【0073】ところで、図2に示すLまでの接近は差し
支えないが、それ以内になると両端にある接合面の一方
の発熱と他方の吸熱が打ち消し合い、その中央部には接
合面における吸発熱と無関係な層が出現する。そのため
に強制的に熱コンダクタンスが下がるので、1個当たり
の素子としては低感度化してしまう。しかし、代わりに
熱時定数が小さくなる利点も出てくる。従って、接合面
数のN倍の増加と、1個当たりの低感度化の比をMとす
ると、総合感度は(N/M)vT0となる。
【0074】また、この変調型熱電対列40の構造は、
例えばSi基板表面をSiO2 で覆ってその基板と絶縁
し、そのSiO2 の表面にSiを蒸着し、蒸着したSi
を微小矩形状にホトエッチングする。さらに、熱電対列
40の他方の素材でこれらの矩形状のSiを接続する
と、広い面積をもつ熱電対列40を製造できる。
【0075】これは遠赤外線のように焦点の結び難い信
号を取り出す場合に好適である。なお、この時Si基板
よりホトエッチングによる孔開けでSiO2 表面の前記
素子と接続したリード線を取り出せば、広い熱電対列4
0の各部の信号を取り出すことも可能となるし、逆に、
前記孔を通じてSiO2 表面上の矩形状Si片間を熱電
対線材で接続することもできる。
【0076】次に、図14、図15を参照し、結合型構
成による変調型熱電対列50について説明する。図14
は入力側層51、図15は出力側層52を示すものであ
り、入力側層51には、金属Bによる薄板又は適当な絶
縁板上に設けた金属Bの薄膜の上に、電気的に金属Aか
らなる矩形状薄板を設けた構造となっている。
【0077】この入力側層51に搬送波電流ic を流す
と、一方の金属Aと金属Bとの接合面に吸熱が生じれ
ば、他方の金属Aと金属Bとの接合面に発熱が生じ、こ
の状態が搬送波電流ic の極性反転によって交互に生じ
る。
【0078】このような図14に示す熱電対面上をSi
2 等の絶縁膜で覆い、その上に図15に示すように短
冊状又は線状の金属Cと金属Dとからなる出力側層52
としての熱電対を構成する。この場合、金属C、金属D
の両金属の接合面は各々前記金属Aの上に位置するよう
に配置する。これにより、図11に示す場合のように、
金属C、金属Dの接合面間の電圧は各々加算されて出力
される。
【0079】具体的な金属の組み合せ例は、金属AをA
l 、金属BをSi 基板とする。そして、Si O2 又はA
2 3 の絶縁膜で覆う。また、金属C、金属DはSi
とAlとするか、他の熱電対の材料を使用することもで
きる。
【0080】この実施例の温度計測装置は、普通の熱電
対又は熱電対列と変調型直流増幅器より構成される微小
温度計測回路よりも、一層低雑音化できるが、その理由
を以下に述べる。
【0081】このような目的の微小温度計測法では、変
調器と増幅器を結合する場合に、入力トランスを設けて
増幅器のS/Nを改善するのが普通であるが、その場合
の入力トランスの入力側抵抗を考慮すると、本実施例の
場合には熱電対抵抗が該当するのに対して、普通の場合
は変調器の出力側抵抗が該当する。この出力側抵抗は熱
電対抵抗よりも大幅に大きい値となる。従って、本実施
例の温度計測装置の入力トランスの設計条件は容易で、
低雑音化しやすいのである。
【0082】尚、超低温における温度計測に当たって
は、熱電対抵抗は常温に比して一層低いので上述した利
点を生かしやすいばかりでなく、本実施例の温度計測装
置は絶対温度計測を行うので、基準温度を要しない点も
有利な点といえる。この場合、ジュール熱が問題になる
とすれば、それを補償する極性で例えば直流電流を流す
のもよく、場合によっては、搬送波電流を整流してこれ
により接合面のジュール熱を吸熱するようにしてもよ
い。
【0083】本発明は上述した実施例の他、その要旨の
範囲内で種々の変形が可能であることは容易に理解でき
るはずである。
【0084】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、以下の効
果を奏する。請求項1に記載の発明によれば、熱電対そ
のものの物性を利用して接合面、即ち、測定対象の絶対
温度を簡易かつ高精度に検出でき変調型熱電対列温度セ
ンサを提供することができる。
【0085】請求項2記載の発明によれば、加熱槽又は
冷却槽に熱電対を挿入する場合に比べ、応答速度の迅速
化及び信号対雑音比の向上を図ることができる変調型熱
電対列温度センサを提供することができる。
【0086】請求項3及び請求項4に記載の発明によれ
ば、絶対温度の計測、基準温度と絶対温度との差の計測
を高感度に行うことができる温度検出装置を提供するこ
とができる。
【0087】請求項5記載の発明によれば、測定対象の
絶対温度を簡易かつ高精度に測定できる温度検出装置を
提供することができる。
【0088】請求項6記載の発明によれば、電源からパ
ルス波の搬送波電流を利用して測定対象の絶対温度を簡
