JPH07236430A - ペレット化可能な反芻動物用ルーメンバイパス製剤 - Google Patents

ペレット化可能な反芻動物用ルーメンバイパス製剤

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JPH07236430A
JPH07236430A JP6054558A JP5455894A JPH07236430A JP H07236430 A JPH07236430 A JP H07236430A JP 6054558 A JP6054558 A JP 6054558A JP 5455894 A JP5455894 A JP 5455894A JP H07236430 A JPH07236430 A JP H07236430A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ペレット化工程での機械的、熱的な破壊作用に
対する耐久性に優れたルーメンバイパス製剤を提供す
る。 【構成】生物学的活性物質を非水溶性の合成熱可塑性ポ
リマー又はコポリマー及び酸溶解性物質を有する成形物
中に含むことを特徴とする反芻動物用ルーメンバイパス
製剤。 【効果】ルーメンバイパス製剤を含む飼料ペレットがペ
レットミルを用いて量産できるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は反芻動物用ルーメンバイ
パス製剤に係わり、さらに詳しくは、ペレット化工程に
おける機械的な応力や熱の影響に耐久性を有するペレッ
ト化可能なルーメンバイパス製剤に関する。
【0002】本発明のルーメンバイパス製剤は、生物学
的活性成分をルーメンバイパスさせて動物体内に到達さ
せることができ、しかもペレットミルで他の飼料と共に
ペレット化することができる(耐ペレット化性を有す
る)ため、牛、羊等の反芻動物用に栄養学的、臨床学的
に有益な飼料として様々な給餌方法に適応して用いるこ
とができる。
【0003】
【従来の技術】反芻動物の飼育に際し、飼料と共にルー
メンバイパス製剤を投与することは栄養学的、臨床学的
な有益性から普及が進んでいる。しかし、ルーメンバイ
パス製剤の嗜好性の問題やルーメンバイパス製剤を反芻
動物個々へ計量給与するような作業の煩雑さ等が問題と
されていた。一方飼料ペレットも給餌作業の軽減や自動
化を可能とするものとして、近年益々普及が進んでい
る。
【0004】従って、ルーメンバイパス製剤をその構成
成分として含む飼料ペレットが実用化されれば、両者の
利点を活かした有益な飼料となると予想される。
【0005】反芻動物用ルーメンバイパス製剤は、各種
アミノ酸、各種ビタミン、その他の生物学的活性物質の
一種又はこれらの2種以上を含んだ製剤であって、反芻
動物のルーメン(第一胃)内における生物学的活性物質
の溶出又は微生物による分解を制限する一方で、第四胃
以降の消化器官での生物学的活性物質の溶出と吸収を可
能とする機能を有するものである。ルーメンバイパス製
剤の概念と実例はすでに多くものが公知となっている。
【0006】しかしながら、これらのルーメンバイパス
製剤は、ペレットミルを用いるペレット化の意図をほと
んど持たずに構成されていると考えられる。
【0007】本発明者らは、後述の比較例でその一部を
示すが、これら公知のルーメンバイパス製剤を試作し、
ペレットミルで試作ルーメンバイパス製剤と飼料とから
飼料ペレットを作製してみた。しかしながら、生物学的
活性物質の粒子を保護コーティングした形式のものも、
油脂類に生物学的活性物質を分散した形式のものも、加
湿・加熱処理と機械的作用を含むペレット化工程の間に
原型を止めない程に破壊され、そのルーメンバイパス性
は、消失または極端に低減し、実用上の有為性は失われ
た。
【0008】また、USP.5068108 号には、高分子物質と
油脂とを混合してルーメンバイパス製剤を形成したもの
で、耐ペレット化の概念の記載があるが、実施例には製
剤組成が記載されているのみで、ルーメンバイパス製剤
そのものの性能、ペレット化後のルーメンバイパス性の
評価結果等は、何ら記載がない。
【0009】本発明者等は、USP5068108の実施例を参考
にして検討したが、高分子物質と油脂とを混合した製剤
では機械的な強度は不十分で、ペレットミルでのペレッ
ト化工程で原型を止めない程に破壊され、ルーメンバイ
パス性が消失した。
【0010】非水溶性の熱可塑性ポリマー又は熱可塑性
コポリマー(以下、該熱可塑性ポリマーと記す)と酸溶
