JPH07232963A - 誘電体磁器組成物及び積層セラミックコンデンサ - Google Patents
誘電体磁器組成物及び積層セラミックコンデンサInfo
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- JPH07232963A JPH07232963A JP6023965A JP2396594A JPH07232963A JP H07232963 A JPH07232963 A JP H07232963A JP 6023965 A JP6023965 A JP 6023965A JP 2396594 A JP2396594 A JP 2396594A JP H07232963 A JPH07232963 A JP H07232963A
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- dielectric
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- ceramic capacitor
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Abstract
(57)【要約】
【構成】Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 とこれよりも高いキ
ュリー点をもつ他のPb系誘電体とからなる主組成物に
対し、副成分としてPb(Cr1/2Nb1/2)O3を0.5〜
5重量%添加した誘電体磁器組成物。 【効果】Cuが酸化されない低酸素分圧下で焼成して
も、実用レベルの誘電率,誘電損失を維持しつつ、10
12〜1013Ωcm台の高い抵抗率を有する。Cuを内部電
極とする積層セラミックコンデンサ用の誘電体磁器に好
適。
ュリー点をもつ他のPb系誘電体とからなる主組成物に
対し、副成分としてPb(Cr1/2Nb1/2)O3を0.5〜
5重量%添加した誘電体磁器組成物。 【効果】Cuが酸化されない低酸素分圧下で焼成して
も、実用レベルの誘電率,誘電損失を維持しつつ、10
12〜1013Ωcm台の高い抵抗率を有する。Cuを内部電
極とする積層セラミックコンデンサ用の誘電体磁器に好
適。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層セラミックコンデ
ンサに用いる誘電体材料に係り、特に、Cuを内部電極
として用いることのできる耐還元性に優れる誘電体磁器
組成物及びこれを用いた積層セラミックコンデンサに関
する。
ンサに用いる誘電体材料に係り、特に、Cuを内部電極
として用いることのできる耐還元性に優れる誘電体磁器
組成物及びこれを用いた積層セラミックコンデンサに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器は軽薄短小化する傾向に
あり、それに対応して電子部品である積層セラミックコ
ンデンサに対しても一層の小型化,大容量化が求められ
ている。このため誘電体一層の薄層化と積層数が増加す
る傾向にあり、それに伴ってチップに占める内部電極の
コストが高くなるという問題がある。このため内部電極
材には高価なPt,Pd,Ag−Pdに代えて、Cu,
Niのような安価な卑金属を用いることが検討されてい
る。この場合には、焼成の際にCu,Niが酸化される
のを防ぐために、還元性あるいは低酸素分圧雰囲気で焼
成することが必要となるが、PbOを主成分とするPb
系誘電体ではそれらの雰囲気で焼成すると、誘電体磁器
が還元作用を受けて電気絶縁抵抗が低下するという欠点
がある。この欠点を解決するため、例えば、特開昭62−
96357 号公報ではPb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3 系の
Pbの一部をCa,Sr,Ba等で置換する、あるいは
特開平2−9756 号では同系のNb,Tiの一部をMgで
置換することが提案されている。
あり、それに対応して電子部品である積層セラミックコ
ンデンサに対しても一層の小型化,大容量化が求められ
ている。このため誘電体一層の薄層化と積層数が増加す
