JPH07226115A - イットリウム系酸化物超電導材およびその製造方法 - Google Patents

イットリウム系酸化物超電導材およびその製造方法

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JPH07226115A
JPH07226115A JP6016684A JP1668494A JPH07226115A JP H07226115 A JPH07226115 A JP H07226115A JP 6016684 A JP6016684 A JP 6016684A JP 1668494 A JP1668494 A JP 1668494A JP H07226115 A JPH07226115 A JP H07226115A
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yttrium
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thermal expansion
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JP6016684A
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Norikata Hayashi
憲器 林
Shigeru Okuda
繁 奥田
Noriyuki Yoshida
典之 葭田
Kozo Fujino
剛三 藤野
Chikushi Hara
築志 原
Hideo Ishii
英雄 石井
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属基板上でも、レーザアブレーション法に
よって高い臨界温度および臨界電流密度を有する酸化物
超電導膜を作製する。 【構成】 基材1上に第1の層2を形成する。第1の層
2は、900℃より高い融点を有する金属またはセラミ
ックスからなり、アモルファスである。第1の層2上
に、第2の層3を形成する。第2の層3は、1000℃
より高い融点を有する金属またはセラミックスからな
り、特定の結晶軸が特定の方向に配向する結晶構造を有
する。これらの層は、イットリウム安定化酸化ジルコニ
ウム、酸化マグネシウム、またはチタン酸バリウムによ
って形成することができる。第2の層3上に、イットリ
ウム系酸化物超電導体からなる膜4を形成する。層2お
よび3は、600℃〜800℃の温度において、イット
リウム系酸化物超電導体と実質的に反応せず、かつ膜4
を構成する材料と基材1との反応を効果的に防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーブル、マグネッ
ト、シールド、限流器、高周波デバイス、およびそれら
の中間製品等の分野において使用するイットリウム系酸
化物超電導材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導物質を線材化、大面積化し
て上記の産業分野に適用するための方法として、金属基
材上に酸化物超電導物質をコーティングする方法があ
る。
【0003】コーティングの方法として種々の手段があ
るが、高い臨界電流密度を有する膜が容易に得られる気
相法が有望である。気相法の中でも、エキシマレーザー
を用いたレーザアブレーション法は、他の気相法に比べ
て最も速い成膜速度で高品質な膜(たとえば単結晶基板
上に臨界電流密度が100万A/cm2 以上の膜を形成
できる)が作製できるという利点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】酸化物超電導薄膜の形
成に通常用いられている単結晶基板は、酸化マグネシウ
ムまたはチタン酸ストロンチウムからなり、これらは価
格が高く、大面積のものの入手が困難である。したがっ
て、単結晶材料の基板上に超電導体をコーティングする
技術は、コーティングにある程度の大きさおよび長さを
必要とする応用分野にはそのまま適用できなかった。
【0005】そこで、入手できる大きさや長さに制限を
受けにくい金属材料を基板として用い、その上に結晶配
向させた酸化物超電導膜を作製できれば、高い臨界電流
密度を示す実用的な製品が実現可能となる。しかしなが
ら、金属基板上に直接酸化物超電導膜を形成しようとす
ると、金属成分と酸化物超電導成分が反応して、求める
超電導特性が得られなかった。
【0006】本発明の目的は、上記の問題点を解決し、
金属基板上でもレーザアブレーション法によって、高い
臨界温度および臨界電流密度を有する酸化物超電導膜を
作製することにある。
【0007】本発明のさらなる目的は、金属基板上に優
れた超電導特性を示す薄膜が形成された超電導材を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のイットリウム系
酸化物超電導材は、金属からなる基材と、基材上に形成
される下地層と、下地層上に形成され、c軸が基材の面
に対してほぼ垂直に配向したイットリウム系酸化物超電
