JPH07229595A - 耐熱摺動体およびその製造方法 - Google Patents

耐熱摺動体およびその製造方法

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JPH07229595A
JPH07229595A JP4197494A JP4197494A JPH07229595A JP H07229595 A JPH07229595 A JP H07229595A JP 4197494 A JP4197494 A JP 4197494A JP 4197494 A JP4197494 A JP 4197494A JP H07229595 A JPH07229595 A JP H07229595A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価でかつ焼き付きを抑制でき、さらに、作
業環境および製品の品質を良好とする。 【構成】 摺動本体42を、熱処理を施すことで高温時の
機械的強度を向上させることができる材質から構成する
が、このような材質のものは安価であり、しかも射出ス
リーブ31と材質を異ならせることもでき、焼き付きの抑
制が可能となる。また、摺動本体42に設けられた黒鉛体
44は、射出スリーブ31内を摺動するとき、固体潤滑作用
を行い、摺動時におけるこれらの焼き付きの抑制及び潤
滑油量の減少を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、摺動本体の摺動面に
固体潤滑作用を行う黒鉛体を配置した耐熱摺動体および
この耐熱摺動体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、機械装置等においては、過酷な
高温、高荷重下で部材同士が摺動する箇所があり、例え
ば図4に示すようなダイカストマシン11においては、射
出スリーブ12とプランジャーチップ13とがこのような条
件下で摺動している。即ち、このようなダイカストマシ
ン11においては、アルミニウム合金、マグネシウム合金
等の溶湯を射出スリーブ12の注湯口14を通じて射出スリ
ーブ12内に注湯した後、プランジャーチップ13を射出ス
リーブ12内において前進させ、前記溶湯を金型15内に形
成された図示していないキャビティに押し込むようにし
ているが、このようにプランジャーチップ13により溶湯
を押し込む際、該プランジャーチップ13は射出スリーブ
12内を高温、高荷重下で摺動するのである。このため、
これら射出スリーブ12とプランジャーチップ13とは高温
における機械的強度が優れた金属から構成しなければな
らず、通常、両者は共に熱間ダイス鋼から構成されてい
る。また、このような高温、高荷重下での射出スリーブ
12とプランジャーチップ13との摺動時における摩擦、摩
耗を低減させるために、溶湯の射出スリーブ12内への注
湯以前に多量の潤滑油(重軸受油、転がり油等)を射出
スリーブ12内へ噴霧することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような射出スリーブ12、プランジャーチップ13にあって
は、両者が同一材質、即ち熱間ダイス鋼から構成されて
いるため、例えば潤滑が充分でないような場合には、溶
湯の押し込み時に射出スリーブ12にプランジャーチップ
13が焼き付くことがあるという問題点がある。また、こ
のような熱間ダイス鋼は高性能の合金鋼であるため、高
価であるという問題点もある。さらに、射出スリーブ12
内に噴霧された潤滑油は溶湯の注湯時に蒸発、燃焼して
多量の煙、ガスを発生するが、これらの煙、ガスは周囲
に飛散して作業環境を悪化させるとともに、製品内に侵
入して品質を低下させてしまうという問題点もある。
【0004】この発明は、安価でかつ焼き付きを抑制で
き、さらに、作業環境および製品の品質を良好とするこ
とができる耐熱摺動体およびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的は、熱処
理を施すことにより高温における機械的強度を向上させ
た摺動本体の摺動面に多数の収納穴を形成するととも
に、各収納穴に該収納穴を満たし固体潤滑作用を行う黒
鉛体を収納固着するようにした耐熱摺動体により達成す
ることができる。このとき、請求項2に記載のように構
成してもよい。そして、このような耐熱摺動体は、第1
に、固体潤滑作用を行う多数の黒鉛体の周囲に金属溶湯
を注湯して固化させることにより、収納穴を満たす黒鉛
体を鋳ぐるんだ摺動本体を形成する工程と、摺動本体に
対し無酸素雰囲気中で熱処理を施すことにより、該摺動
