JPH07211347A - 電解液再調整装置付電解液流通型電池 - Google Patents

電解液再調整装置付電解液流通型電池

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JPH07211347A
JPH07211347A JP6000556A JP55694A JPH07211347A JP H07211347 A JPH07211347 A JP H07211347A JP 6000556 A JP6000556 A JP 6000556A JP 55694 A JP55694 A JP 55694A JP H07211347 A JPH07211347 A JP H07211347A
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redox flow
positive electrode
electrolytic solution
electrode
electrolyte
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Toshio Shigematsu
敏夫 重松
Takahiro Kumamoto
貴浩 隈元
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安全で、かつ電解液流通型電池部の電池容量
を維持し、電解液流通型電池部の充放電特性を維持する
ように改良された電解液再調整装置付電解液流通型電池
を提供する。 【構成】 隔膜7により分離された第1の電解槽22と
第2の電解槽23と、第1の電極24と、第2の電極2
5とを備える、電解液再調整装置2と、正極電解液を貯
蔵する正極液タンク5と、負極電解液を貯蔵する負極液
タンク6と、第1の電解槽22と正極液タンク5との間
で、正極電解液を流通循環するための配管系27、2
8、29とを備え、第2の電解槽23内には、硫酸を含
む水溶液が用いられ、正極電解液として、硫酸を含む水
溶液が用いられ、負極電解液として、硫酸を含む水溶液
が用いられ、正極電解液を、第1および第2の電極2
4、25を用いて、電気化学的に、再調整し、正極液タ
ンク5に戻す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解液再調整装置付電
解液流通型電池に関し、特に、安全で、かつ電解液流通
型電池部の電池容量を維持し、電解液流通型電池部の充
放電特性を維持するように改良された電解液再調整装置
付電解液流通型電池に関する。
【0002】
【従来の技術】夜間に電力を貯蔵し、昼間の電力需要の
ピーク時にこれを放出するという、いわゆる、ロードレ
ベリングを目的とする種々の電力貯蔵法が提案されてい
る。
【0003】たとえば、そのようなものとして、揚水発
電が既に実施されている。しかしながら、揚水発電に
は、設備が消費地から遠く隔たった所に設置されてお
り、送変電損失を伴ったり、また、環境面における立地
条件等の制約がある。それゆえに、揚水発電に代わる電
力貯蔵用電池として、種々の新型電池が開発されてい
る。
【0004】このような新型電池としては、たとえば、
レドックスフロー型電池等の電解液流通型電池が特に注
目されている。
【0005】図7は、従来のレドックスフロー型電池の
一具体例を概略的に示す構成図である。
【0006】図7を参照して、このレドックスフロー型
電池201は、電池反応セル204、正極液タンク20
5、および、負極液タンク206を含む。電池反応セル
204内は、たとえば、イオン交換膜等からなる隔膜2
07により仕切られており、一方側が正極セル204
a、他方側が負極セル204bを構成する。正極セル2
04a内には、正極208が収容されており、負極セル
204b内には、負極209が収容される。
【0007】正極セル204aと正極液タンク205と
は、正極電解液を正極液タンク205から正極セル20
4aに供給する正極液供給用管路210と、正極電解液
を正極セル204aから正極液タンク205に回収する
正極液回収用管路211により連結される。
【0008】また、正極液供給用管路210には、正極
電解液流通循環手段として、ポンプ212が設けられて
おり、正極セル204aと正極液タンク205との間に
おいて、正極電解液を流通循環することができる。
【0009】他方、負極セル204bと負極液タンク2
06とは、負極電解液を負極液タンク206から負極セ
ル204bに供給する負極液供給用管路213と、負極
電解液を負極セル204bから負極液タンク206に回
収する負極液回収用管路214により連結される。
【0010】また、負極液供給用管路213には、負極
電解液流通循環手段として、ポンプ215が設けられて
おり、負極セル204bと負極液タンク206との間に
おいて、負極電解液を流通循環することができる。
【0011】正極液タンク205内には、正極電解液が
蓄えられており、また、負極液タンク206内には、負
極電解液が蓄えられる。
【0012】正極電解液としては、たとえば、鉄イオン
のような原子価の変化するイオンの水溶液が用いられ、
また、負極電解液としては、たとえば、クロムイオンの
ような原子価の変化するイオンの水溶液が用いられる。
【0013】正極電解液としては、充放電効率特性の点
から、正極活物質Fe3+/Fe2+を含む塩酸水溶液が用
いられ、負極電解液としては、充放電効率特性の点か
ら、負極活物質Cr2+/Cr3+を含む塩酸水溶液が用い
られる。
【0014】なお、このような電解液を用いたレドック
スフロー型電池は、鉄(Fe)−クロム(Cr)系レド
ックスフロー型電池と呼ばれている。
【0015】このような電解液を用いたレドックスフロ
ー型電池201を用いて、充電時においては、負極液タ
ンク206に貯蔵されたCr3+イオンを含む塩酸水溶液
が、ポンプ215により、負極セル204bに送られ、
負極209において、外部回路から電子を受け取り、C
2+イオンに還元され、負極液タンク206に回収され
る。
【0016】他方、正極液タンク205に蓄えられたF
2+イオンを含む塩酸水溶液は、ポンプ212により、
正極セル204aに送られ、正極208において、外部
回路に電子を放出して、Fe3+イオンに酸化され、正極
液タンク205に回収される。
【0017】また、放電時においては、負極液タンク2
06に貯蔵されたCr2+イオンを含む塩酸水溶液が、ポ
ンプ215により、負極セル204bに送られ、負極2
09において、外部回路に電子を放出して、Cr3+イオ
ンに酸化され、負極液タンク206に回収される。
【0018】他方、正極液タンク205に貯蔵されたF
3+イオンを含む塩酸水溶液は、ポンプ212により、
正極セル204aに送られ、正極208において、外部
回路から電子を受け取り、Fe2+イオンに還元され、正
極液タンク205に回収される。
【0019】このような、レドックスフロー型電池20
1においては、正極208および負極209における充
放電反応は、下記の化学式により示される。
【0020】
【化1】
【0021】上述の充放電反応により、約1Vの起電力
が得られる。ところで、このレドックスフロー型電池2
01には、通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返
すと、充放電操作を繰返すに従って、レドックスフロー
型電池201の電池容量が、次第に低下してくるという
問題があった。
【0022】この原因として、充電末期には、負極20
9において水素ガスが発生し、それによって、上記酸化
還元ペア(Cr3+/Fe2+またはCr2+/Fe3+)の絶
対量が減少し、充放電操作を繰返すうちに、レドックス
フロー型電池201の電池容量が低下する。のみなら
ず、レドックスフロー型電池201の内部抵抗が増大
し、充放電効率も低下する。
【0023】上述の問題を解決する技術として、本発明
者らは、特開昭63−304580号公報において、電
解液再調整装置付レドックスフロー型電池を開示してい
る。
【0024】図8は、特開昭63−304580号公報
に記載される電解液再調整装置付レドックスフロー型電
池を概略的に示す構成図である。
【0025】図8を参照して、この電解液再調整装置付
レドックスフロー型電池301は、電解液再調整装置3
02と、レドックスフロー型電池部303とを備える。
【0026】なお、レドックスフロー型電池部303の
構成は、図7に示すレドックスフロー型電池201と同
様であるので、相当する部材については、相当する参照
符号を付して、その説明を省略する。
【0027】他方、電解液再調整装置302は、隔膜2
21に分離された第1の電解槽222と第2の電解槽2
23とを備える。第1の電解槽222内には、第1の電
極224が収容されており、第2の電解槽223内に
は、第2の電極225が収容される。
【0028】また、この電解液再調整装置302は、正
極電解液を電気化学的に再調整するための液(以下、正
極電解液再調整液という)を貯蔵する正極電解液再調整
液槽226を備える。
【0029】正極電解液再調整液槽226には、気液分
離器238が接続されており、気液分離器238には、
後述するように、電解液再調整装置302を構成する第
2の電解槽223内において発生し、正極電解液再調整
液槽226内に回収された塩素ガス(Cl2 )を吸収す
る塩素ガス吸収装置239が接続される。
【0030】第1の電解槽222と正極液タンク205
とは、正極電解液を正極液タンク205から第1の電解
槽222に供給する正極液再調整用供給用管路227
と、正極電解液を第1の電解槽222から正極液タンク
205に回収する正極液再調整用回収用管路228によ
り連結される。
【0031】また、正極液再調整用供給用管路227に
は、正極電解液流通循環手段として、ポンプ229が設
けられており、第1の電解槽222と正極液タンク20
5との間において、正極電解液を流通循環することがで
きる。
【0032】他方、第2の電解槽223と正極電解液再
調整液槽226とは、正極電解液再調整液を正極電解液
再調整液槽226から第2の電解槽223に供給する正
極電解液再調整液供給用管路230と、正極電解液再調
整液を第2の電解槽223から正極電解液再調整液槽2
26に回収する正極電解液再調整液回収用管路231に
より連結される。
【0033】また、正極電解液再調整液供給用管路23
0には、正極電解液再調整液流通循環手段として、ポン
プ232が設けられており、第2の電解槽226と正極
電解液再調整液槽226との間において、正極電解液再
調整液を流通循環することができる。
【0034】正極電解液再調整液として、塩酸(HC
l)水溶液が用いられている。また、第1の電極224
と第2の電極225とには、外部電源(直流電源)23
3が接続された回路234が接続される。
【0035】第1の電極224は、外部電源(直流電
源)233の負極側に接続され、第2の電極225は、
外部電源(直流電源)233の正極側に接続される。
【0036】また、回路234には、スイッチ手段23
5が設けられており、スイッチ手段235をONの状態
にすると第1の電極224と第2の電極225との間に
電流が流れ、また、スイッチ手段235をOFFの状態
にすると、第1の電極224と第2の電極225との間
に電流が流れないようにすることができるようになって
いる。
【0037】次に、この電解液再調整装置302を用い
て、レドックスフロー型電池部303の電解液を再調整
する方法について説明する。
【0038】まず、レドックスフロー型電池部303に
おいて、充放電操作が繰返されるに従って、上記酸化還
元ペアのうち、Fe3+イオンが過剰となり、上述したよ
うに、レドックスフロー型電池部303の電池容量が低
下してくる。
【0039】このような状態において、Fe3+イオンが
過剰になった正極電解液を、正極液タンク205から第
1の電解槽222内に供給する。次に、塩酸(HCl)
水溶液を第2の電解槽223内に供給する。
【0040】次に、第1の電極224と第2の電極22
5との間に、電流を通電する。より詳しくは、スイッチ
手段235をONの状態にする。
【0041】すると、第1の電解槽222では、第1の
電極224が負極となり、第1の電極224上で、次式
に示す電気化学反応が起こり、Fe3+イオンが、Fe2+
イオンに変えられる。
【0042】
【化2】
【0043】その後、正極電解液は、正極液再調整用回
収用管路228を通って、正極液タンク205内に戻さ
れる。こうして、レドックスフロー型電池部303の電
解液の酸化還元ペアのバランスは正常となり、レドック
スフロー型電池部303の電池容量は、ほぼ、初期容量
値に回復する。
【0044】他方、第2の電解槽223内では、第2の
電極225が正極となり、第2の電極225上で、次式
に示す電気化学反応が起こる。
【0045】
【化3】
【0046】上記した化3の式より明らかなように、第
2の電極225上では、塩素ガス(Cl2 )または酸素
ガス(O2 )が発生する。
【0047】その後、塩素ガス(Cl2 )、酸素ガス
(O2 )を含む塩酸水溶液は、正極電解液再調整液回収
用管路231を通って、正極電解液再調整液槽226内
に戻される。
【0048】この電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池301では、安全性の点から、上記した塩素ガス
吸収装置239が必要となる。
【0049】すなわち、特開昭63−304580号公
報に記載される電解液再調整装置付レドックスフロー型
電池301では、電解液再調整装置302の第2の電解
槽223から有毒な塩素ガス(Cl2 )が発生するた
め、基本的に安全性に欠けるという問題や、実用化の際
には、塩素ガス吸収装置239を取り付ける必要がある
という問題や、また、電解液再調整装置302を構成す
る部材について、塩素ガス(Cl2 )に対する耐腐食性
が要求されるといった問題や、塩素ガス(Cl2)の漏
れ防止のため、気密性が要求されるといった問題があっ
た。
【0050】かかる問題を解決する技術として、本発明
者らは、特開平1−112672号公報において、電解
液再調整装置部において、塩素ガス(Cl2 )が発生す
ることのない電解液再調整装置付レドックスフロー型電
池を開示している。
【0051】図9は、特開平1−112672号公報に
記載される電解液再調整装置付レドックスフロー型電池
を概略的に示す構成図である。
【0052】図9を参照して、この電解液再調整装置付
レドックスフロー型電池311は、電解液再調整装置3
12と、レドックスフロー型電池部313とを備える。
【0053】なお、レドックスフロー型電池部313の
構成は、図8に示す電解液再調整装置付レドックスフロ
ー型電池301のレドックスフロー型電池部303と同
様であるので、相当する部材については、相当する参照
符号を付して、その説明を省略する。
【0054】他方、電解液再調整装置312の構成は、
以下の点を除けば、図8に示す電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池301の電解液再調整装置302と
同様であるので、相当する部材については、相当する参
照符号を付して、その説明を省略する。
【0055】この電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池311は、電解液再調整装置312の正極電解液
再調整液として、硫酸(H2 SO4 )水溶液が用いられ
ている。
【0056】次に、電解液再調整装置312を用いて、
レドックスフロー型電池部313の電解液を再調整する
方法について説明する。
【0057】なお、レドックスフロー型電池部313の
電解液を再調整する方法は、図8に示す電解液再調整装
置付レドックスフロー型電池301の電解液再調整装置
302を用いて、レドックスフロー型電池部303の電
解液を再調整する方法と同様であるので、ここでは、電
解液再調整装置312を構成する第1の電極224と第
2の電極225上で起こる電気化学反応についてのみ説
明する。
【0058】この電解液再調整装置312では、電解液
再調整装置312を構成する第1の電解槽222内の第
1の電極224上で、次式に示す電気化学反応が起こ
り、Fe3+イオンが、Fe2+イオンに変えられる。
【0059】
【化4】
【0060】他方、電解液再調整装置312を構成する
第2の電解槽223内の第2の電極225上では、次式
に示す反応が生じる。
【0061】
【化5】
【0062】上記した化5に示す化学式から明らかなよ
うに、この電解液再調整装置312では、正極電解液再
調整液として、硫酸(H2 SO4 )水溶液を用いた結
果、第2の電解槽223内において、酸素ガス(O2
が発生する。
【0063】酸素ガス(O2 )は、無毒である。したが
って、この電解液再調整装置付レドックスフロー型電池
311は、塩素ガス吸収装置が不要になるという長所
や、電解液再調整装置312の気密性が不要になるとい
った長所や、電解液再調整装置312を構成する部材と
して、特殊な部材を用いる必要がなく、経済的にも優れ
るなどの種々の長所を有している。
【0064】一方、近年、正極活物質として、鉄イオン
(Fe2+、Fe3+)の代わりに、バナジウムイオン(V
4+、V5+)を用い、負極活物質として、クロムイオン
(Cr 3+、Cr2+)の代わりに、バナジウムイオン(V
3+、V2+)を用いた、バナジウム(V)系レドックスフ
ロー型電池が注目されている。
【0065】図10は、従来のバナジウム(V)系レド
ックスフロー型電池を概略的に示す構成図である。
【0066】図10を参照して、このバナジウム(V)
系レドックスフロー型電池401の構成は、上記したよ
うに、正極活物質として、バナジウムイオン(V4+、V
5+)が用いられ、負極活物質として、バナジウムイオン
(V3+、V2+)が用いられている点以外は、基本的に
は、図7に示すレドックスフロー型電池201と同様の
構成であるので、相当する部材については、相当する参
照符号を付して、その説明を省略する。
【0067】このバナジウム(V)系レドックスフロー
型電池401では、充放電特性の点から、正極電解液と
して、正極活物質V5+/V4+を含む硫酸水溶液が用いら
れ、負極電解液として、負極活物質V2+/V3+を含む硫
酸水溶液が用いられている。
【0068】このバナジウム(V)系レドックスフロー
型電池401の、正極208および負極209における
充放電反応は、下記の化学式により示される。
【0069】
【化6】
【0070】バナジウム(V)系レドックスフロー型電
池401は、図7に示す鉄(Fe)−クロム(Cr)系
レドックスフロー型電池201に比べ、起電力が約1.
