JPH07213804A - 液状物の脱気方法及び装置 - Google Patents

液状物の脱気方法及び装置

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JPH07213804A
JPH07213804A JP6027541A JP2754194A JPH07213804A JP H07213804 A JPH07213804 A JP H07213804A JP 6027541 A JP6027541 A JP 6027541A JP 2754194 A JP2754194 A JP 2754194A JP H07213804 A JPH07213804 A JP H07213804A
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JP
Japan
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liquid
liquid material
phase
degassing
porous membrane
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Application number
JP6027541A
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English (en)
Inventor
Kazuo Nakamura
和雄 中村
Yoshihiko Iwasaki
義彦 岩崎
Koichi Nagaike
光一 長池
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KIYOMOTO TEKKO KK
AGC Inc
Original Assignee
KIYOMOTO TEKKO KK
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
Application filed by KIYOMOTO TEKKO KK, Asahi Glass Co Ltd filed Critical KIYOMOTO TEKKO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液状物の溶存気体の脱気法及び装置の提供。 【構成】 平均細孔径が0.1〜25.0μmの微細孔
を備える多孔質性膜材15が用いられ、その一側面の側
に不活性ガスを圧入して陽圧とし、相対的に陰圧となる
他側面の側を流下する液状物の液相中に前記微細孔を介
して透過する前記不活性ガスにより微細気泡を生成さ
せ、該微細気泡の側に液相中の溶解ガスを気液平衡によ
る物質移動をさせることによって脱気する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液状物の脱気方法及び装
置に係り、さらに詳しくは、水等の液状物からなる液相
中の酸素等の溶解ガスを効果的に脱気することができる
液状物の脱気方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】水等の液状物中には、通常、酸素等の気
体が溶存しており、これらの溶存気体中、特に溶存酸素
については、例えば液状物を用いて食品を加工する際に
当該食品と反応し、時間の経過とともに脂質の酸化や過
酸化脂質の生成と蓄積のほか、ビタミン類の分解や消
失、さらには褐変など、保存食品にとっては好ましくな
い諸現象を引き起こす不具合があった。
【0003】このため、上記不都合を解消する手法とし
ては、大別すると加熱法のほか、減圧法、不活性ガス置
換法、酸化防止剤の使用という四種類の酸化防止法が従
来より提案されてきている。
【0004】ところで、上記酸化防止法中の不活性ガス
置換法については、不活性ガスと液状物とを接触させて
液相中の溶解ガスを気相中に分散させるようにした手法
であり、液状物を濡壁塔の薄膜を流下させてガスを分
散させる方法、充填塔におけるカラム等の充填物の表
面を液状物で濡らしながらガスを分散させる方法、気
泡を撹拌槽中の液状物に直接に吹き込み、もしくはエジ
ェクターを用いて吹き込むことでガスを分散させる方法
があり、上記減圧法のひとつには、中空糸膜モジュール
における多孔質中空糸の外側を真空状態にしてガスを分
散させる方法がある。
【0005】このうち、の濡壁塔方式やの充填塔方
