JPH07242756A - 孔を有するfrpおよびその製造方法 - Google Patents

孔を有するfrpおよびその製造方法

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JPH07242756A
JPH07242756A JP6059827A JP5982794A JPH07242756A JP H07242756 A JPH07242756 A JP H07242756A JP 6059827 A JP6059827 A JP 6059827A JP 5982794 A JP5982794 A JP 5982794A JP H07242756 A JPH07242756 A JP H07242756A
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JP
Japan
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yarn
fabric
reinforcing
frp
woven
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JP6059827A
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English (en)
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Ikuo Horibe
郁夫 堀部
Kiyoshi Honma
清 本間
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強化繊維が切断されることなく、使用する強
化繊維の特性をあますことなく利用でき、外力が作用し
た場合の孔周りの応力分散がよく、かつ、孔周り部の厚
みの増加が小さく、反りの発生の心配のない、孔を有す
るFRPおよびその製造方法を提供する。 【構成】 補強織物と樹脂とを含む孔を有するFRPで
あって、補強織物は、扁平で実質的に撚りがない強化繊
維マルチフィラメント糸2、3を織糸としており、強化
繊維マルチフィラメント糸2、3が孔4の周囲に目ずれ
していることを特徴とする、孔を有するFRPおよびそ
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、航空機や車両の外板な
どの構造体においてボルトやリベットなどにより接続す
る必要のある部材などに使用する、孔を有するFRPお
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、FRP、とくにCFRP(炭素繊
維強化プラスチック)は比強度、比弾性率が大きいこと
から航空機や車両の外板などの構造体に使用されてきて
いる。これらの構造体は、通常、一体物ではなく、FR
P部材に多数の孔を開け、ボルトやリベットで接続して
いる。この接続用の孔部には引張又は圧縮などの荷重及
びボルトの締め付けによる面圧荷重が加えられ、これら
の応力集中により複雑な力を受けるため、孔をどのよう
な構造にするかが重要になってくる。
【0003】従来、このような、孔開きの部材を作製す
る場合には、FRPに成形後、ドリルなどの工具を用い
て孔を開けているため、孔開き部で強化繊維が切断され
てしまい、強化繊維による補強効果が低減されること
や、加工時のドリルの接触により織物と織物の層間に剥
離が発生し、外力が作用した場合の応力集中により孔近
辺で破壊が起こりやすいという問題がある。
【0004】そこで、この問題を改善すべく、COMP
OSITE,VOLUME18,NO3,JULY,1
987,233−241頁 ( Notched strength of wo
venfabric composites with moulded-in holes ) に
は、織物プリプレグを積層した後、ポンチを用いて徐々
に円形の孔を開けた後、ピンを孔に挿入し、樹脂を硬化
させる方法が記載されている。この方法においては、プ
リプレグの状態で、織物の織糸を目ずれさせているので
幾分か繊維の切断があってもすべての繊維が切断される
ことがないため、ドリルを用いて孔を開ける場合に比
べ、補強効果が大きい。
【0005】しかしながら、この方法に用いられている
織物は綾組織や8枚朱子組織のため織糸の交錯点数が少
なく、外力が作用した場合の孔周りの応力分散がよくな
いことや織物そのものが表裏対称でないためFRPにし
た場合に反りが発生する問題がある。さらに、製造方法
においても、プリプレグの状態で上記のような織組織の
織糸を目ずれさせるには抵抗が大きく、無理に目ずれさ
