JPH07224092A - グルタミン酸遊離阻害活性及びカルシウムチャネル阻害活性を有するペプチド - Google Patents
グルタミン酸遊離阻害活性及びカルシウムチャネル阻害活性を有するペプチドInfo
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- JPH07224092A JPH07224092A JP6011375A JP1137594A JPH07224092A JP H07224092 A JPH07224092 A JP H07224092A JP 6011375 A JP6011375 A JP 6011375A JP 1137594 A JP1137594 A JP 1137594A JP H07224092 A JPH07224092 A JP H07224092A
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Abstract
ルシウムチャネル阻害活性を有する新規ペプチドを提供
する。 【構成】 FTXと呼ばれる蜘蛛の毒液より、48アミ
ノ酸残基を包含する新規ペプチドを単離した。該ペプチ
ドは、グルタミン酸遊離阻害活性および/またはカルシ
ウムチャネル阻害活性を有し、脳神経系の疾患の予防・
治療剤として有用である。
Description
活性及び/またはカルシウムチャネル阻害活性を有す
る、医薬として有用な新規ペプチドに関する。
る研究は、虚血後の遅延性神経細胞壊死および記憶とも
密接に関連しているという点からますます興味深い領域
になっている。特に脳虚血による神経細胞壊死には、神
経終末より遊離されるグルタミン酸が重要な役割を果た
していると考えられており[S.M.Rothman et al., Ann.
Neurol.,19 ,105-111(1986) , D.W.Choi,Neuron, 1 ,62
3-634(1988)]、グルタミン酸レセプターおよびグルタミ
ン酸の遊離の過程に神経終末に存在するP型カルシウム
チャネルが重要な役割をしていることが明らかにされ注
目されている[T.J.Turner et al.,Science, 258 ,310-
313(1992)]。
のサブタイプ(Tタイプ、Lタイプ、Nタイプ、Pタイ
プ)の存在が知られている[M.Spedding et al.,Pharmac
ol.Rev.,44,363-376(1992)] 。Pタイプカルシウムチャ
ネルは、小脳のプルキンエ細胞(purkinje cell)カルシ
ウムチャネルの主たるもので、Lタイプカルシウムチャ
ネルブロッカーであるジヒドロピリジン系薬剤及びNタ
イプカルシウムチャネルブロッカーであるω−コノトキ
シン GVIA(ω−conotoxin GVIA) に抵抗性のあるチャネ
ルとして同定され、現在では、ほとんどすべての神経細
胞にその存在が認められているものである[I.M.Mintz e
t al.,Neuron, 9 ,85-95(1992)] 。1989年、このP
タイプカルシウムチャネルは、蜘蛛[ funnel web spide
r;Agelenopsis aperta(Spider Pharm)] 由来の毒液(以
下これをFTXと略記する)によって阻害されることが
見いだされた[R.Llinas et al., Proc.Natl.Acad.Sci.,
86,1689-1693(1989)]。
らPタイプチャネルを選択的に阻害するペプチドである
ω−アゴトキシン IVA (ω−Agotoxin IVA 以下単に
アゴトキシンと略記する。)がラット神経終末からのカ
ルシウム依存性のグルタミン酸の遊離を抑制することを
明らかにした。更にターナーらは、グルタミン酸の遊離
にPタイプカルシウムチャネルが重要な役割を果たして
いることを初めて明らかにした[T.J.Turner et al.,Sci
ence,258,310-313(1992)] 。
りFTX由来の物質であるω−アガトキシン K(ω−
アガトキシン IVBとも呼ばれるアミノ酸配列が決定
され、(US Patent 5122596)、またこの物質
は、カルシウムチャネルを遮断することが示唆された。
ついで、1993年にω−アガトキシン Kが、Pタイ
プカルシウムチャネルを遮断することが明らかとされた
(L.D. Hirning.et.al.,"Biological Characterrzation
