JPH07217572A - 回転式圧縮機の組立方法及び組立装置 - Google Patents

回転式圧縮機の組立方法及び組立装置

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JPH07217572A
JPH07217572A JP957194A JP957194A JPH07217572A JP H07217572 A JPH07217572 A JP H07217572A JP 957194 A JP957194 A JP 957194A JP 957194 A JP957194 A JP 957194A JP H07217572 A JPH07217572 A JP H07217572A
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rotating
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JP957194A
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Kenji Tamaoki
研二 玉置
Yasuhiro Matsuoka
康博 松岡
Masato Uno
正人 宇野
Kazuo Watanabe
一男 渡辺
Shinji Tanaka
眞二 田中
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転式圧縮機の圧縮効率を低下させることな
く、且つ回転体が滑らかに回転するよう、正確に芯出し
を行う 【構成】 回転体を非回転体に仮装着し、回転体を回転
させた際の負荷トルクをトルクセンサ24で測定し、こ
の負荷トルクから、回転体の外周面とこの回転体が内部
で回転する非回転体の内周面との間のクリアランスをク
リアランス推定器41で求め、このクリアランスが上限
値と下限値とで規定されるクリアランス許容範囲外であ
れば、組付位置制御器42でXYテーブル30を動作さ
せて、クリアランスが許容範囲内に収まるよう非回転体
を回転体に対して相対的に移動させる。その後、回転体
を非回転体に完全に装着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転式圧縮機を量産す
る製造ラインにおける組立方法及び組立装置に係わり、
特に、回転体の非回転体に対する芯合わせに好適な方法
及び装置に関する。さらに、回転式圧縮機の製造工程に
おいて、不良原因を判定する不良原因判定装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】回転式圧縮機の回転軸及びその軸受の芯
合わせを行う方法としては、例えば、以下のようなもの
がある。 (1)回転体を回転軸と垂直な一方向に送って回転体と
非回転体を接触させ、その位置から逆方向に回転体を所
定量だけ送ることにより、必要なクリアランスを得て装
着する方法(例えば、特開昭57−71732号公報、
特開昭57−71739号公報、特開昭62−1745
94号公報、特開平2−221693号公報)。
【0003】(2)中空の回転軸に圧縮ガスを供給して
軸受接触部に設けた細孔から噴出させ、回転軸と軸受間
に均一な圧縮気体膜を生成した状態で軸受を組付け芯合
わせを行う方法(例えば、特開昭62−99692号公
報)。 (3)芯合わせを行う対象である非回転体の一部を非回
転体に仮組付けし、回転体を回転させた状態で、芯合わ
せ対象の非回転体への押付け力を徐々に大きくして行く
ことにより自己調芯(倣い調芯)させる方法(例えば、
特開昭63−192977号公報)。
【0004】また、スクロール式圧縮機の芯出し状態を
検出するものとして、例えば、以下のようなものがあ
る。 (4)スクロールを外部から回転させ、その際の回転負
荷トルクを測定して、この回転負荷トルクの値からスク
ロール外周面とシリンダ内周面との接触度合いを求め、
スクロールが滑らかに回転するよう、接触度合いが予め
定めた上限値を超えないようにスクロールの装着位置を
調整する方法(例えば、特開昭61−135995号公
報)。
【0005】以上の他、関連ある従来技術として、例え
ば、特開平1−267377号公報、特開昭61−20
7889号公報、特開昭62−75095号公報、特開
昭62−240495号公報特開平2−205728号
公報等に記載されているものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術(1)で
は、回転体を非回転体に接触させ、そこを起点として所
望のクリアランスに相当する分だけ回転体を逆方向に移
動させることにより、回転式圧縮機の芯出しを行ってい
る。このとき、回転体の非回転体に対する接触を検出す
るためには、回転体を所定の力で非回転体に押し付ける
必要がある。この押し付け力により回転体が変形し、そ
の変形分だけクリアランス設定の起点の誤差になるた
め、要求されるクリアランス設定精度に比較して変形量
が大きい場合には正確なクリアランスの設定ができない
という問題がある。
【0007】前記従来技術(2)では、回転軸の軸受部
の潤滑用細孔を利用して気体膜を形成することにより、
軸受に対する回転軸の芯を合わせるのには有効である
が、圧縮室を構成する部品間のクリアランスを直接正確
に設定することはできないという問題がある。前記従来
技術(3)では、自己調芯により回転抵抗が最も小さく
なる位置に芯を合わせることになり、圧縮室を構成する
部品間のクリアランスを可能な限り大きくなる。そのた
め、クリアランスが過度に大きくなり、回転損失は最小
になるが、圧縮効率が劣化することがあるという問題が
ある。
【0008】また、前記従来技術(4)では、この技術
をロータリ式(回転式)圧縮機に適用した場合、回転体
が非回転体に対して接触過多にならないようにのみ、回
転体の装着位置を調整するため、この技術においても、
回転体と非回転体との間のクリアランスが過度に大きく
なる場合があり、圧縮効率が低下することがあるという
問題がある。
【0009】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、回転式圧縮機の圧縮効率を低下さ
せることなく、且つ回転体が滑らかに回転するよう、正
確に芯出しを行うことができる回転式圧縮機の組立方法
及びその装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の回転式圧縮機の組立方法は、回転体が非回転体内に装
着された状態で、該回転体を回転させた際の負荷トルク
と、該回転体の外周面と該非回転体の内周面との間のク
リアランスとの相関関係を予め測定しておくと共に、流
体の圧縮に必要な機密性を保つことを保証する前記クリ
アランスの上限値と、前記回転体が滑らかに回転するこ
とを保証する前記クリアランスの下限値とで規定される
クリアランス許容範囲を予め定めておき、前記回転体を
前記非回転体に仮装着し、該回転体を回転させた際の回
転角度毎の負荷トルクを測定し、測定された前記回転角
度に応じた前記負荷トルクと前記相関関係とに基づいて
前記クリアランスを求め、求めた前記クリアランスが前
記クリアランス許容範囲に入っているか否かを判定し、
該許容範囲に入っていない場合には、該クリアランスが
該許容範囲に入るよう前記回転体の前記非回転体に対す
る相対的な装着位置をズラし、該クリアランスが該許容
範囲に入っている場合、又は該回転体の装着位置をズラ
した結果、該クリアランスが該許容範囲に入った場合、
該回転体を該非回転体に完全に装着することを特徴とす
るものである。
【0011】ここで、前記組立方法において、前記回転
体は回転軸と該回転軸に取付けられ該回転軸の回転で偏
心回転するローラとを有し、前記非回転体は内部で該ロ
ーラが偏心回転するローラ収納体と該ローラ収納体に固
定され前記回転軸を回転可能に支持する軸受体とを有し
て構成される場合、前記回転軸に取付けられた前記ロー
ラを前記ローラ収納体内に装着し、前記軸受体を前記ロ
ーラ収納体に移動可能に取り付け、前記回転軸を回転さ
せて、該回転軸の回転により前記軸受体を自然に移動さ
せて自己調芯させ、その後、前記回転軸を再度回転させ
て前記負荷トルクを測定し、該負荷トルクから前記クリ
アランスを求め、該クリアランスが前記クリアランス許
容範囲に入っていない場合には、該クリアランスが該許
容範囲に入るよう、前記軸受体を強制的に移動して強制
調芯することが好ましい。
【0012】また、以上の組立方法でクリアランスを推
定する場合、前記負荷トルクを測定して得られる負荷ト
ルク信号を、時間軸と周波数軸とから成る2相空間に複
数の解像度別に分解し、複数の解像度別に分解された各
分解成分信号の強度から、前記時間軸上の特定分解成分
存在区間(以下、時間窓とする。)及び前記周波数軸上
の特定分解成分存在区間(以下、周波数窓とする。)を
定め、前記クリアランスのみを表す負荷トルク信号を作
成するために予め準備しておいた基準時間窓及び基準周
波数窓と、先に定めた前記時間窓及び前記周波数窓とを
それぞれ比較し、該時間窓及び該周波数窓がそれぞれ該
基準時間窓及び該基準周波数窓より小さければ、該時間
窓内及び該周波数窓内の前記分解成分信号を合成して負
荷トルク信号を作成し、作成された前記負荷トルク信号
から前記クリアランスを推定することが好ましい。
【0013】
【作用】回転式圧縮機の圧縮室内の回転部品と非回転部
品の間のクリアランスは、効率よく圧縮を行うために必
要な機密性を確保するために、十分狭くなければならな
い。しかし、クリアランスが狭くなりすぎると、回転部
品と非回転部品の間の摺動抵抗が増えて回転損失が増大
し、さらに摺動抵抗過多な状態で磨耗が進行すると不良
品となり得るため、クリアランスは過度に狭くならない
ように管理しなければならない。ところで、圧縮室は密
閉構造になるため、圧縮室内の回転部品と非回転部品の
間のクリアランスを直接測定しながら、これらの部品を
組立ることはできない。
【0014】回転体を非回転体に装着した後に回転体を
回転させて回転負荷トルクを測定すると、クリアランス
の大きさに応じて回転負荷トルクが生じる。そこで、こ
のクリアランスと回転負荷トルクの関係を予め調べてお
き、回転体を非回転体に仮装着して回転させ回転負荷ト
ルクを測定し、予め定めておいた関係から仮装着状態に
おけるクリアランスを推定する。そして、この推定値に
基づいて、クリアランスが所望の設定範囲に入っていな
いと判明した場合には、所望の大きさになる方向に仮装
着状態を変更する。以上のクリアランス推定及び仮装着