導体からなる超電導層とを備える。上記下地層は、90
0℃より高い融点を有する金属およびセラミックスから
なる群から選択される材料からなり、基材と接触し、か
つアモルファスである第1の層と、1000℃より高い
融点を有する金属およびセラミックスからなる群から選
択される材料からなり、第1の層上に形成され、かつ特
定の結晶軸が特定の方向に配向する結晶構造を有する第
2の層とを含む。下地層は、600℃〜800℃の温度
において、イットリウム系酸化物超電導体と実質的に反
応せず、かつイットリウム系酸化物超電導体と基材との
反応を防止する。
【0009】本発明に従って、イットリウム系酸化物超
電導材を製造するための方法が提供される。この方法で
は、まず金属からなる基材上に、900℃より高い融点
を有する金属およびセラミックスからなる群から選択さ
れる材料からなり、アモルファスである第1の層を形成
する。次いで第1の層上に、1000℃より高い融点を
有する金属およびセラミックスからなる群から選択され
る材料からなり、特定の結晶軸が特定の方向に配向する
結晶構造を有する第2の層を形成する。次いで第2の層
上に、レーザアブレーション法に従って、YBaCuO
系セラミックスからなるターゲットにレーザ光を照射す
ることによりターゲットから飛散された物質を、基材の
温度600℃〜800℃の範囲内において、得られる膜
のc軸が基材の面に対してほぼ垂直に配向するよう堆積
する。このレーザアブレーションによる堆積工程におい
て、第1および第2の層は、レーザアブレーションによ
る堆積物と実質的に反応せず、かつ基材とレーザアブレ
ーションによる堆積物との反応を防止する。
【0010】本発明において、第1の層は、アモルファ
スであり、結晶粒界を有しないため、基材からの拡散を
効果的に抑制することができる。第1の層を形成する材
料は、次の性質を備えることが望ましい。
【0011】(1)基材と反応しにくいこと。 (2)酸化物超電導膜は引張応力に対して特性を低下さ
せるようになるので、形成しようとする酸化物超電導物
質の熱膨張係数(イットリウム系酸化物超電導体の場
合、平均で1.69×10-5/K、a,b軸方向で1.
0〜1.1×10 -5/K)とほぼ一致する熱膨張係数を
有するか、または酸化物超電導物質よりも大きな熱膨張
係数を有すること。
【0012】第1の層に用いられる好ましい金属材料と
して、たとえば、Ag(融点約960℃、熱膨張係数
1.92×10-5/K)、Au(融点約1064℃、熱
膨張係数1.44×10-5/K)がある。また、第1の
層のためのセラミックス材料として、酸化ジルコニウ
ム、安定化のためY、MgまたはCa等を添加した酸化
ジルコニウム(Yを添加したイットリウム安定化酸化ジ
ルコニウム(YSZ)の熱膨張係数は1.0×10-5
K、融点は約2500℃)、酸化マグネシウム(熱膨張
係数1.35×10-5/K、融点は約2800℃)、チ
タン酸バリウム(a,b軸方向の熱膨張係数1.57×
10-5/K、多結晶セラミックス状態のもの1.9×1
-5/K)、チタン酸ストロンチウム(熱膨張係数1.
11×10-5/K、融点は約2080℃)を挙げること
ができる。これらの材料の熱膨張係数は、Y−Ba−C
u−O系セラミックス超電導体のa,b軸方向の熱膨張
係数(1.0〜1.1×10-5/K)の約0.9〜1.
9倍の範囲内にある。
【0013】第1の層を形成する材料の融点は、900
℃以上であり、この温度より融点が低い場合、酸化物超
電導体膜を形成するための温度において基板または酸化
物超電導物質への拡散などにより、得られる製品の特性
が劣化するようになる。
【0014】第1の層上に形成される第2の層は、特定
の結晶軸または結晶面が特定の方向に配向する結晶構造
を有する。たとえば、第2の層を立方晶系の結晶構造を
形成することができる材料から構成することができる
が、この場合、結晶軸が基材面に対してほぼ垂直に配向
するよう第2の層を形成することができる。第2の層の
結晶構造に従って、イットリウム系酸化物超電導体も、
その結晶面または結晶軸を特定の方向に配向させる。
【0015】第2の層に用いる物質は、次の特性を有す
ることが望ましい。 (1)イットリウム系酸化物超電導膜は通常600〜8
00℃の高温で第2の層上に堆積されるため、この温度
において、酸化物超電導物質と反応しにくいこと。
【0016】(2)この高温において、分解、溶融およ
び昇華を起こさず安定であること。 (3)イットリウム系酸化物超電導物質の熱膨張係数と
ほぼ一致するか、または酸化物超電導物質よりも大きな
熱膨張係数を有すること。
【0017】第2の層に用いられる好ましい材料とし
て、たとえば、Au、安定化のためY、MgまたはCa
等を添加した酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、チ
タン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等を挙げるこ
とができる。第2の層には、AuやAgよりも、上述し