せようとすると繊維が切断するおそれがあることや織物
を目ずれさせた時に孔周り部のみの厚みが集中して大き
くなるなどの問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のFRPの上述した問題点を解決し、繊維が切断される
ことなく、使用する強化繊維の特性をあますことなく利
用でき、外力が作用した場合の孔周りの応力分散がよ
く、かつ、孔周り部の厚みの増加が小さく、しかも反り
の発生の心配のない、孔を有するFRPおよびその製造
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の孔を有するFRPは、補強織物と樹脂とを
含む孔を有するFRPであって、前記補強織物は、扁平
で実質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を
織糸としており、前記強化繊維マルチフィラメント糸が
孔の周囲に目ずれしていることを特徴とするものからな
る。
【0008】本発明においては、扁平で実質的に撚りが
ない強化繊維マルチフィラメント糸を織糸とする補強織
物が使用される。扁平な強化繊維マルチフィラメント糸
であるため円錐状の治具で孔が開けられる際、強化繊維
マルチフィラメント糸は容易に局部的に孔周囲を囲むよ
うに目ずれし、強化繊維が切断されにくい。また、強化
繊維マルチフィラメント糸は扁平で元々厚みが薄いた
め、上記のように孔周囲に目ずれ変形しても、その部分
の厚みの増加は極めて小さく抑えられる。したがって、
孔周りにおいても切断されていない強化繊維がそのまま
存在するため強化繊維含有に基づく目標強度が確保さ
れ、かつ孔周囲部においても切断されていない強化繊維
を密に分布させることができるから応力の分散度も良好
で局部的な応力集中も小さく抑えられる。しかも、孔周
囲部の厚みの増加が小さく抑えられるから、反りの問題
や成形品の寸法変化も問題のない程度に小さく抑えられ
る。
【0009】また、上記強化繊維マルチフィラメント糸
からなる織糸は実質的に撚りがないものである。ここで
「実質的に撚りがない」とは、糸長1m当たりに1ター
ン以上の撚りがない状態をいう。つまり、現実的に無撚
の状態をいう。撚りがあると、その部分で繊維束が収束
しているため孔を形成するために織物の織糸を目ずれさ
せようと外力を加えた時に繊維が切断するおそれがある
ため、撚りのないことが必要である。
【0010】また、孔以外の部位についても、織糸に撚
りがあると、その撚りがある部分で糸幅が狭く収束して
分厚くなり、製織された織物の表面に凹凸が発生する。
このため、製織された織物は、外力が作用した際にその
撚り部分に応力が集中し、FRP等に成形した場合に強
度特性が不均一となってしまう。
【0011】上記補強織物の強化繊維マルチフィラメン
ト糸の糸厚み、糸幅、糸幅/糸厚み比については、 (イ)織物の織糸を目ずれさせやすいようにする、(孔
を形成するためには織糸幅を部分的に狭くしなければな
らない、この点、糸の繊度や糸幅が大きく扁平状態のも
のほど変形させやすい。) (ロ)目ずれの後の孔周りの厚みの増加をできるだけ小
さくする、(糸幅が大きく、扁平であれば、目ずれによ
る織物の厚みの増加分を広範囲に分散できるため局部的
に厚みが大きくならない。) (ハ)織物におけるたて糸とよこ糸の交錯部での織糸の
クリンプを小さくする、ことから、織糸を構成する強化
繊維マルチフィラメント糸は可能な限り繊度が大きく、
かつ、織糸は厚みの薄い扁平状態の糸が好ましく、糸幅
が4〜16mm、糸厚みが0.07〜0.4mm、糸幅
/糸厚み比が20以上、さらには20〜150の範囲が
よい。
【0012】すなわち、糸幅については、4mmより小
さいと、織糸のクリンプを小さくするためには、単糸
数、繊度が小さい糸を使用せざるを得ず、この結果とし
て、織物厚みが薄くなりすぎ、所望の厚みにするために
は補強材の積層枚数を増やす必要がある。また、糸幅が
16mmより大きくなると、織物における織糸の交錯間
隔が大きくなり、孔開き部を形成させやすくはなるが、
取り扱い時において織物の織糸が不必要に目ずれしやす
く、扱いにくくなる。このため、糸幅は4〜16mmが
好ましい。
【0013】また、糸厚みについては、糸厚みが0.0
7mmより小さいと織物の織糸を目ずれさせやすいもの
の、薄すぎるために、目ずれさせたときに簡単に切断し
てしまうことや織物にした場合に織物厚みが薄く、所望
の厚みのFRPにするためには補強材の積層枚数を増や
す必要がある。また、0.4mmを越えるとFRPに成
形する際のマトリクス樹脂の含浸性が悪く、樹脂中に多
数のボイドが発生してしまう。このため、糸厚みが0.