位置変更を繰り返し、クリアランスが所望の設定範囲に
入ったところで装着位置を確定する。
【0015】このように、クリアランスを回転体の回転
負荷トルクから間接的に求めているので、従来技術
(1)のように、回転体を非回転体に強制的に押し付け
てクリアランスを調整するような場合と異なり、回転体
の変形によるクリアランスの狂いを防ぐことができる。
また、クリアランスの許容範囲として、その上限値と下
限値とで許容範囲を規定しているので、圧縮機の圧縮効
率を低下させることなく、且つ回転体が滑らかに回転す
るよう、正確に芯出しを行うことができる。また、自己
調芯後に強制調芯を行うものでは、最初の自己調芯(倣
い調芯)で概略の芯出しを行い、強制調芯で最終的な芯
出しを行うので、正確な芯出しができると共に短時間で
芯出しを完了させることができる。さらに、倣い調芯を
行わないで最初から強制調芯を行った場合に生じる可能
性のある、回転体と非回転体との過度の接触による回転
不能状態や軸受面の損傷を回避できるという利点があ
る。
【0016】回転負荷トルク信号は、クリアランスの大
きさに依存した摺動抵抗に起因する信号波形の他に、部
品の加工不良やキズに起因する信号波形を含むことがあ
る。従って、クリアランスを正確に推定するためには、
これらの信号波形を区別する必要がある。これら信号波
形は発生頻度や発生箇所で区別することはできない。ま
た、単に周波数の違いから区別することも難しい。
【0017】そこで、本発明では、負荷トルク信号を時
間軸と周波数軸とから成る2相空間に複数の解像度別に
分解し、複数の解像度別に分解された各分解成分信号を
用いて、負荷トルクが生じる原因を識別している。そし
て、クリアランスの影響のみによる分解成分信号を抽出
し、この抽出した分解成分信号を合成して、これをクリ
アランス推定のための負荷トルク信号として使用するよ
うにしている。このように、クリアランスの影響のみに
よる負荷トルク信号を用いて、クリアランスを推定する
ことにより、正確にクリアランスを推定することがで
き、しいては、より正確な芯出しを行うことができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明に係わる実施例のロータリ式圧
縮装置の組立方法及び組立装置について図面を用いて説
明する。まず、本実施例において組立てるロータリ式圧
縮装置について、図2〜図6を用いて説明する。
【0019】図2に示すように、本実施例のロータリ式
圧縮装置は、ロータリ式圧縮機100と、これを駆動す
るモータ部と、これらを覆う圧縮機ケース105とを有
している。同図において、101はモータステータ、1
02はモータロータ、106は圧縮機ケース105に形
成された冷媒吸込口、107は圧縮機ケース105に開
けられた圧縮機100の溶接固定用の孔、108は圧縮
機の固定溶接跡、109は圧縮機ケース105に圧入さ
れ溶接された底フタ、109aは底フタ109の溶接箇
所、110は上フタ、111は上フタ110に形成され
た冷媒吐出口である。
【0020】図3及び図4に示すように、ロータリ式圧
縮機100の各部品のうち、1は回転軸、2はローラ、
3は主軸受、4は副軸受、5はシリンダ、6はブレー
ド、7a〜7dは主軸受締結ボルト、8a〜8dは副軸
受締結ボルトである。また、図6に示すように、13は
ブレード押しバネである。環状のローラ2は、回転軸1
の中途部に設けられた偏心カム1cに回転自在に取付け
られている。回転軸1及びローラ2から成る回転体は、
非回転体であるシリンダ5の開口部に挿通されている。
この回転軸1の両端側は、主軸受3及び副軸受4から成
る軸受体により回転自在に支持される。主軸受3及び副
軸受4は、それぞれ、締結ボルト7a〜7d、8a〜8
dによってシリンダ5の上下の開口面に組み付けられて
いる。シリンダ5の開口部は、このように、主軸受3及
び副軸受4により塞がれて、内部に圧縮室5aを形成す
る。シリンダ5には、図5に示すように、低圧の冷媒の
吸込口9及び高圧の冷媒の吐出口10が設けられてい
る。ブレード6は、シリンダ5に設けられたスリット5
cに挿入され、押しバネ13によってローラ2に押し付
けられる。圧縮室5a内は、シリンダ5の内周面に接し
て偏心回転するローラ2とローラ2の法線方向の偏心運
動に追従するブレード6によって、吸込側圧縮室14と
吐出側圧縮室15の2つの室に仕切られる。
【0021】図6は、圧縮サイクルを3つの代表的な状
態(a),(b),(c)を示した図である。同図(a)
は、圧縮サイクルの初期状態を示しており、吐出側圧縮
室15にはこれから圧縮する低圧の流体16が充満して
いる。同図(b)は、回転軸1が時計回り方向に4分の
1回転程回転した圧縮サイクルの中間状態を示してお
り、吸入側圧縮室14は、その体積が増えるため低圧の
流体16が吸込口9から吸い込まれ、逆に吐出側圧縮室
15は体積が減るため流体が圧縮されて行く。同図
(c)は、回転軸1が時計回り方向にさらに回転した圧
縮サイクルの最終状態を示しており、吐出側圧縮室15
の体積が減少するにともない流体の圧縮が進み、この流
体の圧力が圧縮機ケース内の圧力を越えた時に、副軸受
4の吐出口10の位置に設けられたバネ板(図示せず)
を押し上げて、高圧の流体17が吐出する。
【0022】吐出側圧縮室15の高圧の流体17が低圧
の吸込側圧縮室14へ洩れると、その分だけ流体の吐出
量及び吸入量が減るため、圧縮効率が低下する。高圧の
流体17の吸込側圧縮室14への洩れを少なくするため
には、図5に示すシリンダ5の内周面とローラ2外周面
の間のクリアランス11が十分小さく、且つこの間に、
低圧の吸込側圧縮室14と高圧の吐出側圧縮室15の間
の機密を保つ役割を果たす油膜12が形成されなければ
ならない。しかし、このクリアランス11が過度に小さ
くなると、シリンダ5の内周面とローラ2の摺動抵抗が
大きくなり、回転損失の増加により効率が低下したり、
磨耗が進行して圧縮機が故障したりするため、適度な大
きさのクリアランスが必要である。シリンダ5の内周面
全域に渡って、適切な大きさのクリアランスを確保する
ことは、部品加工精度や組立の容易さといった面から言
って困難なため、流体が圧縮されて最も高圧の状態にな
る図5に示す回転位置でのクリアランス11が適切な大
きさになるように、組立時に主軸受3及び副軸受4のシ
リンダ5への組付位置を調整する。
【0023】次に、本実施例によりクリアランス11を
適切な大きさに調整するロータリ式圧縮機の組立方法及
び装置を、図1及び図7〜図13を用いて説明する。図
1に示すように、本実施例の調芯組立装置の各構成要素
のうち、20は仮組されたロータリ式圧縮機100をそ
の主軸受3の面で受ける架台、21は調芯用回転駆動用
モータ、22はモータ21の回転角度センサ、23はモ
ータの回転軸、24はトルクセンサ、25は嵌合ガイ
ド、26は嵌合ガイド25の回転軸、27は基準位相検
出用円盤、28は基準位相検出用センサ、29は圧縮機
を架台20に固定する空圧アクチュエータ、30はXY
テーブル、31xはXYテーブル30のX軸駆動用モー
タ、31yはXYテーブル30のY軸駆動用モータ、3
2xはX軸駆動用モータの回転位置センサ、32yはY
軸駆動用モータの回転位置センサ、33はXYテーブル
30の可動部に垂設された副軸受4を把持するための把
持機構、34は把持機構33の一部で把持動作を行うた
めの空圧アクチュエータ、35は副軸受4をシリンダ5
に押し付ける空圧アクチュエータ、36は空圧アクチュ
エータ35によって駆動される押付ヘッド、37a及び
37bはボルト締結用ドライバの一部である。
【0024】図8に示すように、嵌合ガイド25には、
回転軸1の端部が挿入される挿入穴25aが形成されて
いる。さらに、嵌合ガイド25には、嵌合ガイド25と
回転軸1の端部とを連結させるためのピン38、及びこ
のピン38を回転軸1の方向に付勢するバネ39が組み
込まれている。なお、回転軸1の一端部には、嵌合用ピ
ン38が嵌合する嵌合溝18が形成されている。
【0025】図9に示すように、調芯組立装置の制御装
置120の各処理モジュールのうち、40はクリアラン
ス推定器、41は回転負荷トルクとクリアランスとの相
関表、42は軸受4の仮組付位置を調整するXYテーブ
ル30の位置制御器、43は空圧アクチュエータ34,
35やドライバ37a,37b等のシーケンス制御器、
48は回転角度センサ22からの回転角度信号46の微
分器である。なお、同図において、45はトルクセンサ
24からのトルク信号、47は基準位相検出センサ28
からの基準位相信号、49は回転速度信号、50は最小
クリアランス推定値、51は最小クリアランスの位相推
定値、52x及び52yは回転位置センサ32x及び3
2yの回転位置信号、53x及び53yはモータ31x
及び31yの操作量、54は軸受仮組付位置調整終了信
号、55は空圧アクチュエータ35の制御信号、56は
ドライバ37a及び37bの制御信号、57は空圧アク
チュエータ34の制御信号である。また、本実施例にお
いて、制御装置120は、実際には、マイクロコンピュ
ータで構成されており、シーケンス制御器43、位置制
御器42、クリアランス推定器40及び微分器48の諸
機能は、全て、マイクロコンピュータのメモリに記憶さ
れているプログラムをCPUが実行することで達成され
る。
【0026】図11及び図12に示すように、軸受の仮
組付位置を調整するXYテーブル位置制御器42の各処
理モジュールのうち、60はクリアランス判定器、61
はクリアランス修正値算出器、62はXYテーブル位置
指令値発生器、63はサーボ演算器、70はデータ記憶
器、71は係数校正器である。なお、これらの図におい
て、64はサーボ演算周期でサンプリングしたテーブル
位置、65はクリアランスの許容範囲設定値、66は最
小クリアランス推定周期でサンプリングしたテーブル位
置、67はクリアランス修正値、68は最小クリアラン
ス位相修正値、69x及び69yはXYテーブル位置指
令値、72はクリアランストルク、73はクリアランス
とテーブル移動量との間の変換係数、74はテーブル位
置修正値、75はサーボ制御器である。
【0027】まず、主軸受3を組付位置を調整しながら
シリンダ5へ組付ける。この時点では、シリンダ5の両
側の開口部のうちの副軸受側の開口部がまだ閉塞されて
いないため、そこから距離センサを挿入して直接距離を
測りながら、主軸受3の組付位置を調整することができ
る。具体的には、図7に示すように、回転軸1の中途部
に設けられた偏心カム1cにローラ2を取り付け、回転
軸1の中心Cから最遠点にあるローラ2の外周上の点2
aと、中心Cを挟んでその反対側にある回転軸1の外周