本体の高温における機械的強度を向上させる工程と、を
備えた製造方法により、第2に、摺動本体の摺動面に多
数の収納穴を形成する工程と、摺動本体に対し無酸素雰
囲気中で熱処理を施すことにより、該摺動本体の高温に
おける機械的強度を向上させる工程と、摺動本体の各収
納穴に該収納穴を満たし固体潤滑作用を行う黒鉛体を収
納して接着剤により固着する工程と、を備えた製造方法
により製造することができる。
【0006】
【作用】今、過酷な高温、高荷重下で摺動部材と耐熱摺
動体とが摺動しているとする。このとき、耐熱摺動体
を、熱処理を施すことにより高温における機械的強度を
向上させることができるような材質から構成すれば、対
象となる材料の幅が広がり、この結果、これら摺動部材
と耐熱摺動部材との材質を容易に異ならせることがで
き、これにより、摺動部材と耐熱摺動体との焼き付きの
抑制が可能となる。しかも、このように熱処理を施すこ
とにより高温における機械的強度を向上させるようにし
ているので、元来、機械的強度の低い安価な材質のもの
を用いることができ、この結果、耐熱摺動体を安価とす
ることもできる。さらに、耐熱摺動体の摺動本体の摺動
面に形成された多数の収納穴にそれぞれ黒鉛体を収納固
着するようにしているので、該黒鉛体が摺動の際に固体
潤滑作用を行い、この結果、摺動時における焼き付きが
抑制できるとともに、供給潤滑油を減少あるいは省略す
ることができる。これにより、潤滑油が蒸発、燃焼する
ことで発生する煙、ガスの量が低減し、作業環境および
製品の品質が良好となる。そして、このような耐熱摺動
体は請求項4あるいは5に記載のような方法を用いて容
易に製造することができるが、これらの方法において
は、熱処理を無酸素雰囲気中で施すようにしているの
で、黒鉛体、摺動本体の酸化を防止することができる。
【0007】また、請求項3に記載のように構成すれ
ば、黒鉛体の微小空間に潤滑油を保有させることができ
るので、摺動時における潤滑油の供給量を低減させるこ
とができる。
【0008】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図面に基づいて
説明する。図1、2において、21はアルミ製品、マグネ
シウム製品等を鋳造するダイカストマシンであり、この
ダイカストマシン21は固定プラテン23が固定されたフレ
ーム22を有する。24は固定プラテン23より前方に設置さ
れた可動プラテンであり、この可動プラテン24にはフレ
ーム22に固定された前後方向に延びるガイドロッド25が
挿入されている。この可動プラテン24には、該可動プラ
テン24より前方のフレーム22に取り付けられたシリンダ
のピストンロッド26が連結され、これにより、前記シリ
ンダが作動すると、可動プラテン24はガイドロッド25に
案内されながら前後方向に移動する。前記固定プラテン
23および可動プラテン24の互いに対向する前面および後
面にはそれぞれ対をなす金型27、28が取り付けられ、こ
れらの金型27、28は可動プラテン24が後方に移動するこ
とで閉止され、内部に溶湯が注入されるキャビティが形
成される。
【0009】31は固定プラテン23に取り付けられた前後
方向に延びる摺動部材としての円筒状の射出スリーブで
あり、この射出スリーブ31は固定プラテン23を貫通する
とともに、その前、後端部は固定プラテン23から突出し
ている。そして、この射出スリーブ31は、過酷な高温、
高荷重下で使用されるため、高温における機械的強度が
優れている、例えば熱間ダイス鋼(ロックウエルC硬度
は44〜48)から構成されている。32は前記射出スリーブ
31の後端部に形成された注湯口であり、この注湯口32を
通じてアルミニウム等の溶湯が射出スリーブ31内に導か
れる。35は射出スリーブ31より後方のフレーム22に該射
出スリーブ31と同軸関係を保って取り付けられたシリン
ダであり、このシリンダ35のピストンロッド36の先端に
は射出スリーブ31内に挿入された耐熱摺動体としてのプ
ランジャーチップ41が取り付けられている。
【0010】このプランジャーチップ41は有底円筒状の
摺動本体42を有し、この摺動本体42は熱処理によって高
温における機械的強度、例えば硬度、引張強さを向上さ
せることができる材質から構成されている。ここで、こ
のような摺動本体42の材質としては、球状黒鉛鋳鉄等の
合金を混入した鋳鉄、合金を混入した鋼、ベリリウム銅
等を用いることができる。そして、鋳鉄あるいは鋼の場
合には、熱処理を焼入れ(通常続いて焼き戻しが行われ
る)とし、摺動本体42の組織を該焼入れによってマルテ
ンサイト組織とすることにより高温における機械的強度
を向上させ、ベリリウム銅の場合には、熱処理を溶体化
