JPH0721127Y2 - スライドファスナーの封鎖装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、スライドファスナーを閉鎖した状態から、
開放を禁止するスライドファスナーの封鎖装置に関す
る。

〔従来の技術〕

スライドファスナーで開放口が開閉される例えば通い袋
によって商品などを送る場合に、その途中で開放されな
いように閉鎖状態を保持しておく必要がある場合が多く
ある。こうした場合に、スライドファスナーを開閉する
スライダーの摺動を阻止することによって解決される。
ところで、従来一般に知られているスライダーの摺動を
阻止する手段として、例えばカバン等に設けてあるよう
にロック装置によるもの、また一対のスライダーを互い
に突き合わせてスライドファスナーを閉鎖し、その両ス
ライダーより突出した環状の接合子を左右に重合し、両
接合子に亘って指し通した南京錠で結合するもの（実公
昭56-20971号公報参照）などがある。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述の摺動を阻止する手段では合鍵が必要であり、殊に
通い袋の場合には届け先に合鍵をも送る必要がある。ま
た前述の一対のスライダーを南京錠で結合せず、針金を
差し通し、その両端部を鉛などで封印しておくことも考
えられるが、封鎖した状態が外部に露出しており、故意
に簡単に取り去られる恐れが多分にあり、しかも輸送中
に他物に引っ掛かって脱落したり、ファスナーテープ部
に、あるいはスライドファスナーを取付けた通い袋等に
傷を付ける場合もあった。

更に、対向する両スライダーを互いに封鎖されても、両
スライダー間のエレメントが未噛合のままに残るもの
で、これはスライドファスナーの構造上避けられないも
のである。このスライドファスナーを布製の通袋の如く
柔軟性のある包装体に取付けた場合に、前記未噛合部分
に強い横引力を与えると、両スライダーは互いに結合し
た状態を保つているが、スライドファスナーの既噛合部
分が両スライダー内を通じて引き込まれて、Ｕ字状に垂
れ下がりつつ開口してしまうものであり、単に両スライ
ダーを結合しても完全な封鎖ができないという問題があ
った。

この考案は以上の欠点を解決することにあり、封鎖状態
が外部に露出されず、故意に解除されることがなく、し
かも簡単な操作でスライダーの摺動を確実に阻止するこ
とが出来るスライドファスナーの封鎖装置を提供するこ
とにある。

〔課題を解決するための手段〕

この考案による解決手段は、一対のスライダーを互いに
頭部を相対向して挿通してあると共に、両スライダーの
先頭部より突設した環状の接合子が互いに重合して付き
合うスライドファスナーに対する封鎖装置であって、前
記互いに重合した環状の接合子の両側より突入して両接
合子の分離を阻止する一対の締結部材とから成り、この
両締結部材はそれぞれ接合子の側面を覆う鍔部と、該鍔
部より突設し接合子の貫通孔内で互いに離脱不能に係合
する係合子と、鍔部の下部に設けられスライダーの外側
面を覆うガード部で構成したものである。

更に他の解決手段は、スライダーと上止具がそれぞれの
相対向する先頭部より突出した環状の接合子が互いに重
合して付き合うスライドファスナーを対象とするもの
で、スライダーと上止具より突出する環状の接合子に対
して、前記手段と同様の手段で離脱不能に係合するよう
に構成したものである。尚、この解決手段では、ガード
部はスライダーと上止具の外側面を覆うものである。

〔作用〕

従って、互いに重合した両接合子の貫通孔内に、一対の
締結部材の各係合子を両側より突入し、その貫通孔内で
互いに離脱不能に結合してスライダーの摺動を阻止する
ものである。また上述のように封鎖された状態を解除す
る時には、一対の締結部材の何れか一方の部材の鍔部と
接合子との隙間にカッターを挿入し、係合子の基部を切
断するものである。