of a P-type Calucium Channel Blocker.ω -Aga-K ,
from Agelenopsis aperta Spider venom.",Society for
Neuroscience,23rd Annual Meeting,Washington,D.C.,
Novenber 7-12,1993)。このPタイプ選択的阻害作用を
持つアゴトキシンは、脳神経系解明試薬として、更に、
脳疾患治療剤として期待されているが、グルタミン酸阻
害作用を有する物質は知られていない。
中のグルタミン酸遊離阻害物質について詳細な検討を行
った結果、アガトキシンと同様の活性を有する新規ペプ
チドを見いだすに至った。従って、本発明の目的は、グ
ルタミン酸遊離阻害活性及び/またはカルシウムチャネ
ル阻害活性が有効な疾患の治療・予防に有用である、新
規ペプチドを提供することにある。
番号1及び配列番号2記載のアミノ酸配列を含有するペ
プチド並びにこれを有効成分とするグルタミン酸阻害作
用が有効な疾患の予防・治療剤及びカルシウムチャネル
阻害作用が有効な疾患の予防・治療剤を提供するもので
ある。
離を阻害する粗画分FTXから、活性物質の分離・精製
を試みた。第2にその活性本体の構造解析を行った。そ
の結果、FTX中よりラットシナプトソームからのグル
タミン酸の遊離を著明に阻害する活性物質を見いだし、
更に、これが、ラット交感神経節細胞(DRGニューロ
ン)のカルシウムチャネルを阻害する活性をも有するこ
とを見いだした。本発明者らは、更に該ペプチドの構造
解析を行い、アミノ酸配列を決定し、本発明を完成し
た。
RP-4,RP-8,RP-18と同様、既知の方法でFTXから分離
・精製することができる。例えば、疎水性基修飾したシ
リカゲル担体を使用し、濃度勾配のある親水性有機溶媒
で溶出させ、目的画分を集める方法によって行うことが
できる。この場合の疎水性有機溶媒は、通常この分野で
使用し得るあらゆるものが用いられるが、例としては、
メタノール、エタノール、プロピルアルコールなどの低
級脂肪族アルコールや、アセトニトリルの様な低級脂肪
族ニトリルを挙げることができる。また、イオン交換ク
ロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水
クロマトグラフィー等で精製することも可能である。こ
のように本発明のペプチドは、FTXを原料として、分
離、精製することによって製造することも可能である。
更に、既知の方法による遺伝子組み換え技術によって製
造してもよいし、従来用いられているペプチドの合成技
術を用いても得ることができる。
製したシナプトソームからのカルシウム依存性のグルタ
ミン酸の遊離を抑制する活性を指標にして行えばよい。
すなわち、後述実施例に示される様に、検体にラット前
脳からのシナプトソーム画分、NADP+ およびグルタ
ミン酸デヒドロゲナーゼ(以下GDHと略記する。)を
添加し、37℃で20分間インキュベート後、30mM
塩化カリウムで脱分極させ、シナプトソームから遊離さ
れるグルタミン酸によって精製されるNADPHとして
測定するものである。
性である、カルシウムチャネル阻害活性の測定について
説明する。具体的には、後述の実施例に示された如く、
電気生理学的手法を用いたアッセイ系により行えばよ
い。すなわち、神経細胞として、ラット後根神経節(do
rsal root ganglion:DRG)ニューロンを用い、これ
を調製培養し、パッチクランプ(patch-clamp) 法を用い
て、電位固定を行うことにより、全細胞(whole-cell)カ
ルシウム電流を測定することにより行うことができる。
のカルシウム電流が最も大きく検出できる電位に固定す
ればよい。すなわち、保持電位−80ミリボルトから試
験電位−20ミリボルトまで200ミリ秒で行う電位固
定を、0.1ヘルツの頻度で行えばよい。検体は、急速
灌流システムにより細胞外液から添加し、その時に変化
するカルシウム電流を観察する。
法で行うことができるが、例えば、アミノ酸配列自動分
析装置を使用し、エドマン分解法によるN末端からの逐
次分解、酵素消化ペプチドのアミノ酸配列分析並びにカ
ルボキシペプチダーゼを用いたC末端アミノ酸分析など
を組み合わせることにより行うことができる。この結果
を配列番号1及び配列番号2に示した。
