JPH07202291A - 圧電セラミックスの製造方法 - Google Patents

圧電セラミックスの製造方法

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JPH07202291A
JPH07202291A JP35367893A JP35367893A JPH07202291A JP H07202291 A JPH07202291 A JP H07202291A JP 35367893 A JP35367893 A JP 35367893A JP 35367893 A JP35367893 A JP 35367893A JP H07202291 A JPH07202291 A JP H07202291A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハンダリフロー処理等により高温にさらされ
た場合でも、圧電性の劣化が格段に小さい圧電セラミッ
クスを提供することであり、このような高い耐熱性を、
新規組成を開発することなしに従来のリード付き部品用
組成において実現する。 【構成】 圧電セラミックスの分極処理工程において、
Tc (キュリー温度)における抵抗率が1.0×107
Ω・cm以下の圧電セラミックスを、Tc 以上の温度まで
昇温した後、室温まで冷却する際に、少なくとも圧電セ
ラミックスの温度がTc であるときに、圧電セラミック
スに印加される電界の強度が0.8 kV/mm以下となるよ
うに電流を流す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電セラミックスの製
造方法、特に、熱による圧電性の劣化を抑えることが可
能な分極処理を含む製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン酸ジルコン酸鉛系、チタン酸鉛系
等の圧電セラミックスは、例えば、各種フィルタやレゾ
ネータ等の通信分野、超音波センサや角速度センサ等の
センサ応用分野、超音波モータや各種アクチュエータ用
素子等の動的応用分野、あるいは、この他、ブザーや圧
電トランス等など、非常に広い分野に利用されている。
【0003】圧電セラミックスの圧電特性は、焼結後に
分極処理を施すことにより発現する。固相反応により焼
成された圧電セラミックスは、一般に多数の分域(ドメ
イン)にわかれている。個々の分域内では自発分極が一
定の方向に揃っているが、全体としては自発分極を殆ど
示さない。このため、圧電性を利用するためには、セラ
ミックスに外部から電界を印加して、全分域の自発分極
を一方向に揃える処理を施す必要がある。この処理が分
極処理であり、すべての分域の自発分極が一方向に完全
に揃った状態で、圧電セラミックスは最も大きな圧電性
を示す。圧電セラミックスの分極処理は、通常、圧電セ
ラミックスをシリコン油中に浸漬し、圧電セラミックス
のキュリー温度未満の温度で電界を印加する方法(以
下、通常分極処理という)により行なわれる。シリコン
油中に浸漬するのは、分極処理の際に高電圧を印加する
必要があるためである。分極処理の際の電界印加時間、
電界強度、処理温度は、圧電セラミックスの材質に応じ
て最適な組み合わせが選択される。
【0004】圧電性を向上させる分極方法としては、例
えば、破壊電圧以下で直流パルス電圧を印加する方法
(特開昭61−268085号公報)や、交流電界印加
時の誘電損による発熱を利用して分域配列を不安定に
し、その後に直流電界を印加する方法(特公昭46−4
710号公報)などが提案されている。これらの公報の
実施例では、室温または常温で3 kV/mm以上の高電界を
印加している。
【0005】特公昭43−1349号公報には、「チタ
ン酸ジルコン酸鉛系磁器組成中、常温において反強誘電
相、高温において強誘電相を呈する反強誘電性磁器に対
しその磁器が反強誘電相から強誘電相に転移する転移点
以上の温度に保持して直流電圧を印加する」方法が開示
されている。この方法では、20 kV/cm、すなわち2kV
/mmの直流電界を印加している。
【0006】特開平3−150880号公報には、「圧
電素子の分極工程において、該圧電素子をキュリー温度
以上に加熱し、電界を印加しながら冷却する」分極方法
が開示されている。この分極方法は、圧電セラミックス
の圧電変位ヒステリシスを抑えるためのものである。同
公報には、印加電界の好ましい範囲として1〜5 kV/mm
が開示されており、印加電界が低すぎると分極が不完全
になる旨が記載されている。同公報の実施例では、キュ
リー温度260℃の素子に対して、270℃で2.0 k
V/mmまたは3.0 kV/mmの高電界を印加している。
【0007】以上に挙げた従来の分極方法は、いずれも
圧電性の向上など、圧電性セラミックス単体での性能向
上を目的としている。しかし、以下に説明するように、
近年、圧電性セラミックスには耐熱性の向上、すなわ
ち、加熱によって圧電性が劣化しないことが求められて
いる。
【0008】近年、電子機器の小型化、薄型化に伴な
い、電子部品においても従来のディスクリート部品から
SMD(表面実装型部品)への移行が急がれている。S
MDでは、プリント基板に実装される際にハンダリフロ
ー炉を通すため、耐熱性が高いこと、すなわち、ハンダ
