JPH07232268A - アルミニウム材のろう付け方法 - Google Patents
アルミニウム材のろう付け方法Info
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- JPH07232268A JPH07232268A JP2659694A JP2659694A JPH07232268A JP H07232268 A JPH07232268 A JP H07232268A JP 2659694 A JP2659694 A JP 2659694A JP 2659694 A JP2659694 A JP 2659694A JP H07232268 A JPH07232268 A JP H07232268A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高い自由度でアルミニウム材料をろう付けす
る。 【構成】 アルミニウム材１の被ろう付け面にＳｉ層２
を形成し、次いでフラックス４を塗布した後、アルミニ
ウム材１を加熱してＡｌ−Ｓｉ系合金５を生成する。Ａ
ｌ−Ｓｉ合金５をろう材として、アルミニウム材１，３
をろう付けする。フラックス４は、ろう付け時の加熱で
接合面に供給される限り、接合界面以外の表面に塗布し
ても良い。また、アルミニウム材４の被ろう付け面に凹
部を形成し、凹部に充填したＳｉ粉末をＳｉ層として使
用することもできる。 【効果】 ろう材として働くＡｌ−Ｓｉ合金層５がＳｉ
層と下地のＡｌとの反応によって形成されるため、予め
アルミニウム材料１，３の表面にろう材をコーティング
しておく必要がない。
る。 【構成】 アルミニウム材１の被ろう付け面にＳｉ層２
を形成し、次いでフラックス４を塗布した後、アルミニ
ウム材１を加熱してＡｌ−Ｓｉ系合金５を生成する。Ａ
ｌ−Ｓｉ合金５をろう材として、アルミニウム材１，３
をろう付けする。フラックス４は、ろう付け時の加熱で
接合面に供給される限り、接合界面以外の表面に塗布し
ても良い。また、アルミニウム材４の被ろう付け面に凹
部を形成し、凹部に充填したＳｉ粉末をＳｉ層として使
用することもできる。 【効果】 ろう材として働くＡｌ−Ｓｉ合金層５がＳｉ
層と下地のＡｌとの反応によって形成されるため、予め
アルミニウム材料１，３の表面にろう材をコーティング
しておく必要がない。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム又はアル
ミニウム合金製部品をろう付けする方法に関する。
ミニウム合金製部品をろう付けする方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】フィン材をチューブ材にろう付けした熱
交換器の製造には、ブレージングシートが多用されてい
る。ブレージングシートは、芯材にろう材層及び皮材を
クラッドしたものであり、ろう材層が相手部材に対向す
るように組み合わせた後、炉中加熱等の方法でろう付け
する。ろう付けに必要なろう材は、極く僅かである。し
かし、ブレージングシートの製造工程からろう材層／芯
材層の厚み比を極端に小さくできず、ろう付けの観点か
らすると過剰のろう材層が芯材表面に積層される。芯材
の全面にろう材層が設けられることからも、不必要に多
量のろう材を消費する。また、ブレージングシートは、
アルミニウム生地材に比較して高価で、しかもアルミニ
ウムのリサイクルに際しブレージングシートに多量に含
まれているＳｉがＡｌ資源回収の支障となる。ろう付け
が必要な箇所のみにろう材層を形成することによって、
ろう材の消費量が節減される。たとえば、米国特許第