する場合は、非経口投与により投与されるが、通常は、
注射剤などとして投与される。投与量は、症状の程度、
患者の年齢、性別、体重、薬剤に対する感受性差、投与
の時期、投与の間隔、医薬製剤の性質などによって異な
り、特に限定されないが、通常成人1回0.1μg/k
g〜300μg/kgが好ましい。
よりpH調製剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定
化剤、等張化剤、保存剤などを添加し、常法により静
脈、皮下、筋肉内注射剤とする。その際必要により、常
法により凍結乾燥物とすることも可能である。
ルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセル
ロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレート等を挙げることができる。
エチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン
酸アミド、ポリオキシエチレンソルベタンモノラウレー
ト、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステル等を
挙げることができる。
リウム、メタ亜硫酸ナトリウム、エーテルなどが、保存
剤としては、例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオ
キシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾ
ール、クロロクレゾール等を挙げることができる。
の実施例を掲げるが、本発明は、これに限定されないこ
とは言うまでもない。
性とした後、これを高速クロマトグラフィーに供し、
0.1%トリフルオロ酢酸水溶液で平衡化したブラウン
リーRP−8カラム(4.6mm径×25cm長)に吸着さ
せた。溶出は、同溶液と60%アセトニトリル水溶液に
よる濃度勾配溶出法により活性成分を溶出した。以下に
示した図1はその溶出パターンであり、横軸は濃度勾配
溶出後の経過時間、縦軸は、吸光度を示した。図1で黒
く塗りつぶしたグルタミン酸遊離阻害活性を有する画分
を集め、凍結乾燥により溶媒を除去した。
酢酸水溶液で平衡化したスフェリソルブC8カラム
(4.6mm径×15cm長)に吸着させ、同溶液と60%
アセトニトリル水溶液による濃度勾配溶出法により活性
成分を溶出した。本発明のグルタミン酸遊離阻害活性を
有する物質は、以下に示す図1の溶出パターンのうち、
黒く塗りつぶすことによって示した位置に溶出された。
得られた物質についてレザーデソープション飛行時間型
質量分析計により測定を行ったところ、分子量約530
0ダルトンの単一成分として認められた。以下の表1に
この単一成分のアミノ酸組成を示した。
気相プロテインシークエンサー(島津製作所製)によ
り、アミノ末端側からのアミノ酸配列解析を行った。そ
の結果、配列番号2に示す様にペプチドのアミノ酸の配
列を決定した。以上の如く単離精製ならびに構造解析を
行い、本発明にかかるペプチドが得られたことを確認し
た。
をみるために、以下の方法で実験した。蛍光測定用96
穴マイクロプレートの各ウェルに実施例1で得られたペ
プチドおよび以下の方法で調製したシナプトソームを8
0μl(終濃度 1.4mg protein /ml )添加し、更
に、1mM NADP+ 、50U GDHを加え、最終
容量200μlとして、37℃で20分間インキュベー
トした。なおカルシウム添加試料には1.3mMとなる
ように塩化カルシウムを更に添加し、カルシウム無添加
試料には、0.2mM EGTAを添加した。
させ、その10分後に96穴マイクロプレート用自動蛍
光光度計(タイターテック フルオロスキャンII 大日
本製薬株式会社)を用いて、355nmで励起し、46
0nmでの相対蛍光強度を測定した。実験系において、
カルシウム添加試料とカルシウム無添加試料0.2mM
EGTAとの蛍光値の差が、カルシウム依存性のグル
タミン酸の遊離量となるため、検体のグルタミン酸遊離
の阻害率は、下記に示した数式により算定した。
2)]に従った。なおシナプトソームの調製に使用する溶
液は、すべて実験使用前に95%O2 +5%CO2 混合
ガスで十分飽和させたものを用いた。
た後、速やかに脳を摘出し、冷カルシウムフリー タイ