4倍高く、また、化6より明らかなように、活物質とし
て1種類の金属イオン、すなわちバナジウム(V)イオ
ンを用いている点から、電解液中の活物質濃度を向上さ
せることができるなどの長所を有しており、電力貯蔵シ
ステムのコンパクト化の点から、大いに注目されてい
る。
【0071】
【発明が解決しようとする課題】一方、特開平1−11
2672号公報に記載される電解液再調整装置付レドッ
クスフロー型電池311は、電解液再調整装置312を
用い、必要に応じ、正極電解液を再調整しながら、充放
電操作を行なうことができるため、図7に示す従来のレ
ドックスフロー型電池201に比べ、充放電操作の繰返
しに伴う電池容量の低下が防止できるものの、正極電解
液を再調整しながら、充放電操作を行なうにつれ、不可
逆的に電池容量が低下したり、また、不可逆的に充放電
特性が変化(劣化)したりするという問題があった。
【0072】また、従来のバナジウム(V)系レドック
スフロー型電池401には、通常の運転方法に従って、
充放電操作を繰返すにつれて、電池容量が低下するとい
う問題があり、バナジウム(V)系レドックスフロー型
電池においても、充放電操作を繰返し行なっても、電池
容量を維持することのできる技術が長年望まれていた。
【0073】また、バナジウム(V)系レドックスフロ
ー型電池の場合、通常の運転方法に従って、充放電操作
を繰返すと、充電末期において、負極209において水
素ガスが発生したり、正極208において酸素ガスが発
生したりするという現象がある。
【0074】そして、バナジウム(V)系レドックスフ
ロー型電池の場合には、充電末期において、正極208
において酸素ガスが発生する頻度が、負極209におい
て水素ガスが発生する頻度に比べ、多いため、鉄(F
e)−クロム(Cr)系レドックスフロー型電池用の電
解液再調整装置をそのまま転用しても、電解液を再調整
することができない場合があるという問題があった。
【0075】本発明は、以上のような問題を解決するた
めになされたものであり、安全に、かつ、充放電操作を
繰返し行なっても電池容量の低下しにくい電解液再調整
装置付電解液流通型電池、および、そのような電解液再
調整装置付電解液流通型電池であって、充放電効率を一
層向上させることができるように改良された電解液再調
整装置付電解液流通型電池を提供することを目的とす
る。
【0076】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、長年、よ
り安全で、かつ充放電操作を繰返し行なっても電池容量
が低下しにくい電解液流通型電池、および、そのような
電解液流通型電池であって、さらに充放電効率が向上す
るように改良された電解液流通型電池について研究を続
けてきた。
【0077】また、本発明者らは、特開平1−1126
72号公報に記載される電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池311を用い、電解液再調整装置312を
用いて、正極電解液を再調整しながら充放電操作を行な
った場合、不可逆的にレドックスフロー型電池部313
において、電池容量が低下したり、また、不可逆的に充
放電特性が変化(劣化)する原因について研究を続けて
きた。
【0078】その結果、特開平1−112672号公報
に記載される電解液再調整装置付レドックスフロー型電
池311では、電解液再調整装置312を用いて、正極
電解液を再調整する際に、正極電解液再調整液として用
いている、硫酸(H2 SO4)水溶液のSO4 2-イオン
が、隔膜221を通じて、正極電解液に混入し、正極電
解液の組成および負極電解液の組成の各々が、塩酸(H
Cl)水溶液から、Cl- イオンとSO4 2-イオンとを
含む酸性水溶液に変化することが、レドックスフロー型
電池部313の電池容量を不可逆的に低下したり、充放
電特性を不可逆的に変化(劣化)する原因になっている
ことを知見するに至った。
【0079】また、本発明者らは、従来のバナジウム
(V)系レドックスフロー型電池401を用い、充放電
操作を繰返し行なった場合、バナジウム(V)系レドッ
クスフロー型電池401の電池容量が、次第に低下する
原因について研究を続けてきた。
【0080】その結果、バナジウム(V)系レドックス
フロー型電池401では、充電末期に、負極209にお
いて、水素ガス(H2 )が発生し、それによって、上記
酸化還元ペア(V3+/V4+またはV2+/V5+)の絶対量
が減少し、その結果、充放電操作を繰返すにつれ、バナ
ジウム(V)系レドックスフロー型電池401の電池容
量が低下することを知見するに至った。
【0081】また、バナジウム(V)系レドックスフロ
ー型電池401では、充電末期に、正極208におい
て、酸素ガス(O2 )が発生し、それによって、上記酸
化還元ペア(V3+/V4+またはV2+/V5+)の絶対量が
減少し、その結果、充放電操作を繰返すにつれ、バナジ
ウム(V)系レドックスフロー型電池401の電池容量
が低下することを知見するに至った。
【0082】本発明者らは、上記した原因を取り除く技
術を種々考察研究した結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0083】すなわち、第1の発明に従う電解液再調整
装置付電解液流通型電池は、隔膜により分離された第1
の電解槽と第2の電解槽と、第1の電解槽内に収容され
た第1の電極と、第2の電解槽内に収容された第2の電
極とを備える、電解液再調整装置と、高原子価状態の第
1の金属イオンと低原子価状態の第1の金属イオンとを
含む電解液を貯蔵する正極液タンクと、低原子価状態の
第2の金属イオンと高原子価状態の第2の金属イオンと
を含む電解液を貯蔵する負極液タンクと、第1の電解槽
と正極液タンクとの間で、高原子価状態の第1の金属イ
オンと低原子価状態の第1の金属イオンとを含む電解液
を流通循環するための配管系とを備え、第2の電解槽内
には、硫酸を含む水溶液が用いられ、高原子価状態の第
1の金属イオンと低原子価状態の第1の金属イオンとを
含む電解液として、硫酸を含む水溶液が用いられ、低原
子価状態の第2の金属イオンと高原子価状態の第2の金
属イオンとを含む電解液として、硫酸を含む水溶液が用
いられ、第1の電解槽内に取り出された高原子価状態の
第1の金属イオンを、第1および第2の電極を用いて、
電気化学的に、低原子価状態の第1の金属イオンに変え
て、正極液タンクに戻す、および/または、第1の電解
槽内に取出された低原子価状態の第1の金属イオンを、
第1および第2の電極を用いて、電気化学的に、高原子
価状態の第1の金属イオンに変えて、正極液タンクに戻
す。
【0084】また、第2の発明に従う電解液再調整装置
付電解液流通型電池は、隔膜により分離された第1の電
解槽と第2の電解槽と、第1の電解槽内に収容された第
1の電極と、第2の電解槽内に収容された第2の電極と
を備える、電解液再調整装置と、高原子価状態の第1の
金属イオンと低原子価状態の第1の金属イオンとを含む
電解液を貯蔵する正極液タンクと、低原子価状態の第2
の金属イオンと高原子価状態の第2の金属イオンとを含
む電解液を貯蔵する負極液タンクと、第1の電解槽と負
極液タンクとの間で、低原子価状態の第2の金属イオン
と高原子価状態の第2の金属イオンとを含む電解液を流
通循環するための配管系とを備え、第2の電解槽内に
は、硫酸を含む水溶液が用いられ、高原子価状態の第1
の金属イオンと低原子価状態の第1の金属イオンとを含
む電解液として、硫酸を含む水溶液が用いられ、低原子
価状態の第2の金属イオンと高原子価状態の第2の金属
イオンとを含む電解液として、硫酸を含む水溶液が用い
られ、第1の電解槽内に取り出された低原子価状態の第
2の金属イオンを、第1および第2の電極を用いて、電
気化学的に、高原子価状態の第2の金属イオンに変え
て、負極液タンクに戻す、および/または、第1の電解
槽内に取出された高原子価状態の第2の金属イオンを、
第1および第2の電極を用いて、電気化学的に、低原子
価状態の第2の金属イオンに変えて、負極液タンクに戻
す。
【0085】第1または第2の発明に従う電解液再調整
装置付電解液流通型電池は、好ましくは、高原子価状態
の第1の金属イオンは、バナジウム5価イオン(V5+
であり、低原子価状態の第1の金属イオンは、バナジウ
ム4価イオン(V4+)であり、低原子価状態の第2の金
属イオンは、バナジウム2価イオン(V2+)であり、高
原子価状態の第2の金属イオンは、バナジウム3価イオ
ン(V3+)であることを特徴とする。
【0086】また、第2の電解槽内に用いられる硫酸を
含む水溶液は、好ましくは、さらに、バナジウム(V)
イオンを含むことを特徴とする。
【0087】
【作用】第1の発明に従う電解液再調整装置付電解液流
通型電池では、第2の電解槽内に、硫酸を含む水溶液が
用いられ、高原子価状態の第1の金属イオンと低原子価
状態の第1の金属イオンとを含む電解液として、硫酸を
含む水溶液が用いられ、低原子価状態の第2の金属イオ
ンと高原子価状態の第2の金属イオンとを含む電解液と
して、硫酸を含む水溶液が用いられている。
【0088】したがって、第1の電解槽内に取り出され
た高原子価状態の第1の金属イオンを、第1および第2
の電極を用いて、電気化学的に、低原子価状態の第1の
金属イオンに変えて、正極液タンクに戻す際に、第2の
電解槽内の硫酸を含む水溶液のSO4 2-イオンが、電解
液再調整装置を構成する隔膜を通じて、高原子価状態の
第1の金属イオンと低原子価状態の第1の金属イオンと
を含む電解液に混入しても、高原子価状態の第1の金属
イオンと低原子価状態の第1の金属イオンとを含む電解
液、および、低原子価状態の第2の金属イオンと高原子
価状態の第2の金属イオンとを含む電解液が、ともに、
硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液で構成されているた
め、高原子価状態の第1の金属イオンと低原子価状態の
第1の金属イオンとを含む電解液の成分、および、低原
子価状態の第2の金属イオンと高原子価状態の第2の金
属イオンとを含む電解液の成分は、ともに変化しない。
【0089】このため、第1の発明に従う電解液再調整
装置付電解液流通型電池では、必要に応じて、第1の電
解槽内に取り出された高原子価状態の第1の金属イオン
を、第1および第2の電極を用いて、電気化学的に、低
原子価状態の第1の金属イオンに変えて、正極液タンク
に戻しながら、充放電操作を繰返し行なっても、電池容
量が不可逆的に低下したり、充放電特性が不可逆的に変
化(劣化)したりしない。
【0090】また、同様に、第1の発明に従う電解液再
調整装置付電解液流通型電池では、必要に応じて、第1
の電解槽内に取出された低原子価状態の第1の金属イオ
ンを、第1および第2の電極を用いて、電気化学的に、
高原子価状態の第1の金属イオンに変えて、正極液タン
クに戻しながら、充放電操作を繰返し行なっても、電池
容量が不可逆的に低下したり、充放電特性が不可逆的に
変化(劣化)したりしない。
【0091】また、第2の発明に従う電解液再調整装置
付電解液流通型電池では、第2の電解槽内に、硫酸を含
む水溶液が用いられ、高原子価状態の第1の金属イオン
と低原子価状態の第1の金属イオンとを含む電解液とし
て、硫酸を含む水溶液が用いられ、低原子価状態の第2
の金属イオンと高原子価状態の第2の金属イオンとを含
む電解液として、硫酸を含む水溶液が用いられている。
【0092】したがって、第1の電解槽内に取り出され
た低原子価状態の第2の金属イオンを、第1および第2
の電極を用いて、電気化学的に、高原子価状態の第2の
金属イオンに変えて、負極液タンクに戻す際に、第2の
電解槽内の硫酸を含む水溶液中のSO4 2-イオンが、電
解液再調整装置を構成する隔膜を通じて、低原子価状態
の第2の金属イオンと高原子価状態の第2の金属イオン
とを含む電解液に混入しても、低原子価状態の第2の金
属イオンと高原子価状態の第2の金属イオンとを含む電
解液、および、高原子価状態の第1の金属イオンと低原
子価状態の第1の金属イオンとを含む電解液が、とも
に、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液で構成されている
ため、低原子価状態の第2の金属イオンと高原子価状態
の第2の金属イオンとを含む電解液の成分、および、高
原子価状態の第1の金属イオンおよび低原子価状態の第
1の金属イオンとを含む電解液の成分は、ともに、変化
しない。
【0093】このため、第2の発明に従う電解液再調整
装置付電解液流通型電池では、必要に応じて、第1の電
解槽内に取り出された低原子価状態の第2の金属イオン
を、第1および第2の電極を用いて、高原子価状態の第
2の金属イオンに変えて、負極液タンクに戻しながら、
充放電操作を繰返し行なっても、電池容量が不可逆的に
低下したり、充放電特性が不可逆的に変化(劣化)した
りしない。
【0094】また、同様に、第2の発明に従う電解液再
調整装置付電解液流通型電池では、必要に応じて、第1
の電解槽内に取出された高原子価状態の第2の金属イオ
ンを、第1および第2の電極を用いて、電気化学的に、
低原子価状態の第2の金属イオンに変えて、負極液タン
クに戻しながら、充放電操作を繰返し行なっても、電池
容量が不可逆的に低下したり、充放電特性が不可逆的に
変化(劣化)したりしない。
【0095】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明は、
これらに限定されるものではない。
【0096】実施例1 図1は、本発明に従う一実施例としての電解液再調整装
置付レドックスフロー型電池を概略的に示す構成図であ
る。
【0097】図1を参照して、この電解液再調整装置付
レドックスフロー型電池1は、電解液再調整装置2と、
レドックスフロー型電池部3とを備える。
【0098】レドックスフロー型電池部3の構成は、図
10に示すバナジウム(V)系レドックスフロー型電池
401と同様の構成である。
【0099】すなわち、レドックスフロー型電池部3
は、電池反応セル4、正極液タンク5、および、負極液
タンク6を含む。
【0100】電池反応セル4内は、たとえば、イオン交
換膜等からなる隔膜7により仕切られており、一方側が
正極セル4a、他方側が負極セル4bを構成する。正極
セル4a内には、正極8が収容されており、負極セル4
b内には、負極9が収容される。
【0101】正極セル4aと正極液タンク5とは、正極
電解液を正極液タンク5から正極セル4aに供給する正
極液供給用管路10と、正極電解液を正極セル4aから
正極液タンク5に回収する正極液回収用管路11により
連結される。
【0102】また、正極液供給用管路10には、正極電
解液流通循環手段として、ポンプ12が設けられてお
り、正極セル4aと正極液タンク5との間において、正
極電解液を流通循環することができる。
【0103】他方、負極セル4bと負極液タンク6と
は、負極電解液を負極液タンク6から負極セル4bに供
給する負極液供給用管路13と、負極電解液を負極セル
4bから負極液タンク6に回収する負極液回収用管路1
4により連結される。
【0104】また、負極液供給用管路13には、負極電
解液流通循環手段として、ポンプ15が設けられてお
り、負極セル4bと負極液タンク6との間において、負
極電解液を流通循環することができる。
【0105】他方、電解液再調整装置2は、隔膜21に
より分離された第1の電解槽22と第2の電解槽23と
を備える。
【0106】第1の電解槽22内には、第1の電極24
が収容されており、第2の電解槽23内には、第2の電
極25が収容される。
【0107】また、この電解液再調整装置2は、正極電
解液を電気化学的に再調整するための液(以下、正極電
解液再調整液という)を貯蔵する正極電解液再調整液槽
26を備える。
【0108】第1の電解槽22と正極液タンク5とは、
正極電解液を正極液タンク5から第1の電解槽22に供
給する正極液再調整用供給用管路27と、正極電解液を
第1の電解槽22から正極液タンク5に回収する正極液
再調整用回収用管路28により連結される。
【0109】また、正極液再調整用供給用管路27に
は、正極電解液流通循環手段として、ポンプ29が設け
られており、第1の電解槽22と正極液タンク5との間
において、正極電解液を流通循環することができる。
【0110】他方、第2の電解槽23と正極電解液再調
整液槽26とは、正極電解液再調整液を正極電解液再調
整液槽26から第2の電解槽23に供給する正極電解液
再調整液供給用管路30と、正極電解液再調整液を第2
の電解槽23から正極電解液再調整液槽26に回収する
正極電解液再調整液回収用管路31により連結される。
【0111】また、正極電解液再調整液供給用管路30
には、正極電解液再調整液流通循環手段として、ポンプ
32が設けられており、第2の電解槽23と正極電解液
再調整液槽26との間において、正極電解液再調整液を
流通循環することができるようになっている。
【0112】また、第1の電極24と第2の電極25と
には、外部電源(直流電源)33を有する回路34が、
スイッチ手段35を介して、接続されるようになってい
る。
【0113】回路34は、外部電源(直流電源)33の
正極側に接続される正極側端子P33と、外部電源(直流
電源)33の負極側に接続される2つの負極側端子N
33a および負極側端子N33b を含む。
【0114】また、スイッチ手段35は、2個のスイッ
チ素子SW1 、SW2 を含む。スイッチ素子SW1 は、
第1の電極24に接続され、スイッチ素子SW2 は、第
2の電極25に接続される。
【0115】スイッチ素子SW1 は、あるときは、正極
側端子P33に電気的に接続され、またあるときには、負
極側端子N33a に電気的に接続され、またあるときに
は、正極側端子P33と負極側端子N33a との双方に電気
的に非接続の状態にされるようになっている。
【0116】また、スイッチ素子SW2 は、あるとき
は、負極側端子N33b に電気的に接続され、またあると
きには、正極側端子P33に電気的に接続され、またある
ときには、負極側端子N33b と正極側端子P33との双方
に電気的に非接続の状態にされるようになっている。
【0117】第1の電極24を正極とし、第2の電極2
5を負極として、第1の電極24と第2の電極25との
間に通電を行なう(電圧を印加)する際には、スイッチ
素子SW1 と正極側端子P33とが電気的に接続状態にさ
れ、スイッチ素子SW2 と負極側端子N33b とが電気的
に接続状態にされる。
【0118】また、第1の電極24を負極とし、第2の
電極25を正極として、第1の電極24と第2の電極2
5との間に通電を行なう(電圧を印加)する際には、ス
イッチ素子SW1 と負極側端子N33a とが電気的に接続
状態にされ、スイッチ素子SW2 と正極側端子P33とが
電気的に接続状態にされる。
【0119】正極電解液再調整液として、硫酸(H2
4 )水溶液が用いられる。また、この電解液再調整装
置付レドックスフロー型電池1では、高原子価状態の第
1の金属イオンと低原子価状態の第1の金属イオンとを
含む電解液(正極電解液)として、硫酸(H2 SO4
を含む水溶液が用いられ、低原子価状態の第2の金属イ
オンと高原子価状態の第2の金属イオンとを含む電解液
(負極電解液)として、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶
液が用いられる。
【0120】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池1では、高原子価状態の第1の金属イオン
は、バナジウム5価イオン(V5+)であり、低原子価状
態の第1の金属イオンは、バナジウム4価イオン
(V4+)であり、低原子価状態の第2の金属イオンは、
バナジウム2価イオン(V2+)であり、高原子価状態の
第2の金属イオンは、バナジウム3価イオン(V3+)で
ある。
【0121】次に、この電解液再調整装置2を用いて、
レドックスフロー型電池部3の電解液を再調整する方法
について説明する。
【0122】レドックスフロー型電池部3を用いて、通
常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し行なうと、
充電末期において、負極9において、水素ガス(H2
が発生したり、および/または、正極8において、酸素
ガス(O2 )が発生したりする。
【0123】また、このレドックスフロー型電池部3で
は、負極電解液が、空気により自然的に酸化(いわゆる
空気酸化)されたりする。
【0124】より詳しくは、負極電解液中のバナジウム
2価イオン(V2+)は、比較的不安定であるため、空気
中の酸素(O2 )により酸化されやすく、下記の化学式
により示されるように、容易に、バナジウム3価イオン
(V3+)に変化したりする。
【0125】
【化7】
【0126】レドックスフロー型電池部3において、上
記したような現象が生じると、電池反応に関与する上記
した酸化還元ペア(V3+/V4+またはV2+/V5+)の絶
対量が減少し、充放電操作を繰返すうちに、レドックス
フロー型電池部3の電池容量が低下してくる。のみなら
ず、電池の内部抵抗が増大し、充放電効率も低下しがち
となる。
【0127】以下、説明を容易とするため、レドックス
フロー型電池部3を用いて、通常の運転方法に従って、
充放電操作を繰返し行なった場合に、充電末期におい
て、負極9において、水素ガス(H2 )が発生する場合
の電解液の再調整方法と、充電末期において、正極8に
おいて、酸素ガス(O2 )が発生する場合の電解液の再
調整方法とに、場合分けをして、説明する。