る傾向にあり、それに伴ってチップに占める内部電極の
コストが高くなるという問題がある。このため内部電極
材には高価なPt,Pd,Ag−Pdに代えて、Cu,
Niのような安価な卑金属を用いることが検討されてい
る。この場合には、焼成の際にCu,Niが酸化される
のを防ぐために、還元性あるいは低酸素分圧雰囲気で焼
成することが必要となるが、PbOを主成分とするPb
系誘電体ではそれらの雰囲気で焼成すると、誘電体磁器
が還元作用を受けて電気絶縁抵抗が低下するという欠点
がある。この欠点を解決するため、例えば、特開昭62−
96357 号公報ではPb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3 系の
Pbの一部をCa,Sr,Ba等で置換する、あるいは
特開平2−9756 号では同系のNb,Tiの一部をMgで
置換することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Cuを内部電極とする
積層セラミックコンデンサでは、Cuが酸化しない低酸
素分圧雰囲気で焼成しても電気絶縁抵抗が低下しない誘
電体磁器が求められている。しかし従来の誘電体磁器で
は抵抗率の大きさが必ずしも十分ではない。本発明の目
的は、低酸素分圧下で焼成してもPb系誘電体の特徴で
ある低温焼成,高誘電率,低誘電損失等を大きく損なわ
ずに、従来品よりもさらに高い絶縁抵抗を有する耐還元
性に優れた誘電体磁器組成物及びこれを用いた積層セラ
ミックコンデンサを提供することにある。
積層セラミックコンデンサでは、Cuが酸化しない低酸
素分圧雰囲気で焼成しても電気絶縁抵抗が低下しない誘
電体磁器が求められている。しかし従来の誘電体磁器で
は抵抗率の大きさが必ずしも十分ではない。本発明の目
的は、低酸素分圧下で焼成してもPb系誘電体の特徴で
ある低温焼成,高誘電率,低誘電損失等を大きく損なわ
ずに、従来品よりもさらに高い絶縁抵抗を有する耐還元
性に優れた誘電体磁器組成物及びこれを用いた積層セラ
ミックコンデンサを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 を主成分
とする磁器組成物に、副成分としてペロブスカイト構造
をもつPb(Cr1/2Nb1/2)O3 を添加することにより
低酸素分圧雰囲気で焼成しても高い抵抗率を保持するこ
とをみいだした。すなわち、本発明の骨子は、Pb(C
r1/2Nb1/2)O3の合成ならびに添加にある。Pb(C
r1/2Nb1/2)O3は、大気中焼成ではペロブスカイト構
造にならない。低酸素分圧下の雰囲気、例えば、酸素分
圧が10-1Pa以下のN2 中焼成の場合に、ペロブスカ
イト化して誘電体となる。これを主組成物であるPb
(Mg1/3Nb2/3)O3 等のPb系誘電体に添加すること
により、高い抵抗率を有する耐還元性の誘電体磁器が得
られる。また、本発明の誘電体磁器を用いることによ
り、電気絶縁抵抗が高いCu内部電極の積層セラミック
コンデンサが得られる。
に、本発明者らは、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 を主成分
とする磁器組成物に、副成分としてペロブスカイト構造
をもつPb(Cr1/2Nb1/2)O3 を添加することにより
低酸素分圧雰囲気で焼成しても高い抵抗率を保持するこ
とをみいだした。すなわち、本発明の骨子は、Pb(C
r1/2Nb1/2)O3の合成ならびに添加にある。Pb(C
r1/2Nb1/2)O3は、大気中焼成ではペロブスカイト構
造にならない。低酸素分圧下の雰囲気、例えば、酸素分
圧が10-1Pa以下のN2 中焼成の場合に、ペロブスカ
イト化して誘電体となる。これを主組成物であるPb
(Mg1/3Nb2/3)O3 等のPb系誘電体に添加すること
により、高い抵抗率を有する耐還元性の誘電体磁器が得
られる。また、本発明の誘電体磁器を用いることによ
り、電気絶縁抵抗が高いCu内部電極の積層セラミック
コンデンサが得られる。
【0005】
【作用】本発明は、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 とこれよ
りも高いキュリー点を有するPb系誘電体とからなる主