５，１００，０４８号明細書では、Ｓｉ粉末をフッ化物
系の非腐食性フラックスと混合したコンパウンドをＡｌ
材表面に塗布した後、加熱する方法が紹介されている。
Ｓｉ粉末は、下地のアルミと反応してＡｌ−Ｓｉ系のろ
う材となり、相手材とのろう付けに使用される。コンパ
ウンドは、たとえばバインダー等によりアルミ材の被ろ
う付け面に適用される。
交換器の製造には、ブレージングシートが多用されてい
る。ブレージングシートは、芯材にろう材層及び皮材を
クラッドしたものであり、ろう材層が相手部材に対向す
るように組み合わせた後、炉中加熱等の方法でろう付け
する。ろう付けに必要なろう材は、極く僅かである。し
かし、ブレージングシートの製造工程からろう材層／芯
材層の厚み比を極端に小さくできず、ろう付けの観点か
らすると過剰のろう材層が芯材表面に積層される。芯材
の全面にろう材層が設けられることからも、不必要に多
量のろう材を消費する。また、ブレージングシートは、
アルミニウム生地材に比較して高価で、しかもアルミニ
ウムのリサイクルに際しブレージングシートに多量に含
まれているＳｉがＡｌ資源回収の支障となる。ろう付け
が必要な箇所のみにろう材層を形成することによって、
ろう材の消費量が節減される。たとえば、米国特許第
５，１００，０４８号明細書では、Ｓｉ粉末をフッ化物
系の非腐食性フラックスと混合したコンパウンドをＡｌ
材表面に塗布した後、加熱する方法が紹介されている。
Ｓｉ粉末は、下地のアルミと反応してＡｌ−Ｓｉ系のろ
う材となり、相手材とのろう付けに使用される。コンパ
ウンドは、たとえばバインダー等によりアルミ材の被ろ
う付け面に適用される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】コンパウンドを塗布し
てろう付けする方法は、予めブレージングシートを製造
する必要がないため、基材に対する制約が緩和される。
しかし、Ｓｉ粉末をフラックスと混合したコンパウンド
として使用するため、コンパウンドを均質な組成に調製
することが必要とされる。均質なコンパウンドであって
も、フラックスの如何によっては変質し、経時的に劣化
する虞れがある。そのため、使用可能なフラックスは、
安定性が高い非腐食性のフッ化物系に限られる。また、
コンパウンドを使用することから、被ろう付け面にコン
パウンドを被着させる手段もバインダーによる接着，ス
プレー，浸漬等に限られる。バインダーは、材質によっ
てはろう付け時の加熱で有害ガスを発生する虞れがあ
る。物理的な力で被ろう付け面にコンパウンドが被着し
ている場合、何らかの外力が加わったときに剥離し易
く、ろう付け不良の原因となる。本発明は、このような
問題を解消すべく案出されたものであり、コンパウンド
に代えてＳｉ源及びフラックスを別個に使用することに
より、Ｓｉ量及びフラックス量を別個に選択することを
可能とし、被ろう付け面への適用，母材の選択，継ぎ手
設計等の自由度を高め、簡単に且つ高い接合強度でアル
ミニウム材をろう付けすることを目的とする。
てろう付けする方法は、予めブレージングシートを製造
する必要がないため、基材に対する制約が緩和される。
しかし、Ｓｉ粉末をフラックスと混合したコンパウンド
として使用するため、コンパウンドを均質な組成に調製
することが必要とされる。均質なコンパウンドであって
も、フラックスの如何によっては変質し、経時的に劣化
する虞れがある。そのため、使用可能なフラックスは、
安定性が高い非腐食性のフッ化物系に限られる。また、
コンパウンドを使用することから、被ろう付け面にコン
パウンドを被着させる手段もバインダーによる接着，ス