【0128】なお、負極電解液が空気酸化された場合の
電解液の再調整方法は、上記した充電末期において、負
極9において、水素ガス(H2 )が発生する場合の電解
液の再調整方法と同様であるので、充電末期において、
負極9において水素ガス(H 2 )が発生する場合の電解
液の再調整方法の説明と併せて説明する。
【0129】(1) レドックスフロー型電池部3を用
いて、通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し行
なった場合に、充電末期において、負極9において、水
素ガス(H2 )が発生する場合の電解液の再調整方法お
よび負極電解液が、空気酸化された場合の電解液の再調
整方法。
【0130】これらの場合は、いずれも、正極電解液で
は、上記酸化還元ペアのうち、正極活物質のバナジウム
5価イオン(V5+)が過剰となり、上述したように、レ
ドックスフロー型電池部3の電池容量が低下してくる。
【0131】逆に言えば、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム4価イオン(V
4+)が不足し、上述したように、レドックスフロー型電
池部3の電池容量が低下してくる。
【0132】このような状態において、バナジウム5価
イオン(V5+)が過剰になった正極電解液を、正極液タ
ンク5から第1の電解槽22内に供給する。
【0133】次に、硫酸(H2 SO4 )水溶液を、第2
の電解槽23内に供給する。次に、スイッチ素子SW2
と正極側端子P33とを電気的に接続状態にし、スイッチ
素子SW1 と負極側端子N33a とを電気的に接続状態に
する。
【0134】この操作によれば、第1の電極24が負極
となり、第2の電極25が正極となる。
【0135】そして、第1の電解槽22では、第1の電
極24上で、次式に示す電気化学反応が起こり、バナジ
ウム5価イオン(V5+)が、バナジウム4価イオン(V
4+)に変えられる。
【0136】
【化8】
【0137】その後、正極電解液は、正極液再調整用回
収用管路28を通って、正極液タンク5内に戻される。
【0138】こうして、レドックスフロー型電池部3の
電解液の酸化還元ペアのバランスは正常となり、レドッ
クスフロー型電池部3の電池容量は、ほぼ、初期容量値
に回復する。
【0139】他方、第2の電解槽23では、第2の電極
25上で、次式に示す反応が起こり、酸素ガス(O2
が発生する。
【0140】
【化9】
【0141】その後、酸素ガス(O2 )を含む正極電解
液再調整液、すなわち、硫酸(H2SO4 )水溶液は、
正極電解液再調整液回収用管路31を通って、正極電解
液再調整液槽26内に戻される。
【0142】硫酸(H2 SO4 )水溶液は、正極電解液
再調整液槽26、気液分離器38および第2の電解槽2
3間を、ポンプ32により流通循環させられているの
で、酸素ガス(O2 )は、気液分離器38により分離さ
れる。
【0143】酸素ガス(O2 )は、無毒である。したが
って、そのまま大気に放出できるため、この電解液再調
整装置付レドックスフロー型電池1では、特開昭63−
304580号公報に記載される、従来の電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池101に設けられてい
た、塩素ガス吸収装置239のような特殊な装置は不要
であり、また、酸素ガス(O2 )は、人体にとっても安
全であるため、電解液再調整装置2の気密化が不要であ
り、取扱い操作が簡便であり、電解液再調整装置を構成
する部材についても、特殊な材料を用いる必要がなく、
経済性に優れている等、特開平1−112672号公報
記載の従来の電解液再調整装置付レドックスフロー型電
池141と、同様の効果を奏する。
【0144】この電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池1は、さらに、以下の効果を奏する。
【0145】図1および図9を参照して、この電解液再
調整装置付レドックスフロー型電池1では、第2の電解
槽23内に、硫酸(H2 SO4 )水溶液が用いられ、バ
ナジウム5価イオン(V5+)とバナジウム4価イオン
(V4+)とを含む電解液(正極電解液)として、硫酸
(H2 SO4 )を含む水溶液が用いられ、バナジウム2
価イオン(V2+)とバナジウム3価イオン(V3+)とを
含む電解液(負極電解液)として、硫酸(H2 SO4
を含む水溶液が用いられている点において、第2の電解
槽223内に、硫酸(H2 SO4 )水溶液が用いられ、
鉄3価イオン(Fe 3+)と鉄2価イオン(Fe2+)とを
含む電解液(正極電解液)として、塩酸(HCl)を含
む水溶液が用いられ、クロム2価イオン(Cr2+)とク
ロム3価イオン(Cr3+)とを含む電解液(負極電解
液)として、塩酸(HCl)を含む水溶液が用いられ
る、図9に示す、従来の電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池311と異なっている。
【0146】したがって、第1の電解槽22内に取出さ
れた、バナジウム5価イオン(V5+)を、第1の電極2
4および第2の電極25とを用いて、電気化学的に、バ
ナジウム4価イオン(V4+)に変える際に、第2の電解
槽23内のSO4 2-が、電解液再調整装置2を構成する
隔膜を通って、正極電解液中に混入しても、この電解液
再調整装置付レドックスフロー型電池1では、正極電解
液と負極電解液とが、ともに、硫酸(H2 SO4 )を含
む水溶液で構成されている結果、正極電解液と負極電解
液の組成が変化しない。
【0147】したがって、この電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池1では、必要に応じて、電解液再調
整装置2を用いて、第1の電解槽22内に取出されたバ
ナジウム5価イオン(V5+)を、第1の電極24および
第2の電極25とを用いて、電気化学的に、バナジウム
4価イオン(V4+)に変えて、正極液タンク5に戻しな
がら、充放電操作を繰返し行なっても、レドックスフロ
ー型電池部3の電池容量が、不可逆的に低下したり、充
放電特性が、不可逆的に変化(劣化)したりしない。
【0148】(2) レドックスフロー型電池部3を用
いて、通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し行
なった場合、充電末期において、正極8において、酸素
ガス(O2 )が発生する場合の電解液の再調整方法。
【0149】この場合は、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム5価イオン(V
5+)が不足し、上述したように、レドックスフロー型電
池部3の電池容量が低下してくる。
【0150】逆に言えば、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム4価イオン(V
4+)が過剰となり、上述したように、レドックスフロー
型電池部3の電池容量が低下してくる。
【0151】このような状態において、バナジウム4価
イオン(V4+)が過剰になった正極電解液を、正極液タ
ンク5から第1の電解槽22内に供給する。
【0152】次に、硫酸(H2 SO4 )水溶液を第2の
電解槽23内に供給する。次に、スイッチ素子SW2
負極側端子N33b とを電気的に接続状態にし、スイッチ
素子SW1 と正極側端子P33とを電気的に接続状態にす
る。
【0153】この操作によれば、第1の電極24が正極
となり、第2の電極25が負極となる。
【0154】そして、第1の電解槽22では、第1の電
極24上で、次式に示す電気化学反応が起こり、バナジ
ウム4価イオン(V4+)が、バナジウム5価イオン(V
5+)に変えられる。
【0155】
【化10】
【0156】その後、正極電解液は、正極液再調整用回
収用管路28を通って、正極液タンク5内に戻される。
【0157】こうして、レドックスフロー型電池部3の
電解液の酸化還元ペアのバランスは正常となり、レドッ
クスフロー型電池部3の電池容量は、ほぼ、初期容量値
に回復する。
【0158】他方、第2の電解槽23内では、第2の電
極25上で、次式に示す反応が起こり、水素ガス
(H2 )が発生する。
【0159】
【化11】
【0160】その後、水素ガス(H2 )を含む正極電解
液再調整液、すなわち、硫酸(H2SO4 )水溶液は、
正極電解液再調整液回収用管路31を通って、正極電解
液再調整液槽26内に戻される。
【0161】硫酸(H2 SO4 )水溶液は、正極電解液
再調整液槽26、気液分離器38および第2の電解槽2
3間を、ポンプ32により、流通循環させられているの
で、水素ガス(H2 )は、気液分離器38により分離さ
れる。
【0162】水素ガス(H2 )は、可燃性で爆発しやす
い。この場合は、気液分離器38から、水素ガス
(H2 )を大気中に放出する前に、適当な水素ガス(H
2 )を希釈する水素ガス希釈手段を用い、水素ガス(H
2)を適当に希釈するのが好ましい。
【0163】この電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池1は、上述したように、充電末期において、正極
8において、酸素ガス(O2 )が発生する場合には、第
1の電極24を正極とし、第2の電極25を負極として
用い、電気化学的に、正極電解液中の過剰のバナジウム
4価イオン(V4+)を、バナジウム5価イオン(V5+
に変えることにより、レドックスフロー型電池部3の電
解液の酸化還元ペアのバランスを正常とすることがで
き、その結果、レドックスフロー型電池部3の電池容量
を、ほぼ、初期容量値に回復することができる。
【0164】また、第1の電解槽22内に取出されたバ
ナジウム4価イオン(V4+)を、第1の電極24および
第2の電極25とを用いて、電気化学的に、バナジウム
5価イオン(V5+)に変える際に、第2の電解槽23内
のSO4 2-が、電解液再調整装置2を構成する隔膜21
を通って、正極電解液中に混入しても、この電解液再調
整装置付レドックスフロー型電池1では、正極電解液と
負極電解液とが、ともに、硫酸(H2 SO4 )を含む水
溶液で構成されている結果、正極電解液と負極電解液の
組成が変化しない。
【0165】したがって、この電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池1では、電解液再調整装置2を用
い、必要に応じて、第1の電解槽22内に取出されたバ
ナジウム4価イオン(V4+)を、第1の電極24および
第2の電極25とを用いて、電気化学的に、バナジウム
5価イオン(V5+)に変えて、正極液タンク5に戻しな
がら、充放電操作を繰返し行なっても、レドックスフロ
ー型電池部3の電池容量が、不可逆的に低下したり、充
放電特性が、不可逆的に変化(劣化)したりしない。
【0166】なお、実施例1では、正極活物質として、
5+/V4+が用いられ、負極活物質として、V2+/V3+
が用いられた、バナジウム(V)系レドックスフロー型
電池について説明したが、これは、上述したように、バ
ナジウム(V)系レドックスフロー型電池では、充放電
特性の点から、正極活物質として、正極活物質V5+/V
4+を含む硫酸水溶液を用い、負極活物質として、負極活
物質V2+/V3+を含む硫酸水溶液を用いることが好まし
いからである。
【0167】本発明は、原理的には、正極活物質と、負
極活物質との無数の組合せのレドックスフロー型電池に
用いることができる。
【0168】そのような正極活物質としては、Fe3+
Fe2+、Cr6+/Cr3+、Mn3+/Mn2+等を、また、
負極活物質としては、Cr2+/Cr3+、Ti3+/T
4+、Sn2+/Sn3+等を挙げることができる。
【0169】なお、実施例1では、スイッチ手段35に
より、電解液再調整装置2を構成する第1の電極24と
第2の電極25との極性を相互に変化できる装置の例を
示している。
【0170】したがって、この電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池1では、必要に応じて、電解液再調
整装置2を用いて、第1の電解槽22内に取出された高
原子価状態の第1の金属イオンを、第1の電極24およ
び第2の電極25用いて、電気化学的に、低原子価状態
の第1の金属イオンに変えて、正極液タンク6に戻した
り、必要に応じて、電解液再調整装置2を用いて、第1
の電解槽22内に取出された低原子価状態の第1の金属
イオンを、第1の電極24および第2の電極25を用い
て、電気化学的に、高原子価状態の第1の金属イオンに
変えて、正極液タンク6に戻したりすることができる。
【0171】なお、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池1は、単に、本発明を説明するために用い
たものであり、本発明は、実施例1によって何ら限定さ
れることはない。
【0172】たとえば、第1の電極24を、固定的に、
正極とし、第2の電極25を、固定的に、負極として、
必要に応じて、第1の電極24と第2の電極25との間
に、通電(電圧を印加)して、第1の電解槽22内に取
出された高原子価状態の第1の金属イオンを、第1の電
極24および第2の電極25を用いて、電気化学的に、
低原子価状態の第1の金属イオンに変えて、正極液タン
ク6に戻す電解液再調整装置付レドックスフロー型電池
や、たとえば、第1の電極24を、固定的に、負極と
し、第2の電極25を、固定的に、正極として、必要に
応じて、第1の電極24と第2の電極25との間に、通
電(電圧を印加)して、第1の電解槽22内に取出され
た低原子価状態の第1の金属イオンを、第1の電極24
および第2の電極25とを用いて、電気化学的に、高原
子価状態の第1の金属イオンに変えて、正極液タンク5
に戻す、電解液再調整装置付レドックスフロー型電池
も、本発明に従う電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池に含まれる。
【0173】実施例2 図2は、本発明に従う電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池を概略的に示す構成図である。
【0174】図2を参照して、この電解液再調整装置付
レドックスフロー型電池41は、電解液再調整装置42
と、レドックスフロー型電池部43とを備える。
【0175】なお、レドックスフロー型電池部43の構
成は、図1に示すレドックスフロー型電池1のレドック
スフロー型電池部3と同様の構成であるので、相当する
部材については、相当する参照符号を付して、その説明
を省略する。
【0176】他方、電解液再調整装置42は、隔膜51
により分離された第1の電解槽52と第2の電解槽53
とを備える。
【0177】第1の電解槽52内には、第1の電極54
が収容されており、第2の電解槽53内には、第2の電
極55が収容される。
【0178】また、この電解液再調整装置42は、負極
電解液を、電気化学的に再調整するための液(以下、負
極電解液再調整液という)を貯蔵する負極電解液再調整
液槽56を備える。
【0179】第1の電解槽52と負極液タンク6とは、
負極電解液を負極液タンク6から第1の電解槽52に供
給する負極液再調整用供給用管路57と、負極電解液を
第1の電解槽52から負極液タンク6に回収する負極液
再調整用回収用管路58により連結される。
【0180】また、負極液再調整用供給用管路57に
は、負極電解液流通循環手段として、ポンプ59が設け
られており、第1の電解槽52と負極液タンク6との間
において、負極電解液を流通循環することができる。
【0181】他方、第2の電解槽53と負極電解液再調
整液槽56とは、負極電解液再調整液を負極電解液再調
整液槽56から第2の電解槽53に供給する負極電解液
再調整液供給用管路60と、負極電解液再調整液を第2
の電解槽53から負極電解液再調整液槽56に回収する
負極電解液再調整液回収用管路61により連結される。
【0182】また、負極電解液再調整液供給用管路60
には、負極電解液再調整液流通循環手段として、ポンプ
62が設けられており、第2の電解槽53と負極電解液
再調整液槽56との間において、負極電解液再調整液を
流通循環することができるようになっている。
【0183】また、第1の電極54と第2の電極55と
には、外部電源(直流電源)63を有する回路64が、
スイッチ手段65を介して、接続されているようになっ
ている。
【0184】回路64は、外部電源(直流電源)63の
正極側に接続される正極側端子P63と、外部電源(直流
電源)63の負極側に接続される2つの負極側端子N
63a および負極側端子N63b を含む。
【0185】また、スイッチ手段65は、2個のスイッ
チ素子SW3 、SW4 を含む。スイッチ素子SW3 は、
第1の電極54に接続され、スイッチ素子SW4 は、第
2の電極55に接続される。
【0186】スイッチ素子SW3 は、あるときは、正極
側端子P63に電気的に接続され、またあるときには、負
極側端子N63b に電気的に接続され、またあるときに
は、正極側端子P63と負極側端子N63b との双方に電気
的に非接続の状態にされるようになっている。
【0187】また、スイッチ素子SW4 は、あるとき
は、負極側端子N63a に電気的に接続され、またあると
きには、正極側端子P63に電気的に接続され、またある
ときには、負極側端子N63a と正極側端子P63との双方
に電気的に非接続の状態にされるようになっている。
【0188】第1の電極54を正極とし、第2の電極5
5を負極として、第1の電極54と第2の電極55との
間に通電を行なう(電圧を印加)する際には、スイッチ
素子SW3 と正極側端子P63とが電気的に接続状態にさ
れ、スイッチ素子SW4 と負極側端子N63a とが電気的
に接続状態にされる。
【0189】また、第1の電極54を負極とし、第2の
電極55を正極として、第1の電極54と第2の電極5
5との間に通電を行なう(電圧を印加)する際には、ス
イッチ素子SW3 と負極側端子N63b とが電気的に接続
状態にされ、スイッチ素子SW4 と正極側端子P63とが
電気的に接続状態にされる。
【0190】負極電解液再調整液として、硫酸(H2
4 )水溶液が用いられる。また、この電解液再調整装
置付レドックスフロー型電池41では、高原子価状態の
第1の金属イオンと低原子価状態の第1の金属イオンと
を含む電解液(正極電解液)として、硫酸(H2
4 )を含む水溶液が用いられ、低原子価状態の第2の
金属イオンと高原子価状態の第2の金属イオンとを含む
電解液(負極電解液)として、硫酸(H2 SO4 )を含
む水溶液が用いられる。
【0191】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池41では、高原子価状態の第1の金属イオ
ンは、バナジウム5価イオン(V5+)であり、低原子価
状態の第1の金属イオンは、バナジウム4価イオン(V
4+)であり、低原子価状態の第2の金属イオンは、バナ
ジウム2価イオン(V2+)であり、高原子価状態の第2
の金属イオンは、バナジウム3価イオン(V3+)であ
る。
【0192】次に、この電解液再調整装置42を用い
て、レドックスフロー型電池部43の電解液を再調整す
る方法について説明する。
【0193】レドックスフロー型電池部43を用いて、
通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し行なう
と、充電末期において、負極9において、水素ガス(H
2 )が発生したり、および/または、正極8において、
酸素ガス(O2 )が発生したりする。
【0194】また、このレドックスフロー型電池部43
では、負極電解液が、空気により自然的に酸化(いわゆ
る空気酸化)されたりする。
【0195】より詳しくは、負極電解液中のバナジウム
2価イオン(V2+)は、比較的不安定であるため、空気
中の酸素(O2 )により酸化されやすく、容易に、バナ
ジウム3価イオン(V3+)に変化したりする。なお、こ
の反応式については、化7に既に説明したので、ここで
の説明は省略する。
【0196】レドックスフロー型電池部43において、
上記したような現象が生じると、電池反応に関与する上
記した酸化還元ペア(V3+/V4+またはV2+/V5+)の
絶対量が減少し、充放電操作を繰返すうちに、レドック
スフロー型電池部43の電池容量が低下してくる。のみ
ならず、のみならず、電池の内部抵抗が増大し、充放電
効率も低下しがちとなる。
【0197】以下、説明を容易とするため、レドックス
フロー型電池部43を用いて、通常の運転方法に従っ
て、充放電操作を繰返し行なった場合に、充電末期にお
いて、負極9において、水素ガス(H2 )が発生する場
合の電解液の再調整方法と、充電末期において、正極8
において、酸素ガス(O2 )が発生する場合の電解液の
再調整方法とに、場合分けをして、説明する。
【0198】なお、負極電解液が空気酸化された場合の
電解液の再調整方法は、上記した充電末期において、負
極9において、水素ガス(H2 )が発生する場合の電解
液の再調整方法と同様であるので、充電末期において、
負極9において水素ガス(H 2 )が発生する場合の電解
液の再調整方法の説明と併せて説明する。
【0199】(1) レドックスフロー型電池部43を
用いて、通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し
行なった場合に、充電末期において、負極9において、
水素ガス(H2 )が発生する場合の電解液の再調整方法
および負極電解液が、空気酸化された場合の電解液の再
調整方法。