組成物に、副成分としてPb(Cr1/2Nb1/2)O3 を
0.5〜5 重量%添加することにより、内部電極のCu
が酸化しない10-1Pa以下の低い酸素分圧雰囲気で焼
成しても誘電体磁器は還元されにくく、したがって従来
品よりも高い抵抗率を保持する効果が認められる。
りも高いキュリー点を有するPb系誘電体とからなる主
組成物に、副成分としてPb(Cr1/2Nb1/2)O3 を
0.5〜5 重量%添加することにより、内部電極のCu
が酸化しない10-1Pa以下の低い酸素分圧雰囲気で焼
成しても誘電体磁器は還元されにくく、したがって従来
品よりも高い抵抗率を保持する効果が認められる。
【0006】Pb(Cr1/2Nb1/2)O3の添加量を0.5
〜5重量%に限定した理由は、次の通りである。0.5
重量%より少ないと抵抗率は1012Ωcm以下となり、5
重量%を越えると抵抗率は低下すると共に、誘電率が低
下し誘電損失も増加するため好ましくない。好ましくは
0.5〜5 重量%の範囲であり、さらに好ましくは1〜
4重量%の範囲である。
〜5重量%に限定した理由は、次の通りである。0.5
重量%より少ないと抵抗率は1012Ωcm以下となり、5
重量%を越えると抵抗率は低下すると共に、誘電率が低
下し誘電損失も増加するため好ましくない。好ましくは
0.5〜5 重量%の範囲であり、さらに好ましくは1〜
4重量%の範囲である。
【0007】また、Pb(Cr1/2Nb1/2)O3 は、低酸
素分圧が10-1Pa以下の非酸化性雰囲気で焼成した場
合に誘電体に好適なペロブスカイト構造となり、10-1
Pa以上の酸素分圧あるいは大気中焼成ではペロブスカ
イト化しない。したがって、焼成時の酸素分圧は10-1
Pa以下であることが望ましい。X線回折法により、ペ
ロブスカイトの最強線(110)の強度Ipe、パイロクロ
アの最強線(222)の強度Ipyとして求めたペロブスカ
イト生成率〔=Ipe/(Ipe+Ipy)〕を0.7以上に限
定した理由は、0.7 より少ないと磁器の抵抗率が10
11Ωcm以下となり好ましくない。
素分圧が10-1Pa以下の非酸化性雰囲気で焼成した場
合に誘電体に好適なペロブスカイト構造となり、10-1
Pa以上の酸素分圧あるいは大気中焼成ではペロブスカ
イト化しない。したがって、焼成時の酸素分圧は10-1
Pa以下であることが望ましい。X線回折法により、ペ
ロブスカイトの最強線(110)の強度Ipe、パイロクロ
アの最強線(222)の強度Ipyとして求めたペロブスカ
イト生成率〔=Ipe/(Ipe+Ipy)〕を0.7以上に限
定した理由は、0.7 より少ないと磁器の抵抗率が10
11Ωcm以下となり好ましくない。
【0008】さらに、主組成物にはPb(Mg1/3Nb
2/3)O3 よりも高いキュリー点を有するPb系誘電体を
少なくとも一種を含むが、これは磁器のキュリー点が0
〜20℃付近になるように調整するためである。すなわ
ち、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3及びPb(Cr1/2Nb
1/2)O3 はキュリー点が0℃以下であるため、それより
も高いキュリー点をもつPbTiO3,Pb(Fe1/2Nb1/2)
O3,Pb(Zn1/3Nb2/3)O3,PbZrO3 等の中から選
ばれ、磁器のキュリー点が0〜20℃になるように適宜
添加する。その添加量は特に限定しないが、主組成物中
おおむね10モル%以下のものが高い抵抗率を得て好ま
しい。
2/3)O3 よりも高いキュリー点を有するPb系誘電体を
少なくとも一種を含むが、これは磁器のキュリー点が0
〜20℃付近になるように調整するためである。すなわ
ち、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3及びPb(Cr1/2Nb
1/2)O3 はキュリー点が0℃以下であるため、それより
も高いキュリー点をもつPbTiO3,Pb(Fe1/2Nb1/2)
O3,Pb(Zn1/3Nb2/3)O3,PbZrO3 等の中から選
ばれ、磁器のキュリー点が0〜20℃になるように適宜
添加する。その添加量は特に限定しないが、主組成物中
おおむね10モル%以下のものが高い抵抗率を得て好ま
しい。