たセラミックス材料を用いることがより好ましい。これ
は、より高温で酸化物超電導体を堆積させると、Auや
Agが、真空中で再蒸発または再結晶化して、超電導膜
の形成に不利に働くおそれがあるためである。
【0018】第2の層を形成する材料の融点は、その上
に超電導体が形成されるので1000℃以上である。こ
の温度より融点が低い場合、酸化物超電導膜を形成する
ための温度において、特に超電導材への拡散により、得
られる製品の特性を劣化させるようになる。レーザアブ
レーションによるイットリウム系セラミックス超電導体
の堆積は、通常600〜800℃の温度において行なわ
れる。
【0019】本発明において、下地層の厚みは0.8μ
m以下であることが望ましく、0.3〜0.6μmの範
囲がより好ましい。厚みが0.8μmを越える場合、膜
の剥がれが生じることがある。
【0020】
【作用】本発明によれば、金属基板上に2層構造を有す
る反応防止層を形成することによって、結晶配向させた
酸化物超電導膜を作製することができる。このため、高
い臨界温度および臨界電流密度を有する超電導材が得ら
れる。
【0021】反応防止層が1層でアモルファスの場合、
その上に結晶配向させた酸化物超電導膜を作製する際に
不利となる。YBaCuO系超電導膜を、アモルファス
の表面上に結晶軸を特定の方向に配向させて形成するこ
とは困難である。また、YBaCuO系超電導膜は、真
空中、高温で堆積されるため、アモルファスの反応防止
層は、成膜中にアモルファスから結晶の状態へ移行する
可能性がある。この移行は、YBaCuO系超電導膜の
結晶化に対して直接悪影響を及ぼす。
【0022】一方、反応防止層として、結晶配向させた
ものを直接金属基板上に形成する場合、その粒界のた
め、基板と超電導材との反応防止効果がアモルファスに
比べて劣る。一般的に、結晶軸を配向させるために基板
を加熱するので、この層を形成する際に基板の表面が酸
化され、膜の密着力が低下する。
【0023】本発明では、下地層を2層構造とすること
でこれらの不利な点を補い合うことができる。すなわ
ち、第1の層で拡散反応を効果的に防止し、かつ第2の
層で超電導膜の結晶軸を配向させるための結晶構造を整
えることができる。
【0024】また、酸化物超電導膜は引張歪みに対して
臨界温度および臨界電流密度を低下させる一方、圧縮歪
みに対してはこれらの特性を向上させる傾向にある。こ
のため、反応防止層として用いる材料の熱膨張係数が酸
化物超電導物質よりも大きければ、その上に少なくとも
本来得られる超電導特性を有する膜が形成されることが
期待できる。
【0025】
【実施例】
実施例1 基板としてニッケル系の耐熱合金ハステロイC−276
(熱膨張係数1.53×10-5/K、サイズ:幅10m
m、長さ100mm)を用いた。第1の反応防止層とし
て、金、YSZまたは酸化マグネシウムをハステロイテ
ープ上にそれぞれ堆積した。堆積にあたっては、基材を
搬送できる機構を備えたマグネトロンスパッタ装置で、
これらの材料がそれぞれアモルファス状態となるよう、
基板を加熱することなくかつ基板が酸化しないように真
空度が高い条件下で、スパッタを行なった。成膜条件は
表1に示すとおりであった。
【0026】
【表1】成膜温度:基板加熱なし ガス:Ar ガス圧:5mTorr スパッタ電力:100W ターゲット:金、YSZまたは酸化マグネシウム固体 搬送温度:2mm/分 得られたサンプルについて、X線回折装置で反応防止層
の結晶性を調査した。その結果、基板に起因するピーク
のみ観測され、反応防止層はアモルファスであった。得
られた膜厚は、0.2μmであった。
【0027】第1の反応防止層を形成したそれぞれの基
板の上に、さらにYを添加して安定化させた酸化ジルコ
ニウム(YSZ)、酸化マグネシウム、またはチタン酸
バリウムをそれぞれ第2の層として堆積させた。堆積に
あたっては、基材を搬送できる機構を備えたエキシマレ
ーザー装置で、基板を加熱した状態でレーザアブレーシ
ョンを行なった。成膜条件は表2に示すとおりであっ
た。
【0028】
【表2】 レーザ:ArF(波長193nm)エキシマレーザー ターゲット:YSZ、酸化マグネシウムまたはチタン酸
バリウム固体 基板温度:500℃ ガス:酸素 ガス圧力:10mTorr エネルギ密度:0.5J/cm2 レーザ周波数:100Hz 搬送速度:10mm/分 得られたサンプルについて、X線回折装置で反応防止層
の結晶性を調査したところ、基板に起因するピークの他
に、YSZ、酸化マグネシウム、チタン酸バリウムの
(200)または(100)面がそれぞれ優先的に表れ
ており、結晶軸または結晶面が基板面に垂直の方向に配
向していることが確認できた。得られた膜厚は0.3μ
mであった。
【0029】基板を搬送できる機構を備えたエキシマレ
ーザー装置を用いて、レーザアブレーションにより2層
の反応防止層を形成した基板上にYBaCuO系超電導
膜を堆積した。成膜条件は表3に示すとおりであった。
【0030】