プレー，浸漬等に限られる。バインダーは、材質によっ
てはろう付け時の加熱で有害ガスを発生する虞れがあ
る。物理的な力で被ろう付け面にコンパウンドが被着し
ている場合、何らかの外力が加わったときに剥離し易
く、ろう付け不良の原因となる。本発明は、このような
問題を解消すべく案出されたものであり、コンパウンド
に代えてＳｉ源及びフラックスを別個に使用することに
より、Ｓｉ量及びフラックス量を別個に選択することを
可能とし、被ろう付け面への適用，母材の選択，継ぎ手
設計等の自由度を高め、簡単に且つ高い接合強度でアル
ミニウム材をろう付けすることを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明のろう付け方法
は、その目的を達成するため、ろう付けされるアルミニ
ウム材の被ろう付け面にＳｉ層を形成し、次いでフラッ
クスを塗布した後、前記アルミニウム材を加熱してＡｌ
−Ｓｉ系合金を生成し、該Ａｌ−Ｓｉ合金により前記ア
ルミニウム材をろう付けすることを特徴とする。Ｓｉ層
及びフラックス層は、ろう付けされるアルミニウム材の
一方又は双方の表面に形成される。或いは、アルミニウ
ム材の一方にＳｉ層を形成し、他方にフラックスを塗布
しても良い。Ｓｉ層が形成されたアルミニウム材を鋼，
ステンレス鋼，銅，黄銅等の異種金属材料にろう付けす
ることも可能である。フラックスは、アルミニウム材の
被ろう付け面又はその近傍に塗布することができる。た
とえば、継ぎ手部に塗布されているフラックスが部材組
立ての際に剥離し易い場合、相手材と接触しない表面部
分にフラックスを塗布することもできる。塗布されたフ
ラックスは、ろう付け時の加熱によって流動状態とな
り、被ろう付け部に供給される。或いは、一方のアルミ
ニウム材にＳｉ層を形成し、他方のアルミニウム材にフ
ラックスを塗布しても良い。
は、その目的を達成するため、ろう付けされるアルミニ
ウム材の被ろう付け面にＳｉ層を形成し、次いでフラッ
クスを塗布した後、前記アルミニウム材を加熱してＡｌ
−Ｓｉ系合金を生成し、該Ａｌ−Ｓｉ合金により前記ア
ルミニウム材をろう付けすることを特徴とする。Ｓｉ層
及びフラックス層は、ろう付けされるアルミニウム材の
一方又は双方の表面に形成される。或いは、アルミニウ
ム材の一方にＳｉ層を形成し、他方にフラックスを塗布
しても良い。Ｓｉ層が形成されたアルミニウム材を鋼，
ステンレス鋼，銅，黄銅等の異種金属材料にろう付けす
ることも可能である。フラックスは、アルミニウム材の
被ろう付け面又はその近傍に塗布することができる。た
とえば、継ぎ手部に塗布されているフラックスが部材組
立ての際に剥離し易い場合、相手材と接触しない表面部
分にフラックスを塗布することもできる。塗布されたフ
ラックスは、ろう付け時の加熱によって流動状態とな
り、被ろう付け部に供給される。或いは、一方のアルミ
ニウム材にＳｉ層を形成し、他方のアルミニウム材にフ
ラックスを塗布しても良い。
【０００５】Ｓｉ層は、スプレー，浸漬塗布，溶射，粉
末コーティング，蒸着等の適宜の手段によってアルミニ
ウム材の必要箇所に形成することができる。スプレー，
浸漬塗布等では、必要に応じてろう付けに悪影響を及ぼ
さないバインダーを使用することも可能である。また、
アルミニウム材の被ろう付け面に凹部や凹凸面を形成
し、そこにＳｉ粉末を押し込んだものをＳｉ層とするこ
ともできる。更には、アルミニウム材の表面にＳｉ粉末
をまだらに塗布したものも、Ｓｉ層として使用できる。
Ｓｉ層形成後、犠牲防食作用を呈するＺｎ層を適宜形成
すると、ろう付けされたアルミニウム材料の耐食性が向
上する。或いは、予めＺｎ層が形成されたアルミニウム
