JPH0724194Y2 - 工作機用回転体位置決め装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えば円板状のテーブルを所定の回転角度に
設定して固定する工作機用回転体の位置決め装置に関す
るものである。

【従来の技術】

従来の技術として、下部に内歯ギヤを有する円板状のテ
ーブルを架台の上面に回転可能に載置し、架台側にモー
タによって回転される駆動ギヤを設けるとともに、この
駆動ギヤを上記内歯ギヤに噛み合わせ、上記テーブルの
下面外周部に上方に凹む係合凹部を周方向に所定ピッチ
で形成し、上記係合凹部に対応する架台の外周部に複数
個のシリンダを起立支持し、各シリンダのロッドの上部
に上記係合凹部に嵌合する係合体を取り付けてなる工作
機用回転体の位置決め装置があった。

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のものは、係合体を作動させるシリンダが、テ
ーブルの下面外周部に形成した係合凹部と対応する位置
に設けられていたので、係合力を増すべく係合体の数を
増すと、これに伴ってシリンダの数が増し、高価になる
とともに、配管が複雑になって保守点検に手数を要する
欠点があった。本考案は、上記欠点を解消した新規な工
作機用回転体の位置決め装置を得ることを目的とする。

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するために、以下の如く構成
したものである。 即ち、下部に内歯ギヤを有する円板状の回転体を架台の
上面に回転可能に載置し、架台に前記内歯ギヤに噛み合
う駆動ギヤを設け、回転体を架台に係脱する係脱機構を
設けてなる工作機用回転体の位置決め装置において、前
記内歯ギヤの歯部に接近して嵌合するリングを架台に固
定し、内歯ギヤとリングとの対面部に下方が縮小する円
錐穴を周方向に所定ピッチで形成し、前記架台の軸心部
に上下方向に作動するシリンダを設け、該シリンダのロ
ッドに前記内歯ギヤおよびリングの上方に位置する円板
状の作動板を連結し、該作動板の外周部に前記円錐穴に
密接にテーパ嵌合する円錐係合体を周方向に多数懸垂固
定する構成にしたものである。

【作用】

本考案は上記構成にしたものであるから、駆動ギヤが作
動すると、内歯ギヤを介して回転体が回転する。また、
回転体の各円錐穴が架台側の各円錐係合体に対面した状
態で上記駆動ギヤを停止させ、次いでシリンダを作動さ
せて作動板を下降させると、各円錐係合体が同時に下降
して各円錐穴に同時に嵌合し、これにより回転体の回転
が阻止されることになる。 この場合、各円錐係合体が円錐穴に上方からテーパ嵌合
するので、内歯ギヤと駆動ギヤとのバックラッシュによ
る誤差が補正されて回転体を正確な位置に位置決めする
とともに、回転体の浮き上がりを防止することになる。