処理および時効硬化処理とし、摺動本体42の組織を時効
により硬化させて高温における機械的強度を向上させ
る。但し、摺動本体42の硬度は、プランジャーチップ41
より高価である射出スリーブ31の寿命をプランジャーチ
ップ41の寿命より長くするために、焼き戻しを行って射
出スリーブ31の硬度より若干、例えばロックウエルC硬
度で5〜6程度低い、ロックウエルC硬度で38〜43程度と
し、該プランジャーチップ41を射出スリーブ31より早期
に摩耗させるようにしている。そして、この摺動本体42
は、前記シリンダ35が作動すると、その外周面(摺動
面)が射出スリーブ31の内周面に摺接しながら射出スリ
ーブ31内を軸方向に移動する。このように、摺動本体42
を、熱処理を施すことにより高温における機械的強度を
向上させることができるような材質から構成すれば、対
象となる材料の幅が広がるため、元来、高温における機
械的強度の高い材質、例えば熱間ダイス鋼からなる射出
スリーブ31と材質を容易に異ならせることができ、これ
により、プランジャーチップ41の射出スリーブ31に対す
る焼き付きの抑制が可能となる。しかも、このように熱
処理を施すことにより高温における機械的強度を向上さ
せるようにしているので、元来機械的強度の低い安価な
材質、例えば鋳鉄を用いることができ、この結果、耐熱
摺動体を安価とすることもできる。
【0011】この摺動本体42の外周面(摺動面)には図
3に示すように、多数の半径方向に延びる収納穴43がほ
ぼ均一に分散された状態で形成され、各収納穴43には該
収納穴43を満たす円柱状の黒鉛体44が収納固定されてい
る。そして、これら黒鉛体44は前述のように摺動本体42
が射出スリーブ31内を摺動するとき、これらの間の固体
潤滑作用を行う。この結果、プランジャーチップ41が射
出スリーブ31内を摺動するときの焼き付きを抑制するこ
とができるとともに、潤滑のためにこれらの間に供給さ
れる潤滑油の量を減少あるいは省略することができる。
これにより、潤滑油が蒸発、燃焼することで発生する
煙、ガスの量が低減し、作業環境および製品の品質が良
好となる。ここで、前記各黒鉛体44は、内部に多数の微
小空間が形成された多孔質のもの(見かけ比重が1.8g/c
m3以下のもの)を用いることが好ましい。その理由は、
このような微小空間が内部に多数形成されていると、プ
ランジャーチップ41に供給された潤滑油の一部がこれら
微小空間内に侵入するため、ある程度の量の潤滑油を黒
鉛体44が内部に保有することができるからである。そし
て、このような多孔質の黒鉛体44は、例えば後述する2
つの方法により成形することができる。
【0012】そして、前述のようなプランジャーチップ
41は、以下のようにして成形することができる。その第
1の方法は、まず、摺動本体42とほぼ同一形状をした鋳
型のキャビティ内に、例えば鋳鉄の溶湯を注湯し該キャ
ビティ内に充填する。このとき、多数の黒鉛体44は一部
が鋳型に埋設され、残部がキャビティ内に突出している
ため、これら黒鉛体44の突出部の周囲は前記注湯された
溶湯によって囲まれる。ここで、前記黒鉛体44は、高温
の溶湯に接触するため、この溶湯との接触によっても溶
損が生じないようなものとしなければならず、例えば、
黒鉛粒をコールタールピッチ等からなるバインダーで結
合して構成したものの場合には、このバインダー中の炭
素分を、予め以下のようにして黒鉛化する。即ち、ま
ず、成形後の黒鉛体44を焼成炉に搬入した後、無酸素雰
囲気(不活性ガス雰囲気あるいは真空)中で 700℃〜11
00℃程度に加熱して黒鉛体44中の炭素分を炭化し、次
に、酸化を防止するために 370℃〜 400℃程度まで炉内
冷却した後大気冷却し、その後、前記黒鉛体44を黒鉛炉
に搬入し、同様に無酸素雰囲気中で2500℃以上、例えば
2500℃〜3000℃に加熱して前記炭化した炭素分を黒鉛化
し、次に、酸化を防止するために 370℃〜 400℃程度ま
で炉内冷却した後大気冷却させることで行う。そして、
このキャビティ内の溶湯を冷却固化して摺動本体42とす
るが、このとき、前記黒鉛体44のキャビティ内に突出し
ていた部位は摺動本体42により鋳ぐるまれる。次に、摺
動本体42を鋳型から取り出した後、摺動本体42に対し機
械加工を行い、外周面(摺動面)から突出している黒鉛
体44の一部を削り取り、黒鉛体44を外周面に露出させ
る。これにより、摺動面に形成された収納穴43を満たす
黒鉛体44が鋳ぐるまれている摺動本体42を形成すること
ができる。次に、摺動本体42に対し無酸素雰囲気(不活
性ガス雰囲気あるいは真空)中で熱処理、例えば焼き入
れを施すことにより、該摺動本体42の高温における機械