リフロー炉を通ることによる電気的特性の劣化が少ない
ことが要求される。ディスクリート部品では、加工段階
の接着、膜形成工程や製品化段階での熱処理、接着など
の際に、高くても200℃を超えない程度の熱が加わる
だけであるが、SMDでは、ハンダリフロー炉を通す際
に200〜260℃程度の範囲で熱が5〜30秒間程度
加わるため、ディスクリート部品用に開発された通常の
圧電セラミックスをSMD部品に適用した場合、圧電性
の著しい劣化が生じてしまう。このため、SMD部品用
に、耐熱性の良好な組成をもつ圧電セラミックスの開発
が行なわれている(特開平5−17218号公報、特開
平5−139829号公報等)。しかし、新規組成の開
発はコスト高を招く。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものである。本発明の目的は、ハンダリ
フロー処理等により高温にさらされた場合でも、圧電性
の劣化が格段に小さい圧電セラミックスを提供すること
であり、このような高い耐熱性を、新規組成を開発する
ことなしに従来のリード付き部品用組成において実現す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(8)の本発明により達成される。 (1)圧電セラミックスの分極処理工程において、Tc
(キュリー温度)における抵抗率が1.0×107 Ω・
cm以下の圧電セラミックスを、Tc 以上の温度まで昇温
した後、室温まで冷却する際に、少なくとも圧電セラミ
ックスの温度がTc であるときに、圧電セラミックスに
印加される電界の強度が0.8 kV/mm以下となるように
電流を流すことを特徴とする圧電セラミックスの製造方
法。 (2)圧電セラミックスの到達温度がTc +100℃以
上である上記(1)の圧電セラミックスの製造方法。 (3)圧電セラミックスの温度がTc +50℃以上であ
るときから圧電セラミックスに電界を印加して冷却する
上記(1)または(2)の圧電セラミックスの製造方
法。 (4)圧電セラミックスの温度がTc −50℃以下とな
るまで圧電セラミックスに電界を印加し続ける上記
(1)〜(3)のいずれかの圧電セラミックスの製造方
法。 (5)圧電セラミックスの温度がTc となったとき以
降、定電流を流しながら冷却する上記(1)〜(4)の
いずれかの圧電セラミックスの製造方法。 (6)圧電セラミックスの温度がTc となったとき以降
の少なくとも一部において、圧電セラミックスに印加す
る電界強度を、Tc における電界強度以上の一定値に保
ちながら冷却する上記(1)〜(5)のいずれかの圧電
セラミックスの製造方法。 (7)圧電セラミックスが、チタン酸ジルコン酸鉛系ま
たはチタン酸鉛系である上記(1)〜(6)のいずれか
の圧電セラミックスの製造方法。 (8)圧電セラミックスのTc が280℃以上である上
記(1)〜(7)のいずれかの圧電セラミックスの製造
方法。
【0011】
【作用および効果】従来、圧電セラミックスの分極処理
は、上述したように、圧電セラミックスのキュリー温度
(Tc )未満のシリコン油中で3 kV/mm以上の高電界を
印加する方法により行なわれているが、本発明では、圧
電セラミックスを空気中でTc 以上まで加熱し、室温ま
で降温する際に少なくともTc において圧電セラミック
スに電流を流す。本発明におけるこのような分極処理方
法を、以下、高温分極処理という。本発明が対象とする
圧電セラミックスは、抵抗率が低く定電流制御が可能な
ものであり、具体的には、Tc における抵抗率が1.0
×107 Ω・cm以下のものである。
【0012】本発明ではこのような分極処理を行なうこ
とにより、圧電セラミックスの耐熱性を飛躍的に改善す
ることができる。すなわち、従来、ハンダリフロー炉を
通した後に圧電性の著しい劣化が認められた組成のもの
であっても、本発明にしたがって高温分極処理された場
合には、圧電性の劣化は格段に小さくなる。したがっ
て、本発明により分極処理された圧電セラミックスは、
SMD用に好適である。また、熱による劣化が小さいた
め、後工程での共振周波数の調整幅が少なくて済み、工
程の簡略化が可能である。また、高温分極処理は、発熱
量の多い高パワーのアクチュエータ用圧電セラミックス
にも好適である。この場合、使用時の発熱による特性劣
化を防ぐことができる。
【0013】通常分極処理では、通常、3 kV/mm以上の
高電界を印加しなければ十分な分極が不可能であった
が、本発明では、Tc において圧電セラミックスに印加
される電界の強度が0.8 kV/mm以下と低いので、電源
装置のコストを低くすることができる。また、厚みすべ
り振動モードを利用する製品の場合には、分極時に圧電
セラミックスの長手方向に電圧を印加することになるた
め、電界強度を低くできることは大きなメリットとな
る。
【0014】また、本発明をチタン酸鉛系等の自発分極
が大きい圧電セラミックスに適用した場合、通常分極よ
りも圧電性を向上させることができる。
【0015】Tc での抵抗率が比較的低い圧電セラミッ
クスに従来の通常分極処理を適用する場合、局所的な発
熱や絶縁破壊を避けるために、抵抗率が高くなる低い温
度で分極処理を行なっているが、十分な分極が困難とな
ることがある。本発明における高温分極処理では、電流