以上のようにスライドファスナーを封鎖した際、両スラ
イダー間のエレメントが未噛合のままに残るが、本考案
では前述のように締結部材に両スライダー、またはスラ
イダーと上止具の両外側面に亘ってガード部によって覆
うため、このガード部によって横引力に対するチェーン
割れを阻止し、確実な封鎖状態を維持するものである。

〔実施例〕

この考案を具体的に説明すると、第１図に第１実施例を
示しているように、スライドファスナー１に一対のスラ
イダー2,2をそれらの頭部が互いに突き合うように挿通
してあり、その両スライダー2,2の上翼先頭部より環状
の接合子3,3を、両スライダー2,2を突き合わした際に互
いに左右に重合可能に突設してある。上記スライドファ
スナー１を対象として雌体と雄体からなる一対の雌結部
材5,6によって、重合した両接合子3,3の貫通孔4,4内で
封鎖するものである。

雌体となる締結部材５は合成樹脂で成形してあって、第
１図と第２図に示しているように、一方の接合子３の外
側面を覆う鍔部７と、鍔部７の下に連ねて突き合う両ス
ライダー2,2の外側面を連続して覆うガード部８を備
え、鍔部７の中央部に、接合子３の貫通孔４内へ突入す
る筒体よりなる係合孔９が突設してあり、該係合子９
に、その周壁より係合子９の内方へ、且つ後方が自由端
となるように繰り出した少なくとも一対の弾片10,10を
設け、各弾片10,10の自由端となっている各後端部に、
係合子９の内方へ向かって突出する爪片11,11を設けた
ものである。尚、合成樹脂で成形する関係上、鍔部７に
係合子９内に通じる通孔があけられる。

雄体となる締結部材６は合成樹脂で成形してあって、第
１図と第３図に示しているように、他方の接合子３の外
側面を覆う鍔部12と、鍔部12の下に連ねて突き合う両ス
ライダー2,2の外側面を連続して覆うガード部13を備え
ている点は、前記雌体による締結部材５と同様で、雄の
締結部材６の鍔部12に雌の締結部材５の筒体よりなる係
合子９内に突入する棒体よりなる係合子14が突設してあ
り、該棒体の係合子14の外周に、断面が鋸刃状をなす数
条の係合環状溝15……を形成し、係合子14の基部側に雌
の締結部材５の係合子９内へ密嵌する膨大部16を鍔12よ
り間隔をあけて設けてある。更に、第５図に角度θによ
って示しているように、鍔12の係合子14を突出している
側の内面12aが、上端より係合子14に至るにしたがって
順次肉厚になるように傾斜してある。

尚、前記の鋸刃状の係合環状溝15の形態は、係合子14の
基端側の径が太く、先端側へ順次細くなるテーパー状に
形成したものである。またこの係合環状溝15は単に１個
のみであっても良いが、前述のように、雌の締結部材５
の鍔部７に係合子９内に通じる通孔があるため、その孔
より爪片11が係止している状態を可視されることにな
る。従ってこれを防止することから、数条の係合環状溝
15を設け、先端から２番目の溝15に係合できるように形
成することが好ましい。しかし雌の締結部材５を通孔が
できないように成形することが出来れば、１個の係合環
状溝15で充分である。また、雄の締結部材６の鍔部12に
前記の如く傾斜面を設けているが、雌の締結部材５の鍔
部７にも同様に傾斜面を設けても良い。しかし双方に設
ける必要がなく片方のみで充分である。

上記雌の締結部材５と雄の締結部材６とを使用してスラ
イドファスナー１の開放を封鎖する場合には、両スライ
ダー2,2を互いに突き合わせる方向に摺動することによ
りスライドファスナー１が閉鎖されると共に、両接合子
3,3が左右に重合するから、その一側より両接合子3,3の
貫通孔4,4内に雌の係合子９を、鍔部７が接合子３に当
接するまで突入し、次いで雄の係合子14を雌の係合子９
内に、同じく鍔部12が接合子３に当接するまで圧入すれ
ば、雌の爪片11が雄の係合環状溝15に係合し、雌雄両締
結部材5,6が互いに一体的に結合して離脱不能な状態に
取付けられるものである。従って重合した両接合子3,3
が分離不能に連結されてスライドファスナー１を封鎖す
るものである。しかも雄の係合子14に設けた膨大部16が
雌の係合子９内に密嵌するので、係合子14が安定した状
態に保たれ、爪片11と係合環状溝15との係合関係を確実
に保持するものである。