式については、気液の接触面積を大きくとる必要がある
ために、装置が大型化してしまう不都合があり、の撹
拌方式もしくはエジェクター方式については、形成され
る気泡が比較的大きいが故に液状物中での気泡の滞留時
間が短かかったり、気液接触面積が小さくなるため、脱
気効率が劣るという不都合があった。
【0006】一方、減圧法のひとつである上記中空糸膜
モジュール方式については、多数本の中空糸をセット
し、その外側を真空状態にすることで中空糸内外に分圧
差を形成し、この分圧差を駆動力として中空糸内を流下
する液状物から溶存気体成分を除去するものであるた
め、装置を小型化しながらも気液接触面積を大きくとる
ことができ、この点での濡壁塔方式やの充填塔方式
に比較して優れたものとなっており、さらには、効率的
に脱気処理することができる点での撹拌方式もしくは
エジェクター方式に比較して優れたものとなっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、減圧法のひ
とつである上記中空糸膜モジュール方式によっても、小
型化した装置を用いて効率的に溶存気体成分を液状物中
から除去することはできる。
【0008】しかし、上記従来手法は、真空減圧処理の
ため沸点が下がり、5〜35°C程度の液温下での脱気
処理に限定される不都合があった。
【0009】しかも、使用される中空糸の内径は、15
0〜200μm程度しかないため、固形成分を含むスラ
リー状の液状物を流下させた際に目詰まりを起こすほ
か、粘度の高い液状物を流下させることができないな
ど、液状物の性質と種類によっては操作性が悪くなるな
どの不具合もあった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術にみ
られた上記課題に鑑みてなされたものであり、そのう
ち、請求項1に記載の液状物の脱気方法の構成上の特徴
は、平均細孔径が0.1〜25.0μmの範囲内にあっ
てその肉厚方向へと通じる多数の微細孔を備える無機質
組成又は有機質組成、もしくはこれらの複合組成からな
る多孔質性膜材が用いられ、該多孔質性膜材の一側面の
側に不活性ガスを圧入して陽圧とし、相対的に陰圧とな
る他側面の側を流下する液状物の液相中に前記微細孔を
介して透過する前記不活性ガスにより微細気泡を生成さ
せ、該微細気泡の側に液相中の溶解ガスを気液平衡によ
る物質移動をさせることによって脱気することにある。
【0011】なお、請求項1における前記多孔質性膜材
は、成形したホウケイ酸ガラスを熱処理によりSiO2
に富んだ酸に溶けにくい第1相と、SiO2 が比較的少
なく酸に溶けやすい第2相とに分相させ、酸処理、さら
に必要に応じてアルカリ処理により第2相を溶出させて
形成された、肉厚方向へと通じる多数の微細孔を有し、
その平均細孔径が0.1〜25.0μmの範囲内にある
SiO2 を主体とする骨格からなる分相法多孔質ガラス
膜材を用いて形成したものを用いるのが好ましく、ま
た、請求項1又は請求項2に記載の発明において、脱気
されるべき前記液状物は水性液状物もしくは有機溶剤性
液状物とし、前記不活性ガスは窒素ガスとすることが望
ましい。
【0012】一方、請求項4に記載の液体の脱気装置の
構成上の特徴は、液状物が貯留される貯留槽と、液状物
が圧送される液状物送入路と、該液状物送入路から供給
される液状物を脱気処理する脱気処理手段と、該脱気処
理手段を経た処理後の液状物を送出する処理済液状物送
出路とを少なくとも備え、前記脱気処理手段は、平均細
孔径が0.1〜25.0μmの範囲内にあってその肉厚
方向へと通じる多数の微細孔を備える無機質組成又は有
機質組成、もしくはこれらの複合組成からなる多孔質性
膜材と、該多孔質性膜材の一側面の側に不活性ガスを圧
入して形成される陽圧空間部と、他側面の側に形成され
る相対的な陰圧空間部とを備え、該陰圧空間部の上流側
を液状物送入路に、下流側を処理済液状物送出路に連結
させて流路を形成したことにある。
【0013】なお、請求項4に記載の発明装置における
前記多孔質性膜材は、成形したホウケイ酸ガラスを熱処
理によりSiO2 に富んだ酸に溶けにくい第1相と、S
iO2 が比較的少なく酸に溶けやすい第2相とに分相さ
せ、酸処理、さらに必要に応じてアルカリ処理により第
2相を溶出させて形成された、肉厚方向へと通じる多数
の微細孔を有し、その平均細孔径が0.1〜25.0μ