を流すので十分な分極が可能となり、しかも絶縁破壊が
起こらない。
【0016】本発明では、圧電セラミックスをシリコン
油中に浸漬しないため、分極処理後に有機溶剤による洗
浄が不要であり、環境汚染のおそれがない。
【0017】上記した特開平3−150880号公報で
は、圧電セラミックスをTc 以上に加熱して電界を印加
しながら冷却する方法が記載されている。同公報記載の
圧電セラミックスのTc は260℃であるが、Tc がこ
のように低い場合、Tc における抵抗率は一般に1×1
8 Ω・cm以上となるので、本発明による効果は実現し
ない。また、この方法では印加する電界が強すぎるた
め、上述したように作業上危険である。なお、抵抗率が
1.0×107 Ω・cm以下の圧電セラミックスに、同公
報のように1 kV/mm以上の高電圧を印加した場合、均一
に電流が流れなくなって局所的に発熱する。そして、圧
電セラミックス全体に均等に電圧が加わらなくなるた
め、分極が不十分となり、良好な圧電性が得られない。
【0018】なお、Tc 以上の温度に加熱して分極処理
を施す方法は、LiTaO3 やLiNbO3 等の単結晶
圧電材料においては一般的である。これらの単結晶圧電
材料は低温での絶縁抵抗が大きいので、LiTaO3
場合は600℃程度、LiNbO3 の場合は1200℃
程度の温度まで加熱して電圧を印加する。これらの温度
はいずれもTc より数十度程度高い。このように高温が
必要なので、単結晶圧電材料の分極処理をシリコン油中
で行なうことは不可能である。Tc を超える温度で電圧
を印加する点において、単結晶圧電材料の分極処理と本
発明における高温分極処理とは類似する。しかし、単結
晶圧電材料は単分域であり、圧電セラミックスの組織構
造とは全く異なる。本発明では、圧電セラミックスの耐
熱性改善のために、抵抗率の低い圧電セラミックスを選
択してこれにTc 付近で電流を流すのであり、本発明
は、単結晶圧電材料の分極処理を圧電セラミックスの分
極処理に単に転用したものではない。
【0019】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0020】本発明が対象とする圧電セラミックスは、
キュリー温度Tc における抵抗率が1.0×107 Ω・
cm以下、好ましくは8×106 Ω・cm以下のものであ
る。Tc における抵抗率が1.0×107 Ω・cm以下の
圧電セラミックスでは、Tc において、流した電流にほ
ぼ対応する電圧を発生させて良好な分極処理をすること
ができる。しかし、Tc における抵抗率が1.0×10
7 Ω・cmを超えると、Tc において殆ど電流を流すこと
ができず、圧電セラミックスに電圧が直接印加されるこ
とになり、本発明の効果が実現しない。すなわち、本発
明では、電気抵抗率の比較的小さい圧電セラミックスに
電流を流し、これにより生起される電圧によって分極を
行なう。なお、Tc における抵抗率は、好ましくは1.
0×10-3Ω・cm以上、より好ましくは1.0×10-4
Ω・cm以上である。Tc における抵抗率が低すぎると、
十分な電界強度を得ることが難しくなり、良好な圧電性
が得にくくなる。
【0021】本発明では、Tc における抵抗率が上記範
囲であれば圧電セラミックスの組成は特に限定されず、
例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系やチタン酸鉛系等の各
種圧電セラミックスの分極処理に本発明を適用すること
ができる。具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛系では、
基本組成系としてPbTiO3 −PbZrO3 やPbT
iO3 −PbZrO3 −Pb(B1 ・B2 )O3 系(た
だし、B1 ・B2 は、Zn1/3 Nb2/3 、Co1/3 Nb
2/3 、Mg1/3 Nb2/3 、Mn1/3 Nb2/3 、Ni1/3
Nb2/3 、Sn1/3 Nb2/3 、Sn1/3 Sb2/3 、Mn
1/3 Sb2/3 )を中心とし、AサイトのPbの一部をア
ルカリ土類元素または希土類元素で少量置換したもの
や、上記基本組成系に、Cr23 やWO3 、MnO2
等、基本組成系に含まれない元素を少量添加した組成が
挙げられる。チタン酸鉛系では、基本組成としてPbT
iO3 −CaTiO3 を中心とし、Caをその他のアル
カリ土類元素または希土類元素で置換したもの、上記基
本組成系に、Cr23 やNb25 、MnO2 、Bi
23 等、基本組成系に含まれない元素を少量添加した
組成が挙げられる。
【0022】本発明が適用対象とする圧電セラミックス
のTc は特に限定されないが、Tcにおける抵抗率が上
記範囲の圧電セラミックスのTc は、通常、280℃以
上である。そして、Tc がこの程度であれば、ハンダリ
フロー炉での高温処理に十分に耐えることができる。
【0023】本発明では、このような圧電セラミックス
の分極処理工程において、圧電セラミックスをそのTc
以上の温度まで昇温した後、室温まで冷却する。そし
て、この冷却の際、少なくとも圧電セラミックスの温度
がTc であるときに圧電セラミックスに電流を流す。
【0024】Tc において圧電セラミックスに印加する
電界の強度は、0.8 kV/mm以下、好ましくは0.5 k