【0009】
〔実施例1〕出発原料に純度99.9% 以上の酸化鉛
(PbO),酸化クロム(Cr2O3)および酸化ニオブ(N
b2O5)を使用し、Pb(Cr1/2Nb1/2)O3 となるよ
うに原料を秤量した。秤量した原料をボールミルで湿式
混合した後、一つは大気中750℃で、他は酸素分圧1
0-2PaのN2 ガス中750℃で1時間予備焼成を行っ
た。それぞれの粉末をボールミルで湿式粉砕し乾燥した
のち、有機バインダを加え整粒後プレスし、直径12m
m,厚さ約2mmの円板試料を作製した。次に、雰囲気の
異なる2種類の予備焼成試料について、前者は大気中1
000℃で、後者は酸素分圧10-2PaのN2 ガス中1
000℃でそれぞれ1時間焼成した。得られた2種類の
焼結体についてX線回折法により結晶相を調べた結果を
図2,図3に示す。図から明らかなように、大気中で焼
結した試料はパイロクロア単相であるが(図2)、低酸素
分圧下で焼結した試料は誘電体として好適なペロブスカ
イト単相であることがわかる(図3)。なお、予備焼成が
低酸素分圧N2 ガスであっても本焼成が大気中の場合、
あるいは予備焼成が大気中で本焼成が低酸素分圧N2 の
場合には、両者ともペロブスカイトは生成しなかった。
(PbO),酸化クロム(Cr2O3)および酸化ニオブ(N
b2O5)を使用し、Pb(Cr1/2Nb1/2)O3 となるよ
うに原料を秤量した。秤量した原料をボールミルで湿式
混合した後、一つは大気中750℃で、他は酸素分圧1
0-2PaのN2 ガス中750℃で1時間予備焼成を行っ
た。それぞれの粉末をボールミルで湿式粉砕し乾燥した
のち、有機バインダを加え整粒後プレスし、直径12m
m,厚さ約2mmの円板試料を作製した。次に、雰囲気の
異なる2種類の予備焼成試料について、前者は大気中1
000℃で、後者は酸素分圧10-2PaのN2 ガス中1
000℃でそれぞれ1時間焼成した。得られた2種類の
焼結体についてX線回折法により結晶相を調べた結果を
図2,図3に示す。図から明らかなように、大気中で焼
結した試料はパイロクロア単相であるが(図2)、低酸素
分圧下で焼結した試料は誘電体として好適なペロブスカ
イト単相であることがわかる(図3)。なお、予備焼成が
低酸素分圧N2 ガスであっても本焼成が大気中の場合、
あるいは予備焼成が大気中で本焼成が低酸素分圧N2 の
場合には、両者ともペロブスカイトは生成しなかった。
【0010】〔実施例2〕出発原料として純度が99.
9% 以上の酸化鉛(PbO),酸化マグネシウム(Mg
O),酸化ニオブ(Nb2O5),酸化チタン(TiO2),酸
化第2鉄(Fe2O3),酸化亜鉛(ZnO),酸化ジルコニ
ウム(ZrO2)および酸化クロム(Cr2O3)を使用し、
表1に示した配合比となるようにそれぞれを秤量した。
9% 以上の酸化鉛(PbO),酸化マグネシウム(Mg
O),酸化ニオブ(Nb2O5),酸化チタン(TiO2),酸
化第2鉄(Fe2O3),酸化亜鉛(ZnO),酸化ジルコニ
ウム(ZrO2)および酸化クロム(Cr2O3)を使用し、
表1に示した配合比となるようにそれぞれを秤量した。
【0011】
【表1】
【0012】表中の記号は主組成物を示す略号で、PM
N:Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 ,PT:PbTiO3,
PFN:Pb(Fe1/2Nb1/2)O3,PZN:Pb(Zn1/3N
b2/3)O3及びPZ:PbZrO3 である。秤量した原料
をボールミルで湿式混合した後、酸素分圧10-2Paの
N2 ガス中750〜800℃で予備焼成を行い、さらに
粉末をボールミルで湿式粉砕し乾燥した。この粉末に成
形用の有機バインダを加えて整粒した後、プレスして直
径12mm、厚さ約2mmの円板を5枚作製した。このよう
に作製した試料は酸素分圧10-2PaのN2 ガス中95
0〜1050℃の温度で1時間焼成した。焼結体はPb
(Mg1/3Nb2/3)O3 等の主組成物とPb(Cr1/2Nb
1/2)O3とから成り、Pb(Cr1/2Nb1/2)O3のペロブ
スカイト生成率はすべて0.7 以上であった。焼結した
円板試料は上下面に特性評価用のAg−Pd電極を付
け、デジタルLCRメータで周波数1kHz,電圧1Vr
