JPH07242661A - 小麦粉食品の加熱香気を有する香料化合物ならびに香料組成物 - Google Patents
小麦粉食品の加熱香気を有する香料化合物ならびに香料組成物Info
- Publication number
- JPH07242661A JPH07242661A JP6060302A JP6030294A JPH07242661A JP H07242661 A JPH07242661 A JP H07242661A JP 6060302 A JP6060302 A JP 6060302A JP 6030294 A JP6030294 A JP 6030294A JP H07242661 A JPH07242661 A JP H07242661A
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- JP
- Japan
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- flavor
- foods
- compound
- wheat flour
- flavoring
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- Pending
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- Fats And Perfumes (AREA)
- Seasonings (AREA)
- Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
- Cosmetics (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 小麦粉食品の焼きたてあるいはゆでたてのフ
レーバーを有する香料化合物ならびに香料組成物の提
供。 【構成】 上記香料化合物(I)は、次の通り。 ピロリジンと4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3
(2H)−フラノンを合成原料とし、上記構造式で表さ
れる、2,5−ジメチル−4−(1−ピロリジニル)−
3(2H)−フラノンの製造方法。
レーバーを有する香料化合物ならびに香料組成物の提
供。 【構成】 上記香料化合物(I)は、次の通り。 ピロリジンと4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3
(2H)−フラノンを合成原料とし、上記構造式で表さ
れる、2,5−ジメチル−4−(1−ピロリジニル)−
3(2H)−フラノンの製造方法。
Description
【0001】産業上の利用分野 本発明は、穀類とくに
小麦粉食品が加熱時に生じるフレーバーを付与増強する
ことのできる化合物Iとそれを含む香料組成物に関す
る。つまり、Iもしくはそれを含む香料組成物を多種多
様の食品に添加することによって、小麦粉食品が加熱時
に生じる、焼きたてあるいはゆでたてのごとく好ましい
風味を与える。すなわち、本発明は、小麦粉食品の加熱
時に生じるフレーバーを付与増強することのできる、画
期的な香料ならびに香料組成物である。
小麦粉食品が加熱時に生じるフレーバーを付与増強する
ことのできる化合物Iとそれを含む香料組成物に関す
る。つまり、Iもしくはそれを含む香料組成物を多種多
様の食品に添加することによって、小麦粉食品が加熱時
に生じる、焼きたてあるいはゆでたてのごとく好ましい
風味を与える。すなわち、本発明は、小麦粉食品の加熱
時に生じるフレーバーを付与増強することのできる、画
期的な香料ならびに香料組成物である。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】 小麦粉加熱食品の風
味の最大の特徴は、焼きたてあるいはゆでたてのフレー
バーにある。一般に、これらの加熱食品は一度冷める
と、そのようなフレーバーがほとんど消失し、しかも再
び加熱してもほとんど生じないことが知られている。し
たがって、加熱した小麦粉食品は、多くの場合、自然に
加熱風味に欠けてしまうため、上記のフレーバーを付与
増強することのできる香料化合物ならびに香料組成物の
開発が望まれていた。