mの範囲内にあるSiO2 を主体とする骨格からなる分
相法多孔質ガラス膜材を用いて形成したものを用いるの
が好ましい。
【0014】また、請求項4又は請求項5に記載の発明
装置において、液状物が貯留される貯留槽には、前記処
理済液状物送出路の下流側を連結することで液状物送入
路との間に循環流路を形成するのが望ましく、さらに
は、請求項4,5,6のいずれかに記載の発明装置にお
ける脱気されるべき前記液状物は水性液状物もしくは有
機溶剤性液状物とし、前記不活性ガスは窒素ガスとする
ことが望ましい。
【0015】
【作用】このため、請求項1に記載の発明方法によれ
ば、供給される不活性ガスにより多孔質性膜材の一側面
の側が陽圧となっているなかで、相対的に陰圧となる多
孔質性膜材の他側面の側を液状物が流下することになる
ので、液状物の液相中には、前記微細孔を介して透過す
る前記不活性ガスを送入して微細気泡を生成させること
ができ、このため、該微細気泡の側に液相中の溶解ガス
を気液平衡による物質移動をさせることによって脱気す
るができる。
【0016】なお、請求項1に記載の発明における前記
多孔質性膜材として請求項2に記載の無機質組成からな
る分相法多孔質ガラス材を用いて形成されたものを用い
る場合には、水性液状物のみならず有機溶剤性液状物に
も適用して脱気することができる。
【0017】また、請求項4に記載の発明装置によれ
ば、液状物送入路と処理済液状物送出路との間の流路中
に配置される脱気処理手段は、多孔質性膜材と、該多孔
質性膜材の一側面の側に不活性ガスが圧入されて形成さ
れる陽圧空間部と、多孔質性膜材の他側面の側に形成さ
れる相対的な陰圧空間部とを備えているので、該陰圧空
間部を液状物が流下する際、その液相中に前記微細孔を
介して透過する不活性ガスを送入して微細気泡を生成さ
せることができ、このため、該微細気泡の側に液相中の
溶解ガスを気液平衡による物質移動をさせることによっ
て脱気した後、処理済液状物送出路を介して脱気後の処
理済液状物を回収することができる。
【0018】なお、請求項4に記載の発明装置における
脱気処理手段が備える前記多孔質性膜材として請求項5
に記載の分相法多孔質ガラス材により形成されているも
のを用いる場合には、水性液状物のみならず有機溶剤性
液状物にも適用して脱気することができる。また、請求
項4又は請求項5に記載の発明装置において、液状物が
貯留される貯留槽に前記処理済液状物送出路の下流側を
連結して液状物送入路との間に循環流路を形成してある
場合には、処理済液状物を繰り返し循環させることで脱
気の程度をより高めて回収することができる。
【0019】
【実施例】以下、図面を参酌して本発明の実施例を詳説
する。
【0020】図1は、請求項4に記載の本発明装置の一
実施例を示す構成図であり、その全体は、液状物12が
貯留される貯留槽11と、該貯留槽11中の液状物12
が圧送される液状物送入路13と、該液状物送入路13
から供給される液状物12を脱気処理する脱気処理手段
14と、該脱気処理手段14を経た処理済液状物12a
を送出する処理済液状物送出路31とを少なくとも備え
て構成されている。
【0021】この場合、前記貯留槽11から脱気処理手
段14へと至る液状物12の送入は、液状物送入路13
中に供給ポンプ29と圧力調整弁30とを介在させるこ
とで流量を調節制御しながら圧送することで行われる。
【0022】また、前記脱気処理手段14は、平均細孔
径が0.1〜25.0μmの範囲内にあってその肉厚方
向へと通じる多数の微細孔を備える無機質組成又は有機
質組成、もしくはこれらの複合組成からなる多孔質性膜
材15と、該多孔質性膜材15の一側面15aの側に窒
素ガス等の不活性ガスが圧入されて形成される陽圧空間
部20と、他側面15bの側に形成される相対的な陰圧
空間部21とで形成されており、したがって、陽圧空間
部20と陰圧空間部21との間には差圧が生じることに
なる。
【0023】この場合、前記脱気処理手段14が備える
陽圧空間部20と陰圧空間部21とは、気密性が保持さ
れる容器体22内に前記多孔質性膜材15を内蔵させる
ことで区画形成される一側面15aの側を陽圧空間部2
0とし、他側面15bの側を陰圧空間部21とすること
で形成されている。
【0024】これを図示の実施例に基づきより具体的に
説明すれば、前記脱気処理手段14は、前記多孔質性膜
材15を図2の(イ),(ロ)に示すように肉厚tが
0.2〜2.0mm程度で外径aが3〜15mm程度の