ms,温度20℃で静電容量と誘電損失(tanδ)を測定
し、誘電率を算出した。また、超絶縁抵抗計で試料に5
0V/mmの電圧を1分間印加して、絶縁抵抗(20℃)を
測定し、抵抗率を算出した。各組成に対する特性は試料
5点の平均値で求めた。このようにして得られた磁器組
成と20℃における誘電率,誘電損失および抵抗率の関
係を表1に示す。
N:Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 ,PT:PbTiO3,
PFN:Pb(Fe1/2Nb1/2)O3,PZN:Pb(Zn1/3N
b2/3)O3及びPZ:PbZrO3 である。秤量した原料
をボールミルで湿式混合した後、酸素分圧10-2Paの
N2 ガス中750〜800℃で予備焼成を行い、さらに
粉末をボールミルで湿式粉砕し乾燥した。この粉末に成
形用の有機バインダを加えて整粒した後、プレスして直
径12mm、厚さ約2mmの円板を5枚作製した。このよう
に作製した試料は酸素分圧10-2PaのN2 ガス中95
0〜1050℃の温度で1時間焼成した。焼結体はPb
(Mg1/3Nb2/3)O3 等の主組成物とPb(Cr1/2Nb
1/2)O3とから成り、Pb(Cr1/2Nb1/2)O3のペロブ
スカイト生成率はすべて0.7 以上であった。焼結した
円板試料は上下面に特性評価用のAg−Pd電極を付
け、デジタルLCRメータで周波数1kHz,電圧1Vr
ms,温度20℃で静電容量と誘電損失(tanδ)を測定
し、誘電率を算出した。また、超絶縁抵抗計で試料に5
0V/mmの電圧を1分間印加して、絶縁抵抗(20℃)を
測定し、抵抗率を算出した。各組成に対する特性は試料
5点の平均値で求めた。このようにして得られた磁器組
成と20℃における誘電率,誘電損失および抵抗率の関
係を表1に示す。
【0013】表から明らかなように、Pb(Mg1/3Nb
2/3)O3 とこれよりも高いキュリー点をもつPb系誘電
体からなる主組成物に対し、副成分としてPb(Cr1/2Nb
1/2)O3を0.5〜5 重量%添加した本発明の誘電体磁器
は、実用レベルの高い誘電率と低い誘電損失を保持しつ
つ高い抵抗率を有しており、耐還元性に優れた誘電体磁
器組成物であることがわかる。
2/3)O3 とこれよりも高いキュリー点をもつPb系誘電
体からなる主組成物に対し、副成分としてPb(Cr1/2Nb
1/2)O3を0.5〜5 重量%添加した本発明の誘電体磁器
は、実用レベルの高い誘電率と低い誘電損失を保持しつ
つ高い抵抗率を有しており、耐還元性に優れた誘電体磁
器組成物であることがわかる。
【0014】なお、本発明の組成範囲外、すなわち、P
b(Cr1/2Nb1/2)O3が0.5重量%未満および5重量
%を超えるものは、誘電率の低下や誘電損失の増加ある
いは抵抗率の低下等のため特性の改善効果が小さくな
る。
b(Cr1/2Nb1/2)O3が0.5重量%未満および5重量
%を超えるものは、誘電率の低下や誘電損失の増加ある
いは抵抗率の低下等のため特性の改善効果が小さくな
る。
【0015】〔実施例3〕本発明になる誘電体磁器を用
いたCuを内部電極材とする積層セラミックコンデンサ
を試作した。誘電体磁器組成は一例として表1のNo.5
に相当するものを用いた。誘電体粉は、実施例2で示し
た方法により、PMN:PT=97:3(モル%)の10
0に対し、副成分としてPb(Cr1/2Nb1/2)O3 を2
重量%添加し、混合,予備焼成,粉砕したものを用い
た。この誘電体粉に、有機バインダとしてポリブチルブ
チラール樹脂(PVB),可塑剤としてブチルフタリルグ
リコレート(BPBG),溶剤としてエタノールとメチル
エチルケトンとn−ブタノールの3種混合溶剤(混合割
合=35:60:5vol%) を下記の組成で混合し、ス
ラリとした。
いたCuを内部電極材とする積層セラミックコンデンサ
を試作した。誘電体磁器組成は一例として表1のNo.5
に相当するものを用いた。誘電体粉は、実施例2で示し
た方法により、PMN:PT=97:3(モル%)の10
0に対し、副成分としてPb(Cr1/2Nb1/2)O3 を2
重量%添加し、混合,予備焼成,粉砕したものを用い
た。この誘電体粉に、有機バインダとしてポリブチルブ