V/mm以下とし、また、好ましくは0.02 kV/mm以上、
より好ましくは0.05 kV/mm以上とする。本発明で用
いる低抵抗率の圧電セラミックスに、0.8 kV/mmを超
える電界を印加した場合、圧電セラミックス内に電流が
均一に流れなくなって局所的に発熱したり、絶縁破壊が
生じたりする。一方、電界の強度が弱すぎると分極が不
十分となる。
【0025】分極処理の際には、まず、圧電セラミック
スをTc 以上の温度まで昇温する。このときの圧電セラ
ミックスの到達温度は、好ましくはTc +100℃以
上、より好ましくはTc +200℃以上である。圧電セ
ラミックスはTc 付近では圧電性が残っているため、到
達温度がTc に近すぎると、分極処理の際に自発分極を
揃えることが十分にできなくなって圧電性が不十分とな
り、特に、圧電性の熱劣化が生じやすくなる。
【0026】Tc 以上の温度まで昇温された圧電セラミ
ックスの自発分極を揃えるためには、冷却の際、Tc と
なったときに、所定の電界が印加されるように電流を流
していればよい。この場合、Tc のときだけに電流を流
す構成としてもよいが、好ましくはTc +50℃以上、
より好ましくはTc +100℃以上であるときから電流
を流す。そして、Tc から室温まで冷却する際の熱的擾
乱による分域のランダム化を防ぐために、圧電セラミッ
クスの温度がTc 未満となってからも電界を印加し続け
ることが好ましく、特に、圧電セラミックスの温度がT
c −50℃以下となるまで電界を印加し続けることが好
ましい。
【0027】圧電セラミックスの冷却速度は特に限定さ
れないが、通常、60〜600℃/時間程度とすること
が好ましい。
【0028】圧電セラミックスの温度がTc となったと
き以降も電界印加を続ける場合、電流密度が一定値とな
るように定電流制御を行なってもよく、Tc となったと
き以降の少なくとも一部において電界強度を一定値に保
つ定電圧制御を行なってもよい。少なくとも一部におい
て定電圧制御を行なうとは、圧電セラミックスの温度が
Tc 未満であるときに定電流制御から定電圧制御に切り
換えるか、あるいは、Tc となったとき以降、定電圧制
御を行なうことを意味する。定電圧制御を行なう際に圧
電セラミックスに印加する電界強度は、Tc において印
加する電界強度以上であることが好ましい。このような
電界強度で定電圧制御を行なえば、熱的擾乱の影響を十
分に防ぐことができる。
【0029】定電圧制御を行なうのは、圧電セラミック
スの過度の発熱を避けるためである。圧電セラミックス
は降温に伴なって抵抗率が上昇するため、Tc 未満にお
いても定電流制御を続けると、発熱が増大する。良好な
圧電性および耐熱性を得るために、圧電セラミックスに
は組成に応じた最適な強度の分極電流を流すが、この電
流強度が比較的大きい場合に定電流制御を行なうと、圧
電セラミックスの発熱量が大きくなりすぎ、かえって圧
電性を損なうことがある。したがって、このような場
合、定電圧制御を利用することが好ましい。
【0030】Tc における電流密度の好ましい範囲は圧
電セラミックスの組成などによって異なるので、良好な
圧電性が得られるように実験によって決定すればよい
が、通常、0.3〜36mA/cm2である。分極処理直後に
良好な圧電性が得られるような電流密度でないと、耐熱
性も低くなってしまう。
【0031】分極処理される圧電セラミックスの製造方
法は特に限定されず、一般のセラミックスを製造する際
に慣用されている方法を用いればよい。すなわち、P
b、Ti、Zr等の圧電セラミックス構成元素の化合物
を、所定の割合で配合し、ボールミルなどを用いて十分
に粉砕混合する。前記化合物としては、酸化物または焼
成により酸化物に変わりうる化合物、例えば炭酸塩、水
酸化物、シュウ酸塩、硝酸塩等を用いることができる。
得られた混合物を、700〜900℃程度で仮焼する。
次いで、仮焼物を粉砕し、水およびバインダーを加えて
混練した後、0.2〜5ton/cm2 程度の圧力を加えて所
定形状に加圧成形する。得られた成形体を、1150〜
1250℃程度の温度において2〜4時間程度焼結す
る。焼結は大気中で行うこともできるが、酸素雰囲気中
でホットプレスまたは熱間静水圧プレスにより焼結すれ
ば、より緻密な焼結体を得ることができる。焼結後、上
述した分極処理を施す。
【0032】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0033】<実施例1>出発原料として、PbO、Z
rO2 、TiO2 、MgCO3 、Nb25 、Cr2
3 を、以下の組成となるように秤量し、ボールミルによ
り24時間混合・粉砕した。
【0034】Pb{(Mg1/3 −Nb2/30.05Ti
0.45Zr0.50}O3 +0.2重量%Cr23
【0035】混合物を、脱水、乾燥した後、空気中にお
いて850℃で2時間仮焼し、仮焼粉を再度ボールミル
により24時間粉砕し、脱水乾燥した。得られた粉体に
バインダーとしてPVAを2重量%加え、造粒後、4t/
cm2 の圧力で成形して、直径20mm、厚さ0.5mmの成
形体とした。この成形体を、焼成こうばちに入れ、大気
中で焼成した。焼成時の昇温速度は200℃/時間と
し、1200℃に2時間保持した。焼成体を、長さ6.