【表3】 レーザ:ArF(波長193nm)エキシマレーザー ターゲット:YBa2 Cu3 X 基板温度:710℃ ガス:酸素 圧力:100mTorr レーザエネルギ密度:1J/cm2 レーザ周波数:30Hz 搬送速度:10mm/分 得られたサンプルについて、X線回折装置で膜の結晶性
を調査したところ、基板に起因するピーク、第2の反応
防止層に起因するピークの他に、YBaCuO超電導膜
においてc軸が基板に対して垂直に配向していることが
確認できた。得られた膜厚は1.2μmであった。
【0031】4端子法を用いて液体窒素中におけるサン
プルの臨界温度および臨界電流密度を測定した結果を表
4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】実施例2 第1の反応防止層として、銀またはチタン酸バリウムを
表1に示す条件で作製したことを除いて、実施例1と同
じ条件でハステロイC−276基板上に、2層の反応防
止層(2層目:YSZ、酸化マグネシウム、チタン酸バ
リウム)を形成し、その上にYBaCuO系超電導膜を
作製した。
【0034】得られたサンプルについて、X線回折装置
で膜の結晶性を調査した。第2番目の反応防止層の膜に
起因するピークが実施例1と同様に観察された。さら
に、YBaCuO超電導膜においてc軸が基板に対して
垂直に配向していることが確認できた。実施例1で作製
したサンプルに比べc軸の長さ、半値幅(ピーク値の半
分の高さにおけるピークの幅)はほぼ同じであった。
【0035】4端子法を用いて液体窒素中におけるサン
プルの臨界温度および臨界電流密度を測定した結果を表
5に示す。
【0036】
【表5】
【0037】比較例1 実施例1に関して、第2番目の反応防止層を形成しない
ことを除いてすべて同じ条件を用いてハステロイC−2
76基板上に、第1の反応防止層を形成し、その上にY
BaCuO系超電導膜を堆積した。
【0038】得られたサンプルについてX線回折装置で
膜の結晶性を調査したところ、基板に起因するピークの
他に、YBaCuO超電導膜においてc軸が基板に対し
て垂直に配向していることが確認できた。しかし、実施
例1で作製したサンプルに比べ、サンプルの半値幅(ピ
ーク値の半分の高さにおけるピークの幅)は、1.5か
ら2倍程度大きくなっていた。
【0039】4端子法を用いて液体窒素中におけるサン
プルの臨界温度および臨界電流密度を測定した結果を表
6に示す。
【0040】
【表6】
【0041】比較例2 ハステロイC−276基板上に、第1の反応防止層を形
成せずに直接第2の層にあたるYSZ、酸化マグネシウ
ム、チタン酸バリウムを表2に示した条件で形成した。
【0042】得られたサンプルについて、X線回折装置
で反応防止層の結晶性を調査したところ、基板に起因す
るピークの他に、反応防止層に起因するピークがランダ
ムに表れた。
【0043】さらに、YBaCuO系超電導膜を表3に
示す条件で作製したところ、光沢のない表面状態の膜が
得られた。X線回折装置でYBaCuO系膜の結晶配向
性を調査したところ、c軸が基板に対して垂直に配向し
ていることは確認できた。しかし、実施例1で得られた
サンプルに比べ、c軸は長く((0010)ピークから
計算した値は実施例1では11.68であったのに対し
本比較例では11.72であった)、半値幅も2倍程度
であった。
【0044】4端子法を用いて液体窒素中におけるサン
プルの臨界温度および臨界電流密度を測定した結果を表
7に示す。
【0045】
【表7】
【0046】比較例3 反応防止層として、上述した材料を用い、第1の層また
は第2の層単独、および第1と第2の層の両方を形成し
たとき、反応防止層の厚みが0.8μmを越えると、こ
の層の基板からの剥がれが生じることがあった。
【0047】図1は、本発明に従って形成された超電導
材の構成を模式的に示している。基材1上には、アモル
ファスである第1の層2が形成される。第1の層2上に
は、特定の結晶軸が特定の方向に配向する第2の層3が
形成される。第2の層3上に、イットリウム系セラミッ
クス超電導体膜4が堆積される。第1の層2および第2
の層3は、基材1と超電導膜4との反応を効果的に防止
する。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、金属基材上に、優れた
超電導特性、たとえば1×105 A/cm2 以上の臨界
電流密度を有するイットリウム系酸化物超電導膜を形成
することができる。本発明に従えば、基材の材質やサイ
ズにあまり制約を受けることなく、超電導ケーブル、マ
グネット、シールド、限流器等を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う超電導材の構造を模式的に示す断
面図である。
【符号の説明】