味の最大の特徴は、焼きたてあるいはゆでたてのフレー
バーにある。一般に、これらの加熱食品は一度冷める
と、そのようなフレーバーがほとんど消失し、しかも再
び加熱してもほとんど生じないことが知られている。し
たがって、加熱した小麦粉食品は、多くの場合、自然に
加熱風味に欠けてしまうため、上記のフレーバーを付与
増強することのできる香料化合物ならびに香料組成物の
開発が望まれていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】 本発明者は鋭意研究の
結果、小麦粉食品の加熱時に生じるフレーバー成分か
ら、Iを初めて見い出し、かつ、そのフレーバーの主成
分であることを明らかにした。さらに、Iおよびそれを
有効成分とする香料組成物が、多くの食品に小麦粉の焼
きたてあるいはゆでたてのフレーバーを付与増強するこ
とを確認した。すなわち、Iおよびこれを有効成分とす
る香料組成物を用いることによって、上記課題を解決す
ることを知見した。
結果、小麦粉食品の加熱時に生じるフレーバー成分か
ら、Iを初めて見い出し、かつ、そのフレーバーの主成
分であることを明らかにした。さらに、Iおよびそれを
有効成分とする香料組成物が、多くの食品に小麦粉の焼
きたてあるいはゆでたてのフレーバーを付与増強するこ
とを確認した。すなわち、Iおよびこれを有効成分とす
る香料組成物を用いることによって、上記課題を解決す
ることを知見した。
【0004】 これまでに化合物Iは、Tressl
ら、とDoornbosらによって、糖とアミノ酸の加
熱反応産物から単離されている。しかし、いずれもその
反応の主要な産物ではなく、今までにほとんど注目され
ていない。また、Tresslらはその加熱反応で生成
される多くのピロリジン化合物は穀類の匂いを有してい
ると述べているが、個々の具体性に欠けるため、本発明
の成立を妨げるものではない。本発明者らは上述した如
く、Iを初めて食品から見いだし、さらに初めて合成し
てIが小麦粉食品の焼きたてあるいはゆでたての特徴的
な匂いを有することを明らかにした。
ら、とDoornbosらによって、糖とアミノ酸の加
熱反応産物から単離されている。しかし、いずれもその
反応の主要な産物ではなく、今までにほとんど注目され
ていない。また、Tresslらはその加熱反応で生成
される多くのピロリジン化合物は穀類の匂いを有してい
ると述べているが、個々の具体性に欠けるため、本発明
の成立を妨げるものではない。本発明者らは上述した如
く、Iを初めて食品から見いだし、さらに初めて合成し
てIが小麦粉食品の焼きたてあるいはゆでたての特徴的
な匂いを有することを明らかにした。
【0005】 本発明者は、市販の今川焼き用ミックス
パウダー(製菓製パン用材料:小麦粉、膨張剤、食塩な
どを含む)をガラスビーズ法(特許出願公開番号、平2
ー107168)によって、加熱中に発生するフレーバ
ーを回収した。そのフレーバーは焼きたての食欲をそそ
る好ましいものであり、上記課題を解決すべきフレーバ
ーであると専門パネラーに支持された。その成分をガス
クロマトグラフィー(GC)およびガスクロマトグラフ
ィー-質量分析計(GC-MS)により分析し、Iが主要
香気成分であることを見い出した。すなわち、Iがこの
ような小麦粉食品の加熱時に生じる最も主要なフレーバ
ー成分であることを発見した。
パウダー(製菓製パン用材料:小麦粉、膨張剤、食塩な
どを含む)をガラスビーズ法(特許出願公開番号、平2
ー107168)によって、加熱中に発生するフレーバ
ーを回収した。そのフレーバーは焼きたての食欲をそそ
る好ましいものであり、上記課題を解決すべきフレーバ
ーであると専門パネラーに支持された。その成分をガス
クロマトグラフィー(GC)およびガスクロマトグラフ
ィー-質量分析計(GC-MS)により分析し、Iが主要
香気成分であることを見い出した。すなわち、Iがこの
ような小麦粉食品の加熱時に生じる最も主要なフレーバ
ー成分であることを発見した。
【0006】 次に上述の今川焼き用ミックスパウダー
を使って今川焼きを作り、放冷後同じ方法で再度加熱
し、フレーバー成分を回収した。この回収フレーバーに
は上述のような焼きたての匂いがほとんど存在しなかっ
た。そして、このフレーバー成分を同様に分析したとこ