4mm、幅3.9mm、厚さ0.23mmの板状に加工し、十
分洗浄したのち、成膜装置で金電極(5mm×3mm)を形
成し、電気特性評価用のサンプルとした。
【0036】このサンプルにAu端子を接続し、図1に
示す構成の高温分極装置の中に入れ、プレシジョンLC
Rメータにより容量の温度特性を600℃まで測定し
て、このサンプルのTc を求めた。また、マルチメータ
を用い、4端子法によりTc における抵抗値を求めた。
この結果、Tc は365℃であり、Tc における抵抗値
は61 kΩ(0.4×106 Ω・cm)であった。
【0037】次に、高温分極装置により、このサンプル
を600℃から室温まで電流を流しながら冷却して、分
極を行なった。サンプルに流す電流は0.45mA(3.
0mA/cm2)に設定し、室温までこの電流を保持した。冷
却速度は5℃/min とした。Tc における電界強度は
0.12 kV/mmであった。なお、サンプルに流した電流
値は、この組成において最も高い電気機械結合係数(K
t)が得られる値であり、予め実験を行なって決定し
た。以下の実施例についても同様である。
【0038】分極処理したサンプルを1昼夜放置した
後、ハンダ耐熱試験を行なった。まず、インピーダンス
アナライザにより厚み縦振動モードの共振子特性(K
t)を評価した。これを初期特性とした。次に、サンプ
ルをアルミホイルにくるんで250℃に設定したハンダ
糟に30秒間浸すハンダ耐熱試験を行ない、1昼夜放置
した後、再度厚み縦振動モードの共振子特性をインピー
ダンスアナライザによって評価した。このハンダ耐熱試
験を合計5回繰り返し、各試験後のKtから、初期のK
tに対する変化率を求めた。結果を図2に示す。
【0039】<比較例1>実施例1で作製した電気特性
評価用のサンプルをシリコン油中に浸漬し、120℃に
保って3.0 kV/mmの電界を20分間印加することによ
り、分極処理を行なった。
【0040】分極処理後のサンプル表面のシリコン油を
十分に洗浄し、1昼夜放置した後、実施例1と同様にし
てハンダ耐熱試験を行ない、Kt変化率を求めた。結果
を図2に示す。
【0041】図2に示されるように、Tc を超える温度
から冷却する際に定電流を流して分極した実施例1で
は、シリコン油中においてTc 未満で分極した比較例1
に比べ、ハンダ耐熱試験後のKt劣化が格段に小さい。
【0042】<実施例2>出発原料として、PbO、Z
rO2 、TiO2 、MgCO3 、Nb25 、MnCO
3 、CoO、Cr23 を、以下の組成となるように秤
量し、ボールミルにより24時間混合・粉砕した。
【0043】Pb{(Mg1/3 −Nb2/30.05Ti
0.47Zr0.48}O3 +0.2重量%Cr23 +0.2
重量%MnCO3 +0.2重量%CoO
【0044】混合物を、脱水、乾燥した後、空気中にお
いて850℃で2時間仮焼し、仮焼粉を再度ボールミル
により24時間粉砕し、脱水乾燥した。得られた粉体に
バインダーとしてPVAを2重量%加え、造粒後、4t/
cm2 の圧力で成形して、直径20mm、厚さ1.0mmの成
形体とした。この成形体を、焼成こうばちに入れ、大気
中で焼成した。焼成時の昇温速度は200℃/時間と
し、1200℃に2時間保持した。焼成体を、直径15
mm、厚さ0.5mmの円盤状に加工し、十分洗浄したの
ち、成膜装置で金電極(直径13mm)を形成し、電気特
性評価用のサンプルとした。
【0045】このサンプルにAu端子を接続し、実施例
1と同様にして、Tc およびTc における抵抗値を求め
た。この結果、Tc は365℃であり、Tc における抵
抗値は82.9 kΩ(2.2×106 Ω・cm)であっ
た。
【0046】次に、実施例1と同様に高温分極装置を用
いて、このサンプルを600℃から室温まで電流を流し
ながら冷却することにより、分極を行なった。サンプル
に流す電流は1.51mA(1.14mA/cm2)に設定し、
室温までこの電流を保持した。冷却速度は5℃/min と
した。Tc における電界強度は0.25 kV/mmであっ
た。
【0047】分極処理したサンプルを1昼夜放置した
後、実施例1と同様にしてハンダ耐熱試験を行なった。
ただし、この実施例では、ハンダ槽に浸す回数は1回と
し、ハンダ槽の温度を図3に示すように変えて、それぞ
れの試験後にKtを求めた。結果を図3に示す。
