JPH072277A - 真空部品及び真空容器 - Google Patents

真空部品及び真空容器

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JPH072277A
JPH072277A JP3269994A JP3269994A JPH072277A JP H072277 A JPH072277 A JP H072277A JP 3269994 A JP3269994 A JP 3269994A JP 3269994 A JP3269994 A JP 3269994A JP H072277 A JPH072277 A JP H072277A
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JP
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vacuum
copper
container
component
copper alloy
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JP3269994A
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English (en)
Inventor
Kazuo Miyamoto
和夫 宮本
Fumio Watanabe
文夫 渡辺
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Sukegawa Electric Co Ltd
Musashino Engineering Co Ltd
Original Assignee
Sukegawa Electric Co Ltd
Musashino Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電解研磨による表面クリーニング処理を簡単
に行え、真空内壁からのガス放出を最小にすることが出
来ると共に長期使用に耐える真空部品及び真空容器を提
供すること。 【構成】 真空容器及び真空装置を構成する部品を、主
体部と、該主体部に接続された連結部とから構成し、前
記主体部及び連結部は、共に純銅又はりん青銅、クロム
銅、ベリリウム銅等の低蒸気圧銅合金からなり、更に、
前記主体部及び連結部は一体的に固着されている真空部
品。また、真空容器及び真空装置を構成する部品を、主
体部と、該主体部に接続された連結部とから構成し、前
記主体部及び連結部は、共に純銅又はりん青銅、クロム
銅、ベリリウム銅等の低蒸気圧銅合金からなり、更に、
前記主体部及び連結部は一体的に固着され、且つ、前記
主体部及び連結部を一組としてこれらを該連結部同士で
連結し中空状の容器を形成した真空容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超高真空試験装置や表
面分析装置等に用いられる真空部品及び真空容器に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の真空部品及び真空容器は、一般
に、その壁部の材質がステンレス鋼やアルミニウム合金
等で作られていた。ステンレス鋼は耐熱強度、耐腐食
性、機械切削良好性、溶接良好性等多くの特徴を有する
ことから高真空容器及び超高真空容器更に各種真空部品
として広く普及している。また、アルミニウム合金の場
合は、低放射化、熱伝導良好性、低輻射率、伸延良好
性、切削良好性、軽量等ステンレス鋼には無い特徴を持
つので、その特徴を生かした加速器等に用いられてい
る。
【0003】しかし、上記ステンレス鋼製又はアルミニ
ウム合金製いずれの真空容器及び真空部品の場合も10-8
Pa以下の超高真空領域に用いられる場合は、真空容器内
壁面に研磨等の表面処理を施すと共に、真空排気時には
容器全体を、ベーキング(ガス放出のための加熱処理)
を行い、真空内壁より放出されるガスをあらかじめ低下
させておく操作が必要である。
【0004】この操作によって発生させられる超高真空
環境で、表面分析等のクリーン環境を利用した実験が行
われる場合、真空壁は、電子、イオン、γ線、X線、紫
外線等の各種の荷電粒子線、電磁波(以下放射線と称す
る)の照射を受けるが、この時、真空壁に吸着又は化学
結合しているガス分子は、放射線の刺激を受けてガス分
子の離脱が起こる。
【0005】ところで、ステンレス鋼、アルミニウム合
金の両壁材は、ベーキング後も壁は酸化物表面からなっ
ているので、表面がこの放射線照射を受けると、酸化物
形成が破壊され、化学的に活性な酸素原子や酸素分子が
飛び出し、また、酸化物層に吸蔵されているガスもこの
刺激で放出されるので、超高真空状態を崩すだけでな
く、有害なガス分子が悪影響を及ぼし正確な表面分析が
困難になってしまう。
【0006】このような問題を解決するには、前記放射
線刺激によるガス放出の少ない金属を用いて真空容器を
作るのが最も良い。最近X線照射と材料のガス放出の関
係がシンクロトロン放射光を用いて詳しく調べられ、そ
の結果も公表されている(真空学会誌、真空第33巻286
頁、1990年版参照)。これによると、最もガス放出の少
ない材料は真空溶解無酸素銅を機械切削した表面である
ことが判明している。そして、そのガス放出の相対値
は、従来のステンレス鋼やアルミニウム合金より2桁な
いし3桁低い値をもっている。これは、銅の酸化膜は薄
く、真空中でベークされると酸化面が容易に還元され、
純金属になる結果と考えられている。従って、真空容器
及び真空部品をこの真空溶解無酸素銅を用いて製作すれ
ば、超高真空状態で、放射線照射を受けても、有害なガ