07〜0.4mmが好ましい。
【0014】さらに、糸幅/糸厚み比については、20
未満であると単糸数、繊度が小さい糸を使用せざるを得
ず、この結果として、織物にした場合に織物厚みが薄
く、織物の織糸を目ずれさせやすいものの、薄すぎるた
めに、目ずれさせたときに簡単に切断してしまうことや
織物を目ずれ変形させた時に孔周りのみが集中的に厚み
が大きくなってしまうことや、所望の厚みのFRPにす
るためには補強材の積層枚数を増やす必要がある。ま
た、糸幅/糸厚み比が150を越えると、織物における
織糸の交錯間隔が大きくなり、成形時などに織物そのも
のが取扱いにくくなる。このため、糸幅/糸厚み比は2
0〜150が好ましい。
【0015】また、強化繊維マルチフィラメント糸の単
糸径につていは、4〜40μmの範囲にあるのが好まし
い。4μm未満では、織物の織糸を目ずれさせやすいも
のの細いために、目ずれさせたときに簡単に切断してし
まう。また、40μmを越えると、剛直になって織物そ
のものを製織しにくくなるばかりか、目ずれさせにくく
なる。
【0016】強化繊維マルチフィラメント糸の単糸数に
ついては、織物は、通常、ほぼ円形断面に収束させた炭
素繊維を用いて織物にしているので、織物の状態におい
ては、たて糸とよこ糸が交錯する交錯部における炭素繊
維糸の断面が楕円形で織糸が大きくクリンプしている。
このため、単糸数が24,000本を越えると織物にお
ける織糸のクリンプが大きくなり、織物の織糸を目ずれ
させにくくなることやFRPやCFRPにした場合に高
強度特性が十分発揮できないことになる。また、単糸数
が3,000本未満であると糸が細いため織物の織糸の
目ずれ時に繊維が切断しやすいことや織物にした場合に
厚みが薄くなり、所望の厚みにするためには補強材の積
層枚数が増え、積層作業が煩雑になる上にFRPやCF
RPの弱点である層間を多く作ることになる。このた
め、単糸数は3,000〜24,000本が好ましい。
【0017】また強化繊維マルチフィラメント糸の繊度
については、単糸数の場合と同様に、糸繊度が30,0
00デニールを越えると織物における織糸のクリンプが
大きくなり、織物の織糸を目ずれさせにくくなること、
FRPやCFRPにした場合に高強度特性が十分発揮で
きないことになる。また、糸繊度が1,500デニール
未満であれば、糸が細いため織物の織糸の目ずれ時に繊
維が切断しやすいことや織物にした場合に厚みが薄くな
り、所望の厚みにするためには補強材の積層枚数が増え
る。このため、繊度は1,500〜30,000デニー
ルが好ましい。なお、上述の単糸数および繊度について
は、より具体的な織物態様についてより好ましい範囲を
後述する。
【0018】補強織物の織組織については、平組織であ
るとたて糸とよこ糸が交互に交錯しているので交錯点の
数が多く、かつ、拘束力も大きいため孔周りの応力集中
が分散されやすい。また、織物1枚で表裏対称であるた
めFRPにした場合に反りの心配がない。このため織物
組織については平組織がよい。
【0019】織糸ピッチ/糸幅比については、織糸ピッ
チ/糸幅比が、1.0倍未満であれば糸幅より織糸ピッ
チが大きくなり、結果として織糸のクリンプが大きくな
り、FRPにした場合に高強度特性が十分発揮できない
ことになる。また、1.2倍を越えると織糸と織糸との
隙間が大きくなって(メッシュ状の織物となり)、繊維
密度の高い織物が得られなくなる。このため、たて糸と
よこ糸が交錯する交錯部においては、空隙が殆どなく繊
維密度の高くなるように、1.0〜1.2倍、つまり、
たて糸やよこ糸の織糸ピッチは、糸幅の1.0〜1.2
倍が好ましい。
【0020】ここで、繊維密度とは次式で定義される値
をいう。 繊維密度(g/cm3 )=[織物目付(g/m2 )]/
[織物厚さ(mm)] また、織物目付(g/m2 )および織物厚さ(mm)
は、JIS−R7602炭素繊維織物試験法に準拠して
測定した値である。
【0021】繊維密度については炭素繊維の場合、0.
8〜1.2g/cm3 が好ましい。0.8g/cm3
満であれば、マトリクス樹脂が含浸させた場合に樹脂の
持込み量が多くなり、CFRPの重量が重くなってしま
う。また、繊維密度が1.2g/cm3 を越えると、織
糸の単糸間の距離が小さくなり、マトリクス樹脂を含浸
させる際に含浸不良になる可能性がある。
【0022】また、補強織物の織物厚みについては、
0.1〜0.6mmの範囲が好ましい。但しより具体的
な織物態様についてのより具体的な範囲については後述
する。織物厚みが0.1mmより薄いと、所望の厚みの
FRPにするためには積層枚数が増えるうえにFRPの
弱点である層間を多くつくることになる。また、織物厚
みが0.6mmを越えるとFRPに成形する際のマトリ
クス樹脂の含浸性が悪く、樹脂中に多数のボイドが発生
してしまう。このため、織物厚みは、0.1mm〜0.