ロード溶液[組成(mM):NaCl 140,KCl 5,MgCl2 1,D
-glucose 24,Na-HEPES 10,pH 7.4] で冷却し、下丘と小
脳の間で2分し、その前脳を用いた。脳組織に20倍容
量の0.32Mショ糖液を加え、ガラスホモジナイザー
で氷冷下ゆっくりとホモジナイズした。1000×g、
4℃で10分間遠心後その上清を20000×g、4℃
で20分間遠心した。沈渣に、カルシウムフリータイロ
ード溶液を加え、攪拌後、再び20000×g、4℃で
20分間遠心した。沈渣にカルシウムフリー タイロー
ド溶液を加え、3.5mg protein/ml の濃度に懸濁させ
た。これに100μMとなるように塩化カルシウムを添
加したカルシウム添加試料並びに塩化カルシウムを添加
しないカルシウム無添加試料を調製し、それぞれ37℃
で1時間インキュベートした。
チドは、FTX換算で10000倍希釈液及び1000
倍希釈液相当濃度において、カルシウム依存性グルタミ
ン酸の遊離を著明に抑制し、その抑制は、濃度依存的で
あった。
薬物の作用をみるために、以下の方法によって得られた
DRGニューロンのカルシウムチャネルを通るバリウム
電流を指標として検出した。記録用電極としては、5〜
10メガオームのガラスピペットを用いた。また、細胞
内液には、[組成(mM):CsCl130,MgCl
2 1,ATP−Na2 5,EGTA 1,Cs−H
EPES 5;pH 7.2]のものを用い、細胞外液
には、[組成(mM):TEA−Cl 135,BaC
l2 10,D−glucose 24,Cs−HEP
ES 10;pH 7.4]のものを用いた。実験は、
23〜25℃で行い、薬物は、実施例1で得られた本発
明にかかるペプチドのFTX換算で10000倍希釈液
相当の濃度のもの、3333倍希釈液相当の濃度のも
の、ニフェジピン10μM+ω−コノトキシン3μMの
順で、急速灌流システムより累積的に添加した。
atch−1Dを用い、電流電圧シグナルは、ビデオテ
ープ上にPCM方式で記録した。またデータは、A−D
/D−Aコンバーター(TL−1 DMA Inter
face)を介し、コンピューター(Deskpro
386s)上に記録し、実験終了後解析した。
処置して、カルシウム電流を抑制し、リーク電流及びキ
ャパシティブ電流を求め、これらの電流をもとの電流か
ら差し引くことによりカルシウム電流とした。電位固定
は、0.1ヘルツの頻度で、保持電位−80ミリボルト
から試験電位−20ミリボルトへ200ミリ秒の脱分極
をかけた。
Gを摘出し、Ca2+,Mg2+フリーハンク塩溶液(C
a2+,Mg2+ free Hank salt solution(CMF−HBS
S))[組成(mM):NaCl 137,KCl
5.40,KH2 PO40.44,Na2 HPO4
0.34,NaHCO3 4.20,D−glucos
e 39]中で氷冷した。次に摘出したDRGを0.0
1%コラーゲナーゼ、0.1%トリプシン含有CMF
HBSS 溶液中37℃で12分間インキュベートし
た。次いで、DRGを培地A[Nissui.SFM101培地10% Fe
tal bovine serum(FBS).10% horse serum (H
S)含有]に移し、ピペッティングにより細胞をばらば
らにした。
後、上清を除去し培地Aを加え、1×105 個/mlとな
るように調製した。この細胞浮遊液に10μg/ml N
GFを添加し、あらかじめポリリジンで被覆したカバー
ガラスの入った24穴細胞培養クラスターに500μl
/wellずつ蒔いた。
−95%O2 エアインキュベーター中、37℃で8時間
培養した後、培養液を培地B[Nissui,SFM101,1% FBS,1
0ng/ml NGF含有]に交換した。培養2日目にDNA合
成阻害剤である、シトシン−β−D−アルビノフラノサ
イド(以下Ara.cと記す)を0.2μM培養液中に
添加し、更に3日目に0.2μM添加することにより、
ニューロン以外の増殖性細胞を除去した。次いで4日後
に培養液の半量を交換し、以後4〜5日間おきに培養液
の半量を交換した。実験には、培養7日目以降の細胞を
用いた。
していることが知られており、L型カルシウムチャネル
ブロッカーである、ニフェジピン(10μM)及びN型
カルシウムチャネルブロッカーであるω−コノトキシン
(3μM)を同時に添加した時に更に、電流が抑制され