ス放出のない真空容器及び真空部品を提供することが出
来る。しかし、銅を真空容器及び真空部品として用いよ
うとすると次のような欠点を克服しなければならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、真空容器及
び真空部品を製作する場合の最も基本的な技術は溶接で
あるが、銅の熱伝導性はステンレス鋼の約20倍、アルミ
ニウムの約2倍あり、融点はアルミニウムの660 ℃に対
して1084℃と高く、溶接性が非常に悪い。従って、ステ
ンレス鋼やアルミニウム等に用いられて来たTIG 溶接は
不可能で、銅材料を用いて真空容器を製作するにはロー
付けか、電子ビーム溶接しかない。特に異種金属を銅容
器に溶接することは困難を伴い、実際の報告ではステン
レスフランジ等の異種金属溶接は、ロー付けで行ってい
る(真空第33巻286 頁、1990版参照)。
【0008】しかし、超高真空に使用される真空容器及
び真空部品の場合は、ベーキングを行う必要があるか
ら、フラックスを用いるロー付けの真空容器は問題があ
り、信頼性は落ちる。残された唯一の方法はエネルギー
集中密度の高い電子ビーム溶接だけであるが、複雑な真
空容器及び真空部品の溶接部を総て真空容器及び真空部
品の内側から電子ビームで溶接することは困難である。
従って、一部はロー付けに頼るか、電子ビーム溶接を外
部から行わざるを得ない。しかし、真空容器及び真空部
品を外部から溶接すると、真空容器の内側には溶接時に
溶解しない部分の隙間が残り、ガス放出の原因となり好
ましくない。このような理由によって、従来の技術で
は、無酸素銅を用いて 100%内部溶接による真空容器及
び部品を提供することは出来なかった。
【0009】また、真空容器はポンプや計器を装着する
ポートが不可欠であるが、銅は非常に柔らかく、そのま
まではガスケットを挟み付けるフランジを形成すること
が出来ない。繰り返しの使用に耐えるには、硬度の高い
金属を用いなければならないが、この点、ナイフエッジ
によるステンレス鋼は銅ガスケットに用いられて来た実
績から非常に有望である。従って、銅と膨張係数の一致
するステンレス鋼のナイフエッジフランジを銅真空容器
に溶接してポートを形成することは容易に考えられる。
しかしこの場合、熱伝導率及び融点の全く異なる金属同
士を溶接するには前項の溶接の問題点を解決しなければ
ならない。
【0010】更に、真空容器を用いて超高真空を発生さ
せるためには、ベーキングは不可欠であるが、銅は非常
に酸化され易く、100 ℃以上のベーク時には非常に強い
酸化を受け、表面は黒く変色してしまう。従って、銅を
真空容器及び真空部品として使用する場合は大気側に接
する部分には何等かの酸化防止対策を施さなければなら
ない。
【0011】超高真空容器及び部品として大切な技術の
一つとして、内壁の表面処理がある。酸化しやすい銅の
場合、真空容器及び部品の組み立て後において、表面の
酸化物を除去することが必要である(たといベーク時に
酸化物表面は還元されるとしても必要である)。
【0012】一方、真空容器及び部品を電子ビームで溶
接すると、溶接は真空中で行われるため溶接時にビーム
によって溶解した金属が周辺の壁に飛散し、真空容器及
び部品を汚してしまうため、溶接時、電子ビームの行わ
れる部分以外をカバーにより遮蔽する方法も考えられる
が、完全とは言えない。従って、電子ビームによって製
作される真空容器及び部品は、製作後に内壁を100 %表
面処理出来る構造でなければならない。この場合、化学
薬品による電解研磨が最も良いが、この場合は化学薬品
を使う関係から、薬液が真空容器内部の隙間に残らない
ようにする必要があり、この点から溶接は100 %内部か
ら行える構造を備えてなければならない。
【0013】次に、新しく開発された昇温脱離法(真空
第33巻154 頁、1991版参照)を用いて調べた真空溶解無
酸素銅の表面処理方法とガス放出との関係を調べた結果
を図1に示す。図1の曲線Cu−EP(機械切削後、リ
ン酸溶液中で電解研磨処理した真空溶解無酸素銅)に示
されているように、リン酸希釈液で行われた電解研磨処
理が最も低いガス放出を示している。尚、機械研磨と電
解研磨を組み合わせた複合電解研磨はかえって良くない
ことが知られている(真空第33巻286 頁、1990版参
照)。
【0014】真空容器のベーキングは、主に真空内壁に
吸着する水分子を追い出す為に行われるが、電解研磨処
理された無酸素銅が最も低く、ピークの位置は約80℃
で、ステンレス鋼のピーク値350 ℃は勿論、これまで報
告されている最も低いアルミニウムのピーク値180 ℃と
比較しても、遥かに低い。従って、真空溶解銅を用いた
真空容器及び部品は超高真空容器及び部品として最適で
あると言えるが、最良の効果を得るためには、真空容器
及び部品が完全に組み上った後において、真空容器及び
部品内面が100 %リン酸溶液で満たされ、且つ電解研磨
処理が行える構造を備えていなければならないことが分
る。しかし、銅を用いて真空容器及び部品を製作する場
合、前項目を全て満足出来る方法はこれまで見出されて
いなかった。
【0015】しかるに、この発明は、このような現状に
鑑みてなされたものであって、その目的とするところ
は、前記放射線照射によるガス放出の最も少ない超高真
空対応の真空部品及び真空容器を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、真
空容器及び真空装置を構成する部品を、主体部と、該主
体部に接続された連結部とから構成し、前記主体部及び
連結部は、共に純銅又はりん青銅、クロム銅、ベリリウ
ム銅等の低蒸気圧銅合金からなり、更に、前記主体部及
び連結部は一体的に固着されている真空部品である。