【0200】これらの場合は、いずれも、正極電解液で
は、上記した酸化還元ペアのうち、正極活物質のバナジ
ウム5価イオン(V5+)が過剰となり、上述したよう
に、レドックスフロー型電池部43の電池容量が低下し
てくる。
【0201】逆に言えば、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム4価イオン(V
4+)が不足し、上述したように、レドックスフロー型電
池部43の電池容量が低下してくる。
【0202】上記した現象が正極電解液で生じるのに対
応して、負極電解液では、以下の現象が生じる。
【0203】すなわち、負極電解液では、いずれも上記
酸化還元ペアのうち、負極活物質のバナジウム2価イオ
ン(V2+)が不足し、上述したように、レドックスフロ
ー型電池部43の電池容量が低下してくる。
【0204】逆に言えば、負極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、負極活物質のバナジウム3価イオン(V
3+)が過剰となり、上述したように、レドックスフロー
型電池部43の電池容量が低下してくる。
【0205】このような状態において、バナジウム3価
イオン(V3+)が過剰になった負極電解液を、負極液タ
ンク6から第1の電解槽52内に供給する。
【0206】次に、硫酸(H2 SO4 )水溶液を、第2
の電解槽53内に供給する。次に、スイッチ素子SW3
と負極側端子N63b とを電気的に接続状態にし、スイッ
チ素子SW4 と正極側端子P63とを電気的に接続状態に
する。
【0207】この操作によれば、第1の電極54が負極
となり、第2の電極55が正極となる。
【0208】そして、第1の電解槽52では、第1の電
極54上で、次式に示す電気化学反応が起こり、バナジ
ウム3価イオン(V3+)が、バナジウム2価イオン(V
2+)に変えられる。
【0209】
【化12】
【0210】その後、負極電解液は、負極液再調整用回
収用管路58を通って、負極液タンク6内に戻される。
【0211】こうして、レドックスフロー型電池部43
の電解液の酸化還元ペアのバランスは正常となり、レド
ックスフロー型電池部43の電池容量は、ほぼ、初期容
量値に回復する。
【0212】他方、第2の電解槽53では、第2の電極
55上で、次式に示す反応が起こり、酸素ガス(O2
が発生する。
【0213】
【化13】
【0214】その後、酸素ガス(O2 )を含む負極電解
液再調整液、すなわち、硫酸(H2SO4 )水溶液は、
負極電解液再調整液回収用管路61を通って、負極電解
液再調整液槽56内に戻される。
【0215】硫酸(H2 SO4 )水溶液は、負極電解液
再調整液槽56、気液分離器68および第2の電解槽5
3間を、ポンプ62により、流通循環させられているの
で、酸素ガス(O2 )は、気液分離器68により分離さ
れる。酸素ガス(O2 )は、無毒である。
【0216】したがって、そのまま大気に放出できるた
め、この電解液再調整装置付レドックスフロー型電池4
1では、特開昭63−304580号公報に記載され
る、従来の電解液再調整装置付レドックスフロー型電池
101に設けられていた、塩素ガス吸収装置239のよ
うな特殊な装置は不要であり、また、酸素ガス(O2
は、人体にとっても安全であるため、電解液再調整装置
42の気密化が不要であり、取扱い操作が簡便であり、
電解液再調整装置42を構成する部材についても、特殊
な材料を用いる必要がなく、経済性に優れている等、特
開平1−112672号公報記載の、従来の電解液再調
整装置付レドックスフロー型電池311と、同様の効果
を奏する。
【0217】そして、この電解液再調整装置付レドック
スフロー型電池41は、さらに、以下の効果を奏する。
【0218】この電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池41では、第2の電解槽53内に、硫酸(H2
4 )水溶液が用いられ、バナジウム5価イオン
(V5+)とバナジウム4価イオン(V4+)とを含む電解
液(正極電解液)として、硫酸(H 2 SO4 )を含む水
溶液が用いられ、バナジウム2価イオン(V2+)とバナ
ジウム3価イオン(V3+)とを含む電解液(負極電解
液)として、硫酸(H2 SO4)を含む水溶液が用いら
れている。
【0219】したがって、第1の電解槽52内に取出さ
れた、バナジウム3価イオン(V3+)を、第1の電極5
4および第2の電極55とを用いて、電気化学的に、バ
ナジウム3価イオン(V3+)に変える際に、第2の電解
槽53内のSO4 2-が、電解液再調整装置42を構成す
る隔膜51を通って、負極電解液中に混入しても、この
電解液再調整装置付レドックスフロー型電池41では、
正極電解液と負極電解液とが、ともに、硫酸(H2 SO
4 )を含む水溶液で構成されている結果、正極電解液と
負極電解液の組成が変化しない。
【0220】したがって、この電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池41では、電解液再調整装置2を用
い、必要に応じて、第1の電解槽52内に取出されたバ
ナジウム3価イオン(V3+)を、第1の電極54および
第2の電極55とを用いて、電気化学的に、バナジウム
2価イオン(V2+)に変えて、正極液タンク6に戻しな
がら、充放電操作を繰返し行なっても、レドックスフロ
ー型電池部43の電池容量が、不可逆的に低下したり、
充放電特性が、不可逆的に変化(劣化)したりしない。
【0221】(2) レドックスフロー型電池部43を
用いて、通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し
行なった場合、充電末期において、正極8において、酸
素ガス(O2 )が発生する場合の電解液の再調整方法。
【0222】この場合は、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム5価イオン(V
5+)が不足し、上述したように、レドックスフロー型電
池部43の電池容量が低下してくる。
【0223】逆に言えば、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム4価イオン(V
4+)が過剰となり、上述したように、レドックスフロー
型電池部43の電池容量が低下してくる。
【0224】上記した現象が、正極電解液で生じるのに
対応して、負極電解液では、以下の現象が生じる。
【0225】すなわち、負極電解液では、上記酸化還元
ペアのうち、負極活物質のバナジウム3価イオン
(V3+)が不足し、上述したように、レドックスフロー
型電池部43の電池容量が低下してくる。
【0226】逆に言えば、負極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、負極活物質のバナジウム2価イオン(V
2+)が過剰となり、上述したように、レドックスフロー
型電池部43の電池容量が低下してくる。
【0227】このような状態において、バナジウム2価
イオン(V2+)が過剰になった負極電解液を、負極液タ
ンク6から第1の電解槽52内に供給する。
【0228】次に、硫酸(H2 SO4 )水溶液を、第2
の電解槽53内に供給する。次に、スイッチ素子SW3
と正極側端子P63とを電気的に接続状態にし、スイッチ
素子SW4 と負極側端子N63a とを電気的に接続状態に
する。
【0229】この操作によれば、第1の電極54が正極
となり、第2の電極55が負極となる。
【0230】そして、第1の電解槽52では、第1の電
極54上で、次式に示す電気化学反応が起こり、バナジ
ウム2価イオン(V2+)が、バナジウム3価イオン(V
3+)に変えられる。
【0231】
【化14】
【0232】その後、負極電解液は、負極液再調整用回
収用管路58を通って、負極液タンク6内に戻される。
【0233】こうして、レドックスフロー型電池部43
の電解液の酸化還元ペアのバランスは正常となり、レド
ックスフロー型電池部43の電池容量は、ほぼ、初期容
量値に回復する。
【0234】他方、第2の電解槽53内では、第2の電
極55上で、次式に示す反応が起こり、水素ガス
(H2 )が発生する。
【0235】
【化15】
【0236】その後、水素ガス(H2 )を含む負極電解
液再調整液、すなわち、硫酸(H2SO4 )水溶液は、
負極電解液再調整液回収用管路61を通って、負極電解
液再調整液槽56内に戻される。
【0237】硫酸(H2 SO4 )水溶液は、負極電解液
再調整液槽56、気液分離器68および第2の電解槽5
3間を、ポンプ62により、流通循環させられているの
で、水素ガス(H2 )は、気液分離器68により分離さ
れる。
【0238】水素ガス(H2 )は、可燃性で爆発しやす
い。この場合は、気液分離器68から水素ガス(H2
を大気中に放出する前に、適当な水素ガス(H2 )を希
釈する希釈手段を用い、水素ガス(H2 )を適当に希釈
するのが好ましい。
【0239】この電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池41は、上述したように、充電末期において、正
極8において、酸素ガス(O2 )が発生する場合には、
第1の電極54を正極として、第2の電極55を負極と
して用い、電気化学的に、負極電解液中の過剰のバナジ
ウム2価イオン(V2+)を、バナジウム3価イオン(V
3+)に変えることにより、レドックスフロー型電池部4
3の電解液の酸化還元ペアのバランスを正常とすること
ができ、その結果、レドックスフロー型電池部43の電
池容量を、ほぼ、初期容量値に回復することができる。
【0240】また、第1の電解槽52内に取出されたバ
ナジウム2価イオン(V2+)を、第1の電極54および
第2の電極55とを用いて、電気化学的に、バナジウム
3価イオン(V3+)に変える際に、第2の電解槽53内
のSO4 2-が、電解液再調整装置42を構成する隔膜5
1を通って、負極電解液中に混入しても、この電解液再
調整装置付レドックスフロー型電池41では、正極電解
液と負極電解液とが、ともに、硫酸(H2 SO4 )を含
む水溶液で構成されている結果、正極電解液と負極電解
液の組成が変化しない。
【0241】したがって、この電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池41では、必要に応じて、第1の電
解槽52内に取出されたバナジウム2価イオン(V2+
を、第1の電極54および第2の電極55とを用いて、
電気化学的に、バナジウム3価イオン(V3+)に変え
て、負極液タンク6に戻しながら、充放電操作を繰返し
行なっても、レドックスフロー型電池部43の電池容量
が、不可逆的に低下したり、充放電特性が、不可逆的に
変化(劣化)したりしない。
【0242】したがって、この電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池41では、必要に応じて、第1の電
解槽52内に取出されたバナジウム2価イオン(V2+
を、第1の電極54および第2の電極55とを用いて、
電気化学的に、バナジウム3価イオン(V3+)に変え
て、負極液タンク6に戻しながら、充放電操作を繰返し
行なっても、レドックスフロー型電池部43の電池容量
が、不可逆的に低下したり、充放電特性が、不可逆的に
変化(劣化)したりしない。
【0243】なお、実施例2では、正極活物質として、
5+/V4+が用いられ、負極活物質として、V2+/V3+
が用いられたバナジウム(V)系レドックスフロー型電
池について説明したが、これは、上述したように、バナ
ジウム(V)系レドックスフロー型電池では、充放電特
性の点から、正極電解液として、正極活物質V5+/V 4+
を含む硫酸(H2 SO4 )水溶液を用い、負極電解液と
して、負極活物質V2+/V3+を含む硫酸(H2 SO4
水溶液を用いることが好ましいからである。
【0244】本発明は、原理的には、正極活物質と、負
極活物質との無数の組合せのレドックスフロー型電池に
用いることができる。
【0245】そのような正極活物質としては、Fe3+
Fe2+、Cr6+/Cr3+、Mn3+/Mn2+等を、また、
負極活物質としては、Cr2+/Cr3+、Ti3+/T
4+、Sn2+/Sn3+等を挙げることができる。
【0246】なお、実施例2では、スイッチ手段65に
より、電解液再調整装置62を構成する第1の電極54
と第2の電極55との極性が相互に変化できる装置の例
を示している。
【0247】したがって、この電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池41では、必要に応じて、電解液再
調整装置42を用いて、第1の電解槽52内に取出され
た低原子価状態の第2の金属イオンを、第1の電極54
および第2の電極55を用いて、電気化学的に、高原子
価状態の第2の金属イオンに変えて、負極液タンク6に
戻したり、および、必要に応じて、電解液再調整装置4
2を用いて、第1の電解槽52内に取出された高原子価
状態の第2の金属イオンを、第1の電極54および第2
の電極55を用いて、電気化学的に、低原子価状態の第
2の金属イオンに変えて、負極液タンク6に戻したりす
ることができる。
【0248】なお、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池41は、単に本発明を説明するために用い
たものであり、本発明は、実施例2によって、何ら限定
されることはない。
【0249】たとえば、第1の電極54を、固定的に、
正極とし、第2の電極55を、固定的に、負極として、
必要に応じて、第1の電極54と第2の電極55との間
に、通電(電圧を印加)して、第1の電解槽52内に取
出された低原子価状態の第2の金属イオンを、第1の電
極54および第2の電極55とを用いて、電気化学的
に、高原子価状態の第2の金属イオンに変えて、負極液
タンク6に戻す、電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池や、たとえば、第1の電極54を、固定的に、負
極とし、第2の電極55を、固定的に、正極として、必
要に応じて、第1の電極55と第2の電極56との間
に、通電(電圧を印加)して、第1の電解槽52内に取
出された高原子価状態の第2の金属イオンを、第1の電
極54および第2の電極55とを用いて、電気化学的
に、低原子価状態の第2の金属イオンに変えて、負極液
タンク6に戻す、電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池も、本発明に従う電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池に含まれる。
【0250】実施例3 図3は、本発明に従う電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池を概略的に示す構成図である。
【0251】図3を参照して、この電解液再調整装置付
レドックスフロー型電池71は、電解液再調整装置72
と、レドックスフロー型電池部73とを備える。
【0252】なお、レドックスフロー型電池部73の構
成は、図1に示す電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池1のレドックスフロー型電池部3と同様であるの
で、相当する部材については、相当する参照符号を付し
て、その説明を省略する。
【0253】他方、電解液再調整装置72の構成は、図
1に示す電解液再調整装置付レドックスフロー型電池1
の電解液再調整装置2と、以下の点を除けば、同様であ
るので、相当する部材については、相当する参照符号を
付して、その説明を省略する。
【0254】この電解液再調整装置72は、正極電解液
再調整液として、バナジウム(V)イオンを含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液が用いられる点において、図1に
示す電解液再調整装置付レドックスフロー型電池1の電
解液再調整装置2と異なっている。
【0255】また、第1の電極24と第2の電極25と
には、外部電源(直流電源)33を有する回路34が、
スイッチ手段35を介して、接続されるようになってい
る。
【0256】回路34は、外部電源(直流電源)33の
正極側に接続される正極側端子P33と、外部電源(直流
電源)33の負極側に接続される2つの負極側端子N
33a および負極側端子N33b を含む。
【0257】また、スイッチ手段35は、2個のスイッ
チ素子SW1 、SW2 を含む。スイッチ素子SW1 は、
配線D1 を介して、第1の電極24に接続され、スイッ
チ素子SW2 は、配線D2 を介して、第2の電極25に
接続される。
【0258】スイッチ素子SW1 は、あるときは、正極
側端子P33に電気的に接続され、またあるときには、負
極側端子N33a に電気的に接続され、またあるときに
は、正極側端子P33と負極側端子N33a との双方に電気
的に非接続の状態にされるようになっている。
【0259】また、スイッチ素子SW2 は、あるとき
は、負極側端子N33b に電気的に接続され、またあると
きには、正極側端子P33に電気的に接続され、またある
ときには、負極側端子N33b と正極側端子P33との双方
に電気的に非接続の状態にされるようになっている。
【0260】また、配線D1 と配線D2 との間には、ス
イッチ素子SW5 を有する短絡回路74が設けられる。
【0261】短絡回路74に設けられたスイッチ素子S
5 をONの状態にすると、短絡回路74は、短絡状態
になり、スイッチ素子SW5 をOFFの状態にすると、
短絡回路74は、非短絡状態になる。
【0262】第1の電極24を正極とし、第2の電極2
5を負極として、第1の電極24と第2の電極25との
間に通電を行なう(電圧を印加)する際には、スイッチ
素子SW5 が、OFFの状態にされ、スイッチ素子SW
1 と正極側端子P33とが、電気的に接続状態にされ、ス
イッチ素子SW2 と負極側端子N33b とが、電気的に接
続状態にされる。
【0263】また、第1の電極24を負極とし、第2の
電極25を正極として、第1の電極24と第2の電極2
5との間に通電を行なう(電圧を印加)する際には、ス
イッチ素子SW5 が、OFFの状態にされ、スイッチ素
子SW1 と負極側端子N33aとが、電気的に接続状態に
され、スイッチ素子SW2 と正極側端子P33とが、電気
的に接続状態にされる。
【0264】また、第1の電極24と第2の電極25と
の間を短絡状態にする際には、スイッチ素子SW1 が、
正極側端子P33と負極側端子N33a との双方に、電気的
に非接続の状態にされ、スイッチ素子SW2 が、負極側
端子N33b と正極側端子P33との双方に、電気的に非接
続の状態にされ、スイッチ素子SW5 が、ONの状態に
される。
【0265】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池71では、高原子価状態の第1の金属イオ
ンと低原子価状態の第1の金属イオンとを含む電解液
(正極電解液)として、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶
液が用いられ、低原子価状態の第2の金属イオンと高原
子価状態の第2の金属イオンとを含む電解液(負極電解
液)として、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液が用いら
れる。
【0266】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池71では、高原子価状態の第1の金属イオ
ンは、バナジウム5価イオン(V5+)であり、低原子価
状態の第1の金属イオンは、バナジウム4価イオン(V
4+)であり、低原子価状態の第2の金属イオンは、バナ
ジウム2価イオン(V2+)であり、高原子価状態の第2
の金属イオンは、バナジウム3価イオン(V3+)であ
る。
【0267】次に、この電解液再調整装置72を用い
て、レドックスフロー型電池部73の電解液を再調整す
る方法について説明する。
【0268】レドックスフロー型電池部73を用いて、
通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し行なう
と、充電末期において、負極9において、水素ガス(H
2 )が発生したり、および/または、正極8において、
酸素ガス(O2 )が発生したりする。
【0269】また、このレドックスフロー型電池部73
では、負極電解液が、空気酸化されたりする。
【0270】レドックスフロー型電池部73において、
上記したような現象が生じると、レドックスフロー型電
池部73の電池容量が低下してくる。のみならず、電池
の内部抵抗が増大し、充放電効率が低下しがちとなる。
【0271】なお、レドックスフロー型電池部73にお
いて、充放電操作を繰返すにつれ、レドックスフロー型
電池部73の電池容量が低下する原因については、既に
説明したので、ここでの説明は省略する。
【0272】以下、説明を容易とするため、レドックス
フロー型電池部73を用いて、通常の運転方法に従っ
て、充放電操作を繰返し行なった場合に、充電末期にお
いて、負極9において、水素ガス(H2 )が発生する場
合の電解液の再調整方法、および、負極電解液が、空気
酸化された場合の電解液の再調整方法と、充電末期にお
いて、正極8において、酸素ガス(O2 )が発生する場
合の電解液の再調整方法とに、場合分けをして、説明す
る。
【0273】(1) レドックスフロー型電池部73を