解性物質をルーメンバイパス製剤の構成成分として耐ペ
レット化性の機能を持たせる方法は、公知ではない。該
熱可塑性ポリマーがルーメンバイパス製剤の構成成分と
して用いられなかった理由は、耐ペレット化の要因がな
ければ、これらよりも容易にルーメンバイパス性と第四
胃以降の溶出、吸収性とのバランスがとれ、飼料として
も有益な構成成分が他に多くあったからと考えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、ルーメンバイパス製剤を包含する飼料
ペレットを実用化し、上記のようなルーメンバイパス製
剤と飼料ペレットの両者の利点を活用し、問題点を解消
することにある。その結果として牛、羊等の反芻動物用
飼料としてその有益性を活用することが可能となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、試みに、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共
重合体のような該熱可塑性ポリマーに生物学的活性物質
を含有させて製剤を試作した。この試作製剤の動的粘弾
性測定(30℃、30Hz)における弾性率は109
10 13 Paであり、製剤にもろさはなく、該熱可塑性
ポリマー特有の伸びの性質も保持していた。
【0013】この試作製剤を飼料と共にペレットミルを
用いてペレット化したところ、ペレット化工程でその形
状は、変化するものの、粉砕されることはなく、その飼
料ペレットのルーメン中での生物学的活性物質の溶出性
は極めて低いままで、ペレット化前の製剤の水準を維持
しており、これら試作製剤が、優れた耐ペレット化性を
有することを見出した。しかし、これらの合成樹脂は、
第四胃以降の溶出、吸収性が不良であった。
【0014】そこで、該熱可塑性ポリマーに酸溶解性を
付与すれば、第四胃で部分的に溶解して生物学的活性物
質を放出でき、ルーメンバイパス性が得られるとの着想
からさらに検討を進めた結果、本発明者等は生物学的活
性成分を該熱可塑性ポリマーに酸溶解性の物質を添加す
る方法で、目的の耐ペレット化性、ルーメンバイパス性
および第四胃以降の溶出、吸収性を合わせ持つ製剤が得
られることを見出し本発明に到達した。
【0015】本発明におけるルーメンバイパス製剤は、
その構造・構成に特に制限はない。形状についても特に
制限はないが、球状や円柱状が考えられる。大きさも特
に制限はないが、粒径が 0.5〜3.0mm が適当と考えられ
る。
【0016】本発明におけるルーメンバイパス製剤中の
生物学的活性物質の組成比は、ルーメンバイパス製剤1
00重量部中、1〜70重量部、好ましくは10〜50
重量部である。この範囲より少ない量では、生物学的活
性物質の有効性が乏しく、多い範囲では、ルーメン中で
の溶出が防止出来なくなる。
【0017】残部の99〜30重量部(好ましくは90
〜50重量部)は、該熱可塑性ポリマーと酸溶解性物質
であるが、部分的に改質のための添加剤に置き換えるこ
とができる。残部中の該熱可塑性ポリマーの組成比は、
95〜40重量部、好ましくは90〜50重量部、酸溶
解性物質が5〜60重量部、好ましくは10〜50重量
部である。部分的に置き換え得る改質添加剤の量は、残
部の30重量部以下である。これらの範囲外では、ルー
メンバイパス性と第四胃以降の溶出、吸収性とのバラン
スが不良となる。
【0018】本発明に用いられる生物学的活性物質とし
ては、メチオニン、リジン等のアミノ酸、アミノ酸の
塩、アミノ酸の二量体や重合体、アミノ酸誘導体、MH
A(メチオニンヒドロキシアナログ)、MHAの塩、各
種ビタミン類、ぶどう糖、蔗糖等の糖類、ホルモン、酵
素、動物薬、抗生物質、ワクチン等が挙げられる。
【0019】本発明に用いられる該熱可塑性ポリマー
は、加熱溶融により成形できる平均分子量10,000
以上のポリマー、コポリマー、縮重合ポリマーで、実質
的に水に溶解しないものである。その例としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン等のオレ
フィン類のポリマー、エチレン−酢酸ビニル等のオレフ
ィン類のコポリマー、1,2-ポリブタジエン、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等のポリマーや
コポリマー、ポリアミド、ポリエステル等の縮重合ポリ
マー等が挙げられる。
【0020】本発明における酸溶解性物質とは、pH5