筒状に形成し、このようにして形成された1本以上の適
宜本数の多孔質性膜材15を容器体22内にその上流側
を液状物送入路13に、下流側を処理済液状物送出路3
1にそれぞれ接続させて配置し、容器体22と筒状の多
孔質性膜材15の一側面15aとの間には、圧力調整弁
23と減圧弁24とで供給圧力の調節を自在に制御され
た窒素ガス等の不活性ガスを不活性ガスボンベ25の側
から送気路26を介して圧入することで密閉された陽圧
空間部20を形成し、相対的に陰圧となる液状物12の
流路としての前記多孔質性膜材15の他側面15bに位
置する中空部16を陰圧空間部21とすることでその全
体が構成されている。
【0025】この場合における筒状の前記多孔質性膜材
15としては、3〜15mm前後の外径のもとで表出さ
れる一側面15aを有し、この一側面15aの側から肉
厚(t)0.2〜2.0mm前後を隔てた他側面15b
の側に画成される中空部16を備えた分相法多孔質ガラ
ス膜材を用いて形成されたものを好適に用いることがで
きる。
【0026】図3の(イ),(ロ)は、多孔質性膜材1
5を分相法多孔質ガラス膜材により形成する場合の微細
孔の形成過程を拡大して示す断面図であり、(イ)に示
すように成形したホウケイ酸ガラスを熱処理によりSi
2 に富んだ酸に溶けにくい第1相17と、SiO2
比較的少なく酸に溶けやすい第2相18とに分相させ、
酸処理、さらに必要に応じてアルカリ処理により第2相
18を溶出させて形成された、肉厚方向へと通じる多数
の微細孔19を有し、その平均細孔径が0.1〜25.
0μmの範囲内にあるSiO2 を主体とする骨格のもと
で(ロ)に示す分相法多孔質ガラス膜材が形成されるこ
とになる。
【0027】また、このような構成からなる前記脱気処
理手段14において流路を形成している陰圧空間部21
の下流側は、圧力調整弁32を介在させた処理済液状物
送出路31の始端側に連結され、該処理済液状物送出路
31の終端側に配置された回収槽35内に処理済液状物
12aが回収されるようになっている。なお、図中の符
号27は、前記送気路26に配置されている圧力計を、
28は脱気処理手段14における容器体22内に溜るド
レンを排出制御するための排出弁を、33は処理済液状
物送出路31に配置されている圧力計をそれぞれ示す。
【0028】図4は、請求項6に記載の本発明装置の一
実施例を示す構成図であり、液状物12が貯留される貯
留槽11には前記処理済液状物送出路31の終端側を導
入することで処理済液状物12aを回収し、再び液状物
送出路13の側に送出することができる循環流路を形成
している点を除き、他の構成は請求項4に記載のものと
同一となっている。
【0029】また、本発明装置において脱気されるべき
前記液状物12としては、水道水や井戸水などの水性液
状物のみならず適宜の有機溶剤性液状物をも必要に応じ
て用いることができ、さらには、前記脱気処理手段14
において用いられる不活性ガスとしては、窒素ガス等の
不溶解性もしくは難溶解性のものを必要に応じ適宜用い
ることができる。
【0030】なお、本発明装置において前記多孔質性膜
材15は、図示例のような筒状に形成されているものの
ほか、容器体22内にて一側面15aの側に陽圧空間部
20を、他側面15bの側に陰圧空間部21を形成し得
るものであれば板状等、必要により適宜の形状のものを
用いることができる。
【0031】次に、本発明方法の実施例を上記構成から
なる本発明装置に適用してその作用と共に説明する。
【0032】すなわち、請求項1に記載の本発明方法に
は、平均細孔径が0.1〜25.0μmの範囲内にあっ
てその肉厚方向へと通じる多数の微細孔を備える無機質
組成又は有機質組成、もしくはこれらの複合組成からな
る多孔質性膜材15が用いられ、該多孔質性膜材15の
一側面15aの側に不活性ガスを圧入して陽圧とし、相
対的に陰圧となる他側面15bの側を流下する液状物1
2の液相中に前記微細孔を介して透過する前記不活性ガ
スにより微細気泡を生成させ、該微細気泡の側に液相中
の溶解ガスを気液平衡による物質移動をさせることによ
って脱気することで行われる。
【0033】このため、液状物12の液相中に生成され
る微細気泡は、液状物12自体が常に流下して移動して
いることからその成長が抑制され、したがって、液状物
12との間に確保される気液接触面積を大きなものとす
ることができるので、気液接触面での溶解ガスの物質移
