JPH0720380B2 - 高電圧発生装置用電力調整装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は高電圧発生装置用電力調整装置に関する。

（従来の技術） たとえばイオン加速器などに使用する直流高電圧を発生
させる場合、商用交流電圧を昇圧してからこれを全波整
流して得るようにしている。この場合その電力を調整す
る必要のあるときは、従来では商用交流電力をサイリス
タ電力調整器によって調整するのを普通としている。

第３図はその従来の構成を示し、１は商用交流電源、２
はサイリスタ電力調整器で、互いに逆並列に接続された
サイリスタ回路３によって構成されてあり、４は昇圧用
の変圧器、５は全波整流回路、６は平滑用のコンデン
サ、７は電圧測定用の抵抗器、８は分圧器、９は負荷
で、ここではたとえばイオン加速器が示されている。10
は制御装置である。

以上の構成において、商用交流電源１からの電力はサイ
リスタ電力調整器２によって調整され、そのあと変圧器
４によって昇圧されてから、全波整流回路５によって整
流され、コンデンサ６によって平滑される。得られた直
流高電圧は負荷９に印加される。印加電圧は抵抗器７と
分圧器８とによって測定され、分圧器８からの出力が制
御装置10に与えられる。この制御装置10からの出力によ
りサイリスタ回路３の点弧位相角は、負荷９への希望す
る電力に応じて調整される。

この構成ではサイリスタ電力調整器２は商用交流電源２
からの電力を０％〜100％の範囲にわたって調整する。
すなわち第４図において波形Ａを商用交流電源１の電圧
波形とするとき、サイリスタの点弧角を遅くすると出力
電圧は波形Ｂのように小さくなり、また逆に進めると波
形Ｃのように大きくなる。

しかしこのようなサイリスタの位相角制御による調整手
段によると、異常時には瞬時に電力の供給を停止するこ
とができる利点があるが、その反面これからの出力波形
は第２、第３その他の高調波を含んだものとなり、その
ため直流出力のリップルが大きくなるとともに、偶数調
波の状態によっては直流変圧器の鉄心に偏磁が発生した
りすることがある。

（発明が解決しようとする問題点） この発明は直流出力にリップルを生じることなく直流高
電圧を調整自在に発生するようにするとともに、異常時
には瞬時に電力の供給を停止させることができるように
することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） この発明は商用交流電源の電圧をサイリスタ位相スイッ
チを介して誘導電圧調整器に与え、これからの出力を昇
圧変圧器によって昇圧するとともに、これを全波整流回
路で整流して直流高電圧を得るようにし、異常時にはオ
フ状態とされる前記サイリスタ位相スイッチを、これか
らの出力が常時前記商用交流電源の電圧波形と同じとな
るようにゼロ電圧スイッチ制御するとともに、これから
の電圧を前記誘導電圧調整器によって調整するようにし
たことを特徴とする。

（実施例） この発明の実施例を図によって説明する。なお第３図と
同じ符号を付した部分は同一または対応する部分を示
す。この発明にしたがい商用交流電源１の電圧はサイリ
スタ位相スイッチ11に与えられる。このスイッチ11は第
３図のサイリスタ電力調整器２と同じような構成とされ
ている。しかしここではその点弧角の調整によってこれ
からの出力を調整する作用はしない。すなわちサイリス
タ位相スイッチを常時はゼロ電圧スイッチ制御する。し
たがってこれからの出力は商用交流電源１の電圧と常時
は同じ波形となる。

前記サイリスタ位相スイッチ11からの出力は誘導電圧変
調器12に与えられ、ここでこの電圧が増減自在に調整さ
れる。調整された電圧は以後第３図の場合と同じく昇圧
変圧器４によって昇圧され、また全波整流回路５で整流
されてからコンデンサ６により平滑され、負荷９に供給
される。

電力調整は分圧器８からの出力によって制御装置13に与
えられ、ここで希望する供給電力に応じて誘導電圧調整
器12が調整される。たとえば第２図において商用交流電
源１の電圧波形にしたがって前記サイリスタ位相スイッ
チ11からの出力電圧の波形をＡとすると、希望する供給
電力を減少したい場合は、誘導電圧調整器12によって波
形Ｂで示すように波高値を低下させ、また逆に増加した
い場合は波形Ｃで示すように波高値を高くする。なお図
中の点線で示す波形は波形Ａと同じ波形である。

この調整によって負荷９への供給電力を希望する値に調
整することができるようになる。この場合誘導電圧調整
器12からの電圧したがって昇圧変圧器４からの電圧の波
形は、商用交流電源１の波形と同じであって、第４図に
示すような歪はなんら生じることがない。よって高調波
を含むことはなく、また高調波によるリップルの発生な
どもない。

一方異常状態が発生した場合は、これを分圧器８が検出
し、これによって制御装置13が動作して、前記サイリス
タ位相スイッチ11のすべてのサイリスタ回路３をオフと
してしまう。これによって異常事態が発生したとき、瞬
時のうちに負荷９への出力の供給を停止させることがで
きるようになる。

なお負荷９への電力の供給の開始、終了は、前記サイリ
スタ位相スイッチ11のサイリスタ回路３の点弧によって
行われる。したがって供給電力の立ち上がり、および立
ち下がりに要する時間は極めて短くてすむようになる。
また負荷によってはソフトスタート、ソフトダウンが要
求されることがあるが、その場合は前記サイリスタ位相
スイッチ11のサイリスタ回路３の点弧角を、たとえば数
サイクルの期間にわたって次第に進めて（または遅くし
て）いくようにすればよく、誘導電圧調整器を操作する
必要はなくなる。

（発明の効果） 以上詳述したようにこの発明によれば、電圧波形に歪を
起させることなく、かつ高調波の発生をみることもな
く、直流高電圧を発生することができるとともに、従来
と同様に異常時には瞬時のうちに電力の供給を停止させ
ることができるといった効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例を示す回路図、第２図は動作
説明用の波形図、第３図は従来例の回路図、第４図は動
作説明用の波形図である。 １……商用交流電源、３……サイリスタ回路、４……昇
圧変圧器、５……全波整流装置、10……制御装置、11…
…サイリスタ位相スイッチ、12……誘導電圧調整器、

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】商用交流電源の電圧がサイリスタ位相スイ
   ッチを介して与えられる誘導電圧調整器からの出力を昇
   圧する昇圧変圧器と、前記昇圧変圧器からの出力を全波
   整流して直流高電圧を得る全波整流回路とからなり、異
   常時にはオフ状態とされる前記サイリスタ位相スイッチ
   を、これからの出力が常時前記商用交流電源の電圧波形
   と同じとなるようにゼロ電圧スイッチング制御するとと
   もに、これからの電圧を前記誘導電圧調整器によって調
   整自在とした高電圧発生装置用電力調整装置。