6mmが好ましい。
【0023】補強織物の目付は、FRPへの成形時にお
ける樹脂の含浸性を向上させるため、90〜500g/
2 の範囲にあるのが好ましい。すなわち、目付が90
g/m2 よりも小さいと補強材の積層枚数が増える上に
FRPの弱点である層間を多く作ることになり、また、
目付が500g/m2 を越えるとFRPに成形する際の
マトリクス樹脂の含浸性が悪く、樹脂中に多数のボイド
が発生してしまう。
【0024】以下により具体的な補強織物の態様につい
て例示すると、前記扁平な強化繊維マルチフィラメント
糸をたて糸およびよこ糸とする織物とする場合には、織
物厚みが0.1〜0.4mm、織物目付が100〜30
0g/m2 であることが好ましい(織物−1)。
【0025】この織物において、強化繊維マルチフィラ
メント糸を炭素繊維糸とする場合には、該炭素繊維糸の
フィラメント数が5,000〜24,000本、繊度が
3,000〜20,000デニールであることが好まし
い。
【0026】また、扁平な強化繊維マルチフィラメント
糸をたて糸とよこ糸の少なくとも一方とする織物であっ
て、該たて糸とよこ糸の少なくとも一方が前記強化繊維
マルチフィラメント糸が複数積層されてなる織物とする
場合には、織物厚みが0.2〜0.6mm、織物目付が
200〜500g/m2 であることが好ましい(織物−
2)。扁平な織糸であるため、このように複数積層した
状態で織成しても、クリンプは小さく抑えられる。積層
により、織物の繊維密度を高めることができる。
【0027】この織物において、強化繊維マルチフィラ
メント糸を炭素繊維糸とする場合には、該炭素繊維糸の
フィラメント数が3,000〜12,000本、繊度が
1,500〜10,000デニールであることが好まし
い。
【0028】なお、強化繊維糸が炭素繊維糸の場合、使
用する炭素繊維扁平糸の特性として、引張破断伸度が大
きく、引張破断強度が高いことが好ましく、引張破断伸
度は1.5%以上、引張破断強度は200kg・f/m
2 以上、引張弾性率は20,000kg・f/mm2
以上であることが望ましい。
【0029】上記のような各種形態の補強織物は、扁平
な織糸を用い、クリンプが極めて小さいことから、大き
なカバーファクターの達成が可能である。たとえば、前
述の織物−1の形態とする場合で、かつ、扁平な強化繊
維マルチフィラメント糸が炭素繊維糸からなる場合、炭
素繊維糸でみた織物目付と炭素繊維糸の繊度とが次式の
関係を満たし、かつ、カバーファクターが95%以上で
あることが好ましい。 W=k・D1/2 但し、W:織物目付(g/m2 ) k:比例定数(1.4〜3.6) D:炭素繊維糸の繊度(デニール)
【0030】また、前述の織物−2の形態とする場合で
あって、かつ、扁平な強化繊維マルチフィラメント糸が
炭素繊維糸からなる場合、炭素繊維糸でみた織物目付と
炭素繊維糸の繊度とが次式の関係を満たし、かつ、カバ
ーファクターが95%以上であることが好ましい。 W=k・D1/2 但し、W:織物目付(g/m2 ) k:比例定数(2.0〜6.0) D:炭素繊維糸の繊度(デニール)
【0031】上記各種形態の補強織物において、カバー
ファクターが95%より小さくなると、炭素繊維糸相互
間に繊維が存在しない空隙部が大きくなり、プリプレグ
やCFRPを製造したとき、この空隙部が樹脂リッチ部
となるのみならず、この空隙部に樹脂が偏在して充填さ
れてボイドが集中する。このため、このようなプリプレ
グやCFRPは、応力が作用したとき、樹脂リッチ部や
ボイドが集中した部分から破壊が進み好ましくない。
【0032】ここで、カバーファクターCfとは、織糸
間に形成される空隙部の大きさに関係する要素で、織物
上に面積S1 の領域を設定したとき、面積S1 内におい
て織糸に形成される空隙部の面積をS2 とすると、次式
で定義される値をいう。 カバーファクターCf=[(S1 −S2 )/S1 ]×1
00
【0033】なお、上述の如き扁平糸自身の作成方法と
しては、たとえば、強化繊維糸の製造工程において、複
数の強化繊維からなる繊維束をロール等で所定の幅に拡
げ、扁平な形状にしてそのまま保持するか、あるいは元
に戻らないようにサイジング剤等で形態を保持させれば
よい。とくに、扁平形状を良好に保持するためには、扁
平糸に0.5〜2.0重量%程度の小量のサイジング剤
を付着させておくことが好ましい。
【0034】上記のような補強織物あるいは後述するプ
リプレグからなる、FRPにおける補強材の積層枚数
は、作用する外力の大きさやFRPの孔径と孔の数から
材料が破壊しない厚さ以上であればかまわない。この条
件を満足する任意の枚数に設定できる。
【0035】層構成については、強化繊維マルチフィラ