【0048】<比較例2>実施例2で作製した電気特性
評価用のサンプルをシリコン油中に浸漬し、120℃に
保って3.0 kV/mmの電界を20分間印加することによ
り、分極処理を行なった。
【0049】このようにして分極したサンプルに対し、
実施例2と同様にしてハンダ耐熱試験を行ない、Ktを
求めた。結果を図3に示す。
【0050】図3に示されるように、本発明により分極
した実施例2は、従来の方法で分極した比較例2に比
べ、高温によるKtの劣化が著しく小さい。なお、実施
例2において、サンプルの温度が250℃まで下がった
ときに600 V(1.2 kV/mm)の定電圧制御に切り換
え、この定電圧制御の状態で電流を流しながら室温まで
冷却したところ、実施例2と同等のハンダ耐熱性を示し
た。
【0051】<実施例3>実施例2と同様にして焼成体
を作製した。ただし、寸法は、長さ15mm、幅0.5m
m、厚さ5mmとした。まず、この焼成体の0.5mm×5m
mの端面を鏡面加工た。次に、15mm×0.5mmの端面
にAuペーストを塗布し、850℃で焼き付けて電極と
し、実施例2と同様に高温分極処理を施した。ただし、
サンプルに流す電流は0.09mA(1.14mA/cm2)に
設定し、室温までこの電流を保持した。冷却速度は5℃
/min とした。Tc における電界強度は0.25 kV/mm
であった。分極方向(電界印加方向)は、厚さ方向であ
る。分極処理後、Ktを測定したところ、43%であっ
た。
【0052】次いで、焼成体の鏡面加工面(分極方向と
平行な面)をエッチング液(HCl:HF:H2 O=
1:1:100)で5秒間処理した後、処理面のSEM
(走査型電子顕微鏡)写真を撮影した。このSEM写真
を図4に示す。
【0053】また、高温分極処理後、250℃でハンダ
耐熱試験を行なった焼成体についても、同様にしてSE
M写真を撮影した。このSEM写真を図5に示す。
【0054】<比較例3>実施例3と同様にして焼成体
を作製し、比較例2と同様に通常分極処理を施した。分
極処理後のKtは43%であり、実施例3と同じであっ
た。分極処理後、実施例3と同様にしてSEM写真を撮
影した。このSEM写真を図6に示す。また、通常分極
処理後に、実施例3と同様にしてハンダ耐熱試験を行な
った焼成体についても、同様にしてSEM写真を撮影し
た。このSEM写真を図7に示す。
【0055】図4に示されるように、実施例3において
本発明にしたがって高温分極処理した焼成体の結晶粒内
には、分極時の電界印加方向(図中左右方向)に対し垂
直な面を中心として配向している筋状の構造が明瞭に観
察される。この筋状の構造は、分域を示すものと推定さ
れる。そして、ハンダ耐熱試験後の図5では、結晶粒内
の筋状の構造が殆ど明瞭度を減じることなく観察され
る。
【0056】これに対し、図6に示される比較例3の焼
成体の結晶粒内には、明瞭な筋状の構造は殆ど認められ
ず、ハンダ耐熱試験後の図7では、筋状の構造はほぼ完
全に消失している。
【0057】結晶粒内の筋状の構造の詳細を調べるため
に、実施例3の分極後(ハンダ耐熱試験前)の焼成体と
比較例3の分極後(ハンダ耐熱試験前)の焼成体とにつ
いて、まず、鏡面加工面を残して数百ミクロンまで削り
落とし、さらに、イオンエッチングを行なった後、TE
M(透過型電子顕微鏡)写真を撮影した。実施例3の焼
成体のTEM写真を図8に、比較例3のTEM写真を図
9に示す。図8では筋状構造が明瞭に認められるが、図
9では、筋状構造が殆ど認められないことがわかる。
【0058】<実施例4>出発原料として、PbO、T
iO2 、Bi23 、CaCO3 、MnO2 、Nb2
5 を用い、これらを以下の組成(モル比)となるように
秤量し、ボールミルにより24時間混合・粉砕した。
【0059】0.76PbTiO3 +0.22CaTi
3 +0.01Bi23 +0.02MnO2 +0.0
15Nb25
【0060】混合物を、脱水、乾燥した後、空気中にお
いて900℃で2時間仮焼し、仮焼粉を再度ボールミル
により24時間粉砕し、脱水乾燥した。得られた粉体に
バインダーとしてPVAを2重量%加え、造粒後、2t/
cm2 の圧力で成形して、35mm×10mm×10mmの成形
体とした。この成形体を、焼成こうばちに入れ、大気中
で焼成した。焼成時の昇温速度は200℃/時間とし、
1200℃に2時間保持した。焼成体を、30mm×0.