【0017】この真空部品は、好ましくは、真空壁材、
真空継手、真空配管、真空ポンプ、真空バルブ、ベリリ
ウム窓、覗き窓、電流導入端子、運動導入部品、ボル
ト、ナット、真空モータ、真空計、質料分析計、表面分
析計、スパッター装置、真空熱処理炉等の真空部品又は
これらの真空部品を組み合わせて構成されるものであ
る。
【0018】更に、好ましくは、前記純銅又はりん青
銅、クロム銅、ベリリウム銅等の低蒸気圧銅合金は、部
品及び装置を構成している材料の真空に面する部分の80
%以上に使用されていることである。
【0019】更に、好ましくは、前記部品の内面には電
解研磨処理が施されていることである。
【0020】更に、好ましくは、前記部品の大気に面す
る部分に酸化防止用のメッキや塗装等の表面処理が施さ
れていることである。この場合、酸化防止用の表面処理
は、無電解ニッケルメッキであるとよい。
【0021】また、本発明は、真空容器及び真空装置を
構成する部品を、主体部と、該主体部に接続された連結
部とから構成し、前記主体部及び連結部は、共に純銅又
はりん青銅、クロム銅、ベリリウム銅等の低蒸気圧銅合
金からなり、更に、前記主体部及び連結部は一体的に固
着され、且つ、前記主体部及び連結部を一組としてこれ
らを該連結部同士で連結し中空状の容器を形成した真空
容器である。
【0022】この真空容器において、好ましくは、前記
部品は、真空壁材、真空継手、真空配管、真空ポンプ、
真空バルブ、ベリリウム窓、覗き窓、電流導入端子、運
動導入部品、ボルト、ナット、真空モータ、真空計、質
料分析計、表面分析計、スパッター装置、真空熱処理炉
等の真空部品又はこれらの真空部品を組み合わせて構成
されるものであることである。
【0023】更に、好ましくは、前記純銅又はりん青
銅、クロム銅、ベリリウム銅等の低蒸気圧銅合金は、部
品及び装置を構成している材料の真空に面する部分の80
%以上に使用されていることである。
【0024】更に、好ましくは、前記部品の内面には電
解研磨処理が施されていることである。
【0025】更に、好ましくは、前記部品の大気に面す
る部分に酸化防止用のメッキや塗装等の表面処理が施さ
れていることである。この場合、酸化防止用の表面処理
は、無電解ニッケルメッキであるとよい。
【0026】更に、好ましくは、前記部品の連結部同士
を、緊締手段を介し分離可能に連結して一体状の容器を
構成したことである。この場合、前記緊締手段は、純銅
又はりん青銅、クロム銅、ベリリウム銅等の低蒸気圧銅
合金からなるボルト及びナットであるとよい。
【0027】また、本発明は、壁部が銅又は銅合金から
成る複数分割状の容器を形成し、前記分割状容器の接合
部近傍の外周には真空気密シールを得る為の金属フラン
ジを電子ビーム溶接によりそれぞれ一体的に形成すると
共に、前記分割状容器同士を金属フランジ及び緊締手段
を介し分離可能に連結して一体状の容器を構成した真空
容器である。
【0028】この真空容器において、好ましくは、前記
分割状の容器は壁部が銅又は銅合金から成る一対の半割
り状容器であることである。
【0029】更に、好ましくは、前記分割状の容器は、
壁部が銅又は銅合金から成る一対の半球状容器であるこ
とである。
【0030】更に、好ましくは、真空部品を取り付ける
ポート用パイプを、分割状容器の内側から電子ビーム溶
接により一体的に装着したことである。
【0031】更に、好ましくは、金属フランジの材料
は、ステンレス鋼或は銅合金又は時効硬化性合金である
ことである。
【0032】更に、好ましくは、真空容器の内面は電解
研磨処理が施されていることである。
【0033】更に、好ましくは、真空容器の大気に接す
る外壁は、酸化防止の表面処理が施されていることであ
る。
【0034】
【作用】本発明によれば、真空部品及びその部品を組み
合わせて構成される真空装置を、銅又は銅合金を用いて
構成することにより、接合部が熱膨張係数、熱伝導率、
融点等、同質系の材料となるので、電子ビームは勿論、
最も汎用性の高いTIG溶接も可能となるので、安価に
且つ溶接の信頼性が増し、真空特性も最良の真空部品を
提供できるものである。
【0035】また、壁部が銅又は銅合金から成る複数分
割状の容器を形成し、前記分割状容器の接合部近傍の外
周には真空気密シールを得る為の金属フランジを電子ビ
ーム溶接によりそれぞれ一体的に形成すると共に、前記
分割状容器同士を金属フランジ及び緊締手段を介し分離
可能に連結して一体状の容器を構成した場合は、真空部
品を取り付けるためのポートは、分割面上に取り付ける
ことが容易であるため、100 %内部溶接が可能であり、
また、溶接組み立て後は、これらのポートを含むすべて
の容器内面に電解液を満たして、電解研磨による表面ク
リーニング処理を簡単に行うことが出来る。更に、大気
に触れる容器の外壁部分は、酸化防止の表面処理(例え
ばメッキ)を電子ビーム溶接前に行うことによって、電
解研磨に支障を来さないようにすることが出来る。従っ
て、研磨後、分割状容器を突き合せて一体状に構成され
た真空容器は、真空の表面処理としては最もクリーンな
状態を保つことができ、排気後外部からベーキングすれ
ば、内部は最良の真空壁となる。この後は、大気に戻さ
れたとしても、ガスの吸着は非常に小さくなる。従っ
て、ポートに種々の測定器が取り付けられ実験中に各種
の放射線が、この真空容器の壁を照射しても、壁のクリ
ーンな状態は保たれ、壁からのガス放出を最少にするこ
とが可能となる。また、長期間使用の後、真空内壁が汚
染された場合は、再び半割りに分解し、電解液を満たし
て容易に電解研磨を施すことが可能であり、汎用性の非
常に高い真空容器を提供出来るものである。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら詳細に説明する。