用いて、通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し
行なった場合に、充電末期において、負極9において、
水素ガス(H2 )が発生する場合の電解液の再調整方法
および負極電解液が、空気酸化された場合の電解液の再
調整方法。
【0274】これらの場合は、いずれも、正極電解液で
は、上記酸化還元ペアのうち、正極活物質のバナジウム
5価イオン(V5+)が過剰となり、上述したように、レ
ドックスフロー型電池部73の電池容量が低下してく
る。
【0275】逆に言えば、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム4価イオン(V
4+)が不足し、上述したように、レドックスフロー型電
池部73の電池容量が低下してくる。
【0276】このような状態において、バナジウム5価
イオン(V5+)が過剰になった正極電解液を、正極液タ
ンク5から第1の電解槽22内に供給する。
【0277】次に、バナジウム(V)イオンを含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液を、第2の電解槽23内に供給す
る。
【0278】次に、スイッチ素子SW1 を、正極側端子
33と負極側端子N33b との双方に電気的に非接続の状
態にし、スイッチ素子SW2 を、負極側端子N33a と正
極側端子P33との双方に、電気的に非接続の状態にし、
スイッチ素子SW5 を、ONの状態にする。
【0279】本発明者らは、正極電解液再調整液とし
て、バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2 SO4
水溶液を用いた場合、この操作により、電解液再調整装
置72が、電池を構成し、第1の電極24と第2の電極
25との間が、短絡状態にされることにより、電解液再
調整装置72で、電池の放電反応(発電反応)が生じ、
第1の電極24上で、バナジウム5価イオン(V5+)が
バナジウム4価イオン(V4+)となることを知見した。
【0280】この操作によれば、第1の電極24が正極
となり、第2の電極25が負極となる。
【0281】そして、第1の電解槽22では、第1の電
極24上で、次式に示す電気化学反応(電池の放電反
応)が起こり、バナジウム5価イオン(V5+)が、バナ
ジウム4価イオン(V4+)に変えられる。
【0282】
【化16】
【0283】その後、正極電解液は、正極液再調整用回
収用管路28を通って、正極液タンク5内に戻される。
【0284】こうして、レドックスフロー型電池部73
の電解液の酸化還元ペアのバランスは、正常となり、レ
ドックスフロー型電池部73の電池容量は、ほぼ、初期
容量値に回復する。
【0285】他方、第2の電解槽23で、バナジウム
(V)イオンを含む硫酸(H2 SO4)水溶液に生じ
る、反応自体については、明確ではない。
【0286】しかしながら、電解液再調整装置72が、
上記した操作により、電池を構成する点から考えて、第
2の電解槽23では、第2の電極25上で、次式に示す
反応等が生じたと考えられる。
【0287】
【化17】
【0288】より詳しくは、第2の電解槽23内では、
第1の電極24と第2の電極25とが、短絡状態にされ
る前では、バナジウム(V)イオン(V2+、V3+
4+、V 5+)が、ある一定の平衡状態にある。
【0289】次に、上記した操作により、第1の電極2
4と第2の電極25とが、短絡状態にされる。
【0290】第1の電極24と第2の電極25とが、短
絡状態にされると、バナジウム(V)イオン(V2+、V
3+、V4+、V5+)が、当該他の平衡状態に移行すると考
えられる。
【0291】そして、第2の電解槽23内のバナジウム
(V)イオン(V2+、V3+、V4+、V5+)の平衡状態
が、移動することにより、化16および化17に示され
るような反応を生じると考えられる。
【0292】なお、上記操作では、レドックスフロー型
電池部73の電解液の再調整が、なお、不十分と判断さ
れる場合には、さらに、以下の電解液再調整方法が行な
われる。
【0293】バナジウム5価イオン(V5+)が過剰とな
った正極電解液が、正極液タンク5から、第1の電解槽
22内に供給される。
【0294】また、バナジウム(V)イオンを含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液が、正極液タンク5から、第2の
電解槽23内に供給される。
【0295】次に、スイッチ素子SW5 を、OFFの状
態にし、スイッチ素子SW2 と正極側端子P33を電気的
に接続状態にし、スイッチ素子SW1 と負極側端子N
33a とを電気的に接続状態にする。
【0296】この操作によれば、第1の電極24が負極
となり、第2の電極25が正極となる。
【0297】そして、第1の電解槽22では、第1の電
極24上で、次式に示す電気化学反応が起こり、バナジ
ウム5価イオン(V5+)が、バナジウム4価イオン(V
4+)に変えられる。
【0298】
【化18】
【0299】その後、正極電解液は、正極液再調整用回
収用管路28を通って、正極液タンク5内に戻される。
【0300】こうして、レドックスフロー型電池部73
の電解液の酸化還元ペアのバランスは、正常となり、レ
ドックスフロー型電池部73の電池容量は、ほぼ、初期
容量値に回復する。
【0301】他方、第2の電解槽23では、第2の電極
25上で、次式に示す反応が起こり、酸素ガス(O2
が発生したりする。
【0302】
【化19】
【0303】また、第2の電解槽23では、第2の電極
25上で、次式に示す反応が起こっていると考えられ
る。
【0304】
【化20】
【0305】その後、酸素ガス(O2 )を含むことのあ
る正極電解液再調整液、すなわち、バナジウム(V)イ
オンを含む硫酸(H2 SO4 )水溶液は、正極電解液再
調整液回収用管路31を通って、正極電解液再調整液槽
26内に戻される。
【0306】バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2
SO4 )水溶液は、正極電解液再調整液槽26、気液分
離器38および第2の電解槽23間を、ポンプ32によ
り、流通循環させられているので、酸素ガス(O2
は、気液分離器38により分離される。
【0307】酸素ガス(O2 )は、無毒である。また、
この電解液再調整装置付レドックスフロー型電池71で
は、実施例1と同様、第2の電解槽23内に、硫酸(H
2 SO4 )を含む水溶液が用いられ、正極電解液とし
て、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液が用いられ、負極
電解液として、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液が用い
られている。
【0308】したがって、実施例3に示される電解液再
調整装置付レドックスフロー型電池71は、実施例1に
示される電解液再調整装置付レドックスフロー型電池1
と同様の効果を奏する。
【0309】さらに、実施例3に示す電解液再調整装置
付レドックスフロー型電池71では、正極電解液とし
て、バナジウム5価イオン(V5+)とバナジウム4価イ
オン(V4+)とを含む硫酸(H2 SO4 )水溶液が用い
られ、負極電解液として、バナジウム2価イオン
(V2+)とバナジウム3価イオン(V3+)とを含む硫酸
(H2SO4 )水溶液が用いられ、正極電解液再調整液
として、バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2 SO
4 )水溶液が用いられる。
【0310】このように、実施例3に示す電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池71では、特に、正極電
解液再調整液として、バナジウム(V)イオンを含む硫
酸(H2 SO4 )水溶液を用いた結果、レドックスフロ
ー型電池部73を用い、通常の運転方法に従って、充放
電操作を繰返し行なうことにより、レドックスフロー型
電池部73の電池容量が低下した場合に、正極電解液中
に含まれる過剰になったバナジウム5価イオン(V5+
を、外部電源(直流電源)33を用いることなく、バナ
ジウム4価イオン(V4+)に変えることができるという
効果がある。
【0311】ところで、余剰の電力を貯蔵する電力貯蔵
システムでは、経済性が特に要求される。
【0312】すなわち、電力貯蔵システムでは、レドッ
クスフロー型電池部の電池容量を回復させるために用い
た電力も、充放電効率に算入される。
【0313】実施例3に示す電解液再調整装置付レドッ
クスフロー型電池71では、正極電解液中に含まれる過
剰となったバナジウム5価イオン(V5+)を、外部電源
(直流電源)33を用いることなく、バナジウム4価イ
オン(V4+)に変えることにより、電池容量を回復させ
た分だけ、充放電効率に優れている。
【0314】したがって、実施例3に示す電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池71は、経済性が特に要
求される電力貯蔵システムとして、好適に用いることが
できる。
【0315】(2) レドックスフロー型電池部73を
用いて、通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し
行なった場合、充電末期において、正極8において、酸
素ガス(O2 )が発生する場合の電解液の再調整方法。
【0316】この場合は、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム5価イオン(V
5+)が不足し、上述したように、レドックスフロー型電
池部73の電池容量が低下してくる。
【0317】逆に言えば、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム4価イオン(V
4+)が過剰となり、上述したように、レドックスフロー
型電池部73の電池容量が低下してくる。
【0318】このような状態において、バナジウム4価
イオン(V4+)が過剰になった正極電解液を、正極液タ
ンク5から第1の電解槽22内に供給する。
【0319】次に、バナジウム(V)イオンを含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液を、第2の電解槽23内に供給す
る。
【0320】次に、スイッチ素子SW5 を、OFFの状
態にし、スイッチ素子SW2 と負極側端子N33b とを電
気的に接続状態にし、スイッチ素子SW1 と正極側端子
33とを電気的に接続状態にする。
【0321】この操作によれば、第1の電極24が正極
となり、第2の電極25が負極となる。
【0322】そして、第1の電解槽22では、第1の電
極24上で、次式に示す電気化学反応が起こり、バナジ
ウム4価イオン(V4+)が、バナジウム5価イオン(V
5+)に変えられる。
【0323】
【化21】
【0324】その後、正極電解液は、正極液再調整用回
収用管路28を通って、正極液タンク5内に戻される。
【0325】こうして、レドックスフロー型電池部73
の電解液の酸化還元ペアのバランスは、正常となり、レ
ドックスフロー型電池部73の電池容量は、ほぼ、初期
容量値に回復する。
【0326】他方、第2の電解槽23では、第2の電極
25上で、次式に示す反応が起こり、水素ガス(H2
が発生したりする。
【0327】
【化22】
【0328】また、第2の電解槽23では、第2の電極
25上で、次式に示す反応が起こっていると考えられ
る。
【0329】
【化23】
【0330】その後、水素ガス(H2 )を含むことのあ
る正極電解液再調整液、すなわち、バナジウム(V)イ
オンを含む硫酸(H2 SO4 )水溶液は、正極電解液再
調整液用回収用管路31を通って、正極電解液再調整液
槽26内に戻される。
【0331】バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2
SO4 )水溶液は、正極電解液再調整液槽26、気液分
離器38および第2の電解槽23間を、ポンプ32によ
り、流通循環させられているので、水素ガス(H2
は、気液分離器38により分離される。
【0332】水素ガス(H2 )は、可燃性で爆発しやす
い。したがって、この場合は、実施例1と同様、気液分
離器38から水素ガス(H 2 )を大気中に放出する前
に、適当な水素ガス(H2 )を希釈する希釈手段などを
用い、水素ガス(H2 )を適当に希釈するのが好まし
い。
【0333】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池71では、実施例1と同様、第2の電解槽
23内に、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液が用いら
れ、正極電解液として、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶
液が用いられ、負極電解液として、硫酸(H2 SO4
を含む水溶液が用いられている。
【0334】したがって、実施例2に示される電解液再
調整装置付レドックスフロー型電池71は、実施例1に
示される電解液再調整装置付レドックスフロー型電池1
と同様の効果を奏する。
【0335】なお、実施例3では、スイッチ手段35お
よびスイッチ素子SW5 により、電解液再調整装置72
を構成する第1の電極24と、第2の電極25との極性
を相互に変化したり、第1の電極24と第2の電極25
との間を短絡状態にしたりすることのできる装置の例を
示している。
【0336】したがって、この電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池71では、必要に応じて、電解液再
調整装置72を用いて、第1の電解槽22内に取出され
た高原子価状態の第1の金属イオンを、第1の電極24
および第2の電極25とを用いて、電気化学的に、低原
子価状態の第1の金属イオンに変えて、正極液タンク5
に戻したり、必要に応じて、電解液再調整装置72を用
いて、第1の電解槽22内に取出された低原子価状態の
第1の金属イオンを、第1の電極24および第2の電極
25とを用いて、電気化学的に、高原子価状態の第1の
金属イオンに変えて、正極液タンク5に戻したりするこ
とができる。
【0337】なお、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池71は、単に本発明を説明するために用い
たものであり、本発明は、実施例3によって、何ら限定
されることはない。
【0338】たとえば、第1の電極24を、固定的に、
正極とし、第2の電極25を、固定的に、負極として、
必要に応じて、第1の電極24と第2の電極25との間
に、通電(電圧を印加)して、第1の電解槽22内に取
出された高原子価状態の第1の金属イオンを、第1の電
極24および第2の電極25とを用いて、電気化学的
に、低原子価状態の第1の金属イオンに変えて、正極液
タンク5に戻す、電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池や、たとえば、第1の電極24と第2の電極25
との間を、必要に応じて、短絡状態にし、第1の電解槽
22内に取出された高原子価状態の第1の金属イオン
を、第1の電極24および第2の電極25とを用いて、
電気化学的に、低原子価状態の第1の金属イオンに変え
て、正極液タンク5に戻す、電解液再調整装置付レドッ
クスフロー型電池や、また、たとえば、第1の電極24
を、固定的に、負極とし、第2の電極25を、固定的
に、正極として、必要に応じて、第1の電極24と第2
の電極25との間に、通電(電圧を印加)して、第1の
電解槽22内に取出された低原子価状態の第1の金属イ
オンを、第1の電極24および第2の電極25とを用い
て、電気化学的に、高原子価状態の第1の金属イオンに
変えて、正極液タンク5に戻す、電解液再調整装置付レ
ドックスフロー型電池等も、本発明に従う電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池に含まれる。
【0339】実施例4 図4は、本発明に従う電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池を概略的に示す構成図である。
【0340】図4を参照して、この電解液再調整装置付
レドックスフロー型電池81は、電解液再調整装置82
と、レドックスフロー型電池部83とを備える。
【0341】なお、レドックスフロー型電池部83の構
成は、図2に示す電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池41のレドックスフロー型電池部43と同様であ
るので、相当する部材については、相当する参照符号を
付して、その説明を省略する。
【0342】他方、電解液再調整装置82の構成は、図
2に示す電解液再調整装置付レドックスフロー型電池4
1の電解液再調整装置42と、以下の点を除けば、同様
であるので、相当する部材については、相当する参照符
号を付して、その説明を省略する。
【0343】この電解液再調整装置82は、負極電解液
再調整液として、バナジウム(V)イオンを含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液が用いられている点において、図
2に示す電解液再調整装置付レドックスフロー型電池4
1の電解液再調整装置42と異なっている。
【0344】また、第1の電極54と第2の電極55と
の間には、外部電源(直流電源)63を有する回路64
が、スイッチ手段65を介して、接続されるようになっ
ている。
【0345】回路64は、外部電源(直流電源)63の
正極側に接続される正極側端子P63と、外部電源(直流
電源)63の負極側に接続される2つの負極側端子N
63a および負極側端子N63b を含む。
【0346】また、スイッチ手段65は、2個のスイッ
チ素子SW3 、SW4 を含む。スイッチ素子SW3 は、
配線D3 を介して、第1の電極54に接続され、スイッ
チ素子SW4 は、配線D4 を介して、第2の電極55に
接続される。
【0347】スイッチ素子SW3 は、あるときは、正極
側端子P63に電気的に接続され、またあるときには、負
極側端子N63b に電気的に接続され、またあるときに
は、正極側端子P63と負極側端子N63b との双方に電気
的に非接続の状態にされるようになっている。
【0348】また、スイッチ素子SW4 は、あるとき
は、負極側端子N63a に電気的に接続され、またあると
きには、正極側端子P63に電気的に接続され、またある
ときには、負極側端子N63a と正極側端子P63との双方
に電気的に非接続の状態にされるようになっている。
【0349】また、配線D3 と配線D4 との間には、ス
イッチ素子SW6 を有する短絡回路84が設けられる。
【0350】短絡回路84に設けられたスイッチ素子S
6 を、ONの状態にすると、短絡回路84は、短絡状
態になり、スイッチ素子SW6 を、OFFの状態にする
と、短絡回路84は、非短絡状態になる。
【0351】第1の電極54を正極とし、第2の電極5
5を負極として、第1の電極54と第2の電極55との
間に通電を行なう(電圧を印加)する際には、スイッチ
素子SW6 が、OFFの状態にされ、スイッチ素子SW
3 と正極側端子P63とが電気的に接続状態にされ、スイ
ッチ素子SW4 と負極側端子N63a とが電気的に接続状
態にされる。
【0352】また、第1の電極54を負極とし、第2の
電極55を正極として、第1の電極54と第2の電極5
5との間に通電を行なう(電圧を印加)する際には、ス
イッチ素子SW6 が、OFFの状態にされ、スイッチ素
子SW3 と負極側端子N63bとが電気的に接続状態にさ
れ、スイッチ素子SW4 と正極側端子P63とが電気的に
接続状態にされる。
【0353】また、第1の電極54と第2の電極55と
の間を短絡状態にする際には、スイッチ素子SW3 が、
正極側端子P63と負極側端子N63b との双方に、電気的
に非接続の状態にされ、スイッチ素子SW4 が、負極側
端子N63a と正極側端子P63との双方に、電気的に非接
続の状態にされ、スイッチ素子SW6 が、ONの状態に
される。
【0354】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池81では、高原子価状態の第1の金属イオ
ンと低原子価状態の第1の金属イオンとを含む電解液
(正極電解液)として、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶
液が用いられ、低原子価状態の第2の金属イオンと高原
子価状態の第2の金属イオンとを含む電解液(負極電解
液)として、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液が用いら
れる。
【0355】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池81では、高原子価状態の第1の金属イオ
ンは、バナジウム5価イオン(V5+)であり、低原子価
状態の第1の金属イオンは、バナジウム4価イオン(V
4+)であり、低原子価状態の第2の金属イオンは、バナ
ジウム2価イオン(V2+)であり、高原子価状態の第2
の金属イオンは、バナジウム3価イオン(V3+)であ
る。
【0356】次に、この電解液再調整装置82を用い
て、レドックスフロー型電池部83の電解液を再調整す