メント糸の配列方向が同じ方向になるように同一方向に
積層しても構わないが、好ましくは、孔周りの応力集中
をできるだけ多方向に分散するように、繊維糸の配列方
向を少しずつずらした疑似等方積層にすることが好まし
い。
【0036】本発明の孔を有するFRPは、上述のよう
な補強織物の段階で開孔してもよいし、プリプレグにし
た状態で開孔してもよい。補強織物の段階で開孔された
ものを示すと、例えば図1に示すように、強化繊維マル
チフィラメント糸からなるたて糸2およびよこ糸3を平
組織した補強織物を3枚積層した補強基材1に孔4が設
けられる。前述の如く、補強織物の織糸を構成する強化
繊維マルチフィラメント糸は扁平で実質的に撚りがない
強化繊維マルチフィラメント糸からなっているので、容
易に強化繊維マルチフィラメント糸が孔4の周囲に局部
的に目ずれし、強化繊維が切断されることなく、かつ補
強基材1の孔4周囲の厚みの増加も小さく抑えられる。
【0037】使用するマトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂
または熱可塑性樹脂のいずれでもよい。つまり、FRP
のマトリクスを構成する樹脂としては、エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノ
ール樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリ
ブチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂、ポリエーテ
ルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂などの熱可塑性樹脂のいずれの樹脂も使用でき
る。
【0038】FRPにおけるマトリクス樹脂の割合は3
0〜70重量%が好ましい。これは、樹脂の割合が30
重量%未満であれば、樹脂量が少なくなり成形が不十分
となることや、70重量%を越えると樹脂量が多くなり
すぎ強化繊維を使用することによる補強効果が不十分に
なるためである。より好ましくは40〜60重量%であ
る。
【0039】また、上記マトリクス樹脂の引張破断伸度
が補強織物の強化繊維マルチフィラメント糸の引張破断
伸度よりも大きいことが好ましい。たとえば、マトリク
ス樹脂が、引張破断伸度が3.5〜10%の熱硬化性樹
脂または引張破断伸度が8〜200%の熱可塑性樹脂で
あることが好ましい。
【0040】さらに、FRPの厚みは、作用する外力の
大きさやFRPの孔径と孔の数などを考慮し、材料が破
壊しない厚さ以上であればかまわない。
【0041】本発明に係る孔を有するプリプレグは、補
強織物に30〜70重量%のマトリクス樹脂が含浸され
てなる孔を有するプリプレグであって、前記補強織物
は、扁平で実質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメ
ント糸を織糸としており、前記強化繊維マルチフィラメ
ント糸が孔の周囲に目ずれしていることを特徴とするも
のからなる。このプリプレグを用いて、上述の如き孔を
有するFRPが成形される。
【0042】前述のような孔を有するFRPは次のよう
に成形される。すなわち、本発明の孔を有するFRPの
製造方法は、扁平で実質的に撚りがない強化繊維マルチ
フィラメント糸を織糸とする補強織物に、円錐状の治具
を差し込むことにより織糸を局部的に目ずれさせて開孔
し、その補強織物に樹脂を含浸した後硬化させることを
特徴とする方法からなる。
【0043】たとえばCFRPの成形については、炭素
繊維織物に先端が鋭利な円錐状の凸部を有する型(治
具)を押し当てて織物の織糸を目ずれさせ、あらかじめ
孔を形成させた後、金型の中に、この状態にセットし、
レジントランスファーモールディング成形法やリアクシ
ョンインジェクションモールディング成形法などにより
樹脂を含浸させることにより孔を有するCFRPを得る
ことができる。
【0044】また、プリプレグの段階で開孔してFRP
を成形することもできる。すなわち、本発明に係る孔を
有するプリプレグの製造方法は、扁平で実質的に撚りが
ない強化繊維マルチフィラメント糸を織糸とする補強織
物に樹脂を含浸してプリプレグとなし、該プリプレグに
円錐状の治具を差し込むことにより、プリプレグに含ま
れる補強織物の織糸を局部的に目ずれさせてプリプレグ
を開孔することを特徴とする方法からなる。このプリプ
レグを用いてFRPを成形すれば、目標とする孔を有す
るFRPが得られる。
【0045】
【実施例】
実施例1 東レ(株)社製 “トレカ”T700S−12K(単糸
径:7μm、単糸数:12,000本、横断面積:0.