41mm×7.3mmに加工し、十分洗浄したのち、30mm
×0.41mmの両端面にAuペーストを塗布し、850
℃で焼き付けて電極とした。この電極にAu端子を接続
し、実施例1と同様にして、焼成体のTc およびTc に
おける抵抗値を求めた。この結果、Tc は310℃であ
り、Tcにおける抵抗値は23.7 MΩ(4×106 Ω
・cm)であった。
【0061】次に、実施例1と同様に高温分極装置を用
いて、電源の電圧の制限値を1.97 kV に設定して、
0.07mA(0.6mA/cm2)の定電流を流しながら60
0℃から焼成体の降温を開始した。Tc (310℃)に
おける電圧は1.83 kV (0.25 kV/mm)であり、
300℃で制限電圧の1.97 kV となり、定電圧制御
に切り替わった。その後、室温まで定電圧で分極処理を
行なった。冷却速度は5℃/min とした。
【0062】このようにして分極処理された焼成体を1
昼夜放置した後、図10に示すように形状加工して電極
を形成し、電気特性測定用のサンプルとした。このサン
プルについて、インピーダンスアナライザによって厚み
すべり振動モードの共振子特性を測定した。結果を表1
に示す。なお、表1において、Frは共振周波数、tは
サンプルの厚さ、ROは共振インピーダンス、Zaは反
共振インピーダンス、qは共振インピーダンスの山谷比
{q=20・log(Za/RO)}、K15は厚みすべ
り振動モードの電気機械結合係数、Cdは容量である。
その後、サンプルをアルミホイルにくるみ、250℃に
設定したはんだ糟に30秒間浸し、1昼夜放置した後、
再び厚みすべり振動モードの共振子特性をインピーダン
スアナライザによって測定した。ハンダ耐熱試験後のK
15の変化率(ΔK15)および容量変化率(ΔCd)を表
1に示す。
【0063】<比較例4>実施例4で作製した焼成体を
シリコン油中に浸漬し、150℃に保って4.5kV/mm
の電界を20分間印加することにより、分極処理を行な
った。分極方向は実施例4と同じにした。分極処理後の
サンプルを実施例4と同様にして加工し電極を形成し
て、図10に示す構造の電気特性測定用のサンプルとし
た。このサンプルについても、実施例4と同様な測定を
行なった。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】表1に示されるように、実施例4のサンプ
ルは比較例4のサンプルよりもqが大きく、K15も向上
している。そして、比較例3ではハンダ耐熱試験による
特性変動がみられるが、実施例3では特性変動は全く認
められない。この結果から、チタン酸鉛系圧電セラミッ
クスでは、高温分極処理により圧電性の熱劣化が防げる
と共に、圧電性自体も向上することがわかる。
【0066】<比較例5>出発原料として、PbO、Z
rO2 、TiO2 、SrCO3 、Nb25 を、以下の
組成となるように秤量し、ボールミルにより24時間混
合・粉砕した。
【0067】Pb0.9 Sr0.10(Ti0.45Zr0.55)O
3 +0.5重量%Nb25
【0068】混合物を、脱水、乾燥した後、空気中にお
いて850℃で2時間仮焼し、仮焼粉を再度ボールミル
により24時間粉砕し、脱水乾燥した。得られた粉体に
バインダーとしてPVAを2重量%加え、造粒後、4t/
cm2 の圧力で成形して、直径20mm、厚さ1.0mmの成
形体とした。この成形体を、焼成こうばちに入れ、大気
中で焼成した。焼成時の昇温速度は200℃/時間と
し、1200℃に2時間保持した。焼成体を、直径12
mm、厚さ0.5mmの円盤状に加工し、十分洗浄したの
ち、成膜装置により金電極(直径10.1mm)を700
℃で焼き付け、電気特性評価用のサンプルとした。
【0069】このサンプルにAu端子を接続し、実施例
1と同様にしてTc を求めたところ、230℃であっ
た。なお、Tc 決定のための容量の温度特性測定は、4
00℃までとした。絶縁抵抗計によりTc における抵抗
値を求めたところ、100 MΩ(5×108 Ω・cm)で
あった。
【0070】次に、高温分極装置を用い、電源の電圧の
制限値を711 Vに設定して、0.77mAの定電流を流
しながら400℃からサンプルの降温を開始したが、抵
抗値の上昇によってTc より高い温度で711 Vに達
し、そのままTc を通過して室温まで定電圧状態で分極
処理することになった。Tc における電界強度は1.4
22 kV/mmであった。
【0071】このようにして分極処理されたサンプルを
1昼夜放置した後、インピーダンスアナライザによって
径広がり振動モードの共振子特性を測定した。その後、
サンプルをアルミホイルにくるみ、200℃に設定した
はんだ糟に30秒間浸し、1昼夜放置した後、再び径広
がり振動モードの共振子特性をインピーダンスアナライ
ザによって測定した。結果を表2に示す。なお、表2に
おいて、Frは共振周波数、Faは反共振周波数、Kr
は径広がり振動モードの電気機械結合係数、Qmは機械
的品質係数、Cdは容量である。
【0072】<比較例6>比較例5で作製した電気特性
評価用のサンプルをシリコン油中に浸漬し、120℃に