上の点1aとの間の距離αをまず測定する。次に、主軸
受3をシリンダ5に仮組みし、副軸受側の開口部から2
組の距離センサ(図示せず)を挿入し、クリアランス1
1を調整しようとしている位相(図5に示す状態の位
相)でのシリンダ5の内周面上の点5bから、その逆位
相での主軸受3の内周面上の点3bまでの距離βを求め
る。そして、固定チャックと移動テーブル等の手段によ
り(図示せず)、距離βを測定しながらシリンダ5に対
する主軸受3の仮組付位置を(数1)を満たすように調
整する。
【0028】 Cmin ≦ β−α ≦ Cmax・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数1) ここで、Cminはクリアランス11の設定許容下限
値、Cmaxはクリアランス11の設定許容上限値であ
る。前記の条件を満たす位置に調整できたところで、ボ
ルト7a〜7cによりシリンダ5に主軸受3を締結す
る。次に、副軸受4を組付位置を調整しながらシリンダ
5へ組付ける。この工程では、シリンダ5の両側の開口
部が両軸受により閉塞されるため、クリアランス11を
直接測りながら副軸受4の組付位置を調整することはで
きない。
【0029】ここで、従来技術を本実施例のロータリ式
圧縮機の組付に適用した場合について具体的に説明す
る。前述した従来技術(1)を適用した場合には、回転
軸1及びローラ2を回転軸1の長手方向に対して垂直な
方向に移動させて、回転軸1の外周面と副軸受4の内周
面とを接触させ、この接触した位置から逆方向に再び回
転軸1及びローラ2を所定量移動させて、調芯すること
になる。また、前述した従来技術(3)を適用した場合に
は、副軸受4をシリンダ5に仮組付し、回転軸1を高速
で回転させて、回転抵抗が最も小さくなる位置に自己調
芯させて、芯出しすることになる。
【0030】しかし、従来技術(1)では、回転軸1を
副軸受4に押し付けて、回転軸1の外周面と副軸受4の
内周面とを接触させる際、回転軸1がその押し付け力に
よりたわんでしまい、そのたわみ量が各接触点で異なる
と正確に芯を合わせることができないという問題があ
る。さらに、たとえ、副軸受4の芯を主軸受3の芯に正
確に合わることができたとしても、各軸受内周面の直角
度等の部品加工精度のばらつきにより、回転時に両軸受
部のクリアランスが許容する範囲で回転軸1が回転が安
定な状態に向かって傾き、クリアランス11が副軸受4
の組付後に主軸受3組付時に設定した値から変動してし
まうというようなことも生じる。
【0031】また、従来技術(3)では、副軸受4の位
置が回転抵抗の小さくなる状態に向かって移動するのみ
ならず、回転軸1も回転抵抗の小さくなる方向に移動し
て傾くため、クリアランス11が副軸受4の組付後に主
軸受3組付時に設定した値から変動してしまうという問
題がある。さらに、自己調芯により回転抵抗が最も小さ
くなる位置に芯を合わせることになるため、クリアラン
スが過度に大きくなって圧縮効率が低下するという問題
点もある。
【0032】これらの問題は、クリアランス11の設定
許容範囲Cmin〜Cmaxが広い場合には、クリアラ
ンスの変動分が許容範囲内で吸収されてしまうため大き
な問題にはならない。しかし、省エネルギー化に向けて
圧縮機の高効率化が進められていることから、設定許容
範囲Cmin〜Cmaxは狭くなる傾向にあり、クリア
ランス11を数ミクロンの精度で管理するためには、こ
れらの問題を回避した軸受体の芯出し組付方法を考案す
る必要がある。
【0033】本実施例は、回転軸1を回転させた際に、
シリンダ5の内周面の特定の位相に設定したローラ2の
外周面との間の最小のクリアランス11の大きさに対応
して、局所的な摺動トルクが生じることに着目し、この
摺動トルクから直接測定することができないクリアラン
ス11の大きさを推定して、クリアランス11を高精度
に設定するものである。以下、本実施例における副軸受
4の芯出し組付方法について説明する。
【0034】既に述べたようにして主軸受3を締結した
シリンダ5に、ローラ2を取付けた回転軸1を、主軸受
3の軸受穴に一端側から挿通せしめて装着する。また、
ブレード6をシリンダ5のスリット5cに挿入する。次
に、主軸受3に装着された回転軸1の他端側から、副軸
受4を嵌通せしめて装着し、ボルト8a及び8cにより
仮締結する。
【0035】以上のように、仮組立を行った圧縮機を調
芯組立装置の架台20に据置する。この際、圧縮機10
0の回転軸1及び主軸受3の軸受部を架台20に設けら
れた貫通穴20hに挿通せしめる。圧縮機100(正確
には、シリンダ5及び主軸受3)は、空圧アクチュエー
タ29により横方向からクランプされて、固定される。
また、空圧アクチェータ35により駆動される押付ヘッ
ド36により、仮締結されている副軸受4はシリンダ5
に上方向から押し付けられる。空圧アクチェータ35の
圧力は、変えることが可能で、副軸受4をシリンダ5の
装着面上を横方向に移動可能としたり、あるいは固定し
たりすることができる。最初の状態では、空圧アクチェ
ータ35による押付圧を、後述する嵌合ピン38の押し
上げ力によって副軸受4が持ち上がらない程度に弱くし
ておく。
【0036】次に、モータ21を駆動して、図8に示す
嵌合ガイド25を回転させる。この嵌合ガイド25を回
転させる前は、図8(a)に示すように、回転軸1の一
端は、嵌合ガイド25の挿入穴25aに単に挿入されて
いるだけである。嵌合ガイド25を回転させると、バネ
39によって回転軸1の底面に押し付けられている嵌合
用ピン38は、回転軸1の嵌合溝18の位置に至った時
点で、同図(b)に示すように、回転軸1側に移動し、
嵌合溝18に嵌合する。この結果、嵌合ガイド25の回
転に伴って、圧縮機の回転軸1も回転するようになる。
モータ21と嵌合ガイド25の間に設置されているトル
クセンサ24は、モータ21によりポンプ回転軸1が一
定速度で回転駆動される時の負荷トルクにより生じる回
転軸23と回転軸26の間のねじれを電気信号に変換し
て、トルク測定値45としてクリアランス推定器40に
送出する。
【0037】また、トルクセンサ24と嵌合機構25の
間には、例えば半円形をした基準位相検出用円盤27が
設置されており、この円盤27の有無の遷移状態が基準
位相検出用センサ28により検出される。クリアランス
推定器40は、この基準位置検出用センサ28から送出
される基準位相信号47により、回転軸26の特定の位
相に設けられている嵌合ピン38の位相を把握する。よ
って、基準位相検出用円盤27の有無の遷移点から、モ
ータ21の他端に取り付けられた回転角度センサ22か
ら送出される回転角度(パルス)46をカウントするこ
とにより、嵌合ピン38の各回転角度毎のトルク値を知
ることができる。圧縮機回転軸1の端部に設けられた嵌
合溝18は、回転軸1の中間部に設けられた偏心部の位
相に合わせて作られているため、嵌合ピン38の位相が
分かれば回転軸1の最大偏心部の位相を知ることができ
る。また、圧縮機100は、そのシリンダ5が組立装置
の架台20に対して固定的に据置されるため(回転軸1
や副軸受4は、この状態ではシリンダ5に対して可動可
能である。)、回転軸1の最大偏心部のシリンダ内周面
に対する絶対角度毎のトルク値を測定することができ
る。
【0038】なお、アブソリュートエンコーダ等をパル
スエンコーダからなる回転角度センサ22の代わりに用
いれば、基準位相検出用円盤27及びセンサ28は省略
することができる。また、精度良く一定速度でモータ2
1を回転させることができれば、基準位相からの経過時
間を計数することにより回転角度を知ることができるた
め、回転角度センサ22は省略することができる。
【0039】シリンダ5の内周面全域に渡って、適切な
大きさのクリアランスを確保することは、部品加工精度
や組立の容易さといった面から言って困難なため、流体
が圧縮されて最も高圧の状態になる図5に示す回転位置
(位相)でのクリアランス11が適切な大きさになるよ
うに、ポンプ組立時に主軸受3のシリンダ5への組付位
置を調整する。副軸受4の組付位置の調整は、前述した
ように、押付ヘッド36により嵌合ピン38の押し上げ
力によって副軸受4が持ち上がらない程度にシリンダ5
に対して上方向から弱く押し付けて、副軸受4を上下方
向のみ拘束した状態で、回転軸1を高速回転させ、この
時に生じる摺動抵抗が最小になる位置に受動的に倣わせ
ることにより、最初の芯出しを行う。
【0040】次に、以上の倣い調芯が終了した状態で、
各回転角度毎のトルク値を測定し、クリアランス推定器
40により最小クリアランス値とその位相を推定する。
なお、ここで、最少クリアランスとは、ローラ2とシリ
ンダ5のとが潤滑油を介して接する(実際に接しない)
部分のローラ2の外周面とシリンダ5の内周面とクリア
ランスのうち、最少のものをいう。そして、これらの値
を副軸受仮組付位置制御器42に送出し、所定の許容範
囲65に入っているかどうかをクリアランス判定器60
で判定する。逸脱している場合には、把持機構33によ
り副軸受4を把持し、副軸受仮組付位置制御器42によ
りXYテーブル30を制御して、副軸受4の位置を能動
的に調整する強制調芯を行う。
【0041】この倣い調芯と強制調芯からなる2段階の
調芯方法によれば、副軸受4の位置を最初の倣い調芯で
摺動抵抗が最小になる位置に調整し、次の強制調芯では
所定の位相で摺動抵抗が微増するように位置を微調整す
れば良いため、調整が速いという利点がある。また、倣
い調芯を行わないで強制調芯を行った場合に生じる可能
性のある、回転軸1と副軸受4の軸受面との過度の接触
による回転不能状態や軸受面の損傷を回避できるという
利点がある。さらに、倣い調芯で、クリアランスが許容
範囲65を超えて大きくなったり、回転軸1が傾いたり
しても、最終的に副軸受4を強制調芯しているので、ク
リアランスが許容範囲65内に収まると共に回転軸1の
傾きも直すことができる。
【0042】調芯が終了したら、シーケンス制御器43
により、押付ヘッド36の押付力を大きくして副軸受4
をシリンダ5に対して拘束し、ドライバ37a及び37
bにより副軸受4をシリンダ5にボルト締結し、芯出し
組立を終了する。
【0043】次に、クリアランス推定器40及び副軸受
仮組付位置制御器42の詳細について説明する。仮組立
状態(主軸受3及び副軸受4の仮組終了時)の圧縮機1
00では、ブレード押しバネ13が挿入されていないた
めブレード6がローラ2に押し付けられておらず、圧縮
室14及び15は形成されていない。したがって、この
状態で回転軸1を外部より回転させても、流体の圧縮に