444mm2 、引張弾性率:23.5×103kgf/
mm2 )を使用し、たて糸およびよこ糸密度がそれぞれ
1.25本/cmで、目付が200g/m2 の平織物を
得た。この織糸は、織物の状態で糸幅/糸厚み比が67
の扁平なものであった。この織物を4枚積層し、ポンチ
を用いて直径10mmの孔を開けた。そして、この織物
に、レジントランスファーモールディング成形によりエ
ポキシ樹脂を含浸させて、硬化板を得た。この時の、繊
維重量割合は63%であった。
【0046】比較例1 一方、比較例1として、東レ(株)社製 “トレカ”T
700S−6K(単糸径:7μm、単糸数:6,000
本、横断面積:0.222mm2 、引張弾性率:23.
5×103 kgf/mm2 )を使用し、たて糸およびよ
こ糸密度がそれぞれ2.5本/cmで、目付が200g
/m2 の平織物を得た。この織物を4枚積層し、レジン
トランスファーモールディング成形によりエポキシ樹脂
を含浸させて、硬化板を得た。この時の、繊維重量割合
は62%であった。そして、この硬化板にドリルを用い
て直径10mmの孔を開けた。
【0047】比較例2 さらに、比較例2として、比較例1と同じ強化繊維マル
チフィラメント糸を使用し、たて糸およびよこ糸密度が
それぞれ2.5本/cmで、目付が200g/m2 の平
織物を得た。この織物にエポキシ樹脂を含浸させ、プリ
プレグとした。そして、このプリプレグを4枚積層し、
ポンチを用いて直径10mmの孔を開けた。さらに、こ
の状態で加熱・加圧硬化し、硬化板を得た。この時の、
繊維重量割合は63%であった。
【0048】次に、ダイヤモンドカッターを用いて実施
例1、比較例1、2で得た硬化板を幅25mm×長さ2
30mmに切断した後、引張試験を行った。この時の試
験速度は1.0mm/分であった。試験の結果、実施例
1の硬化板は、引張強さが413MPa、比較例1の硬
化板は335MPa、比較例2の硬化板は368MPa
であり、本発明に係る実施例1の硬化板は孔を有してい
るにもかかわらず引張強さが極めて大きいことがわかっ
た。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の孔を有す
るFRPは、織物を構成する織糸の糸幅が大きく、か
つ、扁平状態であるため、孔を形成するときに織糸が切
断されることがなく、織糸が目ずれしやすく、また、孔
周りの厚みの増加が小さい。さらに、平組織の織物とす
れば、孔周りの応力集中の分散性がよく、反りの発生の
心配がない。このため、使用する炭素繊維の特性を余す
ことなく利用でき、かつ、信頼性の高い孔を有するFR
Pを得ることができる。
【0050】また、本発明においては、孔を有するFR
Pは樹脂を含浸させない織物の状態で開孔することがで
き、またプリプレグの段階でも開孔でき、いずれの場合
にも、容易に織物の織糸を目ずれさせやすく、かつ、繊
維の切断も起きにくく、しかも孔周りの厚みの増加が小
さい。したがって、依頼性の高い均一かつ高強度のFR
Pを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るFRP成形に用いる孔を有する補
強基材の斜視図である。
【符号の説明】
1 補強基材 2 補強織物のたて糸 3 よこ糸 4 孔

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 補強織物と樹脂とを含む孔を有するFR
    Pであって、前記補強織物は、扁平で実質的に撚りがな
    い強化繊維マルチフィラメント糸を織糸としており、前
    記強化繊維マルチフィラメント糸が孔の周囲に目ずれし
    ていることを特徴とする、孔を有するFRP。
  2. 【請求項2】 前記強化繊維マルチフィラメント糸の糸
    厚みが0.07〜0.4mm、糸幅/糸厚み比が20以
    上である、請求項1の孔を有するFRP。
  3. 【請求項3】 前記補強織物が前記強化繊維マルチフィ
    ラメント糸をたて糸およびよこ糸とする織物であって、
    織物厚みが0.1〜0.4mm、織物目付が100〜3
    00g/m2 である、請求項1または2の孔を有するF
    RP。
  4. 【請求項4】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が炭