上述の如く封鎖されたスラドファスナー１を開放する時
には、雄の鍔部12の内面12aが傾斜しており、接合子３
との間に僅かに隙間があいているので、その隙間より鋏
あるいは小刀などのカッターを入れて、雄の係合子14の
基部を切断することにより、雄の鍔部12が取り外され、
雄の係合子14の大半は雌の係合子９内に嵌まったまま残
されるが、雌の締結部材５を引き抜くことができ、抜き
取ることによって両スライダー2,2を開放する方向に摺
動して、スライドファスナー１を開放することが出来る
ものである。

しかも両締結部材5,6にガード部8,13を有し、各ガード
部8,13によって両スライダー2,2間に存在する未噛合状
態にあるファスナーエレメント部の側方を覆うために、
ファスナーテープに加わる横引き力によって開放しよう
とする作用を阻止するものである。

次ぎに第６図はこの考案の第２実施例であって、１個の
スライダー２と上止具17を備えたスライドファスナー１
であって、上止具17はスライドファスナー１におけるス
ライダー２の先頭部と対向する端部に固着してあり、ス
ライダー２と上止具17の互いに相対向する先頭部に環状
の接合子3,3が突設したもので、スライダー２を上止具1
7に突き合わした際に、両接合子3,3が互いに左右に重合
するもので、上記両接合子3,3を利用し、一対の雌雄体
よりなる締結部材5,6によって、スライダー２を摺動不
能に封鎖するものである。

上記雌雄の締結部材5,6は前記第１実施例と同様のもの
で、その雌体は鍔部７、ガート部８、筒状の係合子９、
弾片10、及び爪片（図示せず）を備え、また雄体は、鍔
部12、ガード部13、棒状の係合子14、環状係合溝15、及
び膨大部16を備えるものである。尚、この実施例はスラ
イダー２と上止具17との組み合わせによるものであるか
ら、前記両ガード部8,13はスライダー２に対向する側に
のみ設ければ良い。

第７図は、スライダー２と上止具17に設けた環状の接合
子3,3の類例を示すもので、図示では上止具17に設けて
いるが、一方の接合子3aを平行した二叉に形成し、他方
の接合子3bを二叉内に嵌まる単一となしたもので、互い
に重合した際に一方の単一接合子3bが二叉の接合子3a内
に挾まり込むように形成したものである。

第８図と第９図は一対の締結部材5,6の類例を示すもの
で、両締結部材5,6は互いに同一の構造を持つものであ
って、重合した両接合子3,3または3a,3bの両側より突入
して封鎖できるように構成したものである。そこで前記
例との違いは、鍔部７より突設した係合子９が、棒状を
なしその先端に係合突起部18を設け、該係合突起部18に
鍔部側へ連続して係合凹部19を設けたものである。更に
係合子９の鍔部より突出する基部に溝部20が設けてあ
る。該溝部20は、封鎖後のカッターによる切断時に刃の
切り込みを容易にするものである。尚ガード部８は、前
述の各例と同様に鍔部の両側にあるいは片側に設けるも
のである。

上記の締結部材5,6によって封鎖する場合、同一の構造
であるが左右に相対向した際に、係合突起部18,18が互
いに対称に位置するため、重合した両接合子3,3または3
a,3bの両側より突入することにより、双方の係合突起部
18,18が相手の係合凹部19,19に係合し、離脱不能に保持
されるものである。