材の表面にＳｉ層を形成した後、ろう付けすることによ
っても耐食性の向上が図られる。Ｓｉ層には、必要に応
じて他の金属粉末を添加しても良い。たとえば、Ｚｎ粉
末，Ｓｎ粉末等を添加すると、ＳｉとＡｌとの共晶反応
によって生成したろう材層に犠牲陽極効果を持たせるこ
とも可能である。また、Ｃｕ粉末，Ｚｎ粉末等を添加す
ると共晶温度が低下するため、ろう付け温度を下げるこ
とができる。
末コーティング，蒸着等の適宜の手段によってアルミニ
ウム材の必要箇所に形成することができる。スプレー，
浸漬塗布等では、必要に応じてろう付けに悪影響を及ぼ
さないバインダーを使用することも可能である。また、
アルミニウム材の被ろう付け面に凹部や凹凸面を形成
し、そこにＳｉ粉末を押し込んだものをＳｉ層とするこ
ともできる。更には、アルミニウム材の表面にＳｉ粉末
をまだらに塗布したものも、Ｓｉ層として使用できる。
Ｓｉ層形成後、犠牲防食作用を呈するＺｎ層を適宜形成
すると、ろう付けされたアルミニウム材料の耐食性が向
上する。或いは、予めＺｎ層が形成されたアルミニウム
材の表面にＳｉ層を形成した後、ろう付けすることによ
っても耐食性の向上が図られる。Ｓｉ層には、必要に応
じて他の金属粉末を添加しても良い。たとえば、Ｚｎ粉
末，Ｓｎ粉末等を添加すると、ＳｉとＡｌとの共晶反応
によって生成したろう材層に犠牲陽極効果を持たせるこ
とも可能である。また、Ｃｕ粉末，Ｚｎ粉末等を添加す
ると共晶温度が低下するため、ろう付け温度を下げるこ
とができる。
【０００６】使用可能なフラックスは、４５０℃以上の
温度で溶融してアルミニウム表面の酸化皮膜を破壊除去
する作用を呈する限り種類に制約を受けないが、なかで
もＡｌ−Ｓｉ系の共晶温度５７５℃近傍、すなわち５６
０〜６２５℃の温度範囲で高い酸化皮膜除去機能を示す
ものが好ましい。このようなフラックスとしては、フッ
化物系，塩化物系，フッ化物−塩化物混合系等がある。
フッ化物系フラックスとしては、ＫＡｌＦ4 ，Ｋ2 Ａｌ
Ｆ5・Ｈ2 Ｏ，Ｋ3 ＡｌＦ6 ，ＣｓＦ，ＬｉＦ，ＺｎＦ
2 ，ＫＦ，ＡｌＦ3 ，Ｋ2 ＳｉＦ6 ，ＺｒＦ，ＫＢＦ
4 ，ＮａＦ，ＣａＦ2 ，ＢａＦ2 ，Ｎａ3 ＡｌＦ6 等の
１種又は２種以上を配合したものが使用される。塩化物
系フラックスとしては、ＮａＣｌ，ＫＣｌ，ＬｉＣｌ，
ＺｎＣｌ2 ，ＢａＣｌ2 ，ＮＨ4 Ｃｌ，ＣａＣｌ2 ，Ａ
ｌＣｌ3 ，ＭｇＣｌ2 ，ＭｎＣｌ2 ，ＣｕＣｌ，ＮｉＣ
ｌ，ＣｄＣｌ2 ，ＳｒＣｌ2 ，ＰｂＣｌ2 等の１種又は
２種以上を配合したものが使用される。
温度で溶融してアルミニウム表面の酸化皮膜を破壊除去
する作用を呈する限り種類に制約を受けないが、なかで
もＡｌ−Ｓｉ系の共晶温度５７５℃近傍、すなわち５６
０〜６２５℃の温度範囲で高い酸化皮膜除去機能を示す
ものが好ましい。このようなフラックスとしては、フッ
化物系，塩化物系，フッ化物−塩化物混合系等がある。
フッ化物系フラックスとしては、ＫＡｌＦ4 ，Ｋ2 Ａｌ
Ｆ5・Ｈ2 Ｏ，Ｋ3 ＡｌＦ6 ，ＣｓＦ，ＬｉＦ，ＺｎＦ
2 ，ＫＦ，ＡｌＦ3 ，Ｋ2 ＳｉＦ6 ，ＺｒＦ，ＫＢＦ
4 ，ＮａＦ，ＣａＦ2 ，ＢａＦ2 ，Ｎａ3 ＡｌＦ6 等の
１種又は２種以上を配合したものが使用される。塩化物
系フラックスとしては、ＮａＣｌ，ＫＣｌ，ＬｉＣｌ，
ＺｎＣｌ2 ，ＢａＣｌ2 ，ＮＨ4 Ｃｌ，ＣａＣｌ2 ，Ａ
ｌＣｌ3 ，ＭｇＣｌ2 ，ＭｎＣｌ2 ，ＣｕＣｌ，ＮｉＣ
ｌ，ＣｄＣｌ2 ，ＳｒＣｌ2 ，ＰｂＣｌ2 等の１種又は
２種以上を配合したものが使用される。
【０００７】
【実施例】 実施例１：（図１） 板厚５ｍｍのＡｌ合金Ａ３００３から３０ｍｍ×５０ｍ