る方法について説明する。
【0357】レドックスフロー型電池部83を用いて、
通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し行なう
と、充電末期において、負極9において、水素ガス(H
2 )が発生したり、および/または、正極8において、
酸素ガス(O2 )が発生したりする。
【0358】また、このレドックスフロー型電池部83
では、負極電解液が、空気酸化されたりする。
【0359】レドックスフロー型電池部83において、
上記したような現象が生じると、レドックスフロー型電
池部83の電池容量が低下してくる。のみならず、電池
の内部抵抗が増大し、充放電効率が低下しがちとなる。
【0360】なお、レドックスフロー型電池部83にお
いて、充放電操作を繰返すにつれて、レドックスフロー
型電池部83の電池容量が低下する原因については、既
に説明したので、ここでの説明は省略する。
【0361】以下、説明を容易とするため、レドックス
フロー型電池部83を用いて、通常の運転方法に従っ
て、充放電操作を繰返し行なった場合に、充電末期にお
いて、負極9において、水素ガス(H2 )が発生する場
合の電解液の再調整方法、および、負極電解液が、空気
酸化された場合の電解液の再調整方法と、充電末期にお
いて、正極8において、酸素ガス(O2 )が発生する場
合の電解液の再調整方法とに、場合分けをして、説明す
る。
【0362】(1) レドックスフロー型電池部83を
用いて、通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し
行なった場合に、充電末期において、負極9において、
水素ガス(H2 )が発生する場合の電解液の再調整方法
および負極電解液が、空気酸化された場合の電解液の再
調整方法。
【0363】これらの場合は、いずれも、正極電解液で
は、上記酸化還元ペアのうち、正極活物質のバナジウム
5価イオン(V5+)が過剰となり、上述したように、レ
ドックスフロー型電池部83の電池容量が低下してく
る。
【0364】逆に言えば、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム4価イオン(V
4+)が不足し、上述したように、レドックスフロー型電
池部83の電池容量が低下してくる。
【0365】上記した現象が、正極電解液で生じるのに
対応して、負極電解液では、以下の現象が生じる。
【0366】すなわち、負極電解液では、いずれも、上
記酸化還元ペアのうち、負極活物質のバナジウム2価イ
オン(V2+)が不足し、上述したように、レドックスフ
ロー型電池部83の電池容量が低下してくる。
【0367】逆に言えば、負極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、負極活物質のバナジウム3価イオン(V
3+)が過剰となり、上述したように、レドックスフロー
型電池部83の電池容量が低下してくる。
【0368】このような状態において、バナジウム3価
イオン(V3+)が過剰になった負極電解液を、負極液タ
ンク6から第1の電解槽52内に供給する。
【0369】次に、バナジウム(V)イオンを含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液を、第2の電解槽53内に供給す
る。
【0370】次に、スイッチ素子SW6 を、OFFの状
態にし、スイッチ素子SW3 と負極側端子N63b とを電
気的に接続状態にし、スイッチ素子SW4 と正極側端子
63とを電気的に接続状態にする。
【0371】この操作によれば、第1の電極54が負極
となり、第2の電極55が正極となる。
【0372】そして、第1の電解槽52では、第1の電
極54上で、次式に示す電気化学反応が起こり、バナジ
ウム3価イオン(V3+)が、バナジウム2価イオン(V
2+)に変えられる。
【0373】
【化24】
【0374】その後、負極電解液は、負極液再調整用回
収用管路58を通って、負極液タンク6内に戻される。
【0375】こうして、レドックスフロー型電池部83
の電解液の酸化還元ペアのバランスは、正常となり、レ
ドックスフロー型電池部83の電池容量は、ほぼ、初期
容量値に回復する。
【0376】他方、第2の電解槽53では、第2の電極
55上で、次式に示す反応が起こり、酸素ガス(O2
が発生したりする。
【0377】
【化25】
【0378】また、第2の電解槽53では、第2の電極
55上で、次式に示す反応が起こっていると考えられ
る。
【0379】
【化26】
【0380】その後、酸素ガス(O2 )を含むことのあ
る負極電解液再調整液、すなわち、バナジウム(V)イ
オンを含む硫酸(H2 SO4 )水溶液は、負極電解液再
調整液回収用管路61を通って、負極電解液再調整液槽
56内に戻される。
【0381】バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2
SO4 )水溶液は、負極電解液再調整液槽56、気液分
離器68および第2の電解槽53間を、ポンプ62によ
り、流通循環させられているので、酸素ガス(O2
は、気液分離器68により分離される。
【0382】酸素ガス(O2 )は、無毒である。また、
この電解液再調整装置付レドックスフロー型電池81で
は、実施例2と同様、第2の電解槽53内に、硫酸(H
2 SO4 )を含む水溶液が用いられ、正極電解液とし
て、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液が用いられ、負極
電解液として、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液が用い
られている。
【0383】したがって、実施例4に示される電解液再
調整装置付レドックスフロー型電池81は、実施例2に
示される電解液再調整装置付レドックスフロー型電池4
1と、同様の効果を奏する。
【0384】(2) レドックスフロー型電池部83を
用いて、通常の運転方法に従って、充放電操作を繰返し
行なった場合、充電末期において、正極8において、酸
素ガス(O2 )が発生する場合の電解液の再調整方法。
【0385】この場合は、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム5価イオン(V
5+)が不足し、上述したように、レドックスフロー型電
池部83の電池容量が低下してくる。
【0386】逆に言えば、正極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、正極活物質のバナジウム4価イオン(V
4+)が過剰となり、上述したように、レドックスフロー
型電池部83の電池容量が低下してくる。
【0387】上記した現象が、正極電解液で生じるのに
対応して、負極電解液では、以下の現象が生じる。
【0388】すなわち、負極電解液では、上記酸化還元
ペアのうち、負極活物質のバナジウム3価イオン
(V3+)が不足し、上述したように、レドックスフロー
型電池部83の電池容量が低下してくる。
【0389】逆に言えば、負極電解液では、上記酸化還
元ペアのうち、負極活物質のバナジウム2価イオン(V
2+)が過剰となり、上述したように、レドックスフロー
型電池部83の電池容量が低下してくる。
【0390】このような状態において、バナジウム2価
イオン(V2+)が過剰になった負極電解液を、負極液タ
ンク6から第1の電解槽52内に供給する。
【0391】次に、バナジウム(V)イオンを含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液を、第2の電解槽53内に供給す
る。
【0392】次に、スイッチ素子SW3 を、正極側端子
63と負極側端子N63b との双方に電気的に非接続の状
態にし、スイッチ素子SW4 を、負極側端子N63a と正
極側端子P63との双方に電気的に非接続の状態にし、ス
イッチ素子SW6 を、ONの状態にする。
【0393】本発明者らは、負極電解液再調整液とし
て、バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2 SO4
水溶液を用いた場合、この操作により、電解液再調整装
置82が、電池を構成し、第1の電極54と第2の電極
55との間が、短絡状態にされることにより、電解液再
調整装置82で、電池の放電反応(発電反応)が生じ、
第1の電極54上で、バナジウム2価イオン(V2+
が、バナジウム3価イオン(V3+)となることを知見し
た。
【0394】この操作によれば、第1の電極54が負極
となり、第2の電極55が正極となる。
【0395】そして、第1の電解槽52では、第1の電
極54上で、次式に示す電気化学反応(電池の放電反
応)が起こり、バナジウム2価イオン(V2+)が、バナ
ジウム3価イオン(V3+)に変えられる。
【0396】
【化27】
【0397】その後、負極電解液は、負極液再調整用回
収用管路58を通って、負極液タンク6内に戻される。
【0398】こうして、レドックスフロー型電池部83
の電解液の酸化還元ペアのバランスは、正常となり、レ
ドックスフロー型電池部83の電池容量は、ほぼ、初期
容量値に回復する。
【0399】他方、第2の電解槽53で、バナジウム
(V)イオンを含む硫酸(H2 SO4)水溶液に生じる
反応自体については、明確ではない。
【0400】しかしながら、電解液再調整装置82が、
上記した操作により、電池を構成する点から考えて、第
2の電解槽53では、第2の電極55上で、次式に示す
反応等が生じたと考えられる。
【0401】
【化28】
【0402】より詳しくは、第2の電解槽53内では、
第1の電極54と第2の電極55とが、短絡状態にされ
る前では、バナジウム(V)イオン(V2+、V3+
4+、V 5+)がある一定の平衡状態にある。
【0403】次に、第1の電極54と第2の電極55と
が、短絡状態にされる。そして、上記した操作により、
第1の電極54と第2の電極55とが、短絡状態にされ
ると、バナジウム(V)イオン(V2+、V3+、V4+、V
5+)が、当該他の平衡状態に移行すると考えられる。
【0404】そして、第2の電解槽53内のバナジウム
(V)イオン(V2+、V3+、V4+、V5+)の平衡状態が
移動することにより、化27および化28に示すような
反応を生じると考えられる。
【0405】なお、上記操作では、レドックスフロー型
電池部83の電解液の再調整が、なお不十分と判断され
る場合には、さらに、以下の電解液の再調整方法が行な
われる。
【0406】バナジウム2価イオン(V2+)が過剰とな
った負極電解液が、負極液タンク6から、第1の電解槽
52内に供給される。
【0407】また、バナジウム(V)イオンを含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液が、負極電解液再調整液槽56か
ら、第2の電解槽53内に供給される。
【0408】次に、スイッチ素子SW6 を、OFFの状
態にし、スイッチ素子SW3 と正極側端子P63とを、電
気的に接続状態にし、スイッチ素子SW4 と負極側端子
63 a とを、電気的に接続状態にする。
【0409】この操作によれば、第1の電極54が正極
となり、第2の電極55が負極となる。
【0410】そして、第1の電解槽52では、第1の電
極54上で、次式に示す電気化学反応が起こり、バナジ
ウム2価イオン(V2+)が、バナジウム3価イオン(V
3+)に変えられる。
【0411】
【化29】
【0412】その後、負極電解液は、負極液再調整用回
収用管路58を通って、負極液タンク6内に戻される。
【0413】こうして、レドックスフロー型電池部83
の電解液の酸化還元ペアのバランスは、正常となり、レ
ドックスフロー型電池部83の電池容量は、ほぼ、初期
容量値に回復する。
【0414】他方、第2の電解槽53では、第2の電極
55上で、次式に示す反応が起こり、酸素ガス(H2
が発生したりする。
【0415】
【化30】
【0416】また、第2の電解槽53では、第2の電極
55上で、次式に示す反応等が起こっていると考えられ
る。
【0417】
【化31】
【0418】その後、水素ガス(H2 )を含むことのあ
る負極電解液再調整液、すなわち、バナジウム(V)イ
オンを含む硫酸(H2 SO4 )水溶液は、負極電解液再
調整液回収用管路61を通って、負極電解液再調整液槽
56内に戻される。
【0419】バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2
SO4 )水溶液は、負極電解液再調整液槽56、気液分
離器68および第2の電解槽53間を、ポンプ62によ
り、流通循環させられているので、水素ガス(H2
は、気液分離器68により分離される。
【0420】水素ガス(H2 )は、可燃性で爆発しやす
い。したがって、この場合は、実施例2と同様、気液分
離器68から水素ガス(H 2 )を大気中に放出する前
に、適当な水素ガス(H2 )を希釈する希釈手段等を用
い、水素ガス(H2 )を適当に希釈した後、大気中に放
出するのが好ましい。
【0421】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池81では、実施例2と同様、第2の電解槽
53内に、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶液が用いら
れ、正極電解液として、硫酸(H2 SO4 )を含む水溶
液が用いられ、また、負極電解液として、硫酸(H2
4 )を含む水溶液が用いられている。
【0422】したがって、実施例4に示される電解液再
調整装置付レドックスフロー型電池81は、実施例2に
示される電解液再調整装置付レドックスフロー型電池4
1と、同様の効果を奏する。
【0423】さらに、実施例4に示す電解液再調整装置
付レドックスフロー型電池81では、正極電解液とし
て、バナジウム5価イオン(V5+)と、バナジウム4価
イオン(V4+)とを含む硫酸(H2 SO4 )水溶液が用
いられ、負極電解液として、バナジウム2価イオン(V
2+)とバナジウム3価イオン(V3+)とを含む硫酸(H
2 SO4 )水溶液が用いられ、負極電解液再調整液とし
て、バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2 SO4
水溶液が用いられている。
【0424】このように、実施例4に示す電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池81では、特に、負極電
解液再調整液として、バナジウム(V)イオンを含む硫
酸(H2 SO4 )水溶液を用いた結果、レドックスフロ
ー型電池部83を用い、通常の運転方法に従って、充放
電操作を繰返し行なうことにより、レドックスフロー型
電池部83の電池容量が低下した場合に、負極電解液中
に含まれる、過剰になったバナジウム2価イオン
(V2+)を、外部電源(直流電源)63を用いることな
く、バナジウム3価イオン(V3+)に変えることができ
るという効果がある。
【0425】ところで、余剰の電力を貯蔵する電力貯蔵
システムでは、経済性が特に要求される。
【0426】すなわち、電力貯蔵システムでは、レドッ
クスフロー型電池部の電池容量を回復させるために用い
る電力も、充放電効率に算入される。
【0427】実施例4に示す電解液再調整装置付レドッ
クスフロー型電池81では、負極電解液中に含まれる、
過剰となったバナジウム2価イオン(V2+)を、外部電
源(直流電源)63を用いることなく、バナジウム3価
イオン(V3+)に変えることにより、電池容量を回復さ
せた分だけ、充放電効率に優れている。
【0428】したがって、実施例4に示す電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池81は、経済性が特に要
求される電力貯蔵システムとして、好適に用いることが
できる。
【0429】なお、実施例4では、スイッチ手段65お
よびスイッチ素子SW6 により、電解液再調整装置82
を構成する第1の電極54と、第2の電極55との極性
を相互に変換したり、第1の電極54と第2の電極55
との間を短絡状態にしたりすることのできる装置の例を
示している。
【0430】したがって、この電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池81では、必要に応じて、電解液再
調整装置82を用いて、第1の電解槽52内に取出され
た低原子価状態の第2の金属イオンを、第1の電極54
および第2の電極55とを用いて、電気化学的に、高原
子価状態の第2の金属イオンに変えて、負極液タンク6
に戻したり、必要に応じて、電解液再調整装置82を用
いて、第1の電解槽52内に取出された高原子価状態の
第2の金属イオンを、第1の電極54および第2の電極
55とを用いて、電気化学的に、低原子価状態の第2の
金属イオンに変えて、負極液タンク6に戻したりするこ
とができる。
【0431】なお、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池81は、単に本発明を説明するために用い
たものであり、本発明は、実施例4によって、何ら限定
されることはない。
【0432】たとえば、第1の電極54を、固定的に、
正極とし、第2の電極55を、固定的に、負極として、
必要に応じて、第1の電極55と第2の電極56との間
に、通電(電圧を印加)して、第1の電解槽52内に取
出された低原子価状態の第2の金属イオンを、第1の電
極54および第2の電極55とを用いて、電気化学的
に、高原子価状態の第2の金属イオンに変えて、負極液
タンク6に戻す、電解液再調整装置付レドックスフロー
型電池や、たとえば、必要に応じて、第1の電極54と
第2の電極55との間を短絡状態にして、第1の電解槽
52内に取出された低原子価状態の第2の金属イオン
を、第1の電極54および第2の電極55とを用いて、
電気化学的に、高原子価状態の第2の金属イオンに変え
て、負極液タンク6に戻す、電解液再調整装置付レドッ
クスフロー型電池や、また、たとえば、第1の電極54
を、固定的に、負極とし、第2の電極55を、固定的
に、正極として、必要に応じて、第1の電極54と第2
の電極54との間に、通電(電圧を印加)して、第1の
電解槽52内に取出された高原子価状態の第2の金属イ
オンを、第1の電極54および第2の電極55とを用い
て、電気化学的に、低原子価状態の第2の金属イオンに
変えて、負極液タンク6に戻す、電解液再調整装置付レ
ドックスフロー型電池も、本発明に従う電解液再調整装
置付レドックスフロー型電池に含まれる。
【0433】次に、具体的な実験データを用いて説明す
る。 実験例1 (1) 電解液再調整装置付レドックスフロー型電池の
作製 図5は、本実験例に用いた電解液再調整装置付レドック
スフロー型電池を概略的に示す構成図である。
【0434】図5を参照して、この電解液再調整装置付
レドックスフロー型電池91は、電解液再調整装置92
と、レドックスフロー型電池部93とを備える。
【0435】電解液再調整装置92およびレドックスフ
ロー型電池93のそれぞれの構成は、図1に示す電解液
再調整装置付レドックスフロー型電池1の電解液再調整
装置およびレドックスフロー型電池部3のそれぞれと、
基本的には、同様であるので、相当する部材について
は、相当する参照符号を付して、その説明を省略する。
【0436】なお、図5では、説明を容易とするため、
電池反応セル4として、単セルが図示されているが、本
実験例では、電池反応セルとして、単セルが、7セル直
列に接続された積層型電池反応セルを用いている。
【0437】積層型電池反応セルを構成する単セルのそ
れぞれは、隔膜7、正極8および負極9を含む。
【0438】正極8および負極9のそれぞれとして、電
極面積が、500cm2 のものを使用した。
【0439】また、正極8および負極9を構成する電極
材料としては、カーボン繊維布を使用した。
【0440】また、この電池反応セルの集電板として
は、プラスチックカーボン板を使用した。
【0441】正極電解液として、バナジウム4価イオン
(V4+)を2モル(mol)/リットル(liter)
と、硫酸(H2 SO4 )を2モル(mol)/リットル
(liter)とを含有する水溶液を、5リットル(l
iter)準備した。
【0442】負極電解液として、バナジウム3価イオン
(V3+)を2モル(mol)/リットル(liter)
と、硫酸(H2 SO4 )を2モル(mol)/リットル
(liter)とを含有する水溶液を、5リットル(l
iter)準備した。
【0443】正極電解液再調整液として、硫酸(H2
4 )を2モル(mol)/リットル(liter)含
有する水溶液を、1リットル(liter)準備した。
【0444】また、電解液再調整装置92としては、積
層型電池反応セルを構成する単セルと同一規格の単セル
を、1セル作製した。
【0445】また、外部電源(直流電源)93と、スイ
ッチ素子SW7 とを有する回路94を準備した。
【0446】また、回路94は、外部電源(直流電源)
93の正極側に接続される正極側端子P93と、外部電源
(直流電源)93の負極側に接続される負極側端子N93
とを備える。
【0447】外部電源(直流電源)93の定格電流値
は、約20Aとした。また、電圧計95と、スイッチ素
子SW8 とを有する短絡回路96を準備した。
【0448】また、短絡回路96は、1対の端子
96a 、T96b とを備える。次に、正極電解液を正極液
タンク5に収容し、負極電解液を負極液タンク6内に収
容し、また、正極電解液再調整液を正極電解液再調整液