〜8の中性領域では実質的に水に溶解せず、pH3以下
の酸性領域では水に溶解する物質をいう。
【0021】本発明に用いられる酸溶解性物質の例とし
ては、キチン、キトサン、アルギン酸カルシウム等の天
然物由来の高分子、ポリビニルアセタールジエチルアミ
ノアセテート、ジメチルアミノエチルメタクリレート−
メチルメタクリル酸コポリマー、ビニルピリジン−スチ
レンコポリマー等の合成高分子、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、第二燐酸カルシウム、第三燐酸カルシウ
ム、第三燐酸マグネシウム、燐酸亜鉛、燐酸アルミニウ
ム、ケイ酸カルシウム、炭酸鉛等の無機塩類等が挙げら
れる。
【0022】本発明においては、上記のほかに改質添加
剤等を添加することができる。かかる部分的に置き換え
得る改質添加剤の例としては、安定剤、香料、甘味料、
着色料、嗜好性改良剤等の各種添加剤、改質用のポリマ
ーやオリゴマー、可塑剤、各種飼料の粉砕物や短繊維
物、無機物の粉末等が挙げられる。
【0023】本発明のルーメンバイパス製剤の製造方法
は、特に限定はなく、プラスチック成形に用いられる各
種成形法を利用できるが、一例として吐出口に回転刃の
付いた2軸の押し出し成形機が挙げられる。
【0024】本発明におけるペレットは、飼料業界で広
く用いられているペレットミルと称されるローラー押し
出し式のもので、ペレット化される飼料等が、ポッパー
から投入され、ついで、スチームにより加湿、加熱され
た後、ローラーによって機械的にペレットダイの孔に連
続的に押し込まれ、押されつつ孔の中を通過する間に硬
い飼料ペレット(ハードペレット)になる形式のもので
ある。また、飼料業界においては、各種造粒品の大きさ
や製造プロセスによって呼称が決まっており、ペレット
とは、上記の形式で製造された飼料造粒品を意味する。
【0025】
【実施例】本発明を、実施例および比較例により、さら
に詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実
施例により何らの制限を受けるものではない。
【0026】A)ルーメンバイパス製剤の作製 (A−1)粉末状のメチオニン30重量部、粒状の低密
度ポリエチレン(M14 日本石油化学)40重量部、
キトサン(LLWP 君津化学)5重量部、粉末状の炭酸カ
ルシウム25重量部を混合し、吐出口に回転刃のついた
押し出し成形機のホッパーに入れた。押し出し成形機の
バレル温度を210℃、吐出口温度を190℃として粒
径約1.5mmのほぼ球状の製剤を得た。
【0027】(A−2)粒状のメチオニン28重量部、
ビタミンEアセテート2重量部、粒状のエチレン−酢酸
ビニルコポリマー(EVAFLEX EV360 三井デュポンポリケ
ミカル)50重量部、粉末状の第三燐酸カルシウム20
重量部を混合し、吐出口に回転刃のついた押し出し成形
機のホッパーに入れた。押し出し成形機のバレル温度を
140℃、吐出口温度を130℃として粒径約1.2m
mのほぼ球状の製剤を得た。
【0028】(A−3)粒状のポリプロピレン(709HK
宇部興産)50重量部、キトサン(LLWP 君津化学)1
0重量部、炭酸カルシウム10重量部を混合し、ついで
粉末状のMHA15重量部、リジン15重量部を添加混
合した。これを吐出口に回転刃のついた押し出し成形機
のホッパーに入れ、押し出し成形機のバレル温度を21
0℃、吐出口温度を190℃として粒径約2mmのほぼ
球状の製剤を得た。
【0029】(A−4)MHAのカルシウム塩30重量
部、粒状のポリエステル(バイロン200 東洋紡績) 40
重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート−メチル
メタクリル酸コポリマー20重量部、第二燐酸カルシウ
ム10重量部、を混合しこれを吐出口に回転刃のついた
押し出し成形機のホッパーに入れ、押し出し成形機のバ
レル温度を210℃、吐出口温度を190℃として粒径
約2mmのほぼ球状の製剤を得た。
【0030】(C−1)牛脂54°硬化油(日本油脂)
25重量部、牛脂極度硬化油(日本油脂)26重量部を
加熱溶解し、混合機中にて攪拌しながらメチオニン28
重量部、ビタミンEアセテート2重量部、キトサン4重
量部、炭酸カルシウム8重量部、第一燐酸カルシウム7
重量部を添加して混合懸濁させ溶融スラリーを作った。
このスラリーを高さ20mの空塔の低部から冷風を送入