動(気相への拡散)効果を大幅に向上させることができ
る。
【0034】しかも、本発明方法は真空減圧処理手法を
用いるものではないので、低温から高温(例えば水道水
の場合には0〜100°C)に至る広い温度領域のもと
で脱気処理することができ、特に液状物12の温度が沸
点に近い高温のものであっても好適に実施することがで
き、種々の液状物12との関係で適用領域の拡大を図る
ことができる。
【0035】また、前記多孔質性膜材15として外径a
が10mm程度の筒状に形成された図2の(イ),
(ロ)に示すようにな形状のものを用いる場合には、液
状物12が固形成分を含むスラリー状のものであった
り、高い粘度を保持しているものであっても円滑に脱気
処理を行うことができる。
【0036】さらに、前記多孔質性膜材15として図3
の(ロ)に示す分相法多孔質ガラス膜材等の無機質組成
からなる多孔質性膜材15を用いている場合には、液状
物12がバクテリア等の微生物を含むものや、有機溶剤
などであっても耐久性を保持させて継続的に使用するこ
とができる。
【0037】したがって、本発明装置に適用して実施さ
れる本発明方法は、脱気処理手段14における前記多孔
質性膜材15の一側面15aの側から肉厚(t)0.2
〜2.0mm前後を隔てた他側面15bの側へと通じる
多数の微細孔19がその平均細孔径が0.1〜25.0
μmの範囲内にあるSiO2 を主体とする骨格からなる
ものであるとしても、多孔質性膜材15の微細孔19よ
りも小さい微細孔を備えるフィルターを介して清浄化し
てある圧縮ガスを用いる限り、メンテナンスフリーに近
い状況のもとで脱気処理することができることになる。
【0038】次に、本発明方法が奏する効果を確認する
ために行った比較実験の結果について説明する。なお、
以下に示す各実験においては、筒状の多孔質性膜材15
として請求項5に記載の分相法多孔質ガラス膜材(図2
及び図3参照)により形成したものを使用している。
【0039】本発明方法を実施する際に用いた装置構成
は、既に述べた図1(実施例1)と図4(実施例2)と
に示すもののほか、図1と図4とに示す装置構成を折衷
した図5(実施例3)に示すものが用いられており、比
較例の装置構成は、実施例2と同じ貯留槽11と液状物
12と筒状の多孔質性膜材15と窒素ガスとが用いられ
ており、図8に示すように貯留槽11内に液状物12を
入れ、該液状物12中に配置した多孔質性膜材15の中
空部16内に窒素ガスを圧入して行う大気圧下での水中
散気方式により行った。
【0040】なお、上記各装置を用いて試験を行った際
の条件を次に示す。 1.多孔質性膜材のサイズ 10mm(外径a)×23
0mm(長さ)×1本 2.多孔質性膜材の細径孔 0.5, 1.0, 1
0.0(μm)の3種類 3.原 水 イオン交換水 4.水 温 8〜17(°C) 5.水 圧 力 20, 100, 200
(Kpa) 6.水 流 量 1.6〜2.4(リットル
/min) 7.ガ ス 圧 力 70〜490(Kpa) 8.ガ ス 流 量 1.6〜16(リットル/
min) 9.原液溶存酸素濃度 8.6〜9.8(ppm) 10.分 析 方 法 JIS K−0102
32
【0041】
【表1】
【0042】上記表1は、図1に示す構成の装置により
実験を行った実施例1についての多孔質性膜材15の細
径孔別の脱酸素効果を示すものであり、その際の実験条
件を次に示す。なお、水と窒素ガスとの比は、1:1,
1:2の2種類について行っている。 水圧力 100(Kpa) 水流量 2.0(リットル/min) ガス流量 2.0, 4.0(リットル/min)
【0043】その結果、多孔質性膜材の細径孔の如何を
問わず、いずれの場合においても優れた脱酸素効果のあ
ることが確認され、特に、水と窒素ガスとの比を1:2
にして陽圧空間部20の圧力を高めた際により顕著な脱
酸素効果が認められた。このことからも、本発明方法及
び装置によれば、流下する液状物としての原水中に微細
孔を介して窒素ガスを圧入して多数の微細気泡を生成さ
せることができるので、広い気液接触面積を確保して該
微細気泡の側に原水中の溶存酸素を気液平衡による物質
移動をさせることによって効率的に脱気処理できること
が明らかとなる。
【0044】
【表2】
【0045】上記表2は、図1に示す構成の装置により
実験を行った実施例1についての供給水圧力別の脱酸素
効果を示すものであり、その際の水流量とガス流量との
比は1:1であり、細径孔が1.0μmの多孔質性膜材