伴う脈動トルクは生じない。なお、ブレード押しバネ1
3は、圧縮機100の組立が完全に終了し、これを圧縮
機ケース105内に納める際に取付ける。
【0044】しかし、圧縮時の高圧流体のシールをする
ために図5に示す最終圧縮サイクル時の位相におけるロ
ーラ2とシリンダ5の内壁面の間のクリアランス11を
油膜12が形成保持されるようにしているため、この位
相でローラ2の外周面とシリンダ5の内壁面の間の潤滑
油、および回転軸1の偏心部の外周面とローラ2の内周
面の間の潤滑油、および回転軸1の軸受摺動面と主軸受
3と副軸受4の軸受部内周面の間の潤滑油等が圧縮され
ることにより、図10の下グラフに示すようにクリアラ
ンストルク72が生じる。このクリアランストルク72
とクリアランス11は図9の上グラフ41に示す反比例
の関係にあるため、予め両者の関係を調べて相関表41
を得ておくことにより、クリアランストルク72からク
リアランス推定値50を得ることができる。また、基準
位相47から計数した回転角度46からクリアランスト
ルク72が生起した回転角度を調べることにより、クリ
アランスが最小になる場所を示す位相推定値51を得る
ことができる。
【0045】なお、クリアランストルク72とクリアラ
ンス11の関係はポンプ回転軸1の回転速度によって変
化するため、調整中に回転速度が変化する場合には各回
転速度毎に相関表41を用意しておき、回転角度信号4
6を微分器48によって微分することにより得られる回
転速度信号49を用いて使用する相関表41を切り換え
ると良い。また、周囲温度の変化によりポンプの温度が
変化する場合には潤滑油の粘性が変化するため、同様に
各温度毎に相関表41を用意しておき、ポンプの温度を
測定して切り換えるようにすると良い。
【0046】クリアランス推定器40で推定された最小
クリアランス値50と最小クリアランス位相51は、そ
れぞれ副軸受仮組位置制御器42へ送出され、それぞれ
が上限値と下限値からなる所定の許容範囲65に入って
いるか否かについて、クリアランス判定器60で判定さ
れる。もし、許容範囲65に入っていれば、クリアラン
ス判定器60は調整終了信号54をシーケンス制御器4
3へ送出し、副軸受4のシリンダ5へのボルト締結を行
い終了する。
【0047】最小クリアランス推定値50と位相推定値
51とのうち、少なくともいずれかが許容範囲に入って
いない場合には、クリアランス修正値算出器61により
許容範囲からのずれ量からクリアランス修正値67及び
/又は位相修正値68を求める。ここで、XYテーブル
30のそれぞれの軸を回転軸1の中心Cから見た最小セ
ットクリアランスを設定する方向に対してそれぞれ平行
および垂直に設定しておけば、それぞれの軸をクリアラ
ンス修正値67および位相修正値68に基づいて個々に
独立に駆動するだけで良い。図12は、X軸が最小クリ
アランス値を設定する方向に平行であるとして、最小ク
リアランスを調整するX軸の駆動制御系のみを図示して
ある。
【0048】なお、各軸の修正移動量が大きい場合には
シリンダ内周面とローラ外周面の曲率の影響により、2
つの軸の駆動制御に関する非干渉性(独立性)が成り立
たなくなるため、それぞれの修正値の大きさに応じてX
Yテーブルの各軸の移動量を修正する必要がある。
【0049】以下では、XYテーブル30の各軸の駆動
制御に関する非干渉性が成り立つ場合を想定して、X軸
方向の調整、つまり最小クリアランス値の調整について
説明する。最小クリアランス位相についても同様の処理
を行うものとする。
【0050】最小クリアランス修正値67に基づいてテ
ーブルX軸を駆動するために、修正値ΔXCref (6
7)を(数2)のようにテーブル移動量指令値ΔXTref
(74)に変換する。 ΔXTref = K・ΔXCref・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数2) ここで、圧縮機の構成部品および副軸受4のチャック機
構や移動テーブルの各部が全て完全な剛体であり且つ精
度が十分に出ていると仮定すれば、変換係数K(73)
はセンサの分解能や幾何学的条件から一意に決まる一定
値として良い。
【0051】しかし、実際には数μmの精度で機械部品
の組付位置の調整をしようとする場合には、応力の大き
さによって変化する位置調整機構のたわみ等によって変
換係数K(73)は変動すると考えなければならない。
そこで、クリアランス推定値を計算する度に毎回、計数
校正器71によって実際のテーブル30の移動量と、こ
のテーブル30の移動によって変化したクリアランス推
定値の変化量とに基づいて変換係数K(73)を(数
3)のように校正する。
【0052】 K=(XT(n)−XT(n−1))/(XC(n)−XC(n−1))・・・・・・(数3) なお、(数2)において、XT はテーブル30のX軸を
駆動するモータ31xの回転角度センサ32xから得ら
れるテーブル位置52を最小クリアランス推定周期Tc
でサンプリングした値、XC は最小クリアランス推定値
50、X(n)は今回サンプリングした値、X(n−
1)は前回サンプリングした値である。最小クリアラン
ス推定値50はモータ1回転毎に1回しか得られるた
め、最小クリアランスの推定および変換係数K(73)
の更新のサンプリング周期Tcは、圧縮機回転軸1の1
回転時間となる。また、サンプリングした各々のデータ
はデータ記憶器70に記憶して使用する。このように、
(数3)による変換係数K(73)の更新により、最小
クリアランスの変化量とテーブルの移動量とを極めて正
確に一致させることができる。
【0053】次に、(数2)の変換によって得られたテ
ーブル移動量指令値ΔXTref (74)に、最小クリア
ランス推定周期Tcに合わせてサンプリングしたテーブ
ル位置XT(nTc)(66)を加えて、テーブル位置
指令値XTref (69)を作り、サーボ演算器63への
指令値とする。サーボ演算器63では、テーブル位置指
令値XTref (69)からサーボ演算周期Tsでサンプ
リングしたテーブル位置XT(nTs)(72)を引い
た偏差をサーボ制御器75に入力し、積分、比例、微分
等のサーボ演算を施して得られる操作量53によりテー
ブル30のモータ31を駆動する。
【0054】ところで、テーブル30の移動は、最小ク
リアランス11の変化を引き起こすため、前述のたわみ
等を考慮したある精度内で、テーブル位置52は原点位
置を最小クリアランスゼロの位置に合わせれば最小クリ
アランス11を表していると見なすことができる。テー
ブル位置52から推定する最小クリアランスは精度が比
較的粗いという欠点はあるが、クリアランス推定周期T
sを短くできるため、高速な副軸受4の位置制御を行
え、クリアランスを高速に調整することができる利点が
ある。図13(a)にテーブル位置52のみを用いて、
副軸受仮組位置を調整した時のテーブル位置76および
クリアランス77の応答を示す。テーブル30はサンプ
リング周期Tsで位置制御しているため、高速な位置決
め制御ができており、3×Ts時間でテーブル位置指令
値78aに収束している。しかし、機構のたわみ等が存
在すると、テーブル移動量とクリアランス変化量とが一
致しなくなるため、クリアランス77は設定値に対して
誤差79を持っている。
【0055】他方、回転負荷トルク45から推定する最
小クリアランスは、回転負荷トルクが閉塞された圧縮機
内部の状態を忠実に反映するため推定精度が良いという
利点がある。しかし、クリアランス推定周期Tcは1回
転時間より短くすることができないため、この最小クリ
アランス推定値50をフィードバックして副軸受4の位
置制御を行おうとした場合には、フィードバック周期が
推定周期Tcより短くできず高速なクリアランス調整を
行うことができない欠点がある。図13(b)にクリア
ランス推定値50のみをフィードバックして、副軸受仮
組位置を調整した時のクリアランス77の応答を示す。
テーブル30はクリアランス推定周期Tcでしか位置制
御できないため位置決め制御に時間がかかり、3×Tc
時間以上でクリアランス設定値78bに収束している。
しかし、クリアランス推定値50を直接フィードバック
して、テーブル等のたわみ等を考慮しているため、クリ
アランス77は設定値に対して誤差なく収束している。
【0056】本実施例では、センサフュージョンの技術
を用いて、同じクリアランスを反映していると見なすこ
とができる異なる2種類のセンサのデータ、つまりトル
クセンサのデータとテーブル位置センサのデータを融合
しているため、高精度かつ高速な最小クリアランス11
の調整を行うことができる。2つのデータの融合は位置
指令値発生器62の変換係数73を係数校正器71によ
って更新するときに行われる。つまり、推定周期Tcよ
り任意に短いサーボ演算周期Tsでテーブル位置センサ
のデータをフィードバックして副軸受4の仮組位置制御
を行うことにより高速なクリアランス調整を実現し、推
定周期Tc経過後に新たな最小クリアランス推定値50
が得られる度に最小クリアランス変化量とテーブル移動
量が一致するように変換係数73を更新することにより
クリアランス調整の精度を保証している。図13(c)
にテーブル位置52とクリアランス推定値50の2つの
冗長データを用いて、下軸受仮組位置を調整した時のテ
ーブル位置76およびクリアランス77の応答を示す。
テーブル30はサンプリング周期Tsで位置制御してい
るため、高速な位置決め制御ができており、3×Ts時
間でテーブル位置指令値78aに収束している。機構の
たわみ等が存在すると、テーブル移動量とクリアランス
変化量とが一致しなくなるため、クリアランス77は設
定値に対して最初の試行では誤差79を持っている。し
かし、Tc時間後に最小クリアランス変化量とテーブル
移動量が一致するように変換係数73を更新することに
より、機構のたわみ等を考慮した新しいテーブル位置指
令値78aを生成することができ、テーブル位置76を
新しい指令値78aに収束させることにより、6×Ts
時間でクリアランス77を設定値78bに収束させるこ
とができる。
【0057】(数3)の変換係数K(73)の変動は、
XYテーブル30の駆動系に設けられた各種部材や位置
センサ32から圧縮機部品に至る迄の機構のたわみ等に
よって引き起こされるため、その変動幅は限定されてい
る。しかし、XYテーブル30の異常や圧縮機の不良等
により、XYテーブル30のアクチュエータを駆動して
も圧縮機のクリアランスが変化しない場合には、変換係
数73が異常な変動幅を示すことになる。そこで、変換
係数73の許容変動幅を事前に定めておき、変換係数7
3が該許容変動幅を逸脱した場合には、該組立装置もし