1 基材 2 第1の層 3 第2の層 4 イットリウム系セラミックス超電導体膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 39/24 ZAA B (72)発明者 藤野 剛三 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 原 築志 東京都調布市西つつじケ丘二丁目4番1号 東京電力株式会社技術研究所内 (72)発明者 石井 英雄 東京都調布市西つつじケ丘二丁目4番1号 東京電力株式会社技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属からなる基材と、 前記基材上に形成される下地層と、 前記下地層上に形成され、前記基材の面に対してそのc
    軸がほぼ垂直に配向したイットリウム系酸化物超電導体
    からなる超電導層とを備えるイットリウム系酸化物超電
    導材であって、 前記下地層が、 900℃より高い融点を有する金属およびセラミックス
    からなる群から選択される材料からなり、前記基材と接
    触し、かつアモルファスである第1の層と、 1000℃より高い融点を有する金属およびセラミック
    スからなる群から選択される材料からなり、前記第1の
    層上に形成され、かつ特定の結晶軸が特定の方向に配向
    する結晶構造を有する第2の層とを含み、かつ前記下地
    層が、600℃〜800℃の温度において、前記イット
    リウム系酸化物超電導体と実質的に反応せず、かつ前記
    イットリウム系酸化物超電導体と前記基材との反応を防
    止することを特徴とする、イットリウム系酸化物超電導
    材。
  2. 【請求項2】 前記第1の層が、前記超電導体の熱膨張
    係数の0.9〜1倍の熱膨張係数を有するか、または前
    記超電導体の熱膨張係数より大きい熱膨張係数を有する
    材料からなることを特徴とする、請求項1記載のイット
    リウム系酸化物超電導材。
  3. 【請求項3】 前記第2の層が、イットリウムの添加に
    より安定化された酸化ジルコニウム、酸化マグネシウ
    ム、チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウムか
    らなる群から選択されるセラミックスからなることを特
    徴とする、請求項1記載のイットリウム系酸化物超電導
    材。
  4. 【請求項4】 前記下地層の厚みが、0.8μm以下で
    あることを特徴とする、請求項1記載のイットリウム系
    酸化物超電導材。
  5. 【請求項5】 金属からなる基材上に、900℃より高
    い融点を有する金属およびセラミックスからなる群から
    選択される材料からなり、アモルファスである第1の層
    を形成する工程と、 前記第1の層上に、1000℃より高い融点を有する金
    属およびセラミックスからなる群から選択される材料か
    らなり、特定の結晶軸が特定の方向に配向する結晶構造
    を有する第2の層を形成する工程と、 前記第2の層上に、レーザアブレーション法に従って、
    YBaCuO系セラミックスからなるターゲットにレー
    ザ光を照射することにより前記ターゲットから飛散され
    た物質を、前記基材の温度600℃〜800℃の範囲内
    において、得られる膜のc軸が前記基材の面に対してほ
    ぼ垂直に配向するよう堆積する工程とを備え、 前記レーザアブレーションによる堆積工程において、前
    記第1および第2の層は、レーザアブレーションによる
    堆積物と実質的に反応せず、かつ前記基材とレーザアブ
    レーションによる堆積物との反応を防止することを特徴
    とする、イットリウム系酸化物超電導材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の層を、前記堆積物の熱膨張係
    数の0.9〜1倍の熱膨張係数を有するか、または前記
    堆積物の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を有する材
    料から形成することを特徴とする、請求項5記載の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記第2の層をイットリウムの添加によ
    り安定化された酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、
    チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウムからな
    る群から選択されるセラミックスで形成することを特徴
    とする、請求項5記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第1および第2の層の厚みの合計
    を、0.8μm以下とすることを特徴とする、請求項5
    記載の製造方法。
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JP2009507357A (ja) * 2005-09-06 2009-02-19 スーパーパワー インコーポレイテッド 超伝導体構成素子

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