たことより、本ペプチドは、P型カルシウムチャネルを
阻害していることが示唆された。これらの結果を図3に
示した。なお、この図に示したコントロールとは、検体
添加前に、上記条件で脱分極をかけたものを示した。
に対する選択性 i)実験方法 A.本願発明にかかるペプチドのPタイプカルシウムチ
ャネルに対する作用細胞として以下の方法で得られた培
養ラット大脳皮質ニューロンを用いた。電位固定プロト
コールとしては、保持電位−80ミリボルトから試験電
位−10ミリボルトへ200ミリ秒の脱分極条件で膜電
位固定を行い、全細胞カルシウム電流を検出した。この
時の細胞内溶液は、[組成 (mM):CsCl(130),MgCl
2 (1),ATPN a2(5),EGTA(1),HEPES(5)]であり、水酸化セシウムを加
えてpHを7.2に調製したものを用いた。細胞外溶液
としてのバリウム−テトラエチルアンモニウム(TE
A)溶液は、[組成 (mM):TEA-Cl(145),BaCl
2(5),D-glucose(24),HEPES(10)] であり、テトラエチル
アンモニウム水酸化物を加え、pH7.4に調製したも
のを用いた。コントロールは検体添加前を示し、検体と
してニフェジピン、ω−コノトキシン及び実施例1で得
られた本発明にかかるペプチドの順番に累積的に添加し
た。図4にはそれぞれの検体投与後の電流波形を示し
た。
バー)脳から大脳皮質および海馬を分離し、0.25%
トリプシン−0.2ng/mlDNAse−I中で15分
間(37℃)インキュベートした。細胞をパスツールピ
ペットによって単一に分離した後、遠心的に集めた。こ
れを培地C(DMEM,10%HS,10%FBS)で
洗浄した後に、ポリーL−リジンでコートしたカバーガ
ラス(直径13ミリメートル)にまき、培地A中で5−
6時間二酸化炭素インキュベーター(5%二酸化炭素)
中でインキュベートし、細胞接着させた。その後、カバ
ーガラスは培地D(DMEM、5%Fetal Calf Serum
(FCS))中の一層に生育したアストログリア細胞の
上に置き、二酸化炭素インキュベーター中で14−17
日間培養した。
1;ウィスター系;日本チャールスリバー)の大脳皮質
を培地E(DMEM、10%FCS)中に懸濁したもの
を12ウェルの培養用プレートにまき、10〜14日間
培養して、細胞がプレート面を一層に被覆するまで生育
したものを、実験に使用した。
ルシウムチャネルに対する作用 細胞として以下の方法で得られたLタイプ発現細胞を用
いた。電位固定プロトコールとしては、保持電位−80
ミリボルトから試験電位−10ミリボルトへ200ミリ
秒の脱分極条件で膜電位固定を行い、全細胞カルシウム
電流を検出した。コントロールは検体添加前を示し、検
体としてニフェジピン、ニフェジピン+本発明ペプチド
の順番に添加した。図5に電流波形を示した。
製 チミジンキナーゼ欠損Baby Hamster Kidney 株(BHK
tk−株、Dr.Mulrihill E, ZymoGenetics社,U.S.
A.より配布)をF25に2×105 個まき、5%FC
S含有αMEM培地(Gibco)で37℃、12時間培養し
た。一方、α1 、α2 、β−サブユニットの3種の発現
プラスミドを各々5μgずつ混合し、これに蒸留水を加
えて150μlとした。次に緩衝液A(0.5 CaCl2,0.1M
HEPES,pH7.4)と緩衝液B(0.28M NaCl,0.05M HEPES,0.75
mM NaH2PO4,0.75mMNa2HPO4,pH7.4)を加えることによっ
て、DNA−リン酸カルシウム複合体を得た。DNA−
リン酸カルシウム複合体を上記細胞培養液に1滴ずつ添
加し、37℃で6時間培養後、グリセロールショックを
与えてから3日間培養し、トリプシン処理をした。
(300μg/ml,Gibco)とMXT(250nM,シグ
マ)含有選択培地にした。約2週間培養した後、17ク
ローンを拾い、F75まで増殖させた後、一部をキャラ
クタリゼーション用に使用した。17個のクローンにつ
いて、DHP結合実験を行ったところ、4個のクローン
(L5、6、8、12)について明らかなDHP結合活
性が認められた。このうち、L8とL12について電圧
固定実験を行ったところ、L12にカルシウムチャネル
活性が認められ、Lタイプカルシウムチャネル発現細胞
が選択できた。これを実験に使用した。