ｍの試験片を切り出し、１方の試験片１の表面に目付け
量３０ｇ／ｍ2 でＳｉ層２を溶射によって形成した。他
方の試験片３には、ＫＡｌＦ4 −Ｋ2 ＡｌＦ5・Ｈ2 Ｏ−
Ｋ3 ＡｌＦ6 の組成を持つフラックス４を１２ｇ／ｍ2
の割合で塗布した。それぞれの試験片１，３を重ね合わ
せ、Ｎ2 雰囲気に維持された炉内に装入し、６１５℃で
５分間加熱した。冷却後に試験片１，３を炉内から取り
出し、ろう付け部を調査した。試験片１と３との接合界
面には、下地Ａｌに拡散したＳｉ層２との共晶反応によ
って生成した平均厚み９０μｍのＡｌ−Ｓｉ系合金層５
が形成されていた。また、ろう付け部は、母材強度と同
じ接合強度を呈した。
ｍの試験片を切り出し、１方の試験片１の表面に目付け
量３０ｇ／ｍ2 でＳｉ層２を溶射によって形成した。他
方の試験片３には、ＫＡｌＦ4 −Ｋ2 ＡｌＦ5・Ｈ2 Ｏ−
Ｋ3 ＡｌＦ6 の組成を持つフラックス４を１２ｇ／ｍ2
の割合で塗布した。それぞれの試験片１，３を重ね合わ
せ、Ｎ2 雰囲気に維持された炉内に装入し、６１５℃で
５分間加熱した。冷却後に試験片１，３を炉内から取り
出し、ろう付け部を調査した。試験片１と３との接合界
面には、下地Ａｌに拡散したＳｉ層２との共晶反応によ
って生成した平均厚み９０μｍのＡｌ−Ｓｉ系合金層５
が形成されていた。また、ろう付け部は、母材強度と同
じ接合強度を呈した。
【０００８】実施例２：（図２） 板厚０．１４ｍｍ及び板幅２２ｍｍのＡｌ合金Ａ３００
３をピッチ４ｍｍ，波高１０ｍｍの波板６に成形し、目
付け量２０ｇ／ｍ2 でＳｉ粉末を揮発性バインダーと共
に波底面にブラシを使用して塗布し、Ｓｉ層２を形成し
た。Ｓｉ層２の面積は、波方向長さを３ｍｍに、波板幅
方向長さを２２ｍｍに設定した。各Ｓｉ層２の両側近傍
に、ＫＡｌＦ4 −Ｋ2 ＡｌＦ5・Ｈ2 Ｏ−Ｋ3 ＡｌＦ6 の
組成を持つフラックス４を１か所平均１．２ｍｇの量で
塗布した。波板６を板厚３ｍｍ，長さ８０ｍｍ及び幅２
２ｍｍのＡｌ合金Ａ１０５０製面板７と組み合わせ、Ｎ
2 雰囲気に維持された炉内に装入し、６１０℃で５分間
加熱した。冷却後に面板７にろう付けされた波板６を炉
内から取り出し、洗浄した。ろう付け部を調査したとこ
ろ、波板６と面板７との接触部分には全て平均のど厚
０．２８ｍｍのフィレットが形成されていた。接合強度
は母材強度を遜色なく、良好なろう付け部が得られた。
また、波板６の表面には、フラックスに起因する腐食性
残渣が検出されなかった。
３をピッチ４ｍｍ，波高１０ｍｍの波板６に成形し、目
付け量２０ｇ／ｍ2 でＳｉ粉末を揮発性バインダーと共
に波底面にブラシを使用して塗布し、Ｓｉ層２を形成し
た。Ｓｉ層２の面積は、波方向長さを３ｍｍに、波板幅
方向長さを２２ｍｍに設定した。各Ｓｉ層２の両側近傍
に、ＫＡｌＦ4 −Ｋ2 ＡｌＦ5・Ｈ2 Ｏ−Ｋ3 ＡｌＦ6 の
組成を持つフラックス４を１か所平均１．２ｍｇの量で
塗布した。波板６を板厚３ｍｍ，長さ８０ｍｍ及び幅２
２ｍｍのＡｌ合金Ａ１０５０製面板７と組み合わせ、Ｎ
2 雰囲気に維持された炉内に装入し、６１０℃で５分間
加熱した。冷却後に面板７にろう付けされた波板６を炉
内から取り出し、洗浄した。ろう付け部を調査したとこ
ろ、波板６と面板７との接触部分には全て平均のど厚
０．２８ｍｍのフィレットが形成されていた。接合強度
は母材強度を遜色なく、良好なろう付け部が得られた。
また、波板６の表面には、フラックスに起因する腐食性
残渣が検出されなかった。
【０００９】実施例３：（図３） Ａｌ合金Ａ１１００でできた板厚４ｍｍの板材８の表面
に、最大深さ０．２ｍｍの凹凸９を複数形成した。平均