チラール樹脂(PVB),可塑剤としてブチルフタリルグ
リコレート(BPBG),溶剤としてエタノールとメチル
エチルケトンとn−ブタノールの3種混合溶剤(混合割
合=35:60:5vol%) を下記の組成で混合し、ス
ラリとした。
【0016】誘電体粉末:100部 PVB :10部 BPBG :3部 溶剤 :50部 このスラリを所定の粘度に調整した後、ドクターブレー
ド法で有機フイルム上に製膜し、乾燥して誘電体グリー
ンシートを作製した。乾燥後のグレーンシートの厚さは
約30μmであった。次に、Cuの導体ペーストは、C
u粉末にエチルセルローズをテレピネオールに溶かした
ビイクルを加え、三段ロールで適度の粘度に混練したも
のを用いた。この導体ペーストをグリーンシート上にス
クリーン印刷して電極パターンを形成した。この電極印
刷済みグレーンシートの電極が対向電極となるように所
望の枚数積層し、熱プレスを用いて80℃,100kg/
cm2 の条件で熱圧着した。その後、所望のチップ寸法に
切断した。次に、このチップの脱バインダを窒素中、5
00℃で1h保持する条件で行った。脱バインダを終え
たチップは、酸素分圧1×10-2Paの窒素雰囲気中、
昇温速度200℃/h,最高温度1000℃で1h保持
する条件で焼成した。以上のようにして作製した積層セ
ラミックコンデンサにCuの外部電極を形成(窒素中、
600℃で焼き付け)して、コンデンサとしての評価を
行った。作製した積層セラミックコンデンサの構成を示
す断面図を図1に示す。図中、1は本発明になる誘電体
磁器、2はCu内部電極、3は外部電極である。
ド法で有機フイルム上に製膜し、乾燥して誘電体グリー
ンシートを作製した。乾燥後のグレーンシートの厚さは
約30μmであった。次に、Cuの導体ペーストは、C
u粉末にエチルセルローズをテレピネオールに溶かした
ビイクルを加え、三段ロールで適度の粘度に混練したも
のを用いた。この導体ペーストをグリーンシート上にス
クリーン印刷して電極パターンを形成した。この電極印
刷済みグレーンシートの電極が対向電極となるように所
望の枚数積層し、熱プレスを用いて80℃,100kg/
cm2 の条件で熱圧着した。その後、所望のチップ寸法に
切断した。次に、このチップの脱バインダを窒素中、5
00℃で1h保持する条件で行った。脱バインダを終え
たチップは、酸素分圧1×10-2Paの窒素雰囲気中、
昇温速度200℃/h,最高温度1000℃で1h保持
する条件で焼成した。以上のようにして作製した積層セ
ラミックコンデンサにCuの外部電極を形成(窒素中、
600℃で焼き付け)して、コンデンサとしての評価を
行った。作製した積層セラミックコンデンサの構成を示
す断面図を図1に示す。図中、1は本発明になる誘電体
磁器、2はCu内部電極、3は外部電極である。
【0017】その結果、誘電率が約13,000,誘電
損失(tanδ)が0.8% 、抵抗率が約9×1012Ωcmで
あり、コンデンサとして実用上十分な特性を示した。本
実施例の主組成物にはPMN−PT系を用いたが、本発
明の他の主組成物であるPMN−PT−PFN系,PM
N−PT−PZN系,PMN−PT−PZ系,及びPMN
にPT,PFN,PZN,PZの群から選んだ少なくと
も1種を組み合わせた系などを用いた場合にも誘電率1
0,000 以上、誘電損失2%以下、抵抗率5×1012
Ωcm以上の優れた特性を有する積層セラミックコンデン
サが得られた。
損失(tanδ)が0.8% 、抵抗率が約9×1012Ωcmで
あり、コンデンサとして実用上十分な特性を示した。本
実施例の主組成物にはPMN−PT系を用いたが、本発
明の他の主組成物であるPMN−PT−PFN系,PM
N−PT−PZN系,PMN−PT−PZ系,及びPMN
にPT,PFN,PZN,PZの群から選んだ少なくと
も1種を組み合わせた系などを用いた場合にも誘電率1
0,000 以上、誘電損失2%以下、抵抗率5×1012
Ωcm以上の優れた特性を有する積層セラミックコンデン
サが得られた。
【0018】このように、本発明の誘電体組成物は低酸
素分圧雰囲気で焼成しても、高い誘電率,低い誘電損失
など優れた誘電特性とともに、絶縁抵抗が高く、実用上
十分な特性を有するCu内部電極の積層セラミックコン