槽26内に収容した。
【0449】以上の工程により、電解液再調整装置付レ
ドックスフロー型電池91を作製した。
【0450】(2) 電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池91のレドックスフロー型電池部93の初期
電池容量の測定 以上の工程により作製された、電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池91を用い、電解液再調整装置92
を駆動させることなく、レドックスフロー型電池部93
について、通常の運転方法に従って、充電操作を行な
い、このレドックスフロー型電池部93の初回の電池放
電時間を測定した。
【0451】充電操作は、電流密度60mA/cm
2 で、このレドックスフロー型電池部93が、定格充電
終了電圧(1.7V)になるまで行なった(以下、手順
1という)。
【0452】放電操作は、上記充電操作の後、一定の抵
抗を有する外部負荷回路に対し、電流密度60mA/c
2 で、このレドックスフロー型電池部93が、定格放
電終了電圧(約1.0V)になるまで行なった(以下、
手順2という)。
【0453】このレドックスフロー型電池部93の、初
回の電池放電時間は、約1時間であった。
【0454】(3) レドックスフロー型電池部93の
電解液の劣化試験およびレドックスフロー型電池部93
の電解液再調整試験 レドックスフロー型電池部93の電解液の劣化試験 次に、レドックスフロー型電池部93を放電状態で停止
させた後、負極液タンク6から、一定量の負極電解液を
取出した。
【0455】次に、レドックスフロー型電池部93と、
同様の、他のレドックスフロー型電池の負極電解液中
に、レドックスフロー型電池部93から取出した、当該
一定量の負極電解液を混入した。
【0456】次に、当該他のレドックスフロー型電池に
ついて、通常の運転方法に従って、充電操作を行なっ
た。
【0457】次に、当該他のレドックスフロー型電池を
充電状態で停止させた後、当該他のレドックスフロー型
電池の負極液タンクから、一定量の負極電解液を取出し
た。
【0458】より詳しくは、当該他のレドックスフロー
型電池から、レドックスフロー型電池部93から取出し
た、一定量の負極電解液に相当する、一定量の負極電解
液を取出した。
【0459】次に、当該他のレドックスフロー型電池か
ら取出した、一定量の負極電解液を、レドックスフロー
型電池部93の負極電解液中に混入した。
【0460】次に、レドックスフロー型電池部93を用
い、電解液再調整装置92を駆動させることなく、上記
した手順1と同様の充電操作を行なった。
【0461】以上の操作により、このレドックスフロー
型電池部93では、充電末期に、正極8において、酸素
ガス(O2 )が発生する状態を模擬できた。
【0462】すなわち、以上の操作によれば、実際のレ
ドックスフロー型電池を用いて、通常の運転方法に従っ
て、充放電操作を繰返し行なうことにより、正極8で、
正極電解液に副反応が生じる現象を、容易に、かつ確実
に、実験的につくり出すことができる。
【0463】次に、このレドックスフロー型電池部93
を用い、電解液再調整装置92を駆動させることなく、
上記した手順2と同様の放電操作を行なった。
【0464】この場合の、レドックスフロー型電池部9
3の、電池放電時間は、約40分になっていた。
【0465】以上の操作によれば、レドックスフロー型
電池部93の、負極電解液では、バナジウム2価イオン
(V2+)が過剰になっている。
【0466】逆に言えば、負極電解液では、バナジウム
3価イオン(V3+)が不足している。
【0467】上記した現象が、負極電解液で生じるのに
対応して、正極電解液では、バナジウム5価イオン(V
5+)が不足している。
【0468】逆に言えば、正極電解液では、バナジウム
4価イオン(V4+)が過剰になっている。
【0469】 レドックスフロー型電池部93の電解
液再調整試験 次に、第1の電極24と正極側端子P93とを、リード線
(図示せず)を用いて、接続し、第2の電極25と負極
側端子N93とを、リード線(図示せず)を用い、接続し
た。
【0470】次に、電解液再調整装置92を、適当な時
間、駆動させる以外は、レドックスフロー型電池部93
を用い、手順1と同様の充電操作と手順2と同様の放電
操作を繰返し行なった。
【0471】より詳しくは、ポンプ29を用いて、正極
電解液を、所定の流量で、正極液タンク2と第1の電解
槽22間で、流通循環し、ポンプ32を用いて、正極電
解液再調整液を、所定の流量で、正極電解液再調整液槽
26および第2の電解槽23間で、流通循環し、かつ、
スイッチ素子SW7 を、ONの状態にして、電解液再調
整装置92を、適当な時間、駆動させながら、手順1と
同様の充電操作と、手順2と同様の放電操作を繰返し行
なった。
【0472】この場合、充電操作を繰返すにつれ、レド
ックスフロー型電池部93の電池放電時間は、徐々に長
くなり、最終的には、電池放電時間が、このレドックス
フロー型電池部93の当初の電池放電時間、すなわち、
1時間程度の電池容量にまで、回復することが確認され
た。
【0473】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池91では、電解液再調整装置92を、適当
な時間、駆動させながら、レドックスフロー型電池部9
3について、充放電操作を繰返し行なっても、レドック
スフロー型電池部93の電池容量が、不可逆的に低下し
たり、充放電特性が、不可逆的に変化(劣化)したりし
ないことが確かめられた。
【0474】実験例2 (1) 電解液再調整装置付レドックスフロー型電池の
作製 図5を再び参照して、実験例1と同一規格の電解液再調
整装置付レドックスフロー型電池91を、新しく作製し
た。
【0475】(2) 電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池91のレドックスフロー型電池部93の初期
電池容量の測定 実験例1と同様にして、実験例2で用いた電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池91のレドックスフロー
型電池部93の初期の電池容量を測定した。
【0476】このレドックスフロー型電池部93の、初
回の電池放電時間は、約1時間であった。
【0477】(3) レドックスフロー型電池部93の
電解液の劣化試験およびレドックスフロー型電池部93
の電解液再調整試験 レドックスフロー型電池部93の電解液の劣化試験 次に、レドックスフロー型電池部93を放電状態で停止
させた後、正極液タンク5から、一定量の正極電解液を
取出した。
【0478】次に、レドックスフロー型電池部93と、
同様の、他のレドックスフロー型電池の正極電解液中
に、レドックスフロー型電池部93から取出した、当該
一定量の正極電解液を混入した。
【0479】次に、当該他のレドックスフロー型電池に
ついて、通常の運転方法に従って、充電操作を行なっ
た。
【0480】次に、当該他のレドックスフロー型電池を
充電状態で停止させた後、当該他のレドックスフロー型
電池の正極液タンクから、一定量の正極電解液を取出し
た。
【0481】より詳しくは、当該他のレドックスフロー
型電池から、レドックスフロー型電池部93から取出し
た、一定量の正極電解液に相当する、一定量の正極電解
液を取出した。
【0482】次に、当該他のレドックスフロー型電池か
ら取出した、一定量の正極電解液を、レドックスフロー
型電池部93の正極電解液中に混入した。
【0483】次に、レドックスフロー型電池部93を用
い、電解液再調整装置92を駆動させることなく、上記
した手順1と同様の充電操作を行なった。
【0484】以上の操作により、このレドックスフロー
型電池部93では、充電末期に、負極9において、水素
ガス(H2 )が発生する状態を模擬できた。
【0485】すなわち、以上の操作によれば、実際のレ
ドックスフロー型電池を用いて、通常の運転方法に従っ
て、充放電操作を繰返し行なうことにより、負極8で、
負極電解液に副反応が生じる現象を、容易に、かつ確実
に、実験的につくり出すことができる。
【0486】次に、このレドックスフロー型電池部93
を用い、電解液再調整装置92を駆動させることなく、
上記した手順2と同様の放電操作を行なった。
【0487】この場合の、レドックスフロー型電池部9
3の、電池放電時間は、約40分になっていた。
【0488】この操作によれば、レドックスフロー型電
池部93の、正極電解液では、バナジウム5価イオン
(V5+)が過剰になっている。
【0489】逆に言えば、正極電解液では、バナジウム
4価イオン(V4+)が不足している。
【0490】上記した現象が、正極電解液で生じるのに
対応して、負極電解液では、バナジウム2価イオン(V
2+)が不足している。
【0491】逆に言えば、負極電解液では、バナジウム
3価イオン(V3+)が過剰になっている。
【0492】 レドックスフロー型電池部93の電解
液再調整試験 次に、第1の電極24と負極側端子N93とを、リード線
(図示せず)を用い、接続し、第2の電極25と正極側
端子P93とを、リード線(図示せず)を用い、接続し
た。次に、電解液再調整装置92を、適当な時間、駆動
させる以外は、レドックスフロー型電池部93を用い、
手順1と同様の充電操作と、手順2と同様の放電操作を
繰返し行なった。
【0493】より詳しくは、ポンプ29を用いて、正極
電解液を、所定の流量で、正極液タンク5と第1の電解
槽22間で、流通循環し、ポンプ32を用いて、正極電
解液再調整液を、所定の流量で、正極電解液再調整液槽
26および第2の電解槽23間で、流通循環し、かつ、
スイッチ素子SW7 を、ONの状態にして、電解液再調
整装置92を、適当な時間、駆動させながら、手順1と
同様の充電操作と、手順2と同様の放電操作を繰返し行
なった。
【0494】この場合、充放電操作を繰返すにつれ、レ
ドックスフロー型電池部93の電池放電時間は、徐々に
長くなり、最終的には、電池放電時間が、このレドック
スフロー型電池部93の当初の電池放電時間、すなわ
ち、1時間程度の電池容量にまで、回復することが確認
された。
【0495】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池91では、電解液再調整装置92を適当な
時間駆動させながら、レドックスフロー型電池部93に
ついて、充放電操作を繰返しても、レドックスフロー型
電池部93の電池容量が、不可逆的に低下したり、充放
電特性が、不可逆的に変化(劣化)したりしないことが
確かめられた。
【0496】実験例3 実験例1とは、正極電解液再調整液として、バナジウム
(V)イオンを含む硫酸(H2 SO4 )水溶液を用いる
以外は、実験例1と同一規格の電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池を新しく作製した。
【0497】より詳しくは、正極電解液再調整液とし
て、バナジウム(V)イオンを2モル(mol)/リッ
トル(liter)と、硫酸(H2 SO4 )を2モル
(mol)/リットル(liter)とを含有する水溶
液を、1リットル(liter)使用した。
【0498】次に、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池を用いて、実験例1と同様の試験を行なっ
たところ、実験例1と同様の試験結果が得られた。
【0499】なお、正極電解液再調整液を調整する際
に、バナジウム4価イオン(V4+)のみを2モル(mo
l)/リットル(liter)含む硫酸(H2 SO4
水溶液を用いても、バナジウム3価イオン(V3+)のみ
を、2モル(mol)/リットル(liter)含む硫
酸(H2 SO4 )水溶液を用いても、また、バナジウム
4価イオン(V4+)とバナジウム3価イオン(V3+)と
を合計で、2モル(mol)/リットル(liter)
含む硫酸(H2 SO4 )水溶液を用いても、実験例1と
同様の試験結果が得られることが確かめられた。
【0500】実験例4 実験例3と同一規格の電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池を、新しく作製した。
【0501】次に、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池を用いて、実験例2と同様の試験を行なっ
たところ、実験例2と同様の試験結果が得られた。
【0502】なお、正極電解液再調整液を調整する際
に、バナジウム4価イオン(V4+)のみを2モル(mo
l)/リットル(liter)含む硫酸(H2 SO4
水溶液を用いても、バナジウム3価イオン(V3+)のみ
を2モル(mol)/リットル(liter)含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液を用いても、バナジウム4価イオ
ン(V4+)とバナジウム3価イオン(V3+)との合計が
2モル(mol)/リットル(liter)含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液を用いても、実験例2と同様の試
験結果が得られることが確かめられた。
【0503】実験例5 (1) 電解液再調整装置付レドックスフロー型電池の
作製 実験例3と同一規格の電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池を、新しく作製した。
【0504】なお、実験例5で用いた電解液再調整装置
付レドックスフロー型電池の構成は、正極電解液再調整
液として、バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2
4)水溶液が用いられている以外は、実験例1と用い
た電解液再調整装置付レドックスフロー型電池91と同
様である。実験例5では、説明を容易とするため、図5
を参照しながら説明する。
【0505】(2) 電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池91のレドックスフロー型電池部93の初期
電池容量の測定 実験例2と同様にして、実験例3で用いた電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池91のレドックスフロー
型電池部93の、初回の電池放電時間を測定した。
【0506】このレドックスフロー型電池部93の、初
回の電池放電時間は、約1時間であった。
【0507】(3) レドックスフロー型電池部93の
電解液の劣化試験およびレドックスフロー型電池部93
の電解液再調整試験 レドックスフロー型電池部93の電解液の劣化試験 実験例2と同様にして、レドックスフロー型電池部93
の電解液を劣化させた。
【0508】次に、このレドックスフロー型電池部93
を用いて、電解液再調整装置92を駆動させることな
く、上記した手順1と同様の充電操作を行なった。
【0509】以上の操作により、このレドックスフロー
型電池部93では、充電末期に、負極9において、水素
ガス(H2 )が発生する状態を模擬できた。
【0510】次に、このレドックスフロー型電池部93
を用い、電解液再調整装置92を駆動させることなく、
上記した手順2と同様の放電操作を行なった。
【0511】この場合の、レドックスフロー型電池部9
3の、電池放電時間は、約40分になっていた。
【0512】 レドックスフロー型電池部93の電解
液再調整試験 次に、第1の電極24と短絡回路96の端子T96a
を、リード線(図示せず)を用い、接続し、第2の電極
25と短絡回路96の端子T96b とを、リード線(図示
せず)を用い、接続した。
【0513】次に、電解液再調整装置92を、適当な時
間、駆動させる以外は、レドックスフロー型電池部93
を用い、手順1と同様の充電操作と、手順2と同様の放
電操作を繰返し行なった。
【0514】より詳しくは、ポンプ29を用いて、正極
電解液を、所定の流量で、正極液タンク5と第1の電解
槽22間で、流通循環し、ポンプ32を用いて、正極電
解液再調整液を、所定の流量で、正極電解液再調整液槽
26および第2の電解槽23間で流通循環し、かつ、ス
イッチ素子SW8 を、ONの状態にして、電解液再調整
装置92を、適当な時間、駆動させながら、手順1と同
様の充電操作と、手順2と同様の放電操作を繰返し行な
った。
【0515】この場合、充放電操作を繰返すにつれ、レ
ドックスフロー型電池部93の電池放電時間は、徐々に
長くなることが確かめられた。
【0516】また、この操作によれば、電圧計95によ
り、電解液再調整装置92が、電池の放電反応を起こし
ていることが確かめられた。
【0517】実験例6 (1) 電解液再調整装置付レドックスフロー型電池の
作製 図6は、本実験例に用いた電解液再調整装置付レドック
スフロー型電池を概略的に示す構成図である。
【0518】図6を参照して、この電解液再調整装置付
レドックスフロー型電池101は、電解液再調整装置1
02と、レドックスフロー型電池部103とを備える。
【0519】電解液再調整装置102およびレドックス
フロー型電池部103のそれぞれの構成は、図2に示す
電解液再調整装置付レドックスフロー型電池41の電解
液再調整装置42およびレドックスフロー型電池部43
のそれぞれと同様であるので、相当する部材について
は、相当する参照符号を付して、その説明を省略する。
【0520】なお、図6では、説明を容易とするため、
電池反応セルとして、単セルが図示されているが、本実
験例では、電池反応セルとして、単セルが、7セル直列
に接続された積層型電池反応セルを用いている積層型電
池反応セルを構成する単セルのそれぞれは、隔膜7、正
極8および負極9を含む。
【0521】使用した材料は、以下のとおりであった。
正極8および負極9のそれぞれとして、電極面積が、5
00cm2 のものを使用した。
【0522】また、正極8および負極9を構成する電極
材料としては、カーボン繊維布を使用した。
【0523】また、この電池反応セルの集電板として
は、ガラス状カーボン板を使用した。正極電解液とし
て、バナジウム4価イオン(V4+)を2モル(mol)
/リットル(liter)と、硫酸(H2 SO4 )を2
モル(mol)/リットル(liter)とを含有する
水溶液を、5リットル(liter)準備した。
【0524】負極電解液として、バナジウム3価イオン
(V3+)を2モル(mol)/リットル(liter)
と、硫酸(H2 SO4 )を2モル(mol)/リットル
(liter)とを含有する水溶液を、5リットル(l
iter)準備した。
【0525】負極電解液再調整液として、硫酸(H2
4 )を2モル(mol)/リットル(liter)含
有する水溶液を、1リットル(liter)準備した。
【0526】また、電解液再調整装置92としては、積
層型電池反応セルを構成する単セルと同一規格の単セル
を1セル作製した。
【0527】また、外部電源(直流電源)97と、スイ
ッチ素子SW9 とを有する回路98を準備した。
【0528】また、回路98は、外部電源(直流電源)
97の正極側に接続される正極側端子P97と、外部電源
(直流電源)97の負極側に接続される負極側端子N97
とを備える。
【0529】外部電源(直流電源)97の定格電流値
は、約20Aとした。また、電圧計99と、スイッチ素
子SW10とを有する短絡回路100を準備した。
【0530】また、短絡回路100は、1対の端子T
100a、T100bとを備える。次に、正極電解液を正極液タ
ンク5に収容し、負極電解液を負極液タンク6内に収容
し、また、負極電解液再調整液を負極電解液再調整液槽
56内に収容した。
【0531】以上の工程により、電解液再調整装置付レ
ドックスフロー型電池101を作製した。
【0532】(2) 電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池101のレドックスフロー型電池部103の
初期電池容量の測定 以上の工程により作製された電解液再調整装置付レドッ
クスフロー型電池101を用い、電解液再調整装置10
2を駆動させることなく、レドックスフロー型電池部1
03について、通常の運転方法に従って、充電操作を行
ない、しかる後に放電操作を行ない、このレドックスフ
ロー型電池部103の、初回の電池放電時間を測定し
た。
【0533】充電操作は、上記した手順1と同様である
ので、ここでの説明は省略する。また、放電操作は、上
記した手順2と同様であるので、ここでの説明は省略す
る。
【0534】このレドックスフロー型電池部103の、
初回の電池放電時間は、約1時間であった。
【0535】(3) レドックスフロー型電池部103
の電解液の劣化試験およびレドックスフロー型電池部1
03の電解液再調整試験 レドックスフロー型電池部103の電解液の劣化試
験 実験例1と同様にして、レドックスフロー型電池部10
3の電解液を劣化させた。
【0536】次に、レドックスフロー型電池部103を
用い、電解液再調整装置102を駆動させることなく、
上記した手順1と同様の充電操作を行なった。
【0537】以上の操作により、このレドックスフロー
型電池部103では、充電末期に、正極8において、酸
素ガス(O2 )が発生する状態を模擬できた。
【0538】次に、このレドックスフロー型電池部10
3を用い、電解液再調整装置102を駆動させることな
く、上記した手順2と同様の放電操作を行なった。
【0539】この場合の、レドックスフロー型電池部1
03の、電池放電時間は、約40分になっていた。
【0540】この操作によれば、レドックスフロー型電