ろ、成分中にIがほとんど含まれていないことが判明し
た。このことは、小麦粉加熱食品の焼きたてのフレーバ
ーは一度冷えると失われ、再度加熱しても本来の焼きた
て風味に欠けることを示している。すなわち、Iが小麦
粉食品の加熱時に生じるフレーバーに大きく寄与してい
ることが明らかになった。詳細は実施例1で記述する。
を使って今川焼きを作り、放冷後同じ方法で再度加熱
し、フレーバー成分を回収した。この回収フレーバーに
は上述のような焼きたての匂いがほとんど存在しなかっ
た。そして、このフレーバー成分を同様に分析したとこ
ろ、成分中にIがほとんど含まれていないことが判明し
た。このことは、小麦粉加熱食品の焼きたてのフレーバ
ーは一度冷えると失われ、再度加熱しても本来の焼きた
て風味に欠けることを示している。すなわち、Iが小麦
粉食品の加熱時に生じるフレーバーに大きく寄与してい
ることが明らかになった。詳細は実施例1で記述する。
【0007】 さらにIを合成し、このIを今川焼きを
焼く前に添加することによって、それが冷めても焼きた
ての好ましい匂いが保持され、さらに風味が増強した。
化合物Iは、小麦粉食品の焼きたてのフレーバーを発現
する香料化合物として非常に効果があることが確認され
た。このようにして、上記課題はほとんど解決できるこ
とが見いだされ、本発明が完成するに至った。
焼く前に添加することによって、それが冷めても焼きた
ての好ましい匂いが保持され、さらに風味が増強した。
化合物Iは、小麦粉食品の焼きたてのフレーバーを発現
する香料化合物として非常に効果があることが確認され
た。このようにして、上記課題はほとんど解決できるこ
とが見いだされ、本発明が完成するに至った。
【0008】 これまでにIの合成方法は公示されてい
ない。本発明者はその合成方法を検討し、求核性をもつ
窒素化合物とカルボニル化合物の求核付加反応によっ
て、容易に合成できることを見いだし、製造方法を確立
した。詳細は実施例2で述べる。
ない。本発明者はその合成方法を検討し、求核性をもつ
窒素化合物とカルボニル化合物の求核付加反応によっ
て、容易に合成できることを見いだし、製造方法を確立
した。詳細は実施例2で述べる。
【0009】
【実施例】 以下に小麦粉食品の加熱時に生じるフレー
バーから、化合物Iを見いだし、さらにその製造方法に
至るまでの過程の詳細、およびIとそれを含む香料組成
物の実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
バーから、化合物Iを見いだし、さらにその製造方法に
至るまでの過程の詳細、およびIとそれを含む香料組成
物の実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
【0010】
【実施例1】 ガラスビーズ法により、今川焼きの加熱
中に生じるフレーバー成分を調べた。2リットルの4つ
口フラスコに、今川焼き用ミックスパウダー(製菓製パ
ン用材料:小麦粉、膨張剤、食塩、澱粉、ブドウ糖、砂
糖、着色剤、植物蛋白、増粘多糖類)100gおよび水
350gを入れ、1Kgのガラスビーズ(直径2.3m
m)とともに攪絆しながら、マントルヒーターで加熱し
た。生じたフレーバー成分は水蒸気とともに留出した。
100ー101度で留出した液の匂いと、同じミックス
パウダーで作った今川焼きの焼きたての匂いとの比較を
専門パネラー5人で行った。その結果、専門パネラー全
員が両者の匂いにほとんど差がなく、留出液が焼きたて
の匂いを有していると評価した。そこで、留出液の成分
を調べたところGC分析では、Iがピーク面積で約50
%を占める主要成分であった(図面の図1のa参照)。
この物質以外に強い香気をもつ化合物はほとんど検出さ
れなかった。もう一つの主成分(ピーク面積、20%)
は、2,6-ジ-ターシャリーブチル-4-メチルフェノー
ル(BHT)であった。この物質は香気を有せず、坑酸
化剤として広く使われていることから、このミックスパ
ウダー由来のものと推定された。
中に生じるフレーバー成分を調べた。2リットルの4つ
口フラスコに、今川焼き用ミックスパウダー(製菓製パ
ン用材料:小麦粉、膨張剤、食塩、澱粉、ブドウ糖、砂
糖、着色剤、植物蛋白、増粘多糖類)100gおよび水