【0037】図2は、本発明の一実施例を示す断面図で
ある。図2の分解図である図3に示すように、割り状容
器1を構成する銅製の半割り状容器1a,1bの接合部
近傍外周には、真空気密シールを得るための金属製フラ
ンジ、例えばステンレス製のフランジ2が電子ビームに
よって半割り状容器1a,1bの開口面の対向方向(矢
印A方向)から溶接される。
【0038】この場合、ステンレスの熱膨張係数は銅の
熱膨張係数と一致しているために溶接が可能である。ま
た、真空部品を取り付けるためのポートを構成する銅製
パイプ3,4,5は、あらかじめ外側方向(矢印C,E
方向(パイプ5側は省略))から電子ビームによってス
テンレス製フランジ3’,4’,5’の溶接された銅製
パイプ3,4,5が、半割り状容器1a,1bに開けた
穴Pに外側から挿入された後、半割り状容器1a,1b
の内側方向(矢印B,D方向)から電子ビームによって
溶接される。この溶接に先立って、半割り状容器1a,
1b及び銅製パイプ3,4,5の外壁は、酸化防止の表
面処理(黒亜鉛メッキ)1”,3”,4”,5”がなさ
れている。
【0039】図4は、電子ビーム溶接完了後、半割り状
容器1aの内部を電解研磨している状態を示すものであ
る(他方の半割り状容器1bの場合も同様である)。図
中、符号8,9,10で示すものは電極間絶縁を兼ねた
電解液漏れ押え蓋、8’,9’,10’はゴム絶縁ガス
ケットである。11,12,13は電解用の陰極で、半
割り状容器1aは陽極につなぐ。14は直流電源であ
る。この状態で半割り状容器1a内に電解液(リン酸電
解研磨液)15を満たした後、電流を流して、半割り状
容器1a及び銅製パイプ3,4の内部表面を電解研磨す
る。そして、電解研磨終了後、半割り状容器1aを洗
浄、乾燥すれば、真空容器として最良の効果を発揮する
ことになる。図2は同一形状(ポート数は異なっても良
い)の半割り状容器1a,1bを前記方法で製作し、電
解研磨処理後2つの容器1a,1bを銅製ガスケットS
を挟んで緊締手段(実施例ではボルト)7で締め付け、
球状容器1とした場合を示す。銅製パイプ3,4にメク
ラフランジ6,6’を取り付け、排気口16から割り状
容器1内部の空気を排気することにより、図2の球状真
空容器1は100 %内部電子ビーム溶接で、組立後100 %
内部電解研磨の銅製球状真空容器を提供することが出来
る。
【0040】図2の実施例では、真空気密シールを得る
ための金属製フランジ2として、ステンレス鋼を用いた
が、フランジ2はステンレス鋼に限ったものではなく、
銅合金又は時効硬化性合金であるベリリウム銅を用いる
ことも出来る。ベリリウム銅を使用する場合は、ベリリ
ウム銅の硬化の前にフランジ2を切削加工し、ベーク時
に焼き入れをすれば、冷却後はエッジが鋼の様に硬化
し、キズがつきにくく、最良のフランジ2が得られる。
また、ベリリウム銅は、熱伝導が非常に良く、熱陰極イ
オンゲージや熱陰極イオン源残留ガス分析計のポートに
用いた場合、伝導冷却効果によるガス放出の低減化が達
成され、更に銅の低輻射率の効果によってフィラメント
の消費電力も押えることが可能となり、ガス放出の低減
化に多大な効果がある。
【0041】尚、100 %内部溶接を達成するために、円
筒状真空容器において、円筒側面の対向する位置にポー
トを付け、交互にポートの穴から対向する内面に電子ビ
ームを照射し、溶接する方法が考えられる。しかし、こ
の方法では不必要な余分のポートを設ける必要があり、
表面積の増大だけでなく、コストの増大にもつながり、
また信頼性の点からも得策ではない。この点、本発明に
係る2分割方式の銅製球状真空容器では、真空容器とし
てのすべての機能を満たしながら、真空内表面積が最小
の球状であり、ガス放出も最小となり、理想的な真空容
器を提供出来るものである。
【0042】このような、効果を提供できたのはとりも
なおさず、真空壁材料として真空溶解無酸素銅を用いる
と共に、真空容器を2分割式の分離可能な球状に構成
し、分割面にガスケットを挟んで真空気密シールを達成
出来るフランジを溶接し、ポート用銅製パイプを半割り
面上に溶接し、これらの溶接は真空内面から100 %電子
ビーム溶接が可能で、しかも、組み立て後、真空排気直
前に内面の100 %を電解研磨によるクリーンアップを可
能にしたからにほかならない。
【0043】勿論、本発明による銅容器と異種フランジ
の電子ビームによる100 %内面溶接と、100 %内面電解
研磨方法は、球状容器に限られるものではなく、円筒容
器、箱形容器、等いかなる真空容器にも適用出来るもの
である。
【0044】本発明は上記の構成により、ガス放出が少
ない真空溶解無酸素銅の真空容器が硬度の高いステンレ
ス鋼、銅合金等からなるフランジによって組み立てられ
るので、放射線照射下の超高真空環境でガス放出が少な
く、且つ充分な強度を有する真空容器を形成することが
出来た。
【0045】また、従来の真空容器はフランジによって
組み立てられるため、それぞれの半割り状容器に取付け
られる観測装置や試料の挿入口となるポートや排気管等
の配管等を構成する継手と容器との接合も真空容器を分
解した状態で行うことが出来るので、継手と半割り状の
容器との接合部の真空に曝される側から電子ビームによ
り溶接することが可能となり容器の真空性能が大幅に高
められる。
【0046】更に、真空容器の内部にリン酸希釈液等を
満たし容器内面の電解研磨を行う際、容器内面を均等に
研磨するためには容器内面の形状に沿った形の電極を容
器内部に挿入できなければならないが、真空容器は分解
された状態なので容易に容器内面の形状に沿う電極を挿
入することができ、この状態で電解研磨を施すことによ
り溶接による真空容器や継手内面の汚れを確実に洗浄出