易かつ高感度に測定できる温度検出装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱電対に搬送波電流を供給する回路を示す回路
図である。
【図2】熱電対の動作方程式を導くための接合面近傍の
温度分布のモデルを示す説明図である。
【図3】変調型熱電対接合面の温度変化の周波数特性を
示すグラフである。
【図4】熱起電力の搬送波電流との同相および直角成分
の周波数特性を示すグラフである。
【図5】本実施例の温度計測装置の和動増幅器による構
成例を示す回路図である。
【図6】本実施例の温度計測装置の差動増幅器による構
成例を示す回路図である。
【図7】本実施例の2熱電対を用いた結合型回路を示す
回路図である。
【図8】本実施例の位相鋭感回路を用いた温度計測装置
を示す回路図である。
【図9】パルス状の搬送波電流を用いた熱起電力の検出
タイミングを示す説明図である。
【図10】ブリッジの不平衡成分を、直角成分と同相成
分に分離し、これらを利用して基準温度と等価な電圧源
を得るための説明図である。
【図11】変調型熱電対列の動作原理を説明するための
構造図である。
【図12】変調型熱電対列の構成例の他例を示す断面図
である。
【図13】変調型多層化熱電対列の構成例を示す正面図
である。
【図14】結合型構成の変調型熱電対列の構成例を示す
平面図である。
【図15】結合型構成の変調型熱電対列の構成例を示す
平面図である。
【符号の説明】 1 温度センサ 3 熱電対 4 交流電源 16 位相鋭感回路 17 発振器 18 移相回路 20 変調型熱電対列 A 金属 B 金属

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変調型熱電対において、第1の金属と第
    2の金属がペルチェ効果に基づく吸発熱量に基づき絶対
    温度に比例する温度変化を生じる第1の接合面と、この
    第2の金属の他端に第1の金属と同種の第3の金属とを
    接合した第2の接合面を有して変調型熱電対列を形成
    し、これら接合面の温度変化をゼーベック効果による熱
    起電力変化として加算して検出するようにしたことを特
    徴とする変調型熱電対列温度センサ。
  2. 【請求項2】 金属製又は半導体製の加熱槽又は冷却槽
    の一部又はその加熱物又は冷却物の一部を、変調型熱電
    対列の一方の素子として用いることを特徴とする請求項
    1記載の変調型熱電対列温度センサ。
  3. 【請求項3】 ペルチェ効果に基づく吸発熱量に基づき
    絶対温度に比例する温度変化が生じる接合面を有する異
    種金属からなる変調型熱電対と、該変調型熱電対に搬送
    波電流又は直流電圧を供給する電源と、前記変調型熱電
    対の接合面の温度変化をゼーベック効果による熱起電力
    変化として検出するとともに、検出した変調型熱電対の
    出力電圧と前記搬送波電流又は直流電圧との差を求める
    検出処理手段と、該検出処理手段により求めた差を測定
    対象の絶対温度と基準温度との偏差として指示する指示
    手段とを具備することを特徴とする温度計測装置。
  4. 【請求項4】 請求項3の温度計測装置において、変調
    型熱電対を変調型熱電対列としたことを特徴とする温度
    計測装置。
  5. 【請求項5】 変調型熱電対又は熱電対列と、この変調
    型熱電対又は熱電対列に正弦波の搬送波電流を供給して
    駆動する電源と、この電源からの搬送波電流の直角成分
    により駆動され、抵抗電圧降下及びこれに基づく漏洩雑
    音を除去して検出出力を得る位相鋭感回路とを具備する
    ことを特徴とする温度計測装置。
  6. 【請求項6】 変調型熱電対又は熱電対列と、この変調
    型熱電対又は熱電対列に正負両極性をもつパルス波の搬
    送波電流を供給して駆動する電源と、この電源からの搬
    送波電流のパルス波の立ち下がり時点よりも遅れた時点
    で変調型熱電対又は熱電対列の熱起電力を検出する検出
    回路とを具備することを特徴とする温度計測装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002097385A1 (en) * 2001-05-30 2002-12-05 Thermometric Ab Absolute temperature measuring apparatus and method
US6994467B2 (en) 2001-05-30 2006-02-07 Thermometric Ab Absolute temperature measuring apparatus and method

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