350gを入れ、1Kgのガラスビーズ(直径2.3m
m)とともに攪絆しながら、マントルヒーターで加熱し
た。生じたフレーバー成分は水蒸気とともに留出した。
100ー101度で留出した液の匂いと、同じミックス
パウダーで作った今川焼きの焼きたての匂いとの比較を
専門パネラー5人で行った。その結果、専門パネラー全
員が両者の匂いにほとんど差がなく、留出液が焼きたて
の匂いを有していると評価した。そこで、留出液の成分
を調べたところGC分析では、Iがピーク面積で約50
%を占める主要成分であった(図面の図1のa参照)。
この物質以外に強い香気をもつ化合物はほとんど検出さ
れなかった。もう一つの主成分(ピーク面積、20%)
は、2,6-ジ-ターシャリーブチル-4-メチルフェノー
ル(BHT)であった。この物質は香気を有せず、坑酸
化剤として広く使われていることから、このミックスパ
ウダー由来のものと推定された。
【0011】 次に、実際に焼いた今川焼きの皮を室温
で2時間放冷した後、上述した方法で同じようにガラス
ビーズ法によって、フレーバー成分を留出させた。この
留出液には焼きたての風味がほとんど感じられなかっ
た。留出液の成分を調べたところ、Iがほとんど存在せ
ず(ピーク面積、1.5%)、主要成分はBHTだけで
あった(図1のb)。
で2時間放冷した後、上述した方法で同じようにガラス
ビーズ法によって、フレーバー成分を留出させた。この
留出液には焼きたての風味がほとんど感じられなかっ
た。留出液の成分を調べたところ、Iがほとんど存在せ
ず(ピーク面積、1.5%)、主要成分はBHTだけで
あった(図1のb)。
【0012】 このように、Iは今川焼きの加熱中に大
きく生成して、焼きたてのフレーバーの主成分であった
が、冷めた今川焼きを再度加熱しても、Iは他の成分と
同じようにほとんど生成せず、また官能的にも焼きたて
の匂いが生じなかった。このことは、小麦粉食品の加熱
香気が小麦粉の熱変性によってのみ生じ、熱変性をすで
に受けた小麦粉からは、もはや好ましい特徴香気がほと
んど生じないことを示唆している。小麦粉食品を暖かい
うちに食すると美味しく、冷めたものを再び暖めても本
来の美味しさに欠けるという一般的な経験が、このよう
に科学的にフレーバー成分の消長で実証された例は未だ
ない。
きく生成して、焼きたてのフレーバーの主成分であった
が、冷めた今川焼きを再度加熱しても、Iは他の成分と
同じようにほとんど生成せず、また官能的にも焼きたて
の匂いが生じなかった。このことは、小麦粉食品の加熱
香気が小麦粉の熱変性によってのみ生じ、熱変性をすで
に受けた小麦粉からは、もはや好ましい特徴香気がほと
んど生じないことを示唆している。小麦粉食品を暖かい
うちに食すると美味しく、冷めたものを再び暖めても本
来の美味しさに欠けるという一般的な経験が、このよう
に科学的にフレーバー成分の消長で実証された例は未だ
ない。
【0013】 この実施例で用いた今川焼き用ミックス
パウダーは、製菓製パン用原料として広く市販されてい
る。例えば、この製菓製パン用材料に脱脂粉乳、乳化剤
や卵などを加えると、ケーキやクッキーなどを作ること
ができる。このように、このミックスパウダーは小麦粉
食品の主原料として多く使われている。したがって、I
は小麦粉食品に共通するフレーバー成分とみなすことが
できる。
パウダーは、製菓製パン用原料として広く市販されてい
る。例えば、この製菓製パン用材料に脱脂粉乳、乳化剤
や卵などを加えると、ケーキやクッキーなどを作ること
ができる。このように、このミックスパウダーは小麦粉
食品の主原料として多く使われている。したがって、I
は小麦粉食品に共通するフレーバー成分とみなすことが
できる。
【0014】
【実施例2】 攪絆機、還流冷却管、温度計および滴下
ロートを装備した4つ口フラスコに128g(1モル)
の 4-ハイドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラ
ノンを入れ、ピロリジン78g(1.1モル)を室温で
30分間滴下しながら攪絆した。反応では水が生じるた
め、吸水力のあるモレキュラーシーブで水を除きなが
ら、2時間105度で加熱還流した。その後、反応液を
減圧蒸留で精製した。収量91g(収率50.3%)の
Iが得られた。