くは該圧縮機の異常であると判定し、その旨を表示装置
に表示するか又は警報ブザーで異常警報音を出すかする
と良い。
【0058】ところで、調芯作業では、一般に圧縮機回
転軸1の高速回転が要求されるため、調進作業中に収集
したトルクデータに基づいて回転不良の粗検査を行い、
調進作業終了後に低速で回転軸1を回転させて不良があ
る位相近傍について高分解能でトルク信号をサンプリン
グしてデータを収集すれば、限られた記憶容量で精度良
く不良判定を行うことができる。また、調芯工程と検査
工程を分離し、高速回転時の負荷トルクの仕様に合致し
たトルクセンサを備えた調芯工程で粗検査を行い、その
結果を後工程の低速回転時の負荷トルクの仕様に合致し
たトルクセンサを備えた検査工程に送信して、不良があ
る位相近傍について高分解能でトルク信号をサンプリン
グしてデータを収集すれば、限られた記憶容量で精度良
く不良判定を行うことができる。
【0059】次に、測定したトルク波形から最小クリア
ランスを表すクリアランストルク波形成分のみを抽出す
る信号処理方法を、図14〜図29を用いて説明する。
圧縮機の回転負荷トルクには、最小クリアランス部位で
の潤滑油の圧縮に起因するトルク波形の他に、圧縮機を
構成する部品の軸受体の芯合せ不良や加工不良に起因す
るトルク波形が含まれているため、クリアランスを正確
に推定するためには上記の他のトルク波形と混同しない
ように、最小クリアランスに起因するトルク波形のみを
分離抽出する必要がある。
【0060】図14(a)では、ローラ2の外周面とシ
リンダ5の内周面の最小クリアランス11が調整しきれ
ていないため、図15(a)に示すように最小クリアラ
ンス設定位相でトルク波形が方形波状に大きくなってい
る。したがって、このトルク波形のピーク値を求めて最
小クリアランスを前記の方法で推定し、該最小クリアラ
ンスが所定の範囲に入るように、副軸受4の位置を調整
すればよい。
【0061】図14(b)では、主軸受3と副軸受4の
シリンダ5への組付位置が相互にズレれているため、1
00a,…,100dに示す箇所で回転軸1と主軸受3
及び副軸受4の軸受面とが過度に接触し、図15(b)
に示すようにトルク値が全体に大きくなる。4回転につ
き4つのトルクのピークがあるのは、最小クリアランス
の位相で特に強く回転軸1が軸受面に押し付けられるた
めである。この圧縮機は、副軸受4の位置調整だけでは
修復できない場合があるので、芯合わせ不良トルク波形
として識別し、不良圧縮機を組立ラインから排除する必
要がある。
【0062】図14(c)では、シリンダ5の内壁面の
101aに示す箇所に加工時に付いた打痕もしくはキズ
があるため、ローラ2がこの打痕を乗り越える時に図1
5(c)に示す急峻なトルク変動を生じる。この例で
は、最小クリアランスを示す方形波状トルク波形の後ろ
の位相に打痕によるインパルス状のトルク波形が存在し
ている。この圧縮機は分解修理が必要なので、インパル
ス状トルク波形をクリアランストルク波形と誤認しない
ように分離識別し、排除する必要がある。
【0063】図16及び図17は、高域通過フィルタ及
び低域通過フィルタによってトルク波の分離を試みた結
果である。図16(a)に示すシリンダ打痕不良に関す
るトルク波形に高域通過フィルタ処理を施した結果(図
16(b))では、打痕を表すインパルス信号を分離で
きている。また、低域通過フィルタ処理を施した結果
(図16(c))では、波形形状は変形してしまってい
るがクリアランスに対応した波高値を得ることのできる
トルク波形が得られている。しかし、図17(a)に示
すクリアランス設定不良に関するトルク波形に高域通過
フィルタ処理を施した結果(図17(b))では、クリ
アランスを表す方形波の高周波成分がフィルタから漏れ
出ているため、前記の打痕不良に対応したインパルス成
分と誤認してしまう。
【0064】以上のように、単なるフィルタ処理による
周波数成分の違いに基づいたトルク信号の分離方法で
は、各不良を表すトルク波形を正確に識別できないこと
が分かる。そこで、本実施例では、図18に示す構成
で、トルク測定波からクリアランスに関するトルク波
(クリアランストルク波)を抽出している。同図におい
て、151はトルク測定波を時間軸と周波数軸とからな
る2相空間へ解像度別に分解する分解フィルタ群、15
2は各解像度間の波強度の違いから特定の波形の周波数
(回転角)軸上の存在区間(周波数窓)を設定する周波
数窓設定部、153は各解像度間の波強度から特定の波
形の時間(回転角)軸上の存在区間(時間窓)を設定す
る時間窓設定部、154は分解フィルタ群151で分解
された各分解成分のうち、設定された周波数窓及び時間
窓を通過するものをクリアランストルク波の分解成分と
して扱う2相空間フィルタ、155は2相空間フィルタ
から出力されたクリアランストルク波の分解成分を合成
してクリアランストルク波を作成する合成フィルタ群で
ある。なお、以上の各構成要素は、図9におけるトルク
センサ24とクリアランス推定器40との間に設けら
れ、制御装置120を構成するマイクロコンピュータ内
に組み込れている。また、回転角(位相)と時間は、回
転速度が分かっていれば相互に変換可能であるため、以
下では回転角の代わりに時間を空間軸(変数)として用
いる。
【0065】図19(a)に示すように、分解フィルタ
郡151は圧縮機の回転負荷トルク信号(トルク波)を
A0dfとして、これを複数の解像度毎に分解する。ここ
で、Andfは解像度nのトルク信号で平滑化信号と称
す。また、Dndfは解像度nとn−1のトルク信号間の
差分信号を表しており信号の微細構造を表すため、微細
信号と称す。H及びGは低域通過フィルタ及び高域通過
フィルタであり、これらのフィルタは例えばウェーブレ
ット変換理論を用いて合成することができる。図21
に、フィルタH(ω)及びG(ω)のインパルス応答と
周波数特性の一例を示す。同図に示すように、本実施例
の低域通過フィルタは、入力した信号の周波数帯域のう
ち、最大周波数の約半分の周波数以下の周波数帯域の信
号を出力するもので、高域通過フィルタは、入力した信
号の周波数帯域のうち、最大周波数の約半分の周波数以
上の周波数帯域の信号を出力するものである。また、図
19(a)において、チルド〜はインパルス応答を反転
させたミラーフィルタであることを示す。トルク信号
は、この分解フィルタ151により、図20に示すよう
に、解像度毎の微細信号Dndf及び平滑信号Andfに分
解される。
【0066】トルク微細信号Dndf(111)は各解像
度でのトルク平滑化信号Andf(110)の解像度間の
差分を表しており、図22に示すように、帯域を制限し
た微分処理結果と見なすことができる。ここで、トルク
微細信号111の正の極大値112及び負の極大値11
3は、その位置がトルク平滑化信号110の変曲点を、
その大きさがトルク平滑化信号110の局所的な最大変
動率を表している。
【0067】ここで、微細信号111を時間軸に沿って
走査し、隣接して符号が異なる二つの極大値112、1
13を探索する。二つの極大値の時間軸上の位置から平
滑化信号110の変曲点の位置をt1、t2とする。波
形が対称であると仮定すると、平滑化信号110の時間
軸上の存在領域すなわち時間窓115の範囲は、(数
4)のように表せる。
【0068】 [(3×t1−t2)/2、(3×t2−t1)/2]・・・・・・・(数4) また、波形が非対称の場合は、変曲点を境にしての増加
率及び減少率が対称であれば、平滑化波形の極大値を境
にして右側及び左側の時間軸窓を個別に同様にして求め
ることができる。波形の対称性がまったく成り立たない
場合には、例えば、微細信号の10%増加の位置を波形
の存在開始位置とするなどして、時間窓を求めることが
できる。
【0069】ここで、時間窓の大きさ2×(t1−t
2)は、負荷トルク発生原因ごとの特徴的な値である。
そこで、クリアランスの影響のみによる分解成分信号が
通過できる時間窓をクリアランス基準時間窓として準備
しておくと共に、より時間幅の小さいパルス波形、例え
ばキズの影響による分解成分信号が通過できる時間窓を
キズ基準時間窓として準備しておき、求めた時間窓と二
つの基準時間窓とを比較して、求めた時間窓がクリアラ
ンス基準時間窓よりも小さく且つキズ基準時間窓よりも
大きければ、この求めた時間窓を後述する2相空間に設
定して、クリアランスの影響のみによる分解成分信号を
抽出するようにしている。ところで、求めた時間窓と基
準時間窓とを比較する際、幅の小さい基準時間窓(本実
施例の場合、キズ基準時間窓)から順次適用して、時間
幅の小さなパルス波形の分解信号から順番に切り出すよ
うにすると、順次、一つの基準時間窓と比較するだけで
よく、効率的に時間窓を設定することができる。以上の
時間窓115の設定は、前述したように、時間窓設定部
153が実行する。
【0070】また、周波数窓設定部152は、微細信号
に関して他の解像度(スケール)での信号強度を調べる
ことにより、周波数軸上の存在区間を設定する。注目す
る極大値が連続して存在する解像度区間を探索すること
によって周波数窓を求める。例えば、図23に示すよう
に、注目する極大値112aの他のスケール軸上の極大
値112b、112cが所定のしきい値114a(11
4b)より大きい区間を周波数窓116の範囲とする。
具体的には、(数5)に示すように、周波数窓116の
範囲として定める。
【0071】 [スケール(n)、スケール(n+1)]・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数5) スケール(n+1)の極大値112b及びスケール(n
+2)の極大値112cが、スケール(n)の極大値1
12aに関するものかどうかは、各極大値の時間軸上の
位置のずれ量及び符号から判断する。この周波数窓の周
波数軸上の位置も回転負荷トルク発生原因を反映してお
り、時間窓を設定する場合と同様に、クリアランスの影
響のみによる分解成分信号が通過できる周波数窓を基準
周波数窓として予め準備しておき、求めた周波数窓と基
準周波数窓と比較して、周波数窓が基準周波数窓よりも
小さければ、この周波数窓を2相空間に設定して、前記
の時間窓と合わせて、クリアランスの影響のみによる分
解成分信号を抽出するようにしている。
【0072】周波数窓116及び時間窓115は、図2
4(b)に示すように、前記の時間軸上及び周波数軸上
の存在区間で作られる2相空間内に設定され、2相空間
フィルタが作成される。この2相空間フィルタ(時間−
周波数窓)で、この中の分解信号成分120のみが切り
出される。すなわち、クリアランストルクに関する波の