粒径７μｍのＳｉ粉末１０を凹部に擦り込み、Ｓｉ層と
した。この板材８に、Ａｌ合金Ａ３００３製の相手材１
１の端面をろう付けした。ろう付けされる相手材１１の
端面（接合部面積５ｃｍ2 ）には、ＮａＣｌ−ＫＣｌ−
ＬｉＣｌの組成を持つ塩化物系フラックス４を７ｍｇの
量で予め塗布した。板材８と相手材１１とを６２０℃で
４分間炉中加熱した。冷却後に板材８にろう付けされた
相手材１１を炉内から取り出し、洗浄した。ろう付け部
を調査したところ、板材８と相手材１１の端面が完全に
ろう付けされており、ろう材として働くＡｌ−Ｓｉ系合
金層５が平均厚み０．４ｍｍで接合界面に不足すること
なく均等に行き渡っていた。この場合も、母材強度に匹
敵する接合強度が得られた。
に、最大深さ０．２ｍｍの凹凸９を複数形成した。平均
粒径７μｍのＳｉ粉末１０を凹部に擦り込み、Ｓｉ層と
した。この板材８に、Ａｌ合金Ａ３００３製の相手材１
１の端面をろう付けした。ろう付けされる相手材１１の
端面（接合部面積５ｃｍ2 ）には、ＮａＣｌ−ＫＣｌ−
ＬｉＣｌの組成を持つ塩化物系フラックス４を７ｍｇの
量で予め塗布した。板材８と相手材１１とを６２０℃で
４分間炉中加熱した。冷却後に板材８にろう付けされた
相手材１１を炉内から取り出し、洗浄した。ろう付け部
を調査したところ、板材８と相手材１１の端面が完全に
ろう付けされており、ろう材として働くＡｌ−Ｓｉ系合
金層５が平均厚み０．４ｍｍで接合界面に不足すること
なく均等に行き渡っていた。この場合も、母材強度に匹
敵する接合強度が得られた。
【００１０】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、ろう付けされるアルミニウム材料の表面にＳｉ層を
形成し、フラックスを塗布した後、加熱ろう付けしてい
る。Ｓｉ層は、加熱時に基材のＡｌと反応し、ろう材と
して働くＡｌ−Ｓｉ系合金層となる。この方法によると
き、アルミニウム生地材に比較して高価なブレージング
シートを必要とせず各種アルミニウム材料のろう付けが
可能となるため、熱交換器やヒートシンクを始めとして
広範な分野でアルミニウム材料のろう付けに適用され
る。しかも、ブレージングシートを使用することがない
ので、多量のＳｉ等の元素が製品に含まれることなく、
リサイクルの際にＳｉ等がＡｌ資源の回収に支障を来さ
ない。また、Ｓｉ粉末とフラックスとのコンパウンドを
使用したろう付け法でコンパウンド塗布後に長時間保管
する場合、腐食発生を防止するため使用可能なフラック
スが非腐食性のフッ化物系に限られていた。これに対
し、本発明では、Ｓｉ層を形成したアルミニウム材料を
そのままの状態で長期間保管し、ろう付けに先立ってフ
ラックスを塗布することができる。ろう付け直前にフラ
ックスを塗布する場合、フラックスの選定，ろう付け製
品の設計等における自由度が向上する。
は、ろう付けされるアルミニウム材料の表面にＳｉ層を
形成し、フラックスを塗布した後、加熱ろう付けしてい
る。Ｓｉ層は、加熱時に基材のＡｌと反応し、ろう材と
して働くＡｌ−Ｓｉ系合金層となる。この方法によると
き、アルミニウム生地材に比較して高価なブレージング
シートを必要とせず各種アルミニウム材料のろう付けが
可能となるため、熱交換器やヒートシンクを始めとして
広範な分野でアルミニウム材料のろう付けに適用され
る。しかも、ブレージングシートを使用することがない
ので、多量のＳｉ等の元素が製品に含まれることなく、
リサイクルの際にＳｉ等がＡｌ資源の回収に支障を来さ
ない。また、Ｓｉ粉末とフラックスとのコンパウンドを
使用したろう付け法でコンパウンド塗布後に長時間保管