ロートを装備した4つ口フラスコに128g(1モル)
の 4-ハイドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラ
ノンを入れ、ピロリジン78g(1.1モル)を室温で
30分間滴下しながら攪絆した。反応では水が生じるた
め、吸水力のあるモレキュラーシーブで水を除きなが
ら、2時間105度で加熱還流した。その後、反応液を
減圧蒸留で精製した。収量91g(収率50.3%)の
Iが得られた。
【0015】
【実施例3】 今川焼きの加熱中に生じたフレーバーか
ら単離したIと合成で得られたIを各種分析機器で分析
した。それらのスペクトルデータの一致によって、化合
物Iを2,5-ジメチル-4-(1-ピロリジニル)-3(2
H)-フラノンと同定した。各種分析機器の結果を以下
に示す。
ら単離したIと合成で得られたIを各種分析機器で分析
した。それらのスペクトルデータの一致によって、化合
物Iを2,5-ジメチル-4-(1-ピロリジニル)-3(2
H)-フラノンと同定した。各種分析機器の結果を以下
に示す。
【0016】 GC-MS分析の結果、単離品と合成品
のマススペクトルは一致した。それぞれのマススペクト
ルを図面の図2のaとbに示した。また、マススペクト
ルフラグメントイオンの相対強度とリテンションインデ
ックス(RI)を以下に示す。
のマススペクトルは一致した。それぞれのマススペクト
ルを図面の図2のaとbに示した。また、マススペクト
ルフラグメントイオンの相対強度とリテンションインデ
ックス(RI)を以下に示す。
【0017】 合成品:マススペクトルデータ;181
(100)、124(68)、43(62)、110
(52)、55(37)、138(35)、82(2
6)、70(19)、166(18)、54(16)。
RI:DB-1(無極性カラム)、1350;DB-WA
X(極性カラム)、1911。測定機種:GC;Hew
lett Packard 5890Ser.2。M
S;日立、M-80A。
(100)、124(68)、43(62)、110
(52)、55(37)、138(35)、82(2
6)、70(19)、166(18)、54(16)。
RI:DB-1(無極性カラム)、1350;DB-WA
X(極性カラム)、1911。測定機種:GC;Hew
lett Packard 5890Ser.2。M
S;日立、M-80A。
【0018】 赤外吸収(IR)スペクトルを図3に記
載し、その吸収の数値を以下に示す。IR cm-1(液
膜法):2950m、2910w、2850w、169
0s、1620s、1410m、1350w、1310
m、1215m、1165m、1000m。吸収強度:
s、強;m、中;w、弱。測定機種:Perkine
Elmer 1760X。
載し、その吸収の数値を以下に示す。IR cm-1(液
膜法):2950m、2910w、2850w、169
0s、1620s、1410m、1350w、1310
m、1215m、1165m、1000m。吸収強度:
s、強;m、中;w、弱。測定機種:Perkine
Elmer 1760X。
【0019】
【化2】 プロトン(1H)とカーボンサーティン(13C)の核磁
気共鳴(NMR)分析をおこない、それぞれのシグナル
を帰属した。合成品Iの1H-、13C-NMRスペクトル
を図4のaとbにそれぞれ示した。各シグナル値とその
帰属を以下に記載する。
気共鳴(NMR)分析をおこない、それぞれのシグナル
を帰属した。合成品Iの1H-、13C-NMRスペクトル
を図4のaとbにそれぞれ示した。各シグナル値とその
帰属を以下に記載する。
【0020】 1H-NMR(CDCl3、270MH
z):1.41ppm(d、3H、J=7.3Hz,H-
6)、1.85(m、4H、H-β)、2.23(s、3
H、H-7)、3.11(m、4H、H-α)、4.34
(q、1H、J=7.3、H-2)。
z):1.41ppm(d、3H、J=7.3Hz,H-
6)、1.85(m、4H、H-β)、2.23(s、3
H、H-7)、3.11(m、4H、H-α)、4.34
(q、1H、J=7.3、H-2)。
【0021】 13C-NMR(CDCl3、67.5MH
z):15.1、16.7ppm(各 -CH3)、25.4