みの分解信号成分が切り出される。そして、図19
(b)に示す合成フィルタ群155にこの分解信号成分
120を通すことで、キズによるトルク波形等が取り除
かれたクリアランストルク信号波形のみが合成される。
【0073】前述したように、周波数軸上の帯域のみを
制限したフィルタ処理(図24(a)に示す)を行った
場合には、特定性質のトルク波形を的確に分離できな
い。これに対して、図24(b)に示すように、時間軸
及び周波数軸双方の帯域を制限したフィルタ処理を行う
ことによって、特定性質のトルク波形(本実施例の場合
にはクリアランストルク波形)を的確に分離することが
できる。従って、最小クリアランス11を正確に推定す
ることができる。
【0074】なお、例えば、キズによるトルク波形に着
目して、このトルク波形(シリンダ打痕トルク波形)の
みを分離することも可能である。従って、基準時間窓及
び基準周波数窓を負荷トルク発生原因毎に複数準備して
おき、各基準窓と求めた窓とを比較すれば、不良原因の
判別を行うことができる。さらに、不良原因を判別した
後、各分解成分信号を2相空間フィルターに通し、特定
の不良原因のみの分解成分信号を抽出して、これを再合
成してトルク信号を作成すれば、このトルク信号のレベ
ルから特定不良の程度も把握することができる。
【0075】図25、図26及び図27に、それぞれ、
クリアランス設定不良の場合のトルク信号、軸受芯合わ
せ不良の場合のトルク信号、シリンダ打痕不良の場合の
トルク信号に対して本実施例の方法を適用し、7段階の
多重解像度分解を行い、極大値(Wavelet Ma
xima)を求めた結果を示す。これらの図に示すよう
に、不良原因ごとに明らかに異なる極大値系列が得られ
ているのが理解できる。これらこの極大値系列からイン
パルス波形の変曲点間隔を持つ極大値対を探索してその
時間軸上の存在区間を求め、さらに極大値対が減衰せず
に伝搬する解像度区間を探索してその周波数軸上の存在
区間を求めて2相空間窓を定め、この窓を通過した信号
成分だけを合成フィルタ群で再合成することにより得
た、クリアランス設定不良トルク信号及びシリンダ打痕
トルク信号のインパルス分離結果を、それぞれ、図2
8、図29に示す。図29(b)に示すようにシリンダ
打痕不良のインパルス波形は精度良く分離され、図29
(c)に示すように最小クリアランスに起因するトルク
波形が分離されている。また、図28(b)に示すよう
にクリアランス設定不良の方形波形の急峻なエッジがイ
ンパルス成分と誤認されることなく処理されていること
が分かる。また、芯合わせ不良トルク信号はインパルス
波形分離後、平均値を評価することにより容易に判別で
きる。
【0076】次に、調芯組立装置の他の実施例につい
て、図30及び図31を用いて説明する。本実施例は、
図1に示した調芯組立装置のうち、XYテーブル30の
代わりに、剛性可変機能を付加した軸受体位置調整機構
を用いたもので、その他の構成に関しては、先の実施例
と同様である。図30は電気粘性流体を用いた剛性可変
機能を付加した軸受体位置調整機構の要部切欠き上面図
である。また、図31は、この機構の要部切欠き側面図
である。なお、これらの図は、1軸分のみ示してある
が、これは図面及び以下の説明を理解しやすくするため
であり、実際には、このテーブル機構は、先の実施例と
同様に2軸のものである。
【0077】軸受体位置調整機構のうち、80は電気粘
性流体、81はピストン、82は軸受体把持機構懸架テ
ーブル、83a及び83bはピストン側磁石、84a及
び84bは把持機構懸架テーブル側磁石、85a及び8
5bは電極、86はシリンダ、87はボールネジ用ナッ
ト、88はボールネジ、89は軸受体位置調整テーブ
ル、90は組立装置架台、91a及び91bはボールネ
ジ軸受、92は位置調整テーブル駆動モータ、93a及
び93bは位置調整テーブルスライドレール、94は高
電圧電源、95は閉ループ流路である。
【0078】組立装置の架台90の中央部は切り欠かれ
て貫通穴が開けられており、その中に軸受体位置調整テ
ーブル89がスライドレール93a及び93b上を並進
自在に設置されている。軸受体位置調整テーブル89の
中央部もまた切り欠かれて貫通穴が開けられており、そ
の中にシリンダ86が固定されている。シリンダ86の
内部には、電気粘性流体80と供に、ピストン81がシ
リンダ86内を並進自在に封入してある。シリンダ86
の外部底面には軸受体把持機構懸架テーブル82が並進
自在に設置してあり、磁石83aと84a、及び83b
と84bの間の磁力によってシリンダ86内部のピスト
ン81と連動する。軸受体把持機構懸架テーブル82の
底面には副軸受4の把持機構が懸架してある(図示せ
ず)。電気粘性流体80は、シリンダ86及び閉ループ
流路95内部に封入されており、閉ループ流路95内部
に設けた電極85aと流路外部に設置した電極85bの
間に高電圧電源94によって電圧をかけることにより、
電気粘性流体80の粘性を低粘度状態から個体状態まで
制御することができる。
【0079】副軸受4の芯出しは、回転軸1を高速回転
させ、この時に生じる摺動抵抗が最小になる位置に受動
的に倣わせる倣い調芯を行い、次に、各回転角度毎のト
ルク値を測定してクリアランス推定器40により最小ク
リアランス値を推定し、この最小クリアランスが所定の
許容範囲65に入るように副軸受4を把持してその位置
を能動的に調整する強制調芯を行う。この倣い調芯と強
制調芯からなる2段階の調芯方法によれば、前述したよ
うに、副軸受4の位置を最初の倣い調芯で摺動抵抗が最
小になる位置に調整し、つぎの強制調芯で所定の位相で
摺動抵抗が微増するように位置を微調整すれば良いため
調芯が速く、また、倣い調芯を行わないで把持した場合
の回転軸1と副軸受4の軸受面との過度の接触による回
転不能状態や軸受面の損傷を回避できるという利点があ
る。しかし、副軸受4の把持を行う時に把持動作に伴う
反動や応力によって副軸受4の位置がずれてしまうと、
倣い調芯を事前に行った意味がなくなり、最悪の場合に
は軸受面の過度の接触による回転不能状態や軸受面の損
傷が生じる可能性がある。
【0080】そこで、本実施例では、電極85aと85
bの間に電圧をかけないで電気粘性流体を低粘度にして
軸受体把持機構懸架テーブル82が並進自在な状態で、
懸架されている把持機構で副軸受4を把持する。この
時、把持機構懸架テーブル82は副軸受4の位置に倣っ
て自然に移動するため、副軸受4が移動することもな
く、且つ機構の部材にたわみ応力を残すことは無い。
【0081】この状態で、回転軸1を高速回転させて、
倣い調芯を行う。把持機構懸架テーブル82は並進自在
の状態になっているため、副軸受4は把持機構懸架テー
ブル82を引きずって、摺動抵抗が最小になる位置に移
動する。倣い調芯が終了したら、高電圧電源94を用い
て電極85aと85bの間に電圧をかけ、電気粘性流体
80の粘度を高め、これを硬化させる。この時、電圧を
徐々に上げて行くことにより、応力を残さないで硬化さ
せることができる。また、高電圧電源94を用いて電極
85aと85bの間の電圧を徐々に上げ、電気粘性流体
80の粘度を徐々に上げていくことにより、脈動トルク
により副軸受4がシリンダ5上で振れ回る時にも、摺動
抵抗が釣り合う位置に収束させることができる効果があ
る。
【0082】次に、各回転角度毎のトルク値を測定して
クリアランス推定器40により最小クリアランス値を推
定し、この最小クリアランスが所定の許容範囲65に入
るように、ボールネジ軸受91a及び91bにより組立
装置架台90に回転自在に取り付けられているボールネ
ジ87をモータ92により回転させて、軸受体位置調整
テーブル89に取り付けられているボールネジ用ナット
87を並進させ、軸受体位置調整テーブル89をスライ
ドレール93a及び93b上を並進させる。この時、電
気粘性流体80は固化しているため、把持機構懸架テー
ブル82を軸受体位置調整テーブル89に追尾させて移
動させ、副軸受4の位置を能動的に調整する強制調芯を
行うことができる。
【0083】次に、調芯組立装置のさらに他の実施例に
ついて、図32及び図33を用いて説明する。本実施例
は、図1に示した調芯組立装置のうち、XYテーブル3
0の代わりに、空圧シリンダを有する軸受体位置調整機
構を用いたもので、その他の構成に関しては、先の実施
例と同様である。
【0084】図32は、本実施例の調芯組立装置を示す
図である。同図において、200は、空圧シリンダであ
る。また、図33は、本実施例における軸受位置調整方
法を示す図である。同図において、201は空圧シリン
ダ200内の圧縮空気、202は空圧シリンダ200の
ピストン、203は潤滑油の圧縮により生じる圧力を表
す仮想的なバネである。なお、これらの図中に示されて
いないが、空圧シリンダ200には、空圧シリンダ20
0内の圧縮空気201量を調節して、ピストン202の
押出量及びその押し付け圧力を制御するための空圧調整
器が接続されている。
【0085】副軸受4の芯出しは、以上の実施例と同様
に、回転軸1を高速回転させ、この時に生じる摺動抵抗
が最小になる位置に受動的に倣わせる倣い調芯を行い、
次に、各回転角度毎のトルク値を測定してクリアランス
推定器40により最小クリアランス値を推定し、この最
小クリアランスが所定の許容範囲65に入るように副軸
受4を把持してその位置を能動的に調整する強制調芯を
行う。しかし、この倣い調芯と強制調芯からなる2段階
の調芯方法では、前述したように、強制調芯するために
副軸受4を把持する際に、副軸受4の位置がズレてしま
う可能性がある。
【0086】そこで、本実施例では、強制調芯の際に、
副軸受4を把持して拘束した後、移動させるのではな
く、空圧シリンダ等により適切な一定の圧力で副軸受4
の側面を押すことにより、副軸受4の強制調芯を行う。
以下、図33を用いて、本実施例の調芯方法を具体的に
説明する。なお、本実施例の調芯方法では、空圧シリン
ダ200のピストン202が副軸受4の側面を押すこと
になるが、その結果として、回転軸1を押すことになる
ので、同図においては、簡略的にピストン202が回転
軸1を押すように描いている。
【0087】まず、倣い調芯時においては、同図(a)
に示すように、空圧シリンダ200内の圧縮空気201
の圧力をピストン202が回転軸1(副軸受4)との接
触を維持できる最少圧力にして、回転軸1を高速回転さ
せる。副軸受4は、この状態において、並進自在である
ため、回転軸1が回転時の摺動抵抗が最少になるよう傾
く結果、副軸受4は移動する。ところで、空圧シリンダ
200内の圧縮空気201の圧力を高くして、ピストン