来ると共に、真空容器や継手内面の平滑化が成されガス
分子の吸着を防止することが出来るうえに、酸化膜層の
除去を行うことが出来る。
【0047】真空容器は電解研磨の後フランジ部分を結
合し球状に組み立てられ、内部を真空状態にして全体を
加熱するベーキング処理を行ない、内面に付着する水分
子を脱離させると共に、最終的な酸化膜層の還元を行い
真空容器内面を清浄な純金属状態にして完成される。ベ
ーキング処理のために大気に晒される真空容器やポート
や配管等の継手外面には、溶接前に黒亜鉛メッキ等の表
面処理を施すことにより酸化が防止される。
【0048】フランジに時効硬化性があるベリリウム銅
を用いると、先にフランジに切削加工されているナイフ
エッジは、最終段階のベーキング処理により焼き入れが
なされてナイフエッジは鋼のように硬化し、非常に耐久
性の高い気密シールを構成するものとなる。
【0049】また、フランジにベリリウム銅を使用した
継手を真空容器の測定用のポートに用いた場合、熱陰極
イオンゲージや熱陰極イオン源残留ガス分析計等の発熱
を伴う測定器からの熱をフランジは非常に良く伝導し、
伝導冷却効果により測定器からの熱によってフランジが
加熱されてガス放出を増大させることがないので測定器
の精度を損なわない。更に、銅の低輻射率の効果によっ
て測定器のフィラメントからの輻射熱を吸収せず反射す
るのでフィラメントの昇温を妨げず、そのためフィラメ
ントの消費電力を押えることが出来る。フランジにベリ
リウム銅を使用した継手を真空容器の測定用のポートに
用いると、精度の高い測定が行える超高真空容器とする
ことが出来る。
【0050】真空容器はフランジにより分解組立が可能
なので、長期間の使用により真空容器内面が汚れた場合
には、分解してその都度電解研磨を施し容器内面を清浄
な状態にでき、常に最良の超高真空状態を保つことが可
能であり、長期間に渡って超高真空環境を提供すること
が出来るものである。
【0051】次に、本発明の真空部品への実施例を図5
〜図10を用いて説明する。
【0052】図5は真空部品の一つである同軸型電流導
入端子に、本発明を適用した場合の実施例である。外筒
管16は0.5%のベリリウムを含むベリリウム銅合金製
のパイプであり、電流導入電極17は同じ材質のベリリ
ウム銅合金である。外筒管16と電極17の間にはアル
ミナセラミック製の絶縁材18が配置され、メタライズ
された後、外筒管16と電極17間、電極17と絶縁材
18間は真空金ロー付され真空の気密性が保てるように
なっている。20は真空端子の取り付けられる銅又は銅
合金製の真空容器壁又はフランジである。外筒管16に
連続する鍔19は電子ビームによって重力上方E方向か
ら真空容器壁又はフランジ20に溶接される。この場合
電子ビームの強度は通常より高めにされて溶接されるた
め、裏側には熔融金属の垂れ下がりビート22が発生す
る。
【0053】垂れ下がりビート22を発生させた溶接で
あるから、F側には溶接部の隙間が残らないので、溶接
完了後F側から全金属部を電解研磨を施すことができ、
ガス放出を最小とする真空端子及び溶接法を提供するこ
とができる。
【0054】垂れ下がりビートを発生させながら電子ビ
ーム溶接可能な理由は、本発明のように外筒管を銅合金
で製作する事ができたためである。即ち、外筒管は銅又
は銅合金であるため、真空容器壁又はフランジ20と鍔
19が電子ビームによって溶融したとき、馴染みよく混
合し、抜け落ちないで垂れ下がりビートを形成する。
【0055】これに対して従来の真空端子の場合は、電
極17は銅合金の真空端子ではあっても、外筒管16及
び鍔19はコバール合金で製作されていたため、真空容
器壁又はフランジ20と鍔19の溶接は異種金属の溶接
となり(特に熱伝導率、融点が異なる)、垂れ下がりビ
ートを形成させた溶接は不可能であった。
【0056】また、外筒管が熱伝導が非常に高い銅又は
銅合金である本発明の真空端子では、同じ寸法のコバー
ル合金製の従来の真空端子に比べて著しい性能向上を図
ることができる。即ち、端子に大電流を流すような場
合、中心導線の電極17には大量の熱が発生しこの熱を
逃さなければならない。この場合、電極17の導線の軸
方向に熱を流すのが通例であるが、伝導冷却には限界が
あった。このためセラミック18の方にも熱が流れる
が、従来のコバール合金製の真空端子では外筒管の熱伝
導が銅又は銅合金の1/20〜1/10と非常に悪いため、端子
全体の温度上昇につながり、リークが発生する問題があ
った。
【0057】ところが本発明の真空端子では、セラミッ
ク18を伝わって来た熱が外筒管を通して外気又は真空
容器に直ちに拡散されるため、このような問題が発生し
なく、信頼性を向上させることができる。
【0058】図6は真空部品の一つであるベロー真空継
手へ、本発明を適用した場合の実施例である。23はベ
リリウム銅合金の成型ベローを、同じくベリリウム銅合
金のナイフエッジフランジ25にGの方向から電子ビー
ム溶接した、オール銅合金のベロー真空継手である。こ
の場合も銅合金の溶接であるから、肉薄のベローを直接
フランジに溶接することができるので、溶接は容易であ
り信頼性が格段と向上する。溶接後は内部に電解液を満
たし、電解研磨を施すことにより、ガス放出の小さいベ
ロー真空継手となる。尚、26は酸化防止用の無電解ニ
ッケルメッキの被膜である。
【0059】図7は真空中で発生した放射線やX線を大
気側に取り出す窓口である、ベリリウム窓に、本発明を
適用した場合の実施例である。27は肉薄0.1〜0.3mmの
ベリリウム金属円盤であり、25はベリリウム銅合金の
ナイフエッジフランジである。2つはHの方向から電子
ビームで溶接されている。また、26は酸化防止用の無