(C-β)、51.3(C-α)、80.4(C-2)、1
25.8(C-4)、182.4(C-5)、202.8
(C-3)。測定機種:JEOL GX-270。
z):15.1、16.7ppm(各 -CH3)、25.4
(C-β)、51.3(C-α)、80.4(C-2)、1
25.8(C-4)、182.4(C-5)、202.8
(C-3)。測定機種:JEOL GX-270。
【0022】
【実施例4】 どら焼きを作って、Iの添加効果を調べ
た。どら焼きを以下の処方で調製した。
た。どら焼きを以下の処方で調製した。
【0023】卵 3個 蜂蜜 60g 砂糖 80g ブドウ糖 20g 小麦粉 200g 重曹 3g ベーキングパウダー 3g 牛乳 50g 水 130g 上記混合物100gにIを0.004g(40ppm)
添加して焼いたどら焼き(A)と添加しないで焼いたど
ら焼き(B)の匂いの比較をパネラー10人で行った。
その結果前者の方が焼きたての匂いが強く、食欲をそそ
るという評価が得られ、Iの添加による匂いの付与増強
が確かめられた。
添加して焼いたどら焼き(A)と添加しないで焼いたど
ら焼き(B)の匂いの比較をパネラー10人で行った。
その結果前者の方が焼きたての匂いが強く、食欲をそそ
るという評価が得られ、Iの添加による匂いの付与増強
が確かめられた。
【0024】
【実施例5】 化合物Iの匂い保持効果を調べるため
に、匂いと味の出方が穏やかな今川焼きの皮に添加し
た。
に、匂いと味の出方が穏やかな今川焼きの皮に添加し
た。
【0025】小麦粉 160g 砂糖 15g ブドウ糖 15g 澱粉 3g 重曹 3g ベーキングパウダー 3g 食塩 1g 水 200g 合計 400g 上記混合物100gにIを0.004g(40ppm)
添加して焼いた、あんこを含まない今川焼き(A)と、
添加しないで焼いたもの(B)の風味を比較した。焼い
ている間に漂う匂いはどちらにも大きな差が認められな
かったが、室温放置1日後に大きな差が生じた。すなわ
ち、冷めたBにはほとんど匂いがなくなっているが、I
を加えたAには、焼きたての匂いが保持され、しかも味
がBよりも強く感じられることをパネラー5人全員が指
摘した。
添加して焼いた、あんこを含まない今川焼き(A)と、
添加しないで焼いたもの(B)の風味を比較した。焼い
ている間に漂う匂いはどちらにも大きな差が認められな
かったが、室温放置1日後に大きな差が生じた。すなわ
ち、冷めたBにはほとんど匂いがなくなっているが、I
を加えたAには、焼きたての匂いが保持され、しかも味
がBよりも強く感じられることをパネラー5人全員が指
摘した。
【0026】
【実施例6】 以下に示すように、Iを含むたい焼き風
の香気を有するタイヤキフレーバーを調製した。
の香気を有するタイヤキフレーバーを調製した。
【0027】 アセトアルデハイド 0.20 酢酸エチル 0.10 ヘプタナール 0.01 オクタナール 0.02 フルフリルアルコール 0.10 エチルマルトール 0.20 メチルシクロペンテノロン 0.10 2,5-ジメチル-4-ハイドキシ-3(2H)-フラノン 0.20 2,5-ジメチル-4-(1-ピロリジニル)-3(2H)-フラノン 4.00 グリセリン 52.07 エタノール 43.00 合計 100.00 実施例5の処方に基づいて作った材料混合物100g
に、上記配合によるタイヤキフレーバーを0.1g加え
たものと加えないものを焼成後、パネラー6人で、両者
の風味を比較した。その結果、タイヤキフレーバーを加
えた方がたい焼き風の香味が増強されるとともに、とく
にフレーバーの持続性に優れていることが認められた。
に、上記配合によるタイヤキフレーバーを0.1g加え
たものと加えないものを焼成後、パネラー6人で、両者
の風味を比較した。その結果、タイヤキフレーバーを加
えた方がたい焼き風の香味が増強されるとともに、とく
にフレーバーの持続性に優れていることが認められた。
【0028】
【参考文献】 Tressl,R.ら:ジャーナル オ
ブ アグリカルチュラルアンド フード ケミストリ
ー,1985年,33巻,924−928頁。 Doornbos,Tら:プログレス イン フード
アンド ニュートリション サイエンス,1981年,
5巻,57−63頁。
ブ アグリカルチュラルアンド フード ケミストリ