が回転軸1(副軸受4)を押す力を強くすると、クリア
ランスが狭まる方向に回転軸1が移動する。この回転軸
1の移動により、潤滑油の圧力が高まり、ピストンが回
転軸1を押す力と潤滑油が回転軸を押す力が釣り合う
と、あるクリアランスの位置で回転軸1は停止する。そ
こで、クリアランス推定器40により最少クリアランス
を推定しつつ、この最少クリアランスが所定の許容範囲
65に入るように、空圧シリンダ200内の圧縮空気2
01の圧力を空圧調整器で調整して、副軸受4の強制調
芯を行う。
【0088】このように、設定圧力可変機能を持つ空圧
シリンダによる調芯方法では、比較的簡単な機構で調芯
を行える上に、倣い調芯から強制調芯に移行する際に、
連続的に圧力を変化させることにより滑らかに強制調芯
に移動することができるために、倣い調芯の状態を損な
うことなく、強制調芯を行うことができる。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、回転式
圧縮機の組立において、密閉された圧縮機内部のクリア
ランスを回転負荷トルクを用いて推定し、このクリアラ
ンスが上限値及び下限値で規定されるクリアランス許容
範囲内に入るよう調整するので、回転式圧縮機の圧縮効
率を低下させることなく、且つ回転体が滑らかに回転す
るよう、正確に芯出しを行うことができる。
【0090】また、回転負荷トルク信号を多重解像度分
解して、時間と周波数双方の帯域を制限したフィルタ処
理を行うことにより、クリアランスを表すトルク信号の
みを分離抽出することができるので、このトルク信号を
用いることにより、正確にクリアランスを推定すること
ができ、しいては、より正確な芯出しを行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の調芯組立装置の要部切
欠き側面図である。
【図2】回転式圧縮装置の断面図である。
【図3】回転式圧縮機の展開斜視図である。
【図4】回転式圧縮機の断面図である。
【図5】回転式圧縮機の内部を示す説明図である。
【図6】回転式圧縮機の圧縮サイクルを示す説明図であ
る。
【図7】本発明に係る一実施例の主軸受のシリンダへの
組付位置の調整方法を示す説明図である。
【図8】本発明に係る一実施例の回転式圧縮機の回転軸
と組立装置の回転軸を嵌合させる方法を示す説明図であ
る。
【図9】本発明に係る一実施例の組立装置を制御する制
御装置の処理モジュールを示す説明図である。
【図10】本発明に係る一実施例のクリアランス推定器
の処理機能を説明するための説明図である。
【図11】本発明に係る一実施例の位置制御器の処理モ
ジュールを示す説明図である。
【図12】本発明に係る一実施例の位置制御器の各処理
モジュールに関する処理機能を説明するための説明図で
ある。
【図13】本発明に係る一実施例のセンサフュージョン
方式によるクリアランス調整の効果を説明するためのグ
ラフである。
【図14】回転負荷トルク波形に影響を及ぼす不良の例
を示す説明図である。
【図15】各不良に対応した回転負荷トルク波形を示す
波形図である。
【図16】シリンダ打痕不良トルク信号の高域通過フィ
ルタ処理結果及び低域通過フィルタ処理結果の波形を示
す波形図である。
【図17】クリアランス設定不良トルク信号の高域通過
フィルタ処理結果及び低域通過フィルタ処理結果の波形
を示す波形図である。
【図18】本発明に係る一実施例の負荷トルク信号から
クリアランストルク信号を抽出するための構成を示す機
能ブロック図である。
【図19】本発明に係る一実施例の分解フィルタ群及び
合成フィルタ群の構成を示す説明図である。
【図20】本発明に係る一実施例の多重解像度分解によ
る周波数帯域の分割を説明するための説明図である。
【図21】本発明に係る一実施例のフィルタ郡を構成す
る各フィルタのインパルス応答及び周波数特性を示すグ
ラフである。
【図22】本発明に係る一実施例の平滑化信号と微細信
号の関係及び時間窓の設定方法を説明するための説明図
である。
【図23】本発明に係る一実施例の周波数窓の設定方法
を説明するための説明図である。
【図24】本発明に係る一実施例の2相空間フィルタを
説明するための説明図である。
【図25】クリアランス設定不良トルク信号を多重解像
度分解した例を示す説明図である。
【図26】芯合わせ不良トルク信号を多重解像度分解し
た例を示す説明図である。
【図27】シリンダ打痕不良トルク信号を多重解像度分
解した例を示す説明図である。
【図28】クリアランス設定不良トルク信号にインパル
ス波形分離処理を施した例を示す説明図である。
【図29】シリンダ打痕不良トルク信号にインパルス波
形分離処理を施した例を示す説明図である。
【図30】本発明に係る他の実施例の軸受体位置調整機
構の要部切欠き上面図である。
【図31】本発明に係る他の実施例の軸受体位置調整機
構の要部切欠き側面図である。
【図32】本発明に係るさらに他の実施例の調芯組立装
置の要部切欠き側面図である。
【図33】本発明に係るさらに他の実施例の調芯方法を
説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…回転軸、2…ローラ、3…主軸受、4…副軸受、5
…シリンダ、6…ブレード、7a〜7d…主軸受締結ボ
ルト、8a〜8d…副軸受締結ボルト、13…ブレード
押しバネ、20…架台、21…回転駆動用モータ、22
…回転角度センサ、23…モータの回転軸、24…トル
クセンサ、25…嵌合ガイド、26…嵌合機構の回転
軸、27…基準位相検出用円盤、28…基準位相検出用
センサ、29…圧縮機を架台に固定する空圧アクチュエ
ータ、30…XYテーブル、31x…XYテーブルのX
軸駆動用モータ、31y…XYテーブルのY軸駆動用モ
ータ、32x…X軸駆動用モータの回転位置センサ、3
2y…Y軸駆動用モータの回転位置センサ、33…把持
機構、34…把持動作を行うための空圧アクチュエー
タ、35…副軸受をシリンダに押し付ける空圧アクチュ
エータ、36…空圧アクチュエータによって駆動される
押付ヘッド、37a,37b…ボルト締結用ドライバの
一部、38…嵌合用ピン、39…バネ、40…クリアラ
ンス推定器、41…回転負荷トルクとクリアランスの相
関表、42…XYテーブルの位置制御器、43…空圧ア
クチュエータやドライバ等のシーケンス制御器、60…
クリアランス判定器、61…クリアランス修正値算出
器、62…XYテーブル位置指令値発生器、63…サー
ボ演算器、70…データ記憶器、71…係数校正器、7
2…クリアランスの大きさに比例して生じるクリアラン
ストルク、73…クリアランスとテーブル移動量との間
の変換係数、74…テーブル位置修正値、75…サーボ
制御器、80…電気粘性流体、81…ピストン、82…
軸受体把持機構懸架テーブル、83a,83b…ピスト
ン側磁石、84a,84b…把持機構懸架テーブル側磁
石、85a,85b…電極、86…シリンダ、87…ボ
ールネジ用ナット、88…ボールネジ、89…軸受体位
置調整テーブル、90…組立装置架台、91a,91b
…ボールネジ軸受、92…位置調整テーブル駆動モー
タ、93a,93b…位置調整テーブルスライドレー
ル、94…高電圧電源、95…閉ループ流路、100…
回転式圧縮機、151…分解フィルタ、152…周波数
窓設定部、153…時間窓設定部、154…2相空間フ
ィルタ、155…合成フィルタ、200…空圧シリン
ダ、202…ピストン。
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 一男 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所リビング機器事業部内 (72)発明者 田中 眞二 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所リビング機器事業部内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転体が非回転体に装着され、該回転体が
    非回転体内で回転することで流体を圧縮する回転式圧縮
    機の組立方法において、 前記回転体が前記非回転体内に装着された状態で、該回
    転体を回転させた際の負荷トルクと、該回転体の外周面
    と該非回転体の内周面との間のクリアランスとの相関関
    係を予め測定しておくと共に、 前記流体の圧縮に必要な機密性を保つことを保証する前
    記クリアランスの上限値と、前記回転体が滑らかに回転
    することを保証する前記クリアランスの下限値とで規定
    されるクリアランス許容範囲を予め定めておき、 前記回転体を前記非回転体に仮装着し、該回転体を回転
    させた際の回転角度毎の負荷トルクを測定し、 測定された前記回転角度に応じた前記負荷トルクと前記
    相関関係とに基づいて、前記クリアランスを求め、 求めた前記クリアランスが前記クリアランス許容範囲に
    入っているか否かを判定し、該許容範囲に入っていない
    場合には、該クリアランスが該許容範囲に入るよう前記
    回転体の前記非回転体に対する相対的な装着位置をズラ
    し、該クリアランスが該許容範囲に入っている場合、又
    は該回転体の装着位置をズラした結果、該クリアランス
    が該許容範囲に入った場合、該回転体を該非回転体に完
    全に装着することを特徴とする回転式圧縮機の組立方
    法。
  2. 【請求項2】前記回転体は、回転軸と該回転軸に取付け
    られ該回転軸の回転で偏心回転するローラとを有し、前
    記非回転体は、内部で該ローラが偏心回転するローラ収
    納体と該ローラ収納体に固定され前記回転軸を回転可能
    に支持する軸受体とを有して構成される回転式圧縮機の
    組立方法において、 前記回転軸に取付けられた前記ローラを前記ローラ収納
    体内に装着し、前記軸受体を前記ローラ収納体に移動可
    能に取り付け、 前記回転軸を回転させて、該回転軸の回転により前記軸
    受体を自然に移動させて自己調芯させ、 その後、前記回転軸を再度回転させて前記負荷トルクを
    測定し、該負荷トルクから前記クリアランスを求め、該
    クリアランスが前記クリアランス許容範囲に入っていな
    い場合には、該クリアランスが該許容範囲に入るよう、
    前記軸受体を強制的に移動して強制調芯することを特徴
    とする請求項1記載の回転式圧縮機の組立方法。
  3. 【請求項3】前記負荷トルクを測定して得られる負荷ト
    ルク信号を、時間軸と周波数軸とから成る2相空間に複
    数の解像度別に分解し、 複数の解像度別に分解された各分解成分信号の強度か