する場合、腐食発生を防止するため使用可能なフラック
スが非腐食性のフッ化物系に限られていた。これに対
し、本発明では、Ｓｉ層を形成したアルミニウム材料を
そのままの状態で長期間保管し、ろう付けに先立ってフ
ラックスを塗布することができる。ろう付け直前にフラ
ックスを塗布する場合、フラックスの選定，ろう付け製
品の設計等における自由度が向上する。
【図１】 実施例１のろう付けを工程順に示す。
【図２】 実施例２のろう付け部を示す。
【図３】 実施例３のろう付けを工程順に示す。
１，３：試験片 ２：Ｓｉ層 ４：フ
ラックス ５：Ａｌ−Ｓｉ系合金層 ６：波板 ７：面
板 ８：板材 ９：凹凸 １０：Ｓｉ粉末 １１：
相手材
ラックス ５：Ａｌ−Ｓｉ系合金層 ６：波板 ７：面
板 ８：板材 ９：凹凸 １０：Ｓｉ粉末 １１：
相手材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉見 章彦 東京都港区三田３丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内
Claims (7)
- 【請求項１】 双方のアルミニウム材の被ろう付け面に
Ｓｉ層を形成した後、フラックスを塗布し、前記被ろう
付け面を互いに接触させ、前記アルミニウム材を加熱し
てＡｌ−Ｓｉ系合金を生成し、該Ａｌ−Ｓｉ系合金によ
り前記アルミニウム材をろう付けするアルミニウム材の
ろう付け方法。 - 【請求項２】 アルミニウム材の双方の被ろう付け面に
Ｓｉ層を形成した後、一方のアルミニウム材の被ろう付
け面にフラックスを塗布し、前記被ろう付け面を互いに
接触させ、前記アルミニウム材を加熱してＡｌ−Ｓｉ系
合金を生成し、該Ａｌ−Ｓｉ系合金により前記アルミニ
ウム材をろう付けするアルミニウム材のろう付け方法。 - 【請求項３】 一方のアルミニウム材の被ろう付け面に
Ｓｉ層を形成した後、前記被ろう付け面をフラックスを
塗布した他方のアルミニウム材の被ろう付け面に接触さ
せ、前記アルミニウム材を加熱してＡｌ−Ｓｉ系合金を
生成し、該Ａｌ−Ｓｉ系合金により前記アルミニウム材
をろう付けするアルミニウム材のろう付け方法。 - 【請求項４】 一方のアルミニウム材の被ろう付け面に
Ｓｉ層を形成し、次いでフラックスを塗布した後、前記
被ろう付け面を他方のアルミニウム材の被ろう付け面に
接触させ、前記アルミニウム材を加熱してＡｌ−Ｓｉ系
合金を生成し、該Ａｌ−Ｓｉ系合金により前記アルミニ
ウム材をろう付けするアルミニウム材のろう付け方法。 - 【請求項５】 一方のアルミニウム材の被ろう付け面に
Ｓｉ層を形成し、次いでフラックスを塗布した後、前記
被ろう付け面をフラックスを塗布した他方のアルミニウ
ム材の被ろう付け面に接触させ、前記アルミニウム材を
加熱してＡｌ−Ｓｉ系合金を生成し、該Ａｌ−Ｓｉ系合
金により前記アルミニウム材をろう付けするアルミニウ
ム材のろう付け方法。 - 【請求項６】 請求項１〜５の何れかに記載のフラック
スを被ろう付け面の近傍にフラックスを塗布するろう付
け方法。 - 【請求項７】 一方又は双方のアルミニウム材の被ろう
付け面に凹部又は凹凸を形成し、該凹部又は凹凸にＳｉ
を充填する請求項１〜５記載の何れかに記載のろう付け
方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2659694A JP3419062B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | アルミニウム材のろう付け方法 |