電解ニッケルメッキの被膜である。
【0060】従来のベリリウム窓は、ベリリウム金属を
銅のリングに溶接し、これをステンレスのフランジに溶
接する必要があった。しかし、本発明のベリリウム窓は
同じベリリウムを含むベリリウム銅合金のフランジに直
接溶接することができるので、肉薄のまま溶接可能な
上、信頼性が高い。また、ベリリウム窓が放射線を受け
て熱が発生したとしても、熱はフランジに直接に逃がす
ことができる特典が生まれる。
【0061】図8は真空バルブに、本発明を適用した場
合の実施例である。バルブの外筒管30は銅製であり、
ナイフエッジフランジ25,27が溶接されている。2
3はベリリウム銅合金のベローズで、ハンドル31を回
転させることによってバルブの開閉が行われる。台座2
8と台座受けを兼ねたフランジ26の間には、バイトン
のバルブシール材29が配置されている。装置は別々に
組み立てられた後、電解研磨の表面処理がなされ、プリ
ベークの後2つのバイトンを嵌めバルブとしての機能が
発揮される。
【0062】参考の為に従来のバイトンシールのバルブ
について説明する。従来のバルブはバイトン以外の部分
がすべてステンレス製であったため、バイトンシールの
超高真空バルブを提供することができなかった。即ち、
ステンレス材料を用いて超高真空を発生するためには、
装置全体延いてはバルブを300〜450℃の高温ベーキング
が不可欠であった。しかし、有機物のバイトンのベーキ
ング上限温度は100〜120℃が限度であり、超高真空バル
ブは全てオールメタルバルブであった。
【0063】これに対して本発明のバルブは、バイトン
を除き、真空に面するすべての部分が銅又は銅合金で製
作されている為その特徴が発揮される。即ち、図1の水
分子の昇温脱離スペクトルより明らかなように、銅表面
からの水の脱離温度は80℃であるから、バイトンが耐え
うるベーキング温度100℃でバルブをベークすれば、バ
ルブの十分な脱ガス操作を行うことができ、使用される
バイトンもシール部分に用いられる最小量なので、超高
真空バルブとして使用することが可能になる。これは取
りも直さず、シール以外の部分を、100℃の低温ベーク
で従来のステンレスを上回るガス放出速度が得られるオ
ール銅とした、本発明がバルブに適用されたための効果
である。
【0064】図9は真空装置の組み立て等に不可欠のボ
ルト及びナットに、本発明を適用した場合の実施例であ
る。ナイフエッジシールのベリリウム合金製フランジ2
5,25’を締め付ける銅合金のボルト33とナット3
4を示す。この実施例ではボルト33,ナット34を従
来のようにステンレス製のボルト、ナットとする場合に
比較し次のような特徴を持つ。
【0065】例えば、ベリリウム銅合金のICF152のナイ
フエッジ・コンフラット・フランジを従来のステンレス
製ボルトナットと本発明を適用したベリリウム銅合金製
ボルトナットを比較してみる。ナイフエッジシールの接
触幅は0.5mm,直径116mmとすると、182mm2の接触面積と
なる。これに対して、8mmのボルトの断面積は30mm2であ
るが、16本のボルトナットで締め付けるのでボルトの
トータル断面積は480mm2となり、シール面の2.6倍の面
積がある。
【0066】従って、熱伝導率及び電気伝導率が銅又は
銅合金に対して1/20〜1/10小さいステンレス製のボルト
ナットを用いた場合は、フランジを介して熱を一定方向
に流すような場合、熱の殆どはエッジ部分に集中してし
まう。これに対し本発明の銅合金製のボルトナットを用
いた場合は、エッジ部を流れる熱をステンレスの場合に
比較して1/3に軽減することが可能となる。
【0067】図10はポンプのハウジングに本発明を適
用した場合の実施例である。超高真空ポンプとして非蒸
発型ゲッターポンプ(NEG)が最近注目されている。
このNEGポンプはポンプ表面36に気体分子を不可逆
的に化学吸着させて排気する真空ポンプで、立ち上げ時
にゲッター内部に配置されたヒーター37に熱を加えて
700℃程度まで温度を上昇させ、数10分〜数時間活性
化する必要がある。ところが、従来のNEGポンプで
は、ポンプハウジング38及びマウントフランジ39が
ステンレス製であったため、活性時にゲッターから放射
される熱でハウジングが高温になるため、ハウジングを
2重構造にしてこの間に水を流し、水冷しなけばならな
かった。
【0068】これに対して、本発明の銅又は銅合金材料
をNEGポンプのポンプハウジング部及びフランジ部に
適用した場合は、水冷の必要性がなくなるばかりか、同
じ温度に加熱する電力も従来の約1/4に減少させること
ができる。これは、銅の熱輻射率が、ステンレス鋼の約
1/18しかなく、熱を受け取りにくいためである。因みに
ICF114のフランジに取り付けたNEGポンプでは、ステ
ンレス鋼のハウジングの場合約412Wの電力を必要とした
のに対し、本発明の銅ハウジングでは96Wであった。
【0069】前述した実施例によれば、真空部品を取り
付けるためのポート用パイプを半割り面上に取り付ける
ことが容易であるため、100 %内部溶接が可能となり、
また、溶接組み立て後は、これらのポート用パイプを含
む容器内面全域にわたって隅々まで電解液を満たして、
電解研磨による表面クリーニング処理を簡単に行うこと
が出来る。更に、大気に触れる容器の外壁部分は、酸化
防止の表面処理(例えばメッキ)を電子ビーム溶接前に
行うことによって、電解研磨に支障を来さないようにす
ることが出来る。従って、研磨後2つの半割り状容器を
突き合せて球状に構成された真空容器は、真空の表面処
理としては最もクリーンな状態を保つことができ、排気
後外部からベーキングすれば、内部は最良の真空壁とな
る。この後は、排気を大気に戻したとしても、ガスの吸