的強度、例えば硬度および引張強度を向上させる。ここ
で、このような熱処理を無酸素雰囲気中で行うのは、熱
処理を施す際の温度が高いため、有酸素雰囲気中で行う
と、黒鉛体44が酸化消耗したり、摺動本体42の表面に酸
化膜(スケール)が形成され表面状態が悪化するからで
ある。次に、焼き戻しを行った後、規定寸法に精密加工
する。なお、前述のような熱処理後、耐摩耗性をさらに
向上させるため、窒化処理をプランジャーチップ41に施
すようにしてもよい。
【0013】また、前述のようなプランジャーチップ41
は、以下のような第2の方法によっても成形することが
できる。即ち、まず、摺動本体42とほぼ同一形状をした
鋳型のキャビティ内に、例えば鋳鉄の溶湯を注湯し該キ
ャビティ内に充填する。次に、このキャビティ内の溶湯
を冷却固化して摺動本体42とした後、該摺動本体42を鋳
型から取り出し、次に、該摺動本体42に対し機械加工を
行い、外周面(摺動面)に多数の半径方向に延びる収納
穴43を形成する。次に、摺動本体42に対し無酸素雰囲気
中で熱処理を施すことにより、該摺動本体42の高温にお
ける機械的強度を向上させる。次に、摺動本体42の各収
納穴43に該収納穴43を満たす黒鉛体44を収納し、例えば
エポキシ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤により
固着する。ここで、このような黒鉛体44としては、前述
したバインダー中の炭素分を黒鉛化したものを用いても
よいが、 150メッシュ以下の黒鉛粒を、重量比15%以下
のフェノール樹脂等からなるバインダーで結合して構成
したものを用いてもよい。そして、この方法において
は、黒鉛体44を収納穴43に収納接着する以前に摺動本体
42を熱処理するようにしているので、黒鉛体44および接
着剤中の可燃性バインダー等が酸化するような事態が防
止される。また、熱処理を無酸素雰囲気中で行うように
しているので、摺動本体42の表面状態、特に接着を行う
収納穴43の表面状態、寸法精度を機械加工時の良好な状
態に維持することができる。次に、このようなプランジ
ャーチップ41に対し焼き戻しを行った後、規定寸法に精
密加工する。
【0014】次に、この発明の一実施例の作用について
説明する。前述のようなダイカストマシン21を用いてア
ルミニウム合金、マグネシウム合金等からなる製品を製
造する場合には、まず、シリンダのピストンロッド26を
突出させて可動プラテン24をガイドロッド25に沿って後
方に移動させ、金型27、28を閉止、型締めする。次に、
溶湯を射出スリーブ31の注湯口32を通じて射出スリーブ
31内に注湯した後、シリンダ35のピストンロッド36を突
出してプランジャーチップ41を射出スリーブ12内におい
て前進させる。このとき、射出スリーブ31内の溶湯はプ
ランジャーチップ41に押され金型27、28内に形成された
図示していないキャビティに圧入される。このような圧
入時、プランジャーチップ41と射出スリーブ31とは高
温、高荷重下で摺接するが、このとき、摺動本体42を例
えば、熱処理(焼き入れ)によってマルテンサイト組織
となった鋳鉄から構成し、一方、射出スリーブ31を例え
ば、熱間ダイス鋼から構成すれば、両者の材質が異なる
ため、これにより、プランジャーチップ41の射出スリー
ブ31に対する焼き付きの抑制が可能となる。しかも、こ
のような摺動本体42を、元来機械的強度の低い安価な鋳
鉄から構成するようにしているので、プランジャーチッ
プ41を安価とすることもできる。また、このように高
温、高荷重下での射出スリーブ31とプランジャーチップ
41との摺動時における摩擦、摩耗、焼き付きは、固体潤
滑作用を行う黒鉛体44によって効果的に抑制され、これ
により、これらの間に供給される潤滑油の量を減少ある
いは省略することができる。ここで、黒鉛体44が多孔質
であると、該黒鉛体44が若干量の潤滑油を保有するた
め、供給潤滑油量をさらに減少させることができる。そ
して、前記キャビティ内の溶湯が凝固すると、シリンダ
のピストンロッド26を引っ込めて金型27、28を開放する
とともに、シリンダ35のピストンロッド36を引っ込めて
プランジャーチップ41を射出スリーブ31の後端まで復帰
させる。次に、金型27、28から製造された製品を取り出
す。
【0015】次に、実際に製作したアルミニウム合金ダ
イカスト用のプランジャーチップ41について説明する。
このプランジャーチップ41を製作する際、炭素を3.62重
量%、シリコンを2.10重量%、マンガンを0.50重量%、
りんを0.03重量%、硫黄を0.02重量%、銅を0.42重量
%、マグネシウムを0.05重量%含む球状黒鉛鋳鉄の溶湯