【実施例】

以下本考案の実施例を図面に基いて説明する。図面にお
いて、第１図は本考案の実施例を示す縦断面図、第２図
はそのII-II相当の断面図である。 第１図において、１は架台であり、その軸心部に軸２を
回転自在かつ上下動不能に支持する。上記軸２は架台か
ら上方に突出させ、この突出端に円板状のテーブル（回
転体）３を固定支持する。上記テーブル３は、その外周
部を下方に屈曲させて、その下端にリング状の内歯ギヤ
４をボルト締め固定する。この内歯ギヤ４は架台１の外
周部の上面に摺動可能に当接させる。 上記内歯ギヤ４の軸心側にリング５を同軸に配置して架
台１にボルト締め固定する。このリング５の外周は、上
記内歯ギヤ４の歯4aに接近させる。 上記内歯ギヤ４とリング５との対面部、つまり内歯ギヤ
４の歯部とリング５の外周部とに、両者に跨りかつ上面
から下部に向かって次第に小径となるテーパ状の円錐穴
６を形成する。この円錐穴６は、第２図に示すように、
周方向に24個等ピッチで形成する。なお、この個数は機
種によって適宜決定する。 一方、架台１の軸心部に油圧式のシリンダ７を設ける。
このシリンダ７は、架台１の軸心部に形成したシリンダ
室7aにピストン7bを上下方向に摺動可能に嵌合させ、こ
のピストン7bに連結したピストンロッド7c（以下ロッド
7cという）を中空にして前述した軸２に上下方向に摺動
可能に嵌合させる。なお、上記ロッド7cは、架台１に対
して回転不能にかつ上下動可能となるように、架台１に
キー等により連結する。 上記ロッド7cの上端は架台１の上面から上方に突出さ
せ、この突出端に大径かつ円板状の作動板８を固定す
る。この作動板８の外周部は、前述した内歯ギヤ４およ
びリング５の上方に位置させ、該外周部に多数の円錐係
合体９を懸垂固定する。 上記円錐係合体９は、下方に向かって縮小するテーパ状
に形成して前述した各円錐穴６に上方から係脱可能にか
つ密接にテーパ嵌合する。また、上記円錐係合体９は各
円錐穴６と対応するピッチで周方向に24個配列する。 10は前述した内歯ギヤ４に噛み合わせた駆動ギヤであ
り、架台１に取り付けたモータ11の出力軸11aに固定支
持する。上記モータ11は、制御盤からの指令によって回
転制御されるパルスモータとする。なお、第１図中、12
および13はシリンダ室7aに作動油を供給する上昇湯路お
よび下降油路である。 次に上記実施例の作動態用について説明する。まず、上
昇油路12に作動油が供給されると、ピストン7bが上昇
し、ロッド7cを介して作動板８が上昇する。これによ
り、各円錐係合体９が上昇されて各円錐穴６から離脱
し、テーブル３の係合が解除される。 次いでモータ11が所定数回転されると、駆動ギヤ10、内
歯ギヤ４を介してテーブル３が所定角度回転されるとと
もに、各円錐穴６が各円錐係合体９と対応した位置で停
止される。この状態で作動油が下降油路13に供給される
と、ピストン7bが下降し、ロッド7cを介して作動板８が
下降する。 これにより、各円錐係合体９が下降されて各円錐穴６に
テーパ嵌合し、テーブル３を架台１側に係止する。この
場合、各円錐係合体９が各円錐穴６に上方から密接にテ
ーパ嵌合するので、内歯ギヤ４と駆動ギヤ10とのバック
ラッシュによる誤差が補正されてテーブル３を正確な位
置に位置決め固定するとともに、該テーブル３の浮き上
がりが防止される。

【考案の効果】

以上の説明から明らかな如く、本考案は一個のシリンダ
により、多数の円錐係合体を作動させるようにしたの
で、また回転体を架台に係脱する係脱機構、即ち円錐穴
と円錐係合体とを回転体駆動用の内歯ギヤ部に設けるよ
うにしたので、構造が簡素にかつ小型になるとともに、
回転体を正確な位置に位置決め固定することができる。
しかも上記円錐穴と円錐係合体とが互いに密接に嵌合し
て接触面積が大きくなるので、大きな負荷に耐える等の
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す縦断面図、第２図はその
II-II相当の断面図である。 1:架台、2:軸、3:テーブル（回転体）、4:内歯ギヤ、4
a:歯、5:リング、6:円錐穴、7:シリンダ、7a:ピスト
ン、7b:シリンダ室、7c:ロッド、8:作動板、9:円錐係合
体、10:駆動ギヤ、11:モータ、11a:出力軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下部に内歯ギヤを有する円板状の回転体を
   架台の上面に回転可能に載置し、架台に前記内歯ギヤに
   噛み合う駆動ギヤを設け、回転体を架台に係脱する係脱
   機構を設けてなる工作機用回転体の位置決め装置におい
   て、前記内歯ギヤの歯部に接近して嵌合するリングを架
   台に固定し、内歯ギヤとリングとの対面部に下方が縮小
   する円錐穴を周方向に所定ピッチで形成し、前記架台の
   軸心部に上下方向に作動するシリンダを設け、該シリン
   ダのロッドに前記内歯ギヤおよびリングの上方に位置す
   る円板状の作動板を連結し、該作動板の外周部に前記円
   錐穴に密接にテーパ嵌合する円錐係合体を周方向に多数
   懸垂固定したことを特徴とする工作機用回転体の位置決
   め装置。