ー,1985年,33巻,924−928頁。 Doornbos,Tら:プログレス イン フード
アンド ニュートリション サイエンス,1981年,
5巻,57−63頁。
【0029】
【発明の効果】 化合物Iならびにこれを含有する香料
組成物をパン類、菓子類、冷凍食品および即席など多種
多様の食品に配合することによって、従来から望まれて
いる小麦粉食品の加熱時の風味、すなわち焼きたてある
いはゆでたての風味がそれらに付与増強される。
組成物をパン類、菓子類、冷凍食品および即席など多種
多様の食品に配合することによって、従来から望まれて
いる小麦粉食品の加熱時の風味、すなわち焼きたてある
いはゆでたての風味がそれらに付与増強される。
【0030】
【0003】
【図1】 今川焼きの香気成分のガスクロマトグラムを
示す。(a)は今川焼きの加熱中に生じたフレーバー成
分を表し、(b)は焼き上がった後、2時間放置して冷
えた今川焼きのそれを表している。ガスクロマトグラフ
ィーの分析条件は次の通りである。カラム;DB−1
(0.25mm×60m)、イニシャル温度;50℃
(5分間保持)、ファイナル温度;260℃、昇温温
度;3℃/分、検出器;水素炎イオン検出器(FI
D)。
示す。(a)は今川焼きの加熱中に生じたフレーバー成
分を表し、(b)は焼き上がった後、2時間放置して冷
えた今川焼きのそれを表している。ガスクロマトグラフ
ィーの分析条件は次の通りである。カラム;DB−1
(0.25mm×60m)、イニシャル温度;50℃
(5分間保持)、ファイナル温度;260℃、昇温温
度;3℃/分、検出器;水素炎イオン検出器(FI
D)。
【0031】
【図2】 化合物Iのマススペクトルを示す。(a)は
今川焼きから見いだされたIのマススペクトル、(b)
は合成したIのそれを示す。
今川焼きから見いだされたIのマススペクトル、(b)
は合成したIのそれを示す。
【0032】
【図3】 化合物Iの赤外線吸収スペクトルを示す。
【0033】
【図4】 化合物Iの核磁気共鳴(NMR)スペクトル
を示す。(a)はプロトンNMRスペクトル、(b)は
カーボンサーティンNMRスペクトルを示す。
を示す。(a)はプロトンNMRスペクトル、(b)は
カーボンサーティンNMRスペクトルを示す。
【0034】
ガスクロマトグラム上に示されているピーク番号の化合
物名を以下に示す。 1:溶媒、2:2,3−ブタンジオン、3:1−ハイド
ロキシ−2−プロパノン、4:化合物I、5:2,6−
ジ−ターシャリー−ブチル−4−メチルフェノール、
6:ヘキサデカン酸
物名を以下に示す。 1:溶媒、2:2,3−ブタンジオン、3:1−ハイド
ロキシ−2−プロパノン、4:化合物I、5:2,6−
ジ−ターシャリー−ブチル−4−メチルフェノール、
6:ヘキサデカン酸
Claims (2)
- 【請求項1】 【化1】 ピロリジンと4ーヒドロキシー2,5-ジメチル-3(2
H)-フラノンを合成原料とし、上記構造式で表され
る、2,5-ジメチル-4-(1-ピロリジニル)-3(2
H)-フラノン(I)の製造方法。 - 【請求項2】 化合物Iを含有することを特徴とする香
料組成物。
レーバーを有する香料化合物ならびに香料組成物を提供
する。 【構成】 上記構造式の化合物(I)は、焼きたてのパ
ン類、和菓子、洋菓子やビスケットおよびゆでたてのう
どん、即席めん、マカロニなど数多くの加熱した小麦粉
食品に共通する根本的なフレーバーを有する。そのた
め、この化合物ならびにこれを含む香料組成物を上記食
品、さらには冷凍食品、即席食品などに配合することに
よって、多くの食品に焼きたてあるいはゆでたてのフレ
ーバーを付与増強することができる。 【特許請求の範囲】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6060302A JPH07242661A (ja) | 1994-03-04 | 1994-03-04 | 小麦粉食品の加熱香気を有する香料化合物ならびに香料組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6060302A JPH07242661A (ja) | 1994-03-04 | 1994-03-04 | 小麦粉食品の加熱香気を有する香料化合物ならびに香料組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07242661A true JPH07242661A (ja) | 1995-09-19 |