ルシウムチャネルに対する作用 本発明にかかるペプチドのNタイプに対する作用を調べ
るために、細胞として以下の方法で得られた交感神経節
ニューロンを用いた。電位固定プロトコールは上記同一
条件で行った。コントロールは、ニフェジピン添加後を
示し、検体として以下、本発明ペプチド、コノトキシン
の順番に累積的に添加した。以下の図6に電流波形を示
した。
感神経節を摘出し、以下、上述の実験で使用したDRG
ニューロンの調製の方法に準じて調製した。なお培養液
中には、ニワトリ胚抽出物2%を添加し、培養3日目に
実験に用いた。またAra.c は添加せず培養した。
ルシウムチャネルに対する作用 本発明にかかるペプチドのTタイプに対する作用を調べ
た。細胞として上記実験例2で得られたものと同様のD
RGニューロンを用い、電位固定プロトコールは保持電
位−100ミリボルトから試験電位−70ミリボルトへ
300ミリボルトの脱分極条件で全細胞カルシウム電流
を検出した。以下の図7に電流波形を示した。
た。ニフェジピン、ω−コノトキシンとカルシウム電流
は、順番に抑制され、本発明ペプチド1μMの添加によ
り更にカルシウム電流は抑制された。
た。本発明ペプチドは1μMの濃度でLタイプカルシウ
ム電流を全く抑制しなかった。一方、ニフェジピンは1
μMの濃度で、このカルシウム電流を完全に抑制した。
た。本発明ペプチドは1μMの濃度でNタイプカルシウ
ム電流を全く抑制しなかった。一方、ω−コノトキシン
は3μMの濃度で、このカルシウム電流を完全に抑制し
た。
た。本発明ペプチドは1μMの濃度で、このカルシウム
電流を全く抑制しなかった。一方、アミロライドは30
0μMの濃度でこのカルシウム電流を完全に抑制した。
ピンはLタイプ、ω−コノトキシンはNタイプのカルシ
ウム電流を選択的に抑制し、また本発明にかかるペプチ
ドはLタイプ、Nタイプ及びTタイプ以外のカルシウム
電流を抑制することが明らかとなった。そこで本発明に
かかるペプチドが、選択的にPタイプカルシウムチャネ
ルのみを抑制するのか、それともLタイプ、Nタイプ及
びTタイプ以外のカルシウムチャネルを抑制するのか調
べるために、以下の実験を行った。
を用いた。電位固定プロトコールは保持電位−100ミ
リボルトから試験電位−70ミリボルト、300ミリ秒
の脱分極条件で全細胞カルシウム電流を検出した。コン
トロールは検体添加前を示し、検体として、ニフェジピ
ン+ω−コノトキシン+ω−アガトキシン−IVA を添加
した後、本発明にかかるペプチド1μMを更に添加し
た。結果を図8に電流波形を示した。
制されたが、本発明にかかるペプチド1μMを更に添加
してもカルシウム電流はこれ以上は抑制されなかった。
すなわち、本発明にかかるペプチドは、Lタイプを選択
的に抑制するニフェジピン、Nタイプを選択的に抑制す
るω−コノトキシンによって抑制されたカルシウム電流
を更に抑制しないことから、本発明にかかるペプチド
は、Pタイプを選択的に阻害する活性を有することが明
らかとなった。
ャネルに対する作用の比較 i)実験方法 細胞として、以下の方法で得られた培養ラット小脳プル
キンエ細胞を用いた。電位固定プロトコールは、保持電
位−80ミリボルトから試験電位−10ミリボルトま
で、100ミリ秒の脱分極条件で脱電位固定を行い、全
細胞カルシウム電流を20秒ごとに検出するというもの
である。このときの細胞内液は、CsCl130mM,
MgCl2 1mM,ATP−Na2 5mM,BAP
TA 10mM,HEPES 5mMの組成で、水酸化
セシウムを添加することによって、pHを7.2に調整
したものを用い、細胞外液には、TEA−Cl 145
mM,BaCl2 5mM,D−グルコース 24m
M,HEPES 10mMの組成のもので、テトラエチ
ルアンモニウム水酸化物の添加によって、pH7.4に
調整したものを用いた。活性測定は、Pタイプカルシウ
ムチャネルのみが検出される条件下、すなわち、ニフェ
ジピン3μM及びω−コノトキシン3μM存在下で行っ
た。なお、本発明にかかる2種のペプチドとして、46
残基目のセリンがD体のものは、実施例1で得たもの
を、また、46残基目のセリンがL体であるペプチド
は、固相合成法により作成したものを用いた。小脳プルキンエ細胞の調整 ラット新生仔(0日目;ウィスター系;日本チャールス
リバー製)脳から小脳を分離し、0.25% トリプシ
ン−0.2mg/ml DNase−I中で、15分間