を鋳型のキャビティ内に注湯(注湯時の温度は1350度
C)し、該キャビティ内に突出している部分の黒鉛体44
を鋳ぐるんだ。ここで、黒鉛体44としては見かけ比重が
1.68g/cm3、曲げ強さが2.5kgf/mm2、ショアー硬度が37
のものを使用した。次に、このようにして成形されたプ
ランジャーチップ41を鋳型から取出し、摺動本体42の硬
度を測定したところ、ロックウエルB硬度98であった。
次に、このプランジャーチップ41を機械加工した後、無
酸素雰囲気である真空炉内に搬入し890度Cまで加熱し
て90分間保持した。その後、該プランジャーチップ41を
油冷により焼き入れし、続いて、 465度Cまで再加熱し
て焼き戻しを行った。この焼き戻し後のプランジャーチ
ップ41のロックウエルC硬度を測定したが、その値は射
出スリーブ31の通常の硬度(ロックウエルC硬度で44〜
48)より若干低い42であった。また、このようなプラン
ジャーチップ41からJIS4号試験片を切り出し、その
引張強度および伸びを測定したが、その値はそれぞれ10
4kgf/cm2、 2.0%であった。
【0016】なお、前述の実施例においては、摺動本体
42全体の機械的強度を熱処理によって向上させるように
したが、耐熱摺動体の使用形態に応じて、摺動本体42の
表面部、例えば摺動面のみの機械的強度を熱処理によっ
て向上させるようにしてもよい。この場合には、浸炭焼
き入れ、高周波焼き入れ、火炎焼き入れ、窒化処理を前
記熱処理として用いることができる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、安価でかつ焼き付きを抑制でき、さらに、作業環境
および製品の品質を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す全体概略平面図であ
る。
【図2】図1のIーI矢視断面図である。
【図3】プランジャーチップの一部破断正面図である。
【図2】従来の耐熱摺動体を示す図2と同様の断面図で
ある。
【符号の説明】
41…耐熱摺動体 42…摺動本体 43…収納穴 44…黒鉛体
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す全体概略平面図であ
る。
【図2】図1のI−I矢視断面図である。
【図3】プランジャーチップの一部破断正面図である。
【図4】 従来の耐熱摺動体を示す図2と同様の断面図で
ある。
【符号の説明】 41…耐熱摺動体 42…摺動本体 43…収納穴 44…黒鉛体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱処理を施すことにより高温における機械
    的強度を向上させた摺動本体の摺動面に多数の収納穴を
    形成するとともに、各収納穴に該収納穴を満たし固体潤
    滑作用を行う黒鉛体を収納固着するようにしたことを特
    徴とする耐熱摺動体。
  2. 【請求項2】前記熱処理を焼入れとし、摺動本体の組織
    を該焼入れによってマルテンサイト組織とするようにし
    た請求項1記載の耐熱摺動体。
  3. 【請求項3】前記黒鉛体の内部に多数の微小空間を形成
    し、これら微小空間に潤滑油を保有させるようにした請
    求項1記載の耐熱摺動体。
  4. 【請求項4】固体潤滑作用を行う多数の黒鉛体の周囲に
    金属溶湯を注湯して固化させることにより、収納穴を満
    たす黒鉛体を鋳ぐるんだ摺動本体を形成する工程と、摺
    動本体に対し無酸素雰囲気中で熱処理を施すことによ
    り、該摺動本体の高温における機械的強度を向上させる
    工程と、を備えたことを特徴とする耐熱摺動体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】摺動本体の摺動面に多数の収納穴を形成す
    る工程と、摺動本体に対し無酸素雰囲気中で熱処理を施
    すことにより、該摺動本体の高温における機械的強度を
    向上させる工程と、摺動本体の各収納穴に該収納穴を満
    たし固体潤滑作用を行う黒鉛体を収納して接着剤により
    固着する工程と、を備えたことを特徴とする耐熱摺動体
    の製造方法。
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JP2007132491A (ja) * 2005-11-14 2007-05-31 Hitachi Constr Mach Co Ltd 摺動部材及びその製造方法
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