を用いて行った際の実験結果を示すものである。
【0046】
【表3】
【0047】上記表3は、上記供給水圧力別の脱酸素効
果を同じ条件のもとで細径孔が10.0μmの多孔質性
膜材を用いて行った際の実験結果を示すものである。
【0048】上記表2と表3とによれば、多孔質性膜材
は、細径孔が1.0μmの方が10.0μmのものに比
べ脱気効率が高いことが判明し、また、水圧力を高くし
た方が高い脱気効率の得られることが判明する。このこ
とは、細径孔の孔径が小さいほど多数の微細気泡を生成
させることができ、しかも、水圧力が高いほど分圧によ
る溶解ガスの微細気泡への物質移動が大きくなることを
窺わせる。
【0049】一方、図6は、図1に示す構成の装置によ
り実験を行った実施例1についての水対窒素ガス流量比
による脱酸素効果を示すものである。なお、この場合に
おける実験条件は次のとおりである。 多孔質性膜材の細径孔 0.5(μm) 水 圧 力 100(Kpa) 水 流 量 2.0(リットル/min)
【0050】その結果、水に対する窒素ガスの容量比が
高くなるほど脱酸素効果が高くなることが確認され、し
かも、水中の溶存酸素濃度が0.5ppm程度にするた
めには、水に対する窒素ガスの容量比を5倍程度にすれ
ばよいことが判明した。
【0051】
【表4】
【0052】上記表4は、図5に示す構成の装置(実施
例2)により脱気処理手段14を1度通過させた処理済
液状物(処理水)12aを繰り返して脱気処理手段14
を通過させた場合の脱酸素効果を示すものであり、その
際の実験条件を次に示す。 多孔質性膜材の細径孔 0.5(μm) 水 圧 力 100(Kpa) 水 流 量 2.0(リットル/min) ガ ス 流 量 2.0(リットル/min)
【0053】その結果、処理済液状物12aとしての処
理水は、脱気処理手段14を通過させる回数を増やすに
つれ脱酸素効果を高めることのできることが確認され
た。
【0054】さらに、図7は、図4に示す構成の装置
(実施例2:「加圧曝気方式」という)と、図8に示す
構成の装置(比較例:「水中散気方式」という)とを用
いた場合における脱酸素効果を比較したグラフ図であ
る。なお、この場合における実験条件は次のとおりであ
る。 多孔質性膜材の細径孔 0.5(μm) 水 量 10(リットル) 水 圧 力 100(Kpa) 水 流 量 2.0(リットル/min) ガ ス 流 量 2.3(リットル/min)
【0055】その結果、例えば原水中の溶存酸素濃度を
0.5ppm程度にまで脱気しようとする場合、加圧曝
気方式によれば20分程度で達成することができるのに
対し、水中散気方式によれば30分経過しても1.0p
pm程度までにしか到達せず、この結果からも加圧曝気
方式が優れた脱酸素効果を奏するものであることが確認
された。
【0056】以上に述べた実験結果からみても、本発明
方法及び装置によれば、水性液状物もしくは有機溶剤性
液状物に対し優れた脱気効果の得られることが判明す
る。
【0057】なお、本発明において多孔質性膜材15を
分相法多孔質ガラス膜材により形成した場合における微
細孔の平均細孔径は、所謂水銀圧入法により得られたデ
ータを微分した際のピーク値に対応して定まる孔径によ
り求めたものである。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように本発明中、請求項1に
記載の発明方法によれば、供給される不活性ガスにより
多孔質性膜材の一側面の側が陽圧となっているなかで、
相対的に陰圧となる多孔質性膜材の他側面の側を液状物
が流下することになるので、液状物の液相中には、前記
微細孔を介して透過する前記不活性ガスを送入して微細
気泡を生成させることができ、このため、該微細気泡の
側に液相中の溶解ガスを気液平衡による物質移動をさせ
ることによって液状物の液相中の気体成分を効果的に脱
気することができる。したがって、得られる処理済液状
物に対しては、酸化作用を抑制した優れた品質を保持さ
せることができるので、各種の成分を含む液状物に対し
広範に適用することができる。
【0059】なお、請求項1に記載の発明における前記
多孔質性膜材として請求項2に記載の分相法多孔質ガラ
ス材等の無機質組成からなる多孔質性膜材を用いて形成
されたものを用いる場合には、水性液状物のみならず有
機溶剤性液状物にも適用できる汎用性を付与して効果的
に脱気することができる。