デンサを作製することができた。
素分圧雰囲気で焼成しても、高い誘電率,低い誘電損失
など優れた誘電特性とともに、絶縁抵抗が高く、実用上
十分な特性を有するCu内部電極の積層セラミックコン
デンサを作製することができた。
【0019】
【発明の効果】本発明の磁器組成物は、Pb(Mg1/3N
b2/3)O3 と他のPb系誘電体からなる主組成物に副成
分としてPb(Cr1/2Nb1/2)O3を0.5〜5重量%添
加することにより、低酸素分圧雰囲気で焼結しても高い
誘電率と低い誘電損失を保持しつつ5×1012Ωcm以上
の高い抵抗率を有するため、Cuを内部電極とする積層
セラミックコンデンサ用の誘電体磁器に好適である。
b2/3)O3 と他のPb系誘電体からなる主組成物に副成
分としてPb(Cr1/2Nb1/2)O3を0.5〜5重量%添
加することにより、低酸素分圧雰囲気で焼結しても高い
誘電率と低い誘電損失を保持しつつ5×1012Ωcm以上
の高い抵抗率を有するため、Cuを内部電極とする積層
セラミックコンデンサ用の誘電体磁器に好適である。
【図1】本発明の誘電体磁器を用いた積層セラミックコ
ンデンサの構成を示す断面図。
ンデンサの構成を示す断面図。
【図2】本発明の誘電体磁器の熱処理時雰囲気と生成結
晶相を示すX線回折線図。
晶相を示すX線回折線図。
【図3】本発明の誘電体磁器の熱処理時雰囲気と生成結
晶相を示すX線回折線図。
晶相を示すX線回折線図。
1…誘電体磁器、2…内部電極、3…外部電極。
Claims (4)
- 【請求項1】Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 とこれよりも高
いキュリー点を有するPb系誘電体とからなる主組成物
に対して、副成分としてPb(Cr1/2Nb1/2)O3を0.
5〜5重量%添加したことを特徴とする誘電体磁器組成
物。 - 【請求項2】請求項1において、X線回折法におけるP
b(Cr1/2Nb 1/2)O3のペロブスカイト(110)強
度をIPe,パイロクロア(222)強度をIPyとして、
ペロブスカイト生成率IPe/(IPe+IPy)が0.7 以上
である誘電体磁器組成物。 - 【請求項3】請求項1において、高いキュリー点を有す
るPb系誘電体が、PbTiO3 ,Pb(Fe1/2Nb
1/2)O3,Pb(Zn1/3Nb2/3)O3,PbZrO3 の一
群の中から選ばれた少なくとも一種である誘電体磁器組
成物。 - 【請求項4】請求項1,2または3において、前記誘電
体磁器組成物を用いたCuを内部電極とした積層セラミ
ックコンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6023965A JPH07232963A (ja) | 1994-02-22 | 1994-02-22 | 誘電体磁器組成物及び積層セラミックコンデンサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6023965A JPH07232963A (ja) | 1994-02-22 | 1994-02-22 | 誘電体磁器組成物及び積層セラミックコンデンサ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07232963A true JPH07232963A (ja) | 1995-09-05 |
Family
ID=12125269
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6023965A Pending JPH07232963A (ja) | 1994-02-22 | 1994-02-22 | 誘電体磁器組成物及び積層セラミックコンデンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07232963A (ja) |
-
1994
- 1994-02-22 JP JP6023965A patent/JPH07232963A/ja active Pending
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