37℃でインキュベートした。細胞をパスツールピペッ
トでばらばらにした後、200×gで5分間室温により
遠心分離を行った。これによって集められた細胞を培地
F(DMEM培地、100HS、10%FBS及び20
mM塩化カリウム含有)で洗浄した後に、あらかじめポ
リ−L−リジンで被覆されたカバーガラス(直径13ミ
リメートル)にまいた。これを二酸化炭素インキュベー
ター(5%二酸化炭素)中で24時間インキュベート
し、細胞を接着させた。その後、細胞が接着したカバー
ガラスを培地G(DMEM培地、5%HS及び20mM
塩化カリウム含有)中で一層に成育したアストログリア
細胞の上に起き、その状態で、二酸化炭素インキュベー
ター中で14〜21日間培養した。なお、上記実験に供
したアストログリア細胞は、ラット新生仔(0日目;ウ
ィスター系;日本チャールスリバー製)の大脳皮質を培
地H(DMEM培地、10%FBS含有)中に懸濁した
ものを12ウェルの培養用プレートにまき、10〜14
日間培養し、細胞がプレート面を一層に被覆するまで生
育させたものである。 ii)実験結果 第9図及び第10図に上記方法により検体投与前及び投
与後のカルシウム電流の大きさを測定した結果を示し
た。第9図から明らかなように、Pタイプカルシウム電
流は、46残基目のセリン残基がD体である本発明ペプ
チドの添加より、当該ペプチド濃度0.1μMで約70
%、0.3μMで100%抑制された。他方、第10図
から明らかなように、46残基目のセリン残基がL体で
ある本発明にかかる合成ペプチドの添加によるPタイプ
カルシウム電流の抑制は、当該ペプチド濃度0.3μM
で約10%、1μMで約70%に過ぎなかった。この実
験結果より、46残基目のセリン残基をL体で合成した
ペプチドは46残基目のセリン残基がD体であるペプチ
ドに比べ、P型カルシウムチャネルを阻害する活性が著
しく弱いことが判明した。以上の実験結果より、本発明
にかかるペプチドはグルタミン酸遊離抑制作用およびカ
ルシウムチャネル阻害作用を有することが明らかになっ
た。よって、本発明にかかるペプチドは、グルタミン酸
遊離抑制作用またはカルシウムチャネル阻害作用が有効
な疾患の予防・治療などに用いることができる。具体例
を挙げると、脳虚血やてんかん重積状態等の病態で発生
する急性の脳障害またはアルツハイマー、ハンチントン
舞踏症などの慢性疾患等に代表される脳神経疾患予防・
治療剤として用いることができるほか、脳神経生理の解
明医薬としても非常に有用なものであるということがで
きる。
マトパターンを示す。縦軸の吸光度は、279nmで測定
しており、1.0AuFSで示してある。
マトパターンを示す。
ル阻害活性を示す。
かかるペプチドの順に添加した時の、培養ラット大脳皮
質ニューロンの全細胞カルシウム電流を示す。
を添加した時のLタイプ発現細胞の全細胞カルシウム電
流を示す。
−コノトキシンの順に添加した時の、培養ラット交感神
経節ニューロンの全細胞カルシウム電流を示す。
を添加した時の、DEGニューロンの全細胞カルシウム
電流を示す。
IVA および本発明にかかるペプチドを添加した時の、大
脳皮質ニューロンの全細胞カルシウム電流を示す。
セリンがD体のペプチドのカルシウムチャネル阻害活性
を示す。
のセリンがL体のペプチドのカルシウムチャネル阻害活
性を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 配列番号1記載のアミノ酸配列を含有す
るペプチド。 - 【請求項2】 配列番号2記載のアミノ酸配列を含有す
るペプチド。 - 【請求項3】 請求項1及び請求項2記載のアミノ酸配
列を含有するペプチドを有効成分とするグルタミン酸遊
離阻害作用が有効な疾患の予防・治療剤。 - 【請求項4】 請求項1及び請求項2記載のアミノ酸配
列を含有するペプチドを有効成分とするカルシウムチャ
ネル阻害作用が有効な疾患の予防・治療剤。 - 【請求項5】 請求項1及び請求項2記載のアミノ酸配
列を含有するペプチドを有効成分とするカルシウムチャ
ネルPタイプ選択的阻害作用が有効な疾患の予防・治療
剤。
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JP16332593 | 1993-06-08 | ||
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