【0060】また、請求項4に記載の発明装置によれ
ば、液状物送入路と処理済液状物送出路との間の流路中
に配置される脱気処理手段は、多孔質性膜材と、該多孔
質性膜材の一側面の側に不活性ガスが圧入されて形成さ
れる陽圧空間部と、多孔質性膜材の他側面の側に形成さ
れる相対的な陰圧空間部とを備えているので、該陰圧空
間部を液状物が流下する際、その液相中に前記微細孔を
介して透過する前記不活性ガスを送入して微細気泡を生
成させることができ、このため、該微細気泡の側に液相
中の溶解ガスを気液平衡による物質移動をさせることに
よって液状物の液相中の気体成分を脱気した後、処理済
液状物送出路を介して脱気後の処理済液状物を回収する
ことができる。
【0061】なお、請求項4に記載の発明装置における
脱気処理手段が備える前記多孔質性膜材として請求項5
に記載の分相法多孔質ガラス材等の無機質組成からなる
多孔質性膜材を用いて形成されているものを用いる場合
には、水性液状物のみならず有機溶剤性液状物にも適用
して脱気することができる。また、請求項4又は請求項
5に記載の発明装置において、液状物が貯留される貯留
槽に前記処理済液状物送出路の下流側を連結して液状物
送入路との間に循環流路を形成してある場合には、液状
物を繰り返し循環させることで脱気の程度をより高めて
回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項4に記載の本発明装置の実施例を示す構
成図である。
【図2】本発明装置の脱気処理手段における多孔質性膜
材を筒状に形成した場合の形状を示す説明図である。
【図3】本発明装置の脱気処理手段における多孔質性膜
材を分相法多孔質ガラス膜材により形成する場合の微細
孔の形成過程を拡大して示す断面図であり、(イ)は分
相状態を、(ロ)はSiO2 が比較的少なく酸に溶けや
すい第2相を溶出させて微細孔を形成した状態をそれぞ
れ示す。
【図4】請求項6に記載の本発明装置の実施例を示す構
成図である。
【図5】本発明装置の効果を確認するための実験に用い
た装置の一例を示す構成図である。
【図6】図1に示す本発明装置を用いて水対窒素ガスの
流量比を異ならせて行った実験により得られた脱酸素効
果の状況を示すグラフ図である。
【図7】図1に示す本発明装置(循環方式)と図8に示
す装置(水中散気方式)とを用いて行った実験により得
られた脱酸素効果の状況を示すグラフ図である。
【図8】図1に示す本発明装置(循環方式)との比較実
験を行うために用いた装置(水中散気方式)を示す構成
図である。
【符号の説明】
11 貯留槽 12 液状物 12a 処理済液状物 13 液状物送入路 14 脱気処理手段 15 多孔質性膜材 15a 一側面 15b 他側面 16 中空部 17 第1相 18 第2相 19 微細孔 20 陽圧空間部 21 陰圧空間部 22 容器体 23 圧力調整弁 24 減圧弁 25 不活性ガスボンベ 26 送気路 27 圧力計 28 排出弁 29 供給ポンプ 30 圧力調整弁 31 処理済液状物送出路 32 圧力調整弁 33 圧力計 35 回収槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長池 光一 宮崎県延岡市土々呂町6丁目1633番地 清 本鐵工株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均細孔径が0.1〜25.0μmの範
    囲内にあってその肉厚方向へと通じる多数の微細孔を備
    える無機質組成又は有機質組成、もしくはこれらの複合
    組成からなる多孔質性膜材が用いられ、該多孔質性膜材
    の一側面の側に不活性ガスを圧入して陽圧とし、相対的
    に陰圧となる他側面の側を流下する液状物の液相中に前
    記微細孔を介して透過する前記不活性ガスにより微細気
    泡を生成させ、該微細気泡の側に液相中の溶解ガスを気
    液平衡による物質移動をさせることによって脱気するこ
    とを特徴とする液状物の脱気方法。
  2. 【請求項2】 前記多孔質性膜材は、成形したホウケイ
    酸ガラスを熱処理によりSiO2 に富んだ酸に溶けにく
    い第1相と、SiO2 が比較的少なく酸に溶けやすい第
    2相とに分相させ、酸処理、さらに必要に応じてアルカ
    リ処理により第2相を溶出させて形成された、肉厚方向
    へと通じる多数の微細孔を有し、その平均細孔径が0.