着は非常に小さくなる。従って、ポートに種々の測定器
を取り付けた状態での実験中に各種の放射線がこの真空
容器の壁を照射しても、壁のクリーンな状態は保たれ、
壁からのガス放射を最小にすることが可能となる。ま
た、長期間使用の後、真空内壁が汚染された場合は、再
び半割りに分解し、電解液を満たして容易に電解研磨を
施すことが可能であり、汎用性の非常に高い真空容器を
提供出来る等の極めて有用な効果を奏する。
【0070】また、各種真空部品や真空容器及び真空部
品を組み合わせて構成される真空装置に、銅又は銅合金
を使用し、外部を酸化防止用の表面処理をすると共に、
真空内壁には電解研磨処理を施すことにより、幾多の効
果を発揮させることができる。すなわち、従来のステン
レス鋼に比較し、熱輻射率が1/18で、熱伝導率及び電気
伝導率が1/10〜1/20の性質をもつ銅又は銅合金を真空部
品として活用されるには、単に部品の一部を銅又は銅合
金として置き換えるだけではその効果を発揮することは
できない。この発明の重要なポイントは、ベーキング温
度を100℃に設定した時、十分な脱ガス操作が可能なら
しめるような真空部品及び真空装置の構成になるよう
に、銅又は銅合金の面積が他の材料に対して占める割合
を80%以上にならしめ、その効果を発揮させることが可
能になるものであれば、いかなる真空容器、真空部品、
そしてそれらを組み合わせて構成される真空装置であっ
ても構わない。
【0071】因みに、他の材料に対する銅又は銅合金の
占める割合の80%の根拠は、図2の実施例で、斜線で示
したステンレス鋼の内壁の銅に対する占有率が80%であ
り、同一形状で構成した球状真空容器を製作して、その
ガス放出速度をスループット法と称される測定方法で測
定したところ、100℃、24時間の低温ベークであるにも
かかわらず、5×10-11Pa・m3・S-1・m-2の非常に低い結
果が得られたことを根拠としている。
【0072】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように、真空部
品及びその部品を組み合わせて構成される真空装置を、
銅又は銅合金を用いて構成することにより、接合部が熱
膨張係数、熱伝導率、融点等、同質系の材料となるの
で、電子ビームは勿論、最も汎用性の高いTIG溶接も
可能となるので、安価に且つ溶接の信頼性が増し、真空
特性も最良の真空部品を提供できるものである。
【0073】また、壁部が銅又は銅合金から成る複数分
割状の容器を形成し、前記分割状容器の接合部近傍の外
周には真空気密シールを得る為の金属フランジを電子ビ
ーム溶接によりそれぞれ一体的に形成すると共に、前記
分割状容器同士を金属フランジ及び緊締手段を介し分離
可能に連結して一体状の容器を構成した場合は、真空部
品を取り付けるためのポートは、分割面上に取り付ける
ことが容易であるため、100 %内部溶接が可能であり、
また、溶接組み立て後は、これらのポートを含むすべて
の容器内面に電解液を満たして、電解研磨による表面ク
リーニング処理を簡単に行うことが出来る。更に、大気
に触れる容器の外壁部分は、酸化防止の表面処理(例え
ばメッキ)を電子ビーム溶接前に行うことによって、電
解研磨に支障を来さないようにすることが出来る。従っ
て、研磨後、分割状容器を突き合せて一体状に構成され
た真空容器は、真空の表面処理としては最もクリーンな
状態を保つことができ、排気後外部からベーキングすれ
ば、内部は最良の真空壁となる。この後は、大気に戻さ
れたとしても、ガスの吸着は非常に小さくなる。従っ
て、ポートに種々の測定器が取り付けられ実験中に各種
の放射線が、この真空容器の壁を照射しても、壁のクリ
ーンな状態は保たれ、壁からのガス放出を最少にするこ
とが可能となる。また、長期間使用の後、真空内壁が汚
染された場合は、再び半割りに分解し、電解液を満たし
て容易に電解研磨を施すことが可能であり、汎用性の非
常に高い真空容器を提供することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】昇温脱離方法による各種金属の水分子の脱離ス
ペクトル図である。
【図2】本発明に係る球状真空容器の断面図である。
【図3】電子ビーム溶接箇所の説明図である。
【図4】電解研磨法の説明図である。
【図5】本発明に係る真空部品の一つである同軸型電流
導入端子の断面図である。
【図6】本発明に係る真空部品の一つであるベロー真空
継手の断面図である。
【図7】本発明に係る真空部品の一つであるベリリウム
窓の断面図である。
【図8】本発明に係る真空部品の一つである真空バルブ
の断面図である。
【図9】本発明に係る真空部品の一つであるボルト及び
ナットの断面図である。
【図10】本発明に係る真空部品の一つである非蒸発型
ゲッターポンプのハウジングの断面図である。
【符号の説明】
1 球状真空容器 1a,1b 半割り状容器 2,2’ ステンレス鋼又は銅合金フランジ 3,4,5 真空部品取り付けポートを構成する銅製
パイプ 3’,4’,5’ ポートのフランジ 1”,3”,4”,5” 酸化防止のための表面処理 6,6’ メクラフランジ 7 緊締手段(ボルト) 8,9,10 電極間絶縁を兼ねた電解液漏れ押さえ
蓋 11,12,13 電解用の陰極 14 直流電源 15 電解液(リン酸電解研磨液) S ガスケット Cu−M 機械切削、脱脂洗浄後の真空溶解無酸素銅 Cu−EP 機械切削後、リン酸溶液中で電解研磨処
理した真空溶解無酸素銅 Al−EL エチルアルコール中で切削した純アルミ
ニウム SUS−M 機械切削後、電解研磨処理したステンレ
ス316L

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器及び真空装置を構成する部品