    ら、前記時間軸上の特定分解成分存在区間(以下、時間
    窓とする。)及び前記周波数軸上の特定分解成分存在区
    間(以下、周波数窓とする。)を定め、 前記クリアランスのみを表す負荷トルク信号を作成する
    ために予め準備しておいた基準時間窓及び基準周波数窓
    と、先に定めた前記時間窓及び前記周波数窓とをそれぞ
    れ比較し、該時間窓及び該周波数窓がそれぞれ該基準時
    間窓及び該基準周波数窓より小さければ、該時間窓内及
    び該周波数窓内の前記分解成分信号を合成して負荷トル
    ク信号を作成し、 作成された前記負荷トルク信号から前記クリアランスを
    求めることを特徴とする請求項1又は2記載の回転式圧
    縮機の組立方法。
  4. 【請求項4】回転体が非回転体内で回転することで流体
    を圧縮する回転式圧縮機の組立装置において、 前記非回転体を前記回転体に対して相対的に移動させる
    組付位置調整手段と、 前記回転体を回転させる回転手段と、 前記回転手段で前記回転体を回転させているときの該回
    転体の回転角度を測定する回転角度測定手段と、 前記回転手段で前記回転体を回転させているときの回転
    負荷トルクを測定する負荷トルク測定手段と、 前記回転体が前記非回転体に装着された状態で該回転体
    を回転させた際の負荷トルクと、該回転体の外周面と該
    非回転体の内周面との間のクリアランスとの相関関係が
    予め記憶されており、前記負荷トルク測定手段により測
    定された前記回転角度に応じた前記負荷トルクと該相関
    関係とにより、該クリアランスを推定するクリアランス
    推定手段と、 前記流体の圧縮に必要な機密性を保つことを保証する前
    記クリアランスの上限値と、前記回転体が滑らかに回転
    することを保証する前記クリアランスの下限値とで規定
    されるクリアランス許容範囲が予め記憶されており、前
    記クリアランス推定手段により推定された前記クリアラ
    ンスが該許容範囲内であるか否かを判定するクリアラン
    ス判定手段と、 前記クリアランス判定手段による判定の結果、前記クリ
    アランス推定手段で推定された前記クリアランスが前記
    許容範囲内でないと判定されると、該クリアランスと該
    許容範囲の前記上限値又は前記下限値との差から、前記
    組付位置調整手段の動作駆動量を求め、該動作駆動量で
    動作するよう、該組付位置調整手段に指示する指示手段
    と、 を備えていることを特徴とする回転式圧縮機の組立装
    置。
  5. 【請求項5】回転軸と該回転軸に取付けられ該回転軸の
    回転で偏心回転するローラとを有して構成される回転
    体、及び、内部で該ローラが偏心回転するローラ収納体
    と該ローラ収納体に固定され前記回転軸を回転可能に支
    持する軸受体とを有して構成される非回転体を備え、 前記ローラが前記ローラ収納体内で偏心回転することに
    より流体を圧縮する回転式圧縮機の組立装置において、 前記軸受体を前記ローラ収納体に対して相対的に移動さ
    せる組付位置調整手段と、 前記回転体を回転させる回転手段と、 前記回転手段で前記回転体を回転させているときの該回
    転体の回転角度を測定する回転角度測定手段と、 前記回転手段で前記回転体を回転させているときの回転
    負荷トルクを測定する負荷トルク測定手段と、 前記回転体が前記非回転体に仮装着された状態で該回転
    体を回転させた際の負荷トルクと、前記ローラの外周面
    と前記ローラ収納体の内周面との間のクリアランスとの
    相関関係が予め記憶されており、前記負荷トルク測定手
    段により測定された前記回転角度に応じた前記負荷トル
    クと該相関関係とにより、該クリアランスを推定するク
    リアランス推定手段と、 前記流体の圧縮に必要な機密性を保つことを保証する前
    記クリアランスの上限値と、前記回転体が滑らかに回転
    することを保証する前記クリアランスの下限値とで規定
    されるクリアランス設定許容範囲が記憶されており、前
    記クリアランス推定手段により推定された前記クリアラ
    ンスが該許容範囲内であるか否かを判定するクリアラン
    ス判定手段と、 前記クリアランス判定手段により、前記クリアランス推
    定手段で推定された前記クリアランスが前記許容範囲内
    でないと判定されると、該クリアランスと該許容範囲の
    前記上限値又は前記下限値との差から、前記組付位置調
    整手段の動作駆動量を求め、該動作駆動量で動作するよ
    う、該組付位置調整手段に指示する指示手段と、 前記クリアランス判定手段により、前記クリアランス推
    定手段で推定された前記クリアランスが前記許容範囲内
    であると判定されると、又は前記軸受体の移動の結果、
    該クリアランスが該許容範囲に入ると、前記軸受体を前
    記ローラ収納体に完全に固定する軸受体固定手段と、 を備えていることを特徴とする回転式圧縮機の組立装
    置。
  6. 【請求項6】前記組付位置調整手段の動作駆動量を検出
    する動作駆動量検出手段を備え、 前記指示手段は、 前記クリアランス推定手段で推定された前記クリアラン
    スと前記クリアランス許容範囲の前記上限値又は前記下
    限値との差に、変換係数を掛けて前記動作駆動量を求め
    る駆動量演算部と、 前記組付位置調整手段の動作中において、前記動作駆動
    量検出手段により順次検出される前記動作駆動量の変化
    量と前記クリアランス推定手段で順次推定される前記ク
    リアランスの変化量とを用いて前記変換係数を校正する
    係数校正手段とを有していること、 を特徴とする請求項4又は5記載の回転式圧縮機の組立
    装置。
  7. 【請求項7】前記変換係数の値の許容範囲を記憶してお
    く係数値許容範囲記憶手段と、 前記係数校正手段により校正された前記変換係数の値が
    前記許容範囲外であれば、異常である旨を出力する警報
    手段と、 を備えていることを特徴とする請求項6記載の回転式圧
    縮機の組立装置。
  8. 【請求項8】前記組付位置調整手段は、 移動対象である前記非回転体を把持する把持機構と、 前記把持機構を移動させる移動機構と、 前記移動機構の動作で前記把持機構が移動する強制移動
    状態と、該移動機構が動作しているか否かにかかわらず
    前記把持機構が自由に移動できる自由移動可能状態とに
    状態変更する状態変更機構と、 を有していることを特徴とする請求項4、5、6又は7
    記載の回転式圧縮機の組立装置。
  9. 【請求項9】前記状態変更機構は、 印加される電圧の高低でその粘性が変化する電気粘性流
    体と、 前記電気粘性流体に電圧をかける電圧印加手段と、 を有していることを特徴とする請求項8記載の回転式圧
    縮機の組立装置。
  10. 【請求項10】前記組付位置調整手段は、 移動対象である前記非回転体にピストンの端部が接し
    て、該ピストンの移動により該非回転体を移動させる流
    体圧シリンダと、 前記ピストンを移動させるための前記流体圧シリンダ内
    部の流体圧力を調節する調圧手段と、 を有していることを特徴とする請求項4、5、6又は7
    記載の回転式圧縮機の組立装置。
  11. 【請求項11】前記負荷トルク測定手段から得られる負
    荷トルク信号を、時間軸と周波数軸とから成る2相空間
    に複数の解像度別に分解して、複数の分解成分信号を作
    成する信号分解手段と、 複数の解像度別に分解された各分解成分信号の強度か
    ら、前記時間軸上の特定分解成分存在区間(以下、時間
    窓とする。)及び前記周波数軸上の特定分解成分存在区
    間(以下、周波数窓とする。)を定める窓設定手段と、 前記クリアランスのみを表す負荷トルク信号を作成する
    ために予め準備しておいた基準時間窓及び基準周波数窓
    と、前記窓設定手段で定めた前記時間窓及び前記周波数
    窓とをそれぞれ比較し、該時間窓及び該周波数窓がそれ
    ぞれ該基準時間窓及び該基準周波数窓より小さければ、
    該時間窓内及び該周波数窓内の前記分解成分信号を抽出
    する成分抽出手段と、 成分抽出手段により抽出された各分解成分信号を合成し
    て負荷トルク信号を作成し、該負荷トルク信号を前記ク
    リアランス推定手段に出力する信号合成手段と、 を備えていることを特徴とする請求項4、5、6、7、
    8、9又は10記載の回転式圧縮機の組立装置。
  12. 【請求項12】回転体が非回転体内で回転することで流
    体を圧縮する回転式圧縮機の不良判定装置において、 前記回転体を回転させる回転手段と、 前記回転手段で前記回転体を回転させているときの回転
    負荷トルクを測定して負荷トルク信号を出力する負荷ト
    ルク測定手段と、 前記負荷トルク信号を時間軸と周波数軸とから成る2相
    空間に複数の解像度別に分解して、複数の分解成分信号
    を作成する信号分解手段と、 複数の解像度別に分解された各分解成分信号の強度か
    ら、前記時間軸上の特定分解成分存在区間(以下、時間
    窓とする。)及び前記周波数軸上の特定分解成分存在区
    間(以下、周波数窓とする。)を定める窓設定手段と、 複数の不良原因毎にそれぞれの不良原因のみを表す負荷
    トルク信号を作成するために予め準備しておいた基準時
    間窓及び基準周波数窓と、前記窓設定手段で定めた前記
    時間窓及び前記周波数窓とをそれぞれ比較し、不良原因
    毎の複数の基準時間窓及び基準周波数窓のうち、いずれ
    かの基準時間窓及び基準周波数窓より該時間窓及び該周
    波数窓が小さいものがあれば、その基準時間窓及び基準
    周波数窓に関する不良原因が存在すると判定する不良原
    因判定手段と、 前記窓設定手段で定めた前記時間窓内及び前記周波数窓
    内の前記分解成分信号を抽出する成分抽出手段と、 前記成分抽出手段により抽出された各分解成分信号を合
    成して負荷トルク信号を作成し、該負荷トルク信号のレ
    ベルから、前記不良原因判定手段で判定した不良原因の
    不良程度を求める不良程度推定手段と、 を備えていることを特徴とする回転式圧縮機の不良判定
    装置。
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