Family
ID=13138243
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6060302A Pending JPH07242661A (ja) | 1994-03-04 | 1994-03-04 | 小麦粉食品の加熱香気を有する香料化合物ならびに香料組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07242661A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20010010728A (ko) * | 1999-07-22 | 2001-02-15 | 서경배 | 2,2-디알킬-4,5-디아릴-3(2h)퓨라논의 유도체 및 이를 함유하는 시클로옥시게네이즈-2 저해제 조성물 |
EP1157617A3 (en) * | 2000-05-23 | 2002-09-11 | Société des Produits Nestlé S.A. | Use of alpha-keto enamine derivatives as ingredients |
US6592884B2 (en) | 2000-05-23 | 2003-07-15 | Nestec S.A. | Method of using alpha-keto enamine derivatives as ingredients and products incorporating same |
US7297355B2 (en) | 2001-06-15 | 2007-11-20 | Nestec S.A. | Baked type aromatizing compositions |
JP2016136932A (ja) * | 2015-01-29 | 2016-08-04 | 日清食品ホールディングス株式会社 | 風味を強化した麺類およびその製造方法並びに風味増強剤 |
-
1994
- 1994-03-04 JP JP6060302A patent/JPH07242661A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20010010728A (ko) * | 1999-07-22 | 2001-02-15 | 서경배 | 2,2-디알킬-4,5-디아릴-3(2h)퓨라논의 유도체 및 이를 함유하는 시클로옥시게네이즈-2 저해제 조성물 |
EP1157617A3 (en) * | 2000-05-23 | 2002-09-11 | Société des Produits Nestlé S.A. | Use of alpha-keto enamine derivatives as ingredients |
US6592884B2 (en) | 2000-05-23 | 2003-07-15 | Nestec S.A. | Method of using alpha-keto enamine derivatives as ingredients and products incorporating same |
SG108255A1 (en) * | 2000-05-23 | 2005-01-28 | Nestle Sa | Use of alph-keto enamine derivatives as ingredients |
US7297355B2 (en) | 2001-06-15 | 2007-11-20 | Nestec S.A. | Baked type aromatizing compositions |
JP2016136932A (ja) * | 2015-01-29 | 2016-08-04 | 日清食品ホールディングス株式会社 | 風味を強化した麺類およびその製造方法並びに風味増強剤 |
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