〔考案の効果〕

この考案によるスライドファスナーの封鎖装置であれ
ば、相対向する一対のスライダーを突き合わせた際に、
両スライダーより突設した各環状の接合子が互いに重合
する形態のスライドファスナー、及び一つのスライダー
を上止具に突き合わせた際に、スライダーと上止具より
突設した各環状の接合子が互いに重合する形態のスライ
ドファスナーを対象とし、これらのスライドファスナー
を閉鎖した状態において、重合した接合子の貫通孔内へ
両側より、一対の締結部材より突設する係合子を突入す
ることにより、貫通孔内において両係合子が互いに離脱
不能に係合するもので、下記する効果が得られる。

一対の締結部材が重合する両接合子を挾んで結合するた
め、その取付け操作が容易である。

また、互いに離脱不能に係合する係合子が両接合子の貫
通孔内に存在し、外部より全く見えないので、互いに係
合している係合子を外す操作が全く不可能となり、故意
にカッターで切断されない以上、封鎖を確実に保持する
ものである。

更に、封鎖した際、ガード部で両スライダーの外側面を
覆うため、両スライダー間の未噛合部分のより以上の開
口が阻止され、強い横引力を加えても未噛合部分からチ
ェーン割れすることがなく、完全な封鎖が行われるもの
である。

また仮に一旦カッターで切断すると以後元の状態に復元
できないので、他人によって故意に切断される恐れが殆
どなく、安全性の高い封鎖手段となるものである。

更に、開封する時には、カッターで係合子を切断するの
みで取外すことができ、開封のための操作も容易になる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による第１実施例によるスライドファ
スナーの封鎖装置を分解して示す斜視図、第２図は雌体
の締結部材を示す断面図、第３図は雄体の締結部材を示
す断面図、第４図は封鎖状態を示す断面図、第５図は雄
体の締結部材を示す側面図、第６図はこの考案による第
２実施例によるスライドファスナーの封鎖装置を分解し
て示す斜視図、第７図は環状の接合子の類例を示す斜視
図、第８図は締結部材の類例を示す斜視図、第９図は第
８図に示す例の締結部材による封鎖状態を示す断面図で
ある。 １……スライドファスナー、２……スライダー、3,3a,3
b……接合子、４……貫通孔、5,6……締結部材、８……
ガード部、7,12……鍔部、9,14……係合子、15……係合
環状溝、17……上止具

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一対のスライダー（2,2）が互いに頭部を
   相対向して挿通してあると共に、両スライダー（2,2）
   の各先頭部より突設した環状の接合子（3,3）が互いに
   重合して付き合うスライドファスナー（１）に対する封
   鎖装置であって、前記互いに重合した環状の接合子（3,
   3）の両側より突入して両接合子（3,3）の分離を阻止す
   る一対の締結部材（5,6）とから成り、この両締結部材
   （5,6）はそれぞれ接合子（３）の側面を覆う鍔部（7,1
   2）と、該鍔部より突設し接合子（3,3）の貫通孔（４）
   内で互いに離脱不能に係合する係合子（9,14）と、鍔部
   （7,12）の下部に設けられスライダー（2,2）の外側面
   を覆うガード部（8,13）で構成してあることを特徴とす
   るスライドファスナーの封鎖装置
2. 【請求項２】スライダー（２）と上止具（17）がそれぞ
   れの相対向する先頭部より突出した環状の接合子（3,3,
   3a,3b）が互いに重合して付き合うスライドファスナー
   （１）の封鎖装置であって、前記互いに重合した環状の
   接合子の両側より突入して両接合子の分離を阻止する一
   対の締結部材（5,6）とから成り、この両締結部材はそ
   れぞれ接合子の側面を覆う鍔部（7,12）と、該鍔部より
   突設し接合子の貫通孔（４）内で互いに離脱不能に係合
   する係合子（9,14）と、鍔部（7,12）の下部に設けられ
   スライダー（２）と上止具（17）の外側面を覆うガード
   部（8,13）で構成してあることを特徴とするスライドフ
   ァスナーの封鎖装置