保って3.0 kV/mmの電界を20分間印加することによ
り、分極処理を行なった。次いで、分極処理後のサンプ
ル表面のシリコン油を十分に洗浄した後、1昼夜放置
し、比較例5と同様にして径広がり振動モードの共振子
特性を測定を行ない、さらに200℃でのハンダ耐熱試
験後にも同様な測定を行なった。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】表2に示すように、Tc における抵抗率が
1.0×107 Ω・cm を超える圧電セラミックスについ
ては、比較例5の高温分極処理と比較例6の通常分極処
理とで、ハンダ耐熱試験後のKr(径広がり振動モード
の電気機械結合係数)変化率やΔFr(共振周波数のシ
フト)に大きな差は認められない。
【0075】以上の結果から、Tc における電気抵抗率
が1.0×107 Ω・cm以下の圧電セラミックスをTc
以上の温度まで昇温し、所定の電界強度となるように電
流を流しながら冷却することにより分極処理を施す本発
明の効果が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温分極装置により圧電セラミックスに分極処
理を施すときの説明図である。
【図2】ハンダ耐熱試験の繰り返し回数と、Kt(電気
機械結合係数)変化率との関係を示すグラフである。
【図3】ハンダ耐熱試験におけるハンダ槽の温度と、ハ
ンダ耐熱試験後のKt(電気機械結合係数)との関係を
示すグラフである。
【図4】結晶構造を示す図面代用写真であって、実施例
3における分極処理後のサンプル断面のSEM写真であ
る。
【図5】結晶構造を示す図面代用写真であって、実施例
3におけるハンダ耐熱試験後のサンプル断面のSEM写
真である。
【図6】結晶構造を示す図面代用写真であって、比較例
3における分極処理後のサンプル断面のSEM写真であ
る。
【図7】結晶構造を示す図面代用写真であって、比較例
3におけるハンダ耐熱試験後のサンプル断面のSEM写
真である。
【図8】結晶構造を示す図面代用写真であって、実施例
3における分極処理後のサンプル断面のTEM写真であ
る。
【図9】結晶構造を示す図面代用写真であって、比較例
3における分極処理後のサンプル断面のTEM写真であ
る。
【図10】厚みすべり振動モードにおける電気特性評価
用サンプルを説明するための斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 智久 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 立本 一志 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電セラミックスの分極処理工程におい
    て、Tc (キュリー温度)における抵抗率が1.0×1
    7 Ω・cm以下の圧電セラミックスを、Tc以上の温度
    まで昇温した後、室温まで冷却する際に、少なくとも圧
    電セラミックスの温度がTc であるときに、圧電セラミ
    ックスに印加される電界の強度が0.8 kV/mm以下とな
    るように電流を流すことを特徴とする圧電セラミックス
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 圧電セラミックスの到達温度がTc +1
    00℃以上である請求項1の圧電セラミックスの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 圧電セラミックスの温度がTc +50℃
    以上であるときから圧電セラミックスに電界を印加して
    冷却する請求項1または2の圧電セラミックスの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 圧電セラミックスの温度がTc −50℃
    以下となるまで圧電セラミックスに電界を印加し続ける
    請求項1〜3のいずれかの圧電セラミックスの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 圧電セラミックスの温度がTc となった
    とき以降、定電流を流しながら冷却する請求項1〜4の
    いずれかの圧電セラミックスの製造方法。
  6. 【請求項6】 圧電セラミックスの温度がTc となった
    とき以降の少なくとも一部において、圧電セラミックス
    に印加する電界強度を、Tc における電界強度以上の一
    定値に保ちながら冷却する請求項1〜5のいずれかの圧
    電セラミックスの製造方法。
  7. 【請求項7】 圧電セラミックスが、チタン酸ジルコン
    酸鉛系またはチタン酸鉛系である請求項1〜6のいずれ
    かの圧電セラミックスの製造方法。
  8. 【請求項8】 圧電セラミックスのTc が280℃以上
    である請求項1〜7のいずれかの圧電セラミックスの製
    造方法。
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