池部103の、負極電解液では、バナジウム2価イオン
(V2+)が過剰になっている。
【0541】逆に言えば、負極電解液では、バナジウム
3価イオン(V3+)が不足している。
【0542】 レドックスフロー型電池部103の電
解液再調整試験 次に、第1の電極54と負極側端子N97とを、リード線
(図示せず)を用い、接続し、第2の電極55と正極側
端子P97とを、リード線(図示せず)を用い、接続し
た。
【0543】次に、電解液再調整装置102を、適当な
時間、駆動させる以外は、レドックスフロー型電池部1
03を用い、手順1と同様の充電操作と、手順2と同様
の放電操作を繰返し行なった。
【0544】より詳しくは、ポンプ59を用いて、負極
電解液を、所定の流量で、負極液タンク6と第1の電解
槽52間で、流通循環し、ポンプ62を用いて、負極電
解液再調整液を、負極電解液再調整液槽56と第2の電
解槽53間で流通循環し、かつ、スイッチ素子SW
9 を、ONの状態にして、電解液再調整装置102を、
適当な時間、駆動させながら、手順1と同様の充電操作
と、手順2と同様の放電操作を繰返し行なった。
【0545】この場合、充電操作を繰返すにつれ、レド
ックスフロー型電池部103の電池放電時間は、徐々に
長くなり、最終的には、電池放電時間が、このレドック
スフロー型電池部103の当初の電池放電時間、すなわ
ち、1時間程度の電池容量にまで回復することが確認さ
れた。
【0546】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池101では、電解液再調整装置102を、
適当な時間、駆動させながら、レドックスフロー型電池
部103について、充放電操作を繰返しても、レドック
スフロー型電池部103の電池容量が、不可逆的に低下
したり、充放電特性が、不可逆的に変化(劣化)したり
しないことが確かめられた。
【0547】実験例7 (1) 電解液再調整装置付レドックスフロー型電池の
作製 図6を再び参照して、実施例6と同一規格の電解液再調
整装置付レドックスフロー型電池101を新しく作製し
た。
【0548】(2) 電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池101のレドックスフロー型電池部103の
初期容量値の測定 実験例6と同様にして、実験例7で用いた電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池101のレドックスフロ
ー型電池部103の、初回の電池容量を測定した。
【0549】レドックスフロー型電池部103の初回の
電池放電時間は、約1時間であった。
【0550】(3) レドックスフロー型電池部103
の電解液の劣化試験およびレドックスフロー型電池部1
03の電解液再調整試験 レドックスフロー型電池部103の電解液の劣化試
験 実験例2と同様にして、レドックスフロー型電池部10
3の電解液を劣化させた。
【0551】次に、このレドックスフロー型電池部10
3を用い、電解液再調整装置102を駆動させることな
く、上記した手順1と同様の充電操作を行なった。
【0552】以上の操作により、このレドックスフロー
型電池部103では、充電末期に、負極9において、水
素ガス(H2 )が発生する状態を模擬できた。
【0553】次に、このレドックスフロー型電池部10
3を用い、電解液再調整装置102を駆動させることな
く、上記した手順2と同様の放電操作を行なった。
【0554】この場合のレドックスフロー型電池部10
3の放電時間は、約40分になっていた。
【0555】この操作によれば、レドックスフロー型電
池部103の負極電解液では、バナジウム3価イオン
(V3+)が過剰になっている。
【0556】逆に言えば、負極電解液では、バナジウム
2価イオン(V2+)が不足している。
【0557】 レドックスフロー型電池部103の電
解液再調整試験 次に、第1の電極54と負極側端子N97とを、リード線
(図示せず)を用い、接続し、第2の電極55と正極側
端子P97とを、リード線(図示せず)を用い、接続し
た。
【0558】次に、電解液再調整装置102を、適当な
時間駆動させる以外は、レドックスフロー型電池部10
3を用い、手順1と同様の充電操作と、手順2と同様の
放電操作を繰返し行なった。
【0559】より詳しくは、ポンプ59を用いて、負極
電解液を、所定の流量で、負極液タンク6と第1の電解
槽52間で、流通循環し、ポンプ62を用いて、負極電
解液再調整液を、所定の流量で、負極電解液再調整液槽
56および第2の電解槽53間で、流通循環し、かつ、
スイッチ素子SW9 を、ONの状態にして、電解液再調
整装置102を、適当な時間、駆動させながら、手順1
と同様の充電操作と、手順2と同様の放電操作を繰返し
行なった。
【0560】この場合、充放電操作を繰返すにつれ、レ
ドックスフロー型電池部103の電池放電時間は、徐々
に長くなり、最終的には、電池放電時間が、このレドッ
クスフロー型電池部103の当初の電池放電時間、すな
わち、1時間程度の電池容量にまで回復することが確認
された。
【0561】また、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池101では、電解液再調整装置102を、
適当な時間、駆動させながら、レドックスフロー型電池
部103について、充放電操作を繰返しても、レドック
スフロー型電池部103の電池容量が、不可逆的に低下
したり、充放電特性が、不可逆的に変化(劣化)したり
しないことが確かめられた。
【0562】実験例8 実験例6とは、負極電解液再調整液として、バナジウム
(V)イオンを含む硫酸(H2 SO4 )水溶液を用いる
以外は、実験例6と同一規格の電解液再調整装置付レド
ックスフロー型電池を、新しく作製した。
【0563】より詳しくは、負極電解液再調整液とし
て、バナジウム(V)イオンを、2モル(mol)/リ
ットル(liter)と、硫酸(H2 SO4 )を、2モ
ル(mol)/リットル(liter)とを含有する水
溶液を、1リットル(liter)使用した。
【0564】次に、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池を用いて、実験例6と同様の試験を行なっ
たところ、実験例6と同様の試験結果が得られた。
【0565】なお、負極電解液再調整液を調整する際
に、バナジウム4価イオン(V4+)のみを2モル(mo
l)/リットル(liter)含む硫酸(H2 SO4
水溶液を用いても、バナジウム3価イオン(V3+)のみ
を2モル(mol)/リットル(liter)含む硫酸
(H2 SO4 )水溶液を用いても、また、バナジウム4
価イオン(V4+)とバナジウム3価イオン(V3+)と
を、合計で、2モル(mol)/リットル(lite
r)含む硫酸(H2 SO4 )水溶液を用いても、実験例
6と同様の試験結果が得られることが確かめられた。
【0566】実験例9 (1) 電解液再調整装置付レドックスフロー型電池の
作製 実施例6と、同一規格の電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池を新しく作製した。
【0567】なお、実験例9で用いた電解液再調整装置
付レドックスフロー型電池の構成は、負極電解液再調整
液として、バナジウム(V)イオンを含む硫酸(H2
4)水溶液が用いられている以外は、実験例6で用い
た電解液再調整装置付レドックスフロー型電池101と
同様である。
【0568】実験例9では、説明を容易とするため、図
6を参照しながら説明する。 (2) 電解液再調整装置付レドックスフロー型電池1
01のレドックスフロー型電池部103の初期電池容量
の測定 実験例6と同様にして、実験例9で用いた電解液再調整
装置付レドックスフロー型電池101のレドックスフロ
ー型電池部103の、初回の電池放電時間を測定した。
【0569】このレドックスフロー型電池部103の、
初回の電池放電時間は、約1時間であった。
【0570】(3) レドックスフロー型電池部103
の電解液の劣化試験およびレドックスフロー型電池部1
03の電解液再調整試験 レドックスフロー型電池部103の電解液の劣化試
験 実験例6と同様にして、レドックスフロー型電池部10
3の電解液を劣化させた。
【0571】次に、このレドックスフロー型電池部10
3を用い、電解液再調整装置102を駆動させることな
く、上記した手順1と同様の充電操作を行なった。
【0572】以上の操作により、このレドックスフロー
型電池部103では、充電末期に、正極8において、酸
素ガス(O2 )が発生する状態を模擬できた。
【0573】次に、このレドックスフロー型電池部10
3を用い、電解液再調整装置102を駆動させることな
く、上記した手順2と同様の放電操作を行なった。
【0574】この場合の、レドックスフロー型電池部1
03の放電時間は、約40分になっていた。
【0575】 レドックスフロー型電池部103の電
解液再調整試験 次に、第1の電極54と、短絡回路100の端子T100a
とを、リード線(図示せず)を用い、接続し、第2の電
極55と、短絡回路100の端子T100bとを、リード線
(図示せず)を用い、接続した。
【0576】次に、電解液再調整装置102を、適当な
時間駆動させる以外は、レドックスフロー型電池部10
3を用いて、手順1と同様の充電操作と、手順2と同様
の放電操作を繰返し行なった。
【0577】より詳しくは、ポンプ59を用いて、負極
電解液を、所定の流量で、負極液タンク6と第1の電解
槽52間で、流通循環し、ポンプ62を用いて、所定の
流量で、負極電解液再調整液を、負極電解液再調整液槽
56および第2の電解槽53間で、流通循環し、かつ、
スイッチ素子SW9 を、ONの状態にして、電解液再調
整装置102を、適当な時間、駆動させながら、手順1
と同様の充電操作と、手順2と同様の放電操作を繰返し
行なった。
【0578】この場合、充放電操作を繰返すにつれ、レ
ドックスフロー型電池部103の電池放電時間は、徐々
に長くなることが確かめられた。
【0579】また、この操作によれば、電解液再調整装
置92が、電池を構成し、電解液再調整装置92が、電
池の放電反応を起こしていることが、電圧計99によ
り、確かめられた。
【0580】実験例10 実験例6と、同一規格の電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池を、新しく作製した。
【0581】次に、この電解液再調整装置付レドックス
フロー型電池を用いて、実験例7と同様の試験を行なっ
たところ、実験例7と同様の試験結果が得られた。
【0582】なお、負極電解液再調整液を調整する際
に、バナジウム4価イオン(V4+)のみを2モル(mo
l)/リットル(liter)含む硫酸(H2 SO4
水溶液を用いても、バナジウム3価イオン(V3+)のみ
を、2モル(mol)/リットル(liter)含む硫
酸(H2 SO4 )水溶液を用いても、また、バナジウム
4価イオン(V4+)とバナジウム3価イオン(V3+)と
を、合計で、2モル(mol)/リットル(lite
r)含む硫酸(H2 SO4 )水溶液を用いても、実験例
7と同様の試験結果が得られることが確かめられた。
【0583】なお、以上の実施例に関する開示は、本発
明の単なる具体例にすぎず、本発明の技術的範囲を何ら
制限するものではない。
【0584】本明細書に記載した好ましい実施例は、例
示的なものであり、限定的なものではない。
【0585】なお、本実施例では、説明を容易とするた
め、充電末期において、負極9において、水素ガスが発
生する場合と、充電末期において、正極8において、酸
素ガスが発生する場合とに、場合分けをして説明した
が、このような現象を検出する手段は、公知の種々の検
知手段を用いることができる。
【0586】たとえば、そのような検知手段として、モ
ニタ用の電池反応セルを用い、正極、負極のそれぞれの
充電状態を測定してもよく、また、モニタ用の電池反応
セル内をモニタ用のカメラ等の撮影手段により撮影して
もよく、また、正極液タンク5内の上方に、酸素ガス濃
度検出装置や、負極液タンク6内の上方に、水素ガス濃
度検出装置を設け、そのような装置を用い、それぞれ、
酸素濃度、水素濃度を検出してもよい。
【0587】発明の範囲は、特許請求の範囲に記載され
ており、請求項の意味の中に含まれるすべての変形例
は、本願発明に含まれるものである。
【0588】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、第1およ
び第2の発明に従う電解液再調整装置付電解液流通型電
池では、いずれも、電解液再調整装置を構成する第2の
電解槽内には、硫酸を含む水溶液が用いられ、高原子価
状態の第1の金属イオンと低原子価状態の第1の金属イ
オンとを含む電解液として、硫酸を含む水溶液が用いら
れ、低原子価状態の第2の金属イオンと高原子価状態の
第2の金属イオンとを含む電解液として、硫酸を含む水
溶液が用いられている。
【0589】第1および第2の発明に従う電解液再調整
装置付電解液流通型電池では、常時または必要に応じ
て、適宜、電解液再調整装置を駆動させることにより、
電解液流通型電池部の電池容量を維持することができ、
また、電解液再調整装置を用い、電解液を再調整する際
に、電解液再調整装置から、有毒なガスが発生しないこ
とはもちろん、電解液再調整装置付電解液流通型電池の
電池容量が、不可逆的に低下したり、充放電特性が、不
可逆的に変化(劣化)したりしないという効果を有す
る。
【0590】また、第1および第2の発明に従う電解液
再調整装置付電解液流通型電池では、高原子価状態の第
1の金属イオンとして、バナジウム5価イオン(V5+
を用い、低原子価状態の第1の金属イオンとして、バナ
ジウム4価イオン(V4+)を用い、低原子価状態の第2
の金属イオンとして、バナジウム2価イオン(V2+)を
用い、高原子価状態の第2の金属イオンとして、バナジ
ウム3価イオン(V3+)を用いた場合でも、電解液再調
整装置付電解液流通型電池を構成する電解液流通型電池
部の充電末期に生じる種々の副反応に対応し、適切に、
電解液再調整装置を駆動させることにより、長時間にわ
たり、電解液の組成を維持し、ひいては、電池性能を維
持することができるという効果を有する。
【0591】また、第1および第2の発明に従う電解液
再調整装置付電解液流通型電池によれば、電解液再調整
装置として、電解液流通型電池部の電池反応セルを、そ
のまま用いることができるという利点がある。
【0592】したがって、電解液再調整装置を新たに技
術開発する必要がなく、また、電解液再調整装置付電解
液流通型電池の製造コストを低く抑えることができるの
で、電解液再調整装置付電解液流通型電池を安価に提供
することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池を概略的に示す構成図である。
【図2】本発明に従う電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池を概略的に示す構成図である。
【図3】本発明に従う電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池を概略的に示す構成図である。
【図4】本発明に従う電解液再調整装置付レドックスフ
ロー型電池を概略的に示す構成図である。
【図5】本実験例に用いた電解液再調整装置付レドック
スフロー型電池を概略的に示す構成図である。
【図6】本実験例に用いた電解液再調整装置付レドック
スフロー型電池を概略的に示す構成図である。
【図7】従来のレドックスフロー型電池の一具体例を概
略的に示す構成図である。
【図8】特開昭63−304580号公報に記載される
従来の電解液再調整装置付レドックスフロー型電池を概
略的に示す構成図である。
【図9】特開平1−112672号公報に記載される従
来の電解液再調整装置付レドックスフロー型電池を概略
的に示す構成図である。
【図10】従来のバナジウム(V)系レドックスフロー
型電池を概略的に示す構成図である。
【符号の説明】
1、41 電解液再調整装置付レドックスフロー型電池 2、42 電解液再調整装置 3、43 レドックスフロー型電池部 4 電池反応セル 4a 正極セル 4b 負極セル 5 正極液タンク 6 負極液タンク 7、21、51 隔膜 8 正極 9 負極 10 正極液供給用管路 11 正極液回収用管路 12、15、29、32、59、62 ポンプ 13 負極液供給用管路 14 負極液回収用管路 22、52 第1の電解槽 23、53 第2の電解槽 24、54 第1の電極 25、55 第2の電極 26 正極電解液再調整液槽 27 正極液再調整用供給用管路 28 正極液再調整用回収用管路 30 正極電解液再調整液供給用管路 31 正極電解液再調整液回収用管路 33、63 外部電源(直流電源) 34、64 回路 35、65 スイッチ手段 38、68 気液分離器 56 負極電解液再調整液槽 57 負極液再調整用供給用管路 58 負極液再調整用回収用管路 60 負極電解液再調整液供給用管路 61 負極電解液再調整液回収用管路 P33、P63 正極側端子 N33a 、N33b 、N63a 、N63b 負極側端子 SW1 、SW2 、SW3 、SW4 スイッチ素子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隔膜により分離された第1の電解槽と第
    2の電解槽と、前記第1の電解槽内に収容された第1の
    電極と、前記第2の電解槽内に収容された第2の電極と
    を備える、電解液再調整装置と、 高原子価状態の第1の金属イオンと低原子価状態の第1
    の金属イオンとを含む電解液を貯蔵する正極液タンク
    と、 低原子価状態の第2の金属イオンと高原子価状態の第2
    の金属イオンとを含む電解液を貯蔵する負極液タンク
    と、 前記第1の電解槽と前記正極液タンクとの間で、前記高
    原子価状態の第1の金属イオンと低原子価状態の第1の
    金属イオンとを含む電解液を流通循環するための配管系
    とを備え、 前記第2の電解槽内には、硫酸を含む水溶液が用いら
    れ、 前記高原子価状態の第1の金属イオンと低原子価状態の
    第1の金属イオンとを含む電解液として、硫酸を含む水
    溶液が用いられ、 前記低原子価状態の第2の金属イオンと高原子価状態の
    第2の金属イオンとを含む電解液として、硫酸を含む水
    溶液が用いられ、 前記第1の電解槽内に取り出された前記高原子価状態の
    第1の金属イオンを、前記第1および第2の電極を用い
    て、電気化学的に、低原子価状態の第1の金属イオンに
    変えて、前記正極液タンクに戻す、および/または、前
    記第1の電解槽内に取出された前記低原子価状態の第1
    の金属イオンを、前記第1および第2の電極を用いて、
    電気化学的に、高原子価状態の第1の金属イオンに変え
    て、正極液タンクに戻す、電解液再調整装置付電解液流
    通型電池。
  2. 【請求項2】 隔膜により分離された第1の電解槽と第
    2の電解槽と、前記第1の電解槽内に収容された第1の
    電極と、前記第2の電解槽内に収容された第2の電極と
    を備える、電解液再調整装置と、 高原子価状態の第1の金属イオンと低原子価状態の第1
    の金属イオンとを含む電解液を貯蔵する正極液タンク
    と、 低原子価状態の第2の金属イオンと高原子価状態の第2
    の金属イオンとを含む電解液を貯蔵する負極液タンク
    と、 前記第1の電解槽と前記負極液タンクとの間で、前記低
    原子価状態の第2の金属イオンと高原子価状態の第2の
    金属イオンとを含む電解液を流通循環するための配管系
    とを備え、 前記第2の電解槽内には、硫酸を含む水溶液が用いら
    れ、 前記高原子価状態の第1の金属イオンと低原子価状態の
    第1の金属イオンとを含む電解液として、硫酸を含む水
    溶液が用いられ、 前記低原子価状態の第2の金属イオンと高原子価状態の
    第2の金属イオンとを含む電解液として、硫酸を含む水
    溶液が用いられ、 前記第1の電解槽内に取り出された前記低原子価状態の
    第2の金属イオンを、前記第1および第2の電極を用い
    て、電気化学的に、高原子価状態の第2の金属イオンに
    変えて、前記負極液タンクに戻す、および/または、前
    記第1の電解槽内に取出された前記高原子価状態の第2
    の金属イオンを、前記第1および第2の電極を用いて、
    電気化学的に、低原子価状態の第2の金属イオンに変え
    て、負極液タンクに戻す、電解液再調整装置付電解液流
    通型電池。
  3. 【請求項3】 前記高原子価状態の第1の金属イオン
    は、バナジウム5価イオン(V5+)であり、 前記低原子価状態の第1の金属イオンは、バナジウム4
    価イオン(V4+)であり、 前記低原子価状態の第2の金属イオンは、バナジウム2
    価イオン(V2+)であり、 前記高原子価状態の第2の金属イオンは、バナジウム3
    価イオン(V3+)であることを特徴とする、請求項1ま
    たは請求項2に記載の電解液再調整装置付電解液流通型
    電池。
  4. 【請求項4】 前記第2の電解槽内に用いられる、硫酸
    を含む水溶液は、さらに、バナジウム(V)イオンを含
    むことを特徴とする、請求項3に記載の電解液再調整装
    置付電解液流通型電池。
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