しながら頂部より噴霧して造粒した。得られた造粒物を
篩別し、粒径0.6〜1.4mmのルーメンバイパス製
剤を得た。
【0031】(C−2)平均粒径が、0.5 〜0.7mm の98
% 濃度のメチオニン粒子 350g をステアリン酸( 融点68
-69 ℃)88g 、2-ビニルピリジン/スチレン(70:30) 共
重合ポリマー 22g、1,2-ジクロロエタン 500g、エタノ
ール 500g、帯電防止剤 3ml からなる溶液で流動床法
によってコーティングしてルーメンバイパス製剤を作製
した。
【0032】・ペレット化試験 下記条件で上記のルーメンバイパス製剤をペレット化
し、評価した。飼料:本試験では、溶出率の測定の際に
妨害物がほとんどないこと、ペレット中の製剤の取り出
しと観察が容易なことから生米糠を使用。 ペレットミル:50HP ダイの孔径:4mm ルーメンバイパス製剤の組成比:2.5% ダイ温度:75〜85℃
【0033】・評価試験 下記項目についてペレット化前後の製剤の評価を行っ
た。 Mc溶出率:製剤又は飼料ペレットをMc液に浸漬し2
4時間振とうした時のMc液に溶出した活性物質量の製
剤中活性物質量に対する比であり、ルーメン内溶出量に
相当。 CL溶出率:Mc溶出率測定後、固形物を濾別し、その
固形物をCL液に浸漬し、3時間振とうした時にCL液
に溶出した活性物質量の製剤中活性物質量に対する比で
あり、第4胃溶出量に相当。 Mc液 :第一胃胃液対応液であり、炭酸水素ナトリ
ウム9.8g、塩化カリウム0.57g、リン酸2ナト
リウム12水塩9.30g、塩化ナトリウム0.47
g、及び硫酸マグネシウム7水塩0.12gを水に溶解
して全量を1lとした溶液。 CL液 :第四胃胃液対応液であり、0.2N塩化カ
リウム50ml、及び0.2N塩酸10mlに水を加え
て全量を200mlとした溶液。
【0034】・動的粘弾性率測定 実施例1〜4の製剤組成を直径約5mmの丸棒状に押出
成形し、約5cmの長さに切断して試料とした。試料を
レオバイブロン DDV−III−EA(オリエンテッ
ク社)を用いて、30Hz、30〜150℃の範囲で弾
性率を測定した。表1に30℃における弾性率(Pa)
を示した。なお、比較例の組成では成形物が脆く、測定
に適した試料を作製できなかった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】表1に示した様に、C−1,C−2のル
ーメンバイパス製剤をペレットミルでペレット化したも
のは、いずれも、ルーメンバイパス製剤が破壊され、そ
のルーメンバイパス性は極端に低下して、もはや実用性
はない。一方、本発明によるA−1〜A−4の耐ペレッ
ト化製剤は、形状の変形はあるもののペレット化工程後
でも良好なルーメンバイパス性と第四胃以降の溶解性を
維持しており、耐ペレット化性があることが認められ
た。
【0037】本発明により、従来は実用化出来なかった
ルーメンバイパス製剤を含む飼料ペレットの実用化が可
能となった。本発明は非水溶性の合成熱可塑性ポリマー
またはコポリマーの耐ペレット化性を利用してルーメン
バイパス製剤を得るもので、その結果ルーメンバイパス
製剤を含む飼料ペレットが従来のペレットミルで容易に
量産できるようになる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生物学的活性物質を非水溶性の合成熱可塑
    性ポリマー又はコポリマー及び酸溶解性物質を有する成
    形物中に含むことを特徴とする反芻動物用ルーメンバイ
    パス製剤。
  2. 【請求項2】非水溶性の合成熱可塑性ポリマー又はコポ
    リマーがポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢
    酸ビニルコポリマー、ポリエステルからなる群から選ば
    れた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記
    載のルーメンバイパス製剤。
  3. 【請求項3】酸溶解性物質が、ルーメンバイパス製剤1
    00重量部中1.5重量部〜60重量部であることを特
    徴とする請求項1又は請求項2記載のルーメンバイパス
    製剤。
  4. 【請求項4】酸溶解性物質が無機塩類であることを特徴
    とする請求項1又は請求項2記載のルーメンバイパス製
    剤。
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