    を、主体部と、該主体部に接続された連結部とから構成
    し、前記主体部及び連結部は、共に純銅又はりん青銅、
    クロム銅、ベリリウム銅等の低蒸気圧銅合金からなり、
    更に、前記主体部及び連結部は一体的に固着されている
    ことを特徴とする真空部品。
  2. 【請求項2】 前記部品は、真空壁材、真空継手、真空
    配管、真空ポンプ、真空バルブ、ベリリウム窓、覗き
    窓、電流導入端子、運動導入部品、ボルト、ナット、真
    空モータ、真空計、質料分析計、表面分析計、スパッタ
    ー装置、真空熱処理炉等の真空部品又はこれらの真空部
    品を組み合わせて構成されるものであることを特徴とす
    る請求項1記載の真空部品。
  3. 【請求項3】 前記純銅又はりん青銅、クロム銅、ベリ
    リウム銅等の低蒸気圧銅合金は、部品及び装置を構成し
    ている材料の真空に面する部分の80%以上に使用されて
    いることを特徴とする請求項1記載の真空部品。
  4. 【請求項4】 前記部品の内面には電解研磨処理が施さ
    れていることを特徴とする特許請求第1項の真空部品。
  5. 【請求項5】 前記部品の大気に面する部分に酸化防止
    用のメッキや塗装等の表面処理が施されていることを特
    徴とする請求項1記載の真空部品。
  6. 【請求項6】 酸化防止用の表面処理は、無電解ニッケ
    ルメッキであることを特徴とする請求項5記載の真空部
    品。
  7. 【請求項7】 真空容器及び真空装置を構成する部品
    を、主体部と、該主体部に接続された連結部とから構成
    し、前記主体部及び連結部は、共に純銅又はりん青銅、
    クロム銅、ベリリウム銅等の低蒸気圧銅合金からなり、
    更に、前記主体部及び連結部は一体的に固着され、且
    つ、前記主体部及び連結部を一組としてこれらを該連結
    部同士で連結し中空状の容器を形成したことを特徴とす
    る真空容器。
  8. 【請求項8】 前記部品は、真空壁材、真空継手、真空
    配管、真空ポンプ、真空バルブ、ベリリウム窓、覗き
    窓、電流導入端子、運動導入部品、ボルト、ナット、真
    空モータ、真空計、質料分析計、表面分析計、スパッタ
    ー装置、真空熱処理炉等の真空部品又はこれらの真空部
    品を組み合わせて構成されるものであることを特徴とす
    る請求項7記載の真空容器。
  9. 【請求項9】 前記純銅又はりん青銅、クロム銅、ベリ
    リウム銅等の低蒸気圧銅合金は、部品及び装置を構成し
    ている材料の真空に面する部分の80%以上に使用されて
    いることを特徴とする請求項7記載の真空容器。
  10. 【請求項10】 前記部品の内面には電解研磨処理が施
    されていることを特徴とする特許請求第7項の真空容
    器。
  11. 【請求項11】 前記部品の大気に面する部分に酸化防
    止用のメッキや塗装等の表面処理が施されていることを
    特徴とする請求項7記載の真空容器。
  12. 【請求項12】 前記部品の連結部同士を、緊締手段を
    介し分離可能に連結して一体状の容器を構成したことを
    特徴とする請求項7記載の真空容器。
  13. 【請求項13】 酸化防止用の表面処理は、無電解ニッ
    ケルメッキであることを特徴とする請求項11記載の真
    空部品。
  14. 【請求項14】 前記緊締手段は、純銅又はりん青銅、
    クロム銅、ベリリウム銅等の低蒸気圧銅合金からなるボ
    ルト及びナットであることを特徴とする請求項12記載
    の真空容器。
  15. 【請求項15】 壁部が銅又は銅合金から成る複数分割
    状の容器を形成し、前記分割状容器の接合部近傍の外周
    には真空気密シールを得る為の金属フランジを電子ビー
    ム溶接によりそれぞれ一体的に形成すると共に、前記分
    割状容器同士を金属フランジ及び緊締手段を介し分離可
    能に連結して一体状の容器を構成したことを特徴とする
    真空容器。
  16. 【請求項16】 前記分割状の容器は、壁部が銅又は銅
    合金から成る一対の半割り状容器であることを特徴とす
    る請求項15記載の真空容器。
  17. 【請求項17】 前記分割状の容器は、壁部が銅又は銅
    合金から成る一対の半球状容器であることを特徴とする
    請求項15記載の真空容器。
  18. 【請求項18】 真空部品を取り付けるポート用パイプ
    を、分割状容器の内側から電子ビーム溶接により一体的
    に装着したことを特徴とする請求項15記載の真空容
    器。
  19. 【請求項19】 金属フランジの材料は、ステンレス鋼
    或は銅合金又は時効硬化性合金であることを特徴とする
    請求項15記載の真空容器。
  20. 【請求項20】 真空容器の内面は電解研磨処理が施さ
    れていることを特徴とする請求項15記載の真空容器。
  21. 【請求項21】 真空容器の大気に接する外壁は、酸化
    防止の表面処理が施されていることを特徴とする請求項
    15記載の真空容器。
  22. 【請求項22】 前記半球状容器に電極間絶縁を兼ねた
    電解液漏れ押え蓋を装着すると共に、前記押え蓋に電解
    用の陰極を挿通し、更に前記半球状容器に電解液を入れ
    て該容器を陽極につなぎ、これらの電極に電流を流して
    前記容器の内部表面を電解研磨することを特徴とする請
    求項17記載の真空容器。
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