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| JP2659694A JP3419062B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | アルミニウム材のろう付け方法 |
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| JPH07232268A true JPH07232268A (ja) | 1995-09-05 |
| JP3419062B2 JP3419062B2 (ja) | 2003-06-23 |
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ID=12197920
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2659694A Expired - Lifetime JP3419062B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | アルミニウム材のろう付け方法 |
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Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7481894B2 (en) | 2002-03-08 | 2009-01-27 | Behr Gmbh & Co. Kg | Soldering flux for soldering aluminum |
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| JP2013536085A (ja) * | 2010-08-23 | 2013-09-19 | ノルスク・ヒドロ・アーエスアー | ろう付け用プリフラックスコーティング |
| CN114260616A (zh) * | 2022-01-11 | 2022-04-01 | 哈尔滨焊接研究院有限公司 | 一种tc4钛合金埋弧焊剂及其制备方法和应用 |
-
1994
- 1994-02-24 JP JP2659694A patent/JP3419062B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| US7481894B2 (en) | 2002-03-08 | 2009-01-27 | Behr Gmbh & Co. Kg | Soldering flux for soldering aluminum |
| JP2009502509A (ja) * | 2005-07-27 | 2009-01-29 | ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー | 蝋付けされるべき表面 |
| JP2013536085A (ja) * | 2010-08-23 | 2013-09-19 | ノルスク・ヒドロ・アーエスアー | ろう付け用プリフラックスコーティング |
| CN114260616A (zh) * | 2022-01-11 | 2022-04-01 | 哈尔滨焊接研究院有限公司 | 一种tc4钛合金埋弧焊剂及其制备方法和应用 |
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| Publication number | Publication date |
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