    1〜25.0μmの範囲内にあるSiO2 を主体とする
    骨格からなる分相法多孔質ガラス膜材を用いて形成され
    たものを用いることを特徴とする請求項1に記載の液状
    物の脱気方法。
  3. 【請求項3】 脱気されるべき前記液状物が水性液状物
    もしくは有機溶剤性液状物であり、前記不活性ガスが窒
    素ガスであることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の液状物の脱気方法。
  4. 【請求項4】 液状物が貯留される貯留槽と、液状物が
    圧送される液状物送入路と、該液状物送入路から供給さ
    れる液状物を脱気処理する脱気処理手段と、該脱気処理
    手段を経た処理後の液状物を送出する処理済液状物送出
    路とを少なくとも備え、前記脱気処理手段は、平均細孔
    径が0.1〜25.0μmの範囲内にあってその肉厚方
    向へと通じる多数の微細孔を備える無機質組成又は有機
    質組成、もしくはこれらの複合組成からなる多孔質性膜
    材と、該多孔質性膜材の一側面の側に不活性ガスを圧入
    して形成される陽圧空間部と、他側面の側に形成される
    相対的な陰圧空間部とを備え、該陰圧空間部の上流側を
    液状物送入路に、下流側を処理済液状物送出路に連結さ
    せて流路を形成したことを特徴とする液状物の脱気装
    置。
  5. 【請求項5】 前記多孔質性膜材は、成形したホウケイ
    酸ガラスを熱処理によりSiO2 に富んだ酸に溶けにく
    い第1相と、SiO2 が比較的少なく酸に溶けやすい第
    2相とに分相させ、酸処理、さらに必要に応じてアルカ
    リ処理よりにより第2相を溶出させて形成された、肉厚
    方向へと通じる多数の微細孔を有し、その平均細孔径が
    0.1〜25.0μmの範囲内にあるSiO2 を主体と
    する骨格からなる分相法多孔質ガラス膜材を用いて形成
    されたものであることを特徴とする請求項4に記載の液
    状物の脱気装置。
  6. 【請求項6】 液状物が貯留される貯留槽には前記処理
    済液状物送出路の下流側を連結することで液状物送入路
    との間に循環流路を形成したことを特徴とする請求項3
    に記載の液状物の脱気装置。
  7. 【請求項7】 脱気されるべき前記液状物が水性液状物
    もしくは有機溶剤性液状物であり、前記不活性ガスが窒
    素ガスであることを特徴とする請求項4,5,6のいず
    れかに記載の液状物の脱気方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011173428A (ja) * 2004-02-19 2011-09-08 Fujifilm Dimatix Inc プリントヘッド
JP2015500892A (ja) * 2011-10-03 2015-01-08 エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッドAir Products And Chemicals Incorporated 第3級アミン組成物及びその製造方法

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US8635774B2 (en) 2004-02-19 2014-01-28 Fujifilm Dimatix, Inc. Methods of making a printhead
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