    素繊維糸であり、該炭素繊維糸のフィラメント数が5,
    000〜24,000本、繊度が3,000〜20,0
    00デニールである、請求項1ないし3のいずれかに記
    載の孔を有するFRP。
  5. 【請求項5】 前記補強織物が前記強化繊維マルチフィ
    ラメント糸をたて糸およびよこ糸とする織物であって、
    該たて糸とよこ糸の少なくとも一方は前記強化繊維マル
    チフィラメント糸が複数積層されてなり、織物厚みが
    0.2〜0.6mm、織物目付が200〜500g/m
    2 である、請求項1または2の孔を有するFRP。
  6. 【請求項6】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が炭
    素繊維糸であり、該炭素繊維糸のフィラメント数が3,
    000〜12,000本、繊度が1,500〜10,0
    00デニールである、請求項1、2または5の孔を有す
    るFRP。
  7. 【請求項7】 前記補強織物が平組織されてなる、請求
    項1ないし6のいずれかに記載の孔を有するFRP。
  8. 【請求項8】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が炭
    素繊維糸からなり、前記炭素繊維糸でみた織物目付と前
    記炭素繊維糸の繊度とが次式の関係を満たし、かつ、カ
    バーファクターが95%以上である、請求項3の孔を有
    するFRP。 W=k・D1/2 但し、W:織物目付(g/m2 ) k:比例定数(1.4〜3.6) D:炭素繊維糸の繊度(デニール)
  9. 【請求項9】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が炭
    素繊維糸からなり、前記炭素繊維糸でみた織物目付と前
    記炭素繊維糸の繊度とが次式の関係を満たし、かつ、カ
    バーファクターが95%以上である、請求項5の孔を有
    するFRP。 W=k・D1/2 但し、W:織物目付(g/m2 ) k:比例定数(2.0〜6.0) D:炭素繊維糸の繊度(デニール)
  10. 【請求項10】 30〜70重量%のマトリクス樹脂を
    含む、請求項1ないし9のいずれかに記載の孔を有する
    FRP。
  11. 【請求項11】 前記マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂ま
    たは熱可塑性樹脂である、請求項10の孔を有するFR
    P。
  12. 【請求項12】 前記マトリクス樹脂の引張破断伸度が
    補強織物の強化繊維マルチフィラメント糸の引張破断伸
    度よりも大きい、請求項10または11の孔を有するF
    RP。
  13. 【請求項13】 前記マトリクス樹脂が、引張破断伸度
    が3.5〜10%の熱硬化性樹脂または引張破断伸度が
    8〜200%の熱可塑性樹脂である、請求項10ないし
    12のいずれかに記載の孔を有するFRP。
  14. 【請求項14】 補強織物に30〜70重量%のマトリ
    クス樹脂が含浸されてなる孔を有するプリプレグであっ
    て、前記補強織物は、扁平で実質的に撚りがない強化繊
    維マルチフィラメント糸を織糸としており、前記強化繊
    維マルチフィラメント糸が孔の周囲に目ずれしているこ
    とを特徴とする、孔を有するプリプレグ。
  15. 【請求項15】 扁平で実質的に撚りがない強化繊維マ
    ルチフィラメント糸を織糸とする補強織物に、円錐状の
    治具を差し込むことにより織糸を局部的に目ずれさせて
    開孔し、その補強織物に樹脂を含浸した後硬化させるこ
    とを特徴とする、孔を有するFRPの製造方法。
  16. 【請求項16】 扁平で実質的に撚りがない強化繊維マ
    ルチフィラメント糸を織糸とする補強織物に樹脂を含浸
    してプリプレグとなし、該プリプレグに円錐状の治具を
    差し込むことにより、プリプレグに含まれる補強織物の
    織糸を局部的に目ずれさせてプリプレグを開孔すること
    を特徴とする、孔を有するプリプレグの製造方法。
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